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スター・ウォーズ(エピソード4)の元ネタ映画である、とジョージ・ルーカスが言ってたそうです。ルーカスは黒澤好きですからねえ。


『隠し砦の三悪人』(1958年・日)
隠し砦の三悪人
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
製作:藤本真澄、黒澤明
音楽:佐藤勝
撮影:山崎市雄
編集:黒澤明
配給:東宝
キャスト
真壁六郎太:三船敏郎
雪姫:上原美佐
太平:千秋実
又七:藤原釜足
農民の娘:樋口年子
長倉和泉:志村喬
老女:三好栄子
立札に立っていた老人:高堂国典
馬を買う侍:大橋史典
早川領の騎馬武士:土屋嘉男
落ち武者:加藤武
人買い:上田吉二郎
橋の関所奉行:小川虎之助
田所兵衛:藤田進


 黒澤明監督作品「隠し砦の三悪人」

 最近、リメイクされた方を知っている方も多いのではないでしょうか。松本潤、阿部寛、長澤まさみなどのリメイクされた方の映画を。だとしたらこれはリメイク元というやつですね。

 舞台は戦国時代ごろ。私はこの映画を観て、本当にその戦国時代がリアルでまるで戦国時代の記録映画を観ているようでした。黒澤明は戦国からタイムスリップしてきたと言われても信じてしまいそうです。役者も本当に戦国時代の人のような演技ができて凄いなあと感心しましたね。そして何より背景とか城とか完全に戦国時代のようでした。素晴らしい映画だ。

 まあ、ストーリー的には脱出物の映画ですね。しっかし本当に面白い。ハラハラドキドキ。一分一秒も飽かせないから常に面白かった。特に翻弄される農民二人がすっごい面白い。二人で喧嘩しては仲良くなったりまた喧嘩したり、はたまた侍を裏切ったりまた戻ってきたり、でも本当に農民の反応がリアルでしたねえ。

 この映画は実は黒澤が絶対に脱出できない設定を考えだし、それを他の脚本家3人がうまく脱出させるアイデアを出す、という体制で作られたものだから完璧な脱出映画ですね。私はそのエピソードを聞いて「北北西に進路を取れ」(1959年)を思い出しました。

 上原美佐という同姓同名の女優が今いますが、彼女とは別人です。こっちの上原美佐は1960年に引退しています。さて雪姫役の上原美佐ですが、映画を観た人なら分かると思いますが彼女のふとももいいですねえ。短パン?みたいなのを履いてるのでふとももが出てて・・その、まあ興奮できるものです。


【あらすじ】

 太平と又七は金を探していると、真壁六郎太という侍と出会う。六郎太は二人から国越えする提案を聞いてそれに自分も参加することを決意。そしてもう一人の耳が聞こえない女性を装った敗国・秋月の姫・雪姫と4人で山名に支配された秋月領→秋月の敵国・山名領→秋月の同盟国・早川領と落ちのびようとする。


隠し砦の三悪人 Hidden Fortress 1958 trailer Kurosawa... 投稿者 MorinoMashio













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 戦国時代。山名家と秋月家は領地を隣り合い、戦争状態に陥っていた。

 百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)はこの二つの家の戦争に加わろうと農村から出兵してきたが戦争には間に合わずあろうことか山名に秋月の敗残兵と間違われ労働を強いられていた。脱出した二人は故郷の農村を目指すが道中、山名に殺される落ち武者(加藤武)の姿を見て二人は恐れおののいた挙句に喧嘩別れしてしまう。

 太平は隣国・早川領へ国越えをしようとしたが、秋月領を支配した山名軍が関所を張って厳重な警備をしていた。太平は国越えを諦め、結局捕らえられてしまう。

 又七は町に行き立札を老人(高堂国典)に読んでもらう。それによると敗れた秋月の姫・雪姫を捕らえれば褒美がもらえるとのことだった。だがその直後に通ってきた秋月の捕虜たちを監視する山名兵に見つかり、捕虜の列に入れられてしまう。

 又七や太平は秋月の城の地下で捕虜たちと共に秋月の隠した埋蔵金探しの作業をさせられる。

 その後、捕虜たちがついに反乱を起こす。又七や太平はその隙をついて城を抜け出した。

 二人は米樽と釜を盗んで河原へ下りて米を研ぎ始める。又七は太平に秋月の雪姫をとっ捕まえて一獲千金をしないか、と誘う。しかしその計画はあまりにも現実味が無いものだった。

 そんな時、何の気なしに薪を放り投げるとカラン、という金属音が聞こえる。不思議に思って二人は薪が落ちたところへ行くと、そこには薪に包まれた黄金の延べ棒があったのだ。

 二人は他の薪も探し始める。黄金の延べ棒に秋月の家紋が刻まれていた。何個か見つかった後、河原にガタイの良い武者のような男が下りてくる。二人は関わることを恐れ、その男を撒こうとする。

 夜、二人が釜のある場所へ戻ってくるとあの男がいた。男は真壁六郎太(三船敏郎)と名乗り、百姓二人はこれから何をするつもりなのか訊ねる。二人は秋月領から早川領へ落ちのびるのは関所が厳重で難しく、秋月領から山名領を通って早川領へ落ちのびる算段を真壁に伝える。真壁はそれに乗ることを決める。しかし二人は秋月の侍大将・真壁六郎太だと信じてはいなかった。

 真壁は自分が黄金二百貫二人に谷に置かれていた隠し砦を紹介する。水飲み場も案内し、早速百姓二人に労働を強いる。太平と又七は貪欲な性格だったが、二人とも真壁に不満を募らせていく。そんな時、二人は谷を見つめる一人の女を見つける。真壁がその後を追い、見失ったと言って帰って来た。真壁はその女に手を出すなと二人に釘を刺す。

