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ヒッチコックサスペンスの極みですな。

ところでこの映画、昔私がアメーバ時代に記事にしてるんですが、その内容に納得がいかないのでもう一回、鑑賞して転載せずにブログに書かせていただきます。


『バルカン超特急』(1938年・英)
バルカン超特急
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:シドニー・ギリアット、フランク・ラウンダー
原作:エセル・リナ・ホワイト「The Wheel Spins」
製作:エドワード・ブラック
音楽:ルイス・レヴィ、チャールズ・ウィリアムズ
撮影:ジャック・コックス
編集:R・E・ダーリング
製作会社:ゲインズボロウ・ピクチャーズ
キャスト
アイリス・ヘンダーソン:マーガレット・ロックウッド
ギルバート・レドマン:マイケル・レッドグレイヴ
ミス・フロイ:メイ・ウィッティ
カルディコット:ノウントン・ウェイン
チャータース:ベイジル・ラッドフォード
エリック・トッドハンター:セシル・パーカー
マーガレット:リンデン・トラヴァース
ホテルマネージャーのボリス:エミール・ボレオ
ホテルメイドのアンナ:キャスリーン・トレメイン
ブランチェ:グーギー・ウィザース
ジュリー:サリー・スチュワート
尼さん:キャサリン・レイシー
ドッポ夫人:セルマ・ヴァズ・ディアス
奇術師ドッポ:フィリップ・リーバー
マダム・クーマー:ジョセフィン・ウィルソン
将校:チャールズ・オリバー
ハーツ医師:ポール・ルーカス
男爵夫人:メアリー・クレア

ヴィクトリア駅にいた男:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「バルカン超特急」。原題は「The Lady Vanishes

 原題を直訳すると「貴婦人失踪」ですね。全然違うタイトルで、アメーバ時代はこの「バルカン超特急」っていう邦題が嫌いでした。でも最近はかなり気に入ってきましたね。貴婦人失踪だとこの映画がさもヒッチコックのありきたりミステリーって感じの印象を受けないのですが、「バルカン超特急」といわれるとサスペンスの中にアクションも混じっている、ってことをうまく表現できてると思います。工夫しすぎやしないか、と言ってた頃の自分を殴ってやりたい気分です。しかも邦題を考えたのは水野晴郎さんだとか。確かにあの人はシベリア超特急って映画を作りましたね。

 主演の女優はマーガレット・ロックウッド。ですがどうも彼女はこの映画以外の出演作がスポットに当たることは日本ではほとんどありませんでしたね。この映画の知名度自体はそこそこなのに主演女優の知名度はそんなにないです。歳をとると悪女とかの役をよくやるようになっていたそうです。

 一方、もう一人の主演で相方のマイケル・レッドグレイヴ。彼はバイセクシャルですね。マイケルもバルカン超特急以外に特筆すべき映画はそんなにないのですが、1951年に「The Browning Version」という映画で主演男優賞にノミネートされたようです。

 ちなみに舞台である国バンドリカっていうのは架空の国ですね。設定上ではどうやら英国と敵対してるのかな?でもこの国の位置がよく分かりませんね。バルカン超特急ってくらいだからバルカン半島にあるかと

 当時はナチス台頭の頃ですからねえ。第二次世界大戦まであと一歩のところだったもんですからね。ヒッチコックはこの映画で平和主義者つまり白旗をあげて降伏しようとした人間を殺しちゃってます。若者のドイツから国を守るための戦争への意欲向上のためのシーンだったのでしょうねえ。時代が時代だから仕方のないことかもしれませんが。

 この映画は全体的に演出が良い。映画に謎を持たせて観客の興味を引かせる演出がすっごいうまいんですよね。他にもギルバートが機関車の窓を伝って隣の部屋へ移る、っていうのは「ミッション:インポッシブル」(1996年)に引用されましたし、客がそんな人いなかった、と証言するようなのは「フライトプラン」(2005年)にも使われました。

 私が一番気に入ってるのは導入部分なんですよね。最初、ミニチュアで作ったのが丸分かりの町全体を映してからズームして最初に登場人物が出てくるホテルに近づいていくんです。で、ホテルにズームしていく途中で車が通るんですよ。ここが芸達者なヒッチコックだと思いましたよ。


【あらすじ】

 イギリスに帰り結婚を控えるアイリス・ヘンダーソンは駅で落下してきた鉢植えに直撃してしまい、老婆ミス・フロイに介抱される。帰りの電車でミス・フロイと仲良くなり一度眠ったあと、起きるとミス・フロイがどこにも居なくなっており同室の客たちが老婆などいなかったと証言する。アイリスはミス・フロイを顔馴染みのギルバートと共に探すことになるが・・・















【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ分あり




 欧州のとある国・バンドリカ
 英国紳士の小男のカルディコット(ノウントン・ウェイン)と大男のチャータース(ベイジル・ラッドフォード)のコンビはホテルマネージャーのボリス(エミール・ボレオ)から汽車が雪崩の影響で止まってしまい復旧は翌日になることを聞かされる。

 なかなか応対してくれないボリスにイライラする二人。そんな中でお金持ちのお嬢様であるアイリス・ヘンダーソン(マーガレット・ロックウッド)が友人のブランチェ(グーギー・ウィザース)やジュリー(サリー・スチュワート)と共にホテルに戻ってくる。

 するとボリスは苦情殺到の他の客を無視してアイリスにペコペコと丁寧な応対をする。あからさまな態度にカルディコットやチャータースはさらにイライラする。

 カルディコットとチャータースは個室をとりたいとボリスに言うがもうメイド部屋しか空いてないらしくカルディコットとチャータースはメイドのアンナ(キャスリーン・トレメイン)の部屋に泊まらされることになる。

 しかし部屋に度々アンナが着替えにきたりして、カルディコットとチャータースは配慮してロビーに出たりする。そこにほかの客宛てのイギリスからの電話が。カルディコットとチャータースはイギリス本国で開かれているクリケットの試合がすごく気になっており、その電話を勝手に借りて相手に状況を聞く。

 しかし相手はクリケットの試合なんて興味ない人。チャータースは憤慨して電話を勝手に切ってしまう。

 アイリスは部屋で友達二人とおしゃべりをしていた。独身最後の旅を楽しんでいたらしい。イギリスにもどってしまえばもう結婚。どこか寂しそうな顔を浮かべていた。

 チャータースとカルディコットは食堂に着きテーブル席に座るが客が多すぎてもう出せる料理が無いらしい。そこで相席となった老婦ミス・フロイ(メイ・ウィッティ)から食事を恵まれる。しかしパンドリカを穏やかで良い国だと評するのに対しチャータースたちは自分たちへの対応と国の政治状況でしか国の善し悪しを判断できないので、会話が合わずミス・フロイは食堂を出ていく。

 部屋に戻ったミス・フロイは隣室のアイリスと軽い会釈をする。外で流れる音楽を聴くミス・フロイと寝ようとしたアイリスだったが上の階の住人がどんどこ床を蹴っていてうるさくて眠れない。アイリスは電話でフロントに上の階の住人を静かにさせるよう命じる。

 ボリスはすぐさま上の部屋に行く。そこでは泊まっている客ギルバート・レドマン(マイケル・レッドグレイヴ)が笛を鳴らして他の客とダンスを楽しんでいた。ボリスはギルバートにダンスや笛を止めるよう言うがギルバートは民族の伝統舞踊だとかなんとかで拒否する。

 ボリスはそのことをアイリスに報告。アイリスは母親の権力を使ってギルバートを部屋から追い出そうとする。

 メイド部屋ではチャータースとカルディコットが新聞を読みながらクリケットのことが書いてないのに憤慨。アメリカ人の好きな野球をガキの遊びだ、と馬鹿にしたりした。

 寝ていたアイリスの部屋に突如としてギルバートが押しかけてきた。部屋を追い出されたのでこの部屋で寝る、と言い張るギルバート。アイリスはやむなくボリスに言ってギルバートを部屋に戻すよう言い二度とくるな、と追い返した。

 しばらく外で歌手が歌う歌を聴いたミス・フロイ。やがてその歌を歌っていた歌手が何者かに殺され、歌は止まる。ミス・フロイはメロディを覚えながらコインを窓の外に放り投げる。

 翌朝、駅で友達と別れるアイリス。アイリスは大きな荷物を持とうとしたミス・フロイを手伝おうとする。その時、上から花壇が落下。アイリスの頭に直撃しミス・フロイに介抱されながら汽車に乗せられる。

