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刑事

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ニューヨーク、シナトラ、刑事物語。お洒落な組み合わせです。


『刑事』The Detective (1968年・米)
刑事
スタッフ
監督:ゴードン・ダグラス
製作:アーロン・ローゼンバーグ
原作:ロデリック・ソープ
脚本:アビー・マン
撮影:ジョセフ・バイロック
特殊効果:L・B・アボット
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
ジョー・リーランド:フランク・シナトラ
カレン・リーランド:リー・レミック
ノーマ・マカイバー:ジャクリーン・ビセット
トム・ファレル署長:ホレース・マクマホン
デーブ・シェーンステイン刑事:ジャック・クラグマン
カラン刑事:ラルフ・ミーカー
ネスター刑事:ロバート・デュヴァル
ロビー・ラフリン刑事:アル・フリーマン・ジュニア
テディー・ライクマン:ジェームズ・インマン
コリン・マカイバー:ウィリアム・ウィンダム
フィリックス・テスラ:トニー・ムサンテ
ウェンデル・ロバーツ博士:ロイド・ボックナー


 ゴードン・ダグラス監督作品「刑事」。原題は「The Detective」。

 ゴードン・ダグラス。この人は刑事もの、アクションもの、西部劇ものなど多くの作品を手がける人でもあります。他に「電撃フリント・アタック作戦」(1967年)、「続・夜の大捜査線」(1970年)なども作った監督さんです。50年代~70年代後半まで映画を作ってました。
 元々はゴードン・ダグラスではなく、マーク・ロブソンが監督する予定だったようですがシナトラがダグラスと組んだ際に彼を気に入ったのと「脱走特急」(1965年)の撮影での衝突が原因でダグラスが置かれたようです。

 製作はもともとあの「ゴッドファーザー」(1972年)や「チャイナタウン」(1974年)の製作を務めることになるロバート・エヴァンスがする予定で契約に署名もしたんですが、パラマウントに製作部長として引き抜かれたようですね。

 主演はフランク・シナトラ。この人はあまりにも有名な歌手であり俳優でありますね。この映画はシナトラの俳優キャリアの中で後半の方の作品です。貫禄があって頑固な名刑事というのが似合ってました。ダグラス監督とは「セメントの女」(1968年)、「トニー・ローム 殺しの追跡」(1967年)、「七人の愚連隊」(1963年)でも組んでいます。

 さてシナトラはこの映画の公開の年に当時の奥さんのミア・ファローと分かれてます。ミア・ファローに家庭に入るよう強要したシナトラで、ファローに期限付きの撮影の参加を認めます。しかしその期限を破ったら離婚、と。ファローは「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)の撮影に参加しましたがスケジュールが遅れたのと前述したロバート・エヴァンスに説得されてミア・ファローは離婚を決意したようです。

 シナトラの奥さん役はリー・レミック。やはりこの女優さんといえば、「酒とバラの日々」(1962年)でジャック・レモンの奥さんになって酔っ払いになった人でしょうか。あとは「オーメン」(1976年)でグレゴリー・ペックの奥さんもやってましたね、怖い役でしたよ。この「刑事」という映画では色情狂の女性を演じてます。

 あと未亡人ノーマ・マカイバー役はジャクリーン・ビセットになりましたね。でもこの役、他にも「鳥」(1963年)で小学校教師を演じたスザンヌ・プレシェットやバーバラ・パーキンスもオーディションを受けていたようです。確かにジャクリーン・ビセットも綺麗なんですが私にはスザンヌ・プレシェットに勝ってこの役を勝ち取ったというのが少し意外でした。

 さてこの映画の原作はなんと、ダイ・ハードの“原作小説”の前作らしいんですね。そもそもダイ・ハードの映画自体原作より登場人物の設定やテロリストの設定を変えてるようでして、それでも私は驚きましたね。向こうはブルース・ウィリスがマクレーンを演じていて、若々しいのに前作に値するこの映画では初老のフランク・シナトラが演じている。この映画はアクションもそんなに無いですもの・・この映画の小説の続編がダイ・ハードなのだ、と教わっても疑ってしまうほどになにもかも違う映画でした。

 実は後の「ダイ・ハード」(1988年)でもシナトラは出演を打診されたようですが、73歳という高齢で流石に無理だったようです。ちなみにシナトラとウィリスは「第一の大罪」(1980年)で共演しています。

 一番最初に言ったとおり、この映画はニューヨークが舞台。アクションは抑え目。名音楽家のジェリー・ゴールドスミスが音楽を担当していて全体的にお洒落です。でもニューヨークの街が綺麗なのに刑事さんたちや警察署はまるでドブネズミのように汚いし、暴力だらけ。組織の腐敗が示されてますね。その中でシナトラが頑固な刑事。シナトラが醸し出すお洒落な雰囲気はミスマッチ。だからシナトラがそんな汚さと戦うのではないでしょうか。


【あらすじ】

 ニューヨーク市警の刑事ジョー・リーランドはホモが惨い死体で殺された事件を捜査する。容疑者は同居人のホモ。ジョーは頑固者の刑事で出しゃばってきた議員に喧嘩を売りつける。それが原因でこのままでは警部補への昇進が難しい。署長は二日以内に解決すれば警部補に昇進できる、というが・・・

)













【以下全文ネタバレ注意】














↓四行後にネタバレ文あり




 ニューヨーク市警の刑事ジョー・リーランド(フランク・シナトラ)は巡査のケリー(シュガー・レイ・ロビンソン)に挨拶をして現場のマンションに入る。今月3件目の殺しで被害者は実業家ライクマン家の子息テディー(ジェームズ・インマン)。

 ジョーは新入りのロビー・ラフリン刑事(アル・フリーマン・ジュニア)を紹介される。二人で被害者の部屋に入ると、全裸で胸に数箇所の刺し傷、頭に数発の殴打痕、そして指数本と男性器が切断されたテディ・ライクマンの遺体が仰向けであった。

 ジョーは部屋に入ってきたデーブ・ショーンステイン(ジャック・クラグマン)に遺体の処理を任せ自分は部屋を調べる。そしてカラン刑事(ラルフ・ミーカー)に手がかりがないことを見つからないことを聞き、ネスター刑事(ロバート・デュヴァル)とメルシデス刑事(パット・ヘンリー)にロビーのことを紹介する。

 ジョーはベッドに精液のシミを見つけ、寝室の入口に白い砂を発見し鑑識に回す。更に薬品ケースの中身、そして洋服ダンスからオイルを発見し鑑識を回す。

 その後で検視官(ジェームズ・デュカス)から被害者テディがホモセクシャルであることを聞く。死因は殴打、指と性器の切断にはナイフが使われた模様。

 検視官の報告を聞いたあと、上の階の住人で被害者テディと親しかったキャロル・リンジャック(ディキシー・マークィス)の事情聴取をする。殺されたテディとの関係は親しい友人、という関係のようだ。またキャロルによれば同居人の男がいたという。ジョーはキャロルからテディには同居人の男がいるという重要証言を聞き、その男を探させる。

 そこにお喋り好きな議員さんがやってくる。ジョーは犯罪増加率の現象を訴える議員の肩書きを盾に押し入ろうとする議員を追い払う。

 警察署に帰ったあと、トム・ファレル署長(ホレース・マクマホン)に呼び出しをくらう。トム署長は警察署の評判を落とさないために過激なことはするな、と叱りつけるがジョーは頑固な男で反省の色一つ見せない。

 その後、ジョーは妻カレン(リー・レミック)が参加しているパーティを訪れる。だがジョーはカレンに話そうとしたことを止め、そのパーティを去る。帰りの車でジョーは昔のことを思い出す。

 ジョーは大学で教員をするカレンに一目惚れした。そしてカレンも出逢いを重ねるうちに少し変だけど男らしいジョーに惚れ込み結ばれる。その後、ジョーがカレンに結婚を申し込み二人は見事に結婚する。

 ある日、ジョーはスピード違反の犯人を撃ち殺してしまった警官ジャック・ハーモン(トム・アトキンス)の聴取をする。ジャックの相棒のターナー(パトリック・マクヴィ)の証言を基に再現してみるが、どう見てもジャックの主張する拳銃の暴発とは食い違う。しかし面倒事を嫌うトム署長は不問に処してしまい、ジョーはジャックに「俺だけは貴様を許さん」と言って去っていった。

 帰宅したあと、カレンに公表するべきだ、と言われてもジョーは刑事であることに固執しそれを拒否する。父親がずっとヒラ刑事で、以前飛び降り自殺をしようとした人間を登っていって止めようとして失敗した過去をカレンに話す。そしてジョーはいつも自分から愚痴をこぼされて損な結婚をしたな、と言うがカレンはむしろ与えられる利益ばかり、と言ってジョーを励ます。

 ジョーはバーに来ていた。そこで見知った麻薬中毒者の娘シャロン(シャロン・ヘネシー)からジョーの計らいで自分の罪を今回は見逃してほしい、と頼んできてジョーはそれを承諾する。

 シャロンと入れ違いでトム署長がやって来る。ジョーはシャロンが麻薬を買うために金を稼ぐ19歳の娘だ、と皮肉交じりに紹介。そして税金がそういった貧困の人々の支援にきちんと行き届かず、自分たちのような人間の給料やお偉いさんの懐に入る現在のニューヨークの状況を嘆く。

 トムはホモのライクマンが殺された事件の進展について聞く。トムはジョーを今月の昇進試験に推しているらしく、圧力をかけて邪魔をする議員の鼻を挫くためにも、この事件を2日以内に解決すれば昇進は確実だ、と言う。慎重に捜査しようとしていたジョーだったが、やはり昇進はしたいようだった。

 翌日、記者会見に対応したジョー。記者の議員の抗議についての質問に挑発で返すのだった。

 ジョーはキャロルの証言を基に書いた似顔絵を持って警官隊を率いてゲイの溜まり場である港へ向かう。ゲイ一人一人に似顔絵の男と被害者テディーのことを聞いていくが、知っている人間はいない。ジョーはホモを差別し乱暴に聞き込みをするネスターを腹パンチしてたしなめる。

 ジョーは議員に喧嘩を売った新聞を読んだカレンから手助けできることがあったら言って、という励ましを受ける。それから部下の刑事たちに、被害者が持っていたオイルから被害者がスポーツジムに通っていたかもしれない、というルートで捜査を始めることにした。

 その捜査の甲斐あってデーブ・ショーンステイン刑事が被害者の通っていたジムを見つけた。店員に同居人の似顔絵を見せるとその同居人の身元も分かった。同じジムに通っていたフィリックス・テスラー(トニー・ムサンテ)だった。ジョーは被害者の部屋にあった白い砂から海辺のホテルを総当りする作戦に出る。

