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稲妻

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成瀬巳喜男監督作品初観賞。


『稲妻』(1952年・日本)
稲妻
スタッフ
監督:成瀬巳喜男
企画:根岸省三
原作:林芙美子「稲妻」
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
編集:鈴木東陽
音楽:斎藤一郎
配給:大映
キャスト
小森清子:高峰秀子
屋代光子:三浦光子
縫子:村田知英子
おせい:浦辺粂子
国宗つぼみ:香川京子
国宗周三:根上淳
龍三:植村謙二郎
嘉助:丸山修
下宿人・桂:杉丘毬子
下宿先の老婆・杉山とめ:瀧花久子
バス運転手:高品格
バスの老人客:宮島健一
呂平の愛人・田上りつ:中北千枝子
綱吉:小沢栄太郎


 成瀬巳喜男監督作品「稲妻」

 この映画で成瀬監督作品は初観賞なんですが、とっても良い映画でしたね。まあ淡々と進む物語に退屈に感じる人もいると思いますが。

 この映画では結局、光子がどうなったのかまで描かれていないのですが成瀬監督はそんなシーンは必要ないと判断したのでしょう。清子と母が一緒に歩いて終わるこのラストシーン、私は高く評価したいです。こういう終わり方にしてくれてありがとう、と感謝したくなるほどです。

 ストーリーは高峰秀子演じる姉妹の末っ子という視点から、姉や兄を見つめ家族というものを考えていくんですよ。姉二人とも結婚しており、本当に結婚というものが幸福なのかを考えたりする。それにしては本当に可哀想なくらい周囲がダメな人ばっかなのですが。

 高峰秀子いいですねえ。本当に可愛げが顔に現れている。ちょっとふっくらとしている所とか本当に邪な思いを抱いてしまいそうになりますね。成瀬監督と高峰秀子はこの後、何回かコンビを組んだようですね。

 ちなみに成瀬監督は黒澤明、小津安二郎、溝口健二と共に日本の名監督四天王?みたいなので評価されていますねえ。


【あらすじ】

 小森清子は三姉妹の末っ子で唯一、結婚しておらず彼女自身は男を獣のようにしか見ていなかった。ある日、次女・光子の夫が違う女性と銀座を歩いている姿を目撃する。また、清子の結婚を執拗に申し込んできて長女・縫子経由で小森家に入りびたりし始めた綱吉という男まで現れ・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 小森静子(高峰秀子)は小森おせい(浦辺粂子)の娘で三姉妹の末っ子で観光バスのバスガイドをしていた。そのバスに乗った乗客の一人の老人(宮島健一)とその老妻を見てそんな結婚生活に羨望のまなざしを向ける。

 静子はふと窓の外を見ると次女・屋代光子(三浦光子)の夫・呂平と知らない女が歩いているのを目撃する。

 一方、長女・縫子(村田知英子)は静子に縁談を押し付けようと光子と相談していた。縫子によればまだ男を知らない静子をとても気に入っているパン屋の綱吉(小沢栄太郎)という男が居るらしい。縫子にとって清子を綱吉に嫁がせることは自身の事業拡大にもなるのだという。

 静子は仕事を終え光子のところに寄る前に母親・おせいから縁談のことを聞かれる。しかし静子は男をケダモノとしか捉えておらず男嫌いだった。

 実は三姉妹、更に長男の嘉助(丸山修)はみんな父親が違う人だったのだ。静子は夫を4人も持って幸せだったか訊ねる。静子は幸福を否定するがおせいは静子の父、つまり最後の夫はルビーの指輪をくれたのだ。しかし静子はどうせ作り物だ、と否定する。

 静子は光子から夫・呂平が出たっきり帰って来ない、と聞かされる。光子は呂平を探しに出かけ、その間で縫子の夫・龍三(植村謙二郎)が呂平の店にやってくる。龍三は妻・縫子も最近よく外出が多い、と話し静子に「放っておくとフラフラどっかへ行くような女房になっちゃ駄目だ」と言って帰って行った。

