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寅さんがまた柴又に帰ってくる!


『続・男はつらいよ』(1969年・日)
続・男はつらいよ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、小林俊一、宮崎晃
製作:斎藤次郎
音楽:山本直純
主題歌:渥美清「男はつらいよ」
撮影:高羽哲夫
編集:石井巌
配給:松竹
キャスト
車寅次郎:渥美清
諏訪さくら:倍賞千恵子
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
諏訪博:前田吟
たこ社長:太宰久雄
川又登:津坂匡章(現:秋野太作)
源公:佐藤蛾次郎
御前様:笠智衆
手術したばかりの患者:財津一郎
諏訪満男:中村はやと
お澄さん:風見章子
葬儀屋:関敬六
藤村薫:山崎努
お菊:ミヤコ蝶々
坪内夏子:佐藤オリエ
坪内散歩:東野英治郎


 山田洋次監督作品「続・男はつらいよ」

 いやあ、久しぶりに男はつらいよシリーズを観ました。まあ、一作目しかまだ観てなかったんですがこの二作目も観て・・いやあこのシリーズ最高ですねえ。

 それにしても山崎努がこの頃はやっぱり若い。今は頑固爺みたいなちょっと怖いおじさんの役ばっかやってる山崎努ですが、この頃の面影やっぱありますねえ。この頃はフレッシュ爽やか俳優みたいな感じでしたね。

 この映画で、寅さんのお母さん、お菊さんが出てきます。演じているのはミヤコ蝶々ですね。ミヤコ蝶々ってのは関西の超大御所コメディアンでした。あとは散歩先生に黄門様の東野英治郎だとか、ドラマ版でのマドンナ坪内冬子を演じていた佐藤オリエだとかも出てましたね。

 ドラマ版でもマドンナを演じていた佐藤オリエだからこそ、この映画では寅さんに対しての「寅ちゃん」という呼び名がとっても似合い、とっても優しく言ってくれます。そんな魅力的なヒロインでもやはりこの映画の一番の引き立て役は、寅さんの師であり、師匠の鑑のような人・坪内散歩先生でしょう。

 映画第一作の評判がとてもよく興行収入も良くて気を良くした松竹がこの作品の完成を急がせました。だからこの作品はそんな急いだ中で、ドラマ版からストーリーを得て、ちょっと脚色して作った映画だそうです。

 この映画では私はやっぱり寅さんとお母さんの関係に泣きました。やっぱり寅さんってのは私憧れますねえ。生き方としては悪い鑑なんでしょうが、ああいう寅さんのような人情味を持ちたいものです。無い物ねだりですね。

 あとは再会と別れが一緒にこの映画で描かれている点もよかったですねえ。

【あらすじ】

 寅さんは1年くらいぶりに柴又へ帰ってきた。妹のさくら達に迷惑をかけまいとすぐに立ち去ろうとする寅さんだったが、自分の高校時代の英語教師であった坪内散歩と再会し・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 車寅次郎(渥美清)は近頃、母・お菊が出てくる夢を近頃何度も見ていた。

♪ 渥美清

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎
人呼んでフーテンの寅と発します」

 寅さんが旅に出た後、妹のさくら(倍賞千恵子)はじめおじちゃん・竜造(森川信)、おばちゃん・つね(三崎千恵子)ら「とらや」の面々は寅さんを心配していた。

 そんな中でふらっと寅さんが柴又に帰って来た。しかし寅さんは自分はすぐに調子に乗ってしまい失敗しやすいのでさくら達に迷惑かけまいとすぐに立ち去ろうとする。

 寅さんは妹さくらと諏訪博(前田吟)の間に出来た息子・満男(中村はやと)を少し可愛がってから去って行く。追いかけてきたさくらに満男のなにかを買ってやるように、と金を渡し去って行った。。そのすぐ後で「あれは痛かったなあ」と嘆くのだったが。

 寅さんはふと一軒の民家から大勢の子供たちが出ていく場面を目撃する。そこには坪内家とあった。寅さんは坪内の苗字に覚えがあり、家に入って行く。

 中には葛飾商業高校だったころ、英語教師で寅さんが恩師と仰ぐ唯一の人物・坪内散歩(東野英治郎)がいた。寅さんは散歩先生に「自分のことを覚えちゃいませんか?」と訊ねると散歩先生は覚えていたのだ。