 発車と同時にアイリスは気絶。目を覚ますとミス・フロイと1等席の同室でずっと介抱してくれていたのだ。同室には太っちょのイタリア人男(フィリップ・リーバー)とその妻(セルマ・ヴァズ・ディアス)に息子、それに冷たい視線を浮かべる婦人(メアリー・クレア)がいた。

 ミス・フロイに誘われてアイリスは食堂車へ行くが道中の部屋にミス・フロイが転がって入ってしまう。そこには不倫中の弁護士エリック・トッドハンター(セシル・パーカー)と亭主持ちの不倫相手マーガレット(リンデン・トラヴァース)がおり、エリックはあからさまに迷惑そうな顔をして扉をしめてブラインドを閉めてしまう。

 ミス・フロイとアイリスは食堂車に座り会話を始める。ミス・フロイは家庭教師だった、とか。その時、砂糖が欲しかったのに机にはなかったので隣の机に座っていたチャータースとカルディコットの二人に砂糖を借りている。

 また、ミス・フロイは頭痛が良くなる茶の葉ハーマンハーブ茶を給仕係に渡してそれをお茶にしてほしいと注文する。

 そのあと、自己紹介がまだだったと、アイリスは自己紹介をして、ミス・フロイも自分の名前を話すがまだ頭が痛いうえに汽車の音がうるさくてうまく聞き取れない。ミス・フロイは曇った窓に「FROY」と指で書く。

 客室に戻ったアイリスはミス・フロイに仮眠を勧められたので一眠りした。

 アイリスが起きるとそこにはミス・フロイの姿はなく婦人とイタリア人の男と妻と子供しかいなかった。アイリスはミス・フロイがどこに行ったか知らないか、とイタリア人の男に尋ねるが
「そんなご婦人は最初からいらっしゃいませんでしたよ」
 と答える。ほかの同室の客も同じように話していた。アイリスはそんなハズがない、と言い食堂車へ向かう。

 給仕係にミス・フロイのことを尋ねるが
「いいえ。食堂車には一人でいらっしゃいましたよ」
「ハーマンハーブ茶も渡したハズ」
「そんなものは受け取っておりません」
 と言う。アイリスは伝票を確認してもらうが、そこには一人で来た、としか書いてなかった。

 3等席まで捜しに来たアイリス。すぐ近くの男性に尋ねるがそれはなんと昨晩、一悶着あったギルバートだったのだ。バツの悪い顔を浮かべて去ろうとするアイリスだったが立ちくらみが。

 困った女性を助けろ、という教えを受けたギルバートはアイリスを手伝い、彼が探すミス・フロイを一緒に捜すことになる。

 1等席の部屋に戻るとアイリスの診断に来たハーツ医師(ポール・ルーカス)がやってきた。彼は国では脳外科医として名医として有名らしい。もうすぐ止まる駅で重症患者が列車に運ばれてくるらしい。

 ここで他の同室の住人が紹介される。イタリア人一家はともかくとして奥の窓際に座っていた冷たい視線の婦人はどうやらパンドリカ広報大臣の男爵の夫人だという。

 症状を聞いたハーツ医師はアイリスが頭を打ったことによって一時的にミス・フロイという架空の人物、もしくは昔の記憶から引っ張り出されてきた人物を幻覚で作り上げてしまったのだ、という。

 そうではない、と主張し
「列車を止めてでも捜しだす」
 と言って確認のために食堂車で会った英国紳士二人に会いに行こうとするアイリス。それに同行するギルバートとハーツ医師。道中、アベックの部屋に入った、と言いエリックに老婆が居ただろう、と聞くがエリックは
「そんな老婆はいなかったね」
 とウソの証言をしてしまう。下手に証言して証人台に立ったらスキャンダルになってしまうからだ。

 アイリスは逃げようとした英国紳士二人を捕まえて質問する。しかしさっさと帰ってクリケットの試合が見たかったチャータースとカルディコットは列車を止められてはたまらんと
「砂糖を渡したのは覚えているんだがね。それが君だったか老婆だったかは覚えとらん。クリケットの試合の話に夢中だったんでね」
 二人は曖昧な返答をする。イラついて思わず
「クリケット!?そんなくだらないことで」
 と言ってしまいチャータースとカルディコットは去ってしまう。幻覚だと言い張るハーツ医師にアイリスは
「でもミス・フロイという名は覚えているの」
「興味深い。ぜひ幻覚の原因を調べてみたいものだ」
 と言ってハーツ医師は帰ってしまった。

 まだ納得のいかないアイリスは次の停車駅ドラバカ駅でギルバートに手伝ってもらい両側から駅を見張ってミス・フロイがいないか確認する。

 しかし降りたのはわずかな客。また乗ってきた客には先ほどハーツ医師が言っていた担架で運ばれ顔にぐるぐる包帯を巻かれた重症の患者、そして尼僧が一人だった。

 落ち込むアイリスにマーガレットが近づいてきて老婆は確かにいた、と証言した。アイリスとギルバートは躍起になり始める。

 一方、証言したことをエリックに伝えたマーガレット。どうやらマーガレットはスキャンダルにして離婚させてしまおうと考えたらしい。エリックは
「だが私が離婚しても君とは結婚せんぞ」
 と言って戸惑ってしまう。

 アイリスに同室だったイタリア人男が婦人が戻ってきた、と言う。さっそく部屋に戻るアイリスとギルバートだったがその婦人は恰好が同じなだけのマダム・クーマー(ジョセフィン・ウィルソン)だった。クーマーはアイリスを介抱してそのあと、友達のところに行っていたと話す。

 しかしアイリスはこの女性は別人、と言い張るが。それに対しハーツ医師は混乱したんだ、と言った。

 アイリスはすぐに先ほどのマーガレットに老婆は違う人物だろう、とクーマーを見せて聞くがマーガレットは
「その女性で間違いないわ」
 とウソの証言をしてしまう。

 客室に戻ったアイリス。アイリスは他の乗客全員がミス・フロイに見えるようになってしまった。ミス・フロイのことは忘れることに決めたアイリスはギルバートに誘われ食堂車へ向かう。

 食堂車で世間話をする二人。ふと窓を眺めたアイリスはそこに「FROY」という文字が書かれていたのに気づく。すぐに汽車の煙で消されたがやはりミス・フロイは存在すると確信。アイリスは勢いで列車を止めてしまいやがて失神する。

 列車が止まって10分も遅れたことをチャータースとカルディコットは毒づいていた。しかしカルディコットは人がいなくなるなんて、おかしいと疑問を抱いてもいた。

 アイリスはハーツ医師から入院を勧められていた。ギルバートはどうしたものか、と思ってたときにコックが窓の外に放り捨てたゴミの中の一つの紙袋がギルバートの目の前の窓に張り付く。ハーマンハーブ茶の袋だった。

 アイリスの言っていることを信じたギルバートはアイリスを連れてミス・フロイを捜しに列車の中を移動する。貨物室に着いたとき、ここならばミス・フロイが居るのではとくまなく捜しはじめる。

 アイリスとギルバートはある立て看板を見つける。それはイタリア人の男だった。彼はイタリア人マジシャンのドッポという男だったのだ。しかも得意技は女性を消失させること、と銘打ってある。

 やがて二人は推理を開始する。そんな段階でメガネを発見する。それはミス・フロイのものだった。

 しかしそれを取り返そうとした男が現れる。ドッポだった。自分のだ、とウソをつくドッポとギルバートは揉み合いになり、あまり役に立たなかったアイリスがフライパンかなにかで気絶させる。ギルバートはすぐにドッポを近くの箱に閉じ込めるが、その箱はドッポの手品用の箱ですでに彼はメガネを持って逃げてしまっていた。

 アイリスとギルバートはドラバカ駅で運び込まれた患者が怪しい、と思い患者の寝込む部屋をのぞき見する。しかしすぐに患者が運ばれたのはミス・フロイが行方不明になったあとだ、と気付く。しかし患者を看ている尼が尼僧なのにハイヒールを履いている、と怪しむ。

 ここでギルバートとアイリスが推理をはじめる。もしかしたらドラバカ駅で運び込まれた担架には顔をぐるぐる巻きにされたマダム・クーマーが居て、今包帯でぐるぐる巻きにされ次の停車駅モルスケン駅で運ばれるのではないだろうか。