 しかし不満を持っている百姓二人は時々、勘が良くちょっと外れているが真壁が、実は前に見つけた女は雪姫で彼女を見つけており彼女を奉行に突き出して褒美の金を独り占めにしようとしているのでは、と思う。そして又七が密かに町に行き、様子を探る。それを知った真壁は残った太平に激怒するが、又七が帰ってきて雪姫は打ち首にされた、という報告を持ってきて又七と太平は真壁に謝罪する。

 その後、真壁は洞窟に行く。そこには敗れ逃げ延びた秋月の老女(三好栄子)や、老将・長倉和泉(志村喬)、そして千姫(上原美佐)らが居た。打ち首にされた千姫というのは六郎太が雪姫の影武者として差し出した自分の妹・小冬だった。千姫は自分と同い年の少女が生贄にされるなど納得いかない、と話すが家臣らは「千冬は忠義のために死ねてお喜びでしょう」と話す。千姫は激怒し洞窟から出て一人、涙する。

 ついに真壁は秋月復興のための黄金二百貫を持って早川領へ落ちのびる作戦を決行する。千姫は同伴する太平、又七たちに誤解を生まないように唖≪読みはオシ。耳が聞こえない人のこと≫で通すことに決める。

 道中、真壁の目を盗んで馬を持って金を持って逃げようとした農民二人。馬は千姫が連れ帰ったが農民二人は川から越えようとして見つかってしまい、戻ってくる。おかげで関所の警備は厳重となり真壁は戻ってきた農民二人にどっか行け、と冷たく突き放す。

 それでもついてくる太平と又七。真壁はひとまず、隠し砦に戻るがすでに隠し砦は山名に見つかったようで、秋月の家臣たちが最後の力を振り絞って砦を焼いてそのことを真壁たちに伝えたのだった。

 万事休す、の真壁たち。やがて真壁は策がある、と言って関所の橋を正面から行く。

 関所では通行手形のチェックをしていた。太平も又七も焦り出す。やがて真壁たちの番が来たとき、真壁は秋月の延べ棒を見つけた、と関所の番卒に報告する。関所奉行(小川虎之助)は部下に真壁が延べ棒を見つけた、という地点へ派遣し、真壁が突然「延べ棒を返すか褒美をよこせ!」と奉行に迫る。奉行は通行手形をチェックもさせず鬱陶しいのでさっさと通してしまう。見事、真壁の作戦は成功した。

 やがて奉行のもとに伝令(大友伸)がやってきて雪姫が生きている可能性がある、ということを奉行に伝える。奉行は自分が先ほど通してしまったやつらだ、と気づき唖然とする。

 見事、山名領に入り込んだ真壁らは宿を探して夜の町へ潜り込む。太平と又七は人気のない路地を行き野宿するべきだ、と言うが真壁は人が隠れるのに人ごみが一番最適なのだ、と言い、普通の宿屋に泊めてもらうことにする。

 ある博打屋に入り込んだ真壁ら。雪姫はその博打屋で人買いのオヤジ(上田吉二郎)が百姓の娘(三好栄子)を客に売り込んでいる姿を見て激怒する。どうやらその娘は秋月領の百姓だったらしく人買いのオヤジ曰く「人を買うには負けた国から買うのが安上がりだ」と言う。

 やがて雪姫は人買いのオヤジを睨み付ける。オヤジは雪姫を見て、雪姫を買おうとするが当然、買うことはできない。

 やがて真壁に侍らしき男(大橋史典)が話しかける。男は真壁に大金を払って真壁らが使っていた鹿毛の馬を買い取る。

 侍から貰った金の使い道に困った真壁は雪姫の、「あの娘を買い取るのだ」という言葉を聞いて「情けをかけるな」と叱咤するが結局は雪姫の命令に逆らえず売られていた娘と馬の代わりに荷車を購入する。

 翌朝、娘はついてこなくていい、という真壁や雪姫の言葉を無視して恩義を感じた娘が同行する。太平と又七が不満をたれていた時に通りかかった騎馬武者たちに「男三人、女一人の二頭の馬を連れた者たちを見かけたら教えろ」と言い去って行った。太平も又七も前言撤回し「おら達運が良いなあ」と喜び合っていると、先ほどの武者たちが引き返してきた。

 武者は荷車に積まれた薪≪中身には黄金の延べ棒≫をチェックしようとする。真壁は侍を斬り、馬で番所に逃げる騎馬武者を二人切り伏せる。

 やがて真壁はそのまま敵の番所に突撃してしまう。その番所を指揮していた田所兵衛(藤田進)は真壁六郎太とは好敵手であり、お互いに決着をつける日を望んでいた。

 真壁は田所兵衛と槍による打ち合いが行われる。命をかけた勝負、やがてそれは真壁に軍配が上がる。

 兵衛は真壁に自分の首を切り落とすよう頼むが、真壁はそれをせずに「また会おう」と言って馬で去って行った。

 その後、更に警備が厳しくなった山名領で身動きの取れない真壁たち。町に下りていた娘は自分を買った女性が雪姫であることと彼女の首に懸賞金がかかっていることを知り驚愕する。

 真壁は様子を見るために町へ下りて行った。山で身動きとれずにいる太平と又七は眠りについている雪姫を見てニヤニヤし襲おうとする。しかしそれを帰って来た娘が見つけて、娘は太平と又七を突き飛ばし大きな石を持ちながら雪姫の身を庇う。太平と又七はビクビクしながら娘の機嫌をなだめようとする。

 太平と又七は遠くで聞こえる行列の足音などを聞いてそれを見に行く。最初は山狩りか?と心配した二人だったがそれは農民たちによる火祭りに参加する行列だった。太平と又七はそれに潜り込んで、脱出できるのではと考え荷車を引っ張って雪姫と共に行列に紛れ込む。

 一方、山名の兵たち火祭りに雪姫たちが潜り込む可能性がある、として火祭りの監視に多くの兵が向かっていく。それを聞いていた真壁は急いで太平たちの下に戻るが、すでにそこにはおらず残っていた娘から火祭りに参加してしまった、と聞かされ自分たちも急いで火祭りへ向かう。

