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アメーバブログ時代の私の記事から転載してきました。


『悪い奴ほどよく眠る』(1960年・日)
悪い奴ほどよく眠る
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:小国英雄、久坂栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
製作:田中友幸、黒澤明
音楽:佐藤勝
撮影:逢沢譲
編集:黒澤明
配給:東宝
キャスト
西幸一:三船敏郎
板倉:加藤武
岩淵佳子:香川京子
岩淵辰三:三橋達也
和田課長補佐:藤原釜足
野中検事:笠智衆
三浦重役:清水元
古谷の妻:賀原夏子
有村総裁:三津田健
白井課長:西村晃
守山管理部長:志村喬
岩淵副総裁:森雅之
波多野社長:松本染升


 黒澤明監督作品「悪い奴ほどよく眠る」

  さてタイトルがまず迫力ありますよね。悪い奴ほどよく眠る、って。私、実は黒澤監督作品だと時代劇モノより現代モノの方が好きなんですよね。現代モノの方が黒澤監督が何を訴えたいのかわかりやすいですから。

 三橋達也というと、どうも十津川警部のイメージが強いですね。実は昨日もやっていた高橋英樹の十津川警部シリーズサスペンス。あれ実は初代が三橋達也らしいんですよ。

 今回の森雅之は当時49歳のくせにして、不毛地帯での山形勲みたいな容姿の老人を演じるんですよね。なのにこれまた合ってるんですよね。当時の役者のすごさを思い知らされましたね。

 西村晃といえば水戸黄門様。だが今回はナヨナヨした悪役を演じてましたね。そして石坂金田一シリーズの等々力警部役でおなじみ加藤武。今回はちょっと若い感じでしたが・・・あんま変わんないですね。

 この映画、最初に結婚披露宴のシーンが入るんですが、どうやらそれはゴッドファーザーの元になったらしいんです。コッポラ監督も観た作品を自分も観ている、と考えるとなんか良いですね。


【あらすじ】

 日本未利用土地開発公団副総裁の秘書の結婚披露宴が行われた。それは副総裁の娘と秘書の結婚式だった。その結婚披露宴では役人が一人、逮捕されたりとトラブルがあった。しかし一番大きなトラブル。それは5年前、開発公団の役人の一人が自殺したビルを模して、飛び降り自殺を図った部屋に花が挿し込まれていた模型のケーキが何者かに届けられたことだった。そのケーキを見てある三人の悪人が狼狽える・・・





悪い奴ほどよく眠るのシーン










【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 とある結婚披露宴。その結婚披露宴とは日本未利用土地開発公団副総裁・岩淵(森雅之)の秘書・西幸一(三船敏郎)と岩淵の娘・佳子(香川京子)の結婚披露宴だったのだ。

 その披露宴には新聞記者たちが駆けつけていた。兼ねてから公団と大竜建設という会社に黒い噂があったからだ。記者にとっては格好のネタになるやもしれない。

 記者たちの前でさっそく公団の契約課長補佐・和田(藤原釜足)が警察に連行される。何も知らない有村総裁(三津田健)はさして驚かなかったが彼の供述一つで失脚する恐れのある岩淵、契約課長・白石(西村晃)、そして公団管理部長の守山(志村喬)の三人は驚く。

 佳子は足が悪い。佳子の兄・辰夫(三橋達也)は幸一に佳子を幸せにしなければ殺す、と破天荒な演説を終えてやがてケーキ入刀でケーキが運ばれる。

 しかしそのケーキ入刀で運ばれた差し入れのケーキ、それはあるビルを模した模型ケーキで七階のある部屋に花が挿し込まれていた。

 その模型ケーキを見た、岩淵、白石、守山の三人は驚く。実は開発公団では5年前に開発補佐を勤めていた古谷という男が公団ビル七階から飛び降り自殺を図った。その部屋は古谷が飛び降りた部屋なのだが。

 検察の尋問を受ける和田。同じく尋問を受けていた大竜建設の重役・三浦(清水元)ともども黙秘していた。

 やがて拘置期間が終わり二人とも何も話さなかった。三浦は釈放後、野中検事(笠智衆)の策略により横領の容疑で逮捕されそうになるが、釈放直後に現れた顧問弁護士(中村伸郎)から波多野社長(松本染升)の発言を聞かされ、車に飛び込み自殺する。

 一方の和田も自殺しようと火山の火口に向かうがそこである男に自殺を止められる。それは岩淵の娘婿・西幸一だった。西は友人の板倉(加藤武)の工場に和田をかくまう。

 和田の遺書が見つかった事から和田は自殺したと判断され、葬儀が済まされる。その葬儀を見せられる和田だったが、西は録音した守山と白井の会話を和田に聞かせる。それは和田が死んでくれて安堵した、といった内容の会話だった。

 和田はそれを聞き激怒する。そして西は、和田に自分の復讐に協力してくれと頼みこむ。

 ある日、白井は貸し金庫に預けていた現金が無くなっていたことに気付く。それを上司の守山と岩淵に報告する。貸し金庫から金を出せるのは白井と和田だけだったことから白井は二人に疑われる。

 白井は二人に金庫の鍵を提出するために鞄を取りにいくがそこには現金が入っていた。西幸一が密かに現金を入れていたのだった。守山と岩淵は西がひそかに〝つまみ食い〟したのだと疑ってかかる。

