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稲垣吾郎による金田一耕助シリーズですね。


『八つ墓村』(2004年・日)
スタッフ
監督:星護
脚本:佐藤嗣麻子
プロデューサー:稲田秀樹
音楽:佐橋俊彦
キャスト
金田一耕助:稲垣吾郎
横溝正史:小日向文世
井川辰弥:藤原竜也
田治見久弥:吹越満
田治見春代:りょう
井川鶴子:中山忍
井川丑松:守田比呂也
梅幸尼:島かおり
里村慎太郎:永澤俊矢
諏訪弁護士:笹野高史
橘署長:塩見三省
久野恒実:浅野和之
濃茶の尼:絵沢萠子
田治見要蔵:吹越満
田治見小竹:泉晶子
田治見小梅:江波杏子


 星護監督作品「八つ墓村」

 これまでに幾度も映像化されている横溝正史による「八つ墓村」。奇妙で不気味な田舎のお話です。こういう田舎は祟りとか土地古来の伝説が信じられ崇められているとかそういうイメージはありますよね。実際に今でもそういう不気味なお話が語り継がれる田舎もあるのではないでしょうか。横溝さんは「津山33人殺し」という実際の事件をモデルとし、こういう田舎の不気味なお話と絡めてこの作品をひっそりと不気味なものに仕上げましたね。

 スタッフ陣は稲垣さんの金田一耕助シリーズでは共通です。フジテレビで金田一耕助作品を数年間、いくつか映像化していたものののうちの一つです。星護さんはテレビドラマディレクターでもあり映画監督でもあります。TVシリーズ「世にも奇妙な物語」を監督したほどですから不気味な演出にはもってこいの人でしょうね。映画では「笑の大学」も監督しました。



【あらすじ】

 金田一耕助は諏訪弁護士の依頼により、井川丑松の謎の死を追って八つ墓村にたどり着く。八つ墓村では井川辰弥が名家・田治見家を受け継ぐことになるが、村人たちは辰弥の父・要蔵がかつて村で33人殺しを行った男で、辰弥が来ると血が流れる、と恐れる。その予感は的中し次々とこの村で血が流れていく・・・













【以下全文ネタバレ注意】














↓四行後にネタバレ文あり




ある雨の日。横溝正史(小日向文世)の家に金田一耕助(稲垣吾郎)がやって来る。金田一は自分の体験した話をし始める。

 とあるラジオ局で井川辰弥(藤原竜也)を探している、もし居るなら諏訪法律事務所に来てほしい、というラジオ放送が流れる。辰弥は7歳の時に母・鶴子(中山忍)が亡くなり身寄りなしのまま孤児として育ったのだ。

 諏訪法律事務所に来た辰弥は諏訪弁護士(笹野高史)に鶴子の母、つまり辰弥の母方の祖父・井川丑松(守田比呂也)を紹介される。どうやら辰弥の父方の親戚が辰弥を引き取って育てようとしていたのだ。その親戚は金持ちで、辰弥は本来、父方の姓で田治見辰弥であるのだ。

 田治見の家は長女も長男も病気がちで跡取りが望めない状況で、このままでは田治見家の血筋が断絶してしまう、と危惧している。そこで、田治見家は身をくらました妾・鶴子の子供の辰弥に家を継がせようと考えたのだ。

 辰弥は亡き母・鶴子が遺した謎の地図を祖父・丑松に見せる。丑松はその地図を見て驚いた瞬間、苦しみもがき倒れる。辰弥はすぐに近くにあった水を丑松に渡すが丑松がそれを飲んだ瞬間に血を吐いて死んでしまう。丑松は元々、喘息の発作があり、彼が飲んでいた薬に毒が含まれていたようだ。

 辰弥は警察の取り調べを終えて、帰宅してみるとちゃぶ台の上に宛名不明の手紙が置いてあった。それを見ると「八つ墓村に帰ってはならぬ、帰れば二十四年前の大惨事が再び起こり血がたくさん流れる」という呪いの文が書かれていた。

 横溝先生は村の名前を聞き、田治見要蔵(吹越満)という男の名を思い出す。横溝はすぐに資料を取り出し金田一に見せる。それは田治見家の田治見要蔵という男が八つ墓村の村人32人を殺したという惨殺事件の新聞記事だった。

 田治見辰弥は田治見要蔵の息子。この事件は更に落ち武者の呪いではないか、という都市伝説もある。

 戦国時代、月山冨田城の城主・尼子義久が毛利元就に城を明け渡した際、この投降に反対した若武者が七人の家臣と黄金三千両を持って落ち延びた。川を越えて彼らがたどり着いたのが後に八つ墓村と呼ばれた村だったのだ。