 帰って来た光子は店の路地に居た猫を拾う。

 その後、呂平が死んでいたことが判明し急遽、葬式などが行われた。静子は夫・呂平が死んだことにいつまでも落ち込んでいてメソメソ泣く光子のことがイマイチ理解できなかった。

 清子は葬儀に訪れた綱吉を気味悪がり、2階から降りなかったが縫子が降ろそうとする。清子はそれでも拒絶すると縫子はヒステリックに清子をビンタしてしまう。綱吉はそれでも清子をいたく気に入っており彼女に気に入られようと渋谷で新たに始める温泉事業に縫子や龍三を手伝わせたり嘉助を就職させたりした。

 やがて光子の下に呂平の愛人だと名乗る田上りつ(中北千枝子)が現れる。りつは手を合わさせてほしい、というが光子はそれをきっぱりと断り追い返す。静子はりつが呂平と一緒に歩いていたことを思い出したのだった。

 光子は今まで夫と経営していた店を畳んで、実家へ帰って来た。静子はその頃、おせいの家の部屋の一室を間借りしている桂(杉山毬子)と仲良くなっていたが彼女は住み込みの家庭教師をすることになり家を出て行った。

 呂平が死んだことで光子に50万円の生命保険が下りてきた。夢ばっかり大きくて行動が伴わない龍三、綱吉の店で働いているダメ男・嘉助らはその50万円の一部を融資してほしい、などと光子に付きまとうようになる。

 そして光子に手紙が届けられた。それは呂平の愛人・りつからで、50万円のうち、20万円を子供の養育費に当てたいのでほしい、とのことだった。静子は光子に同伴してりつに会いに行くがりつは高慢な態度に出ており、さも20万円出すのが当然だ、と言わんばかりの口調だった。

 光子はりつにとりあえず5万を渡しあとで5万円という形でりつと手を打つことに決めた。

 光子は新しい何かをするためにとりあえず、龍三の旅館事業の経理を担当させてもらうことにした。

 一方、縫子は行動力のある男が好きで、夫・龍三に対し愛想を尽かしていき、綱吉に入れ込みはじめていた。ついに龍三に綱吉と結婚するので別れてほしい、という。龍三にもプライドがあり、断ると縫子はついに龍三を無視しはじめる。

 飲んだくれた龍三は縫子に恨み言をみっともなく吐くが、縫子は軽く一蹴するだけ。龍三は行き場が無くなっておせいの下に転がり込む。おせいとしても娘が見捨てた男を申し訳なさから見捨てられずにいられなかった。

 龍三と嘉助は綱吉の悪口を言い合っていた。家を訪れた綱吉に掴みかかる。その姿はとても醜い敗者の姿だった。

 家の有象無象に嫌気が差した清子は家を出ていくことを決める。

 清子は世田谷で暮らす老婆・杉山とめ(瀧花久子)から2階の部屋を借りさせてもらう。そして清子はとめの家のお向かいに住む国宗つぼみ(香川京子)とその兄・周三(根上淳)と出会う。周三は小森の家にいる男連中とはどこか違っており妹が大好きなピアノの才能を伸ばすために働き、上品で優しい人であり清子はここならば周りの人間とは違う温かさを味わえる、とほっとする。

 清子は実家に帰り母おせいに報告する。おせいや光子は清子が黙って何日も家に帰って来なかったので心配していたようだった。おせいはしっかり者の清子に去られると、と不安になってしまう。

 清子はこれまでの男とは違う周三に興味を持つようになっていく。そんな時、清子の家に光子がやってきた。光子は今、カフェを開いているらしい。

 清子は光子に誘われてカフェにやってくるが、そのカフェには綱吉がいた。どうやら綱吉は未亡人の光子と愛人のような関係になってしまったらしい。綱吉は善意でカフェを資金援助しているように見せているが清子は光子にも失望してしまう。

