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それまでテレビドラマの演出家だったサム・ペキンパーの映画監督デビュー作品です。


『荒野のガンマン』 The Deadly Companions (1961年・米)
荒野のガンマン
スタッフ
監督:サム・ペキンパー
脚本:アルバート・シド・フライシュマン
原作:アルバート・シド・フライシュマン『The Deadly Companions』
製作:チャールズ・B・フィッツシモンズ
音楽:マーリン・スカイルズ
撮影:ウィリアム・H・クローシア
編集:スタンリー・ラブジョン
キャスト
イエローレッグ:ブライアン・キース
キット・ティルドン:モーリン・オハラ
ミード・ティルドン・ジュニア:ビリー・ボーン
雑貨屋キャル:ジェームズ・オハラ
牧師:ストローザー・マーティン
ヒラ町長:ペーター・オクロティ
カクストン医師:ウィル・ライト
アパッチの男:バック・シャープ
ビリー・ケプリンガー:スティーヴ・コクラン
ターク:チル・ウィリス


 サム・ペキンパー監督作品「荒野のガンマン」。原題は「The Deadly Companions

 原題を直訳した感じでは「生かしちゃおけない連れ」みたいな感じですかね。companionは仲間だとか連れ。deadlyは命がけの、必死の、致死的なという意味が一般的ですが映画の内容を考えると殺さなきゃならん、といった意味の方が適切な気がしました。

 サム・ペキンパー。この人はこの映画で映画監督初デビュー。それまではTVシリーズの脚本やら監督など、テレビの世界で活動していました。私としてはこの人は「ワイルドバンチ」(1969年)や「戦争のはらわた」(1977年)などの監督さんとして馴染み深いです。というかこの人は残酷でリアリティを作る作品のイメージがありますね。今回の映画は別に残酷でもないと思いますが。

 原作はアルバート・シド・フライシュマンの小説です。この人は冒険ものが得意な作家さんですね。ただこの映画ではどうやら先に脚本家として台本を完成させた後に製作のチャールズ・B・フィッツシモンズの依頼で小説化したようです。そんな依頼があった理由は後述しますね。「壮烈!外人部隊」(1958年)では脚本だけやって「中共脱出」(1955年)では原作もしています。

 主人公を演じるのはブライアン・キース。この人は映画界でも後のテレビドラマ界でも活躍する人です。テレビドラマなら「ニューヨーク・パパ」で大人気になりました。映画のクレジット付きのデビューは「アロウヘッド」(1953年)からです。他にも「ビッグトレイル」(1965年)、「ネバダ・スミス」(1966年)、「風とライオン」(1975年)などの映画作品もあります。

 さてヒロイン役はモーリン・オハラ。行水シーンや服を脱いで乾かしていたシーンがあったりと、セクシーな役でした。恐らく彼女か彼女の家族がこの映画の製作にとても躍起になっていたのではないでしょうか。まず製作のチャールズ・B・フィッツシモンズはモーリン・オハラのマネージャーで、実の弟。そして雑貨屋さんのキャルを演じていたジェームズ・オハラもモーリン・オハラの弟さんです。
 フィッツシモンズは脚本のフライシュマンと共にこの映画を作るためにわざわざカルーセル・プロダクションという会社を作り、サム・ペキンパーを15,000ドル、ブライアン・キースを30,000ドルで雇いました。

 この映画を作るとき、少しストーリーに触れてしまいますが少年の死体が入った棺を運ぶというストーリーから製作資金の金策に困難したようです。そこで製作のフィッツシモンズが脚本のフライシュマンに映画の脚本を小説化してもらいました。その小説が売れたので、フィッツシモンズは映画館主や配給会社のパテ・アメリカの説得に成功しこの映画の公開が出来たようですよ。なかなかに頑張りましたね。


【あらすじ】

 元北軍兵士イエローレッグは自分の頭を剥ぎかけた南軍兵士を追いかけていた。やっとその兵士を見つけ、油断を見せるために一緒に組んで銀行強盗をしようと提案。しかしその銀行で別の強盗が仕事を終えてでてきた。その強盗どもを始末する最中、イエローレッグは誤って踊り子の息子を殺してしまう・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 放浪ガンマンのイエローレッグ(ブライアン・キース)はとある酒場でイカサマをやって首を吊るされている男を発見。その男ターク(チル・ウィリス)は左手に何者かに噛まれた傷があり、イエローレッグはタークをついいままで女と遊んでいたタークの相棒ビリー・ケプリンガー(スティーヴ・コクラン)と共にタークを助け外に引っ張り出す。

 イエローレッグはタークとビリーに銀行強盗をして、一儲けしようと持ちかける。二人は乗り、早撃ちが得意なビリーはイエローレッグを気に入るがタークはイエローレッグの上から目線な態度が気に入らない。三人はヒラという町に入った。

 イエローレッグとビリーは酒場に立ち寄る。その酒場では神父さんが神の教えを説きに来るらしく、その説話の間は酒場を教会として貸し切り、閉店してしまうらしい。

 やがて町人たちがゾロゾロと酒場へ入ってくる。その中には踊り子のキット・ティルドン(モーリン・オハラ)と息子でハーモニカを吹くのが好きなミード・ジュニア(ビリー・ボーン)もいた。キットの父親は既に他界しており、子どもと2人で町に住んだためにほかの町人から名前も知らない男の子を孕んだ尻軽女と噂されていた。

 ビリーはキートに欲情。そこへ牧師(ストローザー・マーティン)が入ってきてありがたいお話を町人にし始める。

 牧師は酒場で帽子をしているイエローレッグ、ビリー、そして合流したタークに帽子を取るよう言う。応じるビリーとタークだったがイエローレッグは帽子を取らずに不機嫌そうに去っていった。イエローレッグは帽子を寝るときも取らないのだ。

 タークは手に入れた金で自分の思いのままのフリードニア共和国(「我輩はカモである」(1933年)という映画でも名前が登場)という国の建国を夢見ていた。奴隷を雇い、軍人を雇い軍国主義的な国にしたいそうだ。しかしビリーはそんなタークの夢を嘲笑する。

 イエローレッグはカクストン医師(ウィル・ライト)に右腕の中にある銃弾の摘出を依頼しようとしたが、それが長くなるため取りやめた。医師はイエローレッグの顔に見覚えがあるといい、かつて南北戦争のころ、北軍に所属し南軍の兵士に頭の川を剥ぎ取られそうになった兵士だろう、と確信していた。

 イエローレッグはその南軍兵士への復讐を目論んでおり、その復讐相手というのはタークのことだった。イエローレッグはタークの左手の噛まれ傷で確信していた。

 一方ビリーは酒場でキットのことを気に入り拳銃をぶっぱなして牧師のお話を中断させ、彼女に接吻をする。キットはビリーにビンタを食らわせる。キットとタークは酒場を去っていった。

 ダンスホールに戻ったキットを追おうとしたビリー。そこへイエローレッグが帰ってきて銀行強盗開始の合図をする。

 いざ銀行に向かおうとした時、別の銀行強盗が銀行から出てきた。イエローレッグたちは拳銃で強盗を退治するが、イエローレッグが右腕で撃った弾がミード・ティルドン・ジュニアに当たり、死なせてしまった。キットは悲しみに暮れながらミードの遺体を運ぶ。

 キットは自分たち親子を蔑む町人たちがいるこの町・ヒラにミード・ジュニアを埋葬するのが許せなくて、町長(ペーター・オクロティ)、牧師、雑貨屋のキャル(ジェームズ・オハラ)の説得も聞かず夫ミードの墓があるサリンゴに埋める、という。

 しかしサリンゴはすでに廃墟の町でヒラからサリンゴへの道はアパッチ族の襲撃が多発している地帯。だがキットは誰の手も借りずに自分ひとりで行く、と強情を張っていた。

 そのことを聞いたイエローレッグは護衛を申し出るが、息子を死なせた恨みからその申し出も拒否する。ビリーも彼女への性的興味から同行を申し出るがやはり拒絶しひとりで馬車を走らせて出発した。イエローレッグとビリーは勝手に彼女の護衛をすることに決める。しかしタークは銀行強盗の事しか頭になく、同行を嫌がっていた。

 命令ばかりしてくるイエローレッグに嫌気が差していたタークはビリーに射殺するよう言うが、背後から銃で撃つのは流儀に反するとして断る。

 やっと全力でイエローレッグたちから逃げるキットの馬車に追いつく。再び護衛を申し出るもやはり断るキット。

 しかしキットの馬車は沼地にハマってしまい動けなくなってしまう。イエローレッグとタークが逃げたキットの馬を追いかけ、ビリーは馬車を引き上げるのを手伝う。

 しかしビリーはキットに無理やりキスをする。突き放したキットはそのまま沼に全身浸かってしまいびしょ濡れになる。ビリーは「ダンスホールの女がキスくらいで」と軽んじた発言をした。キットはビリーに殺意すら抱く。

 イエローレッグは頭皮を剥がされたガンマンの死体を発見する。どうやらアパッチ族の襲撃を受けて殺されたガンマンのようだ。

 服を脱いで乾かすキット。タークはイエローレッグに対し、キットに惚れ込んでしまったんだろう?とからかう。そしていつまでも帽子を取らないイエローレッグに帽子を取るよう拳銃をつきつけてビリーが言うが、イエローレッグのそれでも帽子を取らない姿勢に感心し、銃を収めた。

 タークはビリーにまたくだらない共和国建国の夢を飽きもせずに話し始める。一方、イエローレッグはキットに自分への恨みは分かる、と言い自分も恨みを復讐する時が来ていることを話す。

 その時、ビリーが試し撃ちを勝手にした。慌てて銃声の方に銃を向けようとしたイエローレッグだったが拳銃を落としてしまう。イエローレッグは落としてしまった拳銃を取り、ビリーは勝ち誇ったように不快な笑みを浮かべていた。

 夜。タークはビリーに自分が盗んできた将軍の帽子を見せびらかすがビリーの反応は冷めたものだった。タークと見張りを交代したあと、ビリーはキットに迫り彼女を無理やり抱擁しキスをしはじめた。イエローレッグはビリーを殴りつけて、彼をヒラに追い返すことにした。しかし復讐の相手タークも帰そうとはしなかった。

 翌朝、タークは一人でビリーの後を追って一人で戻ってしまった。イエローレッグはキットの意思が固いことを確認しサリンゴ行を止めようとはせず、別れを告げてタークを追いかける。

