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ロバート・ウォーカーっていう俳優さんね。すっごい怖い俳優さんでしたよ。


『見知らぬ乗客』(1951年・米)
見知らぬ乗客
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:レイモンド・チャンドラー、チェンツイ・オルモンド
原作:パトリシア・ハイスミス「見知らぬ乗客」
音楽:ディミトリ・ティオムキン
撮影:ロバート・バークス
編集:ウィリアム・H・ジーグラー
キャスト
ガイ・ヘインズ:ファーリー・グレンジャー(愛川欽也)
ブルーノ・アントニー:ロバート・ウォーカー(山田康雄)
アン・モートン:ルース・ローマン(寺島信子)
バーバラ・モートン:パトリシア・ヒッチコック(高橋和枝)
ヘネシー刑事:ロバート・ギスト(寺島幹夫)
ハモンド刑事:ジョン・ドーセット(村越伊知郎)
ミリアム・ジョイス・ヘインズ:ローラ・エリオットまたはケイシー・ロジャース(小原乃梨子)
コリンズ教授:ジョン・ブラウン(千葉耕市)
フレッド・レイノルズ:ジャック・トゥシンハム
テニスの審判:アル・ブリッジ
テニスの解説:ブルックス・ベネディクト
カニンガム夫人:ノーマ・ヴァルデン
アントニー父:ジョナサン・ヘイル
ミセス・アントニー:マリオン・ローン(関弘子)
キャンベル警部補:エドワード・ハーン(村松康雄)
ターリー署長:ハワード・セント・ジョン(北村弘一)
モートン上院議員:レオ・G・キャロル

ガイと入れ違いで乗車する乗客:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「見知らぬ乗客」。原題は「Strangers on a Train

 物語は唐突に電車から始まりますね。主演のファーリー・グレンジャーが見知らぬ乗客とお話しするシーンがあります。その見知らぬ乗客ってのがロバート・ウォーカー。この人がまた怖いっ。例えば渥美清は寅さんの為に生まれた、と私は思ってますがロバート・ウォーカーはこの見知らぬ乗客の役のために生まれたとも思えます。それぐらい怖くハマリ役です。ただ彼は33歳で亡くなりました。ロバート・ウォーカーの最初の奥さんはジェニファー・ジョーンズ。彼女もまた有名な女優さんですね。

 私はこの映画を調べてまず一番最初に驚いたのは脚本ですね。なんとレイモンド・チャンドラーが脚本に携わっているようです。チャンドラーはフィリップ・マーロウシリーズ(「三つ数えろ」(1946年)を含む)のハードボイルド小説作家なんですがどうやら何作品か映画の脚本もしていたようです。まあ彼は途中で降板したようですが。

 この映画のヒッチコックのうまいシーンはファーリー・グレンジャーの妻が殺されるシーンです。そのシーンで奥さんがしていたメガネが反射して絞殺されるシーンが映ってるんですよ。これがなかなかにうまい。ロバート・ウォーカーの恐怖をうまく演出できているとおもいます。私は個人的に「サイコ」(1960年)よりこっちの方が好きです。

 一番好きなシーンですが、最初の遊園地のシーンで尾行しているときにブルーノ・アントニーが子供にからまれた時、子供の風船をタバコで割るシーンです。ここが本当にたまらなく、面白かったです。映画のストーリー的にもブルーノが人づきあいが上手くないのを補完するいいシーンだと思います。

 さて実はワーナー販売による正規版DVDを購入したんです。普通ならレンタルなんですが、これに限ってなぜ購入したかというとテレビ放映の吹き替えが収録されているからです。薄気味悪いロバート・ウォーカーをなんと初代ルパンの山田康雄氏、そして巻き込まれるファーリー・グレンジャーはキンキンこと愛川欽也氏。音源はなんと1960年代ごろだそうです。残念ながら近くのTSUTAYAになかったので購入しました。


【あらすじ】

 名テニスプレイヤーとして名を馳せるガイ・ヘインズは妻と離婚の話を進めるために故郷メトカルフへ帰る電車に乗っていた。その電車でファンだと名乗るブルーノという男と遭遇。ブルーノはガイが妻と離婚したがっているのを知り、自分がガイの妻を殺す代わりにガイが自分の父を殺す交換殺人をしないか、と持ちかける。ガイは取り合わなかったがブルーノはガイの妻を勝手に殺してしまい・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり






 二人の男が別々のタクシーから降り同じ駅から同じ列車に乗った。

 鉄道ラウンジにて。本を読んでいたアマチュアテニスの名プレイヤーであるガイ・ヘインズ(ファーリー・グレンジャー)に、ファンだと名乗るブルーノ・アントニー(ロバート・ウォーカー)が話しかけてくる。

 ブルーノはガイのゴシップ関係のことに詳しい。ガイが現在の妻ミリシア・ジョイス・ヘインズ(ローラ・エリオット|ケイシー・ロジャース)と離婚したがっていること、離婚後はモートン上院議員(レオ・G・キャロル)の娘アン・モートン(ルース・ローマン)と結婚する予定であり「A to G」と彫られたライターもガイがアンから貰っていることなど。

 対してそれを話されたガイはみるみる不機嫌になっていく。早く話を切り上げたくて食堂車へ逃げようとするが生憎、満席のようだった。仕方なくブルーノとの話をブルーノの個室で続ける。

 ブルーノは自分の父(ジョナサン・ヘイル)を憎んで殺したくて仕方がないことを聞かされ完全犯罪に興味はないか、と聞かれる。仮定の話としてガイはまず動機が無い人間を殺す方が完全犯罪を成立させやすい、ということを話す。

 ブルーノはガイの妻を自分が殺す代わりにガイが自分の父を殺す、というお互いのアリバイを成立させての交換殺人こそ完全犯罪になりうる、と語る。ガイは馬鹿げている、と取り合わずに適当に切り上げ、目的地であった故郷メトカルフの駅に到着する。しかしガイはライターを部屋に忘れて行ってしまった。ブルーノは呼び戻そうとしたが考えを改め、そのライターを所持していることにした。

 離婚の話し合いをするために妻ミリアムの勤め先のレコード店に来たガイ。ガイはミリアムに弁護士を呼んだか、と聞くとなんとミリアムはガイが有名になったから離婚しないと言い出した。ガイは困惑する。

 またミリアムは不倫相手に宿された子供をガイの子だと主張しはじめ、裁判にしてもいいが母親が有利になるに決まっている、と脅しだす。その場は店長(エドワード・クラーク)が迷惑がったために退出したガイ。

 ガイはすぐにメトカフ駅前の公衆電話でアンにそのことを伝え、激情のあまり「この手で彼女を絞殺してやりたい」と伝えてしまった。

 一方、屋敷に戻ったブルーノは少し前から頭の具合が良くない母(マリオン・ローン)と雑談をしていた。
「昔っからいたずらっ子なんだから。悪いことしちゃダメよ」
「もちろんだよママ。だがあのおやじは殺したくなるけどね」
 やがてその父が帰宅。父はブルーノは精神病院にでも入れた方がいい、と母に言っているが母は聞かない。ブルーノ本人はその頃、ガイに電話していたが相手にされなかった。

 ブルーノはメトカフに来て、遊園地に男二人(レオナルド・モリス、トミー・ファレル)と遊びに行くミリアムを尾行した。途中で絡んできたがきんちょの風船をタバコで割ったりもする。

※0:05~0:13以外は関係ないシーンと音声が含まれています。


 ハンマー叩きの力比べのアトラクションで。ボーイフレンド二人はそこまで力が無かったがブルーノはそのアトラクションで力強さを発揮する。そのアトラクションによりミリアムはブルーノのことが気になる。