 ジョーはロビーと共に砂浜の近くのホテルを訪れる。そこでどうやらフィリックスが泊まってるようだ。ジョーはロビー係にフィリックスに電話しないよう釘を打っておく。

 階段を登ろうとしたジョーにロビーから容疑者がビーチへ逃げた、という知らせが。ロビーが容疑者のフィリックスを海岸で追いかけとっ捕まえる。

 警察署に連行されたフィリックス。カラン、ロビン、レスターらは手荒い取り調べを行うがフィリックスは黙秘。そこでジョーがみんなを追っ払い一人で吐かせようとする。

 ジョーはまずフィリックスの故郷カナダのトロントの話から始めて、被害者のテディは酷い仕打ちをする男だったんじゃないのか?という被害者の話から始める。フィリックスはポツポツと話を始め、テディの身体は女のように柔らかかった、とか性格と肉体の話から、フィリックスがテディを憎んでいたことを認めさせた。

 そこからジョーは畳み掛けるようにテディを憎んでいたから殺したのだろう、と押し付けるような質問をする。フィリックスは挙動不審な行動を取り狂ったように悶えてから、やがて自分が殺したことを認めた。

 フィリックスはテディのいわゆるホモセックスフレンドだったのだが、テディに飽きられてしまい家から出て行けと言われたという。お金のないフィリックスは職が見つかるまで同居させてほしかったのだがテディがそれを認めなかったのでフィリックスは激情のあまり殺してしまった、と泣き叫び狂ったように自白する。

 ジョーの昇進はほぼ決まったようなものだった。しかしジョーはホモセクシャルがホモセックスフレンドを痴情の縺れで殺した、というマスコミの格好の餌にされている姿に哀れんでいてあまり喜べなかった。また、フィリックスは取り調べのときに明らかに頭がおかしかったのにマトモな精神鑑定結果も出ずに検察が死刑にするだろう、ということを悔しく思っていた。

 ジョーはその夜、カレンの下に行きフィリックスが明らか精神異常者なのに死刑になるだろうことに不服なことを愚痴り彼女に愛を求める。そしてジョーはカレンと結婚してから、別居をするまでのことを思い出していた。

 ある夜、ジョーは妻カレンが学生時代の旧友マット・ヘンダーソン(リチャード・クリッシャー)と楽しくおしゃべりしている場面を見て声をかけた。そのときは本当にただの再会だと思ってた。

 しばらくして、ちょっと遠出の出張をしていたジョーが家に帰ってきた夜、カレンからマットと浮気していたことを聞かされる。ジョーはカレンを叱りつけて電話をさせてマットと別れさせる。

 別の夜、ジョーはバーからカレンが知らない男と出てくるのを目撃し引き離して家に帰宅させる。その知らない男というのはマットとは別人のようだ。カレンはどうやら結婚する前から一人の男のみと関係を持つことができない色情狂だったらしい。結婚してから治ったと思ったが最近、また再発しているという。しかしジョーへの思いは本当の愛である、と主張する。だがジョーは到底許せるはずもなく、今の別居の状態に落ち着いているのだ。

 回想が終わり、はっきりしない関係が続くことに苛立っていたカレンはジョーに別れるか関係を修復するか、を迫っていた。ジョーは関係を修復することだけはありえない、と言い残してカレンの下を去っていった。

 ジョーの昇進が決まった日、フィリックスの有罪と死刑が決まった。公開処刑に傍聴席で立ち会うジョー。フィリックスは目でジョーに何かを訴えかけ、それから電気椅子で処刑された。

 昇進して少し偉くなったジョーは事件の相談に来たノーマ・マカイバー(ジャクリーン・ビセット)の相談に乗る。ノーマは夫コリン(ウィリアム・ウィンダム)が競馬場から飛び降り自殺した、というのが信じられないらしく他殺を疑っていた。

 他にも事務所に泥棒が入ったり、検視官や雇った探偵までもが何かを恐れて執拗に自殺と決めつけたがること、遺留品の手帳が警察から戻ってきたときに数ページ破られていたことなど不審なこと続きでただの自殺ではないだろう、ということをジョーに話す。

 ジョーはその自殺の担当刑事カランに事件のことを聞く。カランはのらりくらりとジョーの尋問をとぼけて返す。しかし自殺であることに間違いはない、と何者かに命じられてるようにしつこく言う。

 しばらく外出して警察署に戻ったとき、ジョーは少女が、その少女の暮らしているアパートの使用人に誘拐・暴行されて殺された事件のことを知る。担当刑事のビリーはその使用人の容疑者を裸にひん剥いて尋問していた。ジョーはその容疑者に服を着せてやりビリーを叱責する。しかしビリーは逆上し、ジョーにホモ死刑にして昇進したくせに、と毒づく。

 トム署長とその件で話をしていたとき、スラム街の貧困層の人々のデモ隊をとっ捕まえる自分の署の警察隊を見て驚く。ジョーはそんなデモをするのは病院もマトモな住宅も立てずスラムのボロ家街に押し込める市のお偉いさんに原因がある、と主張。トムはそんなジョーを叱責し、君を次期署長に推薦したのだから揉め事を起こさないでくれ、と頼まれる。

 バーでジョーはカランと飲んでいた。カランは事件を自殺に処理することで自分に大金をくれる人間の存在を明かすが、誰とは言わなかった。

 ジョーはノーマから夫コリンの生前の写真を受け取る。その後でコリンの女性関係のことを聞いてた時、二人にカレンが話しかけてくる。たまたま同席じレストランで食事していたようだ。ジョーはカレンからの同席の誘いを断り、ノーマに別居中の妻だと話す。それからコリンの友達に精神科医のウェンデル・ロバーツ博士(ロイド・ボックナー)がいることを明かす。そしてレストランを離れる。

 ロバーツ博士の家を訪れたジョー。そこにはロバーツ博士のほかにノーマもいた。ノーマはよく隣家同士ということで遊びに来ているらしい。ロバーツと一対一で話そうとするジョーを察しノーマは砂浜に出かけた。ジョーはロバーツ博士が何かを隠していることを確信する。

 ジョーはノーマから知らされた事務所の他に書類を置いていた家の物置部屋に入る。そこには帳簿があった。そしてそのいくつかの帳簿には“RAINBOW”の名前が何度か登場し気になる。

 ジョーは部下のデーブの家に行き、回収した帳簿の帳尻が合わないが合わないことに気付く。また、その帳簿にズラッと並ぶ名前は街の有力者たち。デーブに調査を頼み、ジョーはデーブの妻レイチェル(レネー・テイラー)の作った食事も食べずに帰る。

 駐車場に車を止めたジョーは暗殺者二人の襲撃を受ける。ジョーはその二人をなんとか返り討ちに遭わせた。

 署に来たジョーはカランを呼び出し外で殴ってカランに金を与える人物のことと破りとったページのことを聞くがカランは言えば自分が殺される、として拒否した。

 家に帰宅するとカレンが待ち構えていた。カレンは妬きながらノーマは危険な女だと評する。そして自分の性衝動を抑えたくても抑えられない、という自己嫌悪の話をする。ジョーはそれらを抑えるためには抑えようとする努力、勇気が必要だと答える。

 電話でデーブに呼び出されたジョー。デーブは“RAINBOW”がニューヨーク都市開発計画委員会と絡んでいることを突き止めた。その委員会は市にどの土地を買えば市立病院やら市営住宅やらを建てたりスラム街の再築をするのに適するか提案するために設立された。だが裏を返すと、委員会のメンバーと繋がりある企業たちが既にその土地を安く買い上げ、市に高く売りつける、という不正売買をする組織なのだ。

 ジョーはデーブに家を出ないように言い、デーブの妻レイチェルも実家に一時、帰した方がいいと言う。それからノーマに電話でロバーツ博士の事務所に忍び込むのでロバーツ博士を呼び出して引き止めておいてほしいと頼み込む。

 事務所に潜入したジョー。しばらく漁るが電話がかかってくる。ノーマからでコリンが書類を忘れて事務所に取りに戻るという。ジョーは電話を切ってからしばらく漁りコリンの名前が書かれた封筒を発見。中にはテープが入っていた。

 そこにロバーツ博士が戻ってきた。ジョーは拳銃を向けてロバーツ博士にテープを再生するよう言う。ロバーツ博士は何度か聞いても誰も幸せにならない、として忠告したが折れてテープを再生する。

 それはコリンの告白だった。コリンは陸軍時代などにホモセックスをしたことがある。最近、それらとは完全に断ち切れたと思ったのに同性愛に目覚めつつあったのだ。コリンはゲイの溜まり場であるバーに入り、そこで同じホモセクシャルのテディ・ライクマンと出会う。

 テディの家に連れ込まれたコリンは未だに苦悩していた。しかしテディはコリンを挑発するようにホモだと一目で分かった、と言う。憤慨したコリンは掴みかかってしまいテディは警察を通報しようとする。

 コリンは頭がいっぱいになってしまいなんとか止めようとしてテディと揉め合いになりついには殺害してしまった。このことは黙っておくつもりだったが、自分の代わりにフィリックス・テスラーが逮捕され死刑にされ、良心の呵責に耐え切れずロバーツ博士に告白したのだ。

 フィリックスは精神異常者でおそらく自分が殺した、と思い込んでいたのかもしれない。冤罪を作ったことをしったジョーは悩む。しかしこのテープの中身を公表し都市開発計画委員会を訴えることにする。

 都市開発計画委員会を訴えたジョー。そして仲間に迷惑はかけない、とトム署長に辞表を提出する。なぜこんなことをするのか聞くと自分の性分だから仕方ない、と答えた。

 ジョーはノーマにも真実を伝えた。ノーマは刑事を辞めてこれからどうするのか聞く。ジョーは自分の人生はこれまで警察に捧げてきた。また人生を一からやり直しだ、と話しお休みの挨拶を交わして去っていった。

 車でどこかへと向かうジョー。その車に警察無線が流れるがジョーはそれを切ってしまう。








 この映画にはセックス中毒、麻薬中毒、そして中毒症状とはちょっと違うけど同性愛を断ち切れずにいる人が出てきますね。シナトラは言いました。自分の断ち切りたいことを断ち切るには勇気がいる、と。シナトラも悪を葬るために自ら勇気を出しまして、そして断ち切りました。なにを?自分が刑事でいることに対する固執をです。自らの正義を全うし貫き通すために。

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フランク・シナトラ、リー・レミック 他

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Category: 洋画タ行
バカバカしい映画も良いモンです。


『トップ・シークレット』(1984年・米)
トップ・シークレット
スタッフ
監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー
脚本:ジョン・デイヴィソン、ハント・ロウリー
製作:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、マーティン・バーク
音楽:モーリス・ジャール
撮影:クリストファー・チャリス
キャスト
ニック・リバース:ヴァル・キルマー(山寺宏一)
ヒラリー・フラモンド:ルーシー・ガタリッジ(佐々木優子)
セドリック:オマル・シャリーフ(池田勝)
ドゥクワ:ハリー・ディトソン(千田光男)
デジャヴ:ジム・カーター(西村知道)
アルバート・ポテト:シドニー・アーノルド
書店主人:ピーター・カッシング
チョコレート・ムース:エディ・タゴエ(島香裕)
マーティン:ビリー・J・ミッチェル
ポール・フラモンド博士:マイケル・ガフ(田村綿人)
ナイジェル:クリストファー・ヴィリアーズ(千葉繁)
ヴォン・ホルスト:ウォーレン・クラーク
ストレック将軍:ジェレミー・ケンプ(寺島幹夫)

 ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー監督作品「トップ・シークレット」。原題は「Top Secret!