 しかしキットは馬に逃げられてしまい泣き伏せてしまった。イエローレッグはターク追跡の道中で、彼を追いかけるを止めてキットの下に戻ることにした。

 戻ってきたイエローレッグにキットは私を責めないのか、と問いかける。しかしイエローレッグは何か言うことを嫌がり、そのことについて言うことはなかった。

 馬を進めたイエローレッグとキット。道中、アパッチ族の大群に襲撃されている馬車を発見。アパッチの野生的な襲撃についに馬車は倒されてしまった。

 コーヒーを飲むイエローレッグとキット。キットはヒラを目指す道中のサリンゴで夫ミードが死に、自分とミード・ジュニアだけが残ってサリンゴに着いたが、町の人々の自分たちへの目は冷たく、町の方々で尻軽女と身元知れずの父親の子供と呼ばれる羽目になってしまったのだ。

 太陽が沈み、夜になったころ。イエローレッグはアパッチから馬を奪いに出かけた。アパッチのキャンプ地につき、見張りをしていたアパッチの男(バック・シャープ)を殴りつけ、馬を一頭奪い、もう一つの馬車を拳銃で脅かし、走らせる。アパッチ達は夜の暗闇に紛れたイエローレッグに気づかずに慌てて馬車を追いかける。しかし殴られたアパッチの男はイエローレッグに気付き一人で追跡をはじめた。

 馬を連れて帰ったイエローレッグは行水中のキットに出発を伝える。

 翌日の昼。馬車のわだち【※1】を消すために馬車の荷車を埋めるべくキットにその穴を掘らせる。疲れたキットと交代したイエローレッグ。イエローレッグはミード・ジュニアの棺も埋めようとしたが、キットがそれを許さなかった。
※1】わだち:車輪の跡

 夜、追いかけてきたアパッチの男の矢が近くに刺さる。しかしそれ以上の攻撃は仕掛けてこなかった。

 荒野を歩くイエローレッグとキットは岩場の陰で休んだ。イエローレッグはまだタークへの復讐を諦めていないらしい。

 その時、馬が足元に蛇がいて怯えている。イエローレッグは蛇を撃ち殺すが、馬にも当たり、馬は骨折してしまった。使い物にならなくなった馬は殺さなければならないため、イエローレッグは馬を撃ち殺す。

 再び歩き出した二人だったがまたしてもアパッチの襲撃が。しかし矢は当たらない。どうやらアパッチは恐怖を与えに与えて後で殺す算段らしい。キットはイライラが溜まり、アパッチの方へ拳銃を持って突っ込んでいこうとしたが、イエローレッグに制止させられ頬をぶたれる。

 キットは感情が高ぶってイエローレッグに抱きつくが、我を取り戻し離れる。

 夕方、別の岩場の陰で休憩する二人。眠りにつくイエローレッグの帽子の中が気になったキットはイエローレッグの帽子を取ろうとするがイエローレッグはその手を止めて拒否した。イエローレッグは帽子を取らない理由を隠さなくてはいけない訳があるとしか答えなかった。

 翌朝、起きてみるとアパッチ族の男に馬を殺されていて、人力で棺をサリンゴまで運ばなくてはならなくなってしまった。

 歩き続けて夕方。洞穴を見つけてそこをキャンプ地とすることに決めた。そしてイエローレッグはアパッチの男の襲撃を待ち伏せし殺すことに決めて洞穴を出ようとする。キットはイエローレッグに同行してくれた感謝の意を伝える。

 夜になり、アパッチ族の男が洞窟に潜入する。キットはすぐ後ろにアパッチの男を発見し思わず撃ち殺してしまった。銃声を聞きつけたイエローレッグが洞窟に戻り、キットが拳銃を持ったまま放心しているので彼女から拳銃を取った。

 やっとのことで廃墟の町サリンゴに着いた二人。墓場でミード・ティルドンの墓を探すイエローレッグだったが、見つからない。キットはそれを聞かされイエローレッグに自分が名前知れずの男の子供を産んだのだ、と誤解されていることに傷つき墓場を探すがどこにも無い。

 そんな時、イエローレッグは崩落した屋根を墓場で発見。それをどかしてみるとミード・ティルドンの墓があったのだ。

 ミード・ティルドンの墓を見つけた知らせに二人は喜ぶ。しかしそこにヒラの銀行を襲って金を奪った後のビリーとタークが現れた。ビリーはイエローレッグの拳銃を取り上げる。

 廃墟の家の中で対談をするビリーとイエローレッグ。どうやらビリーの話ではタークやビリーを町民たちはアパッチの襲撃を恐れて追いかけてこないらしい。ビリーはタークに銀行の金の分け前を馬のところへ取りに行かせその隙にイエローレッグにタークを殺すように指示して外に出ていった。

 キットはイエローレッグに復讐を止めてほしい、ミード・ジュニアが死んだのは事故と認めるが復讐をしてしまったときあなたを愛することはできない、と言う。イエローレッグは帽子を取り、自分が頭を剥ぎ取られそうになった傷跡を見せて「これでも愛せると言えるか?」と言う。

 しかしキットはそんなことを気にもしなかった。イエローレッグはそれだけで嬉しかった。むしろ、自分こそ踊り子として醜い男にキスをされたり、いやらしい事をされた心の傷を負っている。そんな私を愛せるか?とイエローレッグに尋ねる。イエローレッグは言葉の代わりにキスで答える。

 そこへタークが入ってきた。復讐を思い出したイエローレッグはキットが止めるのも聞かずに追いかけ発砲する。タークとイエローレッグは撃ち合いになるがどちらも弾が当たらない。

 見かねたビリーがタークを撃つ。そしてイエローレッグに決闘を申し込むがイエローレッグは復讐にしか興味がなくビリーを相手にしない。ビリーに裏切られたタークは仕返しに発砲しビリーを撃ち殺してしまった。

 タークは廃墟の家屋の中で篭っていてイエローレッグに追い詰められてしまう。金や自分の建国する共和国での地位で命乞いをするがイエローレッグは聞く耳を持たない。

 イエローレッグは自分の頭の傷を見せて正体を明かし、タークの頭をナイフで剥ぎ取ろうとする。そこへキットがやってきて説得する。イエローレッグはキットを追い出し、ナイフを刺す。タークの頭のすぐ近くに。

 イエローレッグは廃屋を去っていった。廃屋の中ではタークが「ビリー!!はやくイエローレッグを殺せ!!」と狂ったように叫んでいた。イエローレッグは復讐に失敗した。複雑な気持ちのイエローレッグはキットに抱きつくのだった。

 そこへ銀行強盗のビリーとタークを追いかけてヒラの町長や牧師らがやってきた。アパッチを恐れず銀行強盗の逮捕に来たようだ。牧師はイエローレッグに頼まれミード・ジュニアの墓で祈りを捧げる。

 連行されるタークは未だに共和国の話をしており、保安官らに共和国に入らないかと誘っている。町長たちはヒラへと列をなして戻っていき、イエローレッグとキットは手を繋ぎながら馬に乗りどこかへと去っていった・・・






 ペキンパーがこんな生ぬるい作品でデビューするとは、とちょっと意外な気もしました。私の中でペキンパーは「戦争のはらわた」というイメージが強いので。


 ここからは私の邪推を述べさせていただきます。

 ペキンパーといえば、残酷なイメージが強いですね。そんな監督が作ったこの映画。確かに男と女が結ばれ男が復讐を止めてハッピーエンド、ちゃんちゃん。という結末ですね。でも私はどうもこの映画がただのハッピーエンドには思えないのです。

 この映画のブライアン・キース。右腕に埋め込まれてる銃弾のせいか、ことごとく人殺しに失敗しています。一見すると主人公は優しいガンマンってことですね。モーリン・オハラの役と結ばれるに相応しい・・・まあ確かにそうとも取れますね。ただ、ブライアン・キースがこの映画の作中で明確に死なせてしまったのが一人。ミード・ジュニアというハーモニカ吹きが好きな少年ですね。

 これってミード・ジュニアくんからしたらとても残酷なことじゃありませんか?母キットが自分を死なせた男と愛を深めてしまったって。確かに贖罪の気持ちから棺運びを手伝いましたが、なんだかハッピーエンドで終わってない気がしますね。しかもブライアン・キースは幾度かサリンゴではなく道中で棺を埋めようとさえしていました。まあ安全を考えてのことなのでしょうが・・

 そう考えると私としてはただのハッピーエンドではなく、人間の残酷さを僅かに描いているような気がしますね。これはあくまで私個人の邪推に近いものなので皆さんはこう思わないで、ただのハッピーエンドだと思ってくれてもいいんです!ただ私はどうもペキンパーが残酷な作品のうまい監督さんだ、という執着があるようですからそういう発想に至ったのかもしれません。

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美術的な映画ですねえ。なだらかで美しい映画です。


『河』 The River (1951年・米仏印合作)
河
スタッフ
監督:ジャン・ルノワール
製作:ケネス・マッケルダウニー
原作:ルーマー・ゴッデン「河」
脚本:ルーマー・ゴッデン、ジャン・ルノワール
撮影:クロード・ルノワール
音楽:M・A・パーサ・サラティ
助監督:サタジット・レイ
キャスト
ハリエット:パトリシア・ウォルターズ
 回想ナレーション:ジューン・ヒルマン
バレリー:エイドリアン・コリ
メラニー:ラーダ
カヌー:ニマイ・バリク
ボギー:リチャード・R・フォスター
ヴィクトリア:セシリア・ウッド
エリザベス:ペネロープ・ウィルキンソン
マフィー:ジェーン・ハリス
マウス:ジェニファー・ハリス
アニル:トゥリラック・ジェットリー
門番サジャン・シン:ラム・シン
ジョン大尉:トーマス・E・ブリーン
ジョン叔父さん:アーサー・シールズ
乳母ナン:スプロヴァ・ムケルジー
ハリエットの母:ノラ・スウィンバーン
ハリエットの父:エスモンド・ナイト


