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私はキートンがクールな顔しているところが好きなんです。


『セブン・チャンス』 Seven Chances (1925年・米)
セブン・チャンス
スタッフ
監督:バスター・キートン
脚本:ジーン・ハーベッツ、クライド・ブラックマン、ジョゼフ・ミッチェル
原作:ロイ・クーパー・メグルー
製作:バスター・キートン
製作会社:バスター・キートン・プロダクション
1995年公開版音楽:ロバート・イスラエル
撮影:バイロン・ホーク、エルジン・レスレー
編集:バスター・キートン
表現演出:フレド・ガブリー
照明:デンバー・ハーモン
キャスト
ジェームズ・シャノン:バスター・キートン
マリー・ジョーンズ:ルース・ドワイヤー
ビリー・ミーキン:T・ロイ・バーンズ
ジョーンズ夫人:フランキー・レイモンド
弁護士:スニッツ・エドワーズ
牧師:エルウィン・コネリー
使用人:ジュール・カウルス
ミス・スミス:ジーン・アーサー
公開
配給:ゴールドウィン・ピクチャーズ・コーポレーション
米本国公開:1925年3月11日
日本公開:1926年7月11日 ヤマニ洋行による配給


 バスター・キートン監督作品「セブン・チャンス」。原題は「Seven Chances」。日本での公開当時は「キートンの栃麺棒」なんていうタイトルで公開されてました。
 栃麺の栃麺とはトチノキの実を小麦粉やそば粉にまぜてうどんのようにした食品のことで、栃麺棒とは栃麺を伸ばすときに使う棒、という定義が一つ。もう一つの意味にあわてんぼう、という意味があるそうです。後者の意味で邦題つけされたのでしょうね当時は。

 バスター・キートン。ご存知でしょうか。全盛期はチャップリン、ハロルド・ロイドと共に三大喜劇王と称されていた方です。この人は他の二人に比べて表情の変化が薄いです。その代わりに自分の身体と周りの登場人物やモノによる活動で表現し、笑わすことができます。他人頼りじゃないか!という意見が出てきそうですが、キートンは他の登場人物も周りのモノもどうやって動かすかを自分で考えているわけですから、結局はキートンの才能なのです。

 原作はロイ・クーパー・メグルーによる同名のミュージカルです。1916年よりジョージ・M・コーハンの劇場で公演が始まりました。その権利をプロデューサーのジョゼフ・M・シェンクを通じてキートンが買って映画化することができました。

 ヒロインはルース・ドワイヤー。1898年にニューヨークのブルックリンで生まれ1978年にロサンゼルスで亡くなった女優さんです。1919年からウィスタリア・プロダクションの映画「The Lurking Peril」でデビュー。それから、翌年にはホールマーク・ピクチャーズ・コーポレーションなどと色んな製作会社の映画に出演しました。しかし彼女のキャリアの中で今、一番有名なのはやはりこの「セブン・チャンス」でしょう。

 この映画で女装ショーの館と知らず、劇場にキートンが入り込み、求婚するシーンがあります。その求婚相手は女装した男性で、そうとも知らず看板の綺麗な“女性”を見てその劇場に潜り込んだのですが、追い払われます。実際に追い払われるシーンはないのですが、看板に描かれている女装俳優はジュリアン・エルティンジ。有名な女装俳優だったようです。

 この映画で特に有名なのはキートンが傾斜を下るシーン。ゴロンゴロン転がってきますね。落石です。キートンはそれを巧みに避けたり、ぶつかったり。そのシーンはぜひ実際に自分の目で見てみてください。



【あらすじ】

 ジェームズ・シャノンには想い人がいた。だが告白しようとしてもできない。ある日、叔父が遺産をジェームズに相続させる、という遺言を遺す。しかしそれには今年の誕生日の7時までに誰かと結婚するのが条件だった。その日が誕生日だったシャノンは想い人に告白するが振られてしまい、会社のために他の人間と結婚しようとする。しかし想い人はシャノンのことを誤解していただけで、私と結婚して欲しい、という手紙を送るが・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



 美しい花の彩る夏、ジェームズ・シャノン(バスター・キートン)は想い人のマリー・ジョーンズ(ルース・ドワイヤー)に愛を伝えたかったが伝えられずに居た。伝えようとしても伝えられないまま季節は秋、冬を越え春を迎える。マリーの愛犬もすくすく育っていく。

 ジェームズ・シャノンは共同経営者のビリー・ミーキン(T・ロイ・バーンズ)と共にブローカーをしていたが、詐欺に引っかかってしまい、経営状態が芳しくない。このままでは逮捕や破産のおそれまである。

 そんなタイミングで、ある老人弁護士(スニッツ・エドワーズ)がジェームズに良い情報を持ってオフィスに現れた。シャノンの叔父が死に遺産をジェームズに譲る、という手紙を持ってきたのだ。

 弁護士はシャノンのオフィスで受付嬢にシャノンを呼んでくるように言うが、裁判所からの督促だと勘違いしたシャノンはそれに応じない。

 弁護士は無理矢理にでも入ろうとするがシャノンとミーキンに追い払われる。頑として動こうとしない弁護士。シャノンとミーキンはカントリークラブに向かい、弁護士も追いかける。

 カントリークラブまで追いかけてきた弁護士だがシャノンとミーキンはクラブのガードマンに追い払うよう命じる。弁護士はガードマンの警備の目を潜って、レストランに居た二人に窓越しに手紙を見せる。

 オフィスに戻って手紙を読む三人。内容は条件付きでのジェームズに対しての700万ドルの遺産譲渡だった。その条件というのは今年の誕生日の7時になるまでにジェームズが結婚すること。三人は唖然。ジェームズの誕生日は今日だったのだ。

 急いで想い人のマリーに告白するジェームズ。マリーは一度は承諾しかけるも、ジェームズが「“誰か”と結婚すれば大金が手に入るんだ」ということを求婚の言葉の中に混ぜてしまい、マリーはジェームズにとって結婚する相手は自分以外の誰でもいいのか、と勘違いし結婚を断ってしまう。

 事情を聞いたマリーの母(フランキー・レイモンド)はもう一度ジェームズにチャンスを与えるべきだ、とアドバイスしマリーはオフィスに電話をかける。

 傷心したジェームズ。オフィスに戻ったジェームズは弁護士とミーキンに振られたことを伝え、自分は金よりも彼女の愛を失ってしまったことが悲しい、と漏らす。電話でそのことを聞いていたマリーは電話口にジェームズの名前を呼びかけるが、ジェームズは電話に気付かなかった。

 弁護士とミーキンはマリー以外の女性と結婚するように説得。拒むジェームズだったが会社を救うためだ、とミーキンに迫られ“マリー以外の誰か”と結婚することに了承する。

 マリーはすぐに「自分以外の女性と結婚しないでほしい」という内容の手紙を使用人(ジュール・カウルス)に届けさせる。使用人は手紙を持って馬でジェームズの下へと向かった。

 ジェームズ、弁護士、ミーキンの三人はカントリークラブに行き、花嫁探しを始める。そこにはジェームズの知り合いが7人居て、7回の機会があるということ。早速、知り合いの女性に求婚するが周囲で聞き耳を立てていた人間たちと共に大笑いする。馬鹿にされたジェームズはすぐにその場を退散する。

 帰ろうとするジェームズをなだめるミーキンと弁護士。次の候補である女性(ドリス・ディーン)に求婚しに向かうが、これもまた女性と聞き耳を立てていたゴルフを楽しむ家族たちに笑われてしまい失敗する。

 次に、自分の帽子を預かり所の女性(ロザリンド・バーン)に預け、2階席に座る女性に「結婚しません?」と書いた手紙を投げるが手紙をビリビリに破られてしまう。

 今度はミーキンがジェームズの代わりに告白に行く。彼女には結婚願望があるようで、ミーキンは結婚してほしい相手を女性に見せるが、その女性は自分にオススメされたのが弁護士だと勘違いし拒否する。

