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三國連太郎追悼二回目の映画。


『北辰斜にさすところ』(2007年・日)
北辰斜にさすところ
スタッフ
監督:神山征二郎
製作:廣田稔、神山征二郎
脚本:室積光、神山征二郎
原作:室積光「記念試合」
撮影:伊藤嘉宏
音楽:和田薫
編集:蛭田智子
キャスト
上田勝弥:三國連太郎(青春時代):和田光司
草野正吾:緒形直人
上田勝弘:林隆三
上田勝男:林征生
上田勝雄:笹森浩介
橋本富子:佐々木愛
下村永吉監督:三遊亭歌之介
西崎浩一:織本順吉(青春時代):田中優樹
西崎公子:佐々木すみ江
上田陽子:斉藤とも子
赤木吾郎:土屋嘉男
西村順造:樋浦勉
海路政夫:北村和夫
天本英人:犬塚弘
北島憲吉:高橋長英
真田喜信:坂上二郎
宇土虎雄:永島敏行
本田一:神山繁
伊東教授:河原崎健三

ナレーター:山本圭


 神山征二郎監督作品「北辰斜にさすところ」

 この監督さんは初めて聞きましたね。この人には決定的なヒット作とよばれるものは多くないらしいですね。ただ彼の「ハチ公物語」(1987年)はヒットしてアメリカでリチャード・ギアによるリメイク作品は作られたほどらしいです。

 主演は三國連太郎。まあ私が三國さんの追悼として借りてきた作品だから当然といえば当然なのですが。実は私がまだ映画をそこまで好きでない頃に釣りバカ日誌ファイナルの作品を観もせずに三國さんは老いて演技もマトモに出来ないのだろう、と勝手に思っていました。しかし今はそんな自分を恥じます。2007年でこれだけの演技ができる方だと当時は知らなかったものですから。

 この作品の主要キャストのうち、公開された年にお亡くなられた名優が一人います。北村和夫さんです。彼は北村有起哉の父親で間違いなく昭和日本の映画界を支えた名優中の名優です。私はこの人だと「黒い雨」(1989年)が思い浮かびます。声優としての活動もありましたね。

 この映画は情熱的な高校野球の物語でもあります。あえて青春とはいわず情熱と呼ばせてもらいます。しかしとってもいい映画なんですね。ただ若い人には少し退屈してしまうかもしれません。かくいう私もまだ若者の範囲なんですが。まあ私は退屈しませんでしたよ。

 タイトルは第七髙等學校の寮歌「北辰斜めに」そのままです。ただしこの寮歌はとっても力強く歌う必要があります。昔の九州男児の魂がこの歌に込められています。私にも実際に会ったことは無いのですが、知り合いに九州男児が二人います。

 ちなみに、天本英人という役名がありますが、これは第七高校卒業生の一人である俳優・天本英世をモデルにしたらしいです。彼は仮面ライダー初代の死神博士役でお馴染みの名優です。


【あらすじ】

 旧制第七高等学校造士館と旧制第五高等学校野球対抗戦100周年を迎えるにあたって鹿児島大野球部と熊本大学野球部の昔のユニフォームを着ての親善試合が行われることとなった。両校OBたちはそれぞれの思いを胸に、その試合を観戦しようと決めていたが七高OBの伝説のエースと呼ばれた打者・上田勝弥はその試合の応援参加を渋っていた・・



♪北辰斜めに (~4:10まで)











【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 鹿児島・旧制第七高等学校造士館。熊本・旧制第五高等学校。野球の対抗戦試合から100周年を迎えた。そのため鹿児島大野球部と熊本大野球部が記念の親善試合を行うことになった。

 七高OBの東京七高会の幹事長・本田一(神山繁)、同窓会委員・海路政夫(北村和夫)、鹿児島七高会事務局長・真田喜信(坂上二郎)は第五高OBの西村順造(樋浦勉)をうまく諭して人吉の川上哲治記念球場で親善試合が行われることになる。人吉は七高OBの伝説の打者兄弟・上田勝弥(三國連太郎)と上田勝雄(笹森浩介)兄弟の出身地だった。

 本田一は同窓会の会報の取材のために上田勝弥の下を訪れ当時の話を聞くことにする。勝弥は一代で病院を建て現在は息子・勝弘(林隆三)に譲った。ちなみに孫・勝男(林征生)は野球部に入っているが、足をやってしまい野球推薦による大学入学は不可能となり別の大学を探しているときだった。