 ミリアムはボートを借りて「愛のトンネル」を通り、カップルがイチャイチャする離れ小島にミリアムは男二人と共に着く。ブルーノはその後ろをボートで追う。

 その小島でブルーノはボーイフレンド二人と離れたミリアムの首を絞め殺す。その恐ろしい凶行はミリアムの顔から落ちたメガネに反射されていた。



 遊園地で人殺しが起きた、と騒ぎになってからブルーノは遊園地を立ち去る。その姿を不審だ、とボート小屋のおやじ(マーレイ・アルパー)が気になっていた。

 殺人の同時刻。
 ワシントンD.C.行の特急に乗っていたガイは同室となったコリンズ教授(ジョン・ブラウン)と会話する。どうやらコリンズ教授は酒が入ってご機嫌のようだ。微積分の話を語ったりした。

 ワシントンD.C.の自宅に戻ったガイを呼び出す声がする。そこにはブルーノがいた。ブルーノはミリアムの割れたメガネを渡してガイにミリアムを殺したから父親を殺す計画を一緒に立てよう、と恐ろしいことを言い出す。

 本気だと分かったガイは動揺。そこにパトカーがやってきて二人は影に隠れる。

 ガイはすぐに警察に伝える、と言うがブルーノは
「警察に伝えたところで動機がある君が真っ先に疑われるよ?それに仮に僕が捕まっても君に頼まれた、と共犯にしてやる。警察はきっと動機がある君が関わったと僕の証言を信じるだろうねえ」
 と脅迫する。ガイはブルーノをクレイジーだ、と罵倒しパトカーが去った後ブルーノを振り切って自宅に戻り電話に出る。

 相手はアンからで父親の上院議員が自宅へ呼んでいるので、来るようにとのことだった。

 モートン邸に着いたガイはアンと熱烈なキスをする。それから議員、そして議員のもう一人の娘バーバラ(パトリシア・ヒッチコック)に迎えられる。

 議員はミリシアが死んだことを伝えガイはさも今知ったような反応を取る。ガイは事件当時、列車に乗っていたというアリバイがありコリンズ教授という人物がそれを証明できる、と説明。モートン家の人々はそれを聞き安堵する。バーバラは死んで当然の女だ、と非難しモートン氏がそれを咎める。

 アンとガイ二人きりになり、アンは電話口で絞殺してやる、といっていたガイの言動が気になっていた、と正直に話したのだった。

 翌日、メトカフ署のターリー署長(ハワード・セント・ジョン)とキャンベル警部補(エドワード・ハーン)と会う。ガイはコリンズ教授と再会し証言を期待したがコリンズ教授は飲んだくれだったためにガイのことを覚えておらず、話も噛み合わない。結局、無実を証明することはできず警察に尾行される羽目になる。

 護衛という建前で監視を担当するのは気の良さそうなヘネシー刑事(ロバート・ギスト)と、彼と交代するガイを疑いっぱなしのハモンド刑事(ジョン・ドーセット)だった。

 また、ブルーノも父親殺しの計画実行を促すためにアメリカ合衆国議会議事堂のあたりを散歩していると遠くから姿を見せたりする。ガイは恐怖を覚える。

 またある時はアンと美術館で過ごしていた時に姿を現したりもした。アンはブルーノの特徴的なネクタイピンが印象に残り、ガイはブルーノを追い払ってからアンを連れて去っていく。

 ついには手紙が届いた。家の見取り図、そこには殺すべき父親の寝室の場所が矢印付きで記されている。また、寝室の鍵まで添付されていた。

 ガイはひとまずそれを無視してテニスコートで練習をはじめる。しかし観客の中にまでブルーノがいた。練習を終えてからガイはアンがブルーノと談笑している場面に遭遇する。

 どうやらブルーノはダービル夫妻(妻:オデット・ミルティル、夫:ジョルジェ・レナヴェント)の知り合いとしてアンと仲良くなったらしい。ガイはブルーノと初めて会ったフリの挨拶をしてから早々に去る。その姿に疑問を持ったアンはブルーノを凝視して美術館で会った男と同じ男だということに気付く。

 そこにバーバラがやってくる。実はバーバラは顔つきやメガネがミリアムに瓜二つなのだ。ブルーノはアンを凝視し、ミリアムを殺した時にタバコの火を点けてやるのにつかったライターの幻影がブルーノの中で浮かぶ。

 やがてガイの下にブルーノからハンドガンのルガーP-08が届けられる。ガイはそれを無視しタンスの中に隠す。

 その日、モートン邸ではパーティが開催されていた。そのパーティになんとブルーノがダービル夫妻の招待で来てしまったのだ。ブルーノはモートン議員に生命エネルギーの話など訳のわからない話をしたりして警戒させる。

 ブルーノはパーティの客であるカニンガム夫人(ノーマ・ヴァルデン)やアンダーソン夫人(ローラ・トリードウェル)と人殺し談義となる。一番被害者を騒がせないで効率的かつすぐに出来る方法の教授として冗談でカニンガム夫人の首を絞めてみる。

 しかしブルーノの視界にバーバラが移り無我夢中で思わず本気で首を絞めてしまう。苦しがるカニンガム夫人に気付けずブルーノはやがて気絶。ガイはブルーノを書斎へ運び、議員からゴシップのネタになりかねないのでさっさと追い出すよう言われる。

 目を覚ましたブルーノ。だがブルーノは悪びれもせず
「君が好きなんだよ!」
 とか訳の分からないことをまた言い出したのでガイは思わず殴ってしまう。

 ガイはそれからブルーノにやりすぎたことを謝り、乱れたネクタイを直してあげて屋敷から追い出したのだった。

 アンはバーバラからブルーノが首を強く絞めたのはバーバラを見つめたから、だということを聞かされガイにバーバラの容姿を聞く。ブルーノがミリアムを殺した犯人で、ガイがそれに何らかの形で関わっていると気付きガイに本当のことを話してほしいと問い詰める。

 アンはガイから全てを聞き出すが状況は何も打破できないことで困ってしまう二人。ガイはアンを巻き込んだことを後悔し、翌日ブルーノに電話。ブルーノの父親を殺すことを伝えるのだった。

 その日の夜、ガイは尾行の刑事を撒き、アントニー邸に潜入。強そうな番犬を何とか回避し寝室に潜入する。

 しかしガイに殺す意思は無く、ブルーノの父親に警告を促すために起こす。しかし寝室のベッドに居たのはブルーノ本人だった。どうやら父親は出張に行ったらしく、ガイが突然心変わりしたのが気になって寝室に居たらしい。

 ガイは殺す意思がなかったことを認め銃を返す。
「君は病気だ。君だけでなく周囲の人間のためにも君は精神科にかかったほうがいい」
 と説得するがブルーノは銃を拾って銃口をガイに向けガイは緊張しながら邸を出ていく。
「安心しな。ここで銃殺するとおふくろが目覚めてしまう。もっといい方法で対処するさ」

 アントニー邸を今度はアンが訪れた。アンはブルーノの母親に息子さんが女性を殺した、と話すが母親は頭の状態が良くなく息子は認めてないんでしょ、などと言ってまともに話ができなかった。

 そこにブルーノがやってくる。ブルーノはガイがミリシアを殺した犯人であり、彼が現場に落としたライターを拾いに行けと命じられた、などと主張する。

 アンは邸を出てガイにそのことを話す。ガイはブルーノがミリアム殺しの現場に彼が持っている「A to G」と彫られたガイのライターを今日の夜にでも置きに行き罪をなすりつけるのだろう、と推測。ブルーノがライターを現場に置くまでに自分たちで回収する必要があった。

 しかしその日はフレッド・レイノルズ(ジャック・トゥシンハム)との試合があった。アンは棄権を進めるがそれでは逆に刑事に怪しまれる、と返す。アンが行くとも言ったが、ブルーノはそれを制止。フレッドとの試合を3セットで終わらせてから、遊園地に向えばいい、と話す。