 アイリスとギルバートは尼僧を抑えて、ぐるぐる巻きの包帯の顔を確認しようとするが帰ってきたハーツ医師に止められる。二人はハーツ医師を説得するがひとまず食堂車で話そう、と言って二人を退室させる。

 尼僧はハーツに計画がバレた、と焦るとともにこの女性は英国人なのか?と聞く。どうやら尼僧は英国人は殺したくないらしい。ハーツ医師は尼僧をなだめてから食堂車へと向かう。

 食堂車でハーツは給仕係を買収して二人に睡眠薬を盛ったワインを与えた。まんまと飲んでしまった二人はその後、ハーツが包帯の中身を確認する、という言葉を信じて患者の隣の部屋で待たされる。

 やがてハーツは部屋にやってきて
「確かに包帯の中身はフロイだ。だが次のモルスケン駅で降ろし彼女は病院へ運ぶ。だが間に合わんだろう。何せ執刀するのは私だし主謀者の一人だからなあ」
 アイリスとギルバートはすぐに部屋を出ようとするがハーツは拳銃で脅し座らせる。ハーツは二人に睡眠薬を盛ったことを話し、ぐっすり眠るのだと言って退室。アイリス、そしてギルバートが眠りについてしまう。

 しかしギルバートは寝たフリをしていたのだ。ギルバートはすぐにアイリスを起こして薬の効く前に隣の部屋でフロイを解放しよう、と提案。しかしドアが開かず部屋から出られない。

 ギルバートは窓づたいに隣の部屋に移ろうとする。途中、向かいの汽車とすれ違い間一髪になるがなんとかそれを乗り越え、隣の部屋に潜入。しかし尼僧は抵抗もせず包帯が巻かれた人物を見ていい、という。

 包帯をほどくとやはりミス・フロイだった。ギルバートはその部屋にたまたまやってきたマダム・クーマーを取り押さえ、代わりに彼女の顔に包帯を巻く。

 そこへハーツ医師が帰ってくる。ギルバートとアイリスは彼の前で寝たフリをしてごまかした。やがて列車はモルスケン駅に到着。担架が運ばれハーツ医師は降りる。

 しかしハーツ医師は乗った救急車の中で中身がすり替えられていることに気付く。すぐにハーツ医師は近くの警官に事情を説明。更に1号車のみ切り離してしまい出発させる。

 1号車のみ切り離され国境とは別の方向に向かう支線を走っている、と気付いたギルバートとアイリスは食堂車へ行き、そこに残っていたチャータース、カルディコット、エリック、マーガレットの四人にギルバートは国境を離れている、と知らせる。

 やがて1号車は森の辺りで停車する。列車の近くに軍用車が止まっており、兵士が何人も構えていた。チャータースたちは信じていない。

 しかし縛られた尼僧が現れたことで状況がただ事でないことを飲み込む。

 やがて軍用車から将校(チャールズ・オリバー)がみなさんを送迎する、とか言ってやってくる。ギルバートは将校をイスで殴って気絶させてしまう。

 チャータースは話し合えば分かり合える、と言って汽車から降りようとするが兵士は問答無用で撃ってくる。増援の兵士たちが近づくのを見てギルバートは気絶した将校の拳銃で応戦する。

 やがて銃撃戦が展開された。しかしこちらは圧倒的に不利。エリックが護身用に持っていた拳銃をマーガレットが奪いそれをカルディコットが使って応戦していた。

 ミス・フロイは自分が英国外務省から派遣されたスパイだということを教え、自分一人で敵の気を引きつつ脱走する、と話す。

 危険だ、と止めるギルバートとアイリスだったがミス・フロイは
「もし私が死んであなたたちが帰れたら外務省のカレンダー氏に会ってこのメロディの暗号を歌ってほしいの」
 ギルバートはミス・フロイが歌うメロディを覚え、やがてミス・フロイは単身脱出した。

 ギルバートはカルディコットと共に列車を走らせようとする。
「自分は平和主義者なんだ。殺されるくらいなら投降して裁判を受ける」
 と言い張りエリックはひとり白いハンカチを使って投降しようとした。だがエリックは問答無用で撃ち殺され、マーガレットが嘆く。

 運転席まで行き、運転手を脅して何とか走らせることに成功した。

 走り出す列車。やがて車内で将校が起き上がり拳銃を奪ってチャータース達を脅す。尼僧が将校の目を盗んで、列車を降りて列車の分岐点を変える。それからすぐに尼僧は足を撃たれながらも列車に乗り込む。

 取り逃がしたハーツ医師と伯爵夫人はあきらめ、後は列車が国境を超えられるよう祈ってやるかと毒づくのだった。

 その後、国境を超えてなんとかフランスにたどり着いた一行は船に乗り電車を乗り継いでついにロンドン・ヴィクトリア駅にたどり着く。

 ヴィクトリア駅で、クリケットの試合を気にしていたチャータースとカルディコットだったが最終試合は洪水によって中止になっていた。二人は呆然とする。

 婚約者が迎えに来ていて憂鬱になっていたアイリス。暗号のメロディーを覚えながら最後まで見送ろうとしたギルバート。やがてアイリスは駅を降りて婚約者を発見しすぐさまギルバートを引っ張ってタクシーに逃げ込む。

 どういうことだい?とニヤニヤするギルバートに対しアイリスは
「わかってるくせに」
 と言って二人は熱いキスをする。

 やがて二人は外務省に到着するがギルバートはウキウキしていて、ついメロディーを忘れてしまった。そんなとき、部屋の中からメロディーがピアノで流れている。

 ピアノで弾いているのはミス・フロイだった。ギルバートとアイリスはフロイとの再会を喜び合うのだった・・・








 この映画で最初の方で歌手が首を絞めて殺されるシーンに伏線はない、というのをどっかで見ましたがまあ確かにそれほど伏線ではないですがストーリー上でのこれからの謎と疑念を視聴者に深めさせるのにはいい演出ですよね。この映画はふといらないんじゃね?っていうシーンも意外と謎を手助けしたり疑念の手助けになってるんですよ。

 ところでこの映画、本当にフィルム全部回収されてるのでしょうか。だって列車で起き上がった将校がどうなったのか分からないまま終わっちゃいましたけど。本当はカットされててそこの部分で将校をたとえば食堂席に戻ってきたギルバートが倒す、とかそういうシーンがあったんじゃないでしょうか?これは不思議ですね。ヒッチコックがそこを無駄なシーンと判断して撮影しなかったとは思えないんですが。

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Category: 洋画ハ行
7月になったら日曜日以外は本格的に休止する予定なんですが・・・私っていうのはどうも甘い人間なようです。


『ロープ』(1948年・米)
ロープ
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーサー・ローレンツ、ヒューム・クローニン
原作:パトリック・ハミルトン
製作:アルフレッド・ヒッチコック、シドニー・L・バーンスタイン
音楽:レオ・F・フォーブスタイン
撮影:ジョセフ・ヴァレンタイン、ウィリアム・V・スコール
編集:ウィリアム・H・ジグラー
キャスト
ルパート・カデル:ジェームズ・スチュアート
ブランドン・ショー:ジョン・ドール
フィリップ・モーガン:ファーリー・グレンジャー
ジャネット・ウォーカー:ジョアン・チャンドラー
ケネス・ローレンス:ダグラス・ディック
アニータ・アトウォーター:コンスタンス・コリアー
ミセス・ウィルソン:イディス・エヴァンソン
デービッド・ケントレイ:ディック・ホーガン
ヘンリー・ケントレイ:セドリック・ハードウィック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品。原題は「Rope

 もともとはパトリック・ハミルトンっていう人が1929年に舞台劇『Rope's End (ロープの端)』というのを作ってそれがヒッチコックが映画化しましたね。で、その舞台劇っていうのは24年に起きた「レオポルドとロープ事件」っていう実際の事件を基にしたものですね。

 面白いのは映画の全編をワンシーンでつなげてるところですね。ヒッチコック初カラー作品ってところも貴重ですがこの映画は舞台がマンションの一室だけ。しかも一日だけで、昼→夕→夜と実際に映画の中の時間と実際の時間が同じ間隔で進んでいくっていうのも面白いですね。ただスタッフもキャストもきっと大変だっただろうなあ、と思いますよ。