 落ち武者は村人に歓迎されたものの、村人たちは武者の持つ三千両に目がくらみ村の有力者・田治見家庄左衛門(吹越満)の決定により、唯一反対した亀井家の農民(井田國彦)以外が落ち武者を裏切り、金を奪おうとする。

 落ち武者たちは村人を信頼していたために不意打ちに動転し全員が殺される。若武者は村人を末代まで祟る、と呪いの言葉を吐き、田治見家の当主に首をはねられた。

 だが村人たちは黄金三千両を発見できないどころか、捜索の段階で謎の事故で村人が3人も死んだ。最後に田治見庄左衛門が村人を4人殺し、自分で自分の首をはねたのだった。

 死んだ落ち武者、死んだ村人がそれぞれ8人。村人は落ち武者の呪いを恐れ、遺体を埋葬し八つの墓を作って明神として崇める。これが八つ墓村の由来となったのだった。

 辰弥は八つ墓村へ行くことを決意。諏訪弁護士は辰弥の身を案じるが、森美弥子(若村麻由美)が迎えに来る。美弥子は辰弥の父方の親戚の女性だった。

 横溝と金田一の話に戻る。二十四年前、田治見要蔵は妻子が居ながら牛飼いの娘・井川鶴子に欲情し彼女を離れに監禁。日夜入り浸り、鶴子を性欲のはけ口にする。

 そして鶴子は辰弥を産むが、要蔵は鶴子への歪んだ愛を強める。鶴子は小さい辰弥を連れて八つ墓村を逃げ出したのだった。

 要蔵は自分勝手に鶴子を待ち続け、その間に聞いた村人の鶴子に他の男がいた、という噂を聞き狂う。そして八月八日、鶴子は正妻を殺害し頭にタオルを巻いて懐中電灯を鬼のツノのように引っ掛け、左手に日本刀、右手にライフル銃を持って家を飛び出し村に出て行く。

 老人も若者も男女も関係なく無差別に殺害し三十二人を死なせた要蔵は山へ逃げ込んだきり行方知れずとなった。この事件は八人の武者を殺した田治見家の子孫が引き起こしたこと、8月8日だったこと、殺された32人が8の倍数でかけた4というのも、田治見庄左衛門が殺した人数と共通している、とあったことから、戦国時代の落ち武者の呪いである、という都市伝説が広まったのだ。

 辰弥は父の殺戮と八つ墓村の歴史を美弥子によって聞かされる。金田一も横溝から聞かされた話で、八つ墓村入りする決意を固め、急いで向かう。

 八つ墓村の田治見家に入った辰弥は大伯母の小梅(泉晶子)と小竹(江波杏子)の双子、そして要蔵の長男・久弥(吹越満)、長女・春代(りょう)、親戚の一人で村で若い医者の荒井修平(入江雅人)が台頭したことで落ちぶれた医者の久野恒実(浅野和之)、辰弥のいとこの戦争中は中佐だったが戦後に貧乏人に落ちぶれた里村慎太郎(永澤俊矢)が迎えた。美弥子は久野恒実の亡き弟の未亡人という位置にあるらしい。

 久弥の病気の悪化は深刻化しており、咳き込みながらも辰弥に久野と里村に財産を奪われないよう注意しろ、と忠告する。あまりにも久弥の苦しんでいるのに誰も手助けしない姿を見かねた辰弥は水を渡す。薬が欲しい、という願いを聞き小梅と小竹が薬を渡す。その薬を水と飲んでから久弥は更に苦しみ出し、やがて血を吐いて死んでしまった。

 その時、八つ墓村の八つの墓のうちの一つに雷が落ちる。狂人の濃茶の尼(絵沢萠子)は八つ墓明神の祟りじゃ!と大騒ぎする。

 久弥の葬儀の日、金田一耕助も八つ墓村に入った。濃茶の尼を始めとする農民たちは辰弥が八つ墓村の田治見家に禍をもたらした、として辰弥を八つ墓明神に近づけないように妨害する。

 濃茶の尼は八つ墓明神が求めた生贄として一人目が井川丑松、二人目が田治見久弥だ、と叫びそれからどんどん惨劇は続いていくと言う。梅幸尼(島かおり)が動揺する村人や騒ぎ立てる濃茶の尼を静める。

 その一部始終を見ていた金田一に森美弥子が話しかけてくる。森は金田一に丑松の事件の解決を依頼した諏訪弁護士から世話を頼まれたのだという。

 梅幸尼から要蔵のことで重要なことを知っているので後で一人で寺に来て欲しい、と伝えられた辰弥は田治見家女中・お島(東佳代子)を通じて春代に呼び出される。

 精進落としの席に料理を運ぶのを手伝って欲しい、と頼まれた辰弥は二つのお膳のうちの一つを持ってお坊さんにお届けする。その精進落としに森美弥子によって金田一耕助も招かれた。