 綱吉は清子にベタベタ触って迫ってくるが清子はとにかく拒絶する。やがてカフェに縫子が現れ縫子と光子は一触即発の状態になる。

 清子は世田谷でいつも周三の様子が気になっていた。ある雨が降った日、清子は周三の家の洗濯を取り込んであげた。周三はつぼみと共にそのことを感謝し、周三は清子の瞳の美しさから清子が田舎の人間ではないだろうか、と聞いてくる。清子は「田舎に住んでないですが、田舎に憧れます」と答えつぼみの提案で今度、3人で田舎にいこう、という事になった。

 上機嫌になった清子だったが客人がやってくる。それは母おせいだった。おせいによれば、龍三は夢ばっかり大きくていつも失敗ばかりで金を浪費していき、光子は縫子と大喧嘩して行方不明になってしまったらしい。綱吉が二人に手をかけたことをおせいは話すが清子は既に感づいていた。

 おせいがみんなに甘いからこうなったんだ、と清子はおせいを責め立てる。清子は幼いころから姉妹で唯一、しっかり者だったのでいろいろ溜まった思いが爆発してしまったのだ。挙句の果てに清子は
「母ちゃん惨めよ。なんで姉妹全員同じお父さんで生まなかったの!私は母ちゃんに私を産んでほしいと思ったことはないのにどうして産んじゃったのよ!」
と言って泣き出してしまう。

 対しておせいも
「あたしだってあんたにそんなことを言われるためにおなかを痛めて産んだわけじゃない!こんな子になるなら産むんじゃなかったよ!子どもを不幸にしたくて産む親なんていないんだよ!」
 と言ってついに二人とも号泣する。

 しばらく泣く声が部屋を支配する。やがて清子は窓を見つめる。二人の感情を表すかのように外では雷鳴が鳴り響き光っていた。

 先に心が落ち着いたのは清子で「母ちゃんみっともないから泣くのを止めて」と言う。それでも泣き止まないおせいは
「あんたは姉妹で一番いい子だと思ってたのに一番悪い子だ。親を泣かせて」
 と言う。清子は優しい微笑みで母に笑いかける。

 清子は家まで母を送る。
「そういえば父ちゃんが母ちゃんにあげたルビーの指輪。あれ本物だったよ」
「そうだろう。あんたの父ちゃんは嘘がつけなかったからね。」
 親子二人は仲良く並んで歩いていた・・・








 私はうまくこの映画の良さを表現できませんでしたね。この映画は清子と母が喧嘩してから仲直りするところこそ最大の良いシーンだったのですが。

 貧乏な世の中、絶望的な現実、清子にとって世田谷の間借りした部屋はそんな周囲から逃げるオアシスみたいなところだったんですね。それにしてもお母さんの子供を想う気持ちと悲痛な叫び、これは現代社会の親子関係の教訓になる言葉ですね。おせいが言った言葉
「こどもを不幸にしようとして生む親なんていないよ」
この言葉は本当に大切にしなければならない言葉なのですね。

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Category: 邦画ア行
初の男はつらいよシリーズ観賞。いやはや人情というのは良いもんで、この映画は人情で詰まっています。
そして渥美清をこの人は寅さんのために生まれた、と私は思いましたねえ。


『男はつらいよ』 (1969年・日)
男はつらいよ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、森崎東
製作:上村力
音楽:山本直純
主題歌:渥美清『男はつらいよ』
配給:松竹
キャスト
車寅次郎:渥美清
車さくら:倍賞千恵子
坪内冬子:光本幸子
御前様:笠智衆
諏訪飈一郎:志村喬
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
たこ社長:太宰久雄
源公:佐藤蛾次郎
川又登:津坂匡章(現:秋野太作)
さくら勤務部署の部長:近江俊輔
司会者:関敬六
道男の父:石島戻太郎
道男の母:志賀真津子
鎌倉道男:広川太一郎


 山田洋次監督作品「男はつらいよ」

 主演俳優は渥美清です。多分、渥美さん死後でもフーテンの寅さんの名前ぐらいは知っている方はほとんどじゃないでしょうか。それだけこの「男はつらいよ」の作品シリーズは邦画として有名で後の日本にまでその名を知らしめてしまいました。