 主演はジェームズ・スチュアートですね。ジミーはヒッチコック作品は初出演でのちに「裏窓」(1954年)、「知りすぎていた男」(1956年)、「めまい」(1958年)にも主演張ってますがめまいの評判が良くなくてジミーはそのあとの「北北西に進路をとれ」(1958年)で主演やりたかったのにおろされちゃって、ケーリー・グラントになっちゃいましたね。当時サスペンスは低俗なものだと思われた風潮があり、ゲイリー・クーパーとかもヒッチコックには出なかったんですが、ジミーはよくサスペンスに出てましたねえ。


【あらすじ】

 自分は優秀である、と疑わないブランドンは元舎監ルパートが優秀な人間は劣等な人間を殺すこともできる、というブラックジョークを真に受けてフィリップという友人と共に友人ケネスをロープで絞め殺し、収納箱の中にしまい、その収納箱を燭台に見立てパーティを開いた。ルパートは二人に疑念を持つ。



ロープのシーン














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり






 ニューヨーク。マンハッタンの摩天楼にあるアパートの一室。
 完璧主義者を気取るブランドン・ショー(ジョン・ドール)とそれに乗せられたピアニストのフィリップ・モーガン(ファーリー・グレンジャー)は二人の友人であるデービッド・ケントレイ(ダグラス・ディック)をリビングでロープを使って絞殺する。

 動機は単純。ブランドンが自分に完璧殺人ができる特権を持つ優秀な男で殺される側のデービッドはそれより劣る者なのだ、と証明するためだった。ブランドンは本気で自分のような優秀な人間には殺人をできるという特権を持っていると信じていた。

 ブランドンが信じている理由。それは彼が尊敬する舎監だったルパート・カデル(ジェームズ・スチュアート)が放った優秀な人間は劣等な人間を殺す特権を得ている、というブラックジョークを真に受けたからだった。そしてそれを実践できるのは自分とフィリップしかいないと思っていた。

 対してフィリップは殺したことを後悔し動揺していた。ブランドンは真昼間なのに閉まっていたカーテンを開けてからデービッドの死体を収納箱の中に隠し夜が来るまで待つ。

 ブランドンはすぐに死体を運ぶのではなく、このすぐ後に部屋で開かれる田舎に帰るフィリップの送別会パーティを無事に進行させて夜になってからブランドンの遺体を車へ運ぼうとしていたのだ。しかしそのパーティにルパートも呼ばれている、と知りフィリップはあの男は勘がいいから危険だ、と動揺する。

 ブランドンは死体を隠した収納箱の上にテーブルクロスを敷いてキャンドルを置き料理を置いて食卓にしてしまおうとした。フィリップは気が気じゃない。

 そこへ家政婦のミセス・ウィルソン(イディス・エヴァンソン)が買い物から帰ってくる。ウィルソンはなぜダイニングに食事を用意したのにわざわざ料理をリビングのチェストの上に置くのか理解できなかった。

 フィリップはウィルソンに犯行に使ったロープを見られた、と慌てふためくがブランドンは余裕をかまし、キッチンの引き出しにロープを隠す。

 その後、ブランドンとフィリップの友人ケネス・ローレンス(ダグラス・ディック)が訪れてくる。ブランドンはケネスにケネスの婚約者も招待したんだ、というがどうやらケネスは婚約者ジャネット・ウォーカー(ジョアン・チャンドラー)と婚約破棄してデービッドと付き合ってしまったらしい。ブランドンとフィリップはケネスを励ます。

 それからジャネットもやってくる。ジャネットとケネスの間には気まずい空気が。ジャネットはブランドンを責めたてるがブランドンは
「まったく。僕の次はケネス。ケネスの次はデービッドかい?金のある男に流れるんだね君は」
 と言いジャネットは愕然とする。

 そのあと、デービッドの父親であるヘンリー・ケントレイ(セドリック・ハードウィック)と本当は来るはずだった妻が寝込んでしまったために急きょ代理できたヘンリーの妹アニータ・ケントレイ(コンスタンス・コリアー)がパーティにやってくる。

 アニータは占いが趣味で、フィリップの手を見て将来、名声を掴む手だ、と言われフィリップは動揺する。参加者たちは時間に正確なデービッドが来ないことに心配していた。

 やがて最後に現在は出版関係の仕事についているルパートがやってくる。ルパートやヘンリーはブランドンが執筆した本の初版本が見たくて来ているという面もあったのだ。

 参加者たちでソファーに座り座談が始まる。フィリップはチキンが嫌いだ、ということが話題になり昔、フィリップがニワトリの首を絞め殺しそこねて食卓で生き返ったのがトラウマになったのだ、ということが話される。するとフィリップはムキになって否定する。

 そのあと、ルパートが語りだす
「しかし殺人というのは正当化されてしまうんですよ。高級レストランで待つのが嫌になれば前の客や店員を銃で殺してしまえばいい」
 と言いはじめ「殺人というのは芸術である」という冗談を言う。

 ヘンリーが理解できない、と真に受ける。「その理論ならば死んでいい人間など誰が決めるんだ」と言い、そのあとで、ブランドンがルパートの冗談を助長し「優等なものが劣等を殺せる特権を得ている」ということを力説しだしヘンリーと口論になりヘンリーを呆れさせる。

 しらけた雰囲気になり、各々が解散してからルパートはブランドンの力説とフィリップの嘘について疑念を抱いていた。

 一方、ジャネットはケネスと気まずくなりながらお互いのことを話す。実はケネスがジャネットを振ってしまい、傷心にくれたジャネットをデービッドが励まし付き合いだしたのがきっかけだった。

 しかしその会話のなかでケネスは自分がジャネットと別れたことに対して「大丈夫だよ。チャンスはあるさ」とブランドンが言っていたことを話し、ジャネットとケネスはブランドンを問い詰める。ブランドンはその問いに飄々と軽く受け流したのでさらに腹を立てた。

 ブランドンがなにかおかしいと感じたルパートはミセス・ウィルソンとの会話でブランドンとフィリップが朝からおかしかったことを知る。ウィルソンをさっさと買い物にいかせたと思えば買い物にかける時間はゆっくりめにしろ、だの言われたらしい。

 ほかにもウィルソンが本来なら食卓などの準備をするのに買い物にいかせた内に二人で準備を終わらせたこと、ダイニングの食卓に置かれた料理をリビングのチェストの上にテーブルクロスを敷き燭台と料理を乗せたことなど不審な点だらけ。

 それを見ていたフィリップはウィルソンに給仕に集中するよう命じる。明らかにウィルソンを引き離したフィリップにルパートは
「このパーティはおかしなことばかりだな。愉しんでるのはブランドンくらいしかいない」
 フィリップがニワトリを殺してない、とウソを座談のときについたことなどを問い詰めフィリップは明らかに混乱していた。

 ルパートはフィリップに
「ブランドンはデービッドの場所を知っているが話さない。君に聞くがデービッドはどこにいるんだい?」
 と問い詰めるがフィリップは答えなかった。

 やがて初版本数冊をブランドンがロープに縛ってヘンリーに渡していた。フィリップは呆然とし、それを問い詰めるルパートに
「い、いえ・・ただ、ロープの縛り方がおかしいなあと思っただけです」
 と答える。そのロープはデービッドを殺したロープで、ブランドンは凶器を被害者の父親に手渡ししている状況なのだ。

 ルパートはフィリップとブランドンに探りを入れ、何かを考え始める。やがてウィルソンがパーティの片づけをしはじめて、ヘンリーに渡さず見せるだけの本をチェストにしまおうと開けようとする。

 しかしそれをブランドンが止め、チェストにしまうのは明日きてしてくれ、と命じる。ルパートはブランドンの慌てぶりに何かを感じていた。

 やがて電話がかかってきた。応対したアニータによればどうやらデービッドの母がデービッドの行方が分からなくなったことで混乱しているようだった。ヘンリーは妻が心配になり本を持ってアニータと共に帰る。

 ジャネットもヘンリーに付き添い、ジャネットの頼みでケネスもそれに同行することになる。ブランドンは不謹慎にも
「チャンスは来たじゃないか」
 とケネスに言いジャネットとケネスは腹を立てて出て行った。

 ルパートも帰ろうとするが、ウィルソンが帽子を間違えて渡してしまう。そこにはイニシャル“DK”の文字が彫られておりルパートは動揺しながらも本物の帽子をかぶってひとまず退散する。