 ジャン・ルノワール監督作品「河」。原題は「The River」。

 原作はルーマー・ゴッデンの同名小説。ルーマーという女性は「黒水仙」なども書いてますね。大人向けの恋の物語ばかりと思えば、児童に向けた本も書いている人です。

 ジャン・ルノワール。お父さんのオーギュストはあまりにも有名な印象派の画家ですね。動かない絵に関してはお父さんのオーギュストがあまりにも有名ですが、ジャンは動く絵、つまり映画で父と勝負すればお父さんの才能に負けていませんね。「大いなる幻影」や「フレンチ・カンカン」(1954年)などの監督さんでもあります。でもこの人は映画の作り手であり父とは違う芸術家であっても、その作品には父の影響を色濃く受けている気がしますね。この映画は経過がとってもゆったり流れているんですが、そのゆったりさがインドの風景とマッチして絵のようです。絵のような映画ですよ。

 この作品なんかはお父さんの「ラ・グルヌイエールにて」に似てますね。お父さんも「女性大浴女図」など水と登場人物を調和させた絵画作品がいくつかあるので、この映画の製作の源流にはお父さんの作品があったのかもしれません。ちなみに撮影のクロード・ルノワールはオーギュストの三男。ジャンは次男です。長男は俳優ですね。この映画には出てませんが。

 助監督のサタジット・レイ。この人はインドの映画人で後に「大地のうた」「大河のうた」「大樹のうた」の三部作を作ることになる人です。この映画はサタジット・レイの映画人としてのキャリアの始まりとなる映画でもあります。この三部作も観てみたいですねえ。



【あらすじ】

 ガンジス沿岸のとある村にイギリス人の家族が暮らしていた。ある日、近所のお家に戦争から帰還し片足を失ってしまったアメリカ人の若者がやって来る。イギリスの長女はその若者に恋をする。

予告編














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




― この物語はインドに住むイギリス人家族の長女ハリエット(パトリシア・ウォルターズ)の初恋の物語である、と彼女自身の回想(ジューン・ヒルマン)によって語られる。
 広い河辺、そこに住む人々は地面に砂絵を書いている、そんな日々のおはなし。そして、ハリエットの初恋。初恋というのはありふれたものだが、土地が違ってれば初恋の色も異なることもあるかもしれない。

 ガンジス河のほとりのとある村。ガンジス河はヒマラヤ山脈に積もった雪が溶け、ベンガル湾へと流れていく河なのだ。河には多様な生命があり、魚、カワイルカ、亀、鳥、そして川に生まれ死んでいく人々【※1】。川は泥んこと砂の間を通って水田やジュート畑【※2】も巡る。あらゆる形のジュートが舟によって工場まで運ばれる。舟が岸につくと、労働者たちが荷物を担ぎ、荷物を数えるカウント用の貝殻を港湾労働者に渡し、工場へと運んでいく。その工場の管理人がハリエットの父(エスモンド・ナイト)だ。村の人々はハリエットの父を慕い、村で数千年変わらぬ伝統と共に暮らしてきた。
※1】ガンジスでは火葬してから、遺骨を水葬する。ヒンドゥー教徒はガンジスを“聖なる川”と崇め、それに骨を流されることによって罪を清められ、苦しい輪廻なしに悟りを開けると信じられている。
※2】ジュート:別名コウマ。熱帯や湿地帯でよく育つ麻。導火線、カーペット、麻袋などに使用されることが多い。

 さてこのハリエットの笑い声で溢れ時がそっと過ぎていく家の家族構成を紹介しよう。好奇心旺盛なこの家唯一の男の子でハリエットにとって弟のボギー(リチャード・R・フォスター)は地元の子供のカヌー(ニマイ・バリク)と遊ぶのが好き。そして動かないおもちゃより動きをしてくれる生き物の方が好きだった。ペットのウサギのホピティが大好きな妹ヴィクトリア(セシリア・ウッド)。双子の姉妹のマフィー(ジェーン・ハリス)とマウス(ジェニファー・ハリス)。そして妹エリザベス(ペネロープ・ウィルキンソン)。そして父とまた新しい家族を身籠っている母(ノラ・スウィンバーン)がいた。
 他にも乳母のナン(スプロヴァー・ムケルジー)、毎日遊びに来るジュート工場の所有者の娘バレリー(エイドリアン・コリ)、数人の使用人、かつてはヒンドゥー教徒で兵士であった門番のサジャン・シン(ラム・シン)がいた。

 ある日、アメリカ人のジョン(アーサー・シールズ)の下にいとこのジョン大尉(トーマス・E・ブリーン)がやって来る。ハリエットの家の人たちは彼に興味を示しハリエットもそのジョン大尉を美しい人だ、と惚れる。

 ジョン大尉は戦争で負傷してしまい、片足が義足なのだという。戦争による負傷は英雄扱いされ恩給も増すという。思春期を迎えつつあるハリエットとバレリーは彼にゾッコン。乳母のナンは二人に対し、ジョン大尉をディーワーリー【※3】の日に家のパーティに招待するよう提案する。
※3】ディーワーリー:別名、光の祭り。10月または11月の新月の日に開かれ、期間中は街中でロウソクや照明を灯したり花火をしたりする。

ハリエットは招待の手紙を持って、ジョンの家を訪れる。ジョンの家ではヴィーナ【※4】の音が聞こえており、丁度ジョンの一人娘メラニー(ラーダ)が学校を卒業し帰ってきたのだ。ジョン叔父さんがハリエットとメラニーを家に迎え入れ、家に入るとメラニーの幼馴染で彼女と結婚したがっている地元のお金持ちのお坊ちゃんアニル(トゥリラック・ジェットリー)とジョン大尉がいた。アニルはメラニーを散歩に誘う。ハリエットはジョン大尉に手紙を渡すという目的を果たす。
※4】ヴィーナ:インドの弦楽器。

 ディーワーリーの日。ジョン一家はハリエットらの家を訪れる。ハリエットら女子たちは庭で光る噴出花火に心躍らされていた。バレリーとハリエットはジョン大尉の目を意識していた。

 その日は村中で破壊と創造の女神カーリー・マーが祟られていた。カーリーに捧げ物をしてご機嫌をとり、踊りをして無病息災をお祈りするのだ。

 ハリエットの家ではダンスパーティーが開かれ、家族はダンスに興じる。ジョン大尉の話し相手を頼まれたメラニーだったが、ジョン大尉との会話が盛り上がらない。積極的なバレリーはジョン大尉をダンスに誘い、バルコニーで会話を楽しむ。その姿をハリエットはナンと一緒に茶化しながら見ていて、メラニーは静かに見つめていた。

 翌朝、河の土で作られ塗られたカーリーの偶像はガンジスに流されその役目を終える。川岸でそれを貧富老若男女関係なく村中の人が見守る。

 メラニーは母の形見の民族衣装サリーを着て父を驚かせる。ジョン叔父さんは驚くが、どうもメラニーはジョン大尉に対し不機嫌な様子。

 その後でメラニーはハリエットと愛について語る。クレオパトラのように多くのものから派手に愛されたい、というハリエットに対しメラニーは一人から一途に愛されればそれでいい、という結論だった。メラニーの父のジョン叔父が間に入ってきて将来、アニルと結婚すれば富が手に入る、と説き会いに来たアニルに会え、というがメラニーはどうやらアニルに今は会いたくないようだ。

愛することを無性に気になり始めたハリエットは母に対し、自分が容姿に自身が持てないことを話す。母はこの世に醜い人はおらず、どんな人でも美しいのです、という答えを返す。しかしハリエットは自分はもっと美しくあってジョン大尉に振り向いてほしい、と思うのだった。

 しかしそのジョン大尉はどうやら戦争に駆り出されてから苦悩し自分を見失ってていて小娘の恋心にかまけている余裕はないようだ。ジョン大尉は戦争で片足を失い、英雄扱いされて国に戻ってきた。英雄となったジョン大尉をパレード、星条旗、女たちが迎えたが戦争が終われば彼はただの片足を失った男。彼はそんな哀れな境遇とギャップの違いに耐え切れずインドへやってきたのだ。

 ジョン大尉はジョン叔父さんと哲学的な話をする。ジョン叔父さんは大尉に宿題を出した。
「金門橋に二人の男がいる。ひとりは橋で死んだ。もう一人は水に飛び込み、時間をかけて泳いで渡ったが陸にたどり着いた」
 ジョン大尉も水に飛び込むべきかそうでないか、は自分で答えを出せ、と叔父さんは言うのだった。

 市場ではボギーが蛇使いが笛で操るコブラに興味を示していた。また、ハリエットはジョン大尉が市場をぶらぶらと歩いていくのを追いかける。ハリエットはジョン大尉に自分の存在を印象づけたかった。ハリエットは自分の家に誘い、自作の詩が書かれたノートを読ませる。ジョン大尉の評価は良かったもののそこに現れたバレリーの下へとジョン大尉はさっさと行ってしまい、ハリエットはバレリーに嫉妬する。だが後にハリエットが屋上で凧揚げをしているとジョン大尉が手伝ってくれたので、ハリエットは嬉しい気分になる。

 ボギーはカヌーと一緒に庭の神聖な菩提樹を探索していた。すると彼が欲していた野生のコブラを見つける。どうやらこの菩提樹にコブラがいるようだ。

 ハリエットは河が大好きだった。だからいつも河に関する詩ばかりを書いていた。ここの人々はみな河に肉体的にも精神的にも頼っている。町から河へと続く階段。その階段だけでも多様にあり、人々は町の喧騒を離れ階段で河へと降りていく。ハリエットはその河の詩がジョン大尉を魅了すれば、と願った。シェヘラザードが王様に語った千夜一夜物語のように。

 ハリエットはバレリーと会話を楽しむジョン大尉にクリシュナ賛歌【※5】を書くという。
【※5】クリシュナ賛歌:インド神話の英雄クリシュナへの賛歌を中心に置いて描かれる抒情詩。バル・チャンディーダースによって作られる。

 昔々、小さな村。若妻が母と共に河へ行き、子供を授かるためのお祈りをする。そして生まれたのは女の子。女の子は結婚に持参金がいる。家族は持参金を稼ぐためにあくせく働いた。女の子は家族の仕事を手伝い河の流れのようにすくすく成長する。

 その女の子はメラニーがモデル。女の子はある日、美しい若者に恋するが、しきたりにより父が決めた相手と結婚しなければならない。父に逆らえない女の子。女の子は結婚式を美しくしようと米粉で中庭に絵を書く。

 さて結婚式。女の子は初めて花婿と会う。その花婿は偶然にも女の子が恋した若者だった。女の子は若者との結婚を喜ぶ愛の踊りを踊る。男の子には美しい男の神クリシュナが、女の子にはクリシュナが恋した娘ラーダが宿る。ラーダはクリシュナからの愛の力を受け神となった女性だ。