 しかし審判(アル・ブリッジ)がゲーム開始を宣言し試合がはじまる。普段ガイはじっくりと相手が疲れるのを待って追い上げていくタイプだと解説(ブルックス・ベネディクト)が説明するが今回はそうもいかない。フレッドとの試合はなかなか終わらない。

 ブルーノは家を出て、列車に乗りメトカルフ駅を目指す。メトカルフ駅を降りたとき、排水溝にライターを落としてしまった。ブルーノは手間取るがなんとかライターを拾い上げる。

 1セット取られたがなんとか勝利したブルーノ。ブルーノはバーバラが用意したタクシーにバーバラがヘネシー刑事らの気を引いているうちに乗り込む。しかしハモンド刑事がその前に気付き、二人はブルーノを追いかける。

 ペンシルベニア駅からメトカルフ駅を列車で目指す。ペンシルベニア駅でメトカルフ駅を目指したことを知ったハモンド刑事とヘネシー刑事はあえて泳がしターリー署長に連絡する。

 メトカルフに着いてからすぐに遊園地に向かったガイ。一方のブルーノは日没を確認しボート小屋の行列に並びだす。

 遊園地の入り口でガイは警察の追尾から逃れつつ、ブルーノを探す。

 ブルーノが並んでいるところを事件の日に自分を不審がったボート小屋のおやじが発見した。おやじは近くの警官にそのことを話す。ブルーノはそれに気づき行列を離れる。

 そこでガイがやってきて名前を呼ばれる。ブルーノは回転木馬に逃げ込みガイがそれを追いかける。

 警官がガイが逃げたと勘違いして発砲。その銃弾は回転木馬を操作する係員に直撃し係員はレバーを倒して倒れこむ。回転木馬の速さが最速になった。

 ぐるんぐるん回る回転木馬。取っ組み合うガイとブルーノ。途中、振り落とされそうになった子供をガイが助ける。

 このままじゃ埒が明かない。そこで回転木馬の外側から係員が最速の回転木馬の下に潜り込み、レバーを元に戻す(合成でもなく、本当におじさんが潜り込んだそうです。)。急ブレーキのかかった回転木馬は大破したのだった。



 ガイはターリー署長に自分は犯人ではないと説明。ボート小屋のおやじもブルーノの方が犯人だと証言。ガイはブルーノが自分に罪を着せようとして現場に自分のライターを置こうとしていたことを話す。

 ブルーノは回転木馬の下敷きになり重傷を負っていた。ガイはブルーノに本当のことを話すよう言うがブルーノはこの期に及んで白を切る。
「すまんなあ。君を助けてやりたいが、どうしていいのか分からない」
 だがそんなブルーノもやがて息を引き取り、左手に握られていたライターが露わになる。

 ターリー署長はガイの無実を明らかにするためにも明朝、事情聴取をすることを決める。

 その後、釈放されたガイは電話でアンに迎えに来てくれるように頼む。アンはバーバラや議員と共に安堵するのだった・・・

~イギリス公開版「見知らぬ乗客」はここで終わる。アメリカ公開版はもうちっと続くんじゃ~

 迎えに来たアンと列車に乗ったガイ。そんなガイに
「あなたガイ・ヘインズさんじゃないですか?」
 と話しかけてくる牧師がいた。ガイは最初、答えようとしたがブルーノのトラウマが残っているのか答えずにその場を立ち去っていく。

 ガイの〝見知らぬ乗客〟へのトラウマはまだ癒えなさそうだった・・・











 パーティのシーンでガイがブルーノの乱れたネクタイを直すシーンがあったじゃないですか。あのシーンはこの映画のブルーノに対するガイへの思いがホモセクシャルであるという意見もありそのシーンが批判されていることがあるようですね。しかし確かに私はブルーノがガイを想うものにホモセクシャルな想いがあったのではないか、と思ってます。

 ガイに対する執拗なまでのストーカー行為、そして何よりラストシーン。ブルーノ・アントニーという男は頭がおかしい。常識は通じません。もしかしたら本当に最期は自分が犯人ではなくガイが犯人で彼をかばいたい、という思い込みがあったのではないでしょうか。勿論事実は全く違いますが。そしてその命を散らせてガイの無実をライターという形で証明させた。左手に大事に握りしめて。こればっかりは美的センスの違いで多くの人は私の意見に難色を示すと思います。しかし私はブルーノの最期は美しい、と思っていますよ。


 この映画に登場する遊園地はヒッチコックの演出の見せ所ですよね。ハンマー叩きのアトラクションだって意味のないものじゃありません。あれはロバート・ウォーカーの力強さ、まさしく首を絞める力が強いんだってことを後々、暗示させるものですね。

 そして極め付けは劇中で最後の大破のシーンまで一度も止まるシーンがなかった回転木馬。あれは二つの意味を持っているのだと思います。
 一つは、止まることを知らないブルーノ・アントニーそのもの。ひたすらしつこくガイに付きまとい交換殺人を実行させようとする。まさしくその命が終わるまで止まらずに回り続けました。回転木馬の運命と共にその命は散りました。まさしく回転木馬とブルーノ・アントニーは運命共同体でした。
 もう一つはブルーノに翻弄されるガイ・ヘインズですね。彼は回転木馬が止まるシーン、つまり大破されるまでブルーノに翻弄され続けました。まさしく回転木馬はガイに繋がれた鎖ですね。ガイがその鎖から解かれた瞬間、回転木馬は大破しました。

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Category: 洋画マ行
仕事人風に言えば「三つ数えろよ。テメエが冥土へ辿りつくまでの時間だ」みたいなもんですね。


『三つ数えろ』(1946年・米)
三つ数えろ
スタッフ
監督:ハワード・ホークス
脚本:ウィリアム・フォークナー、リイ・ブラケット、ジュールス・ファースマン
原作:レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」
製作:ハワード・ホークス
音楽:マックス・スタイナー
撮影:シドニー・ヒコックス
編集:クリスチャン・ネイビー
配給:ワーナー・ブラザーズ
キャスト
フィリップ・マーロウ:ハンフリー・ボガート
ヴィヴィアン・スターンウッド:ローレン・バコール
カルメン・スターンウッド:マーサ・ヴィッカーズ
本屋の店員:ドロシー・マーロン
執事ノリス:チャールズ・D・ブラウン
バーニー刑事:レジス・トゥーミー
スターンウッド将軍:チャールズ・ウォルドロン
アグネス・ローツィエール:ソニア・ダーリン
アーサー・ガイガー:セオドア・フォン・エルツ
モナ・マース:ペギー・クヌセーン
ジョー・ブロディー:ルイス・ジーン・ヘイト
ハリー・ジョーンズ:エリシャナ・クック・ジュニア
ラッシュ・カニーノ:ボブ・スティール
エディ・マース:ジョン・リッジリー


 ハワード・ホークス監督作品「三つ数えろ」。原題タイトルは「The Big Sleep

 ええと、実はこの映画ストーリーがすっごい複雑らしいんですよ。で、観たんですよ。最初の方とか訳分からなくて混乱しまくってました。もともと登場人物の名前を覚えるのが苦手な私は主要人物とかが多い映画とかは結構苦手なんですよね。だから役者の顔で覚えることが多いんですが、知らない俳優さんが多いとそれも一苦労です。

 ストーリーはやっぱり難しかったです。はっきり言ってしまうと、すべてを理解することはできませんでした。私の未熟さを思い知らされた気分ですね。しかしこの映画、そもそも監督自体も原作の全容すべてを理解したわけでは無いらしく、ストーリー重視するよりところどころに演出に小ネタを入れる感じで映画を面白くしたようですね。

 チャンドラーのフィリップ・マーロウシリーズっていうのはハードボイルドな私立探偵の代名詞みたいな推理小説の主人公なんですよね。で、ちょっと余談なんですが「トロと流れ星」というゲームでボギーっていうハードボイルド気取りのハムスター元探偵が出てくるんですよ。多分、そのボギーっていうのはこのハンフリー・ボガートから、そしてハードボイルドの設定はボガートがやったフィリップ・マーロウから参考にしたのではないか、と思います。