 まあコメディ映画でしてこの映画にはいろんな小ネタが仕込んであるんですねえ。他の映画のオマージュだったり、クスッと笑えるネタが仕込んであったり。この映画を見てるとアメリカのコメディ・ドラマを見ている感じがしますね。

 主演はヴァル・キルマー。後に「トップガン」(1986年)でアイスマン、を演じたり「バットマン フォーエヴァー」(1995年)ではブルース・ウェインことバットマンを演じたりしてる人です。この人がまだ若くて映画初デビューにして主演という作品がこれです。随所に歌と踊りが入るんですが、彼の身のこなしの軽さはなかなかのものですね。

 他にも脇役に名優オマー・シャリフが出ているところとか、3分にも満たない程度の登場シーンで昔、怪人役でお馴染みのピーター・カッシングが出ているところとかも「おおぉ!すっげえ!」と心躍りました。

 映画監督が3人いるんですが、この3人は一緒に組んでコメディ映画をよく撮ったりしてますね。「裸の銃を持つ男」シリーズもこの3人が手掛けてます。兄のデヴィッド、弟のジェリーのザッカー兄弟と友達のジム・エイブラハムズの3人。3人は共同映画製作チーム「ZAZ」を名乗ってます。

 舞台は東ドイツ。当時は冷戦真っ只中でドイツも東ドイツ、西ドイツに分かれている時代でした。東ドイツはソ連領なので、思想は社会主義。この映画では東ドイツが、まるでナチス政権のように描いています。これ見て私、アメリカの東ドイツへ抱くイメージってこんななのか、と笑ってしまいました。

 吹き替えはテレビ放送版です。DVD収録されていないバージョンですね。たまたま拝見することが出来たのでよかったです。

 あと、一応ストーリーも書きますがコメディ映画ほど文章で表現しにくいものもありません。ぜひ実際に視聴することをオススメします。


【あらすじ】

 アメリカの人気歌手ニック・リバースは東ドイツの文化祭に招待される。しかし彼は銃をつきつけられたヒラリー・フラモンドという女性をひょんなことから助け出してしまい、投獄。コンサート中にヒラリーの手助けで逃亡し、彼女と共に囚われた彼女の父を助けることになる。


♪スケット・サーフィング/ヴァル・キルマー











※一部下ネタ注意

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 東ドイツ。
 英国人スパイのセドリック(オマル・シャリーフ)は列車内でスパイだと気付かれ逃亡を図る。ストレック将軍(ジェレミー・ケンプ)は彼を見つけ次第殺すよう命じ、日曜日の文化祭に世界の関心が向けられている隙に東ドイツはジブラルタル海峡を越え戦争を仕掛ける準備を進めていたのだった。

 列車内でドイツ語の勉強をしていた大人気のロック歌手ニック・リバース(ヴァル・キルマー)。ニックは東ドイツの文化祭に世界的アーティストとして招待されていたのだ。

 国境の駅で、東ドイツ軍将校ヴォン・ホルスト(ウォーレン・クラーク)からアメリカ人特有の好奇心を発揮するなよ、とバカにされながら釘を刺されドイツ語で「お前の母ちゃん出べそ」と言い返す。一触即発の空気と化したが、ニックのマネージャーのマーティン(ビリー・J・ミッチェル)がなだめてその場は収まる。

 逃亡していたセドリックは情報屋(イアン・マクニース)から英国が助け出したい博士の行方が分からないこと、今夜、バレエを見に行くとレジスタンスのリーダーと会える、という情報を聞かされる。しかしセドリックは乗り込んだタクシーの運転手にハメられ、プレス工場で車ごと押しつぶされてしまう。
元ネタ:「007 ゴールドフィンガー」(1965年)

 ヒラリー・フラモンド(ルーシー・ガタリッジ)は東ドイツ政府の監視から逃亡しスパイと接触するが、警察にその場面を目撃され追われる羽目に。すぐ近くのレストランの夕食会に紛れ込もうとする。

 一方、ニックは文化祭の関係者ではないから、と給仕長(ジョン・シャープ)に足止めを食らっているヒラリーを発見。彼女を自分の連れだ、と給仕長に嘘をつき、彼女を助けて彼女とダンスに興じる。

 その後、世界的歌手にこの場で歌ってもらいましょう、という給仕長の紹介を受け、ニックのことではないのに自分のことだと勘違いしたニックは勝手にマイクをとって歌ってしまう。場は大盛り上がりだったが、ヒラリーは警察隊を発見しその場を後にする。



 ホテルの部屋でヒラリーはセドリックと落ち合うことになっていた。そこへ車ごと押しつぶされたセドリックがやってきた。セドリックはヒラリーにバレエを見に行くとレジスタンスのリーダーと会える、ということを伝えヒラリーは自分がそのリーダーと会いに行こうとする。

 バレエの3階席で、ヒラリーは男と会うがその男は警官だった。警官はヒラリーに銃をつきつける。その場面を目撃したニックはすぐにその場へ向かい、警官と顔の掴み合い。警官の顔にはつかまれた痕が。その後、警官を突き落す。
顔の掴み合いで痕が残るシーンの元ネタ:「外套と短剣」(1946年)

 ニックはヒラリーを連れて逃亡。万事休す、というところでヒラリーを先に外に逃がして自身は囮になって警官たちに捕まった。

 ニックは独房で壁にチョークで線を20本書いていた。そこへマネージャーのマーティンがやってきて、文化祭の日まで我慢すればいい、と励ます。そして妻を満足させられない、と相談をしてきたマーティンにニックはアナルバイブをプレゼントする。

 やがてニックは兵士と神に祈る牧師に連れられ、牢を出される。そして牧師が電気椅子に座り、処刑された。ストレック将軍はニックのマネージャー、マーティンが大使館などに交渉もできないままアナルバイブの強度調節を誤って死んでしまったこと、落ちた警官が死んだら銃殺刑だ、と脅す。

 そこに電話がかかってくる。将軍はその電話を受け「容態が変わったら伝えてくれ」と言って受話器を置く。将軍は警官が死んだことを話し、ニックの銃殺刑が決まる。

 独房に戻されたニックはなんとか脱獄できないか、と穴を探す。穴の一つに飛び込み、ついた場所は研究所らしきところだった。彼はポール・ブラモンド博士(マイケル・ガフ)で、東ドイツに囚われ娘の命を人質に日曜日の出兵までに機雷を作ることを強要されていたのだ。

 ニックは開発品の一つに触れてしまい、その開発品が壁を破壊。兵士が次々となだれ込んできてニックは捕まった。

 その後、ニックのコンサートが予定通り行われることになり死刑執行間もなくだったニックは延期となり一時釈放される。

 その後、ニックのコンサートは若い女子たちの大きな黄色い声援を受けまくる。それはビートルズのよう。やがて舞台天井から糸で吊るされて降りてきたギターをつかんで舞台天井にあがる。兵隊は銃で撃とうとするが、興奮してステージに勢いよく上がってきた女子たちの波に飲まれる。吊るしていたのはヒラリーだった。ヒラリーとニックはバイクで逃亡。



 二人はカップルの溜まり場である公園のベンチに座る。そしてニックはヒラリーから父のポール博士を探している、と聞かされ写真を見せられる。ニックは昨日、この人物に刑務所で出会った、と教えポール博士を助けるのを手伝うことに。

 そこに運悪く兵隊が。ニックとヒラリーは誤魔化すためにディープキスをする。

 兵隊をやり過ごしたあと、ニックとヒラリーはレジスタンスの協力者である古本屋に行く。店主(ピーター・カッシング)に状況を説明。レジスタンスのリーダーの居場所を教わり、避難棒で二階にあがってかくまってもらう。

 その二階でヒラリーは昔のことを話す。昔、海で遭難し流れ着いた島でナイジェル(クリストファー・ヴィリアーズ)という青年と愛を深めたことがあるらしい。しかしナイジェルはある日、漁に行ったきり帰って来なかった。ヒラリーは外国船に拾われたのだった。
元ネタ:「青い珊瑚礁」(1980年)

 ニックも昔、母親とたまたま呼び出しアナウンスが壊れていた日にデパートで生き別れたのだ。それ以来、デパートで働いていたがある日、広報用のCMのソングを募集していたときにニックが考え付いた歌を上司に話しそれがヒットのきっかけとなったのだ。

 二人はその夜、暖炉の火をバックに愛を深める。

 翌朝、レジスタンスの隠れ家にやってきたニックとヒラリー。最初は警戒するドゥクワ(ハリー・ディトソン)やアルバート・ポテト(シドニー・アーノルド)らだったがレジスタンスのリーダーが現れ警戒を解く。それはナイジェルだったのだ。ナイジェルとヒラリーは再会を喜び合う。ニックは複雑な気持ちになる。

 好きになった相手をとられたニックはレジスタンスのデジャヴ(ジム・カーター)、チョコレート・ムース(エディ・ダゴエ)らに励まされる。一方、ナイジェルは島に戻れなかった理由を話す。なんでも漂流したところを外国船に拾われるが外国語のために通じず島に戻れなかったらしい。

 直後、東ドイツ政府軍が隠れ家を襲撃。レジスタンス達は応戦。散り散りに解散してからレストランで集合することに。隠れ家から応戦したレジスタンス達は派遣された政府軍の部隊を壊滅させる。