 火祭りでは、又七と太平が薪を積んだ荷車を中心にある焚き火で燃やすのを躊躇っていた。なにせ黄金二百貫があるからである。それを山名の兵に見つかりそうになり怪しまれるが真壁が荷車ごと焚き火に突っ込ませ黄金二百貫を包んだ薪を積んだ荷車は燃え盛る。真壁たちは祭りに参加して踊る。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 翌朝、真壁たちは火の燃え跡から延べ棒を回収する。しかし山名の兵たちがやって来たので山を逃げはじめる。道中、まだある延べ棒を惜しんだ又七と太平が戻って回収しようとするが山名の兵に見つかる。走って逃亡したために山名の兵に追われる羽目になった。

 真壁は戻ってきた又七と太平を追って来た山名の兵を捕らえ、荷物持ちをさせて山をのぼりはじめる。

 しかし山名の兵の大軍が近くまで迫り囲まれてしまった。万事休す。荷物持ちをしていた山名の兵は味方のもとへ帰ろうとするが敵と間違って射殺されてしまう。

 又七と太平は今逃亡すれば助かる、として二人で逃げる。雪姫は二人に「さらばじゃ」と言葉を口にする。しかし又七と太平は誰が喋ったのか分からなかった。

 結局、真壁、娘、雪姫は山名に捕らわれてしまった。皮肉かどうか、三人の身柄は早川と山名領の国境沿いの関所に移された。

 首実検に田所兵衛が訪れる。田所は真壁に負け、真壁に首を切られなかったことで殿によって顔に傷を負わされてしまったのだ。真壁は人が変わったように真壁を恨んでいた。しかし雪姫は田所を斬りつけた主に対し
「人の世を生かすも殺すも己の器量しだいじゃ。家来も家来なら主も主じゃ」
と罵倒する。

その時、娘が叫んだ。「姫は私じゃ、姫は私じゃ!」
「もう良い、志しはありがたいが、姫はいさぎよう死にたい」
雪姫は死を覚悟していた。

 六郎太は姫に自身の不覚を謝罪するが雪姫は言う。
「・・・姫は楽しかった!・・・この数日の楽しさは城の中では味わえぬ・・・装わぬ人の世を・・・人の美しさを・・・人の醜さを・・・この眼でしかと見た・・・六郎太、礼を言うぞ・・・これで、姫は悔いなく死ねる・・」
 そして雪姫は火祭りのときの歌を力いっぱいに歌いだす。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 翌日、刑場に連れて行かれる真壁、雪姫、娘の三人。いざ出発、という時に田所兵衛が火祭りの歌を唄い出す。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)

 やがて田所兵衛は黄金を積んだ馬3頭を早川領の方へ走らせる。山名の兵たちが唖然としていると「裏切り御免」と言い山名の兵を斬り始める。それから真壁、雪姫、娘の三人を解放する。

 4人はまず黄金2百貫を積んだ馬を走らせ、田所兵衛と共に馬に乗ってついに関所から国境を越えて早川領に入り込んだのだった。

 田所兵衛、雪姫、真壁は山下を駆けていく黄金を積んだ馬三頭を見て大笑いするのだった。

 関所に雪姫のことを告発してもすでに捕らえたわ!と笑われた太平と又七。二人は早川領に入り飢えに苦しみながら「死ぬときは俺ら一緒だがんなあ」と言い合うのだった。その時、黄金を積んだ馬が走ってきた。

 太平と又七は馬の取り合いの喧嘩をし始める。そこへ早川の騎馬武者(土屋嘉男)らがやってきて二人を怪しいと判断し捕らえる。

 牢獄に入れられた太平と又七は「あの世でも仲良くしようなあ」と抱擁しあう。そして二人は牢から出された。

 二人が連れて行かれたのは雪姫のところだった。二人は鎧を着た真壁六郎太と喋る雪姫になかなか気づかなかったが二人が正体を明かして又七と太平は唖然とする。

 六郎太は二人のこれまでの活躍を褒めたえ黄金二百貫の代わりに延べ棒1つを与える。雪姫は「ケンカせず仲良く分けるのだぞ」と言う。

隠し砦の三悪人

 城を出た二人。やがて太平が渡された延べ棒1つを「これはお前が持っててくれよ」と譲ろうとする。しかし又七は「いやいや、お前が持っててくれよ」。

 二人は笑いながら一つの延べ棒を譲り合うのだった・・・









 確かにこの映画は真壁六郎太や雪姫がいわゆるヒーローなのですが、私は太平や又七みたいなキャラクターも好きです。この二人は本当に強いですねえ。金のために貪欲で裏切ったり逃げたり喧嘩したりしているのに全く死にそうにならない。二人のキャラがこんな戦乱の世でも本当にぶれてないんですよね。

人の命は火と燃やせ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
虫の命は火に捨てよ
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)
という火祭りのときの唄ですが、これはただの唄じゃないようですね。

 この映画で武士に監視されながら農民たちが歌っていました。もちろん「俺たちを解放してけろ」みたいな歌詞を直接歌ったら即刻、打ち首でしょうが、掛け声の
(アッセ アダホイ、アセテ サモハイ)には
アッセ(イ)…圧政=圧力政治 を アダ…仇(討)で ホイにすれば、
アセテ…褪せて サモ…さも=いかにも ハイ…灰になる
という意味が込められていたそうです。全然分かりませんでしたが言われるとなるほどお、と思いました。

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三船敏郎、上原美佐 他

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三船敏郎のこの映画でのアクションシーン
~1:36ごろ 荷車を点検する山名兵を倒す
1:37~   田所兵衛、離反す

『隠し砦の三悪人』より「三船敏郎の小細工のない見事なアクションシーン... 投稿者 islove7566
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Category: 邦画カ行
仕事人風に言えば「三つ数えろよ。テメエが冥土へ辿りつくまでの時間だ」みたいなもんですね。


