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望郷

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私はこの映画を恋愛映画とは観れません。邦題のせいでしょうかね。
ちなみにこの映画は現時点で洋画の中で4番目に好きな映画です。


『望郷』 Pépé le Moko (1937年・仏)
望郷
スタッフ
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:アンリ・ラ・バルト「ペペ・ル・モコ」
脚本:アンリ・ラ・バルト、ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャック・コンスタン(脚色)、アンリ・ジャンソン(台詞)
製作:レイモン・アキム、ロベール・アキム
音楽:ヴァンサン・スコット、モハメド・イグルブーシャン
撮影:マルク・フォサール、ジュール・クルーガー
編集:マルグリット・ボージェ
製作会社:パリ・フィルム
キャスト
ペペ・ル・モコ:ジャン・ギャバン
ギャビー:ミレーユ・バラン
イネス:リーヌ・ノロ
スリマン刑事:リュカ・グリドゥ
カルロス:ガブリエル・ガブリエオ
親父さん:サテュルナン・ファーブル
タニア:フレエル
レジス:フェルナンド・シャルパン
ピエロ:ジルベート・ジル


 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品「望郷」。原題は「Pépé le Moko

 原題は主人公の名前になりますね。ペペ・ル・モコ。ジャン・ギャバンが演じています。

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督。この方は日本で大人気のフランス映画の監督さんです。戦前とかは国内よりもむしろ日本の方がファンが多かったみたいですね。この人の作品はしっかりと観たのは初めてでした。他にも「舞踏会の手帖」(1937年)とか「にんじん」(1932年)とか名前は知っている作品がありますね。観てなくても、これから観ればいいんです。

 製作のロベールとレイモン兄弟。ロベールがレイモンの2歳上のお兄さんです。この人たちはなんと「太陽がいっぱい」(1960年)の製作も手がけた方たちだったとは知りませんでした。二人はエジプト生まれの兄弟でパリ・フィルムを起業してロベールは「南部の人」(1945年)でハリウッドでも製作することに成功してますね。

 主演はジャン・ギャバン。大好きな俳優さんです。「大いなる幻影」と同時期の映画ですね。年を取っていくほど「地下室のメロディー」(1963年)などで物凄い貫禄をつけていきますね。でも私はこの頃のギャバンも大好きです。

 ギャバンの相手の恋人役はミレーユ・バラン。この人の他の作品はあまり日本で馴染みがないですね。「ドン・キホーテ」(1933年)とかでしょうか。イタリア語が流暢な女優さんで、モナコ人のお父さんとイタリア人のお母さんのハーフです。

 この映画は詩的リアリズムの代表と言われてます。詩的リアリズムというのは現実っぽさと感情が同居し、ある物事を隅から隅まで鋭く見渡すと同時に描写が繊細、といったことを言うようです。で、その詩的リアリズムの映画というのは大体がドラマチックで、大掛かりな撮影セットで作られる映画だそうです。でもあまり定型化してる訳では無いのですけれども。

 舞台はアルジェリアの首都アルジェのカスバ。この旧市街は1992年に世界遺産に登録されてますね。この街がこの映画で卑しい街のような扱いを受けたもんだからアルジェリアの映画人はみんな不満だったようですね。


【あらすじ】

 アルジェリアのカスバの町。ここに大強盗などを繰り返したペペ・ル・モコという犯罪者が潜んで暮らしている。現地警察はカスバの迷路のように入り組んだ町に苦労しペペを捕まえることは出来ない。しかしサリマン刑事はパリから来た貴婦人を利用しペペをカスバの外に誘き出そうと考える。













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり


アルジェリア・首都アルジェ

 アルジェ警察署ではパリ警察からの応援に来たジャンヴィエ刑事(フィリップ・リシャール)に対しアルジェ警察のムニエ刑事(レネ・ベルジュロン)がペペ・ル・モコ(ジャン・ギャバン)が簡単に捕まらない理由を説明していた。

 ペペ・ル・モコという男は南フランスでどでかい銀行強盗をしてアルジェのカスバという町に逃げ込んだ。ペペの逮捕に手を焼く理由は一つ。アルジェ警察署のルーヴェン署長(ポール・エスコフィエ)はその理由がカスバという迷宮のように入り組んだ町にある、と話す。

 カスバというのは上から見渡せば迷路のようで、アリの巣のように入り組んでいる。段々畑のような階段状の街。そして街は海を見下ろしている。曲がりくねった路地が複雑に交差し、引っ越してきた人は覚えるのに一苦労。

 路地は所々で丸天井に覆われている。悪臭の漂う路地や急な段差の階段に泥で汚れた玄関には虫が集っている。薄暗がりで混み合ったカフェ、人通りがなく適当につけられたような妙な名前の路地。

 そんな混み合ったカスバの街には4万人が暮らしている。生息人種は多種にわたり、よそから来た種族、元々居座っている種族などなど。他にもカビル人【※1】、中国人、ロマ人【※2】、国籍の無い人間、スラヴ人【※3】、マルタ人【※4】、黒人、スペイン人、シチリア人【※5】などなど。
※1】カビル人:アルジェリア北東部で暮らすベルベル人のグループの一つ。イスラム教は受け入れたが、アラブ人と混血しアラブ化するのを拒んだため、他のイスラム教徒から異端扱いされ迫害を受ける。有名人では沢尻エリカの母やサッカー選手のジダンなど。白い肌とグレーがかった青い目が特徴。
※2】ロマ人:ジプシーと呼ばれる人々の内、北インドのロマニ系から由来して北東欧で暮らし始めた人々のこと。定住生活者も居るが、ヨーロッパ人から①白人ではない②個人主義で地域に適応しようとしない③流れ者の民族④キリスト教徒でない、という理由などで嫌われるため、放浪者となることが多い。有名人ではユル・ブリンナー(世界ロマ連盟の初代会長)、チャーリー・チャップリン。
※3】スラブ人:中欧・東欧で多く暮らすスラヴ語を話す民族たち。東スラヴ人と西スラヴ人、南スラヴ人に分かれる。有名人はプーチン露首相、ゴルバチョフ露書記長など。
※4】マルタ人:フェニキア、ローマ、アラブ、ノルマン(シシリー)など色んな人種の混血。時間にルーズでせっかちなのが特徴。ほぼローマカトリック信者。
※5】シチリア人:イタリア・シチリア島とその周辺の島に住む地中海人種。また、アメリカに移民した人たちもいる。

 娼婦も多様な人々がいる。長身、太っちょ、少女、老婆、型くずれの服を着た女、巨体女。

 家には常に風が吹いている中庭があり、人々の話し声と風のざわめきが響きあう。そして各家はテラスで繋がっている。テラスは地元の女性の聖域となっているが、よそ者も入れてしまう。

 このテラスが段々に下って海辺まで続いていく。そしてカスバは時折平穏、賑わい、怒号で包まれるなど顔を切り替えていく。そんな街がカスバでここにペペが潜伏している。

 ペペは手下に守られていて、情報はテラスを伝って駆けめぐる。ほとんどの屋根に見張りがいて突入時もすぐに情報が伝わってしまう。いつも砲火の犠牲に合うのは警察だ。

 そこへスリマン刑事(リュカ・グリドゥ)が入ってくる。スリマンは毎日ペペと会って話をしている。スリマンによればペペという男はニッコリと笑う笑顔が味方と女を惹きつけ、敵は背中から殺す、という油断ならぬ男だった。

 なぜ逮捕しないのか、と憤慨するジャンヴィエ刑事に、スリマンはカスバでぺぺを捕まえようとしたら彼らの仲間に殺されてしまう。今はペペがカスバから出る時期を待っている、と答える。

 アルジェ警察は機動隊を率いてペペ・ル・モコをカスバで捕まえる作戦に出る。

 話題となっている男ペペ・ル・モコは盗んだ真珠などを、親父さんと呼ばれ慕われる男(サテュルナン・ファーブル)に鑑定してもらっていた。ペペの商売仲間のカルロス(ガブリエル・ガブリエオ)が鑑定を急かすのを、ペペと親父さんが咎める。

 ペペは側近の手下に、スラヴ人でいつもニッコリしているマックス(ロジャー・ルグリ)、けん玉をいつもしているジム(ガストン・モド)、まだ青くて若いピエロ(ジルベート・ジル)がいる。

 カスバにアルジェ警察の機動隊が押し寄せて来た。カスバ内で情報はあっという間に広まる。

 突入を聞いたレジス(フェルナンド・シャルパン)はペペの愛人であるイネス(リーヌ・ノロ)に情報を伝え、ペペが今どこに居るのか聞く。イネスは親父さんの所に居る、とレジスに教えテラス伝いにペペに情報を伝えに行った。

 レジスはペペの家に居た。レジスはペペが現在、親父さんの所にいることを警察に知らせる。レジスは警察のスパイだったのだ。

 爺さんの家が警察に囲まれる。ペペはレジスが自分を警察に売ったのだ、と確信。逃亡を開始し道中で、警察官たちと銃撃戦を始める。

 パリから来た貴婦人のギャビー(ミレーユ・バラン)は銃撃戦に巻き込まれては危ない、とサリマン刑事に近くの家に避難誘導される。

 銃撃戦で腕を撃たれたペペはイネス達に撤収を命じる。ペペらはテラス伝いに撤収を開始した。

 ギャビーは警察たちが目の敵にするペペ・ル・モコという男に興味を抱く。ペペは今は情婦イネスの下で暮らしているのだ。

 そこへ偶然、ペペが入ってきた。ペペはギャビーの身に付ける沢山の宝石が気になる。ペペとサリマン刑事は話が合うが、サリマンは自信を持ってペペをカスバの外に誘き寄せ、自分が必ず捕まえる、と宣言する。ペペとサリマンは捕まるか捕まらないか、の賭けをするという不思議な関係だった。