 渥美清は死ぬまで寅さんを演じ続けましたねえ。彼自身は後年に病気を患ってしまいました。そのために遺作やその少し前の作品はとても痛々しい演技になってしまっていたようです。そんな体に鞭を打ってでも彼は寅さんでありつづけた。恐らく渥美清は寅次郎でなくなった日は一日としてなかったのでは無いでしょうか。多くの役柄をやりたい俳優という職業の方にとって今の発言は失礼に値するのでしょうが、それでも私は渥美清は寅次郎そのものであり寅次郎は渥美清であった、と言わざるを得ません。

 渥美清はとっても複雑な人なんですよ。彼は寅次郎のイメージを家族以外の人間に誰にも崩されたくないから仕事、つまり監督や俳優との付き合いを避けました。ファンが近づくのも嫌がりましたがそれは本当に寅次郎のイメージを崩さない、つまり自分の生活を秘匿するためでした。更に寅次郎のイメージを傷つけないためにあまりにも寅さんとイメージが違う役はやらないようにしていたようです。しかし彼は俳優として一級であり、その技術と才能はすばらしすぎるほどでした。

 だから多分、渥美さんも本音は寅さんの定着してしまったイメージを払しょくしていろんな役をやりたかったんだと思います。しかし世間はそれを許さず渥美さんも無理にそのイメージを払しょくしてしまうことはできなかったんでしょう、私はそう思いました。あくまで個人の見解ですので正しいかはわかりません。これ以上は渥美さんを語りませんので、ぜひ興味を持ったら自分で調べてください。

 おばちゃん役の三崎千恵子さんは去年の丁度今ごろにお亡くなりになりました。なんか京塚昌子に似てるなあ、なんて思いました。

 もともと男はつらいよはドラマでやっていました。これも高い人気があったようで最終回に寅さんがハブに噛まれて死んでしまう、というラストに苦情が殺到しすぎたようです。ほんのお詫びのつもりでやったこの寅さんの映画。これがまたしても大人気でシリーズが続いて行ったんですねえ。

ドラマ「男はつらいよ」最終回



【あらすじ】

 親と喧嘩したっきり家出を20年していた車寅次郎が実家の柴又に帰って来た。柴又の実家では寅次郎の唯一の肉親で妹のさくらにお見合いの一件が舞い込んできていた。20年ぶりの柴又で寅さんがあれよあれよ、と騒ぎを起こしていく。

♪男はつらいよ      渥美清


寅さん(渥美清)
寅さん(渥美清)
坪内冬子(光本幸子)
坪内冬子(光本幸子)
さくら(倍賞千恵子)
さくら(倍賞千恵子)












【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり





 車寅次郎(渥美清)は20年ぶりに故郷の柴又へ帰ってくる。20年前、親父と喧嘩し家を出てぶらりぶらり。今や両親も兄も死に、生きているのは妹さくら(倍賞千恵子)だけ。寅次郎はさくらの身が気がかりになりまたふらりふらりと実家へ帰ってくる。

 柴又へ帰ってきて真っ先に会ったのは悪がきの頃に世話になった御前様(笠智衆)。その後、寅次郎は実家へ帰っておいちゃんの車竜造(森川信)、おばちゃんの車つね(三崎千恵子)、そして残業から帰って来た妹さくらと感動の再会を果たす。

 翌日、竜造が二日酔いでさくらのお供が出来なくなった、と言う。何のお供なのかと寅次郎が訪ねると何とそれは妹さくらのお見合いだという。寅次郎は行けなくなった竜造の代わりにさくらに同伴してお見合いに出席する。

 しかしそのお見合いの席で悪い癖が出てしまう。ついお見合いの席で下品な話をしたり、といつもの寅次郎と全く変わらない態度。これにはお見合いを勧めた部長(近江俊輔)やお見合い相手の鎌倉道男(広川太一郎)とその父(石島戻太郎)、母(志賀真津子)もほとほと対応に困り、さくらは赤っ恥をかいてしまった。