 美弥子から久弥が田治見家とは別の宗派だったため、田治見の宗派の僧と久弥の宗派の僧の二人の坊主がいることを聞き、田治見家の面々を紹介される。美弥子によればいっつも小竹と小梅をどっちがどっちか間違えてしまうらしい。

 その時、突如辰弥が運んだお膳を食べていた坊主が苦しみ出し、やがて血を吐いて死んでしまった。

 事件の捜査をするために橘署長(塩見三省)がやってくる。事件現場で勝手に捜査している男を追い出そうとしたが、その男が金田一だと知り再会の挨拶を交わす。どうやら過去に橘は事件の捜査などで金田一耕助に世話になったことがあるようだ。

 橘署長は金田一と一緒に辰弥の取り調べをする。橘署長は丑松の前でも、坊主の前でも死の場面に直面しているから辰弥が犯人だと疑っている。金田一は橘に坊主を殺した膳を辰弥が選んだのは偶然で、本当はどちらの坊主が死んでもよかったのだ、という可能性と久弥の死も怪しいので掘り返して解剖するべき、ということを提案する。

 辰弥の精神はボロボロだった。辰弥は春代に泣き言を言い励ましてもらう。金田一は美弥子から虫の好かない里村慎太郎に遺産を渡したくないがために辰弥が小梅と小竹に利用されていることを聞かされる。

 美弥子は夫が慎太郎とよく関わり合っていたことを話す。戦時中はキチッとした美男子で夫亡き後も彼は美弥子をよくいたわってくれたが敗戦後、落ちぶれてしまい今では落ち武者の黄金探しに励んでいるという。

 その後で辰弥は小梅の淹れたお茶を貰うことになる。辰弥は不安を感じるがグッと一杯、飲む。

 辰弥は母・鶴子が遺した地図らしき物と、母と一緒に歌った歌を思い出す。
♪猿の腰掛、木霊の辻、鬼火の淵、狐の穴、そして宝は龍の顎(あぎと)
 母はこの地図が辰弥を幸せにする、誰にもこの地図のことを言うな、そして地図のことを忘れるな、と辰弥に遺し地図を入れた巾着袋を辰弥の首にかけたのだった。その時、またしても息子がいながら要蔵が鶴子を抱きに来た。

 夢から目覚めた辰弥は小梅と小竹が提灯を持って自分の寝室に来るのに気付き寝たフリをする。辰弥が寝ているのを確認した小梅と小竹はどこかへお参りしに行く、ということを呟いた。小梅と小竹が去ったあと、寝室に飾られている般若のお面の目が光っている。

 辰弥はその目から隣室を覗いてみる。すると小梅と小竹が宝箱を模した地下室への入口から地下へ入っていく。

 翌朝、梅幸尼の館に行こうとした辰弥は村を歩いていると進路を濃茶の尼に妨害される。手を出しそうになった辰弥を美弥子が止める。殴りそうになった辰弥を殺そうとした農民たちも美弥子に言われ仕事に戻っていく。

 辰弥は美弥子から暴力を使おうとしたことを咎められる。辰弥は先ほどの自分はまるで父・要蔵のようだったかもしれない、とショックを受ける。そんな気持ちを引きずりながら梅幸尼の館にたどり着く。美弥子は辰弥を外で待っている、と言い辰弥が館に入ると梅幸尼が毒を盛られて死んでいたのだ。

 橘署長に呼び出され駆けつけた金田一。道中、濃茶の尼とぶつかり彼女の巨大な風呂敷の中身がばらまかれてしまう。やっと到着した金田一は近くにあったくじを見せられて驚く。そのくじの結果で犯人は人殺しをしている、ということなのだ。例えば尼から濃茶の尼と梅幸尼のどちらを殺すか、くじで決めて結果決まったのだ梅幸尼ということなのだ。梅幸尼の名前が書いてあるところに棒線で打ち消されている。

 更に金田一は埃まみれの藁草履の靴痕を発見する。村人の証言でそれが濃茶の尼の靴痕で濃茶の尼は窃盗グセがある女なのだという。しかし先ほど辰弥が濃茶の尼に絡まれたときは風呂敷など無かったのに、金田一が館に向かう道中にぶつかった濃茶の尼は巨大な風呂敷を持っていた。

 そこへ久野医師がやって来る。久野は事件絡みのことなら診断を断りたい、と言う。金田一は帰ろうとする久野に例のくじを見せる。それを見た瞬間、久野は驚愕するが誰の筆跡かは分からない、とシラを切って怯えるように去っていった。その後にやってきた村人たちが辰弥に恨みを込めて小石を投げてきた。