 続いて階段を上がっていく女、階段を降りていく女、電話ボックスの女に告白するもやはり失敗。ミーキンは自分と弁護士が花嫁を探しておくので5時に教会に集合するように言う。5時までの間にミーキンたちが一人、ジェームズが一人見つけてくるくらいの余裕で十分だろう。

 ジェームズはもうひとりに声をかけるがまた失敗。預かり所から帽子を返してもらい預かり所の女性に試しに求婚してみようとするが、失敗する。

 次に声をかけた女性に求婚してみると初めてOKがもらえた。今まで自分を振ってきた女性たちが見つめるなか、求婚に成功した女性と一緒に車に乗ろうとするがその娘の母親(ロリ・バラ)に止められる。

 母親は娘を連れて去っていく。娘はお母さんの服をめかしこんでいてまだお人形が好きな幼い女子だったのだ。ジェームズは観客たちに馬鹿にされ、憤慨しながら車を走らせて去っていく。

 ジョーンズ家の使用人は車を走らせるジェームズを踏切所の「STOP」の看板で止めようとするが構わずに去っていく。「STOP」の裏に「GO」と書かれていたのだ。

 車を走らせるジェームズは運転中の女性(マリオン・ハーラン)にも求婚してみるが前方を見てなかったので木に車をぶつけてしまう。

 ベンチで新聞を読む女性への求婚も失敗、その近くを通りかかった女性に求婚かと思いきや実は黒人の男でそもそも求婚せず、床屋に入って髪を切られている女性に声をかけようとしたらマネキンだったり、同じ床屋に居た女性をマネキンと疑い首を取ろうとして実は本物の人間だったので床屋(ジュリアン・リヴェロ)に追い出されたり、と散々な目にあう。

 舞台の楽屋入口にたどり着いたジェームズは看板に描かれた見目麗しい女優を見て、見張りの男に賄賂を渡し楽屋に入っていく。しかしその看板に書かれていたのは女装俳優のジュリアン・エルティンジ。

 そうとも知らず求婚して失敗したジェームズは腹立たしげに見張りの男から賄賂を取り返して去っていく。

 弁護士とミーキンは新聞で大金持ちになる予定のジェームズの花嫁募集の記事を載せる。その記事を見たチャンスを掴もうとした女性たちが教会に集まっていた。

 予定の5時頃になり、ジェームズは教会の一番前の席で仮眠を取る。その間にわれこそは花嫁になり金持ちになりたい、という夢を抱いた女たちが教会に集まっていた。

 大勢の女性たちは教会に押し寄せ、全員が教会に入りきれないほど集まってしまった。しかしその中に美人はあまりいない。ジェームズの存在に気づいた女たちはジェームズの取り合いになってしまう。

 見かねた神父(エルウィン・コネリー)は、ジェームズに金なんかない、と言ってしまう。詐欺師だ、と怒った女性たちはジェームズを問い詰める。

 教会を逃げ出したジェームズはジョーンズ家の使用人とバッタリ遭遇。彼からマリーに結婚する意思がある、という手紙を受け取りすぐにマリーの家へと向かう。

 現在の時間を確認しようとするが時間通りの時計がなかなか見つからない。アパートの窓から降ってきた時計を見たジェームズ。6時15分だった。

 ジェームズは早足で大通りを歩きジョーンズ家へ向かう。しかし後ろから多勢の花嫁候補今や暴徒と化した女性たちがジェームズに迫っていた。

 暴徒たちは各々レンガを手に取り、ジェームズを追いかけ投げつける。追いかける内にミーキンと合流し7時にマリーの家に行くので、牧師を呼んでおくように求めた。

 採掘場に逃げ込んだジェームズ。花嫁たちに捕まりそうになるがクレーンに掴まって空中に釣り上げられ難を逃れた。だが花嫁(ルイーズ・カーヴァー)にクレーンを占拠され滅茶苦茶な動きをする内に採掘場を脱出する。

 女性たちはジェームズを追いかける。ジェームズは川をボートで逃げ、女性たちが泳いで追いかける。川を逃げ、ジェームズは荒山を登っていく。

 荒山と荒山の間をジャンプで飛び越えたりして、次は荒山の傾斜を下っていく。その傾斜の下り道でジェームズの邪魔をするかのごとく、どんどんと落石が転がっていく。

 雪崩のようにどんどん転がっていく落石。それを避けたり時々当たりながら下山するジェームズ。麓で構えていた花嫁の暴徒たちもこれには参って一斉に逃げ出してしまう。

 なんとかジョーンズ家にたどり着いたジェームズ。しかしミーキンが時計を渡したので見てみると7時を過ぎていたのだ。

 金などいらない、と励ますマリーだったが、金のない自分と結婚させて不幸せな想いをさせたくない、と結婚を断るジェームズ。

 家を出たジェームズは近くの教会の時計を見て驚きミーキンの時計が壊れていることに気付いた。まだ7時になっていないのだ。

 すぐに結婚を済ませたジェームズとマリー。ジェームズはマリーに接吻をしようとするが、タイミングが合わない。

 ジェームズはマリーを連れ出し庭のベンチでキスをしようとするが、今度はマリーの愛犬によってそれも邪魔されてしまったのだった・・・






 キートン作品の特徴はチャップリンに比べて説教臭くない、というか風刺的な要素が薄いです。しかし映画の背景は貧困を舞台にしているので、やはり貧しさを匂わせています。その点で上品なハロルド・ロイドとは違いますね。

 公開当時の貧しい時代だったからこそ貧困層の人々はこの映画で憂さを笑い飛ばしていたのではないでしょうか。喜劇は励ましでもありますから。
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Category: 邦画カ行
松本清張の書いた原作より松本清張作品っぽくなっていると思います。


『黒の奔流』(1972年・日)
黒の奔流
スタッフ
監督:渡辺祐介
脚本:国弘威雄、渡辺祐介
原作:松本清張「種族同盟」
製作:猪股尭
音楽:渡辺宙明
撮影:小杉正雄
編集:寺田昭光
配給:松竹
キャスト
矢野武:山崎努
岡橋由基子:谷口香
若宮朋子:松坂慶子
若宮正道:松村達雄
楠田誠次:中村俊一
三木弁護士:玉川伊佐男
北川大造:中村伸郎
太田美代子:岡本茉莉
杉山とくの娘:金子亜子
杉山とく:菅井きん
倉石検事:佐藤慶
松本裁判長:河村憲一郎
阿部達彦:穂積隆信
貝塚藤江:岡田茉莉子


 渡辺祐介監督作品「黒の奔流」

 松本清張作品ですね。清張の作品って男女関係の堕落とかちょっといやらしいところがある作品多いんですがこの原作の短編はそうでもなかったようです。それをもうちょっと男女関係をいやらしく描いた映画に改変されましたね。清張っぽい風味でいいと思います。

 ただこの映画を観た人には「映画じゃなくて2時間ドラマでやれよ」みたいな意見がちらほら見えますね。確かに内容的にいえば土曜ワイド劇場とか、火曜サスペンスにピッタリの内容でしょうね。

 さて渡辺祐介監督というのは映画「少女妻 恐るべき十六才」(1960年)で映画監督デビューしていますね。それまでは脚本とか助監督をしていました。後に必殺人シリーズのドラマ監督をいくつかやったり喜劇映画の監督をしたりしています。

 さすが松本清張作品だけあって設定とかが細かい。とにかく清張さんは綿密な調査の末に、その調査を生かした社会の実情を作品に反映させるのがなかなかにうまい人ですからねえ。

 さて今回、男女の淫らな関係が描かれる、ということで岡田茉莉子と谷口香の裸体と乳首が見れました。谷口香は化粧台で化粧をしているシーンの背中がとっても綺麗ですねえ。岡田茉莉子は大人の女のフェロモンムンムンに出てるので彼女の情事のシーンもなかなかにムンムンとしてました。


【あらすじ】

 弁護士・矢野武は小さな事務所を経営しながら恩師・若宮正道の娘・朋子と結婚し弁護士としての名誉を高めようとしていた。ある日、恩師・正造が誰にやらせるか困っていた絶対不利の殺人事件があると知り、その事件の弁護を引き受ける。被告人・貝塚藤江を矢野は救えるのだろうか・・・