 さらに散歩先生は自分の娘を紹介する。寅さんが子供のころからかっていた坪内夏子(佐藤オリエ)だった。昔は寅さんがからかった女の子でも今は寅さんが驚くほどの美女だった。

 寅さんは散歩先生に誘われてお茶を一杯貰う。しかしそれがやがて酒に変わり、散歩先生は寅さんにある漢詩を教える。

「外は雨がしとしと降っている。
二人の話は尽きない。
明日になれば君は
また別れを告げて山を越え、
私はここに残る。
ひとたび別れれば人生は
茫々としてお互いの消息は絶えはてる。」
「アーアー明日山岳ヲ隔ツ、
世事両(セジフタツ)ナガラ茫々。だな!」

─ ─ ─ ─ ─

中国の詩人・杜甫の漢詩の作品「贈衞八處士」です。

人生不相見、動如参與商。今夕復何夕、共此燈燭光。

少壮能幾時、鬢髪各已蒼。訪舊半為鬼、驚呼熱中腸。

焉知二十載、重上君子堂。昔別君未婚、兒女忽成行。

怡然敬父執、問我来何方。問答乃未已、兒女羅酒漿。

夜雨剪春韭、新炊間黄梁。主稱會面難、一舉累十觴。

十觴亦不醉、感子故意長。明日隔山岳、世事兩茫茫。


読みは

人生相い見ず、動もすれば参と商との如し。

今夕は復た何の夕ぞ、此の灯燭の光を共にす。

少壮能く幾時ぞ、鬢髪各々已に蒼たり。

旧を訪えば半ばは鬼と為る、驚呼すれば中腸熱す。

焉んぞ知らん二十歳、重ねて君子の堂に上らんとは。

昔別れしとき君は未だ婚せざりしに、兒女忽ち行を成す。

怡然として父の執を敬し、我に問う何方より来るやと。

問答未だ已むに及ばざるに、兒女は酒漿を羅らぬ。

夜雨春韭を剪り、新炊黄梁を間う。

主は称す会面は難しと、一挙に十觴を累ぬ。

十觴も亦た醉わず、子の故意の長きに感ず。

明日山岳を隔てなば、世事両つながら茫茫。


訳は

人生において、一度別れた友と再会するのは難しい。
ともすれば、夜空のオリオン座とサソリ座のように、遠く隔たったきり会えないままになってしまうことだってあるのだ。
それなのに、今夜は何と素晴らしい夜だろうか。
君と、この明るい燭台を挟んで相向かい合えるとは。
それにしても、青春時代は何と短いことだろうか。
お互いに髪の毛にも鬢の手にも、だいぶ白髪がまじってしまった。
旧友たちの消息を尋ねてみれば、半ばは、もう死んでしまったという。
私は驚きのあまり、嘆声が出てしまい、胸のうちが熱くなってしまった。
誰が予測することができたであろうか、二十年の歳月を経て、私が再び君の家にお邪魔することになるとは。
昔、別れたとき、君はまだ結婚していなかった。
それが今は、子供たちがぞろぞろと列をなして私の前にやってき、笑顔でもって父の友をもてなしながら尋ねてくる。
どちらからいらっしゃったのですか?と。
そのやりとりが終わらぬうちに君はお子さんたちに酒肴を並べさせた。
夜の雨のなかを、やわらかい春ニラを摘んできてくれ、炊きたてのご飯に香ばしいアワが混ぜてあった。
君はしみじみと再会の難しさを嘆き、私は立て続けに十杯もさかずきをかさねた。
十杯かさねても私は酔えない。
なぜなら、君の変わらぬ友情の長さに感動するからだ。
明日、ここを辞してひとたび遠く山々に隔てられたなら、お互いの消息は茫々たる彼方に失われてしまうことだろう。

─ ─ ─ ─ ─

 散歩先生が漢詩をつぶやきだした直後、寅さんは胃けいれんを起こしてしまった。

 寅さんは病院に運ばれて手術。翌日、元気になった寅さんは昨日、手術を嫌がってそれを殴って止めた医師・藤村薫(山崎努)につっかかる。

 だが寅さんは入院中の身でありながらフラフラとどこかへ行ってしまった。藤村は激昂しており坪内夏子にそのことで責めるが夏子も被害者であることを思い出し冷静になって謝罪している。