 ペペが去ったあと、サリマンはギャビーにペペを逮捕する準備は出来ている、と自信満々に答えた。


 結局、警察のガサ入れは大失敗に終わった。スパイのレジスは自分に妙案があると提案する。ペペが気に入っている新米のピエロを町の外に誘き寄せ捕まえれば、ペペは町を下りてくる、というのだ。

 ピエロを町の外におびき寄せるためにはどうするか。ピエロは母親思いで、もし母親が病気だと思ったら心配でカスバを下りてくるに違いない、とレジスは言う。

 そこで母親の身を案じるような不安にさせる手紙をピエロに送ればいいのだ。手紙を渡すのは同じくスパイでアラブ人のアルビ(マルセル・ダリオ)。署長はその作戦に乗ることに決めた。

 ペペはカスバと情婦イネスにいい加減飽きていて、二人は口論になる。

 イネスの家を出たペペはサリマンとカスバの中を歩く。ペペは、ギャビーという女のことがどうも気になっているようだ。

 レジスは早速、ピエロに罠をかけていた。ピエロは、母に旅費を送ったのに返事が来ないことを不安げにしていて、それをレジスが酒場で励まし信頼を得ている。その酒場では親父さんとカルロスがカードゲームをやっていた。

 その酒場にペペがやって来る。ペペは酒場の二階でカードゲームにふける親父さんとカルロスのカードゲームに混じる。嫌われ者のレジスは酒場を追い出される。

 出る直前にピエロが愛人のアイシャ(オルガ・ロルド)から手紙を受け取っていた。その手紙はアラブ人のアルビによって届けられたものだった。

 手紙は母親からで、レジスはその手紙を受け取り、内容を確認するようにピエロから頼まれる。それを遠くから見ていたペペはレジスは信用ならない奴だから関わるな、と釘を刺す。交友なんて自分の自由だ、というピエロをぶって忠告を素直に聞き入れさせようとする。

 酒場を出たピエロにレジスは、もしかしたらピエロの母は病気かもしれない、と不安を煽る。レジスはピエロに街から下りて母の泊まる宿へ確認しに行くよう忠告。レジスはピエロに同行する、と一緒に町を下りていった。それをアイシャが見ていた。

 サリマン刑事はホテル・アレッティのレストランでギャビーたちと同席することになった。ギャビーは酒商のマキシム・クリープ(シャルル・グランヴァル)の付き添いでアルジェに来ていて、その友達のグラヴェール(ジーン・テメルゾン)、ベルティエと共に食事を楽しんでいた。

 ギャビーはペペ・ル・モコに興味津々で、その日の夜も再びグラヴェール、ヴェルティエと共に行く計画を立てる。そして案内兼護衛役はサリマン刑事。

 アイシャは夜になってもピエロが帰ってこないことを不安に思い、レジスを問いただすがレジスは町の外で別れた、とぶっきらぼうに答える。

 不安が強くなるアイシャはペペや親父さんにピエロが居ないことを相談する。レジスといっしょに町を下りたことを聞いたペペは酒場でレジスを捕まえ、倉庫に連行してレジスを取り囲み、ピエロが帰ってくるまで待つことになる。

 レジスはペペらに威圧をかけられビクビクしている。ペペはイネスにピエロを探してくるように命じる。

 探しに出かけたイネスはサリマンと遭遇する。サリマンはイネスにギャビーを紹介。ペペにゾッコンになった女だ、と紹介しイネスは嫉妬に駆られる。

 サリマンたちはペペがいる酒場を見つけて入っていた。ペペはギャビーと再会。カルロスはギャビーの身に付ける沢山の宝石に注目しペペに盗むように言うが、ペペはそれを断る。

 ペペはギャビーを誘ってダンスをする。ダンス中、初めてギャビーの名前を聞き、ギャビーがペペと出身地が近いことを知る。良い気分になりキスをしようとするがギャビーに断られる。

 テラスへ連れて行こうとしたが友達に探される、とギャビーは断り明日また会う約束を取り付ける。それを見てイネスはまたしても嫉妬に駆られピエロ捜索を中断したことをペペに言う。

 そこへピエロが腹部を撃たれながらもなんとか帰ってきた。ペペはカルロスと共にピエロの体を支えて、ピエロに拳銃を持たせレジスを撃ち殺させようとする。

 ピエロはレジスを撃とうとした寸前で息絶えてしまい、代わりにカルロスがレジスを撃ち殺した。店の中は騒ぎが起きて、ギャビーたちも居なくなってしまう。

 町を出れないペペはピエロの葬式にすら出れなかった。ペペはカスバの町への嫌気が限界にまで達しかけていた。サリマンはそんなペペにギャビーが騒ぎはゴメンだからもう来ないと言っていた、とウソで煽り立て、ついにペペは親父さんたちが止めるのも構わず、一人でカスバを出ようとする。

 サリマンの知らせによりカスバの出口が警察官たちで封鎖される。カスバの出口が近づいてきたとき、イネスが追いついてギャビーという女は家に来ている、とペペに教える。

 ペペはすぐに家に行くが中にはギャビーは居ない。止めようとしてイネスが嘘をついたのだ。ペペは冷静さを欠いた自分を許してほしい、とイネスに謝り、彼女を責めなかった。

 飲みに出かけたペペはギャビーが来ているのを見て驚く。そして二人でペペの知り合いの家に入って逢引を楽しむ。それを遠目でサリマンが見ていた。サリマンはペペを探すイネスにギャビーと一緒だ、と知らせる。

 ペペはギャビーに自分が惚れ込んだことや、ギャビーの匂いはパリのメトロの音やカフェオレの匂いが思い出される、とギャビーの着飾った絹のドレスや宝石ではなく、彼女の懐かしい匂いに惚れ込んだ、と打ち明ける。

 ギャビーは明日も会う約束を取り付けるが、ペペが出たくても出られない状況に納得できないことを示す。だがペペはギャビーに何かあれば必ず町を出てでも会いにいく、と。

 翌朝、ペペはギャビーと会う約束を取り付けご機嫌でテラスで歌を歌う。道行く人々がペペの歌に聞き惚れていた。サリマンはペペが今日、デートをすることを確信しペペに探りを入れる。

 その後、サリマンはギャビーの連れであるマキシム・クリープにギャビーがカスバでペペ・ル・モコと逢引を重ねていることを報告し、彼女を帰国させるように促す。

 ペペはギャビーを迎え二人で夕食を摂る準備を整えていた。一方のギャビーはマキシムに足止めを食わされていたが、マキシムなどもはや相手にもせず、ペペの下へ向かっていく。マキシムに貰った宝石も置いていこうとしたが、宝石は手切れ金としてやっぱりギャビーは持っていく。

 しかしホテルを出ようとしたところでサリマンに止められる。サリマンは、ペペがムニエ刑事に正当防衛で射殺された、と嘘の情報をギャビーに話した。ギャビーは結局、マキシムによってその日の船に乗せられアルジェを去ることになる。

 食事の準備をしていたのにいつまで待っても来ないギャビー。ペペは意気消沈していた。それを見かねたカルロスが共同でカスバを脱出する計画を企てようと誘ってくる。

 下見のためにもカスバを出て行こうとするカルロス。ペペは脱出計画に同意し、カルロスにギャビー宛の手紙を渡してほしいと頼む。そして返事ももらってほしい、と頼んだ。

 ペペはカルロスの妻タニア(フレエル)の家でカルロスの帰りを待っていた。しかしいつまで経っても帰ってこない。タニアは心配しつつもその不安を和らげるべくかつて歌手時代に歌った歌のレコードをかける。

 ニューヨークに夢憧れていざ暮らしてみても必ず成功するとは限らない、といった内容の歌だった。それを聞きながらタニアは昔良き時代を思い出す。

 そこへイネスとアルビがやって来る。アルビはカルロスが捕まって、手紙を代わりにギャビーに渡した。ギャビーは監視されて動けないのでホテルの裏口から入ってくれ、という伝言を受け取った、という知らせをしにくる。

 しかしペペはアルビが警察のスパイだと知っていて、それはワナであることに気付きアルビに暴力を振るって真実を話させる。やはりアルビが言ったことは罠でサリマン刑事がペペは死んだと嘘をついてギャビーを10時出発の帰国の船に乗せた、と言う真実をアルビは打ち明けた。しかしカルロスが捕まったのは本当のようだ。

 ペペはまずイネスにアルビを見晴らせるための仲間を呼んでこさせてから、自分は服を着替える。イネスは自分を捨てないで、と訴えるがペペはカスバのせいなんだ、と申し訳なさそうに言い家を出る。

 ペペは何にも構わずカスバの階段を下りて海に、港に向かっていく。ついにはカスバを出てタクシーに乗り込んだ。

 イネスはタクシーでホテル・アレッティに来ていた。ペペが来ると踏んでいたサリマンは驚くが、イネスはペペが港へ向かったことを打ち明けてしまった。イネスは港についてからペペに行かせてあげて!とサリマンに訴えるが、サリマンは聞かなかった。

 港に着き船に乗り込んだペペ。窓ガラスの向こうの部屋にギャビーを発見するが後一歩のところでサリマン刑事に捕まってしまう。

 パトカーに連行されるペペはイネスと視線を合わせる。

 パトカーの前。港の出入り口の門が閉められている。ペペは船を見つめ、逃げはしないから門のところで船を見送らせほしい、とサリマンに頼む。サリマンはペペが義理堅い男だと知っていたので承諾した。