『三つ数えろ』(1946年・米)
三つ数えろ
スタッフ
監督:ハワード・ホークス
脚本:ウィリアム・フォークナー、リイ・ブラケット、ジュールス・ファースマン
原作:レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」
製作:ハワード・ホークス
音楽:マックス・スタイナー
撮影:シドニー・ヒコックス
編集:クリスチャン・ネイビー
配給:ワーナー・ブラザーズ
キャスト
フィリップ・マーロウ:ハンフリー・ボガート
ヴィヴィアン・スターンウッド:ローレン・バコール
カルメン・スターンウッド:マーサ・ヴィッカーズ
本屋の店員:ドロシー・マーロン
執事ノリス:チャールズ・D・ブラウン
バーニー刑事:レジス・トゥーミー
スターンウッド将軍:チャールズ・ウォルドロン
アグネス・ローツィエール:ソニア・ダーリン
アーサー・ガイガー:セオドア・フォン・エルツ
モナ・マース:ペギー・クヌセーン
ジョー・ブロディー:ルイス・ジーン・ヘイト
ハリー・ジョーンズ:エリシャナ・クック・ジュニア
ラッシュ・カニーノ:ボブ・スティール
エディ・マース:ジョン・リッジリー


 ハワード・ホークス監督作品「三つ数えろ」。原題タイトルは「The Big Sleep

 ええと、実はこの映画ストーリーがすっごい複雑らしいんですよ。で、観たんですよ。最初の方とか訳分からなくて混乱しまくってました。もともと登場人物の名前を覚えるのが苦手な私は主要人物とかが多い映画とかは結構苦手なんですよね。だから役者の顔で覚えることが多いんですが、知らない俳優さんが多いとそれも一苦労です。

 ストーリーはやっぱり難しかったです。はっきり言ってしまうと、すべてを理解することはできませんでした。私の未熟さを思い知らされた気分ですね。しかしこの映画、そもそも監督自体も原作の全容すべてを理解したわけでは無いらしく、ストーリー重視するよりところどころに演出に小ネタを入れる感じで映画を面白くしたようですね。

 チャンドラーのフィリップ・マーロウシリーズっていうのはハードボイルドな私立探偵の代名詞みたいな推理小説の主人公なんですよね。で、ちょっと余談なんですが「トロと流れ星」というゲームでボギーっていうハードボイルド気取りのハムスター元探偵が出てくるんですよ。多分、そのボギーっていうのはこのハンフリー・ボガートから、そしてハードボイルドの設定はボガートがやったフィリップ・マーロウから参考にしたのではないか、と思います。

 このハワード・ホークス監督っていうのは「暗黒街の顔役」(1932年)だとか「脱出」(1944年)など男にしかできない格好よさを演出する映画をよく撮ってるんですね。

 そして私の大好きな俳優ボガート。彼はヒロインのローレン・バコールと45年、つまりこの映画の公開前年に結婚し夫婦になっています。二人が付き合いだしたのは「脱出」(1944年)で共演してからだそうですよ。20歳近く歳が離れてましたが二人は円満だったようですねえ。ボガートが死ぬまで二人は仲の良い夫婦だったそうです。今もバコールは生きていますよ。


【あらすじ】

 私立探偵フィリップ・マーロウはスターウッド将軍に次女カルメンを脅迫する何者かを調査してほしい、という依頼を受ける。マーロウは調査の末に本屋の店主ガイガーが事件にかかわっていることを突き止めるがガイガーは家で死体となってマーロウによって発見されカルメンは酔っ払った状態でその場に居た・・・



三つ数えろのシーン












※一部解説サイトを拝見しました。

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 私立探偵フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート)はスターンウッド将軍(チャールズ・ウォルドロン)に雇われて彼の屋敷を訪れる。

 執事ノリス(チャールズ・D・ブラウン)に案内されてマーロウは最初に次女カルメン・スターンウッド(マーサ・ヴィッカーズ)と出会う。彼女は美しく可愛げもある女性だったが悪戯好きでちょっと躾けのなっていない娘さんだった。

 マーロウはスターンウッド将軍と温室で会い、彼から依頼内容を聞く。実はあのカルメンという奔放な娘が本屋のアーサー・ガイガー(セオドア・フォン・エルツ)から脅迫を受けているのだという。また、マーロウの前任をしていたラスティ・リーガンという使用人も姿を消してしまったらしい。将軍は彼の身を案じているものの彼の行方を探す依頼はしなかった。

 家を去ろうとしたマーロウは長女ヴィヴィアン(ローレン・バコール)に呼ばれる。リーガンを探してほしいとマーロウに依頼するがマーロウはその依頼を受けなかった。

 マーロウはガイガーの書店を、向かいの書店の女性(ドロシー・マーロン)と雑談しながら張り込んでいた。やがてガイガーが店から出てきて車に乗ったのでその後を追う。

 ガイガーが入って行った家に続いて、カルメンが入って行った。マーロウは慎重に張り込んでいたがその時、銃声が聞こえる。すぐに家に入るマーロウだったが裏庭から2台の車が去って行ったのを見かける。

 家の中には酔っ払ったカルメンとガイガーの射殺体、そして二人を映すように置かれていた隠しカメラだった。カメラからは既にフィルムが抜き去られていた。マーロウはカルメンを問い質すが彼女は酔っ払っていてまともな返答をしなかった。

 マーロウはすぐにカルメンの乗って来た車でスターンウッド邸に連れ帰り、カルメンをヴィヴィアンに引き渡す。そしてヴィヴィアンに「妹を守りたかったら今夜はずっとカルメンはここに居たことにするんだな」と言って去って行った。

 その後、自分の車をガイガー邸に取りに来たマーロウ。一応、家の中に入って死体を確認しようとするがその家からガイガーの死体が消失していた。

 夜、かつてマーロウが検事局調査員時代だったころからの仲であるバーニー刑事(レジス・トゥーミー)が訪れスターンウッド家の運転手が車と共に海に沈んでいる、ということを伝える。現場に急行したマーロウとバーニーは、検視官から他殺か自殺かは不明だという見解を聞かされる。