 その後、レストランで集合したレジスタンス達。しかしナイジェルによれば内部に内通者がいるのだという。ニックだけに先に帰国することになったが、刑務所に囚われたポール・ブラモンド博士の場所はニックにしか分からない。ニックは協力を断るがヒラリーに説得され協力することに。

 夜、飛行機からパラシュートで刑務所近くへ降りる一行。空中でヒラリーはニックに、再会は驚いたがナイジェルへの好意はもう薄れニックに傾いているのだ、と言われる。二人は愛を再び確かめ合い、空中でキスをする。バックには暖炉が飛んでいる。

 刑務所を見つめながら、ナイジェル中心に作戦が立てられる。ナイジェルとドゥクワは刑務所で飼われている牛の行列に紛れ牛に変装。発電小屋に行き、柵の電気を切ってから、ニック、チョコレート・ムース、デジャヴの三人が刑務所に潜入し博士を救出してから、ヒラリーが逃亡用トラックを運転する、という作戦が立てられ実行される。

 ナイジェルとドゥクワは牛に化けて散歩の行列に紛れ込む。ナイジェルが後ろ、ドゥクワが前。列からはぐれたフリをして、変電所へ向かうが道中、子牛が近づいてきておっぱいの部分を吸い始める。それはナイジェルの男性器でナイジェルは悶絶する。

 くだらない事を終えてからナイジェル達は小屋に行き柵に流れる電流の電源を切る。それによってニック達は柵をペンチで穴を開けて刑務所に潜入。壁をよじ登り、衛兵の軍服を奪ってから、衛兵に変装してポール・フラモンド博士を救出する。

 フラモンド博士はすでに壁に穴を開けており、フラモンド博士の作った穴は自動車のトンネルのようなものだった。

 一方、ドゥクワはナイジェルに銃をつきつけられ、発電小屋の電力を復活させてしまう。内通者はナイジェルだったのだ。まだ牛の格好のままのナイジェルは後ろから来た牛に掘られてしまう。

 カクカク歩きのナイジェルは、トラックまで戻りヒラリーに銃をつきつけトラックに乗るよう言う。ナイジェルは漁に行って行方不明になったあと、船に拾われたが、その船は東ドイツの共産主義の船だったのだ。ナイジェルは共産主義者たちから教えを受け、東ドイツに協力していたのだ。

 トラックが居るべき位置に戻ったニックたちだったがトラックがいない。そこへドゥクワが戻ってきてナイジェルが裏切り者だったことを知らされる。

 そこへ東ドイツの衛兵たちのトラックが追いかけてくる。チョコレート・ムースはタイヤをパンクさせる。フラフラのトラックは近くにたまたまあったフォード社のフォード・ピントという車の後部にチョコっと当たりピントは大爆発。トラックも爆発に巻き込まれる。

 ニックはヒラリーを取り戻すことを決める。ドゥクワたちは先に空港へ行くことになり、デジャヴがニックに熱烈なキスをしてお見送りをする。

 ニックはバイクでナイジェルの運転するトラックを追いかける。
元ネタ:「大脱走」(1963年)

 トラックに追いついたニックはナイジェルを運転席から引きずりおろそうとして、二人で橋から川に落ちる。

 川底に立った二人は殴り合い。やがて舞台は川底にある西部劇の酒場っぽいところに移る。殴り合いの末についにナイジェルに勝利するニック。ニックはヒラリーと共にバイクで急いで脱出用に飛行機まで向かう。

 出発時間までに飛行機の場所へたどり着いた二人。ヒラリーは父ポールとの再会を喜び合う。

 ヒラリーはこの国でまだやり残したことがある、とアメリカへの旅立ちを拒否する。しかしドゥクワやニックの説得があり、物価の違いなど不安がありながらもニックが優しく諭し二人はキスする。

 国内で活動を続けるドゥクワ、チョコ・ムース、デジャヴ、そしてなぜかそこに居た案山子さん(リチャード・ボーンヒル)と別れを告げ、ヒラリー、ニック、ポール博士の3人はアメリカへと飛び立つのだった。
元ネタ:オズの魔法使い









 実は主人公ニック・リバースの役そのものがエルビス・プレスリーのパロディーだったりするんですよね。アホらしくて笑っちゃいますよ。私はいつも、文の締めはきれいに終えたいなあ、なんて思うのに一番最後に元ネタ解説って・・・悲しくて仕方ないです。

 ちなみにこの映画、パックンらしきものが登場するシーンがあるんですが、エンドロールにスペシャルサンクスのところに「ナムコ」ってあるんですよ。ちゃんとナムコから許可とって使わせてもらってたみたいですね。

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Category: 洋画タ行
原作と、1939年版の映画も見たくなりますね。


『チップス先生さようなら』(1969年・米)
チップス先生さようなら
スタッフ
監督:ハーバート・ロス
製作:アーサー・P・ジェイコブス
原作:ジェームズ・ヒルトン「チップス先生さようなら」
脚本:テレンス・ラティガン
撮影:オズワルド・モリス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
キャスト
アーサー・チッピング:ピーター・オトゥール(久米明)
キャサリン・ブリッジズ:ペトゥラ・クラーク(伊藤幸子)
ブルックフィールド校長:マイケル・レッドグレイヴ(木村幌)
マックス・ステュフェル:マイケル・ブライアント
アーシェラ・モスバンク:シアン・フィリップス
ファーリー:トム・ウォーエン
校長夫人:アリソン・レガット
ジョニー・ロングブリッジ:マイケル・カルヴァー
ビル・キャルバレー:クリントン・グレイン
ウィリアム・バクスター:ジャック・ヘドリー
スタンウィック卿:ジョージ・ベイカー


 ハーバート・ロス監督作品「チップス先生さようなら」。原題は「Goodbye, Mr. Chips

 これはもともとジェームズ・ヒルトンって人が1934年に書いた作品なんですね。で、39年にロバート・ドーナット主演で一度映画化されました。これでドーナットはアカデミー賞主演男優賞をとりました。こっちは69年の2度目の映像化。これでもドーナットはアカデミー賞主演男優賞候補にノミネートされたんですが、結局「勇気ある追跡」(1969年)のジョン・ウェインにとられちゃったんですね。

 ハーバート・ロス監督というのは1958年にTV映画で「ワンダフル・タウン」っていうミュージカル作品の有名なやつを撮りました。劇場映画はこの作品が初めてなんですがうまく撮れてますねえ。

 音楽にはジョン・ウィリアムズ。彼はまさしく有名な映画音楽作曲家ですね。スター・ウォーズシリーズ、インディ・ジョーンズシリーズ、ジョーズ、ホーム・アローン、ジュラシック・パークシリーズ、ハリー・ポッターシリーズなどの皆さんが一度は聞いたことある音楽のメインテーマは彼が作ってるんですよ。このころはジョンもまだ映画音楽作曲家としてのキャリアはまだ少ないころですね。

 主演はピーター・オトゥール。彼はまだ若い大作映画のスターを演じきれる歳だったのに、この老人になっていくチップス先生を演じたんですね。これがまた好演。本当になぜ主演男優賞をジョン・ウェインにとられたのか不思議で仕方がない。まあ、それは「勇気ある追跡」を見てみないとわかりませんね。ちなみにオトゥールは2012年に引退しましたがまだ生きていますよ。

 ヒロインはペトゥラ・クラーク。彼女はイギリスが誇る偉大な歌手の人なんですね。特に1964年に「恋のダウンタウン」の大ヒットで一躍有名になりました。彼女は映画にもぼちぼち出演しています。

 ちなみに原作も1939年版もミュージカルではないんですがこの映画はミュージカル映画ですね。

 吹き替えですが、久米明さんのオトゥールがまたいいんですね。1977年3月25日フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で放映されたバージョンがソフト収録されてました。上のキャストで記されている他には聞き取りなのであまり自信はありませんが駅で迷子になっている子とかスタンウィック卿の息子さんなど子役数名は野沢雅子、校長夫人が京田尚子(谷育子かのどっちか)、バクスターさんは多分藤本譲じゃないかなあ。


【あらすじ】

 イギリスの農園町ブルックフィールドにあるブルックフィールド・スクールはパブリック・スクール。ここに一人の頑固教師チップス先生がいた。ある日、チップス先生は休暇の旅行先で出会った舞台女優と相思相愛になり夫婦となる・・・















【以下全文ネタバレ注意】














↓四行後にネタバレ文あり




 イギリスの小さな田舎町・ブルックフィールド。
 ここにブルックフィールド・スクールという男子校パブリック・スクールがある。寄宿制で寮に住まい、長期休みのみ家に帰宅するという生活を送っている。

 この学校のラテン語教師アーサー・チッピング通称チップス先生(ピーター・オトゥール)は厳格な先生として有名。しかしチップス先生は生徒に嫌われながらも自身の生徒への愛を理解してほしい、と思っていた。

 チップス先生はテニスの大会がある、と早く授業を終えたいスタンウィック(ジョン・グゴルカ)に対しても容赦なく課題を与え、顧問のウィリアム・バクスター(ジャック・ヘドリー)との対立を深める。しかもスタンウィックの父スタンウィック卿(ジョージ・ベイカー)は事業家で学校に競技場を寄贈してくれることになっている。

 しかしチップス先生は校長(マイケル・レッドグレイヴ)やマックス・ステュフェル(マイケル・ブライアント)という同僚教師からは信頼されていた。

 結局、生徒から嫌われたまま夏休みが始まる。チップス先生はその夏休みの休暇を利用してロンドンへ行ってからポンペイへ行くことを決める。

 ロンドン。
 かつての教え子であるジョニー・ロングブリッジ(マイケル・カルヴァー)に連れられて舞台を見に行くことになる。しかし田舎者のチップス先生は舞台に感動はしつつもそれらについて、てんでよくわからない状態だった。

 ジョニーはその舞台に出演していた後見人役の女優キャサリン・ブリッジズ(ペトゥラ・クラーク)と結婚するんだ、と指差して紹介する。チップス先生はジョニーが結婚することに驚いていた。

 夕食を食べるジョニーとチップス先生。ジョニーはレストランに自分と待ち合わせしていたのをすっぽかされ、キャサリンが近衛騎兵のビル・キャルバレー(クリントン・グレイン)と夕食を共にしているのを見て振られたのだ、と悲嘆。しかしキャサリンに見つけられジョニーとチップス先生は、キャサリン、キャルバレーと一緒の席で雑談する。

 チップス先生は誰が誰をやってたのかよくわかってなかったので頓珍漢な話をする。ジョニーはチップス先生が焦っているのを見てその席を離れるのだった。

 イタリア・ナポリのポンペイ。
 観光客向けのガイド(マリオ・マランツァーナ)にガイドをしようか、と誘われたがむしろその土地の遺跡のことはチップス先生の方が詳しかったりしていた。