【以下全文ネタバレ注意】


 青年弁護士・矢野武(山崎努)はガードレール下の電車が来るとガタゴト揺れる小さな事務所を構え、助手の岡橋由基子(谷口香)、辞めたがっているお茶くみの太田美代子(岡本茉莉)と経営していた。

 ある日、久しぶりに客が舞い込んだと思ったら金品をとられていない結婚詐欺の話。被害者(金子亜子)の母とく(菅井きん)によれば心を弄ばれたとのこと。矢野は
「騙された娘さんの異性を選ぶ目を養わせることですな」
 と言って早々に追い返してしまう。

 夜、矢野は岡橋と淫らな夜を過ごした。矢野は岡橋から国選弁護の依頼状を受け取り、どうせロクな事件はないと思いながらも小遣い稼ぎのために東都弁護士会に顔を出すことにする。

 翌朝、入り口で同僚弁護士と会ったときに仕事は忙しいかと聞かれ
「暇なんですよ。せめて国選でもやって稼がないとね」
 と笑いあう。

 先輩弁護士・楠田誠次(中村俊一)から恩師・恩田正道(松村達雄)がいると聞かされ正道に挨拶する。矢野は正造の娘・朋子(松坂慶子)を伴侶にしようと狙っており正造になんとか取り入られようとしていたのだ。

 正道は三木弁護士(玉川伊佐男)とどうやら被告人の絶対不利な国選弁護の仕事を誰にやらせようか相談していた。矢野はその事件の概要を朋子から見せてもらい引き受けることを決める。

 多摩川渓谷の崖から阿部コンツェルンの次期社長・阿部達彦(穂積隆信)が川に突き落とされ、死亡。その男と顔馴染みだった旅館の美人女中・貝塚藤江(岡本茉莉子)が逮捕されたのだ。

 事件の日、貝塚藤江は春秋荘という自分が働く旅館からすぐ手前の工事している道路を歩き駅前の交差点の雑貨屋にフィルムを買いに向かった。待ってる間、5時35分に駅に電車が到着し40分ごろ藤江が領収書をもらう。その後、顔馴染みの阿部と再会し5分間ほど立ち話。

 そのあと、阿部に観光名所の崖まで案内してほしい、と頼まれ25分ほど歩いて6時5分に吊り橋のところにたどり着き、その後は山の中の地図を阿部は手帳に書き、わたっていた。藤江は橋を渡らずに橋の下で30分ほどたたずんでから宿へ帰ったと証言する。それは6時55分だとされている。

 しかし倉石検事(佐藤慶)は被告人が橋を渡って崖にたどり着いたのが6時5分ごろ藤江がそのまま山に入り、10分ほど山の中を歩いて6時15分ほどに崖のところに着き13分の時間を要して阿部を誘惑し性交渉に至ってから彼が金を持っていると知り強奪し、阿部を崖から突き落とした。それが6時15分から28分の間。それから急いで宿に帰り、約20分~30分ほど走って55分ごろ到着したと考えていた。

 それに藤江は阿部の万年筆を持っていた。藤江は阿部に吊り橋の前で阿部が山の中の地図を書くときに落とした万年筆を拾った、といっていたが倉石検事はこれこそが阿部を殺した証拠物件だと主張する。

 ただでさえ不利な状況を、矢野は雨の日でしかも着物を着ていた藤江には時間的に犯行は不可能だ、という点から攻めていく。

 しかし倉石検事は新しい証人を呼んでいた。それは阿部と藤江が一緒に吊り橋を渡ったところを目撃した、という証言だった。

 さらに不利になってしまい、矢野は藤江を責める。藤江は疑われたくない一心でそのことを必死に隠していたらしい。絶体絶命のところで、岡橋が新しい証人を見つけてきた。

 その証人は犯行時間を証明してくれた。6時50分ごろに被害者と思われる悲鳴が轟いていた、とのことだった。藤江が旅館に戻ったのは55分。春秋荘から崖まで歩けばどう考えても最低では20分ほどかかるので藤江が犯行を行って帰ったとすれば等速にすれば崖から春秋荘までの距離2000メートルを100メートルにつき15秒の速さで帰らなければならない。しかも事件当時は草履で和服。完全に不可能な犯行だった。

 また、検察が藤江と事件当日性交渉に至ったとされる証拠の阿部のパンツに精液がついていたことだが、事件前夜に阿部は別の女を抱いていたようだった。

 その後、松本裁判長(河村憲一郎)は貝塚藤江に無罪判決を下す。藤江は涙する。

 藤江、矢野、由基子、太田美代子の四人は居酒屋で乾杯する。由基子をよく耐えたと褒め称えた矢野。由基子はさすがに春秋荘が嫌になり、矢野は辞める美代子の代わりに事務所で勤めてほしいと誘う。

 居酒屋からの帰り道、矢野は新しいアパートの世話もした。由基子は払う金がないので身体で払わせてほしい、と申し訳なさそうに言うが矢野はとりあえずそれを断るのだった。

 それから、矢野は逆転無罪を勝ち取った弁護士として有名になった。藤江は事務所で働きはじめ楠田は矢野に「これなら恩田先生の娘さんをモノにできるかもしれんぜ」と始める。

 矢野は恩田正道に呼ばれ家でごちそうになる。その家で正造の娘・朋子が脈ありな反応を矢野に示していた。また正道の旧友の日東銀行の北川大造(中村伸郎)が矢野を気に入ったとも言っていた。矢野はまさしく順調だった。

 その後、矢野は藤江のアパートに寄る。藤江は未だに矢野のことを感謝し尊敬しており、抱いてほしいという思いは変わらないことを矢野は聞くと、矢野は
「昨晩は弁護人と被告人の関係が拭いきれなかった。しかし、今は違う。一人の男と女だ」
 そういって矢野は藤江を抱いてしまうのだった。

 その後、矢野と藤江の周りにバレないようなみだらな関係が続いてしまう。藤江は
「関係が続くならば日陰の女でもかまわない」
 と言い由基子は大胆すぎないか、と矢野に注意を促す。

 そのあとで由基子は藤江に自分は前に矢野と関係を持っていたこと、そして矢野が恩田朋子と婚約寸前であることを打ち明ける。その頃、矢野は朋子とキスをしていた。

 矢野が帰宅したとき、家の前に藤江がいた。矢野は朋子を家に入れる。藤江は矢野を問い詰めるが矢野は
「お前が陰の女でもいい、というから抱いていたんだぞ。俺がどうしようと俺の自由じゃないか」
 と悪びれもしなかった。藤江は今までの矢野と全く違う冷たい矢野に悲しくなり家を出ていく。

 翌日、矢野は、朋子、正造、そして矢野を気に入った北川大造と会食をする。しかしなんと近くで変装した藤江が監視していたのだ。さらに恩田家の電話に藤江が電話してきたりもしたのだ。

 矢野は藤江のアパートに駆け込み問い詰める。藤江は陰の女でいい、ということを撤回し矢野と結婚したいと話す。冗談じゃない、という矢野に藤江は妊娠したことを打ち明ける。それでも
「貴様は気が狂ったのか!陰の女でもいいというから高学歴な俺が、無学なお前を抱いてやったんだぞ!それを今更なんだというのだ!俺は朋子と結婚するんだ。お前ごときが俺と釣り合うわけがないだろう!」
 そう突き放そうとする矢野には自分が阿部達彦を殺した犯人であるという真実を裁判所に訴える。と脅しはじめた。

 動揺するものの嘘だ、という矢野に事細かに説明する。藤江は山を下りてすぐに外国人の車を拾って春秋荘に送ってもらったのだ。外人だから工事中という立て看板が読めなかったらしい。藤江はそれを証拠とする阿部の手帳を所持しており、矢野に見せてついに矢野は呆然とする。

 それでも矢野は一時不再理があるから意味がない、というが藤江は矢野と共犯して事件を隠ぺいした、と証言すると脅す。間違いなく矢野の地位はどん底まで落ちるだろう。矢野は逃げるように去って行った。