 上田勝弥(和田光司)が七高に入学したとき、彼ら新入生を迎えたのは尊敬すべき先輩・草野正吾(緒形直人)。草野は勝弥ら新入生に「お前たちは天才的なバカになれ!」と歓迎式のときに話す。勉強・スポーツなんでも情熱をもって打ち込め、とのことだった。

 勝弥のあの時代は危険なこともしたがとっても楽しかった。勝弥が一番影響を受けた教師は伊東教授(河原崎健三)。彼は「数式を乱雑に書き並べてはよい推理は出来ない。整然としたあっさりとした数式の中から良い推理は生まれる」と生徒に教え込み、生徒と一緒にすき焼きをつついたりして親交を図っていた。残念ながら長崎で原爆に遭い亡くなられた。また、勝弥は自分の投球をキャッチする捕手・西崎浩一(田中優樹)と親友になり彼の妹・京子(清水美那)に惚れ込み、彼女と後に結婚した。

 また、草野先輩はエレベーターガールをしていた学生たちのマドンナ・露崎真知子(大西麻恵)に積極的にアプローチをかけ後に結婚する。

 また草野先輩は後輩たちが酔ってポストを壊してしまった罪を自ら被って勝弥の卒業する後で遅れて卒業したのだった。

 懐かしい昔話をしている内に勝弥は涙が出てくる。弟・勝雄は海の向こうに出兵しそのまま戦死してしまったのだ。彼は兄・勝弥より球が速かった。そんな弟の名前を孫につけたのが勝弥だった。

 インタビューを終えた本田は勝弥に川上哲治記念球場で行われる親善試合のことを話し出席するように言う。勝弥は「まあ私が生きていたら」と答えを濁す。そのあと、勝弥は海路に草野のことを聞く。

 海路によれば草野もフィリピンで戦死したそうだった。本田はなぜ勝弥がそのことを話さなかったのか疑問に思う。

 本田はかつての七高OBたちに親善試合の招待状を送る。村田聡(滝田裕介)、現在は議員の赤木吾郎(土屋嘉男)、スペイン・アンダルシアで暮らす天本英人(犬塚弘)らは出席に丸をする。

 一方、勝弥は久しぶりに西崎浩一(織田順吉)に浩一によく懐いていた長女・橋本富子(佐々木愛)と共に会いに行く。浩一は勝弥とかつての野球仲間は戦場でほとんど戦死してしまったことを懐かしみ、自分は参加できないから参加しておくれ、と弱気な発言をする。勝弥は励ますが浩一の妻・公子(佐々木すみ江)によれば長く生きられないらしい。

 海路は勝弥に参加を求める電話をするが、勝弥はそれを断る。諦めきれない海路は本田や真田と共にわざわざ家まで出向き出席するよう説得するが頑として勝弥はそれに応じなかった。そんな姿を富子は批難した。

 一方、野球推薦により六大学に入ることが不可能となった勝男は鹿児島に憧れるようになり鹿児島大学へ進むことを決める。母・陽子(斉藤とも子)は反対するが父・勝弘はそれもいいのでは、と賛成する。

 その後、無事に鹿児島大学に受かった勝男は鹿児島に引っ越した。一同は歓迎するが、ほぼ同時期に西崎浩一が逝去した。

 西崎の葬儀に出席した勝弥は公子から夫は死ぬ前まで親善試合に参加したかったと思っていた、ことを話し西崎の遺影を持って人吉に行くので勝弥も人吉に行ってほしい、と頼む。勝弥は承諾する。

 鹿児島に来た勝弥は勝男を連れて開聞岳・望比公園の慰霊碑を訪れる。そこで勝弥はフィリピンでのことを思い出した。

 フィリピンで軍医として従軍した勝弥は負傷して運ばれてきた草野と再会した。草野は上田と再会できてよかった、と喜んだのもつかの間、撤退をせざるを得ない状況に陥っていた。上田は「見捨てるわけにいかない」と撤退を拒否するが草野は「上田、おまんさは生き延びろ。おいに構わず…。北辰斜にさすところ…」と強く言い、やがて唄いだす。上田はついに撤退指令を出す。上田はボロボロに涙しながら草野を置いて撤退した。