 翌朝、事務所に出勤したマーロウはヴィヴィアンに出迎えられる。ヴィヴィアンによれば、昨夜のガイガー邸でガイガーの死体と一緒にいるカルメンが映った写真が脅迫状として送られてきたという。マーロウは警察に電話すればいい、と言いヴィヴィアンが本当に電話するのでマーロウはその受話器をとって応対した警官を軽くあしらって切ってしまう。

 なぜ止めたのかを訪ねるヴィヴィアンにマーロウは「ご老体の将軍のためさ」と答える。

 マーロウはガイガーの本屋の店員であるアグネス・ローツィエール(ソニア・ダーリン)が脅迫者の一人では、という考えを持ち彼女の車を尾行。彼女がジョー・ブローディ(ルイス・ジーン・ヘイト)の家に入って行くのに気付き、ヴィヴィアンを新たに脅迫しているのはジョー・ブロディーであるところまで辿りつく。

 脅迫者に会いに行く前にマーロウはガイガー邸を訪れた。そこには素面のカルメンが既にいた。二人は家を探し回るが、やがてここの家主だと名乗るエディ・マース(ジョン・リッジリー)が家に入ってくる。マーロウはカルメンを帰し、マースと腹の探り合いをする。しかしどちらとも腹の内を明かしたりはしなかった。

 マーロウはマースが帰って行ったあと、ジョー・ブロディーの部屋を訪れる。その部屋にはアグネスやヴィヴィアンまでもが居た。マーロウは拳銃を突きつけられピンチに陥るが、やがて部屋に今度は拳銃を持ってカルメンが乗り込んできた。マーロウは巧みにブロディーとカルメンの拳銃を奪ってヴィヴィアンとカルメンを先に返す。

 マーロウはブロディーから自分が脅迫者である、という自白を取ってから脅迫に使われたカメラのフィルムを奪う。そして果たしてガイガーを殺したのは誰なのか、とブロディーに問う。ブロディーが話すにはどうやら海で沈んだスターンウッドの運転手らしい。

 スターンウッドの運転手テイラーはカルメンに惚れ込んでいたがそのカルメンをガイガーが脅迫しいやらしい事をさせていたのでテイラーがぶち切れてガイガーを殺してしまったのだ。その後、車で逃走しそれをたまたまガイガーを張り込んでいたブロディーたちが発見して車の後を追ったのだ。

 追跡の末にテイラーの車は海に落っこちてしまった。これが事件の真相だった。

 来客が現れたのでブロディーに出させるが、ドアを開けた途端にブロディーは来客に殺された。

 マーロウはその来客を追いかけ、銃撃戦を展開してから、なんとか彼をひっ捕らえ警察に突き出すのだった。

 翌日、マーロウはヴィヴィアンの訪問を受け、「事件は終わった。ご苦労様でした」と小切手を渡してきた。だがマーロウは納得がいかずヴィヴィアンが早急に事件を終結させたがっていることに気付く。

 独自で調査を開始するマーロウだったが地方検事局に圧力がかかってきてバーニーに呼び出される。マーロウはバーニーに事件はまだ終わっていない、という自分の考えを話しバーニーを納得させる。

 マーロウはマースが怪しいと考えていた。実はマースの妻は行方不明で、マーロウはリーガンとマースの妻が駆け落ちでもしたのではなかろうか、と考えていた。マーロウは本当はギャングであるマースと会う約束を彼の経営するカジノで取り付ける。

 マースの経営するカジノを訪ねたマーロウはそこに既にヴィヴィアンがいることに気付く。マースに自分が探偵であることを明かし、再び腹を探ろうとするがうまくいかず話を終えてヴィヴィアンに話しかける。

 ヴィヴィアンはカジノで多くの金を儲けた。ヴィヴィアンはマーロウに送ってほしい、と頼みマーロウは一足先に駐車場に行く。

 駐車場で何かを感じたマーロウは車の陰に隠れる。やがてマースの部下らしき男がカジノから出てきたヴィヴィアンに拳銃を突きつけ儲けた金を出すように迫る場面を目撃する。

 マーロウはその強盗を撃退しヴィヴィアンを乗せるが、マーロウは今の大儲けから強盗までの一連の流れがマースと組んでの八百長であると気付いており、二人に接点がないことをマーロウに認識させようとしてのことだと思っていた。そのことでヴィヴィアンを問い詰めるがヴィヴィアンは答えなかった。

 やがてマーロウは「君が好きなのだ」とヴィヴィアンに打ち明けヴィヴィアンは証拠を見せるよう言う。マーロウはその証拠を接吻という形で見せつけるのだった。ヴィヴィアンはマーロウの接吻に満足しもう一度、接吻をねだる。

 ヴィヴィアンを送り事務所に戻ろうとしたマーロウはマースの子分らしき男二人組に路地裏に連れて行かれボコボコにされる。

 「事件から手を引けと言ったはずだ」と言い去って行く男二人に入れ替わるように今度はハリー・ジョーンズ(エリシャナ・クック・ジュニア)がマーロウに話しかけてくる。

 ハリーはアグネスの仲間というか彼女と結婚予定らしく、どうやらアグネスがリーガンの居場所を知っているという。その情報料は200ドルだ、と要求し去って行った。

 マーロウはハリーの指定したオフィスを訪ねるが先客が一名いるようで何かを察知して隣の部屋で一部始終を盗み聞きする。

 ハリーはどうやらマースの子分ラッシュ・カニーノ(ボブ・スティール)と会話をしているようで、どうやらマースたちはハリーやアグネスの存在を邪魔に思っているらしい。

 カニーノはハリーから無理矢理、アグネスの居場所を問い質し「3つ数える前に話せ」と言う。ハリーは慌てて居場所を打ち明け彼に酒を振る舞って部屋から出て行った。

 マーロウは部屋に乗り込むが、ハリーが突然苦しみだしてやがて息絶えてしまう。マースの子分はハリーを毒殺してしまったのだ。マーロウは見ていることしかできず悔しがる。

 マーロウは電話でハリーがマースの子分に打ち明けたアグネスの居場所に電話をする。しかしアグネスはそこにはおらず、ハリーは命を賭けてアグネスを守ったのだ。やがてその部屋にかかってきた電話はアグネスからで、彼女にハリーが死んだことを話し車で会うことを取り付ける。