 このハワード・ホークス監督っていうのは「暗黒街の顔役」(1932年)だとか「脱出」(1944年)など男にしかできない格好よさを演出する映画をよく撮ってるんですね。

 そして私の大好きな俳優ボガート。彼はヒロインのローレン・バコールと45年、つまりこの映画の公開前年に結婚し夫婦になっています。二人が付き合いだしたのは「脱出」(1944年)で共演してからだそうですよ。20歳近く歳が離れてましたが二人は円満だったようですねえ。ボガートが死ぬまで二人は仲の良い夫婦だったそうです。今もバコールは生きていますよ。


【あらすじ】

 私立探偵フィリップ・マーロウはスターウッド将軍に次女カルメンを脅迫する何者かを調査してほしい、という依頼を受ける。マーロウは調査の末に本屋の店主ガイガーが事件にかかわっていることを突き止めるがガイガーは家で死体となってマーロウによって発見されカルメンは酔っ払った状態でその場に居た・・・



三つ数えろのシーン












※一部解説サイトを拝見しました。

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 私立探偵フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート)はスターンウッド将軍(チャールズ・ウォルドロン)に雇われて彼の屋敷を訪れる。

 執事ノリス(チャールズ・D・ブラウン)に案内されてマーロウは最初に次女カルメン・スターンウッド(マーサ・ヴィッカーズ)と出会う。彼女は美しく可愛げもある女性だったが悪戯好きでちょっと躾けのなっていない娘さんだった。

 マーロウはスターンウッド将軍と温室で会い、彼から依頼内容を聞く。実はあのカルメンという奔放な娘が本屋のアーサー・ガイガー(セオドア・フォン・エルツ)から脅迫を受けているのだという。また、マーロウの前任をしていたラスティ・リーガンという使用人も姿を消してしまったらしい。将軍は彼の身を案じているものの彼の行方を探す依頼はしなかった。

 家を去ろうとしたマーロウは長女ヴィヴィアン(ローレン・バコール)に呼ばれる。リーガンを探してほしいとマーロウに依頼するがマーロウはその依頼を受けなかった。

 マーロウはガイガーの書店を、向かいの書店の女性(ドロシー・マーロン)と雑談しながら張り込んでいた。やがてガイガーが店から出てきて車に乗ったのでその後を追う。

 ガイガーが入って行った家に続いて、カルメンが入って行った。マーロウは慎重に張り込んでいたがその時、銃声が聞こえる。すぐに家に入るマーロウだったが裏庭から2台の車が去って行ったのを見かける。

 家の中には酔っ払ったカルメンとガイガーの射殺体、そして二人を映すように置かれていた隠しカメラだった。カメラからは既にフィルムが抜き去られていた。マーロウはカルメンを問い質すが彼女は酔っ払っていてまともな返答をしなかった。

 マーロウはすぐにカルメンの乗って来た車でスターンウッド邸に連れ帰り、カルメンをヴィヴィアンに引き渡す。そしてヴィヴィアンに「妹を守りたかったら今夜はずっとカルメンはここに居たことにするんだな」と言って去って行った。

 その後、自分の車をガイガー邸に取りに来たマーロウ。一応、家の中に入って死体を確認しようとするがその家からガイガーの死体が消失していた。

 夜、かつてマーロウが検事局調査員時代だったころからの仲であるバーニー刑事(レジス・トゥーミー)が訪れスターンウッド家の運転手が車と共に海に沈んでいる、ということを伝える。現場に急行したマーロウとバーニーは、検視官から他殺か自殺かは不明だという見解を聞かされる。

 翌朝、事務所に出勤したマーロウはヴィヴィアンに出迎えられる。ヴィヴィアンによれば、昨夜のガイガー邸でガイガーの死体と一緒にいるカルメンが映った写真が脅迫状として送られてきたという。マーロウは警察に電話すればいい、と言いヴィヴィアンが本当に電話するのでマーロウはその受話器をとって応対した警官を軽くあしらって切ってしまう。

 なぜ止めたのかを訪ねるヴィヴィアンにマーロウは「ご老体の将軍のためさ」と答える。

 マーロウはガイガーの本屋の店員であるアグネス・ローツィエール(ソニア・ダーリン)が脅迫者の一人では、という考えを持ち彼女の車を尾行。彼女がジョー・ブローディ(ルイス・ジーン・ヘイト)の家に入って行くのに気付き、ヴィヴィアンを新たに脅迫しているのはジョー・ブロディーであるところまで辿りつく。

 脅迫者に会いに行く前にマーロウはガイガー邸を訪れた。そこには素面のカルメンが既にいた。二人は家を探し回るが、やがてここの家主だと名乗るエディ・マース(ジョン・リッジリー)が家に入ってくる。マーロウはカルメンを帰し、マースと腹の探り合いをする。しかしどちらとも腹の内を明かしたりはしなかった。

 マーロウはマースが帰って行ったあと、ジョー・ブロディーの部屋を訪れる。その部屋にはアグネスやヴィヴィアンまでもが居た。マーロウは拳銃を突きつけられピンチに陥るが、やがて部屋に今度は拳銃を持ってカルメンが乗り込んできた。マーロウは巧みにブロディーとカルメンの拳銃を奪ってヴィヴィアンとカルメンを先に返す。

 マーロウはブロディーから自分が脅迫者である、という自白を取ってから脅迫に使われたカメラのフィルムを奪う。そして果たしてガイガーを殺したのは誰なのか、とブロディーに問う。ブロディーが話すにはどうやら海で沈んだスターンウッドの運転手らしい。

 スターンウッドの運転手テイラーはカルメンに惚れ込んでいたがそのカルメンをガイガーが脅迫しいやらしい事をさせていたのでテイラーがぶち切れてガイガーを殺してしまったのだ。その後、車で逃走しそれをたまたまガイガーを張り込んでいたブロディーたちが発見して車の後を追ったのだ。

 追跡の末にテイラーの車は海に落っこちてしまった。これが事件の真相だった。

 来客が現れたのでブロディーに出させるが、ドアを開けた途端にブロディーは来客に殺された。

 マーロウはその来客を追いかけ、銃撃戦を展開してから、なんとか彼をひっ捕らえ警察に突き出すのだった。

 翌日、マーロウはヴィヴィアンの訪問を受け、「事件は終わった。ご苦労様でした」と小切手を渡してきた。だがマーロウは納得がいかずヴィヴィアンが早急に事件を終結させたがっていることに気付く。

 独自で調査を開始するマーロウだったが地方検事局に圧力がかかってきてバーニーに呼び出される。マーロウはバーニーに事件はまだ終わっていない、という自分の考えを話しバーニーを納得させる。

 マーロウはマースが怪しいと考えていた。実はマースの妻は行方不明で、マーロウはリーガンとマースの妻が駆け落ちでもしたのではなかろうか、と考えていた。マーロウは本当はギャングであるマースと会う約束を彼の経営するカジノで取り付ける。

 マースの経営するカジノを訪ねたマーロウはそこに既にヴィヴィアンがいることに気付く。マースに自分が探偵であることを明かし、再び腹を探ろうとするがうまくいかず話を終えてヴィヴィアンに話しかける。

 ヴィヴィアンはカジノで多くの金を儲けた。ヴィヴィアンはマーロウに送ってほしい、と頼みマーロウは一足先に駐車場に行く。

 駐車場で何かを感じたマーロウは車の陰に隠れる。やがてマースの部下らしき男がカジノから出てきたヴィヴィアンに拳銃を突きつけ儲けた金を出すように迫る場面を目撃する。

 マーロウはその強盗を撃退しヴィヴィアンを乗せるが、マーロウは今の大儲けから強盗までの一連の流れがマースと組んでの八百長であると気付いており、二人に接点がないことをマーロウに認識させようとしてのことだと思っていた。そのことでヴィヴィアンを問い詰めるがヴィヴィアンは答えなかった。