 夜、小梅と小竹が昨夜入っていった地下室に入る辰弥。地下は暗い鍾乳洞だった。辰弥は鍾乳洞を進んでいく。進んだ先にあったのは鎧武者が石座に座っている姿。辰弥は声をかけるが、それに応じたのは意外にも別のところから来た金田一耕助だった。

 金田一は濃茶の尼を探しに出たが、不在だったのでぶらぶら探していたら洞窟を見つけ入ったそうな。金田一は鎧武者を人形だと思い、近づいてみるとその人形の腰掛けとなっている石座に「猿の腰掛」と掘られていた。

 その石座に腰掛けている武者の顔は久弥にそっくりだった。これは人形ではなく死蝋化【※1】した人間の遺体だった。
【※1】死蝋化:死体の脂肪が分解したとき、脂肪酸が生じるのだが、水分の多い場所(この場合は鍾乳洞)に葬られたときはその脂肪酸は水中のカルシウムやマグネシウムと結合し石鹸状になる。全身の死蝋化には一年の放置を要する(金田一談)。

 そこへ今度は春代がやって来る。春代は辰弥を探してここまで来たようだ。春代は武者の顔を見て驚愕。それは32人を殺し行方不明となった田治見要蔵の遺体だったのだ。

 要蔵の遺体を見てから春代が尋常でない取り乱しを見せる。春代は小竹と小梅が洞窟に要蔵を閉じ込め毒を盛って殺したのだ、といい私を八つ墓村から助けてくれ、と訴える。金田一は般若の面の目の部分が隣室を覗く穴であることに気付く。

 金田一は春代の取り乱し様を見てすぐに久野医師の診療所を訪ねるが久野は私は潔白である、という手紙を置いて姿をくらました。すぐに美弥子に警察と荒井医師を呼ぶように言う。

 そして金田一は久野の診療室で多くの推理小説を発見する。そして久野の残した手紙が梅幸尼の館に残されたくじと筆跡が同じように見える。

 翌朝、濃茶の尼の崖から転落した死体が発見される。橘署長はくじ殺人の通りならば梅幸尼を殺したのだからもう尼は殺す必要がないため矛盾が生じる、と不思議がる。

 橘署長は濃茶の尼の死はくじ殺人とは無関係の事故だと判断しくじ殺人の犯人を久野として捜査するようにする。金田一は久野を探すために鍾乳洞も探して欲しい、という。

 金田一は辰弥の寝室で発見した屏風の中に母が書いた手紙が入っているのを辰弥に教える。その手紙は龍の顎で思いを交わせた本当に愛する想い人・亀井陽一宛の恋文だった。しかしその恋文は要蔵に監禁されたこの部屋では相手に届くことはない。それでも思いを書きたかったのだ。

 金田一は屏風を解体して中にある黒いものを取り出したいという。辰弥はそれに応じるのだった。

 小竹と小梅は要蔵の死蝋化した遺体を見て「こんなに可愛い子をこんな風にしてごめんなあ。でも要蔵の血は絶やさないようにするけ」と謝っていた。その時、要蔵の遺体が動き出し、小竹と小梅は悲鳴を上げる。

 小竹は辰弥を起こし取り乱している。小竹は要蔵が動き出して小梅を連れ去ってしまった、と話す。

 辰弥が鍾乳洞の中に入ると要蔵の遺体が倒れていて、小竹がいない。辰弥は要蔵が腰掛けていた石座を動かしてみると、ライフル銃、懐中電灯、日本刀など要蔵が32人殺しに使用したものが隠されていた。そして、一緒に黄金も隠されていた。

 そこへ駆けてくる足音が。それは金田一と橘署長だった。辰弥はふたりと合流し居なくなった小梅を共に探す。くじ殺人事件で狙われているのだ。しかしどこをどう行けばいいのか全く分からない。

 その時、こだまが聞こえる。辰弥は橘署長と金田一に母の形見である地図を見せる。これは鍾乳洞の地図だったのだ。三人は急いで何かあったと思われる木霊の辻へ向かう。更に木霊の辻から鬼火の淵へ向かう三人。そして鬼火の淵に浮かんでいたのは小梅の死体だった。

 鍾乳洞の捜索で久野の帽子が発見された。そしてその帽子にくじが挟まれていたが、そのくじというのは小竹が棒線で消されているのだ。それなのに淵に浮かんでいた死体は小梅。間違い殺人だろうか?