 その後、女の子は若者の子を授かるように、と河へ母と共に祈りに行く。

 そんな詩を書いたハリエットだが、バレリーはクリシュナ賛歌でも何でもない、と文句を言い、ハリエットの詩が書かれたノートを取り上げてそれを読み上げてからかう。そこにはジョン大尉に対する恋慕ともとれる詩が書いてあったのだ。ハリエットはバレリーからノートを取り返そうとして、ノートでバレリーを叩いたりして喧嘩になる。

 ジョン大尉が仲裁しハリエットは去っていく。バレリーは、らしくないとジョン大尉から責められるが、気にもせずジョン大尉と輪投げで楽しむ。だがその輪投げで遠くに投げた輪を取ろうとしてジョン大尉の義足が外れてしまう。ジョン大尉は恨みをバレリーに吐いて、サジャン・シンに肩を貸してもらって連れられていく。

 どうやらジョン大尉はよそへ去るらしい。落ち込むバレリーとハリエット。ジョン大尉に恋しているからだ、とハリエットの母は言い父は馬鹿げてる、と娘たちの心情を理解していない様子。ナンは好きな人が病気なら、花を持っていくと助言しバレリーとハリエットはジョン大尉に花を持っていこうとする。

 ハリエットがジョンの家に向かう途中、菩提樹でコブラを笛でおびき寄せようとしていたボギーとカヌー。ハリエットは急いでいたので忠告するだけしてジョンの家へ向かった。しかしボギーはその忠告を無視し菩提樹のところで笛を吹いてコブラをおびき寄せる。

 ジョンの家ではジョン大尉がメラニーに自分はなにもかもぶち壊す、と愚痴を話していた。彼は混乱しており両足がある人間の国ではあなたはまともではない、と言うメラニーに掴みかかる。すぐに謝罪したジョン大尉。どうやらメラニーはジョン大尉のことを好きで力になりたいようだ。ジョン大尉もメラニーのことを愛しかけていたが、メラニーは愛の重さを知っており、ジョン大尉が追いかけてくるのを拒絶し逃げるように森の中に入っていく。そんなジョン大尉をハリエット、バレリーも追いかける。

 結局、ジョン大尉はメラニーに追いつけなかった。沈んでいたところに、バレリーがやってくる。ジョン大尉は一度は恨み言を吐いたのに自分を追いかけてきてくれたバレリーとキスをする。それを遠くからメラニーとハリエットが見ており、二人は傷心して帰っていった。そしてバレリーは泣き出す。その涙はジョン大尉との別れではなく、友達がいて、憧れの人が近くにいて、の幸せが終わってしまうことに泣いていたのだ。

 帰ってきたハリエットを母が慰める。ハリエットはこれから、心も体も子供を産むことができる大人の女に変わっていくのだ、子供を産むことは辛いが幸福なことであり愛と似ていると説く。ハリエットはそんなの嫌だ、と大人の女になることを拒絶する。

 しばらく昼寝したハリエット。起きてからボギーがどこにも居ないことに気付く。また、カヌーを見つけるが何故か逃げていってしまった。不安になったハリエットはボギーを探し笛を見つける。森の奥に入ると、コブラに噛まれて死んだボギーを見つけたのだった。

 ボギーの遺体は棺桶に入れられて運ばれていく。悲しそうに見つめるハリエットの家の女子たち。その後、ジョン叔父さんはジョン大尉相手にボギーは幸せだ、と話す。ボギーは子供のまま人生を終え人生の辛苦から逃れることができたのだ、と。大人が子供を学校に押し込め無理矢理に戒律を叩き込ませる。そして大人が戦争に駆り立ててテキの殺戮を強要する。子供は自由に生きる動物らしい生き方をしていて、大人などいなければいい世界になるのだ、と。

 ハリエットはボギーがコブラをおびき寄せようとしていたことを知っていたのに、父に報告しなかった、と自分を責めていた。そして夜遅くに一人で外に出て舟を使って河に出る。ボギーの遺体に会いに行こうとしたのだ。

 ジョン大尉はボギーの死に感慨にふけっていた。メラニーはそんなボギーにアドバイスをする。片足だけの自分が嫌でもそれを認めなければ何にもならない、と。そして人間はいつも不平を訴える生物なのだ、とも。そこへハリエットが居なくなったという知らせが入り、ジョン大尉は急いでハリエットを探しに行く。

 結局、ハリエットは河を彷徨い、漁師の舟に助けられた。ジョン大尉がその舟にやってきてハリエットの話を聞く。死んでしまいたい、と嘆くハリエットにジョン大尉は
「もう一度生きるんだ。色んな出会いと出来事によって人の心は生死を繰り返すんだよ」
 と説く。その言葉に励まされたハリエット。ハリエットはジョン大尉に告白をして、バレリーとおあいこの立場に立ったことを嬉しがる。

時は過ぎて、春。

 村ではヒンドゥーの祭・ホーリー祭が開かれていた。春の訪れを祝い人が人に色粉をかけあうお祭りだ。

 ハリエット、メラニー、バレリーの三人に手紙が届く。アメリカのジョン大尉からで、ジョン大尉が結婚した、という知らせだった。その時ちょうどハリエットの母が子供を出産した。女の子だった。

 今日は赤ちゃんが産まれた。河は流れ地球は回る。朝・昼・夕・夜と巡り一日が終わってまた新たな一日が始まる。







 ジョン大尉の言った生死を繰り返す、それは破壊と創造の神カーリーによる破壊と創造の言い換えともとれますね。破壊が死、創造が生。破壊なくして創造はありえない。破壊創造を繰り返し世界は形成される。肉体というよりは心が死ぬ、変わることで新たな感情が生まれ人間は成長していく。人間も世界も流転を繰り返してるんですよー、っていう考えがこの映画には表れてますね。

 さあこの映画のタイトルは「河」。この映画の河というのはダバダバダバー!!と洪水の時のようにメチャクチャ速い河ではないですね。ゆったりしてます。やっぱりお父さんの描く川みたいに、動いているんだけど、止まっているように見える、そんなゆっくりとした川ですね。この映画は展開も登場人物の活動も基本はゆったりとしています。それはこの村の人々がみな川に依存していることの象徴でもありますね。この作品はインドのある村の人々の生活を描いているようで、その実ガンジスの河を描いているのではないでしょうか。

 三人娘と河の関わりについて。三人娘は、小娘、未熟な人間として描かれています。バレリーは勢いに任せるだけの小娘、ハリエットはかまって欲しい小娘、メラニーはなにもかも知っているように装いながらも、それを理由に前に進むことを恐れる小娘。この娘たちは終盤までは河ではありません。時々立ち止まって、後ろを振り返る。しかし春を迎え成長することで彼女たちは後ろを振り返ることをせず前へひたすら流れていく河となりました。それがこの映画でいう大人への成長という事ではないでしょうか。

 でもこの映画はその成長、河になることを完全に肯定している、とは言えませんね。大人に教わり、子供が大人になるのが人間の本来の持ち合わせるべき動物性から遠ざかることだ、とジョン叔父さんも言ってました。だからこの映画はガンジスの河を描くのが一つ、もう一つは子供から大人になること、つまりは大人(私は大人を河とも言いました)になることについて考えてください、という問題提起的な面もある映画なのではないでしょうか。

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猫好きの人のための映画!私も猫好きですね!が、猫アレルギーなんですよねえ。


『こねこ』 Котёнок (1996年・露)
こねこ
スタッフ
監督:イワン・ポポフ
脚本:イワン・ポポフ、アレクサンドル・マリヤモフ
製作:エレナ・チシナ
撮影:ウラジミール・ファステンコ
編集:ワレリーヤ・ベロワ
音楽:マルク・ミンコフ
キャスト
フェージン:アンドレイ・クズネツォフ
マーニャ:マーシャ・ポポワ
サーニャ:サーシャ・ポポフ
マーニャたちのパパ:アレクセイ・ヴォイチューク
マーニャたちのママ:タチヤナ・グラウス
マーニャたちの婆ちゃん:リュドミーラ・アリニナ
指揮者:アレクサンドル・フルギン
地上げ屋の手下:アレキサンダー・ペスコフ、オレグ・ベルシーニン



 イワン・ポポフ監督作品「こねこ」。原題は「Котёнок」。ちなみに英題は「The Kitten」。

 この映画はタイトルにあるとおり、子猫が可愛くて、それに癒されるヾ(*´∀`*)ノというのもありますね。子猫の可愛さ。これがバーンっと!子猫の動きの仕草の可愛さもあってああ、可愛いなあとか思わせられます。

 監督のイワン・ポポフさんは5人の子持ちです。この映画の音楽はクラシックなどは全然使われておらず、ウキウキする音楽ばかり使われていました。それは子供にもちゃんと観てもらえるように、との事だそうです。この作品はイワン・ポポフ監督の長編映画第1作だそうですよ。ちなみにこの映画のチグラーシャ、計5匹の虎猫が使われるのですが、そのうちの3匹は監督さんが飼っている虎猫だったそうです。

 アンドレイ・クズネツォフ。この人は実際に動物相手にサーカスをやっていた人です。この映画でも無類の動物好きで、動物をうまく操り懐かれている役をやってます。監督さんはこの人がいたから映画がうまく撮影できた、とこの人との出会いを幸運に思っていたようですね。

 舞台はモスクワ。ソ連が崩壊したばかりでまだまだ新生ロシアも混乱を極めていた時代に違いありません。そんな時代に子猫の視点からロシアの現在の姿を描いていますね。特に大きな出来事は起こりません。本当に当時のロシアを猫がたくましく歩く、といったような映画です。しかしその映画に当時のロシアの“景色”といったものが鮮明に描かれています。

 さて景色に繋げて私の感想を一言。この映画はとにかくロシア芸術だなあ、と思いました。ロシアの芸術家というのはとにかく風景を大切にします。その流れがこの映画でくっきりと見て取れました。ネコを主人公としてAとします。ネコが歩く背景に移る景色をBとします。とにかくAを観客に魅せるにはまず背景のBも大切にしなきゃなんねえ。それがロシア芸術にはあるのだと思います。だからこの映画は背景の景色でも妥協はしてません。背景を美しく撮ることで主体すらも輝かせていました。私はそう感じましたね。この映画の魅力はネコちゃんだけでなく、景色の美しさという所にもあると思います。
 それは田園の美しさ、ではありません。モスクワのソ連崩壊直後の都市の美しさ、というものがこの映画にはありましたねえ。