 自分がお見合いをぶち壊した自覚もない寅次郎は酒が入り陽気になってしまう。

 翌朝、出勤したさくらは上司からお見合い相手に断られたことを報告される。それを知らない寅次郎はかつての舎弟・川又登(津坂匡章)と再会しまともな職にもありつかず本の路上セールスをしている彼を引っ張り家に帰ってくる。

 家ではさくらがすでにおいちゃん夫婦に報告を済ませており寅次郎も報告を聞いて「へっ。あんな青二才にゃさくらは勿体ねえや」と反省の態度も見せない寅次郎。その態度についにおいちゃんは頭にきて庭で喧嘩がはじまってしまう。

 おいちゃんが寅次郎を殴り、親父さんが生きてたら嘆いて同じことをしただろうよ!と説教を終えた後、持病で早々に引っ込んでしまう。さすがにこたえた寅次郎だったがさくらがそんな寅次郎を気遣ってくれ、寅次郎は泥のついたタオルで顔を泥だらけにしてしまい、二人で笑いあった。

 翌朝、寅次郎は一人旅に出かけてしまう。置き手紙には「こんな愚かな兄がいては妹も結婚できるまい」といった内容であり、寅次郎はどこへともなく去って行った。

 それから一月後、登は車の家の仕事を手伝っていた。そんな家に奈良に旅行に行っている御前様の娘・坪内冬子(光本幸子)から車の家に手紙が届く。なんでも冬子と御前様は奈良で外国人の旅行案内役をしていた寅次郎と偶然、再会したらしい。冬子が柴又へ帰ってくるように言ったのでもしかしたら寅次郎は帰ってくるかもしれない、とのことだった。

奈良旅行

 やがて奈良から帰って来た冬子が車家に顔を出す。なんと寅次郎も一緒だった。寅次郎はおいちゃんたちへの挨拶もそこそこに再び住み着く。さくらは兄の帰宅を喜んでいた。

 一方、柴又にも恋の風が流れていた。さくらのことを惚れている男がいた。それは車家の隣のたこ社長(太宰久雄)が経営する工場で働く職人の諏訪博(前田吟)だった。博は大学卒にしかさくらを渡さない、と言い張る寅次郎と一対一の対話を始める。

 その対話で博がさくらのことを好いている、と気づいた寅次郎は自分がさくらを大学卒以外には渡さないと主張していたのも忘れて博を応援することを決める。一方の寅次郎は冬子のことが気になり始めていた。

 やがて寅次郎はさくらの会社でさくらに、博に脈があるか確かめる。しかしその確認というのが寅さんらしい適当さのくせに博への報告は「さくらはお前に脈はない」と断言してしまい、ショックを受けた博はさくらに「幸せを祈ってます」とどこかへ去ってしまう。

 寅次郎は博の尋常じゃない慌てぶりを不思議がり、やがてたこ社長が車家に乗り込んできて博が突然仕事を辞める、と言ったことを報告する。寅次郎はさくらに問い詰められ、やっとさくらに博が惚れていることを打ち明ける。さくらは急いで博を追いかける。

 さくらは駅で博に追いつき二人で会話をする。

 車家では寅次郎がおいちゃんとおばちゃんに責められていた。やがておいちゃんが寅次郎に家を出ていけ、と言われ激怒する。そこへさくらがやってきて、博と結婚することを打ち明ける。寅次郎は涙を浮かべながらその報告を聞いていた。

 博とさくらの結婚式に博が昔、家出をしてきた両親が出席する。博の父親・諏訪飈一郎(志村喬)は教授をしており寅次郎の思い出話などで浮かれる柴又の町民たちのなか、浮いていてずっと無口のままだった。寅次郎や博はそれを「世間体が気になるから出席しただけだ。きっと腹の中でこれが貧民の結婚式か、と馬鹿にしているに違いない」と思っていた。