 翌朝、矢野は藤江を尾行。藤江はなんと恩田正造に訴えにいこうとしていたのだ。たまたま正造がいなかったが矢野は藤江に恐怖を抱く。

 夜。事務所で由基子に相談する。すると由基子は大金を交換条件に案を出す。藤江と和解の旅行に出て、旅行先の湖でボートを事故で沈ませ泳げない彼女を溺死させればいい、と話す。

 矢野は藤江を和解しお前と結婚する、と騙して旅行に誘う。藤江は喜ぶのだった。

 旅行一日目の夜。矢野は考え事をしていた。藤江はその目を見つめ何かを感じる。

 二日目。釣りをしよう、とボートを借りて乗り込む矢野と藤江。ボートは湖の真ん中まで行き、やがて霧が発生する。

 藤江は
「昨日の夜、わかったわ。あなたは私を殺そうとしている」
 それに対し矢野は開き直ったようにボートの中に水を入り込ませてから
「だったらどうするんだ。お前は泳げなくて死んでしまうが俺は生き延びてお前を必死に助けようとしたと証言するぞ」
 という。

 藤江は近づき、矢野を果物ナイフで刺した。矢野は驚くとともに倒れていく。藤江は
「あなたは誰にも渡さないわ。一緒に死にましょう」
 とわんわん泣きながら腹から血が噴き出す矢野の体に抱きついていた。やがてボートは二人を湖の底へ沈めていった。

 藤江は旅館に置手紙をしていた。それは自分の罪の告白。正造、三木弁護士、楠田らがそれを読み楠田は
「ばかなやつだなあ。あんな女に人生を棒に振るなんて」
 由基子は三人に対し
「二人が私に言わずに旅行に行ってしまいました。こんなことになるなんて知ってたら止めましたわ!」
 と言って泣き始める。

 その近くである若い弁護士が先輩弁護士に仕事は忙しいか?と聞かれていた。若い弁護士は
「暇なんですよ。せめて国選でもやって細かく稼がないと。」
 そう答えるのだった・・・







 冒頭の結婚詐欺の話。これは山崎努に対しては女に気をつけろ、という警告と岡田茉莉子には男に気をつけろ、という警告の意味があったんですね。つまり視聴者の両性別の人にたいして、異性の相手に気をつけろよ、という警告を促しているんです。皆さんも相手は冷静に選びましょう。

 私は山崎努の役の下種さと、岡田茉莉子から女性の怖さを感じましたね。両性別の醜い部分を曝け出した映画だったと思いますよ。

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仮面ライダー頑張ってます。


『ゴーゴー仮面ライダー』(1971年・日)
ゴーゴー仮面ライダー
スタッフ
監督:北村秀敏
原作:石森章太郎
脚本:伊上勝
撮影:篠原征夫、川崎竜治
編集:菅野順吉
音楽:菊池俊輔
キャスト
本郷猛:藤岡弘、
滝和也:千葉治郎
緑川ルリ子:真樹千恵子
野原ひろみ:島田陽子
野本健:堀田真三
再生人間コウモリ:市川治
再生サソリ男:水島晋
再生カメレオン男:中村文弥
再生蜘蛛男:水島晋
再生セラサニア人間:水島晋
再生かまきり男:水島晋
再生蜂女:市川治
再生改造コブラ男:市川治
再生ゲバコンドル:市川治
再生ヤモゲラス:市川治
立花藤兵衛:小林昭二
ショッカー首領:納谷悟朗


 北村秀敏監督作品「ゴーゴー仮面ライダー」

 シュールな映画ですねえ。近年の仮面ライダーを知ってるとなおシュールに見えるのでしょうか。それにしたって再生改造人間どもは本当にショッカー雑魚兵と同じくらい弱い扱いされてます。

 これはどうやらテレビシリーズの第13話を劇場用に上映しただけなのでオリジナルストーリーではないんですね。それでも一応、仮面ライダーの映画扱いになりますね。

 それに仮面ライダーって改造された人間自体は助からないんですね。世界全体は救われても個人はなかなか救われない。理想のヒーローとは別に現実の厳しさを思い知らされてる気がしました。


【あらすじ】

 東洋原子力研究所を襲撃したショッカー軍団。ショッカーは原子力漏れを起こし東京を死の町に変えようとしていた。しかし研究所には電磁波バーリアが張られていて、ショッカーが入れなくなっていた。ショッカーはバーリアを壊せる怪人を発明しようとする・・・


仮面ライダー GO GO MASKED RIDER OPENING TITLE 投稿者 oriibumakaron













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり



 仮面ライダー・本郷猛(藤岡弘、)は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは、人間の自由の為にショッカーと戦うのだ!

 夜の東洋原子力研究所。
 ショッカー軍団の再生人間コウモリ(市川治)と再生サソリ男(水島晋)は研究所に忍び込もうとするが電磁波によるバーリアが張られて入ることができなかった。

 ショッカー首領(納谷悟朗)は原子力研究所で原子力漏れを起こし東京を死の町にしてしまおうと企んでいた。だがコウモリとサソリ男の報告を受けバーリアを破壊できる改造人間を作ろうとする。

 プロサッカー選手の野本健(堀田真三)は再生カメレオン男(中村文弥)と再生蜘蛛男(水島晋)に誘拐され改造を施される。そうして怪人トカゲロンが生まれた。

 滝和也(千葉治郎)は本郷に命じられ、野原ひろみ(島田陽子)と共に東洋原子力研究所を見張っていた。そんな時、怪しげな車を追い滝は洋館に入り込む。

 その洋館で目にしたものは怪人たちの動かない姿。滝は洋館の主と名乗る野本に追い払われるが、口封じのために滝はトカゲロンによる落石攻撃に襲われる。

 続く落石攻撃で絶体絶命のピンチのとき、滝の危機を救ったのは仮面ライダーだった。しかし現れた新怪人トカゲロンによる必殺シュート投石の前にライダーは敗れ去ってしまう。

 滝は一週間の絶対安静による入院。仮面ライダーは必殺シュートを破ろうと、藤兵衛と猛特訓を重ねついにライダーは「電光ライダーキック」を編み出す。

 滝は怪我をおして再び野本の屋敷に潜り込むがすでに野本ら怪人はいなかった。どうやら原子力研究所襲撃に向かったらしい。滝は助けに来たライダーに研究所に向かうよう言い、自分は雑魚戦闘員たちの相手をする。

 やがて東洋原子力研究所は再び襲撃され、トカゲロンが必殺シュートでバーリアを破壊しようとしたがそれをライダーが受け止め投げ返す。

 ライダーは再生人間コウモリ、再生サソリ男、再生カメレオン男、再生蜘蛛男、再生セラサニア人間(水島晋)、再生かまきり男(水島晋)、再生蜂女(市川治)、再生改造コブラ男(市川治)、再生ゲバコンドル(市川治)、再生ヤモゲラス(市川治)、そしてトカゲロンの9体を同時に相手にする。

 ライダーは次々と再生怪人たちを倒しトカゲロンの必殺シュートも電光ライダーキックで石を撃ち返し、トカゲロンは消滅するのだった・・・









 やっぱり1話30分程度ですからねえ。凄い短い映画ですよ。でも当時の子供たちはきっと劇場の巨大スクリーンで仮面ライダーが観れる!なんてウキウキして観てたんでしょうねえ。でも映画用に映像を作ってたわけではないから実際の劇場では役者の上半身や顔はほとんど映ってなかったようですよ。

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g@me.