 やがてマーロウは「君が好きなのだ」とヴィヴィアンに打ち明けヴィヴィアンは証拠を見せるよう言う。マーロウはその証拠を接吻という形で見せつけるのだった。ヴィヴィアンはマーロウの接吻に満足しもう一度、接吻をねだる。

 ヴィヴィアンを送り事務所に戻ろうとしたマーロウはマースの子分らしき男二人組に路地裏に連れて行かれボコボコにされる。

 「事件から手を引けと言ったはずだ」と言い去って行く男二人に入れ替わるように今度はハリー・ジョーンズ(エリシャナ・クック・ジュニア)がマーロウに話しかけてくる。

 ハリーはアグネスの仲間というか彼女と結婚予定らしく、どうやらアグネスがリーガンの居場所を知っているという。その情報料は200ドルだ、と要求し去って行った。

 マーロウはハリーの指定したオフィスを訪ねるが先客が一名いるようで何かを察知して隣の部屋で一部始終を盗み聞きする。

 ハリーはどうやらマースの子分ラッシュ・カニーノ(ボブ・スティール)と会話をしているようで、どうやらマースたちはハリーやアグネスの存在を邪魔に思っているらしい。

 カニーノはハリーから無理矢理、アグネスの居場所を問い質し「3つ数える前に話せ」と言う。ハリーは慌てて居場所を打ち明け彼に酒を振る舞って部屋から出て行った。

 マーロウは部屋に乗り込むが、ハリーが突然苦しみだしてやがて息絶えてしまう。マースの子分はハリーを毒殺してしまったのだ。マーロウは見ていることしかできず悔しがる。

 マーロウは電話でハリーがマースの子分に打ち明けたアグネスの居場所に電話をする。しかしアグネスはそこにはおらず、ハリーは命を賭けてアグネスを守ったのだ。やがてその部屋にかかってきた電話はアグネスからで、彼女にハリーが死んだことを話し車で会うことを取り付ける。

 アグネスは少なからずハリーの死にショックを受けているようだった。マーロウは200ドルをアグネスに渡しアグネスはリーガンはロードサイドのガレージに居るらしい、ということを話す。

 マーロウは罠が仕掛けられているであろうことを予測済みでロードサイドのガレージを訪ねた。たまたまパンクした前輪のタイヤを修理してもらいたい、という建前でガレージに入るがそこにはカニーノがおり、マーロウは捕らわれてしまった。

 そこにはマースの妻モナ・マース(ペギー・クヌセーン)がいた。しかしモナはリーガンと駆け落ちなんてしてない、と否定し夫がいろんな人間を殺した、というマーロウを否定する。

 今度はヴィヴィアンが現れた。ヴィヴィアンはマーロウの縄を解き、協力して脱出を図ろうとする。だがマーロウの手錠を外すにはマーロウの始末の指示をマースに仰ぎに行ったカニーノが持っているらしい。

 カニーノの車が到着しヴィヴィアンはマーロウの指示通りに悲鳴を上げる。すぐにガレージの中に駆け込んだカニーノらの隙を見てマーロウは自分の車に拳銃を取りに行き、一人を追い払い一人を射殺した。

 やがてカニーノがヴィヴィアンを盾に外に出てきた。やがてヴィヴィアンが「あそこよ!」と言いカニーノはそこに銃弾を撃ち込むが、そこにはマーロウは居ない。その隙にマーロウはカニーノを射殺するのだった。

 その後、二人はガイガーが殺された家に行き、そこでマースに電話をかける。「20分後にガイガーが殺された家で会おう」と。

 10分後、マースは手下を外に配置させて家の中へ入ってくる。マースは電話線を切ろうとしてマーロウが拳銃を向けてそれを止めさせる。

 リーガンが失踪した事件の真相はこうだった。

 実はカルメンはリーガンを愛していた。しかし対するリーガンというのはマースの妻モナを愛していた。嫉妬の末に逆上したカルメンはリーガンを殺害。そしてそれを裏で操っていたのはマースでマースはリーガンの遺体を隠しそのことでヴィヴィアンを脅迫しているのだという。

 カルメンはそのことを全く覚えていない。いわば病気のようなものだろう。

 マーロウはマースに家の外に出るように言う。実はマースは最初に家から出てきたやつを殺せ、と部下たちに命じてあるのだ。

 マーロウは「三つ数える前に家の外に出ろ」と言い1秒数えてマースの手を撃つ。マースは家の外に飛び出し「俺だ!撃つな!!」と部下に叫ぶが機関銃でマースは撃ち殺され扉にもたれかかってからやがて倒れる。

 マーロウは扉を閉めてからバーニー刑事に通報する。リーガンを殺したマースが部下に殺された、と。

 やがてサイレンの音が鳴り始める。マーロウはヴィヴィアンにカルメンは病院に収容すればいい、スターンウッド将軍もきっと理解してくれるだろう、と話す。ヴィヴィアンは「私はどうすればいいかしら?」と尋ね「何を云っているんだ」と答える。ヴィヴィアンは「最高ね」と軽く笑い、二人は見つめ合うのだった・・・








 ボギーが主演ってだけで私はほかの映画より最初から+10は好きになっていると思います。

 この映画って登場人物とかの関係がとっても複雑ですよね。注意深く見ていないと私のように訳分からなくなります。っていうかこの映画というか作品というのは一方的な愛が多いですよね。だからちょっとだけまとめてみました。

フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート):主人公の私立探偵。
ヴィヴィアン・スターンウッド(ローレン・バコール):ヒロイン。将軍の長女。
カルメン・スターンウッド(マーサ・ヴィッカーズ):将軍の次女。頭の病気?運転手テイラーに惚れられ、彼女はリーガンを愛していた。リーガンを嫉妬で殺害。そのことを忘れる。
リーガン:マーロウの前任だった男。マースの妻モナを愛していた。カルメンに殺される。
運転手テイラー:スターンウッド家の運転手。カルメンに惚れ込み彼女を脅迫しいやらしいことを強要するガイガーに激怒しガイガーを殺害。その後、ジョー・ブロディーに追いかけられ事故で海に落ちて死ぬ。
アーサー・ガイガー(セオドア・フォン・エルツ):書店の店長。カルメンに博打のツケがあって彼女にいやらしいことを強要。運転手テイラーに殺される。
ジョー・ブロディー(ルイス・ジーン・ヘイト):脅迫者。カルメンとガイガーの死体が一緒にいる写真でヴィヴィアンを脅迫する。
アグネス・ローツィエール(ソニア・ダーリン):脅迫者。ブロディーと協力。ハリーと結婚予定。リーガンの情報をフィリップに売る。
ハリー・ジョーンズ(エリシャナ・クック・ジュニア):アグネスと結婚予定の男。マースの子分カニーノに毒殺される。
モナ・マース(ペギー・クヌセーン):エディ・マースの妻。リーガンと駆け落ち疑惑があったがそうではなかったらしい。愛しているのは夫かな?
エディ・マース(ジョン・リッジリー):ギャングでカジノ経営者。妻に手を出そうとしてるリーガンをカルメンをそそのかして殺害。


 まさしくこの映画、恋愛の部分までハードボイルドで渋いって感じがします。何せ主演がボガートなもんですから情熱的なキスとかじゃなくて、苦いコーヒーみたいなキスするんですよ。ラストシーンもキスするかと思いきやキスしない、っていう。それはボガートとバコールの役の愛が軽いものではないのだ、っていうのを象徴している気がしますね。私はボガートとキスしたらきっとコーヒーの味がするんじゃないか、と思います。私男ですけどね。

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原作小説 (翻訳:村上春樹)
大いなる眠り大いなる眠り
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アニメーションの原点の原点と言えるでしょうか。