 ペペは両手に手錠をはめられ、出港する船を見つめる。一方、ギャビーも船のデッキに出てカスバの街を見つめる。

 ペペはギャビーに気付くだろうか。大声で愛する女を呼ぶ。
「ギャビイイイイイイイイイイ!」

 しかし船の出港の汽笛がその叫び声をかき消し、汽笛の音を煩わしく思ったギャビーは船の中に戻ってしまった。

 声の届かなかったペペは涙を浮かべながら胸ポケットに隠していた小さなナイフで自らを刺した。倒れ息絶えるペペ。それを見つけたイネスはごめんねペペと泣き叫んでいた。

 船は何も知らなかいかの如く出港していった・・・









 この映画についてこれから邦題「望郷」に絡めてお話しましょう。

 まずペペ・ル・モコという男はカスバでなんでも手に入れることができます。酒、女、地位、金。しかしペペが一番に望むものはカスバからの脱出でした。カスバに飽き飽きしてました。

 そんな時、ペペはギャビーという同郷の女と出会います。最初は彼女の身に付ける宝石に憧れました。カスバの町では宝石で食っているギャビー。つまり宝石とはギャビーにとってカスバの象徴です。

 ところがペペはギャビーの宝石なんて、いりませんでした。ペペはギャビーという人間が欲しかった。ギャビーは故郷の象徴です。美しい外見よりも内面から溢れる“故郷のニオイ”にゾッコンになりました。

 ペペは故郷を求めます。故郷の象徴であるギャビーを求めます。しかしカスバの街はそれを許しませんでした。ギャビーは帰国してしまう。実はギャビーがマキシムから貰った宝石を一度、マキシムに返すんですが手切れ金として再び持って行ってしまう。この瞬間に運命は決まっていたんですね。

 宝石といえば、最初にペペが親父さんに真珠の鑑定を頼んだ時に「この真珠がまるで手に張り付いたように離れない」と真珠の美しさのあまり手放したくない、という気持ちを明かした言葉を放っているんです。ペペが宝石を愛したように宝石もペペを愛しました。まるで宝石に込められたカスバの呪い。

 それを知ったペペはもはやカスバの街など目もくれず、故郷への思いだけを背負って港へと向かいます。

 でも港で結局、船に乗って脱出は出来ませんでした。最後に自分の声は届くんじゃないか、とペペはギャビーに向かって叫びます。故郷を取り戻す最後の希望を込めて。

 しかし故郷は、残酷にも汽笛でかき消すことによってペペ・ル・モコを拒絶しました。ペペは涙を浮かべ、故郷を取り戻せなかった絶望から自殺してしまいます。

 というわけでこの映画は愛する女を手に入れることができなかった、という哀しいストーリーでもありますがペペにとって最も辛かったのは故郷を取り戻せなかったことではないでしょうか。望郷、という思いだけ抱きながらペペ・ル・モコという男は死んでしまいました。

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ブルー・マックスとは「プール・ル・メリット勲章」のことでドイツ帝国内の第一次世界大戦終結時までは最高の名誉勲章でした。


『ブルー・マックス』 The Blue Max (1966年・米)
ブルー・マックス
スタッフ
監督:ジョン・ギラーミン
脚本:デヴィッド・パーサル、ジャック・セドン、ジェラルド・ハンリー
翻案:ベン・バーズマン、バジリオ・フランキーナ
原作:ジャック・D・ハンター
製作:クリスチャン・フェリー
製作総指揮:エルモ・ウィリアムズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:ダグラス・スローカム
編集:マックス・ベネディクト
キャスト
ブルーノ・スタッヘル少尉:ジョージ・ペパード
カエティ・クルーガーマン夫人:ウルスラ・アンドレス
カウント・クルーガーマン将軍:ジェームズ・メイソン
ハイデマン飛空隊長:カール・ミカエル・フォーグラー
ホルバハ:アントン・ディフリング
ファビアン:デレン・ネスヴィット
副官ケタリング:ハリー・トゥーブ
ハンス執事:ヒューゴ・シュスター
ロップ伍長:ピーター・ウッドソープ
レンドルフ元帥:フリードリヒ・レデブル
エルフィ・ハイデマン夫人:ロニ・フォン・フライドル
マンフレート・フォン・リヒトホーフェン:カール・シェル
ウィリー・クルーガーマン:ジェレミー・ケンプ


 ジョン・ギラーミン監督作品「ブルー・マックス」。原題は「The Blue Max

 ブルー・マックスとは前述した通り、最高勲章です。軍人は頂けるだけで名誉なこの勲章を欲しがります。これを手に入れたら英雄も同然です。主人公も、軍人さんでこれが欲しいわけです。名前はスタッヘル。ドイツ語の意味は針やトゲといった意味で、この主人公人一倍野心が強い。しかも自己中心的な考え方をしている。果たして手に入れられるのやら、というのを見守ってあげましょう。

 ジョン・ギラーミン。アクションが多い作品やらパニック物やらを撮らせたら一流の監督さんですね。この人の映画は「タワーリング・インフェルノ」(1974年)は見ました。「ナイル殺人事件」(1978年)も見ました。で、この人「レマゲン鉄橋」(1969年)や「キングコング」(1976年)の監督さんでもあったんですね。やっぱりパニックとか、戦争アクションが得意な人です。

 主演はジョージ・ペパード。この人と言えばTVドラマの「特攻野郎Aチーム」を思い浮かべる人が多いのかもしれませんが、私はそのドラマ見たことないので、私の中では「ティファニーで朝食を」のオードリーの相手役です。ジョージ・ペパードの青い瞳がまた綺麗なんですなあ。今回の映画では撮影で何度か実際にペパードが飛行機を飛ばしたらしいですよ。

 この映画の見所の一つは空中戦ですね。追われ追いかけの追尾劇、空中戦。うまいもんです。この映画ではロサンゼルスを拠点とする第一次世界大戦の飛行機ファンのグループが実際に映画の空撮についてアドバイスをしていたそうです。特に橋の下をくぐり抜けるシーンなんてのはスタントの飛行士デレク・ピゴットが実際にやったようですね。それを多数のカメラアングルから撮影していました。

 マンフレート・フォン・リヒトホーフェンは実在するドイツの軍人で第一次世界大戦最高の撃墜王でした。80機撃墜したそうですよ。彼の乗ってる飛行機フォッカーDr1 425/17が赤いもんで「赤い悪魔」「レッドバロン」なんて呼ばれてました。この映画でも飛行機の通し番号までちゃんと再現されてました。


【あらすじ】

 第一次世界大戦。西部戦線で空軍の飛行機を見て以来、飛ぶことに憧れたスタッヘル少尉。同僚がみな貴族なのに対して自分は平民出だったため、同僚たちとの軋轢が生じる。また厳しい戦場の現実を知り成果が全てという考えのスタッヘルと騎士道精神を重んじるハイデマン隊長とも対立していき・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 1916年。西部戦線でブルーノ・スタッヘル少尉(ジョージ・ペパード)は空飛ぶ空軍の飛行機を見て、飛行機に憧れる。

 2年後の1918年。ハイデマン飛空隊に新たに配属が決まったスタッヘルは基地に着くが早速、曲芸飛行をする何者かの飛行機に迫ってこられて身をかがめ、服を汚してしまうハプニング。その後でハイデマン隊長(カール・ミカエル・フォーグラー)に挨拶をする。

 みんなの前で自己紹介を兼ねた質問をハイデマンにされたスタッヘル。周りの同僚ほとんどが貴族の出身であることを引き目に感じていたスタッヘルは自らボロホテルの経営者の息子、貴族階級の家柄ではないことを明かす。同僚たちはヒソヒソと笑い合いハイデマンはそれを察して個室へ呼ぶ。

 ハイデマンはスタッヘルを励まし彼が飛行学校でいままで使用していた飛行機のことなどを聞く。

 やはり同僚たちはスタッヘルのことを馬鹿にしていた。スタッヘルは18機を撃墜した先ほどの曲芸飛行をしていた男ウィリー・クルーガーマン(ジェレミー・ケンプ)と話をするようになるがウィリーもスタッヘルを見下す人間の一人のようだ。

 宿舎に着いたスタッヘルは自分の部屋で持ち物をカバンから出していると、ウィリーが話しかけてきた。スタッヘルの憧れでありブルー・マックス勲章を得たマンフレート・フォン・リヒトホーフェン(カール・シェル)の写真をウィリーが見て彼の話を始める。

 ウィリーの初陣は気さくな軍人ファビアン(デレン・ネスヴィット)と組むことになった。ファビアンの飛行機の左後方につき、イギリス軍の飛行船を撃ち落とすのが今回の任務。ファビアンと共に飛行船を撃ち落とすことに成功したものの、イギリス軍の飛行機二機が迫ってきた。

 ファビアンはイギリス軍の飛行機に後ろにつけられ撃墜され、スタッヘルももう1機に後ろにつけられてしまった。スタッヘルは低空飛行をしながら広野で一回、敵の追跡を撒いて再び敵に発見されたときにはすでに敵機の後ろについている、という状況を作り出した。

 後ろにつければ反撃開始。イギリス軍機を見事に撃墜することに成功した。

 スタッヘルは帰還しすぐに副官のケタリング(ハリー・トゥーブ)に報告するが、陸軍の報告も目撃情報もなく撃墜未確認としてカウントに数えられなくなってしまった。なおも粘るスタッヘルだったがケタリングに未練がましいと一蹴されてしまう。

 スタッヘルはなおも諦めきれず夜の大雨の中、運転手のロップ伍長(ピーター・ウッドソープ)と共に撃墜地点まで確認に出かける。だが自分の撃墜した敵機は見つけることができず、宿舎に帰ってハイデマンに叱責される。

 更にその夜、ウィリーら同僚たちに未確認機の撃墜を嫌味のように祝われる。そこにケタリングがやってきて次の攻撃のとき、スタッヘルと組みたい人間はいるか、ということを全員に聞くが誰も名乗りを上げない。ウィリーが哀れむようにスタッヘルと組むことにした。