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東野圭吾原作の映画ですね。どんどんどんどんどんでんでんでんでん返しの映画です。


『g@me.』(2003年・日)
g@me.
スタッフ
監督:井坂聡
脚本:尾崎将也、小岩井宏悦
原作:東野圭吾「ゲームの名は誘拐」
製作:亀山千広、島谷能成、遠谷信幸、武政克彦
製作総指揮:関一由、宅間秋史
音楽:松原憲
主題歌:ZEEBRA「It's all a game」
撮影:佐々木原保志
編集:阿部亙英
配給:東宝
キャスト
佐久間俊介:藤木直人
葛城樹理:仲間由紀恵
葛城勝俊:石橋凌
小塚茂:宇崎竜童
安藤純平:IZAM
杉本智也:入江雅人
年配の刑事:ガッツ石松
敏腕刑事:椎名桔平
制服警官:小日向文世
葛城の部下:生瀬勝久


 井坂聡監督作品「g@me.」

 先述したとおり、どんどんでんでん返しの映画ですね。ストーリーとっても面白い。ここでこう来るか!こうなっちゃうのか!とストーリーのどんでん返しにただただ視聴者は翻弄されるだけ。フリーメールが発信者の身元を特定しないっていう部分はちょっと穴があると思いますがそれを補うほど面白い。

 井坂監督さん。「Focus」(1960)という作品で劇場映画にデビューしました。この人はTVでも映画でも監督やってますね。この人の作品はこれが初めてです。

 井坂さんは原作者・東野圭吾に「映画を作るうえで登場人物の描写を付け足したい」と東野に許可をとったんですね。さすがに本に比べて多少、描写が不足しているところも例えば主人公とヒロインの出会ったことが偶然なのか、それとも故意なのか、などの部分もあったでしょうが、それにしたってなかなかにいい出来と言えますよ。

 実はこの映画、原作よりストーリーが延長されてるんですよ。だから終盤はほとんどオリジナルストーリーといえるでしょう。井坂監督なりのストーリーの延長。この映画を観る方はラストを作ったのは東野圭吾でなく井坂聡ら映画スタッフである、ということを覚えておいてください。


【あらすじ】

 広告クリエイター佐久間俊介は取引先の社長・葛城勝俊に企画を白紙にされ恨みを持つ。そんな時、葛城の家をブラブラしていると勝俊の娘が家出する場面を目撃する。その夜、勝俊の娘・樹里は俊介に狂言誘拐をしないかと持ちかける。















【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 一流広告クリエイター・佐久間俊介(藤木直人)は取引先の広告主・葛城勝俊(石橋凌)に手がけた仕事を蹴られてしまいプライドをガタガタに傷つけられてしまう。

 頭に来た佐久間は葛城邸のあたりをウロついていたが、その邸で勝俊の娘が邸宅をコッソリと逃げ出す場面を目撃してしまう。

 俊介はすぐにその娘に接触する。娘はどうやら勝俊の愛人の娘・樹里(仲間由紀恵)というらしい。俊介は仕方なくその樹里を自分の家に泊めてやることにした。

 その晩、樹里は
「…ねぇ、“わたし”のこと誘拐しない?」
 と俊介に持ちかける。どうやら樹里は海外に逃げたいらしく、3億円を山分けしないかと誘う。俊介はその時はバカバカしいと一蹴する。

 翌日、俊介は自分の立ち上げた広告プログラムが勝俊によって白紙にされ上司・小塚茂(宇崎竜童)からプログラムは別の広告クリエイター・杉本智也(入江雅人)に引き継がれてしまったということを聞かされる。

 憤慨しプライドを傷つけられた俊介はすぐに樹里の誘いに応じることを決める。
「“俺”は、ゲームにはいささか自信があるんだよ」
 樹里も最初は戸惑っていたが計画を遂行するにあたり満足そうだった。

 その後、俊介は葛城邸あてに送り主を分からなくするフリーメールを送る。そして相手側にインターネットによる特定BBSに“樹里”で書き込むように指定する。

 捜査を担当するのは昔のドラマのような年配刑事(ガッツ石松)ではなく、エリート刑事(椎名桔平)だろうと俊介は予測。勝俊は絶対に屈しないと宣言する。そして千春の捕らわれたかのような写真を撮っておく。

 翌日、出勤前に樹里が偉そうにするな、と俊介にあたる。出勤した俊介は葛城勝俊の突然の方面を受け驚く。勝俊は仮面を使った俊介のCGに興味を持ち
「君は自分の仮面を被っても仮面に責任を持てるかね?」
 と意味深な発言をする。

 その後、今度は樹里が訪問してくる。俊介は焦るが樹里は自分一人で狂言誘拐を行おっかなあ、と言う。俊介は樹里を引き止め、今後は偉そうなことはしないと約束する。

 パソコンのBBSに書き込みがあった。内容は「娘の無事を確認させろ」、とのことだった。やがて樹里が、家出した日に友達に留守電を残していたことを打ち明ける。

 一度は計画の頓挫を考えた俊介だったが樹里が友達の家に入って留守電を消す手段があることとその友達の家が横須賀にあると聞き、計画の再開を宣言する。

 まず横須賀の友だちの家に入った樹里は留守電を消す。その後、俊介は樹里を連れてラブホテルに入り込み、アリバイ工作を怠っていないことと電車の効果音をバックに流して樹里の元気な声を聞かせてやった。

 その後、樹里と俊介の二人は埠頭の方へ行き、やがて二人は吊り橋効果からか、恋に落ちてしまう。それが誤算だったのだ。樹里は無邪気に金を手にしたらオーストラリアで金鉱を掘りたい、と話す。

 翌日、ついに計画が始動。まず3億円を銀行で古い紙幣に変えさせ、緑のジャガーに勝俊を乗せて、首都高の休憩所パーキングに止まらせる。そしてその停車させた車から葛城の会社の支店長に電話し副社長が倒れたから大事な書類を緑のジャガーから回収してほしい、と騙し込んで3億円を支店長に回収させる。

 その俊介と樹里はそれをホテルの部屋から眺めていた。その後、ホテルを出る際に樹里が過去にからまれたことがある安藤純平(IZAM)を目撃する。俊介はその純平の目をうまく盗んで樹里を先に行かせる。支店長から見つからずに金を受け取った、樹里と俊介だった。

 うまく金を受け取った樹里と俊介。樹里は別れを惜しんでいるが、俊介は冷静に事を進めようとする。しかし樹里は
「いっしょに逃げない?どこでもいいから。もう会えないのは嫌だ」
 と言うが俊介はそれでは公開捜査になり“ゲーム”に勝てないとそれを断り、目隠しを樹里にして別れを告げキスをする。

 翌日、誘拐事件の記事がないことに疑問を抱いた俊介はBBSを見る。“樹里”によれば「金を払ったのになぜ娘が帰って来ないのだ」という書き込みだった。

 やがてテレビのニュースが葛城樹里が行方不明になっている、という報道をする。しかし俊介が観た“葛城樹里”は自分と組んで狂言誘拐した女とは全くの別人だった。

 俊介はテレビ局に探りを入れ、得た情報は実は葛城勝俊が警察に電話をしておらず、一人で身代金を支払ったのでは、ということだった。

 訳が分からなくなった俊介は街頭テレビで葛城樹里の遺体が発見されたことを観る。その遺体は自分の知っている樹里ではなく、しかもその遺体は俊介と樹里を名乗った女が一緒に行った埠頭でだった。

 夜、帰宅した俊介は合鍵を返されたハズの樹里を名乗った女と再会する。その女の正体は次女・千春だった。

 千春は薬で頭がおかしくなってしまった樹里と揉め合いの末に殺害してしまい、安藤純平の家を訪れてレイプまがいのことをされそうになったのだ。

 千春はその後、俊介と出会ってから父・勝俊に電話をする。そして父・勝俊は状況を冷静に判断し俊介を利用しての狂言誘拐を千春にさせるのだった。

 俊介は千春の持って来たワインを飲んでしまう。その中には毒が盛られていた。シナリオは犯人・俊介の自殺で幕を閉じるのか、と俊介は悔しそうに倒れ込む。

 その後、自分の持ち分をコインロッカーで回収した樹里。樹里はアタッシュケースに隠されたもう一つのカギを見つける。そのカギで隣のロッカーを開けると俊介の取り分のアタッシュケースが。その中には金とシャベルがあったのを見つけて驚く。

 やがて俊介が目を覚ます。目を覚ました俊介に電話がかかる。それは葛城勝俊からだった。

 俊介はレストランで勝俊と謁見する。勝俊によればワインに持ったのは毒ではなく睡眠薬であること、樹里の麻薬常習者である事実を隠すこと、そして俊介が優秀な男であるから計画に利用した、と話す。