『魔法のお絵かき』 (1900年・米)

スタッフ
監督:トーマス・エジソン
出演:J・スチュアート・ブラックトン
撮影:アルベルト・E・スミス


 エジソンが一応、監督作品の「魔法のお絵かき」。原題タイトルは「The Enchanted Drawing

 この1分半ほどの映画こそ今日のアニメーションの原点の原点となっております。元祖マジシャン・セロであり、113年も前の映画でこの発想と映像技術。素晴らしいと言えるでしょう。
Category: 洋画マ行
ドイツで製作された映画です。SF映画の原点にして頂点と呼ばれています。


『メトロポリス』 (1927年・独)
メトロポリス
スタッフ
監督:フリッツ・ラング
脚本:テア・フォン・ハルボウ
製作:テア・フォン・ハルボウ
撮影:カール・フロイント
編集:レイ・ラヴジョイ
配給:UFA
キャスト
マリア/アンドロイド・マリア:ブリギッテ・ヘルム
フレーダー:グスタフ・フレーリッヒ
メトロポリス支配者フレーダーセン:アルフレッド・アベル
中枢の工場長:ハインリヒ・ジョージ
秘書ヨサファト:テオドール・ロース
科学者ロトワング:ルドルフ・クライン=ロッゲ


 フリッツ・ラング監督作品「メトロポリス」。原題タイトルは「Metropolis

 この映画はSF映画の原点、と前述しましたが当時の映画は思想的な部分が描かれた映画も多いためこの映画もその思想、主義を描いた映画であるとも言われています。私もこの映画には主義的なものを描いたと感じましたね。

 未来都市はもちろんですが、なんといってもこの映画に出てくる人造人間、アンドロイドが凄い。そのアンドロイドってのが2ちゃんねる(?)かどっかでVIP先生、って呼ばれているそうなんですよ。私そういう系はよく分からんので詳しいことはよくわかりませんが・・

 監督のフリッツ・ラングと脚本家のテア・フォン・ハルボウは夫婦の関係です。しかしナチス党が台頭しユダヤ人のフリッツ・ラングはフランスへ亡命しアメリカへ渡りました。亡命の2年ほど前にナチス支持者のハルボウとは離婚しています。ナチス宣伝相のヨーゼフ・ゲッベルスはラング監督を気に入っており、亡命を阻止させナチスのプロパガンダ映画を作らせようとしていた、とラング監督は話していますが最近ではラング自身がゲッベルスに映画作家としての延命をはかっていた、とも言われています。

 対して奥さんのハルボウは元夫の亡命後もナチスの好みの小説を出版していたそうです。戦後、1954年に事故死。フリッツ・ラングが西ドイツに戻ってきたのは50年代末でした。

 今観れるのはフィルムが回ってきたアメリカなどにより徹底的に共産主義的な部分はカットされた編集版でしょう。完全オリジナルは210分ほどあったそうで、ドイツのウーファー社が公開しましたが利益的な面で結局、編集版を追従。それでも利益が回収できずにウーファー社は倒産してしまったそうです。今はもうオリジナルのフィルムが第二次世界大戦の混乱で散らばっちゃって全てのフィルムが見つからなければフルオリジナルで観ることは不可能になってしまいました。

 登場するアンドロイドが「スター・ウォーズ」のC3POのデザインに影響をもたらしました。また、ラング監督はこの映画のあるシーンで6000人のエキストラを雇おうとして失敗し、1500人になりましたが、代わりに全員の頭を剃らせてカメラの前を何回も行進させてさも6000人以上いるように見せかけることに成功しています。これはシュフタン・システムと呼ばれるそうです。

 クイーンのヒット曲「ラジオ・ガ・ガ」のPVにこの映画の一部が利用されてるそうですよ。

 あと皮肉なことにヒトラーがこの映画をお気に入りとしたんです。しかし彼はユダヤ系の共産主義を徹底的に廃絶したいがために国内から共産的ユダヤ人を徹底的に弾圧しました。恐らくヒトラーはラストシーンの貧困者と資本者の握手シーンには嫌悪感を示したのではないでしょうか・・だからラング監督が仮にドイツに留まりつづけても彼がプロパガンダ映画を作らなければ生命の保障がされていたかは疑問なところですね。まああくまで今の部分は私の勝手な推測なので証拠はありませんが。

 しかしヒトラーの演説そっくりな熱心で過激的な演説をするアンドロイド・マリアのシーンがあるんですよ。恐らくヒトラーはこれを自身の演説で参考にしたのではないでしょうか。


【あらすじ】

 2026年。未来都市メトロポリス。ここでは摩天楼の上層階で頭脳的支配者がメトロポリスで優雅な生活を送り地下で労働者が過酷な環境で仕事と貧しい生活を強いられていた。支配者の息子フレーダーはその実情を知り、なぜメトロポリスを支える労働者が貧しい生活を送るのか疑問に思う。一方、マリアという労働者に説法を説く女性が現れ支配者フレーダーセンは彼女を誘拐し彼女そっくりの人造人間を作り、労働者と彼女の関係をぶち壊そうとするが・・















【以下全文ネタバレ注意】











↓四行後にネタバレ文あり




 2026年、架空の未来都市メトロポリス。

 摩天楼の上層階では知識的な支配者が権力を振るいつつ優雅な生活を送っていた。一方でメトロポリス運営を支える労働者たちは地下の階層で貧困な生活を強いられながらも規律的な動作、厳しい労働環境のなか暮らしていた。

 知識支配者がよく遊んでいる遊園地でメトロポリス支配的権力者のフレーダーセン(アルフレッド・アベル)の息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)も遊び呆けていた。そこへマリア(ブリギッテ・ヘルム)という女性が貧しい格好の子供たちと共にエレベーターに乗ってやってきてフレーダーに「この子たちはあなたと同じ人間です」と説明する。その後、マリアは元の階層に追い払われるが気になったフレーダーは彼女の後を追い、地下の階層に降りる。

 その地下の階層でのありさまをみて驚く。労働者の一人があまりの環境に耐え切れず死亡。一人が欠けたことで一部の工場が爆発し多くの労働者が死ぬ。フレーダーはその様を人間を生贄にする破壊神モロクの姿を重ねる。

 フレーダーはすぐに父フレーダーソンになぜメトロポリスを支える労働者があそこまで貧困を強いられているのか疑問をぶつける。フレーダーソンは息子が地下の階層を見てしまったことを嘆きつつ、その時にメトロポリスの中枢工場(ハインリヒ・ジョージ)から届けられた見取り図を渡され、本来見取り図を渡すのは秘書ヨサファト(テオドール・ロース)の仕事だ、としてヘマをしたヨサファトを労働者階層に格下げする。

 悲嘆したヨサファトは拳銃で自殺を図ろうとするがフレーダーによって止められる。

 やがてフレーダーは地下で倒れた労働者の代わりに労働をしてみる。あまりの過酷さに自身も倒れこみそうになるが労働を終え、ある女性が集会を開くと聞きその集会に行ってみる。

 その集会ではあのマリアという女性が説法を説いていた。バベルの塔〈史実より少し左翼的に脚色している〉の話、そして労働者たちに資本者との仲介者が出現するまで耐えるのだ、と説く。

 そしてマリアは自分の話をきくフレーダーを見つける。マリアは話を終えてからフレーダーに「あなたこそ仲介者かもしれない」として彼と交流をする。

 一方、それを密かにフレーダーセンが友人の科学者ロトワング(ルドルフ・クライン=ロッゲ)と共に見ていた。元々、フレーダーセンはロトワングから仕事の効率で人間に勝る機械人間を発明した、と知らされ来ていたがロトワングに機械人間とは別に見てほしいものがある、として見せられたのがマリアの説法だった。