 スタッヘルとウィリーは敵軍機を上空にて発見。後機銃で撃ってくる敵兵を撃ち機能停止させ追撃を加えようとしたが、敵機の操縦士がこちらに攻撃する意思がもう無いことを察し、それを止めて基地に強制着陸させることにして投降を促し、敵操縦士も同意した。

 基地の上空近くまで誘導したとき、後機銃の兵士が再び意識を取り戻し左目を撃たれて目が見えないながらもこちらを撃ってきた。スタッヘルは止むなく敵機に攻撃を加え敵機は墜落した。ハイデマンを含めた他の隊員たちは降りてきたスタッヘルを咎めるように睨みつけた。スタッヘルは戦場は非情な世界だと教わったと非難の目に言い返し、これも撃墜にカウントするよう言い去っていく。

 ハイデマンはウ後機銃の射手が撃ってきたので止むなくスタッヘルが撃った、という事実を述べたウィリーの報告書に、庇うなと釘を刺した。しかしウィリーが事実だと保証したので今回は不問に処されることとなる。

 敵兵の葬儀が基地で行われる。しかしスタッヘルは自分が殺されて、自分を殺した相手なんかに葬儀に出て欲しくないから、と葬儀に出るのを断る。そして死んだ相手に礼を捧げるのが騎士道だ、というハイデマンの考えを戦場に騎士道もクソもないと批判する。しかし命令だったので渋々、参加することをウィリーに伝える。ウィリーはスタッヘルをコブラのような男だ、と評する。

 基地でウィリーが敵機20機撃墜を果たしたため彼のプール・ル・メリット勲章を与える授与式が行われた。カウント・クルーガーマン将軍(ジェームズ・メイソン)はホルバハ(アントン・ディフリング)、妻のカエティ(ウルスラ・アンドレス)と共に基地に来て甥っ子ウィリーに勲章を与える。

 ウィリーの勲章授与のパーティ。カウントはホルバハと共にスタッヘルという男に空軍司令部が興味を示していることをハイデマンに伝える。国民は庶民から這い上がった英雄という存在を欲している。スタッヘルはその英雄像にピッタリの男だったのだ。そしてカウントはスタッヘルを叱咤激励する。

 ウィリーは義理の伯母のカエティをスタッヘルに、スタッヘルをカエティに紹介する。カエティは気品のある女性だった。スタッヘルはカエティにピンク・シャンパンを持ってくるよう頼まれたが、カエティは勝手にウィリーとダンスを始めてしまい渡すことができなかった。

 パーティが盛り上がってきたころ、カウント将軍がドイツ軍の反撃開始の手紙が届いたことを知らせ、ドイツ人たちは興奮する。スタッヘルはカエティの美しさに惚れ込んでいた。

 パーティから帰ったスタッヘル。そこにカエティが隣室のウィリーの部屋と間違えて入ってきてしまった。カエティはスタッヘルから酒を貰い良い雰囲気になっていた。カエティが隣室に去ったあと、窓を眺めると味方のものらしき砲火が夜空を包み込むんでいた。

 スタッヘルら空軍も地上で奮闘する敵軍を空から射撃。そして更に上空からイギリス空軍が襲来。相次ぐ上空交戦で活躍するスタッヘルはついに8機もの敵機を撃墜した。

 ある出撃の前、整備士のツィーゲル(デレク・ニューアーク)はもう愛機に限界が来ている、と報告する。上空を飛んでいるとき、赤い飛行機が英軍の飛行機二機に接近されているのを発見する。スタッヘルは一機を撃墜するももう一機に後ろにつかれて攻撃され、不時着をする。

 負傷しながらも何とか爆発に巻き込まれずに済んだスタッヘル。救った赤い飛行機が近づいてきて感謝を込めて手を振ってどこかへ去っていった。

 スタッヘルは近くの軍営に行き、基地へ帰るトラックに乗せてもらう。運転手の指示通り荷台に乗るとそこにはウィリーが居た。ウィリーはカエティに下心を抱いても叶わないだろう、と忠告するがウィリーは自信たっぷりでもし落とせたら君にシャンパンをおごるよ、と返す。

 基地につくと先ほど助けた赤い飛行機の操縦士が待っていた。なんとスタッヘルや多くのドイツ軍人が尊敬するマンフレート・フォン・リヒトホーフェンだった。リヒトホーフェンはスタッヘルの腕を気に入り、自分のベルリンの部隊に配属しないか、と誘うがスタッヘルは自分はまだこの基地にいるべき人間だ、として丁重にお断りした。

 カウント将軍はスタッヘルの左腕の負傷を聞き、ホルバハにスタッヘルをベルリンへ呼ぶように伝える。ベルリンに呼ばれたスタッヘルはまず空軍元帥レンドルフ(フリードリヒ・レデブル)と謁見し、空軍の計画する単葉機導入案について、単葉機は多少の危険は付き物でも空軍はその危険と付き合うべきだ、とアドバイスをする。

 病院に来させられたスタッヘルは負傷した左腕に包帯を巻かれ、ハイデマン隊長の夫人で病院で看護婦として手伝っているエルフィ・ハイデマン(ロニ・フォン・フライドル)とツーショットでマスコミの写真撮影を受ける。終わってからカウント将軍がやってきて晩餐会に招待する。

 晩餐会に参加したスタッヘル。カウント将軍は作戦を練るので忙しく参加していなかった。晩餐会が終わってから家にはカエティ、執事のハンス(ヒューゴ・シュスター)、そしてカエティと逢引をしたかったスタッヘルが残っていた。スタッヘルはハンスを使ってカエティをからかってから、彼女の部屋で濃厚な一夜を過ごす。

 基地に戻ったスタッヘルは自分がカエティを手に入れたことをウィリーにシャンパンを奢ることによって知らせた。平静さを保とうとしながらもウィリーは興奮し必ず痛い目に遭わせる、と告げる。スタッヘルは笑いながらウィリーの部屋を去っていった。


 戦況は変化した。米軍の参入により敵軍の反撃が始まり、味方の陸軍は苦戦していた。更に味方偵察機が破壊され、敵の情報が分からない。ハイデマン飛空隊はサン・ジュスト付近を飛び、敵の目を引きつけるうちに、別の飛行隊が付近の写真を撮って情報を収集する作戦に出る。その護衛をウィリーとスタッヘルが買って出た。

 出撃したウィリーとスタッヘルは空中で敵軍と遭遇。しかしスタッヘルの機銃が途中でジャムってしまい、ウィリーが5機のうち3機を撃墜する大活躍を果たした。スタッヘルは手が出せなかった。

 撃墜後、ウィリーは川に架かる橋を見つけ、その橋の下を飛行機でくぐり近くの廃墟の塔を接触ギリギリで越える、という競争をスタッヘルに促す。つまり裏を返すとスタッヘルに失敗させて彼を墜落させようとしているのだ。スタッヘルはそれに応じる。

 結果、ウィリーが最初に一回成功し次にスタッヘルも成功する。さて次のウィリーのターン。ウィリーは橋をくぐり抜け、塔に向かって突っ込むが、上昇が足りず塔の上部にかすって墜落。ウィリーは爆死してしまった。

 スタッヘルがハイデマンにウィリーの死を知らせハイデマンはショックを受ける。そこへケタリングがやってきてイギリス機2機の撃墜が確認された、と報告する。スタッヘルに聞きもせずにウィリーの撃墜だと断定したハイデマンにスタッヘルは反発して自分が撃墜した、と主張する。

 スタッヘルの飛行機は40発、約数秒しか乱発できないままジャムったことを知っていたハイデマンはスタッヘルの嘘を見抜きスタッヘルの主張を認めなかった。

 ウィリーの葬儀が終わり、スタッヘルはカエティの下を訪れる。スタッヘルは寝室でカエティに自分がウィリーに負けたくなくて思わずウィリーの手柄を横取りしてしまった、と真実を打ち明ける。カエティは自分を巡っての争いも関連してスタッヘルがウィリーを打倒したことを知り、嬉しがりながら性交を始める。

 戦況は著しく悪くなっていき基地も敵軍機に攻撃にさらされる。ハイデマンの飛空部隊はマルモン地区を進軍する敵陸軍の襲撃に徹し、仮に敵軍機が現れても空中戦は展開せずに撤退するのが任務だった。ハイデマンは特に功を焦るスタッヘルに釘を刺す。

 マルモン地区の敵陸軍を襲撃し壊滅的打撃を与えたハイデマンの部隊。さて帰還のときに上空で敵軍機を発見。攻撃はするな、というハイデマンの命令を無視しスタッヘルは敵軍機へ向かっていく。それに続いて続々と他の隊員たちも敵機に応戦しはじめた。

 敵軍機は多く撃墜することが出来たものの出撃した味方機の半分以上も撃墜されてしまった。ハイデマンは敵の方が壊滅したとはいえ味方も多く犠牲となってしまったことにはスタッヘルの命令無視に責任がある、と責めるとスタッヘルはあんたは腰抜けだ、と返す。

 ハイデマンはスタッヘルの命令無視を理由に軍法会議にかけようとするがカウント将軍により棄却されてしまう。カウント将軍が現在の混乱するドイツ国民の不満を鎮めるためにも英雄スタッヘルの絶対的存在が保たれなければならないことを考慮した命令により、それらの事実を書いた報告書を撤回することにしたが、ハイデマンは飛ぶのが嫌になり、ベルリンの書類仕事に異動させてほしい、と頼み込みカウントは了承する。

 そしてカウントはスタッヘルをベルリンに呼ぶようにハイデマンに言う。ベルリンで皇太子(ロジャー・オスタイム)に直接、プール・ル・メリット勲章をスタッヘルに授与する式典と、その後に元帥が考えていた新型の単葉機の実演テストで単葉機をスタッヘルが操縦することになっていた。