 その日の夜、寅さんは退院もしてないのに弟子分の川又登(津坂匡章)と共に飲み屋に来た。しかし酒を飲んで肉を食い終わってから二人とも金がないことに気付いた寅さん。寅さんは飲み屋のおやじ(石井愃一)にツケてもらおうと思ったがおやじはそれを拒絶し金を催促する。

 寅さんはちょっとおやじの頭を叩くとおやじは大げさに転び暴力沙汰だ、と警察に通報してしまう。

 警察署に連行された寅さんと川又。川又は無銭飲食だけですぐに釈放されたが寅さんは暴力沙汰を起こしたとして留置所に入れられてしまう。さくらは寅さんに不起訴にしてもらえるっていってたから、と悲しそうに言いやがて泣き出す。寅さんも自分が恥ずかしく、そして悔しくなってうつむく。

 釈放されてから寅さんは散歩先生に会い、自分はやはりすぐに調子に乗ってさくらに迷惑をかけてしまう。だからまた新たな旅をする、と告げる。散歩は
「人生相見ズヤヤモスレバ
   参(シン)と商ノ如シだなあ…」
(人生において、一度別れた友と再会するのは難しい。
ともすれば、夜空のオリオン座とサソリ座のように、遠く隔たったきり会えないままになってしまうことだってあるのだ。)
 と呟く。寅さんはその通りです、と答えるのだった。

それから一か月後

 坪内散歩と夏子の親子は京都に旅行に来ていた。清水寺を巡り、渡月橋に着いたころ、二人は意外な人物を見かける。売り物をしている寅さんとサクラとして寅さんに協力する弟子分・源公(佐藤蛾次郎)だった。

 旅館「巴屋」で寅さんは1月ぶりに再会した坪内散歩に説教されていた。
「まともな職に就け!お前のその人並み以上の体と人並みに近い頭があれば仕事などあろうに」
「はい。実は別府の友人と旅館を共同でやらないか?と誘われてました。しかし私には言い訳にはなりませんが京都にとどまる理由があるんでございます」

 その理由は実は寅さんの死んでいたと思われていた母親・お菊がこの京都のグランドホテルで生きて働いているという情報を寅さんが聞いていたからだった。それを聞いた途端、散歩は
「寅、これは大事なことだからよーく聞け。老病死別といってな、人間には四つの悲しみがある。」
「その中で最も悲しいのは死だ。おまえのおふくろもいつかは死ぬ。」
「その時になってからじゃ遅いんだぞ!その時になって
あ~、一度でもいい、産みのお袋の顔を見ておけばよかった、と
後悔しても、取り返しがつかないんだぞ!そうだろ!寅!」
「さ、会いに行け。生きてるうちに。今すぐだぞ」

 寅さんは散歩先生に説得され夏子と共にグランドホテルへ向かうのだった。

 寅さんと夏子はたまたま近くにいた老婆(風見章子)にグランドホテルの場所を聞く。するとその老婆はなんとそのホテルで働いているという。しかも昔、東京に住んでいたらしい。寅さんも夏子もその優しそうな老婆が寅さんの母・お菊なのではと疑う。

 グランドホテルは連れ込み旅館〈今でいうラブホテル〉のようなところだった。そこの関西弁のいかにも小うるさそうな経営者(ミヤコ蝶々)に老婆はガミガミと言われており、寅さんと夏子は老婆に接触するためにそこの部屋に案内される。

 寅さんと夏子はホテルの雰囲気に気まずくなりながらも老婆に話しかける。老婆に「あなたはおっ母さんじゃありませんか?」と。

 老婆はそれを否定し続け、やがて経営者の女が現れる。寅さんは「お菊さんでしょう!?」と老婆に話すが自分はお澄だと話し、お菊さんは経営者だと話す。

 実は寅さんの母・お菊は経営者の小うるさそうなおばさんの方だった。寅さんが子供だと名乗ると、お菊は少し驚いてから
「ふーん、そう…、今ごろ何の用事やねん。あっ、銭か?銭はあかんで、もう。親子でも銭は関係あらへんで」
 と冷たくあしらう。夏子はその言葉に激怒するが寅さんが
「お嬢さん、帰りましょう。オレは何もこんな淫売上がりの女、見るためにのこのこやってきたんじゃねえんだよ!
さっきから黙って聞いてリャぐたぐた言いたい放題ごたく並べやがって、てめえなんかどっかとっとと消えてなくなれ、このたぬきババア!」