 ブランドンはフィリップと共に作戦成功を喜ぶがフィリップはルパートは絶対に真相を掴んだはずだ、とおびえており酒をガブガブと飲み始める。ブランドンは一緒に旅行に出よう、となだめても効果はない。ずっと片づけをしていたミセス・ウィルソンは明日片づけの続きをするために家の鍵を預かって、帰って行った。

 やがて駐車場係に電話して車を用意してもらったあと、電話がかかってくる。ルパートからで煙草入れを部屋に忘れたので取りに行きたい、とのことだった。ウソに決まってる、と断らせようとするフィリップにブランドンは5分間は耐えるんだ、と説得し拳銃をポケットに入れてからブランドンを招き入れる。

 ルパートは煙草入れを探すフリをしてから、時間稼ぎのためにブランドンから酒をもらう。ルパートは少しおびえながらジャネットが話していた、という名目で推理を語り始めた。

 ブランドンとフィリップが早くに部屋にデービッドを招き入れ、彼を気絶させてからロープで絞殺。そのあと、遺体をチェストの中に隠したのだ、と。

 それからルパートはブランドンの上着の右ポケットに拳銃が隠されていることを指摘。ブランドンはすぐに強盗用だ、とウソをついてピアノの上に拳銃を置く。

 やがてルパートは先ほどヘンリーに渡す本を縛るのに使ったロープ、ケネスを絞殺したロープを二人に見せる。犯行を悟られた、とフィリップは動揺し「全員殺して僕も死んでやる」と言いながら拳銃を振りかざしはじめる。

 ルパートは危険なフィリップから手を怪我しながらも拳銃を奪い取る。フィリップは酔いすぎただけ、というブランドンにルパートはチェストの中身を見せるよう言い、ルパートはチェストの中身を確認して驚いてしまう。

 ブランドンは殺人に崇高な考えを持つアナタなら理解してくれるはずだ、と乞いはじめる。
「あなただって言ったじゃないか。勝る者が劣る者を殺してもいい特権を持っているのだ、って。僕たちはそれを実行しただけだ」

 ルパートは自分の言葉が二人を犯罪に駆り立てたのか、と愕然としつつ
「私と君たちを一緒にするな。私には実行しないだけの理性がある。それに君たちは優者と劣者の概念を歪めただけで一人の男の将来と愛を奪う口実に過ぎない」
 とブランドンの犯罪を否定する。そして
「君たちは捕まるだろう。そして待っているのは死だろうな」
 と宣言してから窓を開けて外に拳銃を三発撃つ。

 外で銃声を聞いた人々はすぐさま警察に通報。パトカーのサイレンが近づいてくる。

 呆然とするルパート、未だに動揺するフィリップ、ブランドンは平静さを装い、酒を一杯飲み干す。マンハッタンはすでに夜になっていた。







 これはヒッチコックの考え方そのものかもしれませんねえ。しかしヒッチコックはあえて自分の考えを映画の中で最終的に否定した。天才の考えることはよくわかりません。

 この映画の登場人物はみんな縛られてばかりですね。それをロープで例えたのでしょう。

 舎監ルパートは理論づける生き方に縛られ、ブランドンはルパートの優者と劣者の考えに縛られ、フィリップはブランドンに縛られて。フィリップが本を縛るのに使ったロープを見て動揺したときに発した「縛り方がおかしい」っていうのはルパートからの教えをおかしく捉えたブランドンのことを指してたんでしょう。

 最後に二人が死ぬ、ってのは二人の未来の絞首刑のことを示してるんでしょうか?あとはこの映画がワンシーンで繋がれ切れていないのもロープそのものなんでしょう。うまいタイトル。

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ジェームズ・スチュアート、ファーリー・グレンジャー 他

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巻き込まれ型サスペンスとは的を射ているようで、そのまんまですね。


『北北西に進路を取れ』(1959年・米)
北北西に進路を取れ
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
製作:アルフレッド・ヒッチコック
音楽:バーナード・ハーマン
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
キャスト
ロジャー・ソーンヒル:ケイリー・グラント(井上孝雄)
イヴ・ケンドール:エヴァ・マリー・セイント(吉野佳子)
クララ・ソーンヒル:ジェシー・ロイス・ランディス
教授:レオ・G・キャロル(大木民夫)
レスター・タウンゼント:フィリップ・オバー
弁護士ビクター・ララビー:エドワード・プラット
精神科医クロス先生:フィリップ・クーリッジ
競売人:レス・トレメイン
秘書マギー:ドリーン・ラング
ジャンケット警部:エドワード・ビンス
部下A:アダム・ウィリアムス
部下B:ロバート・エレンスタイン
タウンセンド夫人:ジョセフィン・ハッチスン
レナード:マーティン・ランドー(西沢利明)
フィリップ・ヴァンダム:ジェームズ・メイソン(川合伸旺)

列車の女性客(女装)、バスに乗り遅れた客:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「北北西に進路を取れ」。原題タイトルは「North by Northwest

 主演はケイリー・グラントです。元々、ヒッチコック作品の主演常連だったジェームズ・スチュアートがグラントの役を熱望していたのですが以前のスチュアート主演のヒッチコック映画の興行収入が思わしくなかったのでお断りされたそうですね。

 この映画はヒッチコック曰く自身の映画で隠喩による最もわいせつなシーンがある映画だそうです。私、そのシーンを実際に観て、その話を聞いて笑っちゃいました。なるほどお、と思いましたね。

 ヒッチコックのカメオ出演なのですが・・・最初のバスに乗り遅れた男ってのは気付きました。でもまさか二回も出てるとは思っておらず一回目でヒッチコックを探すのを止めたのですが、まさか女装して電車にいたとは思いませんでした。気付きませんでしたねえ。

 いやあ、それにしてもこの映画でラシュモア山が出てきますが、この山の壮大さたること・・ラシュモア山ってのはワシントンからリンカーンまでの4人の大統領が岩壁に彫像として描かれているお山ですね。NARUTOの火影の彫像岩壁はこのラシュモア山がモデルですね。余談ですがラシュモア山の縮小版がよく私が茨城まで車で行くときに通る国道6号線だったかな?そこに縮小版が掘られたパチンコ屋がありました。

 それにしてもヒロインのエヴァ・マリー・セイントは本当に美しかったなあ・・妖艶さによる美麗。寝台室のシーンはフェロモンムンムンでしたね。


【あらすじ】

 広告企業社長ロジャー・ヒールソンは裏の仕事屋「ジョージ・キャプラン」と間違われて、謎の男のもとに連れ去られてしまう。ヒールソンが頑なに否定し続けるとヒールソンは酔わされて危うく海に車ごと落とされそうになるが何とか逃げ延びる・・・





北北西に進路を取れのシーン












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり






 ニューヨーク。

 広告業者の社長ロジャー・ヒールソン(ケーリー・グラント)は友人たちとの会食でプラザホテルの中にあるレストランに来ていた。そのレストランでウエイターがジョージ・キャプラン様いらっしゃいませんか!と叫んでいる。ヒールソンはたまたまそのウエイターに電話を頼もうとして呼び寄せる。

 一方、少し離れたところでその光景を見ていた殺し屋らしき男たち二人(アダム・ウィリアムス、ロバート・エレンスタイン)はヒールソンをジョージ・キャプランと勘違いしヒールソンに銃をつきつけ連れ去ってしまう。

 車に乗せられたヒールソンは状況を問い質すが二人は何も答えないまま、車は町はずれの大邸宅に到着。ヒールソンは家の中に通される。

 家の中では邸宅の主人レスター・タウンゼントと名乗る男(ジェームズ・メイソン)とその秘書を名乗るレナード(マーティン・ランドー)にジョージ・キャプランか?と質問をされる。

 ヒールソンは何度も否定し続け、レスターが依頼したい仕事があるか?と聞いても頑なに断り続ける。

 ヒールソンは帰ろうとするがレスターやレナードはそれを許さずヒールソンをアルコール度の強い酒で無理矢理、酔わせてしまう。

 酔ったヒールセンは車に乗せられ海に落とされそうになるが酔いながらもなんとかヒールソンは車を運転して逃亡を図る。その後、ヒールセンは精神科医クロス先生(フィリップ・クーリッジ)の診断により飲酒運転で逮捕される。