 いずれ労働者の反乱が起きるのではないか、と危惧したフレーダーセンはロトワングに彼女の拉致と彼女そっくりのアンドロイドを作ってマリアと労働者の関係を断ち切らせよ、と命じる。ロトワングはマリアを誘拐し彼女そっくりのアンドロイドを作ることに成功する。

 やがて次の集会に現れたマリアは豹変し平和ではなく武力によって機械を破壊せよ!と労働者を扇動していたのだ。ヨサファトによってそれを知ったフレーダーは彼女が偽物である、と気づくが狂いだした労働者たちによって追われる羽目になりフレーダーは逃走する。

 フレーダーセンの命令であるマリアと労働者の関係を断ち切らせよ、ということを完全に無視したロトワング。実はロトワングはフレーダーセンとは恋敵で好きだった女性をフレーダーセンにとられてしまったのだ。やがてそのフレーダーセンの妻がフレーダーを産んで死んでからロトワングは狂いだしメトロポリスの構造そのものの破壊を目論みアンドロイド・マリアにフレーダーセンの命令を無視して労働者を暴徒化するよう煽らせたのだった。

 やがて暴徒と化した労働者たちはメトロポリスの中枢の工場を襲撃。工場長が止めるのを聞かず暴徒化し工場の破壊を開始する。やがてアンドロイド・マリアはメトロポリスの心臓部分を壊してしまう。

 労働者が暴徒化し中枢工場を襲った、と聞いたフレーダーセンは中枢工場が壊されれば労働者層の住居区が水没するだけだ、と冷静に対応し水門を開けさせる。水門が開いたことで水が居住区に及び始める。

 解放された本物のマリアは住居区でフレーダーと再会。フレーダーやヨサファトと共に地下階層から子供たちを避難させる。

 一方、工場破壊後、工場長により中枢工場が壊されると自分たちの居住区が水没する、とやっと聞かされ認識した労働者たち。自分たちの行為が誤っていたことに気付きその矛先をアンドロイド・マリアに向け支配者層の階層へ突撃する。

 一方、アンドロイド・マリアがメトロポリスの心臓部分を破壊したことで支配者の階層でも停電や混乱が発生。フレーダーソンは事の重大さを認識しそれから自分の息子を案じて探し始める。

 アンドロイド・マリアは頭脳的支配者たちに「労働階級の汚い貧困層どもは水没した!」と言いふらして頭脳的支配者層の人々からもてはやされていた。

 そこに暴徒と化した労働者たちが突撃。労働者たちは自分たちを騙したアンドロイド・マリアを火あぶりにする。たまたまそこへやってきたフレーダーは途中で別れた本物のマリアが火あぶりにされている、と勘違いをして止めようとしていた。

 しかし火あぶりにされたアンドロイド・マリアがマリアの塗色がはがれ、機械そのものに姿が戻ったことで人々は魔女だ!と恐れおののく。一方、本物のマリアじゃないと知ったフレーダーは一安心する。

 本物のマリアはアンドロイド・マリアが捕まれば自分も危ないので処理しようとしていたロトワング博士と遭遇する。ロトワング博士は本物のマリアをアンドロイド・マリアと勘違いし追いはじめる。

 本物のマリアを見つけたフレーダーはマリアの危険を察知し、ロトワング博士と対決。マリアを殺そうとするロトワング博士と揉め合いの末に投げ落としたのだった。

 やがて必死にフレーダーを探していたフレーダーセンと再会。親子で抱擁を交わす。

 その後、労働者たちはフレーダーソンと和解の握手をしにくる。労働者を代表して工場長がフレーダーソンと握手しようとするが二人ともためらっているようだった。そこでフレーダーが二人の手をとりそしてキチンと握手させるのだった。

 労働者(手足)、支配者(頭脳)、そして仲介者(心)のどの一つも欠けては実現しえなかったことだった・・









 この後、メトロポリスが共産に倒れこむかは不明です。しかし私としては完全な共産主義に染まらないでほしい、とは思いますね。まあ日本人の考え方なのでしょうが・・


↓2008年に見つかったばかりのフィルムをつなぎ合わせ編集した最新の現存するフィルムで恐らくオリジナルに一番近づいたバージョン。私の観たものはもう少し短縮されていたと思われます。
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ヒッチコックサスペンスには毎回、驚かされます。ストーリーはまあ、そうですがなんといってもヒッチコックのあの不気味な演出が毎度、素晴らしい。


『めまい』 (1958年・米)
めまい
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アレック・コペル、サミュエル・テイラー
原作:ボワロー=ナルスジャック「死者の中から」
製作:アルフレッド・ヒッチコック
音楽:バーナード・ハーマン
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
製作会社:パラマウント映画
配給:パラマウント映画
キャスト
ジョン・ファーガーソン〝スコティ〟:ジェームズ・スチュアート
マデリン・エルスター:キム・ノヴァク
ジュディ・バートン:キム・ノヴァク
ミッジ:バーバラ・ベル・ゲデス
エルスター:トム・ヘルモア

スーツを着て通りを歩く男:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「めまい」。原題タイトルは「Vertigo

 ヒッチコック作品はこれで四つ目ですかね。「バルカン超特急」、「サイコ」、「鳥」と観てこれを観ました。ヒッチコックはこれを失敗作だ、と語っているようですが私の目からすればヒッチコックがそんなことを言うなんて贅沢だなあ、なんて思いました。

 舞台はほとんどがサンフランシスコ。ヒッチコックは本当にサンフランシスコの情景を撮影するのがうまかったですねえ。サンフンランシスコといえば、金門橋〈ゴールデンゲート・ブリッジ〉。人気ドラマ「フルハウス」のオープニングで出てきますね。関係ないですが私は「GTA SA」といゲームでサンフランシスコをモデルとしたステージで遊んだことがあるので、サンフランシスコで観たことある建物とか見覚えある建物とか何個か見つけました。でも実際にシスコに行ったことは無いんですよねえ・・

 ジミー・スチュアートは、「素晴らしき哉、人生!」以来、久しぶりに映画を観ました。まあ彼の作品はそれとこのめまいだけしか観てないんですが、「素晴らしき哉、人生!」のせいで彼が良い人の役をやる、というイメージが定着してしまいました。今回は特段、良い人ではない役を演じましたね。別に悪者でもないと思いますが・・

 ヒロインを演じたのはキム・ノヴァク。最初は主人公スコティの幼馴染というか古くからの友人のバーバラ・ベル・ゲデスが演じた役がヒロインかと思っていましたが結局、違ったようですね。キム・ノヴァクはなんだか清楚というか可愛いというか、この女性はとても妖艶な雰囲気を醸し出す人なんですね。終盤のドレスで少し肌を露出していたあたりのシーンは思わず「この人、ふとましいなあ・・」と思ってしまいました。むっちりしてる様に見えました。


【あらすじ】

 ジョン・ファーガーソン刑事は犯人を追跡中に屋根にぶらさがった際、自分を助けようとした警官が屋根から転落死してしまい、高所恐怖症となってしまう。刑事を辞めた彼は古い友人から妻マデリンの様子がおかしいので尾行して調査してほしい、と依頼される。ある日、ファーガーソンはマデリンがサンフランシスコ湾に飛び込んだのを見て彼女を助け出し・・・


♪めまいのテーマ
バーナード・ハーマン


スコティ(ジェームズ・スチュアート)
スコティ(ジェームズ・スチュアート)
マデリン(キム・ノヴァク)
マデリン(キム・ノヴァク)













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり



 スコティことジョン・ファーガーソン(ジェームズ・スチュアート)刑事は犯人を追跡中、屋根から屋根を伝うときにあやまって屋根にぶら下がってしまう。助け出そうとした同僚警官が屋根からすべり落ちて転落死してしまう。その時のショックでスコティは高所恐怖症になってしまう。

屋根にぶらさがるスコティ

 ショックを受けたスコティは自ら警察を辞職。今は古い頃からの友人で商業画家のミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の家に入りびたりしている。