 そのことを思い出した勝弥は勝男に「まだ海に沈んでいたり海の向こうの国から帰って来れない日本兵がいるんだ」としみじみと話す。

 夜。親善試合を控えて七高OBで親睦会を開いた。そこで北島憲吉(高橋長英)含む他のOBと再会した勝弥。鹿児島大学の選手たちを励ましながら飲んで酔って踊って騒がしくした。

 翌日。ついに川上哲治記念球場で親善試合が行われる。海路は旧制第五高の財前一郎(鈴木瑞穂)と再会。二人はよき好敵手であり友だった。二人は野球の話で盛り上がるが、やがて二人して戦争から生き延びたことを涙する。

 やがて、ついに試合が開始される。大学の生徒たちは怪我をしない程度にやろう、と老人OBたちほどあまり気乗りはしれいなかった。

 3回裏、五高が1点先取してしまう。しかし4回表で七高が1点とり1対1となった。

 やがて勝男が登板する。勝男は若かりし頃の勝弥の生き写しのようにボールを投げ、両校のOBが驚く。勝男はうまく防衛する。やがて両大学ともこの試合に本気で臨むようになる。

 その後、両大学とも1点もとらず1対1のまま9回裏。選手交代により勝男の代わりに新しい投手が登板する。

 その投手は死んだ勝弥の弟・勝雄に歩き方も投げ方もソックリそのままだった。それだけではない。他のファースト、セカンド、サードもまるで勝弥の同学年の戦死した野球仲間たちにソックリだった。

 やがて五高からもかつて勝雄のボールを売った打者・イワモトにソックリな男が立つ。その男は勝雄ソックリの投手の投球を打つが、そのボールはなんとかキャッチされついにゲームは終了する。退場する選手たちは勝弥の目には次々と消滅していくように見えた。

 1対1の引き分けで終わった試合。勝弥は誰もいなくなった球場をひっそり眺めていると、草野の幻が。草野は勝弥を大声で呼び、「北辰斜め」を唄い始める。

 そんな草野の幻影も消滅し、勝弥はベンチに座るのだった・・・









 この映画は現実のシーンと過去のシーンの対比がいいですよね。そして終盤でその二つが重なるような野球試合。感動しました。しかし私の文だと過去の部分を結構、省略しているようなので少し面白味には欠けた文にはなったと思います。ホントに青春でなくて情熱の映画ですよね。

 実は原作は現在のシステム化教育に納得がいかない室積光という人が書いた本なのですね。確かに私もこういった旧制高校の教育理念は現代の教育で参考にできるものだと思います。

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原作小説
記念試合記念試合
(2007/12)
室積 光

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Category: 邦画ハ行
松本清張の小説の映画化作品です。私は推理の本は西村京太郎か東野圭吾くらいしか読まないので清張さんは読んだこと無いですねー。


『張込み』 (1958年・日)
張込み
スタッフ
監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
製作:小倉武志(企画)
音楽:黛敏郎
撮影:井上晴二
編集:浜村義康
配給:松竹
キャスト
柚木刑事:大木実
下岡刑事:宮口精二
下岡満子:菅井きん
下岡辰男:竹本善彦
横川仙太郎:清水将夫
主犯・山田:内田良平
高倉弓子:高千穂ひづる
高倉弓子の父:藤原釜足
高倉弓子の母:文野朋子
旅館の女主人:浦辺粂子
石井キュウイチ:田村高広(田村高廣)
横川さだ子:高峰秀子

 野村芳太郎監督作品「張込み」。原作は松本清張の同名小説です。

 張り込む刑事は大木実と宮口精二。私は七人の侍で宮口精二が一気に好きになってしまいました。だからこの映画は私にとってお得でしたね。まあ終盤は宮口さんの活躍シーンはほとんどなくなるんですが・・

 張り込まれる側は高峰秀子。彼女は日本の映画界において欠かせない女優の一人でしたね。残念ながら2010年にお亡くなりになってます。彼女は当時33歳で美しい妻が合っていましたが、なぜそんな美しい妻がケチくさい男の嫁になったか。そこの部分に関してはリアリティに欠けていましたが映画ですからご愛嬌。

 そして彼女の元恋人で彼女の下に現れるかもしれない犯人を田村高廣が演じてます。田村高廣は映画スター・阪東妻三郎の長男で田村正和、田村亮の兄です。残念ながら彼もお亡くなりになってますね。