その言葉にお菊も激怒する。

「何?ようそんなことが言えるな、産みの親に向かって!」
「てめえが産みの親?誰がてめえに産んでくれと頼んだ!オレゃてめえなんかに産んでもらいたくなかったい!
ひりっぱなしにしやがって、ひとのことほったらかして雲隠れしやがって、てめえ、それでも親か!」
「ひりっぱなし?ひりっぱなしとはよう言うたな!」
「てめえがオレを捨てたんじゃないか!!」
「やかましやい!!なに言うてケツかんのじゃ、アホ!
どこぞの世界に自分の子供を
喜んでほうる親があるんじゃ!
えっ!何も知らさらんとすき放題なこと言いやがって!
このバカヤロー!出て行け!」
「畜生!てめえが産みの親じゃなかったら、
ぶん殴ってやるんだ!」
「おう!殴ってもらおやないか!やれや!」

 寅さんは出ていき夏子もその後を追うように出ていく。

 お菊は一人になってから聖母マリアのステンドグラス≪聖母マリアが赤子を抱いている≫を眺めつつ
「何しにきやがったんだ、あのアホ、ほんまに…」と悲しそうにつぶやく。

 旅館「巴屋」に戻った寅さんは散歩先生と夏子に励まされる。翌日、東京に一緒に帰ることになった。

続・男はつらいよのシーン

 「とらや」に帰って来た寅さんは面々に気を遣われていた。できるだけ「おかあさん」とかそういった単語は使わないようにしよう。

 博の提案で普段通りの会話を装うことにしたが、どうもちぐはぐしてしまったりお母さん関係の言葉を使ったり。タコ社長(太宰久雄)が空気を読まずに寅さんをからかってきたり。

 それからしばらくして、寅さんは夏子に家に誘われてすっかり元気になっていた。家では散歩先生が酒の勢いで寅さんをしかっていた。寅さんが葛飾商業高校を中退した理由である、校長をぶん殴ったことを思い出したりして。

 あげくには散歩先生は
「ただ!しかしだ!(バン!!)
おまえなんかより少し頭がいいばっかりに、おまえなんかの
何倍もの悪いことをするやつが、うじゃうじゃいることだ。
こいつは許せん!実に許せんバカモノどもだ!!」
 と寅さんを励ましてよそを説教したりもした。

 やがて散歩先生は寝てしまい夏子は寅さんにまた来てほしい、と誘う。寅さんはとっても上機嫌に帰途についた。

 ある日、夏子のヴァイオリンの演奏会が開かれた。そこにはいつの間にか夏子と付き合うようになっていた藤村薫が聴きにきていた。一方、同じく誘われた寅さんだったがヴァイオリンのような上品なものは肌に合わないので、市場でテキヤをしていた。

 サクラとして寅さんに協力していた源公はテキヤが終わってから寅さんに一人芝居をきかせる。
「お嬢さんいいお嫁さんになるだろうな。
あなた、おつかれになった?ご飯にするそれともお風呂?
ねえ、今日ご馳走作っちゃったのよ。何だと思う?
・・・ラーメンよ」
 すると寅さんがすかさずツッコミを入れる。
「ばかやろう!お嬢さんがそんなもの食べるわけないだろう
決まっているじゃねえか、スパゲッチイよ!」

 違う日。散歩先生の体調があまり良くなく、「とらや」を訪れたときにおじちゃんたちに心配されていた。夏子は寅さんに父が呼んでるので家に来てほしい、と頼む。

 寅さんは散歩先生に会いに来た。散歩先生は江戸川で釣った天然のうなぎが食いたい、と頼む。寅さんは江戸川じゃ釣れないと断ると散歩先生は拗ねてしまった。そうされると断りきれないのが寅さんだった。