 ある日、サンフランシスコに帰って来た旧友エルスター(トム・ヘルモア)に呼び出される。彼は今や造船所の経営者となっていた。

 そんなエルスターは妻が亡者にとりつかれているから尾行調査してほしい、と訳の分からない相談をスコティにする。スコティは話だけは聞くことにした。

 なんでもエルスターの妻マデリン(キム・ノヴァク)は食事中に突然ぼうっとしたり、どこかへ出かけてはその出かけた時の記憶が飛んでいたり。まるで何かが憑りついてしまったのでは、とエルスターは妻の身を案じていたのだ。スコティは半信半疑で彼の調査を請け負うことに決める。

 マデリンはまず車で教会の庭に行き、カルロッタという女性の墓を訪れる。その後は美術館にカルロッタの肖像画を見に行ったり、ホテルを訪れたりする。

 スコティはサンフランシスコの古い歴史に詳しい本屋の主人にカルロッタの話を聞く。カルロッタは結婚相手に自分の子供を奪われ、サンフランシスコで一人さびしく暮らす。彼女は正気を失い、子供を求めてさまよっていた。挙句の果てに最後は自殺したのだという。マデリンが最後に訪れたホテルも昔はカルロッタの家だったという。

 スコティはそのことをエルスターに報告。エルスターは最初から知っていたようで、実はマデリンの先祖がカルロッタだったという事実も明かす。

 ある日、いつも通り尾行していたスコティ。しかしマデリンは突如、金門橋の下の岸辺から海に飛び込んでしまう。慌てたスコティはすぐに泳いでマデリンを助け車に乗せる。

 スコティはマデリンを自分の家で寝かせていた。やがて目覚めたマデリンと会話するスコティ。マデリンは自分が海に飛び込んだ記憶も曖昧だ、と話す。しかしマデリンはスコティがほんの少し目を離した隙に自分で家に帰ってしまう。それを遠くから目撃していたミッジは嫉妬をする。

 翌朝、再び尾行を開始したスコティはマデリンが自分の家に車を停めたのを見てあわてて降りる。マデリンはスコティの家のポストにお詫びの手紙を入れ込んだのだ。スコティはマデリンが暇であることを確認し一緒に郊外の森へ遊びに行く。

 その森で突如としてマデリンが幽霊に乗り移られたような態度を示し、スコティはマデリンの〝幽霊〟の部分について問い詰める。やがて自分が毎夜のように見てしまう自分を死に招く悪夢の話をする。森を嫌がるマデリンのために今度は海を見に行く。

 マデリンはそこで、自分はどうせ自分の中に居る〝何者〟かに死に招かれるのだ、と海に駆け出していく。スコティは海へ走って行くマデリンを引き止め、マデリンの死に怯える本音を聞き出す。スコティは自分がいるから安心だ、と必死にマデリンを慰め二人は抱擁を交わす。二人は自然と惹かれあってしまっていたのだ。

惹かれ合う二人

 夜、ミッジに呼ばれたスコティ。ミッジは嫉妬のあまりカルロッタの肖像画に自分の顔を当てはめた茶化しの絵をスコティに見せる。スコティはその絵を見てミッジに失望し去って行く。ミッジは自分のしたことを後悔するのだった。

 早朝、マデリンはスコティにあの悪夢を見てしまった、と家に飛び込んでくる。スコティはマデリンを何とかしてあげたい、と彼女の夢に出てくる修道院に二人で向かう。

 その修道院で不安に怯えるマデリンにスコティはついに気持ちを抑えられず愛の告白をしてしまう。マデリンもスコティに愛の告白をするが「私が失われればあなたが私が愛していたこともよく分かるでしょう」と言って教会に駆け込み階段を上り始める。

 マデリンのしようとしていたことに気付いたスコティも階段を上るが、途中で高所恐怖症でめまいが起こり階段を登れなくなってしまう。やがてマデリンの悲鳴とともに上から落下するマデリンの姿を目撃する。


 マデリンの死は精神異常によるもので、スコティとエスルターの罪は問われない、との判決が下る。エルスターはスコティを慰め、ヨーロッパへ行くのでお別れだ、と告げるのだった。

 精神的ショックを追ったスコティは療養所でミッジの介護を受けていた。しかし今でもマデリンのことを思いつづけていた。

 退院したスコティは街中でマデリンに似た女性を見つける。気になったスコティはその女性のあとをつけて家まで押し掛ける。スコティはその女性に恋人に似た女性なので詳しく話を聞かせてほしいと問い詰める。

 気味悪がりながらも女性は自分の名前ジュディ・バートン(キム・ノヴァク)を名乗る。ジュディはスコティのその恋人が死んだことを悟り、自分の態度を詫びる。スコティは自分の為に一緒に食事してほしい、とジュディを誘いジュディは渋々、それに従う。

 ジュディが着替えるから、と言ってスコティを退室させたあとかつてマデリンが着ていたドレスを確認する。そして手紙を書き始める。

 それは打ち明けの手紙だった。実はジュディはエルスターのマデリン殺しに協力していたのだ。というのも、マデリンが精神異常だったという状況を作るためにエルスターはマデリンを演じたマデリンの偽物ジュディをスコティに尾行させ、さも精神を病んでいたようにスコティに見せる。

 そしてジュディはマデリンとしてスコティと逢引を重ね教会をかけのぼる際は教会の一番上でマデリンの首を折ったエルスターと合流。エルスターはスコティに自殺の証言者になってもらうべく、マデリンの遺体を屋根から投げてさもマデリンは自殺で死んだと見せかけたのだ。塔を登ることができないスコティは証言者には丁度よかった。悲鳴をあげたのはマデリンの偽物ジュディだったのだ。

 しかし誤算だったのはジュディはスコティを本気で愛してしまったことだった。

 その打ち明けの手紙を書き終えたジュディはその手紙を置いて姿を消そうとするがスコティへの愛がそれを思いとどまらせ手紙は捨てられる。それからジュディは何度もスコティと楽しい一時を過ごす。

 一方のスコティは付き合えば付き合うほど愛しのマデリン(ジュディ)への思いを再燃させていき、ついには彼女と同じ服装や化粧をジュディに強要する。ジュディは最初はそれを拒むが、スコティに逆らうことができず髪もブロンドにしてしまう。

 そしてジュディはマデリンそっくりの姿になってしまい、スコティの心は救われ二人は本当に愛し合う関係となる。

 だがある日、ジュディが宝石のネックレスをつけるのを見てスコティはあのカルロッタの肖像画にも同じネックレスが描かれていることを思い出す。そしてジュディがあの愛したマデリン(ジュディ)だという事に気付く。

 スコティはジュディを教会の塔の上につれていく。階段を上るスコティだったが高所恐怖症も忘れるほど怒りに燃えていた。

 そして教会の鐘の部分でスコティはジュディの罪とエルスターの仕組んだ罠を問い詰める。

 ジュディはエルスターに協力したことを認めるが、スコティに本当に愛してしまったことを伝え二人は熱い接吻を交わす。

 しかしその時だった。不審な空気を感じたシスターが上ってきた。シスターと知らず怯えてしまったジュディは足を踏み外して転落してしまう。

 シスターは慌ててジュデイの冥福を祈り鐘を鳴らす。鳴り響く鐘のなか、スコティは呆然と落ちた方向を見つめる・・・






 ヒッチコックがショックに陥ったあとのスコティのことを屍姦している、とたとえました。全くその通りですね。スコティはジュディを亡くなったと思っていた恋人と重ね、着せ替え人形のように死んだ女の服を着せたりして。

 まあラストシーンは私もショックを受けましたが自業自得といえなくもないですね。ジュディは間違いなくスコティを騙しマデリン殺しに協力したんです。それだけは事実として変わりないからまあ、自業自得といえば本当に反論する余地がありませんね。
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