 さて監督の野村芳太郎は黒澤明に助監督として務め「日本一の助監督」と称されました。その後、『鳩』(1952年)で監督デビューしこの映画で一気に監督としての名前を広めました。後に彼は松本清張の作品をよく映画化しています。例えるなら山本薩夫と山崎豊子、市川崑と横溝正史のような関係でしょうね。

 まあ実際にこの映画が評価されたのは脚本の橋本忍さんの手腕でもあるでしょうね。彼は脚本の神様だと私は個人的に思っています。

 舞台は佐賀市でもちろん実際に佐賀市で撮影しています。私の知り合いが鹿児島県に住んでいらっしゃるのですが、今度ぜひ佐賀県に行かせましょうか。そしてこの映画で、佐賀県を旅している感じでしたねえ。ラストシーンでの佐賀の川上温泉(原作では川北温泉と表記)とか行ってみたいですねえ。しかし川本三郎著「日本映画を歩く」によると実際にラストで撮影に使用されたのは大分の宝泉寺温泉だそうです。川上温泉では撮影当時に、ひなびた感じが出てなかったようです。

【あらすじ】

 警視庁の柚木刑事と下岡刑事は横浜からSL機関車の夜行列車で佐賀へと向かう。佐賀に着き佐賀署に顔を出してから二人は刑事であることを伏せある女性の向かいの宿に泊まり張込みを開始する。その女性が張り込まれる理由は、東京で発生した殺人事件の犯人の一人が女の下へやってくるかもしれない、とのことだった・・・

柚木刑事(大木実)
柚木刑事
下岡刑事(宮口精二)
下岡刑事
横川さだ子(高峰秀子)
横川さだ子








【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり






 警視庁の柚木刑事(大木実)と下岡刑事(宮口精二)は横浜からSL機関車(急行「筑紫」と思われる)に乗り換えて佐賀を目指す。私事ではなくもちろん、事件を追うためだった。

 佐賀署の署長(大友富右衛門)に挨拶してから二人はある女性の家の向かいにある宿に泊まることに決める。女主人(浦辺粂子)らには情報流出を恐れ、あえて刑事を名乗らずセールスマンを名乗って宿泊する。

 二人の刑事の目的は東京で起きた殺人事件で犯人・山田(内田良平)を逮捕したあと山田が共犯者の石井キュウイチ(田村高広)の存在と彼に凶器の拳銃を預けたこと、彼が故郷の元恋人の話をしきりにしていた、ということを自供する。その元恋人こそ二人の刑事が張り込んで見張っている横川さだ子(高峰秀子)だった。

 捜査一課長(芦田伸介)の会議の結果、自殺を図ろうとしてその前に石井が元恋人の横川の下に来る可能性は十分にありえる、として柚木と下岡が佐賀に派遣されたのだった。

 横川さだ子は今、横川仙太郎(清水将夫)という一日に100円(当時の値段。物価比較などは個人でお調べください)しか小遣いを渡さないケチな亭主に嫁いでいた。三人の子供がいるが、その三人とも仙太郎の前妻の子供だったのだ。

 二人は一日、二日と張込みを続ける。しかし彼女は決まった時間に洗濯、炊事、買い物などまるで機械のように決められた生活を送るばかりで石井と接触する様子もない。また彼女自身も生気が見えず、実際の年齢より老けてみえてしまっていた。

 ある日、横川さだ子がいつもと違う出来事を起こした。バスでどこかへ向かったのだ。二人も同じバスに乗りその後を追うが結果は夫の知人の葬儀に夫の代わりに参加する、という全く面白味のないことだった。

 滞在予定は一週間。刻一刻と時が過ぎるが横川さだ子は全く石井と接触する気配が見られなかった。二人の刑事も日に日に疲労と失望感が感じられてきていた。

 ある日、ずっと宿の部屋にこもりっぱなしの二人を不審がった宿の女中たちが警察に通報していた。しかし佐賀の警察には事情を話してあるので、一応は形式的な警察官の訪問を受け、つじつまを合わせるように言う。

 柚木刑事は夜、東京の恋人のことを思い出していた。高倉弓子(高千穂ひづる)とは柚木自身が結婚する勇気がなかったために未だに結婚をしていない。そんな東京の恋人のことを思い出していたのだった。