 ゲームは利用しようとして仮面を被り逆に利用された俊介が勝俊に負けたのだった。勝俊はタダで自分に協力した褒美として俊介にあることを教える。それは樹里が身代金を奪う前に一度、計画をやめたいと提案したことだった。

 勝俊は妻を紹介する。その妻は俊介が一度、横須賀で会っていた女性だった。勝俊はもう君の役目は終わりだ、と告げて去って行く。

 大学のキャンパスを歩いていた千春は俊介から電話されて驚く。俊介は
「自分の気持ちまで偽る必要はない。明日、一緒に海外へ飛び立とう」
 と誘う。千春はそれを断ろうとするが・・・

 翌朝、空港で俊介の指定された場所に来た千春。千春が来たのを確認した俊介は急用でシドニー行きの飛行機に遅れるが絶対に行く、というメールを千春に送る。千春はメールの「駆け落ち」という部分を見て無邪気に喜んでいた。

 俊介はすぐさま勝俊に電話をかける。内容は千春を誘拐した、と。そしてフリーメールで俊介は勝俊に千春と誘拐計画を計画した当日に捕らわれたかのように撮影した写真を送りつける。

 千春は父・勝俊から電話を受け事態を知り、すぐにあるホテルへ向かう。一方、勝俊も警察を引き連れてそのホテルへ向かっていた。誘拐犯・俊介を逮捕するために。

 千春は俊介に「もうすぐ部屋に父が連れてきた警察が来る」と話す。そして勝俊は警察官を連れて部屋をノックする。

 その部屋には安藤純平がいた。純平によれば葛城の秘書を名乗った男がこの部屋で葛城を待て、と言ったらしい。警察官は純平の部屋で千春誘拐の証拠になりそうなものを発見した。警察官は純平を連行していったのだ。

 実は俊介があらかじめ部屋を細工して取り換えていたのだ。勝俊は俊介のところに行き「私の負けだよ・・・」と言い去って行く。

 千春は俊介にビンタをして去ろうとしたとき、俊介がシドニー行きのチケットを持っていることに気付く。
「行っただろ。遅れるけど行くって」
 千春は俊介に涙して抱き着くのだった。

 翌朝、千春はいない。千春は動画を残しており、
「佐久間のこと大好き。でも私は樹里を殺してしまったのも事実。だから私は私にとって一番つらい選択をする。それは佐久間とお別れをすること。じゃあね」
 俊介はひとりつぶやく。
「ゲームオーバーか・・」










 この映画は実際に観て、なおかつ小説も観ないと理解できないと思います。私も映画だけ観ても70%しか理解できず原作を読んだ父に教えてもらいながら理解しました。実は原作小説は俊介が眠らされて、その後に勝俊に事件のすべてを打ち明けられるところで終わっているようです。この終わり方は映画に比べてとってもとっても冷酷なものですね。

 もし、私の稚拙な文で理解できなかった方はもうちょっと分かりやすくしたつもりの解説を下に書こうと思います。それでも理解できなかったら小説と映画両方観て読んでくださいな。この映画


 まず、葛城副社長が佐久間俊介に恨みを持たれ、俊介が葛城の家をウロウロしていたときに千春が家を抜け出したところは偶然です。

 このとき、千春は思わず安藤純平によって与えられた麻薬を常習していた樹里を殺してしまいました。その後、千春は俊介と出会い、父・勝俊に電話で相談。勝俊は実の娘が麻薬に関わっていたと世間に知られることを恐れ、狂言誘拐をするよう命じます。

 千春は俊介に狂言誘拐を持ちかけます。勝俊相手に3億円を要求。しかしその狂言誘拐の計画自体すでに勝俊が計画したものでした。だから勝俊は警察に通報しません。

 その後、千春は友達の家に留守電を残した、と言って横須賀まで行きます。横須賀には樹里の死体が。実は横須賀で千春がいなくなった隙に千春の母が警察官と共に俊介が停めていた車を移動させてほしい、俊介に頼んできました。

 この時点で俊介が横須賀にいる、と千春の母によって警察官に認識させられました。つまり勝俊は俊介に樹里殺しの罪を着せようとしていたんです。

 その後、勝俊は俊介の指定通り動き3億円を俊介に渡させるのです。その後、樹里がいなくなったことを警察に伝え、樹里の死体が横須賀で発見されます。

 そして千春は勝俊に睡眠薬を盛ったワインを飲ませ、勝俊の部屋で自分が過ごした形跡を証拠隠滅しました。

 その後、電話で勝俊は俊介を呼び出し狂言誘拐の計画は自分が練ったもので、俊介は負けたんだと言い去って行きます。きっと俊介は勝俊に恨みを持っていたこと、横須賀にいたことを警察は掴んで俊介を樹里殺しの犯人だと認識されるでしょう。そう勝俊は仕向けたのです。

 実はここで小説は終わりですね。こっからは映画独自のオリジナルストーリィ展開。

 しかし俊介も黙っちゃいない。その後、千春に接触し一緒にシドニーに行こうと誘います。

 そして空港に来た千春を確認してから勝俊に千春を誘拐したと通報。勝俊は千春に電話して千春の無事を確認してからこの際、俊介をとっ捕まえてしまおうと警察を連れて俊介が交渉に呼び出したホテルの部屋へ向かいます。

 千春もその部屋へ向かう途中、俊介を発見し俊介の入った部屋へ一緒に入り、もうすぐ父が来るから逃げられない、と話す。

 しかし俊介が入った部屋は交渉のために指定した部屋とは別の部屋だった。一方、勝俊は警察官を連れて交渉をすすめるための部屋へ入る。そこには安藤純平が居ました。

 俊介が勝俊の秘書を名乗って、安藤純平にその部屋にいるよう指示していたのです。脅迫された金を勝俊が届けにくる、と嘘をついて。

 純平がいた部屋にはあらかじめ細工されておりさも千春を誘拐したのが、純平であるような証拠品も警察に見つかってしまいます。純平は警察に連行されます。

 勝俊は俊介にしてやれました。もうこうなったら純平を樹里殺しの殺人犯に仕向けるほか道はありません。しかし警察が樹里殺しのことで純平を捜査したら必ず麻薬のことは明かされてしまうでしょう。何をしても勝俊は損害を被る。つまり、ゲームは最終的に勝俊の負けでした。

 その後、俊介は本気で惚れ込んでしまった千春に一緒にシドニーに行こうと誘います。千春も本気で俊介に惚れ込んでおりそれを喜びますが、翌日には俊介のもとを千春が去ります。樹里を殺してしまった自分に対する一番の罰と考えて。結局、俊介もゲームには勝てませんでした。



 この映画では本当に登場人物すべてがゲームをして、結局は誰も勝てなかったところが本当に面白い。犯罪を利用したゲームは誰もが得しない、そんなことを示しているような気がしました。

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(2004/05/14)
藤木直人、仲間由紀恵 他

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原作小説
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
(2005/06/14)
東野 圭吾

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Category: 邦画カ行
スター・ウォーズ(エピソード4)の元ネタ映画である、とジョージ・ルーカスが言ってたそうです。ルーカスは黒澤好きですからねえ。


『隠し砦の三悪人』(1958年・日)
隠し砦の三悪人
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
製作:藤本真澄、黒澤明
音楽:佐藤勝
撮影:山崎市雄
編集:黒澤明
配給:東宝
キャスト
真壁六郎太:三船敏郎
雪姫:上原美佐
太平:千秋実
又七:藤原釜足
農民の娘:樋口年子
長倉和泉:志村喬
老女:三好栄子
立札に立っていた老人:高堂国典
馬を買う侍:大橋史典
早川領の騎馬武士:土屋嘉男
落ち武者:加藤武
人買い:上田吉二郎
橋の関所奉行:小川虎之助
田所兵衛:藤田進


 黒澤明監督作品「隠し砦の三悪人」

 最近、リメイクされた方を知っている方も多いのではないでしょうか。松本潤、阿部寛、長澤まさみなどのリメイクされた方の映画を。だとしたらこれはリメイク元というやつですね。