 寅さんはタコ社長やおばちゃんにからかわれながらも源公と共に江戸川でうなぎを釣っていた。夕方になっても釣れない。

 見かねた夏子が寅さんの様子を見に来る。夏子は父のことを話し出す。
「寅ちゃん…私夕べ、お父さんに叱られちゃった…。寅ちゃんのことで」
「え!?オレのことで?」
「あたし寅さんのお母さんのことひどい人だって言ったら、急に怒り出して『子供が可愛くない親がどこにいる、子供を捨てるにはそれだけの辛い事情があったはずだ。
他人のおまえが生意気な口をはさむんじゃない』って」
「でもねえ、お嬢さん、それはあのババアの面を見たことのねえ人の言うことですよ。そうですよね。
先生のような、上品なお母さんを持っている人には、とてもわからねえ…」
「父もね、お母さんの顔知らないのよ…」
「えっ!…」
「父が二つか三つのときに死んだの」
「はァ…先生も産みのおふくろさんの顔知らないんですか…はぁー…」

 なかなか釣れないのを見かねた夏子は魚屋で新鮮のウナギを買って江戸川で釣った、と言えば?と提案。寅さんはそれに賛成しすぐに撤収しようとした直後、引きが!寅さんは江戸川でウナギを釣ってしまった。

 寅さんは走って散歩先生に見せに行く。しかし散歩先生はすでに旅立たれていた・・・

 散歩先生のお通夜の日。ずっと泣いていた寅さんに御前様(笠智衆)がやってきて説教をする。
「寅、みっともない。泣くのはやめろ。悲しいのは誰も同じだ。
しかし、一番悲しいのは、一番泣きたいのは、あの、娘さんだ」
「その娘さんが涙一つこぼさずにきちんとしておられるのだ。
おまえはなんだ。それでも男か?
こういう時こそおまえがしっかりしなくちゃいけないのではないか?
それくらいのことが分からんほどバカじゃなかろう」
 御前様のお叱りに寅さんはハッとするのだった。

 翌日の葬式では寅さんは張り切って仕切っていた。その葬式に藤村薫がやってきた。寅さんは藤村を歓迎し夏子に紹介する。夏子と藤村が付き合っているとも知らず。

 夏子はひとり部屋でたたずみ、そこへ藤村がやってくる。夏子は藤村の胸に泣き崩れ藤村は問う。
「結局、僕のことは…」
「言ったわ。3日前にそれとなく…」
「そしたら?」
「お前の選んだ男なら何にも言わんって、
ちょっと寂しそうな顔を…」

 そこへタイミング悪く寅さんが入ってきてしまった。寅さんは気まずそうに出棺です、と言ってから退室する。

 出棺の車に乗るとき、寅さんは運悪く遅れてしまい葬儀屋(関敬六)に一号車に乗せられる。その一号車には藤村、夏子がいた。三人はとっても気まずそうだった。

 おじちゃんたちはとらやに帰ってきて電灯のつく前に寅さんのことを「ありゃ可哀想だ。三枚目だねえ」と言う。やがて電灯がつきおじちゃんの後ろには寅さんがいた。

 寅さんは何も言わずに二階にあがっていく。心配したさくらも二階にあがる。寅さんは笑ってから
「さくら、心配するなよ、別にどおってこたあねえんだ…。
オレは慣れてるしよ。先生の葬式も一応取り仕切ったし、これで…ちったあ先生への恩返しもできたろうよ。
あとのことはよどうってこたあねんだよ…ウウウ…」
「お兄ちゃん、泣いてるの?」
「バカヤロウ!顔で笑って、心で泣いてよ…そこが渡世人のつれえところよ。ウウウ…」

 さくらも寅さんも二人で泣き出すのだった。
「先生!先生よー!先生は分かってくれるよなー!
ウウウ…」


 しばらく経った頃。夏子と藤村は結婚し旅行で京都に来ていた。そして夏子は父に語りかける。

「そうなのよ、お父さん、私今京都にいるの、つとむさんとふたりでね。
そしてね、とってもびっくりするような、お父さんにどうしても聞かせてあげたいことに出会ったのよ。
寅ちゃんがいたの」
「お父さん。寅ちゃんは、お母さんに会っていたのよ。
そうなのよ、やっぱりそうだったのよ。お父さん。
お父さんがどんな顔をするか見てみたいわ。」
「でも、もう..
そのお父さんはもういないのね・・・」