 刑事が駆け込んできて知らせたのは久野の鍾乳洞内での発見。しかし久野はすでに毒死しており、久野の胸に置いてあったたばこケースにくじが挟まっていた。それは荒井修平ではなく久野を棒線で消したものだった。橘署長までもが、容疑者が消えてしまったことで祟りなのではないか、と自信を喪失する。

 あの32人殺しの大惨劇があった8月8日。今年は小梅の葬儀が行われるが、みなが祟りを恐れ体面どころでなく、参加した人は春代、小竹、辰弥、金田一以外誰もいなかった。

 金田一はこの事件はくじによる無差別に見立ててカモフラージュで実は、久野、小竹、久弥の三人を殺すのが目的だったのでは、と言う。そしてその殺人が財産を巡ってのものならば、残る財産相続権のある春代、辰弥、慎太郎の誰かが犯人では、と橘署長は言う。金田一は犯人はまだ分からない、と言いながら新見市に送ってほしいと頼み込む。

 森美弥子は久野の死で田治見家に関わるのがうんざりしているようで、これ以上関わると祟られるわ!と村人に言う。村人は祟りを恐れ災いの元であろう辰弥の命を狙う。

 新見に来た金田一は屏風職人に屏風の解体と中にあった黒い何かを取り出してもらうよう頼んでいた。そして取り出されたものは写真で辰弥そっくりの謎の男の写真が写っている。

 職人の話によれば小学校教師で地質学者でもあり八つ墓村の鍾乳洞を調べに来た亀井陽一(藤原竜也)という。

 急いで八つ墓村に戻ろうとしたとき、橘署長から村中に辰弥を八つ墓の明神の生贄にしなければ村に更なる血が流れる、という呪いの貼り紙があちこちに貼ってあって村人が暴徒化したことを聞かされる。

 村人たちは八つ墓明神の祟りを恐れ、貼り紙の内容を信じ暴徒化し武器を持って田治見家に討ち入りを仕掛ける。

 春代は辰弥に「私だけは最後まであなたの味方」と言って、鍾乳洞から辰弥を逃がそうとする。辰弥が逃げたあと、女中のお島から村人が二手に分かれてもう一手は鍾乳洞に入ったと聞き春代も辰弥の後を追う。

 逃げ惑う辰弥は木霊の辻で姉・春代の悲鳴を聞く。すぐに木霊の辻に来た辰弥は胸に狂気を突き刺された春代の姿を見つける。

 瀕死の春代は辰弥に田治見の呪われた血とは違うものを感じ、異性として好きだったことを打ち明ける。そして犯人の小指に何かしたことを伝え、息絶えた。

 金田一が田治見邸にたどり着くと田治見の家は暴徒がつけた火で燃え盛っていた。金田一は木霊の辻で春代の遺体を見つけそのそばにクジを見つける。そこには“未亡人”という項目で田治見春代が棒線で打ち消されていた。

 追い詰められた辰弥は鬼火の淵を渡って逃げる。村民たちは鬼火の淵を越えると祟りが起こる、と信じていたので躊躇していたが、祟りの根源の辰弥を殺せば祟りはなくなると自分たちで言い聞かせ鬼火の淵を渡ろうとする。

 辰弥がたどり着いたのは狐の穴。それから逃れ逃れ、村人たちは追いに追ってついに行き止まりに辰弥は追い詰められてしまった。いざ村人たちが殺そうとしたそのとき、村人たちが見たのは八つの墓に眠る落ち武者がこちらを睨む姿だった。

 落ち武者の幽霊の呪いの言葉が吐かれた瞬間、鍾乳洞内で天井崩落が発生。村人たち、辰弥は崩落に巻き込まれる。


 金田一は美弥子の元を訪れる。そこには荒井医師がおり、ケガから重病を発し面会謝絶なのだという。しかし美弥子は荒井を下がらせ金田一の訪問に応じる。

 金田一は美弥子に一連の丑松からはじまり、久弥、坊主、梅幸尼、濃茶の尼、久野、小梅、春代を殺した殺人事件の犯人はあなただ、と主張する。

 美弥子は久野が推理小説好きで八つ墓明神の祟り伝説を利用して荒井医師の殺人を企画して夢物語として日記に記していたことを知っていた。

 美弥子は八つ墓村に伝わる祟りを利用し真の動機をカモフラージュするために丑松と久弥は自分が久野の家に住んでいることを利用し久野から貰っていた薬を毒とすりかえた。梅幸尼と坊主の料理にも毒を仕込んだ。

 梅幸尼の料理は田治見の人間が料理を運んだが、その料理に毒を仕込んでいた。だからわざわざ梅幸尼の館に殺しに行ったわけでもない。梅幸尼の死でそろそろくじ殺人による無差別殺人だ、という動機にミスリードするためにくじを梅幸尼の死体のそばに置こうとした。

 まず梅幸尼の下へ行こうとした辰弥と合流。そして辰弥と一緒に館に行き、家の前で待っている、と言って外で待っていた。そして辰弥から梅幸尼の死を聞かされ、館に入っていき梅幸尼の死体のそばにくじを置いた。