 アグネスは少なからずハリーの死にショックを受けているようだった。マーロウは200ドルをアグネスに渡しアグネスはリーガンはロードサイドのガレージに居るらしい、ということを話す。

 マーロウは罠が仕掛けられているであろうことを予測済みでロードサイドのガレージを訪ねた。たまたまパンクした前輪のタイヤを修理してもらいたい、という建前でガレージに入るがそこにはカニーノがおり、マーロウは捕らわれてしまった。

 そこにはマースの妻モナ・マース(ペギー・クヌセーン)がいた。しかしモナはリーガンと駆け落ちなんてしてない、と否定し夫がいろんな人間を殺した、というマーロウを否定する。

 今度はヴィヴィアンが現れた。ヴィヴィアンはマーロウの縄を解き、協力して脱出を図ろうとする。だがマーロウの手錠を外すにはマーロウの始末の指示をマースに仰ぎに行ったカニーノが持っているらしい。

 カニーノの車が到着しヴィヴィアンはマーロウの指示通りに悲鳴を上げる。すぐにガレージの中に駆け込んだカニーノらの隙を見てマーロウは自分の車に拳銃を取りに行き、一人を追い払い一人を射殺した。

 やがてカニーノがヴィヴィアンを盾に外に出てきた。やがてヴィヴィアンが「あそこよ!」と言いカニーノはそこに銃弾を撃ち込むが、そこにはマーロウは居ない。その隙にマーロウはカニーノを射殺するのだった。

 その後、二人はガイガーが殺された家に行き、そこでマースに電話をかける。「20分後にガイガーが殺された家で会おう」と。

 10分後、マースは手下を外に配置させて家の中へ入ってくる。マースは電話線を切ろうとしてマーロウが拳銃を向けてそれを止めさせる。

 リーガンが失踪した事件の真相はこうだった。

 実はカルメンはリーガンを愛していた。しかし対するリーガンというのはマースの妻モナを愛していた。嫉妬の末に逆上したカルメンはリーガンを殺害。そしてそれを裏で操っていたのはマースでマースはリーガンの遺体を隠しそのことでヴィヴィアンを脅迫しているのだという。

 カルメンはそのことを全く覚えていない。いわば病気のようなものだろう。

 マーロウはマースに家の外に出るように言う。実はマースは最初に家から出てきたやつを殺せ、と部下たちに命じてあるのだ。

 マーロウは「三つ数える前に家の外に出ろ」と言い1秒数えてマースの手を撃つ。マースは家の外に飛び出し「俺だ!撃つな!!」と部下に叫ぶが機関銃でマースは撃ち殺され扉にもたれかかってからやがて倒れる。

 マーロウは扉を閉めてからバーニー刑事に通報する。リーガンを殺したマースが部下に殺された、と。

 やがてサイレンの音が鳴り始める。マーロウはヴィヴィアンにカルメンは病院に収容すればいい、スターンウッド将軍もきっと理解してくれるだろう、と話す。ヴィヴィアンは「私はどうすればいいかしら?」と尋ね「何を云っているんだ」と答える。ヴィヴィアンは「最高ね」と軽く笑い、二人は見つめ合うのだった・・・








 ボギーが主演ってだけで私はほかの映画より最初から+10は好きになっていると思います。

 この映画って登場人物とかの関係がとっても複雑ですよね。注意深く見ていないと私のように訳分からなくなります。っていうかこの映画というか作品というのは一方的な愛が多いですよね。だからちょっとだけまとめてみました。

フィリップ・マーロウ(ハンフリー・ボガート):主人公の私立探偵。
ヴィヴィアン・スターンウッド(ローレン・バコール):ヒロイン。将軍の長女。
カルメン・スターンウッド(マーサ・ヴィッカーズ):将軍の次女。頭の病気?運転手テイラーに惚れられ、彼女はリーガンを愛していた。リーガンを嫉妬で殺害。そのことを忘れる。
リーガン:マーロウの前任だった男。マースの妻モナを愛していた。カルメンに殺される。
運転手テイラー:スターンウッド家の運転手。カルメンに惚れ込み彼女を脅迫しいやらしいことを強要するガイガーに激怒しガイガーを殺害。その後、ジョー・ブロディーに追いかけられ事故で海に落ちて死ぬ。
アーサー・ガイガー(セオドア・フォン・エルツ):書店の店長。カルメンに博打のツケがあって彼女にいやらしいことを強要。運転手テイラーに殺される。
ジョー・ブロディー(ルイス・ジーン・ヘイト):脅迫者。カルメンとガイガーの死体が一緒にいる写真でヴィヴィアンを脅迫する。
アグネス・ローツィエール(ソニア・ダーリン):脅迫者。ブロディーと協力。ハリーと結婚予定。リーガンの情報をフィリップに売る。
ハリー・ジョーンズ(エリシャナ・クック・ジュニア):アグネスと結婚予定の男。マースの子分カニーノに毒殺される。
モナ・マース(ペギー・クヌセーン):エディ・マースの妻。リーガンと駆け落ち疑惑があったがそうではなかったらしい。愛しているのは夫かな?
エディ・マース(ジョン・リッジリー):ギャングでカジノ経営者。妻に手を出そうとしてるリーガンをカルメンをそそのかして殺害。


 まさしくこの映画、恋愛の部分までハードボイルドで渋いって感じがします。何せ主演がボガートなもんですから情熱的なキスとかじゃなくて、苦いコーヒーみたいなキスするんですよ。ラストシーンもキスするかと思いきやキスしない、っていう。それはボガートとバコールの役の愛が軽いものではないのだ、っていうのを象徴している気がしますね。私はボガートとキスしたらきっとコーヒーの味がするんじゃないか、と思います。私男ですけどね。