 張込みの最終日。佐賀警察署に向った下岡刑事に代わり柚木一人で見張っていたところ、突然横川さだ子が家を出て行った。いつもの予定通りではない行動に慌てて柚木も後を追うが見失ってしまう。

 柚木は佐賀駅に行き、石井キュウイチらしき男が佐賀にやってきたことを聞き、二人が乗ったバスのあとを追う。バスの終点地でバスの乗務員から石井キュウイチらしき男と横川さだ子らしき女が川北温泉で降りたことを聞き柚木も川北温泉へ向かう。

 高原にさしかかった時、銃声が聞こえる。柚木は石井が無理心中を図ったのでは、と銃声の聞こえる方向へ向かうがただの狩猟だった。

 その後、近隣の住民から石井と横川の向かった場所を聞き、河原へやってきた。そこに石井と横川の二人が。

 柚木は拳銃を構えるが石井もさだ子を殺しそうな素振りは見せず、さだ子はあの機械人間のような女性からはとても見ることができない幼げな素振りと美しさを見せていた。柚木はそのあまりの変貌ぶりに驚くとともにひとまず危険はないだろう、と判断し見守ることにする。

 その後、丘に移った二人。さだ子と石井は恋人だったころの思い出話に花を咲かせていた。やがてさだ子は今自分が手にしているのは表面的な幸せであり、石井のあとを追って東京に行けばよかった、と話す。そして二人は深い口づけをかわし、さだ子は人生をやり直し横川家を捨てて石井にどこまでもついていく、と言ってみせる。石井は彼女を断るべく事情を話すためにひとまず近くの川北温泉の旅館へ向かう。

 やがて柚木が呼んだ佐賀警察の応援隊と下岡刑事が川北温泉に到着する。柚木と下岡は拳銃を構え石井のもとに現れ石井を逮捕する。石井は拳銃を大阪で売ったことを明かす。

 その後、石井の部屋に訪れていた時に横川さだ子と遭遇。柚木は石井を逮捕したことと、早く旦那の下に帰るよう言う。柚木は去り際にもう一度、横川さだ子を見つめる。さだ子は自分が人生をやり直すことに失敗してしまったことと石井が逮捕されたことに嗚咽する。

 柚木はさだ子が命を燃やしたのはほんの数時間のことであり、あと数時間、そして翌日にはまた機械のような横川さだ子に戻るのだ、と思いつつ去っていた。

 佐賀駅で高倉弓子にプロポーズの電報を送った柚木。柚木は下岡と共に連行する石井に人生をまたやり直せばいい、と励ましつつ東京行きの電車に乗り込んだのだった・・・







 人間っていうのは仮面を持ってるんです。どんなに従順な妻や女性でも実は仮面を持っており、もしかしたらお淑やかな仮面を被っている女性でも仮面の下はすごく遊び好きだった、なーんてこともあるかもしれませんよ。また逆もしかり。生真面目な旦那の仮面の下は実は女好き、ってのもありえます。世の奥様旦那様、相方の仮面の下は本当にご存知ですか?

 この作品ではミステリーの分類でもたとえば土曜ワイド劇場のような現実でそんなのあるか!なんて殺人事件を描いたドラマとは違ったよさがあります。夫に従順に従う妻の小市民と病弱で憧れた東京で失敗し殺人を犯して故郷へ帰郷した小市民の絡みに客観的な立場で一人の刑事を置くことで我々にその人間ドラマを見せたのだ、と私は思いました。うまいですねえ。

張込み [DVD]張込み [DVD]
(2005/11/26)
大木実、田村高広 他

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Category: 邦画ハ行
私が一回観て物凄く大好きになってしまった映画です。


『ブルークリスマス』 (1978年・日)
ブルークリスマス
スタッフ
監督:岡本喜八
脚本:倉本聰
製作:嶋田親一、垣内健二、森岡道夫
音楽:佐藤勝
主題歌:チャー(Char)「ブルークリスマス」
撮影:木村大作
編集:黒岩義民
配給:東宝
キャスト
沖退介:勝野洋
南一矢:仲代達矢
西田冴子:竹下景子
西田和夫:田中邦衛
兵藤光彦:岡田英次
兵藤夫人:八千草薫
高松夕子:新井春美
木所:岡田裕介
五代報道局長:小沢栄太郎
竹入論説委員:大滝秀治
沼田報道部長:中条静夫
吉池理事:島田正吾
鈴木理事:松本克平
城制作局長:永井智雄
原田:沖雅也
沢木隊長:高橋悦史
特殊部隊師団長:今福正雄
特殊部隊司令官:稲葉義男
順天堂病院長:神山繁
代議士の側近:岸田森
宇佐美幕僚長:中谷一郎
代議士:天本英世