 翌日、酔いが醒めたヒールソンは必死に状況を説明し、母クララ(ジェシー・ロイス・ランディス)や弁護士ビクター・ララビー(エドワード・プラット)と共に警察にレスター・タウンゼントに殺されそうになった、と訴える。

 ジャンケット警部(エドワード・ビンス)らと共にタウンゼント邸を訪れるヒールソンだったが邸宅の住人達はヒールソンがパーティに来て酔い潰れていった、と証言。更にタウンゼント氏はなんと国連で働いているお偉いさんらしい。完全に不利でありヒールソンは罰金を渋々、支払うことにした。

 だが納得のいかないヒールソンはプラザホテルを調べ、そのホテルにジョージ・キャプランという客がたしかに宿泊していた事実を掴み、その部屋を調べる。

 その部屋を母クララと共に調べ邸宅でタウンゼントと名乗った男の写真を見つける。しかしボーイたちはカプランを見たことがないらしく、部屋にあったスーツはヒールソンのサイズに合わなかった。

 その部屋に電話がかかってくる。タウンゼントの部下からで、今から殺しにいくという電話だった。ヒールソンはすぐさまクララと共にエレベーターで逃亡。しかし同じエレベーターに部下二人組も乗り込んでくる。

 1階についたエレベーター。ヒールソンはうまく逃亡しタクシーですぐさま退散する。

 ヒールソンは国連本部のビルに向かい、そこでタウンゼントに面会を求める。しかし会った相手は昨日の邸宅でタウンゼントを名乗った男ではなかった。

 本物のタウンゼント(フィリップ・オバー)はヒールソンの問いかけに訳が分からなそうだったが、突如苦しみだして倒れる。背中にナイフが突き刺さっていた。

 抱え込んでついナイフに触れてしまったヒールソンは殺人犯だ、と周りに疑われすぐさま逃亡を図った。

 ヒールソンが殺人犯だ、という新聞が一面に載りCIAの会議室で数人がその新聞を見ていた。会議室で指揮権を握る教授と呼ばれる人物(レオ・G・キャロル)はその事態を黙認することを決める。実はジョージ・キャプランという男はCIAが作った架空の人物で、タウンゼントと名乗った男こと密輸業者フィリップ・ヴァンダム(ジェームズ・メイソン)の気を引かせ、彼の近くに潜入するスパイを気付かせないようにしていたのだ。

 スパイを守るため、そのためにヒールソンを黙認するのだった。


 グランド・セントラル駅。ヒールソンはキャプランがシカゴに向かったことを知り20世紀特急に乗り込もうとする。しかし15番窓口の駅員(ネッド・グラス)に正体を気付かれ、なんとか切符を買わずに乗り込んだものの警察隊も特急の中に乗り込んできた。

 万事休す。そんな時、金髪の女性がヒールソンをかくまい犯罪者は列車から降りた、と警察隊に伝える。

 無事に列車は発車し、ヒールソンは食堂車にやってくる。ボーイに案内された席には相席で自分を先ほど助けてくれた女性が座っていた。彼女はイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)と名乗り、二人は会話をはじめる。

 どうやらイヴはヒールソンの正体を知っているが、彼女曰く一目惚れでヒールソンをかくまってしまったらしい。二人は打ち解けあうが、20世紀特急は突如、停車する。警察隊が乗り込んできたのだ。

 イヴとヒールソンの二人はイヴの部屋に行き、ヒールソンはベッドに隠れ部屋に聞き込みにきた警官はイヴがなんとか追い返すのだった。

 その後、二人は良い雰囲気となりやがて二人で一夜を過ごす。だがイヴはボーイにある男にメモを渡してほしい、と頼む。そのメモを受け取ったのはヴァンダムとレナードの二人だった。内容は「彼の処分どうする?」と。


 シカゴに到着しソーンヒルは列車の乗務員の服を剥いで変装。その後、脱いで警察を騙すのだった。

 イヴはソーンヒルに頼まれカプランに公衆電話でカプランに電話する。しかしカプランは実在しないので、そのフリをしているだけ。本当はレナードと電話で打ち合わせしていたのだ。

 イヴはソーンヒルにカプランがプレーリーで会いたい、と話していたと伝える。ソーンヒルはイヴとの別れを惜しみつつバスでプレーリーへ向かう。

 シカゴ郊外プレーリーにポツンと立ったソーンヒル。車は何台も通るがカプランが来る気配はまだない。バスを待っていた男と世間話をしはじめる。男は遠くで農薬を撒いている複葉機を、あんな場所に農薬は撒かねえんだけどなあ、と訝しみつつバスに乗り込んでいった。

 再び一人になったソーンヒル。やがて農薬を撒いていた複葉機がこっちへ向かってくる。ソーンヒルはすぐに伏せてなんとか回避するが複葉機は旋回して再びこちらへ突撃してくる。

 複葉機から機銃で攻撃してくるためソーンヒルは近くのトウモロコシ畑へ入り込む。

 やがて複葉機はトウモロコシ畑一帯に農薬を撒き散らし始めた。ソーンヒルは道路に出て、たまたま通りかかったタンクローリーに助けを求めるが急停車できないタンクローリーにソーンヒルはその場に伏せて轢かれるのを防ぐ。

 一方、突撃してきた複葉機はタンクローリーを避けきれずに激突。タンクローリーの運転手と共にその場を離れやがて大爆発が起こる。

 そこに農民の車が通りかかり、農民たちが車を降りて爆発現場を見物する。ソーンヒルはその隙に、農民の車を盗んでその場を去って行く。

 シカゴのジョージ・キャプランが泊まっていたというホテルに来たソーンヒル。ボーイによればソーンヒルに会う前にすでにキャプランはチェックインしてサウス・ダコタ州ラピッド・シティに向かったらしい。

 どうしたものか、と考えていた時にイヴがホテルに入ってきた。ソーンヒルは怪しまれないようにボーイにイヴの部屋を聞き出し、イヴの部屋を訪れる。

 部屋のドアを開けたイヴはソーンヒルが生きていることに驚く。ソーンヒルは暗にイヴをこれから監視し続けるという内容のことをイヴに話しイヴは20世紀特急のときよりもよそよそしくなっていた。

 その後、ソーンヒルはシャワーを浴びるフリをして部屋から去り行方をくらまそうとしたイヴの後を追う。

 イヴは美術品の競売場に来た。ソーンヒルも中に入ると、イヴはレナード、ヴァンダムと一緒だった。ソーンヒルはヴァンダムに話しかけ、更に自分を騙したイヴを罵倒する。イヴはその罵倒に耐え切れず

 ヴァンダムは敵意を隠さず必ず始末することを伝え、レナードと部下を競売場に残してイヴと共に去って行った。一方、その競売場で教授もその一部始終を目撃していた。

 レナードと殺し屋二人組が残っているため、逃れられないソーンヒルは競売場を混乱させる。競売人(レス・トレメイン)に「そんな美術品買うなんてバカしかいない」「俺はそれに4ドルだすぞ!」と言いついに店を追い出されそうになる。

 ソーンヒルは抵抗しガードマンを殴りつける。そこへ警官がやってきてソーンヒルは連行させる。殺し屋二人組は悔しそうにその姿を見るだけだった。

 パトカーに連行されたソーンヒルは警官に自分が指名手配中の殺人犯であることを明かす。ソーンヒルはヤケになりヴァンダム達の悪事を警察で全てぶちまけようとしたのだ。

 しかし途中で、警官に無線が入り空港にパトカーは向かってしまう。ソーンヒルはなぜ警察署に行かないのか、と警官に言うがソーンヒルは教授と会わされる。

 教授はソーンヒルにヴァンダムが密輸業者であり、これまでCIAが送り込んだスパイを皆殺しにされていると話す。更にジョージ・キャプランはCIAが作り出した架空の人物であることも。

 ソーンヒルは自分が巻き込まれたことに憤怒するが、教授はあと1日だけジョージ・キャプランを演じてほしいと頼み込んでくる。それを断りさっさとニューヨークに帰らせるように言うソーンヒルに教授は、実はイヴがヴァンダムの近くに潜り込ませたCIAのスパイであることを明かし、ソーンヒルが競売場でややこしくしたせいでイヴが怪しまれ命が危ない、ということを話す。

 少なからず責任を感じたソーンヒルはイヴを助けるためにヴァンダムが向かったラピッド・シティに教授と共に向かう。ヴァンダムはラピッド・シティの別荘から飛行機で外国へ高飛びしようとしていた。