 やがて新郎新婦の両親のスピーチ。そのスピーチで博の両親は「私たちは親としての無力を感じるばかりです。しかし皆様、さくらさん、さくらさんのお兄さん、どうかひろしをお願いします」と話し涙を浮かべる。やがて寅次郎は両親を激励し、さくらに「良かったなあ」と涙ながらに話すのだった。

 さくらが居なくなった車家で、寂しくなった寅次郎は冬子に呼ばれ冬子と都会に遊びに行く。上機嫌で帰る二人。やがて寅次郎はさくらに惚れていることを確信する。

寅さんと冬子さん

 しかしある日、寅次郎は冬子が見知らぬ男といる場面を目撃する。御前様によればそれは冬子の婿になる男らしい。ショックを受けた寅次郎は河原で物思いにふけり、家族に自分が帰ったことも打ち明けずに家で一人物思いにふける。

 やがて冬子の結婚を知ったおいちゃんが家族に報告し、「冬子が言わないのもいけない」「いや、寅さんが惚れることじたい間違ってる」などと散々に言い寅次郎はそれを聞いていた。やがて寅次郎はさくらによって家にいることを知られ、寅次郎は無理をしながら自分の部屋に引っ込んだ。

 そして寅次郎は旅の準備をしてついに失恋の旅に出てしまった。

 やがて駅で寅次郎は自分についてきてしまった舎弟の登に駅の食堂で故郷に帰るよう大声を張り上げる。登は一旦は出て行ったが、やがて涙を浮かべ寅次郎も食堂で涙をすすりながら飯を食いはじめた。


 月日は流れ、寅さんは登とともに今日もどこかで本の路上販売のたたき売りをしていたのだった・・・









 いやあ、なぜ今でも男はつらいよシリーズが人気なのかわかった気がします。こういう下町人情というものに憧れてしまいますねえ。下町の暴れん坊、みたいな。義理人情に厚く涙もろい。涙もろいかは知りませんが。

 やっぱり渥美清の一つ一つの演技が丁寧なんですよねえ。

 この映画では志村喬演じる教授の親心というものも感動します。家出をされて心配でならなかった、自分を追い詰めてしまった、という父親としての気持ち。すごいですねえ。
Category: 邦画ア行
もう一本、今度は黒澤明の「生きる」を見ました。


『生きる』 (1952年・日)
生きる
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
製作:本木荘二郎
音楽:早坂文雄
撮影:中井朝一
編集:岩下広一
キャスト
渡邊勘治:志村喬
渡邊光男:金子信雄
渡邊一枝:関京子
渡邊喜一:小堀真
渡邊たつ:浦辺粂子
小田切とよ:小田切みき
家政婦・林:南美江
小説家:伊藤雄之助
医師:清水将夫
大野係長:藤原釜足
齋藤主任:山田巳之助
坂井:田中晴男
小原:左卜全
野口:千秋実
木村:日守新一
公園課長:小川虎之助
土木部長:林幹
市役所助役:中村伸郎
市会議員:阿部九洲男


 黒澤明監督作品「生きる」

 お役所仕事を痛烈に批判するのがこの作品の主題というわけでは無いんですよ。あくまでそれは舞台を役所にしたのでオマケみたいなモンなんです。日本では役所のたらい回しが実際にあるらしいですね。まあ役所だから仕方ありませんよ。良い人がいたって結局はそれは潰されちゃうんですよ。

 ミフネは出てませんねえ。この時代では結構、珍しいことですなあ。

 この作品の主題は私が考えるには、あくまで「生きる意味を見つけよう」ってことだと思うんです。志村喬の役は近いうちの死を悟り「ものをつくる」ことに意味を見出したんです。そしてそれだけを支えに生き続けるんです。お役所にとってつくれるものは公園だったんでしょうねえ・・・


【あらすじ】

 お役所に30年皆勤で勤め続けてきた渡邊勘治は医師の診断から胃癌でもう長くないことを悟る。そんな勘治は役所を辞める女性が物づくりの仕事に活力を見出していることを知り、自分も何かつくれないかと考える。自分がつくれるもの・・それはたらい回しにされた公園を作ってほしいという訴えを実現させることじゃないだろうか。