 スタッヘルはベルリンのホテルに宿泊。その部屋にカエティがやって来る。カエティの用件はドイツが負けるのはわかりきっているから夫も国も捨て隠した資産を使ってスイスに逃亡し暮らそう、という愛しているが故の提案だった。

 しかしスタッヘルはまだドイツ軍と自分の名誉に固執しその申し出を断る。そしてカエティに対しても逃亡する人間は嫌いだ、と罵倒しカエティは憤怒して去っていった。

 そして式典。プール・ル・メリット勲章がリボン付きでスタッヘルの首にかけられる。その授与を見守っていたカウント将軍のもとに電話がかかってきて、その電話に応対したカウントはスタッヘルをホルバハの見張り付きで近くの小屋に一時拘禁させる。

 そしてカウントは単葉機を現在飛べない状況にあるスタッヘルの代わりにハイデマンに単葉機の実演テストで操縦してもらうことにした。

 ハイデマンは実演テストで飛行を見せて無事に着地した。エルフィは夫の生還に喜び、スタッヘルは自分の出番が取られて不快な気分だった。

 一方、カウントは妻カエティが元帥にスタッヘルという軍人がウィリーの手柄を横取りしてしまったのだ、ということを一時任せの怒りからタレコミしてしまった事を知り激怒する。このままではスタッヘルは軍法会議にかけられ、国民の描く英雄像が砕かれてしまう。

 そこにハイデマンが戻ってきて実演テストの単葉機はあまりにもバランスが悪く今回生還できたのは奇跡的で、次誰かが乗れば間違いなく墜落するだろう、という報告をする。

 カウントはスタッヘルの拘禁されている小屋に電話をかけてスタッヘルに準備が出来たので単葉機に乗るよう指示。そして止めようとするカエティを抑える。

 スタッヘルは意気揚々と単葉機に乗り込み空へと飛んでいく。ハイデマンは上空へと飛んでいく単葉機を見て驚き、カウント将軍を見つめる。

 曲芸飛行を続けるスタッヘル。カウント将軍はスタッヘルのプロフィールにスタンプを押す。直後、スタッヘルの乗った単葉機が墜落。カウント将軍はホルバハにスタッヘルのプロフィールを陸軍本部に持っていくよういい、崩れるカイティに昼食会に遅れるから立て、と言う。

 車へ向かう道中、ハイデマン夫婦と出くわす。ハイデマンはカウント将軍に敬礼しカウント将軍も敬礼し返す。そして将軍夫婦は車に乗り込み昼食会へと向かっていく・・








 欲ってのはなかなかいい結果を生まないものですね。騎士道を重んじる隊長さんの他の人はほとんど欲に踊らされてました。そしてこの物語の中心にある諸悪の根源、それがブルーマックス。求め欲し、欲に踊り踊られの物語ですね。浅ましい戦争で欲に振り回された人々の活躍。

 勲章というのは「国家 または公共への功労に対して国から授与される名誉の表彰」とのこと。つまりそもそも勲章というのは勲章が欲しくて頑張るためのものでなく、勲章などの与えられる利益や名誉を考えないで行動しその結果、偶然というのはおかしいですが、自分が欲しくて頑張ったわけじゃないのにいつのまにか与えられるものが勲章であるはずです。
 しかしこのスタッヘルというのは勲章が欲しくて勲章のために戦争をして敵を撃墜していたんです。私はそんなスタッヘルの自己中心的かつ野心的な性格が災いし報いを受けたのだ、と考えています。だから軍が出自と活躍を優先し内面的な人間性を考慮せずに英雄に祭り上げてしまったことが後々、カウント将軍にとって面倒くさくなってしまいましたね。
 そもそも勲章はただ人間の組織が人間に与えるだけの物でしかないのに、それに大きな価値を与えそれを与えられることを軍人の最もな名誉としてしまった軍などもいけないのでしょうけど。

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※原作小説
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Category: 洋画ハ行
サイレント映画短編シリーズ。


『パン屋の楽しみ』(1902年・米)
監督:エドウィン・S・ポーター
製作:エジソン・マニュファクチャリング・カンパニー


 エドウィン・S・ポーター監督作品「パン屋の楽しみ」。原題は「Fun in a Bakery Shop

 まあストーリーは特にないです。これはストップモーションの実験的に作られたようなものです。パン屋の親父がパン生地をこねて生地を人の顔の形に変えたりするんですね。
Category: 洋画ハ行
ヒッチコックサスペンスの極みですな。

ところでこの映画、昔私がアメーバ時代に記事にしてるんですが、その内容に納得がいかないのでもう一回、鑑賞して転載せずにブログに書かせていただきます。


『バルカン超特急』(1938年・英)
バルカン超特急
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:シドニー・ギリアット、フランク・ラウンダー
原作:エセル・リナ・ホワイト「The Wheel Spins」
製作:エドワード・ブラック
音楽:ルイス・レヴィ、チャールズ・ウィリアムズ
撮影:ジャック・コックス
編集:R・E・ダーリング
製作会社:ゲインズボロウ・ピクチャーズ
キャスト
アイリス・ヘンダーソン:マーガレット・ロックウッド
ギルバート・レドマン:マイケル・レッドグレイヴ
ミス・フロイ:メイ・ウィッティ
カルディコット:ノウントン・ウェイン
チャータース:ベイジル・ラッドフォード
エリック・トッドハンター:セシル・パーカー
マーガレット:リンデン・トラヴァース
ホテルマネージャーのボリス:エミール・ボレオ
ホテルメイドのアンナ:キャスリーン・トレメイン
ブランチェ:グーギー・ウィザース
ジュリー:サリー・スチュワート
尼さん:キャサリン・レイシー
ドッポ夫人:セルマ・ヴァズ・ディアス
奇術師ドッポ:フィリップ・リーバー
マダム・クーマー:ジョセフィン・ウィルソン
将校:チャールズ・オリバー
ハーツ医師:ポール・ルーカス
男爵夫人:メアリー・クレア

ヴィクトリア駅にいた男:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「バルカン超特急」。原題は「The Lady Vanishes

 原題を直訳すると「貴婦人失踪」ですね。全然違うタイトルで、アメーバ時代はこの「バルカン超特急」っていう邦題が嫌いでした。でも最近はかなり気に入ってきましたね。貴婦人失踪だとこの映画がさもヒッチコックのありきたりミステリーって感じの印象を受けないのですが、「バルカン超特急」といわれるとサスペンスの中にアクションも混じっている、ってことをうまく表現できてると思います。工夫しすぎやしないか、と言ってた頃の自分を殴ってやりたい気分です。しかも邦題を考えたのは水野晴郎さんだとか。確かにあの人はシベリア超特急って映画を作りましたね。

 主演の女優はマーガレット・ロックウッド。ですがどうも彼女はこの映画以外の出演作がスポットに当たることは日本ではほとんどありませんでしたね。この映画の知名度自体はそこそこなのに主演女優の知名度はそんなにないです。歳をとると悪女とかの役をよくやるようになっていたそうです。

 一方、もう一人の主演で相方のマイケル・レッドグレイヴ。彼はバイセクシャルですね。マイケルもバルカン超特急以外に特筆すべき映画はそんなにないのですが、1951年に「The Browning Version」という映画で主演男優賞にノミネートされたようです。

 ちなみに舞台である国バンドリカっていうのは架空の国ですね。設定上ではどうやら英国と敵対してるのかな?でもこの国の位置がよく分かりませんね。バルカン超特急ってくらいだからバルカン半島にあるかと

 当時はナチス台頭の頃ですからねえ。第二次世界大戦まであと一歩のところだったもんですからね。ヒッチコックはこの映画で平和主義者つまり白旗をあげて降伏しようとした人間を殺しちゃってます。若者のドイツから国を守るための戦争への意欲向上のためのシーンだったのでしょうねえ。時代が時代だから仕方のないことかもしれませんが。

 この映画は全体的に演出が良い。映画に謎を持たせて観客の興味を引かせる演出がすっごいうまいんですよね。他にもギルバートが機関車の窓を伝って隣の部屋へ移る、っていうのは「ミッション:インポッシブル」(1996年)に引用されましたし、客がそんな人いなかった、と証言するようなのは「フライトプラン」(2005年)にも使われました。

 私が一番気に入ってるのは導入部分なんですよね。最初、ミニチュアで作ったのが丸分かりの町全体を映してからズームして最初に登場人物が出てくるホテルに近づいていくんです。で、ホテルにズームしていく途中で車が通るんですよ。ここが芸達者なヒッチコックだと思いましたよ。


【あらすじ】

 イギリスに帰り結婚を控えるアイリス・ヘンダーソンは駅で落下してきた鉢植えに直撃してしまい、老婆ミス・フロイに介抱される。帰りの電車でミス・フロイと仲良くなり一度眠ったあと、起きるとミス・フロイがどこにも居なくなっており同室の客たちが老婆などいなかったと証言する。アイリスはミス・フロイを顔馴染みのギルバートと共に探すことになるが・・・















【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ分あり




 欧州のとある国・バンドリカ
 英国紳士の小男のカルディコット(ノウントン・ウェイン)と大男のチャータース(ベイジル・ラッドフォード)のコンビはホテルマネージャーのボリス(エミール・ボレオ)から汽車が雪崩の影響で止まってしまい復旧は翌日になることを聞かされる。

 なかなか応対してくれないボリスにイライラする二人。そんな中でお金持ちのお嬢様であるアイリス・ヘンダーソン(マーガレット・ロックウッド)が友人のブランチェ(グーギー・ウィザース)やジュリー(サリー・スチュワート)と共にホテルに戻ってくる。