 舞台は戦国時代ごろ。私はこの映画を観て、本当にその戦国時代がリアルでまるで戦国時代の記録映画を観ているようでした。黒澤明は戦国からタイムスリップしてきたと言われても信じてしまいそうです。役者も本当に戦国時代の人のような演技ができて凄いなあと感心しましたね。そして何より背景とか城とか完全に戦国時代のようでした。素晴らしい映画だ。

 まあ、ストーリー的には脱出物の映画ですね。しっかし本当に面白い。ハラハラドキドキ。一分一秒も飽かせないから常に面白かった。特に翻弄される農民二人がすっごい面白い。二人で喧嘩しては仲良くなったりまた喧嘩したり、はたまた侍を裏切ったりまた戻ってきたり、でも本当に農民の反応がリアルでしたねえ。

 この映画は実は黒澤が絶対に脱出できない設定を考えだし、それを他の脚本家3人がうまく脱出させるアイデアを出す、という体制で作られたものだから完璧な脱出映画ですね。私はそのエピソードを聞いて「北北西に進路を取れ」(1959年)を思い出しました。

 上原美佐という同姓同名の女優が今いますが、彼女とは別人です。こっちの上原美佐は1960年に引退しています。さて雪姫役の上原美佐ですが、映画を観た人なら分かると思いますが彼女のふとももいいですねえ。短パン?みたいなのを履いてるのでふとももが出てて・・その、まあ興奮できるものです。


【あらすじ】

 太平と又七は金を探していると、真壁六郎太という侍と出会う。六郎太は二人から国越えする提案を聞いてそれに自分も参加することを決意。そしてもう一人の耳が聞こえない女性を装った敗国・秋月の姫・雪姫と4人で山名に支配された秋月領→秋月の敵国・山名領→秋月の同盟国・早川領と落ちのびようとする。


隠し砦の三悪人 Hidden Fortress 1958 trailer Kurosawa... 投稿者 MorinoMashio













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 戦国時代。山名家と秋月家は領地を隣り合い、戦争状態に陥っていた。

 百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)はこの二つの家の戦争に加わろうと農村から出兵してきたが戦争には間に合わずあろうことか山名に秋月の敗残兵と間違われ労働を強いられていた。脱出した二人は故郷の農村を目指すが道中、山名に殺される落ち武者(加藤武)の姿を見て二人は恐れおののいた挙句に喧嘩別れしてしまう。

 太平は隣国・早川領へ国越えをしようとしたが、秋月領を支配した山名軍が関所を張って厳重な警備をしていた。太平は国越えを諦め、結局捕らえられてしまう。

 又七は町に行き立札を老人(高堂国典)に読んでもらう。それによると敗れた秋月の姫・雪姫を捕らえれば褒美がもらえるとのことだった。だがその直後に通ってきた秋月の捕虜たちを監視する山名兵に見つかり、捕虜の列に入れられてしまう。

 又七や太平は秋月の城の地下で捕虜たちと共に秋月の隠した埋蔵金探しの作業をさせられる。

 その後、捕虜たちがついに反乱を起こす。又七や太平はその隙をついて城を抜け出した。

 二人は米樽と釜を盗んで河原へ下りて米を研ぎ始める。又七は太平に秋月の雪姫をとっ捕まえて一獲千金をしないか、と誘う。しかしその計画はあまりにも現実味が無いものだった。

 そんな時、何の気なしに薪を放り投げるとカラン、という金属音が聞こえる。不思議に思って二人は薪が落ちたところへ行くと、そこには薪に包まれた黄金の延べ棒があったのだ。

 二人は他の薪も探し始める。黄金の延べ棒に秋月の家紋が刻まれていた。何個か見つかった後、河原にガタイの良い武者のような男が下りてくる。二人は関わることを恐れ、その男を撒こうとする。

 夜、二人が釜のある場所へ戻ってくるとあの男がいた。男は真壁六郎太(三船敏郎)と名乗り、百姓二人はこれから何をするつもりなのか訊ねる。二人は秋月領から早川領へ落ちのびるのは関所が厳重で難しく、秋月領から山名領を通って早川領へ落ちのびる算段を真壁に伝える。真壁はそれに乗ることを決める。しかし二人は秋月の侍大将・真壁六郎太だと信じてはいなかった。

 真壁は自分が黄金二百貫二人に谷に置かれていた隠し砦を紹介する。水飲み場も案内し、早速百姓二人に労働を強いる。太平と又七は貪欲な性格だったが、二人とも真壁に不満を募らせていく。そんな時、二人は谷を見つめる一人の女を見つける。真壁がその後を追い、見失ったと言って帰って来た。真壁はその女に手を出すなと二人に釘を刺す。

 しかし不満を持っている百姓二人は時々、勘が良くちょっと外れているが真壁が、実は前に見つけた女は雪姫で彼女を見つけており彼女を奉行に突き出して褒美の金を独り占めにしようとしているのでは、と思う。そして又七が密かに町に行き、様子を探る。それを知った真壁は残った太平に激怒するが、又七が帰ってきて雪姫は打ち首にされた、という報告を持ってきて又七と太平は真壁に謝罪する。

 その後、真壁は洞窟に行く。そこには敗れ逃げ延びた秋月の老女(三好栄子)や、老将・長倉和泉(志村喬)、そして千姫(上原美佐)らが居た。打ち首にされた千姫というのは六郎太が雪姫の影武者として差し出した自分の妹・小冬だった。千姫は自分と同い年の少女が生贄にされるなど納得いかない、と話すが家臣らは「千冬は忠義のために死ねてお喜びでしょう」と話す。千姫は激怒し洞窟から出て一人、涙する。

 ついに真壁は秋月復興のための黄金二百貫を持って早川領へ落ちのびる作戦を決行する。千姫は同伴する太平、又七たちに誤解を生まないように唖≪読みはオシ。耳が聞こえない人のこと≫で通すことに決める。

 道中、真壁の目を盗んで馬を持って金を持って逃げようとした農民二人。馬は千姫が連れ帰ったが農民二人は川から越えようとして見つかってしまい、戻ってくる。おかげで関所の警備は厳重となり真壁は戻ってきた農民二人にどっか行け、と冷たく突き放す。

 それでもついてくる太平と又七。真壁はひとまず、隠し砦に戻るがすでに隠し砦は山名に見つかったようで、秋月の家臣たちが最後の力を振り絞って砦を焼いてそのことを真壁たちに伝えたのだった。

 万事休す、の真壁たち。やがて真壁は策がある、と言って関所の橋を正面から行く。

 関所では通行手形のチェックをしていた。太平も又七も焦り出す。やがて真壁たちの番が来たとき、真壁は秋月の延べ棒を見つけた、と関所の番卒に報告する。関所奉行(小川虎之助)は部下に真壁が延べ棒を見つけた、という地点へ派遣し、真壁が突然「延べ棒を返すか褒美をよこせ!」と奉行に迫る。奉行は通行手形をチェックもさせず鬱陶しいのでさっさと通してしまう。見事、真壁の作戦は成功した。

 やがて奉行のもとに伝令(大友伸)がやってきて雪姫が生きている可能性がある、ということを奉行に伝える。奉行は自分が先ほど通してしまったやつらだ、と気づき唖然とする。

 見事、山名領に入り込んだ真壁らは宿を探して夜の町へ潜り込む。太平と又七は人気のない路地を行き野宿するべきだ、と言うが真壁は人が隠れるのに人ごみが一番最適なのだ、と言い、普通の宿屋に泊めてもらうことにする。

 ある博打屋に入り込んだ真壁ら。雪姫はその博打屋で人買いのオヤジ(上田吉二郎)が百姓の娘(三好栄子)を客に売り込んでいる姿を見て激怒する。どうやらその娘は秋月領の百姓だったらしく人買いのオヤジ曰く「人を買うには負けた国から買うのが安上がりだ」と言う。

 やがて雪姫は人買いのオヤジを睨み付ける。オヤジは雪姫を見て、雪姫を買おうとするが当然、買うことはできない。

 やがて真壁に侍らしき男(大橋史典)が話しかける。男は真壁に大金を払って真壁らが使っていた鹿毛の馬を買い取る。

 侍から貰った金の使い道に困った真壁は雪姫の、「あの娘を買い取るのだ」という言葉を聞いて「情けをかけるな」と叱咤するが結局は雪姫の命令に逆らえず売られていた娘と馬の代わりに荷車を購入する。