 ポンペイの大円形劇場でサンドウィッチを食べるチップス先生に話しかけてくる女性がいた。その女性はなんとキャサリン。どうやらキャサリンはキャルバレーに振られて傷心旅行にポンペイに来たらしい。

 成り行きで一緒にナポリを巡ることになったチップス先生とキャサリン。そのめぐりの中でキャサリンは徐々にチップス先生を意識していき、アポロ神殿で、恋心を意識する。

 その夜、チップス先生はキャサリンにキスをされ、誘惑されるがチップス先生は
「あ、明日は厳しいカリキュラムがありますのでこれにて失礼」
 と言って焦りながら帰りの電車に乗っていった。

 チップス先生が戻った日はちょうど、学校が始業する日だった。生徒たちは地獄に行くかのような重い足取りで学校へ向かう。チップス先生は駅ではぐれて一人っきりになってしまった新入生を励まし一緒にブルックフィールド・スクールに行く。

 その後、キャサリンから一緒に演劇を見に行こうと誘われる。チップス先生は最初は断ろうとするも、キャサリンの家に行く。

 キャサリンの家ではパーティが開かれており女優アーシェラ・モスバンク(シアン・フィリップス)などが招待されていた。パーティの雑踏に揉みくちゃにされるチップスをキャサリンに頼まれたジョニーが助け出す。

 廊下に避難したチップス、キャサリン、ジョニーの三人。そこにキャサリンの恋人面をするキャルバレーがやってくる。チップスは迷惑そうにするキャサリンに配慮しキャルバレーを追い払う。

 仲良さそうにする二人を見たジョニーは
「チップス。あんたなら許すよ」
 と悔しそうに言う。キャサリンはパーティをジョニーに託し、二人で散歩に出る。

 逢引を重ねる内についに二人はお互いにキスをし、夫婦になるのだった。

 その後、住んだことのない世界に戸惑うキャサリン。チップスの友人マックスも
「君と彼女は相性が悪いんじゃないかね」
「相性が悪い?そんな言葉はオクスフォードの辞書には載ってない」
 校長夫人(アリソン・レガット)やスタンウィック卿の嫌味を受けたり、一人浮いてしまったり。

 そんな中で、キャサリンはたまたまスタンウィック卿が校長相手への発言を盗み聞きしてしまう。
「キャサリンという女は女優という昔は娼婦のような女です。そんな女と教師が結婚するなど息子の教育上よろしくない。競技場をもし贈与してほしければ、チップス先生を追放してもらいたい」
 その言葉を聞いたキャサリンはチップスの下を去ろうとする。

 一方、チップスは校長からその話を聞かされ学校から去ろうとするキャサリンを追いかける。キャサリンは車で逃げていきチップスは街まで追いかけるがどんどん距離を離される。

 そこへチップスを追いかけてきたマックスが
「何があったんだ」
 と問い詰める。
「何が!!何が相性が悪いだ!!そんな言葉はオクスフォードの辞書には載ってないんだよ!!そんな言葉のせいで家内が傷つくのはかわいそうすぎる!」
 チップスは小型バスに乗っかってキャサリンを追い続けるのだった。

~休憩~

 ロンドンまで追いかけてきたチップスはキャルバレーからキャサリンの居場所を聞き出し、アーシェラの下へやってくる。

 アーシェラから厨房にいると聞かされたチップスはキャサリンと二週間ぶりに再会する。キャサリンは
「あなたを愛していたから。愛していたからあなたに迷惑かけたくなくて逃げ出してしまったの」
「それは分かってる。でも君は臆病者だ。ちゃんと二人で一緒に立ち向かうべきなんだよ」
 チップスとキャサリンはブルックフィールドに帰って、スタンウィック卿と戦うことを決意する。

 そこへアーシェラがやってきて自分が昔、スタンウィック卿と関係を持っていたがロクでもない男だということを教える。キャサリンはアーシェラがスタンウィック卿相手に切り札として使えるのではないか、と一計を案じる。

 ブルックフィールド・スクールに戻ったキャサリンはチップス先生の妻として恥じないように必死に勉強しうまく取り入っていった。しかし依然としてスタンウィック卿からは睨まれていた。



 父母の日。チップス先生は理事会でスタンウィック卿との対決を宣言する。スタンウィック卿は勝てるはずがない、と一蹴するだけでチップス先生は憤慨しながら去っていく。

 その父母の日の催しに、キャサリンに誘われてアーシェラがやってくる。アーシェラはまったく取り繕うことを知らず校長や校長夫人相手にも慇懃無礼に接する。

 アーシェラの姿を見つけたスタンウィック卿は弱々しくなり、キャサリンに
「アーシェラは取り繕うことを知らない。私がアーシェラと一緒にいるところを家内に見られたりでもしたらとんでもないことになる。どうかすぐに追い返してくれないだろうか」
 キャサリンはアーシェラに近くの見物を勧め、スタンウィック卿を脅すことに成功したのだった。

 夜、チップス先生は自分の宣戦布告が聞いて、スタンウィック卿が白旗を上げた、と大喜びしていた。

 幾年かの年月が過ぎ、イギリスは戦雲高まっていた。校長は引退が決定し校長は次期校長にチップスを推薦した、とキャサリンに話す。またドイツ人のマックスも母がドイツに残っているため、ドイツに帰国せざるを得なくなってしまう。マックスはチップスに
「英国人が羨ましいよ」
 と言って二人の最後の散歩は終わりを告げる。

 そんななかでその日は二人の結婚記念日だった。キャサリンは貧乏教師の妻でありながら高級な木彫りのアポロ像をプレゼントする。しかしチップス先生は高すぎる、とそれを返そうとする。

 それを見ていたキャサリンに恋慕を抱く生徒の一人がキャサリンを
「あの野蛮人の男に傷つけられて大丈夫かキャサリン!」
 その場にチップスがいるとも知らず発言したためチップスの姿を確認した生徒は逃げるように去っていく。

 チップスはキャサリンを問い詰めるがキャサリンは笑うばっかり。チップスは取り乱しまくりで頭を落ち着かせてから、妻キャサリンからもらった木彫りの像を大切に飾ることにする。

 そしてチップスはつい理事長から次期校長の内示が出た、と伝えられたことを漏らしてしまう。キャサリンもチップスも愛すべき学校の校長になれることに心から喜び合った。

 開校記念日。ついに次期校長が発表されたが次期校長はウィリアム・バクスターだった。キャサリンほか多くの学校関係者が寂しそうにする。それでもチップスはバクスターに校長就任を祝うのだった。

 みんなが花火見物に見に行った後、前校長がチップスに、スタンウィット卿の圧力がかかり戦時中の学校閉鎖を免除する代わりにバクスターを新校長にせよ、と圧力がかかったのだ。チップスは前校長にバクスターの下では働けないので辞意を理事長に伝えてほしい、と頼み込む。前校長は撤回してくれないだろうか、と説得するがチップスの意志は固かった。

 家に帰った後、チップスはキャサリンに謝罪する。
「君から女優としての成功、富のチャンスを奪った私だ。私にできることとしてせめて君を校長夫人にしたかった。しかし駄目だった。君がほしがっていた子供も与えることはできなかった。すまない」
「いいのよ。子供だって生まれなかったのは私が悪いの。それに子供は大勢いるわ。みんな男子よ」

 その時、前校長が家を訪れる。どうやら理事会は戦争が始まろうとしている今、少しでも教師を減らしたくないのと同時にチップスのような偉大な教師を引き留めるためにぜひ膝を折ってでも説得してほしい、と言われたそうだ。チップスは辞意を撤回することを決める。



 その後、戦争がはじまりドイツ空軍が度々、空襲をしてくる。バクスター新校長はチップスに子供たちを防空壕へ避難させるべきではないか、というが
「ヒトラーの狙いは空襲によって英国人の生活機能を破壊させることです。我が校はヒトラーの思うつぼになってはいけない」
 と説得しバクスターも了承する。

 キャサリンは元女優ということで慰問に向かうことになった。チップスはキャサリンと空襲から逃れるために机に伏せて二人でいちゃつきあいキスをする。

 理事会に呼び出されたチップス。どうやらバクスターが栄転するらしく、その後任としてチップスが選ばれたようだ。

 チップスはすぐにキャサリンに報告に行くがキャサリンは車で慰問に向かった後。新校長就任報告はキャサリンが慰問から帰ってきたあとになりそうだ。

 その後、チップスがいつも通り授業をしていると生徒ファーリー(トム・ウォーエン)から校長就任の話題を持ち出され生徒から喜ばれる。その後、警官らしき男に呼び出されたので一旦、退室するチップス。生徒たちはこの間にチップスを冗談でからかってやろうとチップスの教卓にからかいの言葉をかいた手紙を置く。

 帰ってきたチップスは凄く悲しそうだった。生徒はそれに気付かず、からかいの手紙を読ませる。
「校長はよっぽど不足しているんですね」
 など。そこへ生徒の一人が入室し
「チップス先生の奥さんがお亡くなりになられた」
 と伝える。ファーリーは手紙を読まないで、とチップスに頼むがチップスは読んでしまう。ファーリーは悪気はなかったんです、と答えチップスは辛い気持ちを押して終業ベルが鳴るまで授業を続ける。しかしその悲しみは推し量れない。

 しばらくの年月が経ち、チップスは短い期間だったが校長を終え、その最後の日。生徒たちに演説をする。

「私は歴代の校長に比べればとても頼りなかったし校長としての資格も無かったでしょう。
ともあれ、戦争は終わり皆さんは新しい世界に羽ばたきます。
対してこの学校はいつか閉校になるかもしれません。
しかし旅立つあなたたちはその母校の変化も素直に受け入れてください。
翻って私のような老人はそれを受け入れず、もはやこの学校の思い出を糧に生きるだけでしょう。
私のような老い先短い老人はそれでも十分、幸せなのですよ。
それからもうひとつ。
私はこの街を去りません。この街で暮らし続けます。
もし皆さんが成長して私を訪ねた時、私が覚えてなかったらきっと皆さんはモウロクしたなこのオヤジとも思われるかもしれません。
しかし私はいつまでも覚えています。
なぜなら今の皆さんが頭に焼き付いて離れることがありません。
もし後に現れても私の中では皆さんは変わらない。いつまでも今の皆さんなのです。
だから、私と皆さんはいつまでもお別れというものはないのです」