 だがそのくじを置く場面を濃茶の尼に目撃されてしまったので彼女を崖から突き落とした。しかしその結果、くじ殺人に矛盾が生じてしまった。尼の項目で濃茶の尼か梅幸尼のどちらかだけを殺さなくてはいけないのに、両方殺してしまった。

 金田一はそれにより本当にくじ殺人の通りに行われているのだろうか、と疑いを持つようになった。

 そして更に自分の夢物語でしかなかった殺人計画が勝手に進行していて久野は自分が疑われることを恐れ逃げ出そうとする。それを美弥子が騙し鍾乳洞に隠れさせて彼に毒薬を盛り死なせた。

 更に鍾乳洞で要蔵の遺体の後ろに隠れ、要蔵の遺体を動かすことで驚いた小竹と小梅。一目散に逃げる小竹と小梅のうち本当は小竹を捕まえて殺そうとしたが美弥子はいつも小竹小梅の見分けがつかないので誤って小梅を木霊の辻で絞め殺し鬼火の淵に浮かばせてしまったのだ。

 最後に木霊の辻で春代を殺害した。しかし美弥子は八つ墓の祟りとして8人を殺そうとしたがこの事件で死んだ8人は美弥子の殺した8人ではなかった。

 誤算にも濃茶の尼を殺してしまったことで一人ズレてしまったのだ。そこで村人に呪いの貼り紙で暴動を煽り辰弥を殺させようとした。

 美弥子は金田一の推理を聞き嘲笑する。
─ 動機はなに?私には財産の相続権なんてないのよ?
 金田一は田治見家の財産がねらいだと話す。しかし財産を受け継ぐのは美弥子ではなく里村慎太郎のために。

 美弥子は夫亡き後、慎太郎と深く愛しあったが敗戦による墜落で金も失い、結婚を申し込んでくれることはなかった。傷ついた美弥子だったが慎太郎が金さえ手に入れれば昔の自身に溢れた慎太郎に戻り、自分を愛し結婚を申し込んでくれるだろう、と考えたのだ。

 しかし計画はほとんどが無駄だった。金田一は亀井陽一の写真を見せる。亀井陽一は要蔵の妾・鶴子が本当に愛し鍾乳洞の龍の顎で結ばれた男だったのだ。

 龍の顎で目を覚ました辰弥は母の手紙を見つける。それは愛する人・亀井陽一に対する手紙であなたの子を授かった、という知らせだった。

 辰弥の本当の父親は田治見要蔵ではなく、亀井陽一だったのだ。

 つまり、この事が早く知られていれば財産は病弱な久弥・春代の相続は不可能。辰弥は要蔵の子供ではない。自然と里村慎太郎に相続されることになるのだ。

 動揺する美弥子。金田一は美弥子に春代の傍に落ちていたものを見せる。小指だった。犯人の、森美弥子の。

 金田一は美弥子に警察は必ず慎太郎を捕まえるだろう、と脅しをかける。そして慎太郎が美弥子に結婚を申し込むために落ち武者の財宝を探していたことを伝える。ここに慎太郎を呼ぼうとした金田一を美弥子は必死に止める。その顔の右半分以外は首を含めて全てアザになっていて金田一は驚く。

 美弥子は主人の亡くなった時に自分に綺麗だ、と言ってくれた慎太郎に今の醜い姿を見せたくないから呼ばないでほしいと必死に懇願する。

 その後、八つ墓村では鍾乳洞の天井落盤により79人の農民の暴徒が生き埋めとなった。その新聞を見ていた横溝に金田一から手紙が届く。

 手紙によると美弥子は春代に噛み切られた指から入り込んだ菌が原因で重傷を負い、一週間ものたうち回った挙句に病死した。辰弥は母の遺した地図を頼りに自力で鍾乳洞を脱出したようだ。

 辰弥は田治見の財産を慎太郎に譲り八つ墓村を去った。落盤と共に見つかった武者の隠した黄金三千両と共に。

 この事件で亡くなった人間は生き埋めになった村人、そして美弥子を含めると88人に及ぶ。。横溝の脳裏には八つ墓村の由来となった8人の武者が殺された事件が思い浮かんだ・・・






 私は一度、渥美清による金田一耕助の「八つ墓村」(1977年)も観たのですが、こっちの稲垣金田一版は渥美金田一版に比べて原作にかなり沿っているらしいですね。どっちが良いどっちが悪いの比較は不毛だと思っているので比較はしませんが、このドラマスペシャルは渥美金田一版の作品を包み込むオカルトチックなところも、意識されている気がします。