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Category: 洋画マ行
主人公・衛宮士郎の理想主義者っぷりと遠坂凛の良い女っぷりが再認識されましたな。


『Fate/stay night Unlimited Blade Works』(2010年・日)
Fate/stay night Unlimited Blade Works
スタッフ
監督:山口祐司
脚本:佐藤卓哉
音楽:川井憲次
主題歌:タイナカサチ『Voice〜辿りつく場所〜』
編集:松村正宏
製作会社:劇場版Fate/stay night製作委員会
配給:クロックワークス
キャスト
衛宮士郎:杉山紀彰
遠坂凛:植田佳奈
セイバー:川澄綾子
イリヤ:門脇舞以
間桐桜:下屋則子
藤村大河:伊藤美紀
ランサー:神奈延年
アサシン:三木眞一郎
アナウンサー:早見沙織
ライダー:浅川悠
間桐慎二:神谷浩史
バーサーカー:西前忠久
葛木宗一郎:中多和宏
キャスター:田中敦子
言峰綺礼:中田譲治
ギルガメッシュ:関智一
アーチャー:諏訪部順一


 山口祐司監督作品「Fate/stay night Unlimited Blade Works」

 原作は「Fate/stay night」という伝奇活劇ビジュアルノベルであり実はエロシーンもあるいわゆるアダルトゲームというやつです。衛宮士郎と3人のヒロイン、つまり3ルートが描かれたものなんです。

 2006年にTVアニメで放映していたのですがそちらはメインヒロインであるセイバーのルートを映像化していたんですね。で、今回はヒロイン2人目の遠坂凛のルートを映像化しています。この映画で遠坂凛がヒロインの中で最もいい女であるんだなあ、と思いましたね。ホントに彼女は良い女だ。

 できればヒロイン3人目の間桐桜のルートも映像化してもらいたいものです。このルートは聖杯戦争の核心に迫る重要なルートですからねえ。

 そしてこの映画、とっても映像が綺麗。いや、最近のアニメ映画って本当に映像が綺麗なのが多いですよねえ。感心させられます。ただ昔のギットリとした塗り方のアニメも大好きです!今も昔もアニメの絵や映像って本当に好きですよ私。ラストのアーチャーの後ろで光る夕陽がとっても綺麗でしたね。


【あらすじ】

 主人公・衛宮士郎は学園でアーチャーに刺されて絶命寸前に陥る。しかし遠坂凛に助けられる。そのことを意識を失って知らなかった士郎は再びアーチャーに自宅で襲われるが偶然召喚したサーバント・セイバーに助けられる。士郎は凛に連れられ聖堂教会に行き、自ら凛らが行っている聖杯戦争に参加しその戦いを止めようとするが・・・












※技名などはあまり書いていません。技名に興味があるのならばご自分でご視聴ください。

【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 衛宮士郎(杉山紀彰)は自信の通う穂群原学園の校庭で男二人、ランサー(神奈延年)とアーチャー(諏訪部順一)が戦っているところを目撃する。士郎はすぐに校舎に逃げ込むが男の一人・ランサーによって槍で突かれ瀕死に陥る。それを救ったのはアーチャーのマスター・遠坂凛(植田佳奈)だった。

 その後、衛宮士郎は自宅で再びランサーに襲われる。納屋に逃げ込みそこで偶然、自身もサーヴァントを召喚してしまう。それはセイバー(川澄綾子)だった。

 セイバーを召喚したことを知った遠坂凛は衛宮士郎を連れて聖堂教会へ行く。その教会の神父・言峰綺礼(中田譲治)は遠坂凛らが行っている聖杯戦争の内容を話し士郎に衛宮士郎の聖杯戦争への参加を伝える。士郎は馬鹿げた殺し合いを終わらせるためにその戦争に参加する。

─ ─ ─ ─ ─

 聖杯戦争とは。数十年に一度、あらわれるという伝説の「聖杯」。聖杯は持ち主の願いを叶えるという。その聖杯を求め多くの者がそれを手に入れるための戦争に参加し殺し合いをする。

 ただその持ち主たちが戦うだけではなく、その持ち主たちは自身の魔術によって英霊を召喚しその英霊とコンビを組んで他のグループを片っ端から倒し聖杯を手に入れる、それが聖杯戦争の勝利条件だった。聖杯戦争に参加できるのは7組と決められている。

 魔術師のことをマスターと呼び魔術師が召喚する使い魔、英霊のことをサーヴァントと呼んでいた。サーヴァントにはセイバー(剣の騎士)・アーチャー(弓の騎士)・ランサー(槍の騎士)・ライダー(騎乗兵)・キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・アサシン(暗殺者)という7つのクラスがあった。その中身はみんな英雄の霊である。

 マスターにはサーヴァントを召喚した証拠として右手に令呪という刺青のようなものが浮かび上がる。時には命令を聞かないサーヴァントをその令呪の力をもって強制的にサーヴァントに言う事を聞かせることもできる。仕えるのは3回まで。

 聖杯戦争を監督するのは聖堂教会。また、それは日本の冬木市で行われることになっているのだ。

 衛宮士郎は父・切嗣から魔術を習っており、半人前だったが一応は魔術師だった。士郎は投影、という見た武器のレプリカを形にして出現させ、攻撃に使える能力を本来、使えるはずなのだが先も言ったように半人前だから力がまだ使えこなせていない。

 では舞台となる冬木市だが、アナウンサー(早見沙織)が言うとおり十年前に謎の大災害が冬木市を襲い、多くの市民が犠牲になっている。

─ ─ ─ ─ ─

 教会からの帰り道、衛宮士郎と遠坂凛は巨大なサーヴァント・バーサーカー(西前忠久)と遭遇する。そのマスター・イリヤ(門脇舞以)は問答無用で士郎と凛を襲う。士郎はセイバーにバーサーカーと戦ってもらうが、やがてアーチャーの周囲を巻き込むような弓の攻撃でバーサーカーは撤退。代わりに士郎、凛、セイバーすら危険な目に遭った。士郎はアーチャーを批難する。