 疑われた白井は呆然としていた。そして家に帰る道で和田に遭遇する。死んだはずの和田がいたことで和田は生きていた、と守山と岩淵に喚き散らす白井。

 白井の混乱は頂点にまで昇っており、挙句の果てには守山と岩淵に、自分を殺そうとしてるなら俺が全てぶちまけてやる、と二人を脅す。岩淵は守山に白井を殺すように命じる。

 白井は帰りの道で殺し屋(田中邦衛)に殺されかけるが西幸一と和田に救われる。そして古谷の自殺したビルに連れて行かれる。

 ビルの古谷が飛び降りた部屋で、白井は西幸一から「俺の親父はこの部屋で殺された古谷だ」という発言を受ける。

 西は白井にこの部屋から飛び降りるか劇薬で死ね、と選択を迫る。だが白井は抵抗し、西は無理やり、飲ませる。和田は西を恐れるが、劇薬だと言ったのはただのアルコールだった。

 家に遅く帰宅することが多い西は佳子を気遣え、と辰夫から怒られたりもする。佳子は純真無垢で夫にひたすら尽くそうとする良い女性だった。西は道具として利用するだけと扱おうとしていた自分の仇の娘に思いが傾きはじめる。

 翌日、公団は白井がビル七階で見つかったという発表を抑えさせ精神病院に入院させる。

 守山と白井は結婚披露宴でケーキを差し入れした人物が裏で操っているのだと気付き始め、古谷の妻(賀原夏子)を守山は訪ね、古谷には愛人の息子が居たことを知らされる。写真からその息子が西だと知る。

 一方、板倉は和田に、自分は西と戸籍を交換したんだ、と教える。西と板倉には何らかの友情があった。和田の説得により西は道具としてだけ扱うはずだった佳子への想いを認め、佳子を大事にしようとする。

 そして岩淵邸では守山が岩淵に報告をしていた。その報告を盗み聞きしていた辰夫は邸に帰ってきた、西を銃で発砲。西は逃亡する。

 廃工場跡で、板倉を訪ねてきた守山を西と板倉は監禁していた。飢えさせ守山に金や帳簿の居所を吐かせようとする二人。やがて飢えに苦しむ守山は暴露する。西は記者会見を開きすべてを暴露しようとする。

 一方、西の妻・佳子が何も知らないままでいるのは不憫だと思った和田は佳子を連れてくる。西と佳子は話し合い、佳子は西の復讐を応援しないにしても、黙秘することにする。二人は初めて打ち解けあえたのだった。

 帰宅した佳子。一方の岩淵はいつ暴露されるか、と不安になり眠ることもできなかった。そこへ帰宅した佳子を見つけ、佳子が西のところに行っていたと悟る。

 岩淵は佳子に、辰夫が西を殺しに行った、と騙まし込み西を助けるためなんだ、と場所を聞き出して睡眠薬で佳子を眠らせる。

 それからしばらく経ち佳子は父親に騙されたことに気付き、辰夫と共に西の下へ向かう。道中で列車事故に遭った車を発見する。

 廃工場で、板倉一人だけが泣き崩れていた。板倉は佳子を罵る。騙されていただけ、と庇う辰夫だったが板倉はポツリポツリと経緯を語りだす。

 佳子から居所を聞き出した岩淵は数名の殺し屋を派遣し西を睡眠薬入りの注射を打ち眠らせる。そして車に押し込め汽車の線路上に放置し潰させたのだった。

 守山は解放され暴露した情報の証拠隠滅を、和田も居らずおそらく既に殺されているのだろう。一度死んでいる人間を殺すなんて簡単なことだ。

 自分には何もできない、と悲しみ嘆く板倉。佳子は自分が結果的に西を殺すのを手伝ってしまったことに、何も反応できなくなってしまった。

 副総裁室では岩淵副総裁は記者たちに対して西の死亡を悲しんだ風に演じていた。

 会見の終わったあとに辰夫と何の反応も出来なくなった佳子の二人がやってくる。辰夫は「西を殺し、佳子もこんな風に殺したのはあんただ。猟銃があったら撃ってやりたい、あんたとは絶縁だ」と言い去っていく。

 追おうとする岩淵だったが、電話がかかってきてそれに応じる。それは岩淵よりも悪党の人物からだった。岩淵はその人物から「あなたから頂いた睡眠薬のおかげでぐっすりと」と言った。本当の悪党は、よく眠れるのだ・・・





 今まで見てきた黒澤映画で一番好きです。岩淵副総裁ですらなかなか眠れないんです。本当の悪党は眠れるんです。ぐっすりと。つまり、岩淵よりもぐっすりと眠れる悪党がいるんですよ上には。恐ろしい恐ろしい。でも本当に面白い。こういう陰謀系の映画私好きなんですよ。

 結果的に報われない映画でしたね。でも相変わらず三船敏郎の演技力が凄い。悪党を追求し、更に役人の上司の為に犠牲になるというシステムを批判する映画でもあります。このころはおそらく内部告発なんて考えられない時代だったんでしょうね。まあ天皇陛下のために死ぬ時代がこの映画のちょっと前まであったようですからね。
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Category: 邦画ワ行
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