 ラピッド・シティ。ラシュモア山を見上げるカフェにソーンヒルはヴァンダムとレナード、イヴを呼び出す。

 その施設でソーンヒルはヴァンダムの外国への逃亡を見逃す代わりに、イヴを始末したいので身柄を引き渡すようにヴァンダムに言う。しかしイヴがそれを拒絶し拳銃でソーンヒルを撃ってしまう。イヴはすぐに逃亡した。

 教授によって救急車に乗せられたソーンヒル。その救急車はラシュモア山の山中に入り、森の一角で停車する。そこにはイヴがすでに来ておりソーンヒルが救急車から降りる。

 先ほどの発砲は教授の指示通り行った空砲によるソーンヒルの演技だったのだ。

 ソーンヒルとイヴは話し合い、二人は和解しあう。ソーンヒルはもう安心だ、と言うがイヴと話が噛み合わない。どうやらイヴはヴァンダムと外国へ一緒に高飛びする予定になっているらしい。

 教授は騙したことを謝罪し、こうでもしなければ協力が得られなかった、と本当のことを打ち明ける。ソーンヒルは反発しイヴが去ろうとするのを止めようとするが教授が連れてきた当局の人間に殴られソーンヒルは気絶してしまう。

 病院に軟禁されたソーンヒル。イヴとヴァンダムが去ったのを確認後にソーンヒルは解放され、教授の計らいによりソーンヒルはレスター・タウンゼント殺人事件の無実を証明されたことになっているらしい。ソーンヒルは教授に対し、イヴを止めるのを諦めたように演じつつ、教授や見張りの目をかいくぐって窓から隣の部屋に移り病院を脱走する。

 ラシュモア山のヴァンダムの山荘に侵入したソーンヒル。山荘の中をうかがうと、レナードとヴァンダムが話していた。レナードは先ほどソーンヒルが撃たれた拳銃を見せてこの拳銃は最初から空砲だった、ということを報告する。知らされたヴァンダムはイヴを飛行機に乗せて上空から落として始末することを決定する。

 また、ヴァンダムは自分の悪事が詰まったマイクロフィルムを自分の肩身放さず持っている彫刻の中に仕込んでいるらしい。

 焦ったソーンヒルは何度かイヴに自分の存在を気付かせようとするがなかなかうまくいかない。山荘の中に入ったソーンヒルはマッチをイヴの近くに投げつけ、レナードがただのマッチだと判断して机の上に置く。

 そのマッチを何気なく見たイヴはマッチに書かれたソーンヒルからのメモを見て驚く。そしてイヴは指示通り、ソーンヒルと寝室で再会する。

 ソーンヒルは彫刻にマイクロフィルムが入っていることと、イヴの空砲がバレて後に始末されるであろうことを明かす。

 ソーンヒルはイヴが山荘の私有滑走路へ向かったのを確認してから、自分も滑走路へ向かおうとする。だが山荘にいたメイドに気付かれ銃をつきつけられてしまった。

 一方のイヴは滑走路にレナード、ヴァンダムと共に来て彫刻を奪い取る機会を窺っていた。その時、山荘から銃声が。ソーンヒルは山荘から抜け出し、車に乗ってイヴを拾って去って行った。レナードや部下たちがその後を追う。

 どうやらメイドが持ったのはイヴが使った空砲の拳銃だったようだ。その後、門を閉められ車を捨てて徒歩で逃走を図る二人。

 だがラシュモア山の大統領たちの彫像のところに来てしまった。周りは囲まれ、岩壁を下に下りていくしか逃げ道はなかった。イヴは怖がりつつソーンヒルに連れられ岩を下りていく。

 途中、部下一人がソーンヒルに襲い掛かって返り討ちに遭い転落していった。それからしばらく移動して、イヴが落ちそうになりソーンヒルがそれを掴まえるが、ソーンヒルも落ちそうな状態になっていた。

 それを見たレナードはソーンヒルの掴む手を足で蹴って落とそうとする。

 そんなピンチな時、レナードは教授が連れてきた警官によって射殺され落ちていく。彫刻が割れて中からマイクロフィルムが。これで教授は本格的にヴァンダムを逮捕できるようだ。

 シーンは変わって20世紀特急。ソーンヒルとイヴはニューヨークに向かう寝台個室の中でイチャイチャしていた。やがて特急はトンネルの中へ入って行く・・・





 最後のシーン、特急がいわゆる男根でトンネルの穴が・・まあその女性器を隠喩しているようです。ようはこれからセックスをはじめるってことでしょうね。ヒッチコックはこの隠喩が自分の映画で最もわいせつなシーンだと話していたそうです。確かにわいせつですね。

 この映画で有名なのはやっぱり飛行機と荒原で戦うシーンでしょうか。このアイデアはなかなかですねえ。63年の「007 ロシアより愛をこめて」でもヘリとボンドが戦ってます。でもこっちの方が先ですねえ。

 やっぱりこういう大衆向けのヒッチコックミステリーもなかなかに面白い。あえてジョージ・キャプランが存在しないことを先に明かしておいて、後の空砲の部分は視聴者に実際に起こるまで分からせないようにしたのもなかなか工夫してますね。

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ヒッチコックサスペンスには毎回、驚かされます。ストーリーはまあ、そうですがなんといってもヒッチコックのあの不気味な演出が毎度、素晴らしい。


『めまい』 (1958年・米)
めまい
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アレック・コペル、サミュエル・テイラー
原作:ボワロー=ナルスジャック「死者の中から」
製作:アルフレッド・ヒッチコック
音楽:バーナード・ハーマン
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
製作会社:パラマウント映画
配給:パラマウント映画
キャスト
ジョン・ファーガーソン〝スコティ〟:ジェームズ・スチュアート
マデリン・エルスター:キム・ノヴァク
ジュディ・バートン:キム・ノヴァク
ミッジ:バーバラ・ベル・ゲデス
エルスター:トム・ヘルモア

スーツを着て通りを歩く男:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「めまい」。原題タイトルは「Vertigo

 ヒッチコック作品はこれで四つ目ですかね。「バルカン超特急」、「サイコ」、「鳥」と観てこれを観ました。ヒッチコックはこれを失敗作だ、と語っているようですが私の目からすればヒッチコックがそんなことを言うなんて贅沢だなあ、なんて思いました。

 舞台はほとんどがサンフランシスコ。ヒッチコックは本当にサンフランシスコの情景を撮影するのがうまかったですねえ。サンフンランシスコといえば、金門橋〈ゴールデンゲート・ブリッジ〉。人気ドラマ「フルハウス」のオープニングで出てきますね。関係ないですが私は「GTA SA」といゲームでサンフランシスコをモデルとしたステージで遊んだことがあるので、サンフランシスコで観たことある建物とか見覚えある建物とか何個か見つけました。でも実際にシスコに行ったことは無いんですよねえ・・

 ジミー・スチュアートは、「素晴らしき哉、人生!」以来、久しぶりに映画を観ました。まあ彼の作品はそれとこのめまいだけしか観てないんですが、「素晴らしき哉、人生!」のせいで彼が良い人の役をやる、というイメージが定着してしまいました。今回は特段、良い人ではない役を演じましたね。別に悪者でもないと思いますが・・

 ヒロインを演じたのはキム・ノヴァク。最初は主人公スコティの幼馴染というか古くからの友人のバーバラ・ベル・ゲデスが演じた役がヒロインかと思っていましたが結局、違ったようですね。キム・ノヴァクはなんだか清楚というか可愛いというか、この女性はとても妖艶な雰囲気を醸し出す人なんですね。終盤のドレスで少し肌を露出していたあたりのシーンは思わず「この人、ふとましいなあ・・」と思ってしまいました。むっちりしてる様に見えました。


【あらすじ】

 ジョン・ファーガーソン刑事は犯人を追跡中に屋根にぶらさがった際、自分を助けようとした警官が屋根から転落死してしまい、高所恐怖症となってしまう。刑事を辞めた彼は古い友人から妻マデリンの様子がおかしいので尾行して調査してほしい、と依頼される。ある日、ファーガーソンはマデリンがサンフランシスコ湾に飛び込んだのを見て彼女を助け出し・・・


♪めまいのテーマ
バーナード・ハーマン


スコティ(ジェームズ・スチュアート)
スコティ(ジェームズ・スチュアート)
マデリン(キム・ノヴァク)
マデリン(キム・ノヴァク)