 するとボリスは苦情殺到の他の客を無視してアイリスにペコペコと丁寧な応対をする。あからさまな態度にカルディコットやチャータースはさらにイライラする。

 カルディコットとチャータースは個室をとりたいとボリスに言うがもうメイド部屋しか空いてないらしくカルディコットとチャータースはメイドのアンナ(キャスリーン・トレメイン)の部屋に泊まらされることになる。

 しかし部屋に度々アンナが着替えにきたりして、カルディコットとチャータースは配慮してロビーに出たりする。そこにほかの客宛てのイギリスからの電話が。カルディコットとチャータースはイギリス本国で開かれているクリケットの試合がすごく気になっており、その電話を勝手に借りて相手に状況を聞く。

 しかし相手はクリケットの試合なんて興味ない人。チャータースは憤慨して電話を勝手に切ってしまう。

 アイリスは部屋で友達二人とおしゃべりをしていた。独身最後の旅を楽しんでいたらしい。イギリスにもどってしまえばもう結婚。どこか寂しそうな顔を浮かべていた。

 チャータースとカルディコットは食堂に着きテーブル席に座るが客が多すぎてもう出せる料理が無いらしい。そこで相席となった老婦ミス・フロイ(メイ・ウィッティ)から食事を恵まれる。しかしパンドリカを穏やかで良い国だと評するのに対しチャータースたちは自分たちへの対応と国の政治状況でしか国の善し悪しを判断できないので、会話が合わずミス・フロイは食堂を出ていく。

 部屋に戻ったミス・フロイは隣室のアイリスと軽い会釈をする。外で流れる音楽を聴くミス・フロイと寝ようとしたアイリスだったが上の階の住人がどんどこ床を蹴っていてうるさくて眠れない。アイリスは電話でフロントに上の階の住人を静かにさせるよう命じる。

 ボリスはすぐさま上の部屋に行く。そこでは泊まっている客ギルバート・レドマン(マイケル・レッドグレイヴ)が笛を鳴らして他の客とダンスを楽しんでいた。ボリスはギルバートにダンスや笛を止めるよう言うがギルバートは民族の伝統舞踊だとかなんとかで拒否する。

 ボリスはそのことをアイリスに報告。アイリスは母親の権力を使ってギルバートを部屋から追い出そうとする。

 メイド部屋ではチャータースとカルディコットが新聞を読みながらクリケットのことが書いてないのに憤慨。アメリカ人の好きな野球をガキの遊びだ、と馬鹿にしたりした。

 寝ていたアイリスの部屋に突如としてギルバートが押しかけてきた。部屋を追い出されたのでこの部屋で寝る、と言い張るギルバート。アイリスはやむなくボリスに言ってギルバートを部屋に戻すよう言い二度とくるな、と追い返した。

 しばらく外で歌手が歌う歌を聴いたミス・フロイ。やがてその歌を歌っていた歌手が何者かに殺され、歌は止まる。ミス・フロイはメロディを覚えながらコインを窓の外に放り投げる。

 翌朝、駅で友達と別れるアイリス。アイリスは大きな荷物を持とうとしたミス・フロイを手伝おうとする。その時、上から花壇が落下。アイリスの頭に直撃しミス・フロイに介抱されながら汽車に乗せられる。

 発車と同時にアイリスは気絶。目を覚ますとミス・フロイと1等席の同室でずっと介抱してくれていたのだ。同室には太っちょのイタリア人男(フィリップ・リーバー)とその妻(セルマ・ヴァズ・ディアス)に息子、それに冷たい視線を浮かべる婦人(メアリー・クレア)がいた。

 ミス・フロイに誘われてアイリスは食堂車へ行くが道中の部屋にミス・フロイが転がって入ってしまう。そこには不倫中の弁護士エリック・トッドハンター(セシル・パーカー)と亭主持ちの不倫相手マーガレット(リンデン・トラヴァース)がおり、エリックはあからさまに迷惑そうな顔をして扉をしめてブラインドを閉めてしまう。

 ミス・フロイとアイリスは食堂車に座り会話を始める。ミス・フロイは家庭教師だった、とか。その時、砂糖が欲しかったのに机にはなかったので隣の机に座っていたチャータースとカルディコットの二人に砂糖を借りている。

 また、ミス・フロイは頭痛が良くなる茶の葉ハーマンハーブ茶を給仕係に渡してそれをお茶にしてほしいと注文する。

 そのあと、自己紹介がまだだったと、アイリスは自己紹介をして、ミス・フロイも自分の名前を話すがまだ頭が痛いうえに汽車の音がうるさくてうまく聞き取れない。ミス・フロイは曇った窓に「FROY」と指で書く。

 客室に戻ったアイリスはミス・フロイに仮眠を勧められたので一眠りした。

 アイリスが起きるとそこにはミス・フロイの姿はなく婦人とイタリア人の男と妻と子供しかいなかった。アイリスはミス・フロイがどこに行ったか知らないか、とイタリア人の男に尋ねるが
「そんなご婦人は最初からいらっしゃいませんでしたよ」
 と答える。ほかの同室の客も同じように話していた。アイリスはそんなハズがない、と言い食堂車へ向かう。

 給仕係にミス・フロイのことを尋ねるが
「いいえ。食堂車には一人でいらっしゃいましたよ」
「ハーマンハーブ茶も渡したハズ」
「そんなものは受け取っておりません」
 と言う。アイリスは伝票を確認してもらうが、そこには一人で来た、としか書いてなかった。

 3等席まで捜しに来たアイリス。すぐ近くの男性に尋ねるがそれはなんと昨晩、一悶着あったギルバートだったのだ。バツの悪い顔を浮かべて去ろうとするアイリスだったが立ちくらみが。

 困った女性を助けろ、という教えを受けたギルバートはアイリスを手伝い、彼が探すミス・フロイを一緒に捜すことになる。

 1等席の部屋に戻るとアイリスの診断に来たハーツ医師(ポール・ルーカス)がやってきた。彼は国では脳外科医として名医として有名らしい。もうすぐ止まる駅で重症患者が列車に運ばれてくるらしい。

 ここで他の同室の住人が紹介される。イタリア人一家はともかくとして奥の窓際に座っていた冷たい視線の婦人はどうやらパンドリカ広報大臣の男爵の夫人だという。

 症状を聞いたハーツ医師はアイリスが頭を打ったことによって一時的にミス・フロイという架空の人物、もしくは昔の記憶から引っ張り出されてきた人物を幻覚で作り上げてしまったのだ、という。

 そうではない、と主張し
「列車を止めてでも捜しだす」
 と言って確認のために食堂車で会った英国紳士二人に会いに行こうとするアイリス。それに同行するギルバートとハーツ医師。道中、アベックの部屋に入った、と言いエリックに老婆が居ただろう、と聞くがエリックは
「そんな老婆はいなかったね」
 とウソの証言をしてしまう。下手に証言して証人台に立ったらスキャンダルになってしまうからだ。

 アイリスは逃げようとした英国紳士二人を捕まえて質問する。しかしさっさと帰ってクリケットの試合が見たかったチャータースとカルディコットは列車を止められてはたまらんと
「砂糖を渡したのは覚えているんだがね。それが君だったか老婆だったかは覚えとらん。クリケットの試合の話に夢中だったんでね」
 二人は曖昧な返答をする。イラついて思わず
「クリケット!?そんなくだらないことで」
 と言ってしまいチャータースとカルディコットは去ってしまう。幻覚だと言い張るハーツ医師にアイリスは
「でもミス・フロイという名は覚えているの」
「興味深い。ぜひ幻覚の原因を調べてみたいものだ」
 と言ってハーツ医師は帰ってしまった。

 まだ納得のいかないアイリスは次の停車駅ドラバカ駅でギルバートに手伝ってもらい両側から駅を見張ってミス・フロイがいないか確認する。

 しかし降りたのはわずかな客。また乗ってきた客には先ほどハーツ医師が言っていた担架で運ばれ顔にぐるぐる包帯を巻かれた重症の患者、そして尼僧が一人だった。

 落ち込むアイリスにマーガレットが近づいてきて老婆は確かにいた、と証言した。アイリスとギルバートは躍起になり始める。

 一方、証言したことをエリックに伝えたマーガレット。どうやらマーガレットはスキャンダルにして離婚させてしまおうと考えたらしい。エリックは
「だが私が離婚しても君とは結婚せんぞ」
 と言って戸惑ってしまう。

 アイリスに同室だったイタリア人男が婦人が戻ってきた、と言う。さっそく部屋に戻るアイリスとギルバートだったがその婦人は恰好が同じなだけのマダム・クーマー(ジョセフィン・ウィルソン)だった。クーマーはアイリスを介抱してそのあと、友達のところに行っていたと話す。

 しかしアイリスはこの女性は別人、と言い張るが。それに対しハーツ医師は混乱したんだ、と言った。

 アイリスはすぐに先ほどのマーガレットに老婆は違う人物だろう、とクーマーを見せて聞くがマーガレットは
「その女性で間違いないわ」
 とウソの証言をしてしまう。

 客室に戻ったアイリス。アイリスは他の乗客全員がミス・フロイに見えるようになってしまった。ミス・フロイのことは忘れることに決めたアイリスはギルバートに誘われ食堂車へ向かう。

 食堂車で世間話をする二人。ふと窓を眺めたアイリスはそこに「FROY」という文字が書かれていたのに気づく。すぐに汽車の煙で消されたがやはりミス・フロイは存在すると確信。アイリスは勢いで列車を止めてしまいやがて失神する。