【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 市役所の市民課長・渡邊勘治(志村喬)。彼は30年皆勤を目前として病気で休む。その病院で医師(清水将夫)から軽い胃潰瘍と診断されるが勘治はそれが胃癌でもう長くないことを悟る。

渡邊勘治

 渡邊勘治は息子・光男(金子信雄)のために働き続けたが、今サラリーマンの光男は父親に見向きもせず妻・一枝(関京子)といつ勘治は退職して退職金が入るか、なんてことを話し合っていた。勘治は5日間ほど無断欠勤する。飲み屋の親父(谷晃)から酒を飲んでさっさと死んでしまおうとすら思ったがなかなか死なない。

 その飲み屋で知り合ったのが小説家(伊藤雄之助)。彼は勘治の事情を聞き、勘治と一緒に夜の街を遊び回ったのだった。

作家に相談する勘治

 一方、無断欠勤でどこにいったかも分からない光男は勘治の兄・喜一(小堀誠)とその妻・たつ(浦辺粂子)の下を訪れるが喜一は「女でもできたんじゃないのか」と見当はずれなことを言う。

 ある朝、勘治は市役所を辞めようとしていた小田切とよ(小田切みき)から辞職願に判を押してほしいと頼まれる。市役所を辞め生きる希望に輝いている彼女と遊ぶのは楽しかった。

 しかしとよにとっては最初は真面目だけが取り柄の勘治の別の一面を知れて楽しかったが、徐々に気味悪く思っていく。勘治はとよに自分が胃癌で長くないことを打ち明け、どのように生きれば君のように輝けるのだ、と必死に聞く。とよは市役所を辞めて玩具工場に勤めていた。とよは玩具を勘治に見せて「子供のために玩具を作るのが楽しい。アナタも何か作ってみては?」と提案する。勘治は市役所でできることを探して市役所に出勤する。

 さっそく、市役所の書類を漁りかつて彼自身が土木課へ回した「暗渠修理及埋立陳情書」を見つける。それは公園を作ってほしいとのことだった。勘治はそれを実現させるために動き出す。

 5ヶ月後、勘治は公園のブランコで死体となって発見された。やはり胃癌だった。市役所助役(中村伸郎)、公園課長(小川虎之助)、土木部長(林幹)らは勘治の葬儀で別に勘治が公園を作ったわけではなく自分たちの尽力がかかせなかった、とさも自分たちの手柄のように話す。しかしそこにやってきた周辺住民たちによる泣きながらのお焼香に流石に気まずくなり去って行った。

ブランコのシーン

 上層部がいなくなってから市役所の同僚や部下たちは一斉に上層部の意見が正しいだの渡邊が素晴らしいだの酔いながら語りだす。

 勘治は市役所に復帰した後、協力が必要な課長たちに粘り強く交渉していたのだ。課長たちも次々と折れてやっと公園が設立された。

 公園設立の為に病気をおして働き続けた勘治。その姿に部下の大野(藤原釜足)、齋藤(山田巳之助)、坂井(田中春男)、小原(左卜全)、野口(千秋実)、木村(日守新一)らは振り返って感激する。そして役所の体制を批判し渡邊に続こう!と酔っぱらいながら決意するのだった。

 翌朝、いつも通りお役所仕事でたらい回しにする新課長・大野。その姿に木村は一人、激昂して立ち上がるが、何もできずに座るのだった。

 勘治が設立した公園では今日も子供たちが遊んでいる。その公園を見ながら勘治と思わしき人影はどこかへ去って行った。








 志村喬の本当に素晴らしい演技が見れる作品です。志村喬の会社にこき使われ病弱ながらも生きる芯を持った男の演技が本当に素晴らしい。不気味なんだけど本当に主人公らしい。一挙一動に惚れ込んでしまいます。

 実は私、三船敏郎は大好きなんですけど黒澤映画俳優で一番、志村喬が大好きです。彼は本当に万能な演技の幅を持っているんですよ。
Category: 邦画ア行
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