 ただ残念なのはSEとBGMが使い回しが多かったり、別にここはいらないだろう・・と思うところもBGMが入っているところでしょうか。こういう不気味な作品には不気味な音楽を入れるより静かな方がかえって不気味を演出できるシーンも多々あるのですから。

 あと、金田一と美弥子の推理対決で金田一の「美弥子さん、あなたですね」のセリフのところで強調を狙ってカメラをズームさせたところは私個人としては、良くなかったと思います。

 そして一番良くなかったのは尺を稼ぐためかは分かりませんが、狐の穴から鍾乳洞内で辰弥が農民に追い回されるシーンです。藤原竜也が焦っているのを表現するために曲がり角がある道などでいちいち向こうの方向を向いたりしてくれているのですが、一向に曲がりません。ずっとまっすぐ走ってました。鍾乳洞は迷路なのにですよ?全然曲がらないのです。ずーっとカメラが後ろに下がり、藤原竜也がそれを追いかけるようにまっすぐしか行かないのです。これには少し失望してしまいました。せっかく藤原竜也が焦っているのだから、曲がるシーンくらい作ってくれてもよかったのでは、と残念に思いました。


※2014年3月8日現在DVD化はされていません。

原作小説
八つ墓村 (講談社漫画文庫)八つ墓村 (講談社漫画文庫)
(1996/09)
横溝 正史、影丸 穣也 他

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トワイライト・ゾーンは一話完結型が多いですから、ブログも書きやすいものです。


トワイライト・ゾーン(邦題:ミステリー・ゾーン)『奇妙なカメラ』(1960年・米)
奇妙なカメラ
スタッフ
監督:ジョン・リッチ
脚本:ロッド・サーリング
キャスト
チェスター:フレッド・クラーク(上田忠好?)
ポーラ:ジェーン・カーソン
ウッドワード:アダム・ウィリアムス
ウエイター:マルセル・ヒライヤー(熊倉一雄?)

ナレーター:ロッド・サーリング(久米明)



 テレビドラマ「トワイライト・ゾーン(TV放映邦題:ミステリー・ゾーン)」より「奇妙なカメラ」。原題は「Twilight Zone/A Most Unusual Camera」。

 トワイライト・ゾーン。これはアメリカの有名なテレビドラマです。「世にも奇妙な物語」はこのテレビドラマを参考に作られていますね。また円谷プロダクションが公式に「ウルトラQ」がこの作品の影響を受けたとも認めています。

 アメリカ版「世にも奇妙な物語」と考えてくれてもいいかもしれません。これがまた日本での放映というのが複雑で、日本テレビで放映した時には「未知の世界」という邦題がつき、「ミステリー・ゾーン」というのはTBSが放映していたときの邦題なんですね。一シリーズだけ「ミステリー」という題がついた時もありました。

 三人のコソ泥がメインの登場人物なんですが、このコソ泥の会話が面白いんですね。どこか三人とも抜けてるんです。ずる賢いのはウェイターだけ。で、会話とかで喜劇かなあ、と中盤まで思わせるんですが終盤の展開は不気味で怖いんですねえ。世にも奇妙な物語は本当に似せてますねえ、あのドラマもこのトワイライト・ゾーンもなんとも言えない気持ち悪い余韻を残してます。

 フレッド・クラーク。この人は喜劇映画によく出演してますね。底抜けシリーズで2作品、腰抜けシリーズにも1作品でてます。そんな人がやっぱりこのお話で主演をつとめているもんですから、それも展開を混乱させるミスリードですよね。


【あらすじ】

 コソ泥夫婦のチェスターとポーラ。二人は盗みに成功するも、価値はガラクタばかりのものしか手に入らなかった。チェスターは盗品の一つから不思議なポラロイドカメラでポーラを撮影。出てきた写真は持ってもいないミンクの毛皮を羽織ったポーラの姿。撮影から5分後、ポーラは盗品の箱からミンクの毛皮を着てそれを羽織っていた。













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 ミステリーゾーン…
  不思議な物語が決して不思議ではなくなる世界。
   空想の力によってのみ知ることができる謎の世界。
    では、ミステリーゾーンのお話をこのテレビでご覧下さい。

 アメリカのとあるホテルの一室。
 泥棒夫婦のチェスター(フレッド・クラーク)とポーラ(ジェーン・カーソン)は盗んだ盗品を新聞でチェックしていた。しかしチェスターには売っても金にならないガラクタばかりだ、とガッカリしていた。

この瞬間犯罪者の巣となっているホテルの一室。
警察の記録にも保険会社の書類にもそして新聞記事としても、取るに足らぬこのささやかな事件の結果として、盗品目録にも載らぬ小さな品があります。
カメラです。
がらくたの山の中にぽつんと置かれたひとつのカメラ。
値段に差こそあれ、カメラは単にカメラとしては取り上げる価値もない代物です。
だがこのカメラは不思議なカメラです。
間もなくこのカメラはこの人たちの運命の流れの中に入って行くでしょう。