【あらすじ】

 マーニャの誕生日。マーニャへの誕生日プレゼントとしてお婆ちゃんが虎猫を買ってくる。虎猫はチグラーシャと名付けられ最初こそは家をひっちゃかめっちゃかにして、困らせていた。やがて家族全員に可愛がられるようになるが・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 市場でマーニャ(マーシャ・ポポワ)は誕生日プレゼントにお婆ちゃん(リュドミーラ・アリニナ)から虎猫を買ってもらった。マーニャは弟サーニャ(サーシャ・ポポフ)と共に猫を可愛がる。

 さあ誕生日パーティで家族と集められた親戚全員にお披露目された虎猫。パパ(アレクセイ・ヴォイチューク)とママ(タチヤナ・グラウス)らは虎猫の名前を何にしようか、と家族中で話し合いお婆ちゃんの命名した“チグラーシャ”に決まる。

 さてチグラーシャは家具諸々に興味を示す。そして色々引っ掻き回してはマグカップを割ってしまったりフルート奏者のパパの音符をバラバラにしてしまったり、ととにかく家族を困らせる。ママはもはや我慢の限界。

 パパも、チグラーシャに自分のフルート用ケースを“お便所”に使われたことで赤っ恥をかいてしまう。とっ捕まえて放り出そうとしたが、マーニャとサーニャに庇われ手出しができなかった。

 だが時が経てばチグラーシャもきちんとおトイレすることを覚え、なお一層、家族から愛情を受けることになる。

 ある日、窓の外の小鳥が気になってチグラーシャはつい窓から外へ飛び出してしまう。落ちた場所は輸送トラックのネットの上。やがてトラックは動き出し、チグラーシャは降りられないままになってしまう。

 ゲームに夢中で気付かなかったマーニャとサーニャはエサをあげようとしても来ないことで、チグラーシャがいなくなってしまった事に気付く。その日はパパもママも懸命に探すが、チグラーシャは見つからない。

 当のチグラーシャは夜になって、家から離れて何処か分からないところでやっとトラックが止まりチグラーシャは道路に降りた。

 文字通り路頭に迷ったチグラーシャ。マンホールの上で温まっていたが、大きな犬ッコロが二匹、チグラーシャを追い払ってマンホールの上で温まり始めた。

 翌朝、チグラーシャは町民の残り飯を食べていた。一方、パパは同僚の指揮者(アレクサンドル・フルギン)の提案で街中に貼り紙を貼る。しかし賞金目当ての悪ガキが違う虎猫を連れてきたり、連絡があってもそれは違った虎猫だった、という事ばかりで本物のチグラーシャは見つからない。

 チグラーシャはゴミ箱の中で食べ物を漁っていたところを心優しいオバサンに拾われ、レストランに連れて行かれ、そこで飯と暖かい場所を与えられた。だが閉店のとき、レストランの飼い猫がチグラーシャを追い出してしまう。外に出たチグラーシャは除雪車に恐怖し、木の上に登って夜を過ごす。

 夜が明けると木の上にはカラスがたくさんとまっていた。チグラーシャはカラスにいじめられ、木から落っことされてしまった。さあ今度はドーベルマンがチグラーシャを追っかける。逃げるチグラーシャはついに追いつかれそうになるが、同じ虎猫に助けられる。チグラーシャはもう一匹の虎猫についてき、その虎猫はあるアパートに入っていった。

 そこに暮らしていたのは沢山の猫と同居している男フェージン(アンドレイ・クズネツォフ)だった。先ほどの虎猫はワーシャというらしい。他にもシャム猫のイザウラ、2本足でジャンプをするのが得意なぶち猫のジンジン、同居猫の中で一番高価そうなベロ出しっぱなしのペルシャ猫のシャフ、白猫のペルシーク、他にブドゥライ、黒猫二匹が飼われていた。更にご近所さんに飼われているがよく遊びに来るデブっちょの白猫のプショークらがいた。

 フェージンはチグラーシャにエサを与えてやり、捨て猫かなにかだと思い“シピンガレット”(いたずらっ子)と名付ける。

 その日の夜中、パパとママはショックを受けているマーニャとサーニャに新しい猫を買ってやることを話し合っていた。サーニャはトイレのために起きてその話を聞いてしまう。

 翌朝、融雪剤を撒く仕事をするフェージン。キオスクのお姉さんにペルシークは懐いており、フェージンはキオスクのお姉さんに恋しているようだ。フェージンはペルシークとサーカスをする夢を思い描いたりもした。

 フェージンが帰宅するとアパートの玄関に勝手に看板を取り付けられており、家の中では地上げ屋とその手下(アレキサンダー・ペスコフ、オレグ・ベルシーニン)が待っていた。三人は脅すように早く家から退居するようにサインをしろ、と迫っていた。

 一方、もし新しい猫を買ったら、という話でマーニャとサーニャが話し合っていた。もし新しい猫を買ったらせっかくチグラーシャが帰ってきてもチグラーシャは他の猫が家にいることを匂いで判明し、引き返しちゃうかもしれない、と。

 地上げ屋はフェージンに仕事を与える人物にまで圧力をかけてフェージンをクビにさせてしまう。フェージンは新聞売をして稼ごうとするが、今度は手下に無理やり、車に詰め込まれ、彼らの用意した新居を見せられる。しかしフェージンは新居に移るつもりもなく隙をついて逃亡する。

 日はクリスマスへと近づいており、マーニャとサーニャはテレビを使って失踪したペットを探す番組を観て、チグラーシャをテレビを使って探して欲しい、と父に頼み込む。

 フェージンは新聞売の仕事も失い、次に始めたのは地下街での路上パフォーマンス。みんなはお金を入れてくれたが、そこへ地上げ屋の手下がやってきて、パフォーマンスを台無しにしてしまう。更にパフォーマンスで稼いだ金も心無い人間によって盗まれてしまった。

 さて、フェージンはこれ以上は逃げられない、と覚悟を決めたのかシャフを老夫婦に売りつける。しかし帰りに乗り込んだバスに売りつけたシャフが乗ってきてしまい、フェージンは詐欺師まがいのことをしてしまったなあ、と思いながら老夫婦から得た金でささやかな晩餐を猫たちと開く。

 その時、チグラーシャを探している、というコマーシャルが入りフェージンはそれが“シピンガレット”だと気付いた。そこへまたしても手下たちが無理やり押し入ってきた。

 手下は契約書に無理やりサインさせようとチグラーシャの首根っこを掴んでサインしないと猫の首をそぎ落とすぞ、と脅迫してくる。フェージンは書くフリをして、手下に掴みかかる。手下と揉め合いになり、フェージンは突き飛ばされて冷蔵庫に頭をぶつけ血を流して動かなくなってしまった。

 手下たちはその隙に家具を持ち出そうとしたが、怒ったネコたちが手下二人に襲いかかる。異変に気づいた近隣住民が警察に通報し、手下二人は逮捕。フェージンも搬送され、猫たちはついに帰るアテが無くなってしまった。

 翌朝、食料を確保するために!まずシャフがその高価さをプリップリに出して、ソーセージ売りのオヤジを惹きつける。その隙にイザウラは売り物のソーセージを盗み出してしまった!
その後、何故か一度もシャフが登場しないのですが、オヤジに捕らわれた、という事で良いのでしょうか?

 さあ夜。コンビニのファン(通風機)から中に潜入したワーシャ、イザウラ、ジンジン、チグラーシャ。しかし店のオヤジに見つかってしまい、ファンから緊急脱出するワーシャ、イザウラ、チグラーシャ。さてジンジンが一足遅れて逃げようとするがオヤジがファンを回してしまい通れなくしてしまった。

 ジンジンは大人しく投降する。オヤジはジンジンを可愛がり、ミルクとソーセージを与えるのだった。

 翌朝、クリスマスの日。再びフェージンの家に帰ってきたワーシャ、チグラーシャ、イザウラ。そこへジンジンが帰ってきた。しかしフェージンは帰ってこない。夜、プショークの飼い主の家の窓ぶちを歩くと温かい家で可愛がられていたプショークがいた。プショークは意味ありげな目でワーシャたちを見つめ、ワーシャは窓に吊るされたエサを取ろうとするが、飼い主がそれを追い払ってしまう。

 さあ、ある家に忍び込んだワーシャたち。そこにはエサや飲み物があり、それにありつける四匹。そこでチグラーシャは聴いたことのあるフルートの音を耳にする。すぐさまその音の場所へ走り、フルートを演奏するパパの下へと現れる。家族はチグラーシャと無事、再会した。そのシーンを見ていたワーシャたちは静かに去っていく。

 さてクリスマスの夜。フェージンは退院し家に帰ってくる。キオスクの近くで新しい子猫を見つけたフェージン。そして、いつものキオスクでシャンパンを購入するフェージン。キオスクの姉さんから牛乳をプレゼントされた。

 フェージンの家ではすでに行き過ぎた交渉により地上げ屋の手下たちが逮捕され、立ち退き計画自体は消滅したが、電気は止められていた。ロウソクの火を灯すフェージン。

 一方、帰宅したチグラーシャはすぐにお風呂で体を洗われ、クリスマスパーティーがまさに開かれようとした。そしてパパがシャンパンを開けようとしていた。明るい賑やかな幸福がこの家に取り戻された。

 フェージンはシャンパン一本を机に置き、新しい子猫にミルクを与えじゃれつく。そこへロウソクが灯っているのを見つけたワーシャ、ジンジン、ブドゥライ、イザウラが次々と家に帰ってくる。フェージンは新しい虎縞の猫をルイジックと名付けたのだった。静かでささやかな幸せがこの家に戻ってきたのだった・・・









 最後の幸せの二つの家の対比もなかなかに良かったですね。これは暗く捉えるとロシアの貧富格差を表しているのですが、その二つの家の中でも幸せが取り戻された、と思えばいいと思います。

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間諜

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スパイ物映画。こういう映画って多分、映画がよく作れてTVが無かった時代だったからこそ作れたと思います。