 夏子は寅さんを優しく温かい目で見つめながらさびしそうな顔を浮かべる。

 お菊は寅に憎まれ口を叩きながらも二人の親子は仲良さそうに三条大橋を渡って行った・・・




 なんでしょう。やっぱりこの映画は温かい。散歩先生との別れはとても寂しいものだけど、親子の愛だとかに心を温かくされますねえ。

 葬儀屋が寅さんを一号車に乗せたシーンありましたが、あれは散歩先生に魚屋のウナギで一度でも誤魔化そうとした寅さんへの罰だったのでは、と思ったりもしますねえ。散歩先生は寅さんのことを本当に理解している反面、とっても厳しい人だったんでしょう。

 やはり私は一作品目より二作品目が好きですねえ。いや、一作品目も好きなんですが、二作品目はもっと好きです。

 では最後に私の大好きな散歩先生のお言葉で締めましょう。
「寅、これは大事なことだからよーく聞け。老病死別といってな、人間には四つの悲しみがある。」
「その中で最も悲しいのは死だ。おまえのおふくろもいつかは死ぬ。」
「その時になってからじゃ遅いんだぞ!その時になって
あ~、一度でもいい、産みのお袋の顔を見ておけばよかった、と
後悔しても、取り返しがつかないんだぞ!そうだろ!寅!」
「さ、会いに行け。生きてるうちに。今すぐだぞ」

 皆さんも会っておきたい人がいたら死別する前に絶対に合っておきましょう。いや、今合っておきましょう。いつお別れが突然に来るか、それは分からないですからねえ。

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 最後にすいません。私事ですが実は高校3年生になりまして進路に取り組む季節ですので映画鑑賞のペースはガクンと落ちると思います。ということは当ブログも更新が遅くなることがあるかと思いますが、これからも当ブログを観てくださる、というのであれば何卒よろしくお願いいたします。ご迷惑をおかけいたします
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Category: 邦画サ行
初の男はつらいよシリーズ観賞。いやはや人情というのは良いもんで、この映画は人情で詰まっています。
そして渥美清をこの人は寅さんのために生まれた、と私は思いましたねえ。


『男はつらいよ』 (1969年・日)
男はつらいよ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、森崎東
製作:上村力
音楽:山本直純
主題歌:渥美清『男はつらいよ』
配給:松竹
キャスト
車寅次郎:渥美清
車さくら:倍賞千恵子
坪内冬子:光本幸子
御前様:笠智衆
諏訪飈一郎:志村喬
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
たこ社長:太宰久雄
源公:佐藤蛾次郎
川又登:津坂匡章(現:秋野太作)
さくら勤務部署の部長:近江俊輔
司会者:関敬六
道男の父:石島戻太郎
道男の母:志賀真津子
鎌倉道男:広川太一郎


 山田洋次監督作品「男はつらいよ」

 主演俳優は渥美清です。多分、渥美さん死後でもフーテンの寅さんの名前ぐらいは知っている方はほとんどじゃないでしょうか。それだけこの「男はつらいよ」の作品シリーズは邦画として有名で後の日本にまでその名を知らしめてしまいました。

 渥美清は死ぬまで寅さんを演じ続けましたねえ。彼自身は後年に病気を患ってしまいました。そのために遺作やその少し前の作品はとても痛々しい演技になってしまっていたようです。そんな体に鞭を打ってでも彼は寅さんでありつづけた。恐らく渥美清は寅次郎でなくなった日は一日としてなかったのでは無いでしょうか。多くの役柄をやりたい俳優という職業の方にとって今の発言は失礼に値するのでしょうが、それでも私は渥美清は寅次郎そのものであり寅次郎は渥美清であった、と言わざるを得ません。

 渥美清はとっても複雑な人なんですよ。彼は寅次郎のイメージを家族以外の人間に誰にも崩されたくないから仕事、つまり監督や俳優との付き合いを避けました。ファンが近づくのも嫌がりましたがそれは本当に寅次郎のイメージを崩さない、つまり自分の生活を秘匿するためでした。更に寅次郎のイメージを傷つけないためにあまりにも寅さんとイメージが違う役はやらないようにしていたようです。しかし彼は俳優として一級であり、その技術と才能はすばらしすぎるほどでした。

 だから多分、渥美さんも本音は寅さんの定着してしまったイメージを払しょくしていろんな役をやりたかったんだと思います。しかし世間はそれを許さず渥美さんも無理にそのイメージを払しょくしてしまうことはできなかったんでしょう、私はそう思いました。あくまで個人の見解ですので正しいかはわかりません。これ以上は渥美さんを語りませんので、ぜひ興味を持ったら自分で調べてください。