 列車が止まって10分も遅れたことをチャータースとカルディコットは毒づいていた。しかしカルディコットは人がいなくなるなんて、おかしいと疑問を抱いてもいた。

 アイリスはハーツ医師から入院を勧められていた。ギルバートはどうしたものか、と思ってたときにコックが窓の外に放り捨てたゴミの中の一つの紙袋がギルバートの目の前の窓に張り付く。ハーマンハーブ茶の袋だった。

 アイリスの言っていることを信じたギルバートはアイリスを連れてミス・フロイを捜しに列車の中を移動する。貨物室に着いたとき、ここならばミス・フロイが居るのではとくまなく捜しはじめる。

 アイリスとギルバートはある立て看板を見つける。それはイタリア人の男だった。彼はイタリア人マジシャンのドッポという男だったのだ。しかも得意技は女性を消失させること、と銘打ってある。

 やがて二人は推理を開始する。そんな段階でメガネを発見する。それはミス・フロイのものだった。

 しかしそれを取り返そうとした男が現れる。ドッポだった。自分のだ、とウソをつくドッポとギルバートは揉み合いになり、あまり役に立たなかったアイリスがフライパンかなにかで気絶させる。ギルバートはすぐにドッポを近くの箱に閉じ込めるが、その箱はドッポの手品用の箱ですでに彼はメガネを持って逃げてしまっていた。

 アイリスとギルバートはドラバカ駅で運び込まれた患者が怪しい、と思い患者の寝込む部屋をのぞき見する。しかしすぐに患者が運ばれたのはミス・フロイが行方不明になったあとだ、と気付く。しかし患者を看ている尼が尼僧なのにハイヒールを履いている、と怪しむ。

 ここでギルバートとアイリスが推理をはじめる。もしかしたらドラバカ駅で運び込まれた担架には顔をぐるぐる巻きにされたマダム・クーマーが居て、今包帯でぐるぐる巻きにされ次の停車駅モルスケン駅で運ばれるのではないだろうか。

 アイリスとギルバートは尼僧を抑えて、ぐるぐる巻きの包帯の顔を確認しようとするが帰ってきたハーツ医師に止められる。二人はハーツ医師を説得するがひとまず食堂車で話そう、と言って二人を退室させる。

 尼僧はハーツに計画がバレた、と焦るとともにこの女性は英国人なのか?と聞く。どうやら尼僧は英国人は殺したくないらしい。ハーツ医師は尼僧をなだめてから食堂車へと向かう。

 食堂車でハーツは給仕係を買収して二人に睡眠薬を盛ったワインを与えた。まんまと飲んでしまった二人はその後、ハーツが包帯の中身を確認する、という言葉を信じて患者の隣の部屋で待たされる。

 やがてハーツは部屋にやってきて
「確かに包帯の中身はフロイだ。だが次のモルスケン駅で降ろし彼女は病院へ運ぶ。だが間に合わんだろう。何せ執刀するのは私だし主謀者の一人だからなあ」
 アイリスとギルバートはすぐに部屋を出ようとするがハーツは拳銃で脅し座らせる。ハーツは二人に睡眠薬を盛ったことを話し、ぐっすり眠るのだと言って退室。アイリス、そしてギルバートが眠りについてしまう。

 しかしギルバートは寝たフリをしていたのだ。ギルバートはすぐにアイリスを起こして薬の効く前に隣の部屋でフロイを解放しよう、と提案。しかしドアが開かず部屋から出られない。

 ギルバートは窓づたいに隣の部屋に移ろうとする。途中、向かいの汽車とすれ違い間一髪になるがなんとかそれを乗り越え、隣の部屋に潜入。しかし尼僧は抵抗もせず包帯が巻かれた人物を見ていい、という。

 包帯をほどくとやはりミス・フロイだった。ギルバートはその部屋にたまたまやってきたマダム・クーマーを取り押さえ、代わりに彼女の顔に包帯を巻く。

 そこへハーツ医師が帰ってくる。ギルバートとアイリスは彼の前で寝たフリをしてごまかした。やがて列車はモルスケン駅に到着。担架が運ばれハーツ医師は降りる。

 しかしハーツ医師は乗った救急車の中で中身がすり替えられていることに気付く。すぐにハーツ医師は近くの警官に事情を説明。更に1号車のみ切り離してしまい出発させる。

 1号車のみ切り離され国境とは別の方向に向かう支線を走っている、と気付いたギルバートとアイリスは食堂車へ行き、そこに残っていたチャータース、カルディコット、エリック、マーガレットの四人にギルバートは国境を離れている、と知らせる。

 やがて1号車は森の辺りで停車する。列車の近くに軍用車が止まっており、兵士が何人も構えていた。チャータースたちは信じていない。

 しかし縛られた尼僧が現れたことで状況がただ事でないことを飲み込む。

 やがて軍用車から将校(チャールズ・オリバー)がみなさんを送迎する、とか言ってやってくる。ギルバートは将校をイスで殴って気絶させてしまう。

 チャータースは話し合えば分かり合える、と言って汽車から降りようとするが兵士は問答無用で撃ってくる。増援の兵士たちが近づくのを見てギルバートは気絶した将校の拳銃で応戦する。

 やがて銃撃戦が展開された。しかしこちらは圧倒的に不利。エリックが護身用に持っていた拳銃をマーガレットが奪いそれをカルディコットが使って応戦していた。

 ミス・フロイは自分が英国外務省から派遣されたスパイだということを教え、自分一人で敵の気を引きつつ脱走する、と話す。

 危険だ、と止めるギルバートとアイリスだったがミス・フロイは
「もし私が死んであなたたちが帰れたら外務省のカレンダー氏に会ってこのメロディの暗号を歌ってほしいの」
 ギルバートはミス・フロイが歌うメロディを覚え、やがてミス・フロイは単身脱出した。

 ギルバートはカルディコットと共に列車を走らせようとする。
「自分は平和主義者なんだ。殺されるくらいなら投降して裁判を受ける」
 と言い張りエリックはひとり白いハンカチを使って投降しようとした。だがエリックは問答無用で撃ち殺され、マーガレットが嘆く。

 運転席まで行き、運転手を脅して何とか走らせることに成功した。

 走り出す列車。やがて車内で将校が起き上がり拳銃を奪ってチャータース達を脅す。尼僧が将校の目を盗んで、列車を降りて列車の分岐点を変える。それからすぐに尼僧は足を撃たれながらも列車に乗り込む。

 取り逃がしたハーツ医師と伯爵夫人はあきらめ、後は列車が国境を超えられるよう祈ってやるかと毒づくのだった。

 その後、国境を超えてなんとかフランスにたどり着いた一行は船に乗り電車を乗り継いでついにロンドン・ヴィクトリア駅にたどり着く。

 ヴィクトリア駅で、クリケットの試合を気にしていたチャータースとカルディコットだったが最終試合は洪水によって中止になっていた。二人は呆然とする。

 婚約者が迎えに来ていて憂鬱になっていたアイリス。暗号のメロディーを覚えながら最後まで見送ろうとしたギルバート。やがてアイリスは駅を降りて婚約者を発見しすぐさまギルバートを引っ張ってタクシーに逃げ込む。

 どういうことだい?とニヤニヤするギルバートに対しアイリスは
「わかってるくせに」
 と言って二人は熱いキスをする。

 やがて二人は外務省に到着するがギルバートはウキウキしていて、ついメロディーを忘れてしまった。そんなとき、部屋の中からメロディーがピアノで流れている。

 ピアノで弾いているのはミス・フロイだった。ギルバートとアイリスはフロイとの再会を喜び合うのだった・・・








 この映画で最初の方で歌手が首を絞めて殺されるシーンに伏線はない、というのをどっかで見ましたがまあ確かにそれほど伏線ではないですがストーリー上でのこれからの謎と疑念を視聴者に深めさせるのにはいい演出ですよね。この映画はふといらないんじゃね?っていうシーンも意外と謎を手助けしたり疑念の手助けになってるんですよ。

 ところでこの映画、本当にフィルム全部回収されてるのでしょうか。だって列車で起き上がった将校がどうなったのか分からないまま終わっちゃいましたけど。本当はカットされててそこの部分で将校をたとえば食堂席に戻ってきたギルバートが倒す、とかそういうシーンがあったんじゃないでしょうか?これは不思議ですね。ヒッチコックがそこを無駄なシーンと判断して撮影しなかったとは思えないんですが。

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Category: 洋画ハ行
黒幕の名前を映画にするのは「007 ゴールドフィンガー」(1964年)を思い出します。


『フレンチ・コネクション』(1971年・米)
フレンチ・コネクション
スタッフ
監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:アーネスト・タイディマン
原作:ロビン・ムーア「フレンチ・コネクション」
製作:フィリップ・ダントーニ
製作総指揮:G・デイヴィッド・シャイン
音楽:ドン・エリス
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集:ジェリー・グリーンバーグ
配給:20世紀フォックス
キャスト
ジミー・ドイル“ポパイ”:ジーン・ハックマン(小池朝雄)
バディ・ラソー“クラウディ”:ロイ・シャイダー(羽佐間道夫)
ビル・マルダリック:ビル・ヒックマン
クライン:ソニー・グロッソー(村瀬正彦)
ウォルト・サイモンスン:エディ・イーガン
アンリ・デヴェロウ:フレデリック・ド・パスカル(柴田秀勝)
アンジー・ボカ:アーリーン・ファーバー
サル・ボカ:トニー・ロー・ビアンコ(山田康雄)
ピエール・ニコリ:マルセル・ボズッフィ(渡部猛)
ジョエル・ウェインストック:ハロルド・ゲイリー
アラン・シャルニエ“フレンチ・コネクション”:フェルナンド・レイ(大平透)