 チップス校長先生はその役目を終えて体育館を生徒みんなに見送られて出ていくのだった。

 時はさらに経ち、チップスの家にスタンウィック家の新入生が入ってくる。どうやら先輩に町に住む老人の怖い洗礼を受けろ、と言われて来たらしい。その新入生はスタンウィック卿の曾孫で、テニスに行けなかったスタンウィックの孫だったのだ。

 チップスはスタンウィックの孫とアポロの神の話をいくつかしてから去らせる。そしてチップスは年老いながらも、ブルックフィールド・スクールを何度も訪れ生徒とあいさつを交わす。

 チップス先生が見守るブルックフィールド・スクールの生徒たちはいつも賑やかだった・・










 この映画を語る上でピーター・オトゥールの名演は欠かせませんね。中年の男から始まり大往生する老人まで演じ切る。まだ堅物だった頃はTVドラマ「相棒」の初期の杉下右京を思い出しますね。一番感心したのはピーター・オトゥールが体育館みたいなところで演説を終えて去っていくシーン。子供たちの大きな拍手を受けて泣くのはまあ当然としてその顔を震わせてるんですよ。そして顔を震わせて泣いたまま去っていくシーン。あれがこの映画のオトゥールの演技で最も印象に残りました。

 一番好きなシーンはチップス先生とキャサリンが校長になれなかった時に二人で話した会話です。二人のお互いへの深い愛はもちろんとして生徒たちを生まれることがなかった自身の子供たちのように深く愛している、という会話。これはもう生徒愛ですよね。本当の家族として愛している。私は二人の子供たちへの愛の深さを知ってしまい思わずブルッと震えてしまいました。

 実は原作小説とかなりストーリーが改変されているようです。キャサリンはもっと早く死ぬし、生徒たちも戦争で死んでいき、チップス先生もあそこまで長生きしないそうです。しかしこの映画は原作の雰囲気をうまく表現できてるらしいですよ。ただ私としては、もうちょっとチップス先生夫婦と生徒の関係にスポットをあててほしかったかなあ、と思ったりもします。

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ダイ・ハードらしくないダイ・ハードシリーズの映画でした。


『ダイ・ハード ラスト・デイ』(2013年・米)
ダイ・ハード ラスト・デイ
スタッフ
監督:ジョン・ムーア
脚本:スキップ・ウッズ
原作:キャラクター創造、ロデリック・ソープ
製作:アレックス・ヤング
製作総指揮:トム・カーノウスキー、ジェイソン・ケラー、ラリー・ウェブスター、ブルース・ウィリス
音楽:マルコ・ベルトラミ
撮影:ジョナサン・セラ
編集:ダン・ジマーマン
製作会社 :デューン・エンターテインメント
配給:20世紀フォックス
キャスト
ジョン・マクレーン:ブルース・ウィリス(中村秀利)
ジャック・マクレーン:ジョイ・コートニー(野沢聡)
ユーシー・マクレーン:メアリー・エリザベス・ウィンステッド(園崎未恵)
マーフィー:アマウリー・ノラスコ(落合弘治)
マイク・コリンズ:コール・ハウザー(宮内敦士)
アリク:ラシャ・ブコヴィッチ(関俊彦)
イリーナ・コマロフ:ユーリヤ・スニギル(加藤忍)
ユーリ・コマロフ:セバスチャン・コッホ(伊藤和晃)
チャガーリン:セルゲイ・コルスニコフ(金尾哲夫)


 ジョン・ムーア監督作品「ダイ・ハード ラスト・デイ」。原題は「A Good Day to Die Hard

 あの世界一不幸な刑事が海外出張してまたしても大事件に巻き込まれるっていうダイ・ハードシリーズのお決まりですが、この作品ではどうもジョン・マクレーンが自ら飛び込んでるような感じがしましたね。

 ジョン・マクレーンっていうのはいつもならどこか哀愁を漂わせた中年リーマンのようなオーラを持ってるんですがこの映画はどこか全体的にシリアス調で、そのせいかマクレーンから哀愁が漂ってこなかったような気がします。なんかこの映画のマクレーンは格好良すぎていやですね。

 というかこのダイ・ハードはダイ・ハードにしては綺麗すぎる気がするんですよね。映像だとかジョン・マクレーンのキャラクターだとか。もう少し泥臭くて汚い感じがダイ・ハードだという思いを勝手に抱いているもんですから。

 ジョン・ムーア監督は「マックス・ペイン」(2008年)の監督さんですね。マックス・ペインというと一部の人は知ってるかもしれませんがアメリカのアクションゲームソフト「マックスペイン」が原作となってますね。ってことはこの監督さんはアクションが得意なのかもしれません。確かにマックスペインの暴走とマクレーンの暴走って似てる気がします。

 吹き替えなんですがジョン・マクレーンっていうのはソフト版は樋浦勉、テレビ朝日の日曜洋画劇場系は野沢那智、フジテレビのゴールデン洋画劇場系は村野武範の吹き替えがお決まりでした。中でも野沢那智が結構人気あるらしいです。その野沢那智さんは2010年にお亡くなりになられまして、今回はブルース・ウィリスを那智さんの弟子だった中村秀利、ウィリスの息子役を那智さんの息子・聡さんがやらてていました。

 中村さんはなかなかに野沢さんと演じ方が似てて、普通の会話が声低すぎるかなあ、と思った以外は「こんにゃろぉ!」といった高くなるところは意外と那智さんに似てるんですね。対して聡さんは、演技は悪くないと思うんですがどうしても根本的な、いわゆる「合っているか合っていないか」のところです。まあ私的には那智マクレーンの息子と考えて、聡さんの声を聴いて・・うーんと首を捻ってしまいました。まあこれは個人差ですから。


【あらすじ】

 消息不明の息子ジャックがロシアで逮捕された、という知らせを聞いたジョン・マクレーンはロシアへ旅立つ。ジャックの裁判が行われるなか、裁判所が爆破される。ジャックはその裁判に一緒に立たされていたユーリ・コマロフという男を連れて逃げ出すが二人を謎の組織、そしてロシアへ着いたジョン・マクレーンが追いかける。















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり




 とある拘置所。
 収容されているユーリ・コマロフ(セバスチャン・コッホ)という元政治家の男にチャガーリン(セルゲイ・コルスニコフ)という大物政治家が会いに来る。チャガーリンはユーリにファイルを渡せば自由にする、と伝えるがユーリはそれを拒絶する。

 その後、とあるクラブにて。
 「ユーリ・コマロフに命令されたんだ」と言って一人の男が射殺事件を起こしてしまう。

 ニューヨーク市警の射撃訓練場
 NY市警のジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)刑事は同僚マーフィー(アマウリー・ノラスコ)刑事から息子ジャック・マクレーン(ジョイ・コートニー)がロシアで殺人事件を起こし逮捕された、という報せを聞き驚く。息子は蒸発してしまったのだ。

 ジョンは娘ユーシー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に見送られて息子の様子を見に行くべくロシアに向かう。

 ロシアへ降り立ち息子の裁判が開かれる裁判所へタクシーで向かうジョン。道中の道路はとても混んでおりタクシー運転手(パシャ・D・リンチニコフ)と談笑する。あまりにも混んでいたために道路で出て歩きで向かうことになるが、運転手は気前が良く、それまでの道を無料にしてくれたのだった。

 裁判所の前に着いてからジョンは見るからに怪しい軍用装甲車を見かける。また、ジャックとその共犯かもしれない、として裁判所に連れてこられたコマロフが裁判所に入るシーンも見かける。

 やがて裁判所の近くにBMWが三台並んで停車する。その様子を聞いたアリク(ラシャ・ブコヴィッチ)は部下に起爆スイッチを押せ、と命令する。部下が「ドライバーがまだ乗せられてます」と躊躇いつつもスイッチを押した瞬間、まだドライバーが乗せられたままのBMWが爆発して裁判所の壁が破壊された。

 裁判所にアリク率いる怖い連中が押し入るが、目的のコマロフがいない。コマロフはジャックによって脱出させられたのだ。

 逃亡を図るコマロフとジャックは民間の車を借りてエンジンをかける。しかしその車の前にジョンが現れ車を止めさせる。ジャックはビックリするが
「今はアンタにかまってられない」
 と言ってそのまま車を走らせる。

 ジャックとコマロフの乗る車はハイ・ウェイに乗りそれをアリクの乗る装甲車、そして民間人から車を借りたジョン・マクレーンが追いかける。

 ジョンは装甲車に体当たりしハイ・ウェイの下に装甲車を突き落す。ジョンの車も乗りこめなくなるが、ジャックが車をバックさせジョンを拾い上げる。

 ジャックに案内されマンションの一角の部屋に逃げ込むジョンたち。その部屋はどうやらジャックとその相棒マイク・コリンズ(コール・ハウザー)の作戦部屋らしい。ジャックはいつの間にかCIAエージェントになっておりコマロフの護衛を依頼されていたのだ。

 コリンズはコマロフにファイルの場所さえ言えばすぐに国外逃亡を手助けする、と言いコマロフは
「娘のイリーナが心配だ。彼女とホテルの部屋で会って鍵をとってから隠し場所であるプリピャチにいこう」
 と答える。そのプリピチャというのはチェルノブイリ原発事故でゴーストタウンと化したプリピャチのことだった。

 しかしその直後にアリクたちが襲撃。コリンズは射殺され、ジョン、ジャック、コマロフは命からがら隠れ家のマンションから逃亡。ジャックはマンションを出てから窓際に仕掛けてあった爆弾を起爆させ敵を吹っ飛ばす。

 その後、コマロフの娘イリーナ(ユーリヤ・スニギル)とウクライナ・ホテルで合流。コマロフは鍵を隠し場所から拾い上げた途端、アリクらがそこにやってくる。またイリーナがコマロフの首にナイフを突きつけ人質にとる。ジャックとジョンは武器を置かざるをえなかった。

 アリクはイリーナにコマロフを「Mi-24」というハインドのヘリに乗せ、自身はコテンパンにされた恨みがあるジャックとジョンを痛めつけ始末しようとする。

 しかしその前にジョンが手に縛られた縄を解き、先制攻撃。その場にいたアリクの部下は全滅させるがアリクはなんとか逃亡しヘリに乗り込んで飛び去って行った。

 ヘリがそのまま飛び去っていくかと思いきやこちらに機銃掃射をしてくる。ジョンとジャックは命からがら窓にダイブし工事現場の足場を利用して下に落ちていく。

 まんまと逃げられたジャックは悔しがる。ジャックは諦めよう、と言うがジョンは挑発し二人はアリク達の手からコマロフを取り戻すことを決心する。

 ジャックはコマロフのファイルについて説明する。昔コマロフはチャガーリンという政治家と組んでウラン横流しを行っていた。しかも原発事故の起こったチェルノブイリ事故で二人が絡んでいたのだ。チャガーリンはコマロフを裏切り彼一人に責任を押し付けたがコマロフの持つファイルがあってはチャガーリンの政治生命は終わってしまう。そんなファイルをCIAと、チャガーリンに雇われたアリクが狙っていたのだ。