 おばちゃん役の三崎千恵子さんは去年の丁度今ごろにお亡くなりになりました。なんか京塚昌子に似てるなあ、なんて思いました。

 もともと男はつらいよはドラマでやっていました。これも高い人気があったようで最終回に寅さんがハブに噛まれて死んでしまう、というラストに苦情が殺到しすぎたようです。ほんのお詫びのつもりでやったこの寅さんの映画。これがまたしても大人気でシリーズが続いて行ったんですねえ。

ドラマ「男はつらいよ」最終回



【あらすじ】

 親と喧嘩したっきり家出を20年していた車寅次郎が実家の柴又に帰って来た。柴又の実家では寅次郎の唯一の肉親で妹のさくらにお見合いの一件が舞い込んできていた。20年ぶりの柴又で寅さんがあれよあれよ、と騒ぎを起こしていく。

♪男はつらいよ      渥美清


寅さん(渥美清)
寅さん(渥美清)
坪内冬子(光本幸子)
坪内冬子(光本幸子)
さくら(倍賞千恵子)
さくら(倍賞千恵子)












【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり





 車寅次郎(渥美清)は20年ぶりに故郷の柴又へ帰ってくる。20年前、親父と喧嘩し家を出てぶらりぶらり。今や両親も兄も死に、生きているのは妹さくら(倍賞千恵子)だけ。寅次郎はさくらの身が気がかりになりまたふらりふらりと実家へ帰ってくる。

 柴又へ帰ってきて真っ先に会ったのは悪がきの頃に世話になった御前様(笠智衆)。その後、寅次郎は実家へ帰っておいちゃんの車竜造(森川信)、おばちゃんの車つね(三崎千恵子)、そして残業から帰って来た妹さくらと感動の再会を果たす。

 翌日、竜造が二日酔いでさくらのお供が出来なくなった、と言う。何のお供なのかと寅次郎が訪ねると何とそれは妹さくらのお見合いだという。寅次郎は行けなくなった竜造の代わりにさくらに同伴してお見合いに出席する。

 しかしそのお見合いの席で悪い癖が出てしまう。ついお見合いの席で下品な話をしたり、といつもの寅次郎と全く変わらない態度。これにはお見合いを勧めた部長(近江俊輔)やお見合い相手の鎌倉道男(広川太一郎)とその父(石島戻太郎)、母(志賀真津子)もほとほと対応に困り、さくらは赤っ恥をかいてしまった。

 自分がお見合いをぶち壊した自覚もない寅次郎は酒が入り陽気になってしまう。

 翌朝、出勤したさくらは上司からお見合い相手に断られたことを報告される。それを知らない寅次郎はかつての舎弟・川又登(津坂匡章)と再会しまともな職にもありつかず本の路上セールスをしている彼を引っ張り家に帰ってくる。

 家ではさくらがすでにおいちゃん夫婦に報告を済ませており寅次郎も報告を聞いて「へっ。あんな青二才にゃさくらは勿体ねえや」と反省の態度も見せない寅次郎。その態度についにおいちゃんは頭にきて庭で喧嘩がはじまってしまう。

 おいちゃんが寅次郎を殴り、親父さんが生きてたら嘆いて同じことをしただろうよ!と説教を終えた後、持病で早々に引っ込んでしまう。さすがにこたえた寅次郎だったがさくらがそんな寅次郎を気遣ってくれ、寅次郎は泥のついたタオルで顔を泥だらけにしてしまい、二人で笑いあった。

 翌朝、寅次郎は一人旅に出かけてしまう。置き手紙には「こんな愚かな兄がいては妹も結婚できるまい」といった内容であり、寅次郎はどこへともなく去って行った。

 それから一月後、登は車の家の仕事を手伝っていた。そんな家に奈良に旅行に行っている御前様の娘・坪内冬子(光本幸子)から車の家に手紙が届く。なんでも冬子と御前様は奈良で外国人の旅行案内役をしていた寅次郎と偶然、再会したらしい。冬子が柴又へ帰ってくるように言ったのでもしかしたら寅次郎は帰ってくるかもしれない、とのことだった。