 岡本喜八監督作品「ブルークリスマス」

 とんでもない問題作です。しかしとてつもなく面白い映画です。日本風のSF映画ですね。特撮はほっとんど使われてないのにこの出来栄えは素晴らしいと思います。私としては興行的に落ち込んでしまったのがとてもじゃないですが信じられませんね。

 この映画は宇宙人の脅威というより宇宙人の何もしない恐怖におびえた為政者たちが無害な外れ者を除外するために宇宙人顔負けの謀略をはりめぐらす、という何とも皮肉なストーリーです。映画のいたるところでナチ政権の引用があるのも世界がナチスのようになってしまった、ことを示しています。

 ヒトラーはゲルマン民族を愛し、ユダヤ人を迫害しました。この映画でいえば、ヒトラーが世界の政府たち、ゲルマン民族が赤い血の人々、そしてユダヤ人が青い血の人間といったところでしょうか。

 そしてとても音楽が不気味な映画ですね。それがこの映画を観た人になお一層トラウマを植え付けました。私の近くのTSUTAYAには無かったので、ちょっと遠くまでいってわざわざ借りてきました。

 俳優も超豪華ですねえ。さすが岡本喜八監督。そしてヒロインの山本景子が可愛い!


【あらすじ】

 JBC報道部員の南一矢は上層部の命令でUFOの存在を国際会議で唱えた兵藤光彦という博士が失踪した事件を追うことになる。一方、世界各地でUFOを目撃した人々が赤い血から青い血になっていく現象が発生。同時に青い血の人間が次々と消息不明にもなっていた・・・


♪ブルークリスマス    Char(チャー)













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり



 京都で開かれた国際会議で科学者の兵藤光彦(岡田英次)はUFOの存在を認める、という発言をし他の出席者から嘲笑を浴び徹底的に批判された。その日の内に兵藤博士は失踪する。

 国防庁特殊部隊隊員の沖退介(勝野洋)は友人で同僚の原田(沖雅也)と共によく通う麻布の床屋に来ていた。沖は床屋で働く女性店員の西田冴子(竹下景子)と交際をしていた。

 JBC〈国営放送〉の南一矢(仲代達矢)はJBCの新大河ドラマ主演予定の女優・高松夕子(新井春美)と付き合っている友人の芸能記者・木所(岡田裕介)から高松夕子の血が青いことを聞かされる。南はそれを聞き笑い飛ばす。その後、沼田報道部長(中条静夫)を通じて五代報道局長(小沢栄太郎)に呼び出されていた。五代は南に兵藤博士失踪の事件を追うことを命じる。

木所からの告白
↑手前:木所(岡田裕介) 奥:南一矢(仲代達矢)

 五代は早速、兵藤夫人(八千草薫)に事情を聞く。その後、京都の博士が止まっていたホテルを訪ねるがホテルの話では既に兵藤夫人が夫の失踪は勘違いだった、と話す。南はすぐに兵藤家へ電話するが誰も通じなかった。

 南は兵藤と一緒に研究をしていた中本助手(小川真司)を訪ねて兵藤がイカの〝青い血〟について研究をしていたことを伝える。

 本社に戻った南は五代に調査結果と、高松夕子の血が青い、という噂があるという話をしてしまう。五代はそのことを口外するな、と口止めされる。

 同じ頃UFOが世界各地で目撃されていた。またUFOを目撃した人間たちが次々と血の色が青色に変わってしまいその人たちが消息を絶っている、という報道が流れ始めていた。人々は青い血の人間に潜在的に恐怖を抱き始めていた。

 順天堂大学病院では代議士(天本英世)とその秘書(岸田森)が青い血の母子を院長(神山繁)に処理させ、更に高松夕子を大河ドラマから降板させるようJBCの吉池理事(島田正吾)、鈴木理事(松本克平)、そして城制作局長(永井智雄)に圧力をかける。