 ジャックとジョンはナイトクラブの駐車場でチェチェン人の車のトランクからアサルトライフルだとかマシンガンだとか武器を盗んでいく。

 プリピャチへ向かう車の中、ジョンはジャックに父として息子と向き合わなかったことを謝罪する。二人の親子は本当に和解したのだった。

 プリピャチのとある廃墟の銀行。イリーナは放射能汚染の激しいその地点を化合物274というもので中和。アリク、イリーナ、コマロフの三人は奥にどんどん進んでいく。

 やがて奥の大きな倉庫にたどり着く。しかしそこには肝心のファイルなどなくコマロフがかつてチャガーリンと横流ししていた濃縮ウラン10億円分があったのだ。

 どういうことだ、と問い詰めるアリクをコマロフが射殺する。実はコマロフは娘イリーナと共にチャガーリンに自分を脱獄させて、この濃縮ウランを最初から手に入れるつもりだったのだ。

 コマロフはエステ中のチャガーリンに電話をかけ
「人生は返してもらうぞ」
 そう言い放ちエステサロンでチャガーリンは筋肉質な男に首の骨を外されて死亡する。

 イリーナがウランの収容車を用意している間、ジャックとジョンは奥の部屋にたどり着く。二人は演技するコマロフを嘘だと見破り、最初からコマロフの術中に踊らされていたことに気付いたのだ。

 やがて倉庫にイリーナ率いる悪党どもがやってくる。コマロフはその隙にジャックとジョンから離れ激しい銃撃戦が展開される。

 ジョンはイリーナの乗り込んだヘリを止めにヘリに潜入。一方、ジャックはヘリに飛び乗ろうとしているコマロフを屋上まで追いかける。

 イリーナのヘリはコマロフを追いかけるジャックに機銃攻撃を開始。ジョンはヘリに積まれ鎖で繋がれた車に乗り込み、外に発車させる。ヘリは大きくバランスを崩しフラフラと反対の方向を向く。

 コマロフをジャックを掴んでヘリの後部ローターに突き落そうとするが、
「お前がな!」
 と言って逆にジャックがコマロフを後部ローターに落とし、コマロフの体は四散していった。

 ジョンは車から廃墟の銀行に飛び移り、ジャックも合流する。父が死に号泣するイリーナはヘリを銀行に突っ込ませて玉砕によって父の仇を討とうとする。

 こっちへ向かってくるヘリ。ジャックとジョンは銀行の窓からダイブ。外に飛び出した先にオフィスがあり、天井の窓を突き破ってプールへと二人はダイブ。銀行に突っ込んだヘリは地上に落下し、大爆発する。

 ジャックは「ジョン!父さん!大丈夫か」と呼びかけるとジョンがプールから出てくる。久しぶりに聞いた父さん、という言葉だった。

 その場を退散していく二人。
「なあ、厄介事に好きで首をつっこんでるのかい?それとも運が悪いだけ?」
「さあな・・どんだけ考えてもその答えだけは分からん」

 アメリカに帰ってきたジョンとジャックはユーシーと再会。三人のマクレーン家の面々は肩を並べて歩いていく・・・










 車がジャンジャン壊れていくんですよねこの映画。特にBMWを大胆に3台も爆発させちゃうシーン。この監督が出し惜しみしない映画への思いが車を惜しみなく壊すことで表れているのかもしれませんねえ。アクション映画としてはなかなか好きなところです。

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Category: 洋画タ行

断崖

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原作ファンから反感を買いそうな映画でした。


『断崖』(1941年・米)
断崖
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:サムソン・ラファエルソン、アルマ・レヴィル、ジョーン・ハリソン
原作:フランシス・アイルズ「レディに捧げる殺人物語」
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
音楽:フランツ・ワックスマン
撮影:ハリー・ストラドリング
編集:ウィリアム・ハミルトン
配給:RKO
キャスト
リナ・マクレイドロウ:ジョーン・フォンテイン
ジョニー・アイガース:ケーリー・グラント
マクレイドロウ将軍:セドリック・ハードウィック
ミセス・ニューシャム:イザベル・ジーンズ
車掌:ビリー・ビーバン
カメラマン:クライド・クック
エセル:ヘザー・エンジェル
ベンソン刑事:バーノン・ダーニング
ホドソン警部:ラムスデン・ヘイア
バートラム・セッバクス医師:ギャビン・ゴードン
イソベル・セドバクス:オリオール・リイ
マーサ・マクレイドロウ:メイ・ウィッティ
ゴードン・スウェイト“ビーキー”:ナイジェル・ブルース
ジョージ・メルブック:レオ・G・キャロル

郵便配達員:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「断崖」。原題は「Suspicion

 原作はフランシス・アイルズことアントニー・バークリーの「レディに捧げる殺人物語」なんですが、映画化されたこの映画は結末が違うようなんですよ。それはまた最後の方にお話ししますので、最後の方の感想文には原作小説のネタバレもありますのでご注意くださいな。

 主演はケーリー・グラントでヒッチコック作品初デビューです。のちに「汚名」(1946年)、「泥棒成金」(1955年)、「北北西に進路を取れ」(1959年)にも出てますね。今回のケーリー・グラントは無邪気さと残しつつどこか怖い印象を受ける男を演じたのですがこれがまたうまい。実はRKOとケーリー・グラントを悪役に使わない約束で彼を主演させたもんですから、原作から改変せざるを得なかったんですよ。
 原作と同じようにしろよ、という意見もあるかと思いますが私はこの役が似合うのはケーリー・グラントぐらいしか思いつきませんね。

 ヒロインのジョーン・フォンテインは「レベッカ」(1940年)で一躍有名になりましたね。ほかには「ジェーン・エア」(1944年)だとか「旅愁」(1950年)がありますね。両親はイギリス人なんですが、実はこの人は日本で生まれたんですよね。

 原題を直訳すると「疑惑」とか「疑い」みたいな意味になるんですよ。でもヒッチコックはサスペンス物が多いからただの疑惑じゃつまらないですよね。私はこの「断崖」って邦題はいい邦題だと思いますよ。奥さんが怖くて怖くて崖っぷちに追い詰められるような精神状況をうまく表現できてると思います。何に追い詰められるかは今は秘密です。


【あらすじ】

 お金持ちのお嬢様リナは優しい男ジョニーと恋に落ち半ば駆け落ちのような形で結婚する。しかしジョニーというのは自堕落な男で、いざ一緒に暮らすと優しいだけで勝手に家宝を売って金にするうえに、職場の金を使い込んでクビになったり、競馬がやめられない。リナは夫に危機感を覚えていた・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり



 汽車が暗いトンネルに差し掛かったころ、1等席の客室にはリナ・マクレイドロウ(ジョニー・フォンテーン)が座っていたがそこに厚かましい男ジョニー・アイガース(ケーリー・グラント)が同席してくる。

 車掌(ビリー・ビーバン)が切符点検に現れリナは切符を渡すがジョニーはどうやら3等席のキップしかなく、追加料金を払わされる。だがジョニーは小銭が足りなく、リナに小銭をくれ、と言う。リナは財布を取り出すがジョニーは半ペニー分の切手を勝手に財布から抜き取って車掌に渡す。

 リナはロクでもない男だと思いつついくつか会話をしてから児童文学の本に目を戻す。その本になんとジョニーの記事が載っていてリナは驚く。

 乗馬会に見物にやってきたジョニーは女を侍らせているところをカメラマン(クライド・クック)に写真を撮らせてほしいと頼まれる。笑顔を作ってくれ、と言われスマイルを作ったあと、ジョニーは汽車で出会った女リサがこの前、会った時のような地味な格好ではなく快活な笑顔を浮かべているのを目撃。侍らせている女からリサが金持ちのお嬢様だと聞き、彼女に興味を持つ。

 乗馬会の後、家に帰ったリナをジョニーが訪問し、一緒に教会へ行かないかと誘う。リナはルンルン気分でジョニーの誘いに応じるのだった。ジョニーはリナが読んでいた本に自分の写真が掲載された記事が挟まれていることに気付く。

 教会に入ろうとした直前、ジョニーはリナを半ば無理やり散歩に連れ出し、丘で彼女を「モンキーフェイス」(お猿さん顔ということでしょうが、けなしている訳ではないようです。からかい混じりの発言なのでしょうか)と呼びながらキスを迫る。しかし恋愛経験のないリナはウブだったからこそ、キスを拒絶し家に帰る。

 帰宅したリナは父親(セドリック・ハードウィック)と母マーサ(メイ・ウィッティ)が自分のことを話しているのを盗み聞きする。どうやらリナは恋愛をすることはないだろう、と両親は安心しているようだ。リナは癇癪を起こし、思わずジョニーにキスをして去ってしまう。

 家に入ってから食事をするリナ、父親、マーサの三人。リナはジョニーと散歩をしたことを話すが父親によればジョニーは過去にカードで詐欺をしたことがあるらしい。だがリナの熱い想いは変わらなかった。

 しかし当のジョニーはリナが何度も連絡をとろうとしても取れずにいて寂しい思いをさせられる。もしかしたらジョニーはリナを避けているのではないだろうか。

 舞踏会の日。リナは憂鬱な気分が変わらず体調不良を訴えて舞踏会に出席しないつもりでいた。しかしリナに電報が届く。ジョニーからで、舞踏会で待っている、胸骨上縁部が観れるような派手なドレスを着てきてほしいとのことだった。

 すぐにリナは晴れやかな気持ちになりドレスを着こんで舞踏会に参加。だが会場にジョニーの姿は見れず、リナは落ち込みながらも知り合いと踊る。

 やがて舞踏会にマクレイドロウ将軍に招待された、と無理やりジョニーが乗り込んでくる。ジョニーはリナと再会し二人は舞踏会を抜け出し夜のドライブに出かける。

 車の中で二人は思いを打ち明けあう。二人の熱い想いはとどまることを知らず、ついには結婚してしまおうと決めて二人はキスをする。

 翌朝、反対されるであろうことを知っていたリナは両親に何も告げず駆け落ちをしてしまう。新婚旅行はパリやリバプールへ行ったりとヨーロッパ中を巡った。

 大きな家に新居を構えメイドのエセル(ヘザー・エンジェル)も雇った二人だったが、リナは家や新婚旅行の金がすべて借金でありジョニーは無職の一文無しであることが今更判明したのだ。