 チェスターは盗品の中に奇妙なポラロイドカメラがあるのを発見する。試しにポーラを撮ってみるが、このカメラもどうせ価値がないと思っていた。

 やがて出てきた写真は、ポーラが持ってもいないミンクの毛皮を羽織っている写真だった。チェスターは、現像済みのフィルムが重なった驚かし用カメラだろう、と興味も示さなかった。

 チェスターはボロっちい木箱の鍵をこじ開ける。その中から高級そうなミンクの毛皮が入っていた。ポーラはそれを羽織り喜ぶ。

 チェスターはこの瞬間、カメラのことを思い出す。今ポーラがミンクの毛皮を羽織り喜んでいるシーンは先ほどカメラに写った光景と全く同じものだ。このカメラは撮影した5分後のシーンの写真を出すのだろう、と分かる。

 夜、魔法のカメラじゃないかと深く考えるチェスターだったがポーラは大した代物じゃない、と言う。ポーラは試しに入り口のドアを撮影してみるが、そこには刑務所に7年の服役が決まったハズのポーラの弟ウッドワード(アダム・ウィリアムス)が写っていた。

 5分後、脱獄したウッドワードがドアを開けて入ってきた。この瞬間、やはりこのカメラは魔法のカメラだと確定される。

 カメラのうまい使い道はないかと考えたチェスター。科学研究所に寄贈でもして人類に貢献するか、と褒められる発言をしたチェスターだったがテレビに競馬が映っているのを見て、うまい使い道を思いつく。

 競馬場の電報掲示板をレース前に撮影し、5分後の結果が映っている電報掲示板のとおりに馬券を購入することだ。三人はそれで一儲けを思いつく。

 その作戦は結果的に大成功。6レース分、大儲けをしてしまった。

 ホテルに帰った三人。そこへウエイター(マルセル・ヒライヤー)が入ってきて酒などを配る。ウエイターは珍しそうなカメラを興味ありげに見て、カメラに刻まれたフランス語を読んだ。内容は、10枚しか撮れない、とのことだった。

 チェスターはそれを聞くやすぐにウエイターを追い出す。競馬で6枚、ポーラが写ったのが1枚、ウッドワードが写ったので1枚。残りは2枚しかない。カメラをどうするかで三人は意見が割れる。

 揉め合いになっている内に思わずシャッターが押されてポーラが写ってしまう。それは悲鳴を上げるポーラの姿だった。

 なぜ悲鳴を上げているのか考えた末に、チェスターは
「ウスノロの弟がきっと姉を殺そうとして悲鳴をあげているに違いない」
 と言いがかりをつけてナイフを突きつける。ウッドワードとチェスターは掴み合いになり、やがて二人して窓から転落してしまった。

 悲鳴をあげるポーラ。最初はチェスターらの死に涙し後を追うと考えたが、目の前にある競馬の儲け金を見てそれを独り占めにしようと考える。ポーラは大金をバックに写し、土産にチェスターたちの死体が倒れている地面を撮影する。

 そこへウエイターがやってきた。ウエイターは三人が泥棒であること、チェスターとウッドワードがたった今転落死したこと、目の前の大金はロクでもない金であることを知っておりポーラを脅迫し大金を「洗濯物を出しときますね。永遠に洗ってるかもしれませんが」と言いながら洗濯物の袋に金を詰めていく。

 カメラだけは残してやる、と言ってカメラを渡そうとするウエイター。ウエイターは出てきた写真を見て、
「死体が2人以上になってますよ?」
 と不思議なことをいう。気になったポーラは窓を覗き込もうとして、足がケーブルに引っ掛かり、窓から転落してしまった。

 ウエイターは3人の死体を見てから写真を見つめ
「左様。二人以上でございますよ。写真とソックリだ。死体が1,2,3・・・4つ!?」
 その瞬間、ウェイターは驚きのあまり、カメラを部屋の床に落とし、自身は悲鳴を上げながら窓から落ちてしまった。

カメラと呼ばれる物体、年代不明、出所もまた不明。
けれどもこのカメラは、4個の貪欲な魂を果てしなき、暗闇の世界に運び去ったのです。
暗黒のどこかにある謎の世界。
そして、あるいはまたあなたのすぐ目の前にある謎の世界へ。






 このカメラは死神ですねえ。使った人はみな貪欲で、その人たちを死の世界へ葬り去ってしまう。撮るためのカメラに命を取られるなんて考えたこともないでしょうねえ。あなたのカメラも、もしかしたら?

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