 来日した大人気バンドグループ「ヒューマノイド」のパーティに出席するよう高松夕子は罠にはめられそのパーティでドラッグが出回る。そのパーティに警察官が押し入り高松夕子は麻薬の不法所持の冤罪で逮捕される。勿論、高松夕子は大河ドラマを降板させられてしまった。

 高松夕子釈放後、夕子は恋人の木所と一夜を過ごす。しかし翌朝に木所は夕子を不気味がって家へ帰ってしまう。木所が家に帰った後、南から電話がかかってくる。夕子が自殺してしまった。

 一方の南は同僚で親友の原田が殉職してしまった、と聞かされてしまう。

 木所は南と会い、夕子はJBCと政府の謀略によって殺されてしまったのだということを話す。南はそれを聞いてから、兵藤の後を追ってアメリカへ渡る。

 ニューヨークで南は木所の紹介により失踪した兵藤博士と出会う。兵藤から世界がいま、青い血の人間の根絶に向けて動いているが青い血の人間の情報がマスコミによって流出していることにも疑問を感じていていることを話す。やがて南と分かれた兵藤は何者かに連れ去られ南も大使館職員によって強制帰国させられる。

兵藤と出会う南
↑手前:兵藤博士(岡田英次) 奥:南

 帰国した南は五代報道局長からこれ以上の調査は中止だと打ち明けられる。南は五代に夕子を死なせる原因を作ったのは自分が五代に夕子の血が青いことを伝えてしまったせいだ、と恨み言を吐いて去って行く。

 その後、知り合いの記者に記事を受け継いでもらおうとする南だったがまたしても政府の人間によりその記事は奪われてしまう。しかも木所までもが自殺に見せかけて殺されてしまった。南は結局何もできずにパリ支局へ移転させられる。

 沖はUFOの編隊がきて出動して殉職したと言われた同僚の原田の姿を街中で見かける。しかし途中で見失ってしまった。それ以来、沖は自分が殺してきた木所や青い血の人間たちに悩まされていく。

 やがて沖はその心を埋めるかのように西田冴子との絆を深めついには彼女の処女を奪う。しかし処女を失って流れた冴子の血は、青かったのだった。

絆を深める冴子と沖

 その後、かくまわれていた原田が沖に連絡をしてきた。沖は原田に会い、原田がシベリアの青い血の人間の強制収容所から逃げ出してきたという。収容所では青い血の人間は拷問を受け生体解剖を受け、植物人間にされるのだという。

 そして原田はこうも言った。青い血なのになぜか何人か見逃されている連中がいる。そういうのは国連の謀略として恐らくクリスマスの夜、世界で青い血の人間が反乱を起こしたと仕組んで青い血の人間を全世界共通の敵と認識させようと企むことだ、と。

 やがてクリスマスが近づいていく。南はパリで兵藤博士と再会したが兵藤博士は脳を手術して植物人間にされてしまっていた。沖はクリスマスの日に冴子に会いに行く、と約束する。そして沖は冴子の兄・和夫(田中邦衛)から冴子が青い血だと判断されても医者からは問題ない、と診断されたと沖に伝える。

 やがてクリスマスの直前。沖たちは緊急出動で駆り出される。司令官(稲葉義男)と師団長(今福正雄)は国連事務総長の大号令により青い血の人間を粛正する。青い血の人間は人間に見せかけているだけで我々のすることは殺人ではない!と号令をかける。

 やがて沖は冴子に電話をかけようとするが隊長(高橋悦史)に止められる。なんと沖が始末する担当になったのは愛する冴子だったのだ。隊長は自分の血が青ではないだろうか、と毎日が気がかりだったと話す。

 そしてクリスマスの日。冴子の家を訪れた沖は冴子をマシンガンで撃つ。その後、家を出てきた沖は悲しみから半狂乱になり隊長を撃とうとするがそれを予測していた隊長によって返り討ちにあい死亡する。

 その日、世界各地で青い血の人間による反乱に見せかけて多くの青い血の人間が殺された。

 冴子は愛する沖の下へ這いずっていくが途中で息絶える。冴子から流れた青い血が沖の赤い血と繋がったのだった・・・








 宇宙人より宇宙人っぽい地球人が天本英世と岸田森。あるサイトでそういってましたが全くその通りですね。思わず笑っちゃいました。
Category: 邦画ハ行
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