『間諜』 Dark Journey (1937・英)
間諜
スタッフ
監督:ヴィクター・サヴィル
脚本:ラヨス・ビロ
製作:ヴィクター・サヴィル
撮影:ジョルジュ・ペリナール、ハリー・ストラドリング
音楽:リチャード・アディンセル
編集:ヒュー・スチュアート
キャスト
マドレーヌ・ゴダール:ヴィヴィアン・リー
マルウィッツ男爵:コンラート・ファイト
ボブ・カーター:アンソニー・ブッシェル
ルピタ:ジョーン・ガードナー
フェイバー:フィリップ・レイ
使用人アナトール・ベルゲン:エリオット・メイクハム
ドイツ人店員ガートルード:アースラ・ジーンズ
シェファー少佐:サム・リヴシー



 ヴィクター・サヴィル監督作品「間諜」。原題は「Dark Journey

 原題直訳すると「秘された旅行」。Darkにはうす暗いとか闇の、という一般的な意味がありますが、ここでは恐らく秘密の、みたいな意味だと思います。ジャーニーは、センチメンタル・ジャーニーとあるように旅行ですね。

 そんな原題に対して邦題は「間諜」。つまりスパイ、という意味。これはちょっと短絡的じゃございませんかね。せっかく原題が秘密旅行、なにそれ気になる!?と興味をそそりたくなるような感じなのにこれじゃ最初から主人公がスパイだって明かしちゃってます。若干白けますね。恐らく『間諜X27』(1931)というマレーネ・ディートリッヒの大ヒット映画があったのでそれをパクっちゃおう、みたいな感じではないでしょうか。

 さて監督のヴィクター・サヴィル。あの時代的に言えばいわゆる大作とか問題提起作に長けた監督とは言い難いです。娯楽作品だとかストーリーを楽しませる作品が傾向として多いですね。他の作品には「銀の盃」(1955)、「大地は怒る」(1947)、「育ちゆく年」(1947)などがあります。これらの作品は結構、良作らしいのでぜひ観てみたいですね。

 キャストはまずヴィヴィアン・リー。彼女は言わずもがな「風と共に去りぬ」(1939)ですよ。これの次の年、1938年にリーはアメリカに渡り製作のデヴィッド・O・セルズニックに認められてスカーレット・オハラの役を得たわけですね。それまでは、イギリスのみでその美しさを活かしイギリスの映画界で活躍していたに過ぎない女性だったんですね。

 さてヴィヴィアン・リーのメロドラマの相手役の俳優はコンラート・ファイト。私はこの人がイケメンポジションをやると知ってまず最初にビックリしましたね!私の中では「ガリガリ博士」(1920)のイメージがありました。そしたらやっぱりこの人、この映画でも1回だけすっごい怖い顔します。さすがはアメコミの「バットマン」のキャラクターのジョーカーのモデルになっただけはあります。この人は私の中で永久に怖い俳優さんとして刻み込まれるでしょう。

 私は中盤まで気付かなかったんですが、これ冒頭で時系列的に中盤のシーンを挟み込んでから、時系列の最初から流すという構想になってたんですね。

 さて時代背景はというと、この映画が1937年ということでこの映画で描かれているのはおそらく第一次世界大戦のころだと思われます。第二次世界大戦はまだ開戦されてませんが、ドイツはすでに着々と戦争に突き進み始めていましたね。戦争において兵力も確かに大事ですが情報収集もとっても大事です。そんな背景がこの映画にはあるのでしょうね。



【あらすじ】

 衣服屋さんの経営者マドレーヌ・ゴダールはスウェーデン・ストックホルムに店を置いていた。衣服の仕入れにしばしばパリへ行き、帰ってきた時には“伯爵夫人”のお屋敷に行き、衣服の刺繍を見せる。マドレーヌが情報提供者から得た連合軍の情報が刺繍されているのだ。その伯爵夫人にはドイツ人がいて、マドレーヌはドイツのスパイなのだが実は・・・












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 1918年・春

 ドイツ軍のUボート(Uボートは潜水艦のこと)はパリ行きのオランダ船を停めて乗客の確認をはじめる。パスポートのオランダ人と偽ったベルギー人(当時、ドイツとベルギーは敵国同士であった)の国籍偽造者が捕らわれた。彼はどうやらベルギーのスパイだったようだ。

 ストックホルムでブティック店「マデレーヌ」を営むマデレーヌ・ゴダール(ヴィヴィアン・リー)はUボートの将校(ロバート・ニュートン)による取り調べを受ける。

スウェーデン・ストックホルム

 時はさかのぼって、ストックホルムの店でマデレーヌはある服を顧客の“伯爵夫人”に召使のアナトール・ベルゲン(エリオット・メイクハム)と共に届けに向かう。奥の部屋に“伯爵夫人”がいるというのだが、そこにいたのはドイツ人のシェファー少佐(サム・リヴシー)。

 マデレーヌはパリから持ってきた仕入れてきたというドレスを箱から取り出し、その部屋にあった西部戦線の地図を模した照明に充てて、刺繍とてらしあわせる。つまり、このドレスには西部戦線におけるドイツの敵国の攻撃位置情報が刺繍によって書かれていたのだ。

 さて、その情報はサーチライトによる信号灯で海上のドイツ船に知らせられるのだった。つまりマデレーヌはパリに潜り込んで活動するドイツのスパイだったのだ。

 ベルリンにあるドイツ第8諜報部では将軍(エドモンド・ウィラード)がイギリス軍の軍曹から情報を聞き出していた。彼はスパイだったのだ。エージェントのK1とK2が行方不明でその情報が不明であること、そして中立国を中心に情報収集を活発的にしよう、という結論に至る。そしてストックホルムにも優秀なスパイが送り込まれることに。

 スウェーデン入国審査局ではドイツ人医師のドクター・ミュラー(オースティン・トレヴァー)とドイツから亡命してきたドイツ人男爵マルウィッツ(コンラート・ファイト)が入国してくる。彼は戦争で負傷し杖をついていた。その後、マルウィックはナイトクラブで数人の女とイチャついていた。

 マデレーヌはボーイフレンドの英国諜報部の諜報員ボブ・カーター(アンソニー・ブッシェル)に誘われナイトクラブへ行く。車に乗り込むマドレーヌを見て、第8諜報部から派遣されたミュラーはシェファー少佐から彼女の素性について聞いていた。シェファー少佐の方はよく働く諜報員だと信頼していたが、ミュラーは疑いを持っていた。

 ナイトクラブでは相変わらずマルウィッツがモテモテ。何でも、たくさんの国を渡り歩いて「自分とキスした後、女が何と言うか」について熟知していて賭けをしてもいい、という。さてそこへ勝気な女のルピタ(ジョーン・ガードナー)が現れ、キスをして「まだまだ練習不足ね」と言う。するとマルウィッツは胸ポケットから付箋らしきものを取り出す。そこには“練習不足ね”と書かれていた。まあ見事に当てた、というわけだ。ルピタはマルウィッツに感激する。

 さあ、そのナイトクラブへマデレーヌとカーターがやって来る。マルウィッツがすごい男だ、という話を聞き、マデレーヌはそのネタを明かす。きっと胸ポケットに女が言いそうな言葉を羅列した付箋でも詰めてるに違いない、と。それを聞いていたルピタはカンカンに怒り、マルウィッツを問い詰める。やはりマデレーヌの言ったとおりだった。マルウィッツはそのことを聞き、マデレーヌのことを気になると共にルピタをなだめるために一緒にダンスを踊る。

 やがてマデレーヌの店にルピタを引き連れてマルウィッツがやってくる。マルウィッツはルピタに一式の試着に向かわせて、マデレーヌに話しかける。二人は雑談で盛り上がる。

 一方、ルピタはそんな二人を見たりしてかなり不機嫌になってグランドホテルに帰ろうとする。マデレーヌに気があるのが丸分かりのマルウィッツの態度を見てルピタは超不機嫌なご様子。

 グランドホテルに着いて《アヴェ・マリア》のヴァイオリンコンサートをみんな聴いてる中でルピタがマルウィッツに自分の父親は将軍なんだ、などと大声でまくし立てる。結局、迷惑行為でコンサート会場から追い出された二人。ルピタは好きに女店主のところにでも行きなさいよ!などと言って勝手に帰ってしまう。

 さあマルウィッツは言われたとおりにマデレーヌにやって来る。そして今日のルピタの不機嫌な態度の非礼を詫びる。そして去ろうとしたが、マルウィッツは自分は寂しい男になってしまったなあ、などと同情心を誘って食事に誘う。マドリーヌはそれを丁重にお断りする。

 一方、ボブ・カーターはマデレーヌのことを少し疑っていた。彼女にはドイツ人のお友達が多いではないか、と。

 さて、マデレーヌはマルウィッツのことをアナトールを使って、ドイツから問合わせていた。どうやら死刑判決を受けドイツから逃亡した亡命者らしい。マデレーヌはもうすこしアナトールに探らせようとする。

 それからしばしばマデレーヌにマルウィッツがやってくる。食事を誘う、という理由だけで買い物をして、時には邪魔までしてしまうのだ。マデレーヌはマルウィッツを咎めるが、やがて折れて食事の誘いを受けてしまう。

 さあマデレーヌは伯爵夫人の邸に行き、ドレスの刺繍から情報をもたらす。シェファー少佐らは敵軍の攻撃の日程と場所をそのドレスの刺繍により知り、海上のドイツ兵に知らせる。だが、その情報は間違っておりドイツ軍は逆に痛手を食らってしまった。

 一方、出張していてロンドンから帰ってきたボブ・カーターはマデレーヌの店を訪れる。そこで見つけたのは殺されて遺体となったアナトールの姿だった。ボブはすぐに警察に電話をする。

 その頃、マデレーヌとマルウィッツは、レストランで良い雰囲気になってた。どうやら二人は愛を深め合っていたらしい。マルウィッツはマデレーヌに求婚するがマデレーヌは拒絶する。確かに愛し合っているハズなのに。そこへ警察官がやってきた。警官はマデレーヌにアナトールが殺されたことを伝え事情聴取をとることになる。

 警官はマデレーヌにアナトールがドイツから派遣されたスパイだと説明する。それもそのハズ。マデレーヌの協力者なのだから。警官はマデレーヌもドイツのスパイではないのか、と疑うがボブがそれを擁護する。

 帰ってくるとシェファー少佐とミュラー医師が待ち構えていた。どうやら犯人はアナトールが探っていた人間の仕業のようだ。そして二人がもう一つ、悲報をもたらす。それはマデレーヌの持ち込んだ情報が間違いであった、ということだ。二人はもう一度、パリに行くように命じる。何があったのか、そして消息不明のスパイK1とK2の消息を探るように、とのことだった。