 翌朝、娘はついてこなくていい、という真壁や雪姫の言葉を無視して恩義を感じた娘が同行する。太平と又七が不満をたれていた時に通りかかった騎馬武者たちに「男三人、女一人の二頭の馬を連れた者たちを見かけたら教えろ」と言い去って行った。太平も又七も前言撤回し「おら達運が良いなあ」と喜び合っていると、先ほどの武者たちが引き返してきた。

 武者は荷車に積まれた薪≪中身には黄金の延べ棒≫をチェックしようとする。真壁は侍を斬り、馬で番所に逃げる騎馬武者を二人切り伏せる。

 やがて真壁はそのまま敵の番所に突撃してしまう。その番所を指揮していた田所兵衛(藤田進)は真壁六郎太とは好敵手であり、お互いに決着をつける日を望んでいた。

 真壁は田所兵衛と槍による打ち合いが行われる。命をかけた勝負、やがてそれは真壁に軍配が上がる。

 兵衛は真壁に自分の首を切り落とすよう頼むが、真壁はそれをせずに「また会おう」と言って馬で去って行った。

 その後、更に警備が厳しくなった山名領で身動きの取れない真壁たち。町に下りていた娘は自分を買った女性が雪姫であることと彼女の首に懸賞金がかかっていることを知り驚愕する。

 真壁は様子を見るために町へ下りて行った。山で身動きとれずにいる太平と又七は眠りについている雪姫を見てニヤニヤし襲おうとする。しかしそれを帰って来た娘が見つけて、娘は太平と又七を突き飛ばし大きな石を持ちながら雪姫の身を庇う。太平と又七はビクビクしながら娘の機嫌をなだめようとする。

 太平と又七は遠くで聞こえる行列の足音などを聞いてそれを見に行く。最初は山狩りか?と心配した二人だったがそれは農民たちによる火祭りに参加する行列だった。太平と又七はそれに潜り込んで、脱出できるのではと考え荷車を引っ張って雪姫と共に行列に紛れ込む。

 一方、山名の兵たち火祭りに雪姫たちが潜り込む可能性がある、として火祭りの監視に多くの兵が向かっていく。それを聞いていた真壁は急いで太平たちの下に戻るが、すでにそこにはおらず残っていた娘から火祭りに参加してしまった、と聞かされ自分たちも急いで火祭りへ向かう。

 火祭りでは、又七と太平が薪を積んだ荷車を中心にある焚き火で燃やすのを躊躇っていた。なにせ黄金二百貫があるからである。それを山名の兵に見つかりそうになり怪しまれるが真壁が荷車ごと焚き火に突っ込ませ黄金二百貫を包んだ薪を積んだ荷車は燃え盛る。真壁たちは祭りに参加して踊る。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 翌朝、真壁たちは火の燃え跡から延べ棒を回収する。しかし山名の兵たちがやって来たので山を逃げはじめる。道中、まだある延べ棒を惜しんだ又七と太平が戻って回収しようとするが山名の兵に見つかる。走って逃亡したために山名の兵に追われる羽目になった。

 真壁は戻ってきた又七と太平を追って来た山名の兵を捕らえ、荷物持ちをさせて山をのぼりはじめる。

 しかし山名の兵の大軍が近くまで迫り囲まれてしまった。万事休す。荷物持ちをしていた山名の兵は味方のもとへ帰ろうとするが敵と間違って射殺されてしまう。

 又七と太平は今逃亡すれば助かる、として二人で逃げる。雪姫は二人に「さらばじゃ」と言葉を口にする。しかし又七と太平は誰が喋ったのか分からなかった。

 結局、真壁、娘、雪姫は山名に捕らわれてしまった。皮肉かどうか、三人の身柄は早川と山名領の国境沿いの関所に移された。

 首実検に田所兵衛が訪れる。田所は真壁に負け、真壁に首を切られなかったことで殿によって顔に傷を負わされてしまったのだ。真壁は人が変わったように真壁を恨んでいた。しかし雪姫は田所を斬りつけた主に対し
「人の世を生かすも殺すも己の器量しだいじゃ。家来も家来なら主も主じゃ」
と罵倒する。

その時、娘が叫んだ。「姫は私じゃ、姫は私じゃ!」
「もう良い、志しはありがたいが、姫はいさぎよう死にたい」
雪姫は死を覚悟していた。

 六郎太は姫に自身の不覚を謝罪するが雪姫は言う。
「・・・姫は楽しかった!・・・この数日の楽しさは城の中では味わえぬ・・・装わぬ人の世を・・・人の美しさを・・・人の醜さを・・・この眼でしかと見た・・・六郎太、礼を言うぞ・・・これで、姫は悔いなく死ねる・・」
 そして雪姫は火祭りのときの歌を力いっぱいに歌いだす。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 翌日、刑場に連れて行かれる真壁、雪姫、娘の三人。いざ出発、という時に田所兵衛が火祭りの歌を唄い出す。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 やがて田所兵衛は黄金を積んだ馬3頭を早川領の方へ走らせる。山名の兵たちが唖然としていると「裏切り御免」と言い山名の兵を斬り始める。それから真壁、雪姫、娘の三人を解放する。

 4人はまず黄金2百貫を積んだ馬を走らせ、田所兵衛と共に馬に乗ってついに関所から国境を越えて早川領に入り込んだのだった。

 田所兵衛、雪姫、真壁は山下を駆けていく黄金を積んだ馬三頭を見て大笑いするのだった。

 関所に雪姫のことを告発してもすでに捕らえたわ!と笑われた太平と又七。二人は早川領に入り飢えに苦しみながら「死ぬときは俺ら一緒だがんなあ」と言い合うのだった。その時、黄金を積んだ馬が走ってきた。

 太平と又七は馬の取り合いの喧嘩をし始める。そこへ早川の騎馬武者(土屋嘉男)らがやってきて二人を怪しいと判断し捕らえる。

 牢獄に入れられた太平と又七は「あの世でも仲良くしようなあ」と抱擁しあう。そして二人は牢から出された。

 二人が連れて行かれたのは雪姫のところだった。二人は鎧を着た真壁六郎太と喋る雪姫になかなか気づかなかったが二人が正体を明かして又七と太平は唖然とする。

 六郎太は二人のこれまでの活躍を褒めたえ黄金二百貫の代わりに延べ棒1つを与える。雪姫は「ケンカせず仲良く分けるのだぞ」と言う。

隠し砦の三悪人

 城を出た二人。やがて太平が渡された延べ棒1つを「これはお前が持っててくれよ」と譲ろうとする。しかし又七は「いやいや、お前が持っててくれよ」。

 二人は笑いながら一つの延べ棒を譲り合うのだった・・・









 確かにこの映画は真壁六郎太や雪姫がいわゆるヒーローなのですが、私は太平や又七みたいなキャラクターも好きです。この二人は本当に強いですねえ。金のために貪欲で裏切ったり逃げたり喧嘩したりしているのに全く死にそうにならない。二人のキャラがこんな戦乱の世でも本当にぶれてないんですよね。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
という火祭りのときの唄ですが、これはただの唄じゃないようですね。

 この映画で武士に監視されながら農民たちが歌っていました。もちろん「俺たちを解放してけろ」みたいな歌詞を直接歌ったら即刻、打ち首でしょうが、掛け声の
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)には
アッセ(イ)…圧政=圧力政治 を アダ…仇(討)で ホイにすれば、
アセテ…褪せて サモ…さも=いかにも ハイ…灰になる
という意味が込められていたそうです。全然分かりませんでしたが言われるとなるほどお、と思いました。

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(2003/03/21)
三船敏郎、上原美佐 他

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三船敏郎のこの映画でのアクションシーン
~1:36ごろ 荷車を点検する山名兵を倒す
1:37~   田所兵衛、離反す

『隠し砦の三悪人』より「三船敏郎の小細工のない見事なアクションシーン... 投稿者 islove7566
Category: 邦画カ行
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