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり



 スコティことジョン・ファーガーソン(ジェームズ・スチュアート)刑事は犯人を追跡中、屋根から屋根を伝うときにあやまって屋根にぶら下がってしまう。助け出そうとした同僚警官が屋根からすべり落ちて転落死してしまう。その時のショックでスコティは高所恐怖症になってしまう。

屋根にぶらさがるスコティ

 ショックを受けたスコティは自ら警察を辞職。今は古い頃からの友人で商業画家のミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の家に入りびたりしている。

 ある日、サンフランシスコに帰って来た旧友エルスター(トム・ヘルモア)に呼び出される。彼は今や造船所の経営者となっていた。

 そんなエルスターは妻が亡者にとりつかれているから尾行調査してほしい、と訳の分からない相談をスコティにする。スコティは話だけは聞くことにした。

 なんでもエルスターの妻マデリン(キム・ノヴァク)は食事中に突然ぼうっとしたり、どこかへ出かけてはその出かけた時の記憶が飛んでいたり。まるで何かが憑りついてしまったのでは、とエルスターは妻の身を案じていたのだ。スコティは半信半疑で彼の調査を請け負うことに決める。

 マデリンはまず車で教会の庭に行き、カルロッタという女性の墓を訪れる。その後は美術館にカルロッタの肖像画を見に行ったり、ホテルを訪れたりする。

 スコティはサンフランシスコの古い歴史に詳しい本屋の主人にカルロッタの話を聞く。カルロッタは結婚相手に自分の子供を奪われ、サンフランシスコで一人さびしく暮らす。彼女は正気を失い、子供を求めてさまよっていた。挙句の果てに最後は自殺したのだという。マデリンが最後に訪れたホテルも昔はカルロッタの家だったという。

 スコティはそのことをエルスターに報告。エルスターは最初から知っていたようで、実はマデリンの先祖がカルロッタだったという事実も明かす。

 ある日、いつも通り尾行していたスコティ。しかしマデリンは突如、金門橋の下の岸辺から海に飛び込んでしまう。慌てたスコティはすぐに泳いでマデリンを助け車に乗せる。

 スコティはマデリンを自分の家で寝かせていた。やがて目覚めたマデリンと会話するスコティ。マデリンは自分が海に飛び込んだ記憶も曖昧だ、と話す。しかしマデリンはスコティがほんの少し目を離した隙に自分で家に帰ってしまう。それを遠くから目撃していたミッジは嫉妬をする。

 翌朝、再び尾行を開始したスコティはマデリンが自分の家に車を停めたのを見てあわてて降りる。マデリンはスコティの家のポストにお詫びの手紙を入れ込んだのだ。スコティはマデリンが暇であることを確認し一緒に郊外の森へ遊びに行く。

 その森で突如としてマデリンが幽霊に乗り移られたような態度を示し、スコティはマデリンの〝幽霊〟の部分について問い詰める。やがて自分が毎夜のように見てしまう自分を死に招く悪夢の話をする。森を嫌がるマデリンのために今度は海を見に行く。

 マデリンはそこで、自分はどうせ自分の中に居る〝何者〟かに死に招かれるのだ、と海に駆け出していく。スコティは海へ走って行くマデリンを引き止め、マデリンの死に怯える本音を聞き出す。スコティは自分がいるから安心だ、と必死にマデリンを慰め二人は抱擁を交わす。二人は自然と惹かれあってしまっていたのだ。

惹かれ合う二人

 夜、ミッジに呼ばれたスコティ。ミッジは嫉妬のあまりカルロッタの肖像画に自分の顔を当てはめた茶化しの絵をスコティに見せる。スコティはその絵を見てミッジに失望し去って行く。ミッジは自分のしたことを後悔するのだった。

 早朝、マデリンはスコティにあの悪夢を見てしまった、と家に飛び込んでくる。スコティはマデリンを何とかしてあげたい、と彼女の夢に出てくる修道院に二人で向かう。

 その修道院で不安に怯えるマデリンにスコティはついに気持ちを抑えられず愛の告白をしてしまう。マデリンもスコティに愛の告白をするが「私が失われればあなたが私が愛していたこともよく分かるでしょう」と言って教会に駆け込み階段を上り始める。

 マデリンのしようとしていたことに気付いたスコティも階段を上るが、途中で高所恐怖症でめまいが起こり階段を登れなくなってしまう。やがてマデリンの悲鳴とともに上から落下するマデリンの姿を目撃する。


 マデリンの死は精神異常によるもので、スコティとエスルターの罪は問われない、との判決が下る。エルスターはスコティを慰め、ヨーロッパへ行くのでお別れだ、と告げるのだった。

 精神的ショックを追ったスコティは療養所でミッジの介護を受けていた。しかし今でもマデリンのことを思いつづけていた。

 退院したスコティは街中でマデリンに似た女性を見つける。気になったスコティはその女性のあとをつけて家まで押し掛ける。スコティはその女性に恋人に似た女性なので詳しく話を聞かせてほしいと問い詰める。

 気味悪がりながらも女性は自分の名前ジュディ・バートン(キム・ノヴァク)を名乗る。ジュディはスコティのその恋人が死んだことを悟り、自分の態度を詫びる。スコティは自分の為に一緒に食事してほしい、とジュディを誘いジュディは渋々、それに従う。

 ジュディが着替えるから、と言ってスコティを退室させたあとかつてマデリンが着ていたドレスを確認する。そして手紙を書き始める。

 それは打ち明けの手紙だった。実はジュディはエルスターのマデリン殺しに協力していたのだ。というのも、マデリンが精神異常だったという状況を作るためにエルスターはマデリンを演じたマデリンの偽物ジュディをスコティに尾行させ、さも精神を病んでいたようにスコティに見せる。

 そしてジュディはマデリンとしてスコティと逢引を重ね教会をかけのぼる際は教会の一番上でマデリンの首を折ったエルスターと合流。エルスターはスコティに自殺の証言者になってもらうべく、マデリンの遺体を屋根から投げてさもマデリンは自殺で死んだと見せかけたのだ。塔を登ることができないスコティは証言者には丁度よかった。悲鳴をあげたのはマデリンの偽物ジュディだったのだ。

 しかし誤算だったのはジュディはスコティを本気で愛してしまったことだった。

 その打ち明けの手紙を書き終えたジュディはその手紙を置いて姿を消そうとするがスコティへの愛がそれを思いとどまらせ手紙は捨てられる。それからジュディは何度もスコティと楽しい一時を過ごす。

 一方のスコティは付き合えば付き合うほど愛しのマデリン(ジュディ)への思いを再燃させていき、ついには彼女と同じ服装や化粧をジュディに強要する。ジュディは最初はそれを拒むが、スコティに逆らうことができず髪もブロンドにしてしまう。

 そしてジュディはマデリンそっくりの姿になってしまい、スコティの心は救われ二人は本当に愛し合う関係となる。

 だがある日、ジュディが宝石のネックレスをつけるのを見てスコティはあのカルロッタの肖像画にも同じネックレスが描かれていることを思い出す。そしてジュディがあの愛したマデリン(ジュディ)だという事に気付く。

 スコティはジュディを教会の塔の上につれていく。階段を上るスコティだったが高所恐怖症も忘れるほど怒りに燃えていた。

 そして教会の鐘の部分でスコティはジュディの罪とエルスターの仕組んだ罠を問い詰める。

 ジュディはエルスターに協力したことを認めるが、スコティに本当に愛してしまったことを伝え二人は熱い接吻を交わす。

 しかしその時だった。不審な空気を感じたシスターが上ってきた。シスターと知らず怯えてしまったジュディは足を踏み外して転落してしまう。

 シスターは慌ててジュデイの冥福を祈り鐘を鳴らす。鳴り響く鐘のなか、スコティは呆然と落ちた方向を見つめる・・・






 ヒッチコックがショックに陥ったあとのスコティのことを屍姦している、とたとえました。全くその通りですね。スコティはジュディを亡くなったと思っていた恋人と重ね、着せ替え人形のように死んだ女の服を着せたりして。

 まあラストシーンは私もショックを受けましたが自業自得といえなくもないですね。ジュディは間違いなくスコティを騙しマデリン殺しに協力したんです。それだけは事実として変わりないからまあ、自業自得といえば本当に反論する余地がありませんね。
Category: 洋画マ行
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