 ウィリアム・フリードキン監督作品「フレンチ・コネクション」。原題タイトルは「French Connection

 主演はジーン・ハックマン。そしてその相棒にロイ・シャイダー。ハックマンは「俺たちに明日はない」(1967年)で一躍有名になりましたね。その後でハックマンはキャリアを積み、この映画もハックマンの輝かしいキャリアの一つですね。一方のロイ・シャイダーは脇役が多かったんですがこの映画や同年の「コールガール」が彼を輝かせ「ジョーズ」(1975年)で主演するのを手伝ったんでしょう。

 ウィリアム・フリードキン監督といえばこの映画と、2年後の「エクソシスト」(1973年)が代表的ですね。彼は著名なハワード・ホークス監督の娘と付き合ってたんですけど、ホークスに言われたそうです。本当の面白い映画とは悪人をブチ殺す映画だそうです。

 実はこれのモデルになった事件があります。実在のニューヨーク市警察本部薬物対策課のエドワード・イーガンとサルヴァトーレ・グロッソがフランス・マルセイユから密輸されたヘロイン約40kgを押収した事件がモデルだったそうです。ちなみにこのモデルの二人の刑事はアドバイサーだったそうです。

 吹き替えなんですが羽佐間さんと小池さん。羽佐間さんはもう一言では語れない吹き替えの大御所で、小池さんはやっぱ刑事コロンボですか。やっぱりこの吹き替えは最高でした。小池さんのうまいセリフ回し。推理で語るコロンボと暴力で語るドイルの両方を違和感なくできちゃうなんてやっぱ凄いですよねえ。

 この映画のすごいところは撮り方がうまいところです。こういう技術方面を語るのは私、ちょっと苦手なところなんですが、この映画は刑事が歩いて尾行する場面だとかが日常を撮影している、まるでドキュメンタリーのような撮り方なんですよね。そんな撮り方がノンフィクションであることを引き立て、本当の日常を映しているリアリティアル撮影方法で、すごくうまいんですよね。


【あらすじ】

 ニューヨーク市警察麻薬捜査課のドイル刑事とその相棒ラソーは麻薬の出処を追っていた。そんな中でたまたま立ち寄ったナイトクラブでドイルは直感により羽振りのよさそうな実業家に目をつけ張り込みを始める。その実業家はフランスの麻薬の大物と取引をはじめる準備をしており・・・





フレンチ・コネクションのシーン
ドイル(右:ジーン・ハックマン)と相棒ラソー(左:ロイ・シャイダー)













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 フランス・マルセイユ
 マルセイユの麻薬組織として大物であるアラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)は“フレンチ・コネクション”として恐れられていた。

 そんなシャルニエを追っているマルセイユの刑事が一人居たが、その刑事はシャルニエの右腕である殺し屋ピエール・ニコリ(マルセル・ボズッフィ)に殺されてしまう。

 アメリカ・ニューヨーク・ブルックリン、ベッドフォード・スタイベサント地区
 ニューヨーク市警察本部麻薬捜査課ジミー・ドイル(ジーン・ハックマン)こと“ポパイ”とその相棒であるバディ・ラソー(ロイ・シャイダー)こと“クラウディ”の二人は街に蔓延る麻薬の出処を追っていた。不良を暴力で脅しこんで必死に追い続ける。二人はどんな手段を使ってでも結果をあげようとしていたのだ。

 チンピラを一人ぶちこんだ後、ドイルとラソーはクラブ歌手(スリー・ディグリーズ)の歌うナイトクラブに寄り一杯やっていた。そのナイトクラブで異常なまでに羽振りの良い男を見つけ、ドイルの提案によりその男を尾行する。男は妻アンジー(アーリーン・ファーバー)とともに小さな飲食店を経営するサル・ボカ(トニー・ロー・ビアンコ)だった。

 マルセイユ
 シャルニエはテレビの人気スターであるアンリ・デヴェロウ(フレデリック・ド・パスカル)と会う。シャルニエの計画ではデヴェロウの車に麻薬を隠してニューヨークへ渡ろうとしていたのだ。

 ニューヨーク
 ドイルとラソーはボカの陰にジョエル・ウェインストック(ハロルド・ゲイリー)という麻薬の大物がいることに気づく。また、二人は定期的にガサ入れしているバーで雇っている情報屋からニューヨークに異常なほどの麻薬が輸入されることを聞く。二人は上司ウォルト・イモンスン(エディ・イーガン)を説得し盗聴器の許可をとった本格的な捜査をしようとする。

 やがてニューヨークにアンリがやってきて、同時にリンカーン・コンチネンタルもニューヨークの地を踏む。シャルニエとニコリもニューヨークへ渡ってきた。

 捜査が始まり二人の捜査を監視する役目を担ったFBIの捜査官ビル・マルダリック(ビル・ヒックマン)をサイモンスンから紹介されるラソー。どうやらマルダリックは昔、貴重な捜査員一人をドイルとの捜査で死なせてしまったことからドイルを恨んでいた。また、ドイルもマルダリックのことを忌み嫌っていた。

 シャルニエはボカの弟ロー(ベニー・マリノ)と共に廃車および盗難車の競売で、リンカーン・コンチネンタルを買い占める。

 ボカの店の電話を盗聴していたドイルとラソー。ついにボカが異国人と落ち合う、という通話内容を掴みガッツポーズをする。

 その後、ドイル、ラソー、そしてマルダリックや同僚のクライン(ソニー・グロッソー)ら警官たちと共にボカの尾行をはじめる。ボカは大通りでシャルニエ、ニコリと接触。ドイルはシャルニエを取引相手と睨み、尾行するがシャルニエは地下鉄のホームでドイルを撒いてしまった。

 一方、ボカはウェインストックから刑事にも尾行され電話も盗聴されたのだからもう少し慎重な取引をしろ、と取引の先延ばしを命令する。ボカはシャルニエとの取引の機会を失うのでは、と内心焦っていた。

 ワシントンD.C.にて取引を開始するシャルニエとボカ。しかしボカから取引先延ばしを伝えられると、ウェインストックが慎重すぎると内心嘆いてから、執拗に尾行してきたドイルを邪険に思い、彼の抹殺をニコリに命じる。

 一方、取引を見逃してしまった、と思っていたドイルとラソー。ドイルはマルダリックと一悶着を起こし、サイモンスンから普段の勤務に戻るよう命じられる。

 悔しがりながら家に戻るドイル。しかしアパートに差し掛かったところでニコリの銃撃が飛んでくるがドイルでなく別の民間人に直撃する。

 ドイルはすぐさまニコリを追いかける。ニコリは高架線の駅に逃げ込んでから鉄道に乗り込む。鉄道に乗り損ねたドイルは車を半ば無理やり借りて、鉄道を高架線の下の車道から車で追いかける。

 ニコリは鉄道内に居た公安警官を射殺。運転室に乗り込み、駅で止まらないように命じる。

 走り続ける鉄道と荒っぽい運転で追い続けるドイル。ニコリは近づいてきた別の公安警官も撃ち殺し、極度の緊張に追い込まれていた運転手は気絶。鉄道は駅に停車していた前の鉄道と激突。ニコリは負傷する。

 命からがら駅のホームを降りたニコリは待ち構えていたドイルと遭遇。ドイルは逃げようとしたニコリを階段で撃ち殺す。

 その後、ボカが受け取ったリンカーン・コンチネンタルを怪しく思い見張っていた。夜頃、停車していたリンカーンの周りを何度も徘徊していた男たちを逮捕する。しかしそれはただのタイヤを盗もうとしたコソ泥だったようだった。

 ボカは仕方なく車を証拠品として回収する。そして車を解体して麻薬が隠されていないか調べる。とにかく解体しまくったがなかなか出てこない。だがラソーがマルセイユの出航時のときの重量が車の仕様書と違っていることに気づく。

 持ち主であるアンリは車がなかなか回収されないことを焦っていた。整備士は疲れ果て
「ロッカー・パネル以外は全部調べたけど何もないぞ」
 という言葉を聞き、ボカたちはロッカー・パネルも探す。そして麻薬が見つかった。

 ラソーは泳がすためにリンカーンをアンリに返す。アンリはシャルニエに車を渡して自分の名前に傷がつくことを恐れたアンリはこれ以上の協力を断る。

 ニューヨーク・ウォーズ島
 シャルニエはウェインストックとの麻薬取引を済ませる。大金を持ってウォーズ島を離れようとするがすでに警官が島の交通網を封鎖していた。シャルニエは車を島へ引き返す。

 取引現場である廃墟の工場へ引き返したシャルニエは倉庫へ逃げ込む。ボカは警察隊の銃撃に遭い死亡。ウェインストックらは降伏する。

 倉庫へ逃げ込んだシャルニエを追うドイルは中でラソーと合流。ドイルは倉庫の中にいた人影に向かって銃弾を撃ち込むが、それはマルダリックだった。ドイルは誤射してしまった。

 呆然とするラソー。ドイルはシャルニエを追いかけることを優先し、別の部屋へ走っていく。やがて一つの銃声が鳴り響いた。


 ウェインストック、アンリ、アンジー・ボカ、ロー・ボカらは後に微罪の判決を受けたり釈放されたりした。シャルニエは逮捕を免れてマルセイユへ逃亡。

 ドイルとラソーは麻薬課を転出となるが後に復帰した・・・




 いい娯楽映画でしたよ。やはりハックマンが電車を車で追いかけるシーンなんか豪快なアクションでしたよ。車はボッコボコになってましたが。あとはやっぱりこの映画は撮り方がうまい。ドイルがシャルニエを追いかけるシーンなんかもまさしくドキュメンタリー。私はストーリーより撮り方に魅入られたようです。映画は生活を映す、そう教えられてる気がしましたね。

 実は続編「フレンチ・コネクション2」が別の監督によって作られています。はたしてそれは観るべきか、いま考えているところですね。舞台はマルセイユだそうで、ロイ・シャイダーの相棒は出演してないんですよね。

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