 これからどうなるのか不安になるリナに対しジョニーはリナの金でやりくりできるであろう、と軽い気持ちでいたようだ。リナは駆け落ちしたのだから両親に金は貰えない、と正直に話しジョニーに働いてほしいと勧める。

 やがて父親から贈り物が届く。それはリナがずっと欲しがっていた家宝とも呼べる椅子2脚だった。ジョニーは金目の物だと期待したが椅子であると知るや落胆。しかしリナに自分に働いてほしい、と不動産会社を経営する従弟のジョージ・メルブック(レオ・G・キャロル)に頼まれていることを伝える。

 数日経ったある日、ジョニーの友人を名乗るゴードン・スウェイト通称ビーキー(ナイジェル・ブルース)が現れる。リナはビーキーをもてなそうとするが父から貰った椅子がない。ビーキーは競馬仲間だと名乗り、この前もジョニーは競馬場で大金をつぎ込んだから恐らく椅子を売ったのだろう、と話す。

 リナはジョニーが競馬をやめた、と本人から言われていたのだ。帰ってきたジョニーを問い詰めるリナ。ジョニーは家具屋に売ってしまった、と言いリナはその言葉を信じる。ビーキーはそんなジョニーに
「それなら小切手はどこにあるんだい?」
 などとジョニーをからかう。ビーキーはジョニーの勧めで家に一週間ほど滞在することになった。

 だが町にリナが出たときに、質屋にあの椅子2脚が展示されていたのだ。リナは自分が否定したビーキーにまず謝り、ビーキーは話を聞いてあいつなら仕方がない、と軽く言う。

 やがてジョニーが競馬で2000ポンド儲けた、と言ってプレゼントをいくつか持って帰ってくる。ビーキー、メイドのエセル、リナに。しかしリナは質屋に椅子を売られたこととそれをだまされたことでショックを受けていた。一方、ジョニーはなんで暗い顔をしているのか分からずビーキーと一緒に笑わせようとする。

 それでも笑わないリナにジョニーは領収書を見せる。あの椅子2脚を買い戻していたのだ。リナはやっと笑顔を取り戻し涙する。

 競馬から足を洗う、と今度こそ約束したジョニー。ビーキー、ジョニー、リナの三人は祝杯の酒を交わすがビーキーはアルコール中毒で診断中の身だった。しかしビーキーは一杯だけ、と飲んだ矢先に苦しみだしてしまう。ジョニーは冷たい顔で
「今度飲んだら死ぬぞ」
 と警告を促すのだった。

 リナはジョニーが勤めている、というメルベックの不動産会社を訪れる。しかしメルベックから聞かされたのは6週間前にジョニーが解雇されたことだけでなく、なんとその理由が会社の金2000ポンドを使い込んだことだったのだ。

 金さえ返せば告訴はしない、というメルベック。リナはショックが大きく、ついに家出を考える。だがそこにジョニーが現れ、なんとリナの父親が死んでしまった、という報告を伝える。リナはその知らせを聞き、ジョニーの胸に泣きつくのだった。

 その後、父親の遺言どおり遺産分配されるが駆け落ちしたこともあり、父親の肖像画くらいしかリナの手元に渡らなくなってしまった。ジョニーはその肖像画に毒づくのだった。

 葬儀の帰り道、リナはジョニーが解雇されたことを知っていると伝えた。理由は知らない、と嘘をつくリナにジョニーは
「彼は古い気質の人間だから新しいことを考える僕とはウマが合わなかった」
 という理由の嘘をつく。葬儀の帰り道に通った海岸線の断崖地帯に車を止め、そこでリゾート地計画の構想を練り始める。

 ジョニーはなんとそれを実現するべくビーキーの出資で不動産を設立してしまう。しかし構想計画を立てていた翌日にはあっさりとそれを中止する。

 夜、一緒に断崖地帯を見に行こうとビーキーに迫るジョニー。ビーキーはあまり乗り気ではないがジョニーは強要しているようだ。

 たまたまその時、言葉遊びをしており言葉の組み合わせが偶然「MURDER」(殺人の意)となる。リナはそれを見て夫ジョニーが断崖でビーキーを殺して財産を奪おうとするのでは、と考え卒倒してしまう。

 翌朝、目覚めたリナは夫ジョニーとビーキーが断崖地帯に出かけたと知り慌てて車を出す。崖についたリナは車のブレーキ痕が崖に向かっているのを見て絶望してしまう。

 家に帰宅したリナだったがジョニーとビーキーは仲良く会話しながらそこに居た。安堵するリナにビーキーは死にかけた、と話す。

 何のことか聞くリナ。ビーキーによれば車を間違えて崖の方向へ進ませてしまい落ちかけたところを飛び込んできたジョニーが助けたとのことだった。

 ビーキーは事業解消のためパリに行くことになった。ジョニーがロンドンまで車で送っていくことになる。

 ある日、ホドソン警部(ラムスデン・ヘイア)とベンソン刑事(バーノン・ダーニング)が家に来る。二人によればパリで酒を飲みすぎて死んでしまったらしい。店員の証言によればビーキーが一緒に飲んでいた相手のあだ名がジョニーがビーキーに呼ばれていたあだ名と似たものらしい。

 リナはジョニーが泊まっているホテルに連絡するが、なんとすでに昨日の朝にホテルを経ったそうだ。もしかしてパリに行ったのでは?疑念を深めるリナのもとにジョニーが帰ってくる。ジョニーはパリに行ってはいないと言って警察にもそのことを伝える。
「昨日はずっとホテルに居ました」
 しかしリナは昨日の朝にホテルを経ったことは聞いていた・・・

 リナは知人の推理小説作家イソベル・セドバスク(オリオール・リイ)の下を訪れる。イソベルによればどうやら自分の小説とビーキーの事件は似ている、とのことだった。

 リナはその本を貸してほしい、と頼むがイソベルはその本はジョニーに貸したという。ますます疑念を深めるリナ。

 帰宅したリナはその本を探し、本にメルベックあてにジョニーが書いたらしき文面がありそれは返済期限の延長を求めるものだった。

その後、ある電話を受け取るリナ。それはジョニーあてで、どうやら保険会社かららしい。翌日、保険会社からの手紙が届き、リナはジョニーがシャワーを浴びている最中にその手紙を盗み見る。どうやら自分には知らないところでリナの保険金がかかっており、ジョニーがその保険金を借りることはできないだろうか、と保険会社に相談したらしい。

 ジョニーを疑いながらリナはイソベルにジョニー共々食事に呼ばれる。その食事会でイソベルは検視医をしている弟バートラム(ギャビン・ゴードン)と毒薬談義の話になり、ジョニーは追跡不可能な毒薬が生まれたという話題に敏感に興味を示す。イソベルもゴードンもその話をしなかったが、リナはジョニーが自分を殺そうとしているのではないか、と恐怖を抱く。

 夜、別々の寝室で寝ようと提案したリナ。ジョニーは不機嫌になりながらも承知し別室へ去っていく。極度の緊張感に襲われていたリナは卒倒してしまう。

 目が覚めるとジョニーとイソベルが看護をしてくれていた。イソベルはリナに、リナが眠っている間に毒薬の話をしてしまった、と打ち明ける。イソベルによればその毒薬は生活必需品だけで作れるもので、飲むとすぐに死ぬが毒の痕跡は出ない、とのことだった。

 イソベルが帰った後、ジョニーが牛乳を運んできた。リナはその牛乳が怖くて、手を出すことができなかった。



 翌朝、リナは体調が悪い上に母親が寂しがっているので、実家に帰るとジョニーに伝える。ジョニーは妻の態度を不審がって車で実家まで送っていく、と伝える。

 断りきれず車に乗せられるリナ。ジョニーは断崖沿いの道路を乱暴な運転で走っていく。上がるスピードメーターに恐怖するリナ。

 ついにリナ側のドアが開き、ジョニーは怖い目をしてリナを突き落とそうとつかみかかる。リナは車から飛び降りるがジョニーがそれを捕まえる。
「いい加減にしてくれ!死ぬところだったじゃないか!」

 ジョニーの発言が訳も分からずリナはジョニーにおびえる。どうやら先ほど落とされそうになったのはリナが極度の緊張状態に追い込まれた末の妄想だったらしい。自分を殺そうとしているのだ、とおびえるリナにジョニーは告白をはじめた。

 ジョニーはメルベックの金を使い込んで払いきれなくなり、ビーキーとロンドンで別れてからその足でリバプールまで行ったらしい。リナの保険金を借りることはできまいか、と思ったジョニーだったが保険会社からそれは無理だ、という返答を受け、イソベルの言っていた毒を服用して自殺しその保険金で返済しようと思っていたのだという。

 リナはその話を聞き自分の妄想を後悔しやり直すことができる、と励ます。しかしそれに対してジョニーは自分はもう変わることはできないんだ、と悔しげに話しジョニーはリナを実家へ帰そうとする。

 リナは粘り強くジョニーを説得し、ついに二人でまた一からやり直すことを決めて二人の車は来た道を戻っていくのだった・・・









(以下原作小説のネタバレも含)

 やっぱり友人殺しの犯人はケーリー・グラントじゃなかろうか、という疑念は私の中に残ってますね。ロンドンで一緒に飲んだ相手がケーリー・グラントにつけられたあだ名に似ていた、もしくは一致していた、というのがものすごく気になってます。

 というのも原作では実は奥さんが旦那さんが自分を殺そうとしているのでは、と疑念を持つのがかなり終盤の方で、結局旦那を愛しているから自分が殺されるのを待つ、そして旦那は奥さんを殺すっていう終わり方だったんですよ。

 原作ではホントに旦那さんの役は・・外道です。リナ相手に最後、お前の金が目当てだったにきまってるだろう、とか吐いたり、メイドを妊娠させたり、結婚後もリナの友達や街の女に手を出したり、映画ではそんなワケにはいきません。RKOはケーリー・グラントを悪役になんてさせたくないからです。

 実は原作とは違ったもう一つの結末をヒッチコックは考えていたみたいなんですが、先述のRKOの方針によりそれは却下されたそうです。余韻を残した終わり方だったそうですよ。

 この映画でヒッチコックすごい、とよく言われるシーンはケーリー・グラントが奥さんにミルクを運ぶシーンで夜の暗い階段を上がるグラントとミルクの怖さと怪しさを際立たせるために、ミルクの中に豆電球を入れたそうですよ。天才は考えることがちがいますね・・

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