 さあ経つ前にマデレーヌはマルウィッツの泊まっているグランドホテルに伝言を残しておく。自分はパリへと経つ、と。翌朝、マデレーヌは汽車に乗り込み、マルウィッツも伝言を読んで駅へと向かうがなぜかマデレーヌと顔を合わせていない。また、英国諜報部でボブの友フェイバー(フィリップ・レイ)も汽車に同乗していた。

 そしてフランス行きの船でマデレーヌはUボートの検査を受ける。(冒頭を参照

 フランスの港の入国審査局でマデレーヌは逮捕されてパリへ護送される。そしてパリで拘禁の刑を受ける。しかしその前にマデレーヌはコッティン商会のコッティン(ローレンス・ハンレイ)に会いに行くことを許可される。

 コッティンは実はフランス諜報部の高級将校だったのだ。そしてコッティンはマデレーヌの働きによって彼女にフランス軍最高勲章を与える、というのだ。そう実は彼女、フランス軍のスパイ。つまり二重スパイで、しかもフランスにとって都合のいいようにドイツに情報を流していたのだ。

 マデレーヌはコッティンからK1とK2の情報を聞く。やはり射殺されていたらしい。うちK1は女性スパイだった。マデレーヌはマルウィッツへの恋慕もあり、これ以上人を騙したり危険な目に遭うスパイ活動はしたくない、という。コッティンはもっと働いて欲しかったが妥協して次の仕事を最後にする、という。その仕事はドイツ軍第8諜報部長が誰かを探る、ということだった。マデレーヌはミュラー医師ではないのか?と言うが、どうやらもうひとりいるらしい。

 一方、フェイバーはボブと共にマデレーヌがドイツのスパイでは、と疑って拘留させようとしていたがフランス諜報部から事情を聞き誤解を解く。

 さてストックホルムに戻った夜。マデレーヌはマルウィッツと共にナイトクラブに来ていた。そこでマルウィッツはドイツ軍捕虜と再会。しかしドイツ軍捕虜が「お前は逃亡者じゃない!」と言ってぶっ叩き喧嘩になってしまう。その時、マデレーヌはマルウィッツが第8諜報部長なのではないかと疑い一人でそそくさと家に帰る。

 追いかけてきたマルウィッツに、マデレーヌはあなたが第8諜報部長さんなんでしょ、と聞きマルウィッツは驚く。しかしマルウィッツ自身もマデレーヌがフランス軍のスパイだと気づいていたようだ。マデレーヌは私を仕事やその他もろもろから奪い去って二人で静かな場所で暮らしましょう、と言うがマルウィッツは「その夢は叶わないだろう」と答える。悲しみに暮れるマデレーヌ、そしてマルウィッツはそのまま去っていった。

 さてマルウィッツは“伯爵夫人”の邸に戻り、ミュラーやシェファーに指示を出す。明日、マデレーヌを始末する任務を実行するようだ。

 一方、ボブとフェイバーに助けを求めたマデレーヌ。ボブはマルウィッツ達が中立国スウェーデンに潜伏しているドイツのスパイである身柄上、現地警察を避けているので、それを利用しよう、と考える。

 翌朝、マデレーヌの店で何者かが貼った大セールの貼り紙により店内は大勢の客で溢れかえっている。それによりドイツ人がマデレーヌを店外へ連行するのは訳ないことだった。しかしその瞬間、何らかの通報を受けたスウェーデン警察がマデレーヌを逮捕しに来た。どうやらマデレーヌがドイツからのスパイだと判明したらしい。

 マデレーヌはすぐさま裁判を受け裁判長(ヘンリー・オスカー)により国外処分の判決を受ける。

 一方、始末のタイミングを逃したマルウィッツらだったが、国外追放の船を襲い、マデレーヌを捕らえればいいと計画を移す。

 やがて、マデレーヌは船に乗り込む。客室の一室に拘禁され、ドイツ人が客室に押し入ろうとしたがドアの鍵が開かず船員に怪しまれたので去っていく。

 船がスウェーデンを経ってしばらくしてUボートの襲撃を受ける。マルウィッツが率いるUボートで、マルウィッツはマデレーヌを国籍偽造者として捕らえる。

 Uボート行きのボートに乗せられたマデレーヌ。しかしボートがUボートに到達する前に商船が近づいてくる。しかしその船は商船に扮したフェイバー率いるイギリス軍のQシップだったのだ。

 イギリス軍船はUボートを奇襲攻撃に近い形で砲撃し撃沈させる。マルウィッツは抵抗を諦めQシップに投降する。マデレーヌはなんとか助けられたのだった。

 マルウィッツはどうやら駆逐艦に移動させられるらしい。マデレーヌはマルウィッツが射殺されるのか?と不安になりフェイバーに聞くがどうやら捕虜は射殺してはいけない、という事になっているらしい。

 マルウィッツはギャングウェイを降りて駆逐艦行きのボートに乗り込む。マデレーヌもギャングウェイを降りて、ボートに乗ってこちらを見つめるマルウィッツを強く見つめ返すマデレーヌ。そして「あなたを待っています!」と叫び手を振る。マルウィッツも手を振り返した。

 Qボートと駆逐艦が別れて同じ方向へと進んでいく。警笛を鳴らしながら・・・








 お別れのシーンで、二人の乗る二つの船が同じ方向へと進んでいくラストシーンはなかなかにいい構図だと思いますね。メロドラマっぽい構図です。このシーンが二人が一緒に歩いていく、ということを暗示している、とは一概に言いにくいんですが。

 この映画はやっぱりヴィヴィアン・リーが美しいんですよねえ。ええ。あとコンラート・ファイトが怖いんですよねえ。ええ。

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Category: 洋画カ行
三船敏郎とクリント・イーストウッドの用心棒は本当に安心感がありますねえ。


『荒野の用心棒』(1964年・伊)
荒野の用心棒
スタッフ
監督:セルジオ・レオーネ
脚本:ヴィクトル・アンドレス・カテナ、ハイメ・コマス・ギル、セルジオ・レオーネ
製作:アリゴ・コロンボ、ジョルジオ・パピ
音楽:エンニオ・モリコーネ
配給:ユナイテッド・アーティスト
キャスト
名無しの男ジョー:クリント・イーストウッド
マリソル:マリアンネ・コッホ
シルバニト:ホセ・カルヴォ
棺桶屋ピリペロ:ヨゼフ・エッガー
鐘つきホワン・テディオス:ラフ・バルダッサーレ
アントニオ・バクスター:ブルーノ・カロテヌート
ジョン・バクスター:ウォルフガング・ルスキー
ドナ・コンスエラ・バクスター:マルガリータ・ロサノ
エステバン・ロホ:ジークハルト・ルップ
ドン・ミゲール・ベニート・ロホ:アントニオ・プリエート
ラモン・ロホ:ジャン・マリア・ヴォロンテ


 セルジオ・レオーネ監督作品「荒野の用心棒」。原題タイトルは「Per un pugno di dollari

 淀川長治が「マカロニ・ウェスタン」という呼び名を定着させた映画でもありますね。でもこの映画はどうも中身のない西部劇、という暗喩が込められているという説があるようで、私はそれを知ってしまったらマカロニ・ウェスタンという呼び方は使いたくなくなりますね。では私は正しい呼び方であるスパゲッティ・ウェスタンで呼んでいこうと思います。

 主演はクリント・イーストウッド。彼は元々アメリカのテレビドラマ「ローハイド」ですでに日本でもアメリカでも大人気でした。ローハイドはこの映画の翌年に放送終了していますので、この映画が作られたのはドラマの放映最中だったということですね。イーストウッドもこの映画の撮影が終わったらアメリカに帰ってまたドラマに出ています。

 ストーリーは完全に黒澤明の「用心棒」(1961年)ですね。でもセルジオ・レオーネらは東宝に許可を取っていなかったので訴えられちゃいました。結局、レオーネ側が負けて金を払ってますね。でもこの払った金額というのが少なくて黒澤明は日本の映画に疑問を持ち、ハリウッドへ行く原因にもなったそうですよ。

 この映画はぜひ吹き替えで観たかったです。山田康雄のクリント・イーストウッドで痺れたかった。今度、吹き替え版も観賞しますよ。


【あらすじ】

 アメリカとメキシコ国境にある小さな町サン・ミゲルに一人のガンマンが流れついた。ガンマンはこの町で二つの勢力が抗争状態であることを知り、この二つの勢力を同士討ちさせて壊滅させてしまおうと目論み、酒場のオヤジに泊めてもらう・・・


♪ エンリコ・モリオーネ


荒野の用心棒のシーン













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 アメリカ=メキシコ国境の小さな町サン・ミゲル。

 ガンマンのジョー(クリント・イーストウッド)はサン・ミゲルにやってきた。

 町に入って最初に見た光景は、子供がママであるマリソル(マリアンネ・コッホ)に会おうとして太った男チコ(マリオ・ブレガ)に威嚇射撃され、子供の父が理不尽な暴力を受け、町を追いだされそうになっているところだった。

 町に不審な予感を感じたジョーは町の鐘つきホワン・テディオス(ラフ・バルダッサーレ)に話しかけられ銃を買いたいのか?とかしつこく聞かれる。

 その後、ジョーはバクスター家の子分たちからからかわれて馬の足元を撃たれ馬が暴れてしまう。ジョーは馬を下りて、近くの酒場に入り込んだ。

 酒場のオヤジのシルバニト(ホセ・カルヴォ)は酒をおごり、ジョーにさっさと町を出ていくよう勧める。

 この町では酒を売り物としているロホ兄弟と銃を売り物としているバクスター家の二大勢力がいるらしい。この二つの勢力は抗争状態にあるが、どうやら今のところロホ兄弟が有利らしい。しかし町自体は物寂しく、儲かってるのは棺桶屋のピリペロ(ヨゼフ・エッガー)くらいらしい。

 ロホ兄弟にはラモン・ロホ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)という凄腕ガンマンがいるらしい。ジョーはあることを思いつき、ロホ家に向かって俺を雇え、と叫んでからバクスター家の方へ向かっていく。

 バクスター家では先ほどジョーを馬鹿にしたガンマン4人ほどがいた。ジョーはそのガンマン4人に先ほど馬を馬鹿にした仕返しだ、とか言ってガンマンを4人とも撃ち殺してしまう。