奈良旅行

 やがて奈良から帰って来た冬子が車家に顔を出す。なんと寅次郎も一緒だった。寅次郎はおいちゃんたちへの挨拶もそこそこに再び住み着く。さくらは兄の帰宅を喜んでいた。

 一方、柴又にも恋の風が流れていた。さくらのことを惚れている男がいた。それは車家の隣のたこ社長(太宰久雄)が経営する工場で働く職人の諏訪博(前田吟)だった。博は大学卒にしかさくらを渡さない、と言い張る寅次郎と一対一の対話を始める。

 その対話で博がさくらのことを好いている、と気づいた寅次郎は自分がさくらを大学卒以外には渡さないと主張していたのも忘れて博を応援することを決める。一方の寅次郎は冬子のことが気になり始めていた。

 やがて寅次郎はさくらの会社でさくらに、博に脈があるか確かめる。しかしその確認というのが寅さんらしい適当さのくせに博への報告は「さくらはお前に脈はない」と断言してしまい、ショックを受けた博はさくらに「幸せを祈ってます」とどこかへ去ってしまう。

 寅次郎は博の尋常じゃない慌てぶりを不思議がり、やがてたこ社長が車家に乗り込んできて博が突然仕事を辞める、と言ったことを報告する。寅次郎はさくらに問い詰められ、やっとさくらに博が惚れていることを打ち明ける。さくらは急いで博を追いかける。

 さくらは駅で博に追いつき二人で会話をする。

 車家では寅次郎がおいちゃんとおばちゃんに責められていた。やがておいちゃんが寅次郎に家を出ていけ、と言われ激怒する。そこへさくらがやってきて、博と結婚することを打ち明ける。寅次郎は涙を浮かべながらその報告を聞いていた。

 博とさくらの結婚式に博が昔、家出をしてきた両親が出席する。博の父親・諏訪飈一郎(志村喬)は教授をしており寅次郎の思い出話などで浮かれる柴又の町民たちのなか、浮いていてずっと無口のままだった。寅次郎や博はそれを「世間体が気になるから出席しただけだ。きっと腹の中でこれが貧民の結婚式か、と馬鹿にしているに違いない」と思っていた。

 やがて新郎新婦の両親のスピーチ。そのスピーチで博の両親は「私たちは親としての無力を感じるばかりです。しかし皆様、さくらさん、さくらさんのお兄さん、どうかひろしをお願いします」と話し涙を浮かべる。やがて寅次郎は両親を激励し、さくらに「良かったなあ」と涙ながらに話すのだった。

 さくらが居なくなった車家で、寂しくなった寅次郎は冬子に呼ばれ冬子と都会に遊びに行く。上機嫌で帰る二人。やがて寅次郎はさくらに惚れていることを確信する。

寅さんと冬子さん

 しかしある日、寅次郎は冬子が見知らぬ男といる場面を目撃する。御前様によればそれは冬子の婿になる男らしい。ショックを受けた寅次郎は河原で物思いにふけり、家族に自分が帰ったことも打ち明けずに家で一人物思いにふける。

 やがて冬子の結婚を知ったおいちゃんが家族に報告し、「冬子が言わないのもいけない」「いや、寅さんが惚れることじたい間違ってる」などと散々に言い寅次郎はそれを聞いていた。やがて寅次郎はさくらによって家にいることを知られ、寅次郎は無理をしながら自分の部屋に引っ込んだ。

 そして寅次郎は旅の準備をしてついに失恋の旅に出てしまった。

 やがて駅で寅次郎は自分についてきてしまった舎弟の登に駅の食堂で故郷に帰るよう大声を張り上げる。登は一旦は出て行ったが、やがて涙を浮かべ寅次郎も食堂で涙をすすりながら飯を食いはじめた。


 月日は流れ、寅さんは登とともに今日もどこかで本の路上販売のたたき売りをしていたのだった・・・









 いやあ、なぜ今でも男はつらいよシリーズが人気なのかわかった気がします。こういう下町人情というものに憧れてしまいますねえ。下町の暴れん坊、みたいな。義理人情に厚く涙もろい。涙もろいかは知りませんが。

 やっぱり渥美清の一つ一つの演技が丁寧なんですよねえ。

 この映画では志村喬演じる教授の親心というものも感動します。家出をされて心配でならなかった、自分を追い詰めてしまった、という父親としての気持ち。すごいですねえ。
Category: 邦画ア行
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