 そこにジョン・バクスター(ウォルガング・ルスキー)という保安官が出てくる。ジョンはジョーに対して逮捕して処刑するぞ、と脅すがジョーは使えない保安官は遺体でも埋めてろ、と一蹴して去って行った。

 ロホ兄弟の屋敷に入れてもらったジョー。ドン・ミゲール・ベニート・ロホ(アントニオ・プリエート)は彼を用心棒として気に入り100ドルで雇うことを決める。エステバン・ロホ(ジークハルト・ルップ)はアメ公ごときに100ドルも払うのか!と反発するが、ミゲールはジョーの腕を恐ろしがり飼いならすことを決めていた。

 ジョーはとりあえずこの屋敷で寝るのは嫌になったので、酒場のシrバニトに泊めてもらうことに決める。

 やがて町にメキシコの騎兵隊が巡回にやってきた。ジョーはシルバニトと馬車の積み荷には何が入っているんだろう、と会話をしていた。

 翌朝、ジョーはシルバニトと不思議な動きをする騎兵隊を追いかける。やがて騎兵隊は川岸に止まった。

 騎兵隊はどうやらアメリカ北軍の格好をした連中と武器の取引をしているようだ。しかし突然、北軍の連中が騎兵隊をガトリング銃で撃ちまくり騎兵隊を壊滅させてしまう。

 どうやら北軍の格好をしたラモン・ロホ率いるロホ家のメンバーたちだった。ロホ家は騎兵隊が所持していた金塊を奪って去って行く。

 ロホの屋敷に戻ったジョーは何食わない顔でラモンと挨拶する。ラモンは町でバクスター家との抗争を止め和平協定を結ぼうと考えているようだった。夜にでも一緒に会食の算段らしい。

 ジョーはバクスター家とロホ兄弟の間で同士討ちを起こし、二つとも壊滅させようと目論んでいたことをシルバニトに話す。シルバニトは大笑いし、抗争が終わったらお前さんはお払い箱だ、とこの町から去ることを再び進言する。

 夜。バクスター家からジョン、息子のアントニオ(ウォルフガング・ルスキー)、そしてジョンの妻で旦那を尻に敷くドナ・コンスエラ・バクスター(マルガリータ・ロサノ)が出ていき会食のためにロホの屋敷へ向かう。しかしコンスエラはかなり警戒していた。

 一方、ジョーはシルバニトを連れて棺桶二つを持って墓場に来ていた。ラモンが殺害したメキシコ兵士2人の遺体を、川から拾って墓場に放置した。ジョーにはある考えがあるようだ。

 ジョーはまずバクスター家に戻ってきたコンスエラとジョンに金塊を騎兵隊から強奪し、生き残りの兵が墓場にいる、ということを話す。その兵士がすでに死体となっているとも知らず。

 裁判でその兵士を証言台に立たせるべく保護しに向かったバクスター家の面々。その後、ジョーは今度はロホの屋敷に行き生き残っていた兵を保護しにバクスター家が向かった、ということを話す。ロホ兄弟らはすぐに兵士の口封じをするために墓場へと向かう。

 墓場で兵士二人をめぐって銃撃戦が展開された。その兵士二人がジョーの用意したメキシコ兵の死体である、とも知らず。やがてラモンが兵士二人を撃ち、バクスター家は撤退。道中にアントニオ・バクスターがロホ兄弟に捕らわれてしまう。

 一方、ロホの屋敷に残っていたジョーは倉庫の見張りを気絶させ倉庫に潜入して金塊の入った樽を発見し、金塊の入った袋をいくつか持っていく。

 やがて倉庫の怪しい気配を察知したマリソルが倉庫に入ってきてジョーは彼女を思わず気絶させてしまう。やがてロホ兄弟が屋敷に帰ってきてアントニオを誘拐した、ということをジョーは聞き、マリソルを抱えてバクスター家へ向かう。

 バクスターの屋敷にマリソルの身柄を引き渡したジョー。翌日、マリソルとアントニオの人質交換が行われるが途中、様子を見に来たマリソルの夫だった男フリオと息子ヘススが出てきてしまう。

 マリソルはラモンが気に入っている妾の女だった。しかしマリソルはフリオの妻で、ラモンが半ば強引に奪ってフリオとヘススに殺されたくなければ町から出ろ、と再三脅していた。

 マリソルはヘススの顔を見て思わず抱き着いてしまう。フリオもやってきて壊された家族は再会の涙を浮かべていた。

 気に入らないラモンはフリオとヘススを射殺するよう指示。部下がヘススを殺そうとするが、シルバニトがショットガンを持ち出しその部下を脅す。

 ジョーはマリソルにラモンのところへ戻るよう指示。マリソルはラモンのところへ戻って行きヘススはまた泣きじゃくる。

 一方、戻ってきたアントニオをコンスエラはビンタする。こうしてその場は収められた。

 夜。ロホ兄弟の屋敷では宴会が開かれ、お遊びでジョーが鎧を撃っていた。その後ろからラモンがウィンチェスター銃で鎧の心臓部分を正確に狙い撃ちしており、
「俺は心臓を撃って必ず仕留めるんだ」
 と得意げに語り、普通の拳銃よりウィンチェスター銃の方が強いと語っていた。

 酔っ払ったジョーは寝室に運ばれベッドに寝かされた。しかしそれは演技でジョーはベランダから出てマリソルが捕らわれている小屋に向かう。

 小屋に入ったジョーは見張りを皆殺しにし、大勢の犯行であるように現場を見せてからマリソルを解放し、フリオとヘススに引き合わせ金塊を渡して遠くに逃げるよう言う。

 マリソルはなぜこんなに優しくしてくれるのか、と聞くとジョーは昔助けられなかった女がいた、と話し三人を逃がすのだった。

 やがて銃声を聞きつけたロホ兄弟の増援が到着。ジョーは増援の目を盗んで、屋敷に戻る。

 屋敷に戻りベランダから自分の部屋に入ろうとした時、部屋には先客が。ラモンだった。ジョーがマリソルを逃がしたことがバレてしまったのだ。

 その後、ジョーは拷問を受ける。徹底的に痛めつけられるがマリソルの居場所を吐かなければ殺されはしなかった。ジョーは頑なに白状せず、半殺し状態で一旦は引き上げる。

 再び拷問を再開しようとした子分二人をジョーは大きなタルを転がして返り討ちに潰して、廊下に隠れる。

 やがてラモンらが拷問部屋に入り込み、ジョーを探す。ジョーはその隙に入口に火を放ち、屋敷を脱出する。

 ラモンらはすぐさま町を捜索。酒場に殴り込み、シルバニトをリンチして吐かせようとしたりしていた。その場面を目撃したラモンは棺桶の中に隠れ、棺桶屋のピリペロに町の外の廃坑まで連れて行ってくれるよう頼む。

 道中、バクスター家に差し掛かる。ロホ兄弟はジョーがバクスター家に逃げ込んだのでは、と思いバクスター家を奇襲。爆弾を仕掛けたり放火したりして家の中の住人たちを外へ誘き出す。

 家から逃げ出したガンマンたちを次々と殺害するロホ兄弟たち。やがて丸腰のジョンとアントニオが出てきて投降して町から出ていくから殺さないでくれ、と頼み込むがロホ兄弟は容赦なく彼らを殺害する。

 最後に出てきたコンスエラはロホ兄弟を人殺し、と罵るが彼女も無残に殺害される。その一場面を棺桶に隠れて目撃していたジョーは
「ショーは観終わった。さあ行ってくれ」
 と頼む。

 廃坑で身体を回復させていたジョーは鉄板をやすりで削って細工し、その鉄板に銃を撃ちこんでいる。どうやら鉄板の強度を確認しているようだ。

 やがてピリペロが情報を持ってやってきた。どうやらシルバニトが意地でもジョーの居場所を吐かないので吊るされたらしい。ジョーはピリペロからガンベルト、リボルバーとオマケでダイナマイトを渡される。

 町ではシルバニトの老体が吊るされ拷問を受けていた。そんな時、突如町で爆発が起こる。

 煙をバックにジョーが歩いてくる。ラモンはジョーの心臓を撃ちジョーは倒れた。

 しかしジョーは起き上がってくる。何度撃ってもジョーは何度も起き上がって近づいてきた。ラモンは恐怖で仕方がない。

 やがてジョーは腹の中に隠していた鉄板を見せつける。そこには弾痕が。ラモンは呆然としている隙にジョーは5発撃ってラモン以外のミゲール含めた5人を撃ち殺す。

 それからラモンはシルバニトの吊るされた綱を撃ち落とし、シルバニトを解放させる。

 生き残ったラモンにジョーは「拳銃よりウィンチェスター銃の方が強いかどうか証明してみろ」と言ってジョーが落としたライフルを拾わせる。シングルアクション弾倉固定のリボルバーとレバーアクション、チューブ弾倉のウィンチェスターライフル銃との実包装填からの勝負となる。

 装填が早い分、ジョーのリボルバーの方が銃口を向けるのが早かった。ジョーはラモンを撃ち、ラモンは苦しみやがて息絶える。

 やがてジョーが近くの建物の2階から水平2連ショットガンで狙われる。それを解放されたシルバニトが別の水平2連ショットガンで撃ち、ジョーを狙っていたエステバンが撃ち殺される。

 棺桶屋のピリペロが嬉しそうに死体の寸法を測っていた。シルバニトはジョーに治安が良くなるだろうから、もう少し居ないか?と誘う。ジョーはもうすぐ来るであろうメキシコやアメリカ政府に縛られるのはゴメンだぜ、と言って馬で去って行った・・・

※画質悪いので注意

A Fistful Of Dollars final scene-bir avuc dolar... 投稿者 karazeybek1919






 この映画は西部劇に転換したからこそ、オリジナルよりよくなったシーンとかもありますね。例えばオリジナルの「用心棒」では仲代達矢がアッサリとやられますが、ラモンはなかなかにしぶといですねえ。刀だから良い、というオリジナルのシーンもあれば、銃だからいい、というこっちの映画のシーンもあります。

 まあ本音を言えばオリジナルの方が好きですね。何せ向うはキャストも脚本もとにかく完璧ですから。しかしこっちの荒野の用心棒だって並ぶまではいきませんが、かなり頑張って近づいている作品だと思います。刀と銃の良さ、味の違いがオリジナルも観てこっちも観れば比較できていいですよねえ・・・

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