 その後、凛は士郎と休戦協定というか、手を組むことを決める。アーチャーはそれに異議を唱えるが、凛はマスターの力によってそれを跳ね除けるのだった。凛はアーチャーに自分の真名〈自分が何の英霊なのか〉を問い質すがアーチャーはまだ思いだしていない。アーチャーは一部、記憶喪失らしい。

 翌朝、士郎は学校にセイバーが来てもらわないよう、家にいてもらう。学校に登校した二人は学校に結界が張られているのに気付く。その結界は中の民間人の生気を吸収し力を蓄えるものだった。放課後、二人は士郎のクラスメイト・間桐慎二(神谷浩史)がサーヴァント・ライダー(浅川悠)と共に結界を張っている、と気付き士郎が森でライダーと対峙するがかなわない。

 やがて追いついた凛が乱入してきたことでライダーと慎二は撤退する。その直後、今度は学校が別の結界に覆われる。先ほどより強い結界だ。

 校舎にドクロみたいな変なやつらが現れそれを駆逐していく士郎と凛。士郎は家に置いてきたセイバーを令呪の力で呼び寄せる。

 セイバーは術者らしき女を剣で切り伏せる。女は幻影だったようで消滅する。一方の士郎と凛はライダーが教室で他のサーヴァントに殺されているのを見つける。どうやらこの結界を張ったのはライダーでは無いらしい。

 教室には死体となっている生徒が大勢居た。しかしまだ息はあったようで、凛も士郎もほっとする。士郎は救急車を呼び、家に帰る。

 夜、士郎は何者かに操られホイホイと柳洞寺まで来てしまう。目が覚めた士郎は学校の結界を張った女に殺されそうになる。だが間一髪のところでアーチャーが現れ女と交戦する。女はサーヴァントでキャスター(田中敦子)、聖杯戦争の参加者だった。

 セイバーはすぐに柳洞寺に駆けつけるが、正門のところでサーヴァント・アサシン(三木眞一郎)と交戦。アサシンはなんとキャスターの使い魔にされている。一組が二つ以上のサーヴァントを使うのは本来、聖杯戦争のルール違反なのだ。

 アーチャーはキャスターを撤退させることに成功する。アーチャーは士郎に個人的な恨みを募らせており、士郎に傷を与えてセイバーに返すのだった。その後、セイバーもろとも攻撃しようとするアーチャーだったが逃げる相手に攻撃するのは卑怯だ、として追撃しようとするアーチャーをアサシンが止める。

 しばらく寝込んでいた士郎だったが、やがて目を覚ます。それと同じ頃にキャスターが衛宮邸を襲撃し、士郎の姉貴分のような女性・藤村大河(伊藤美紀)を人質にする。セイバーがキャスターを攻撃しようとするがキャスターは小刀のようなものをセイバーに刺す。

 刺されて引き抜かれた後、セイバーは様子がおかしくなり遠坂凛を殺そうとする。それを士郎が庇って止め、セイバーもキャスターの洗脳に抗おうとする。キャスターはセイバーを拉致して撤退した。

 遠坂凛はキャスターが現在いる聖堂教会の地下室にアーチャーと共に行く。そこにはセイバーがとらわれ、完全洗脳の準備をしていた。キャスターは自らのマスター・葛木宗一郎(中多和宏)と共に凛を出迎える。葛木は士郎の学校の教師だった。

 凛は葛木たちと交戦しようとするがアーチャーは無理だ、と言う。そしてなんとアーチャーは凛を裏切ってキャスターにつく、と言いだしキャスターのサーヴァントとなってしまった。様子見をしていた士郎は激昂し乱入するが、勝ち目はない。

 しかしアーチャーが「私をサーヴァントにする条件として二人は帰してやれ」とキャスターに言う。キャスターはサーヴァントのいなくなった二人には力もないだろう、と判断しアーチャーの条件に応じる。凛と士郎は聖堂教会から去って行く。

 士郎は凛にある宝石を返す。それは冒頭で士郎がランサーに殺されかけたとき、凛によって助けられたさいに凛が士郎の治療に使った宝石だった。士郎は遠坂家でたまたま同じものを目撃し、自分を助けたのが凛であるとその時、知ったようだ。

 凛によれば世界に一つしかないものらしい。だが裏切る前にアーチャーが凛に同じものを渡していたので凛はなぜ二つ同じ宝石があるのか、と不思議がる。

 その後、凛と士郎はイリヤを頼ってイリヤの城にやってくるが、城ではバーサーカーが間桐慎二の新しいサーヴァントによって襲撃され死亡。イリヤもそのサーヴァントによって心臓をもぎ取られ息絶える。

 激昂した士郎は勝てるはずもないのにそのサーヴァントの前に出てくる。新しいサーヴァントというのはギルガメッシュ(関智一)という反則的な強さを持つ8人目のサーヴァントだった。しかしその存在は本来、存在するはずのないものだった。

 だがギルガメッシュは士郎の相手をしていれば心臓が腐る、とて撤退。慎二は士郎や凛に手を組もう、というが二人とも断り撤退する。

 イリヤの遺体を埋葬した二人。凛は士郎になぜギルガメッシュの前に出たのか、と問い詰める。そして士郎が自分の命を大切にせずに正義ばかり重んじる感情のない人間だ、と非難する。士郎はそうなってしまった理由を話す。士郎は10年前の冬木市の大災害でただ一人、生き残り切嗣に引き取られて養子となったらしい。10年前の大災害で生き残った苦しみ、父・切嗣の教え。それらが士郎を正義の味方になろうとする志を作り上げたのだ。

 やがて士郎と凛はランサーと出くわす。ランサーはどうやらマスターから士郎と凛に協力するように言われたらしい。士郎は半信半疑でランサーと共闘を組む。

 再び聖堂教会を訪れた士郎、凛、ランサー。ランサーは教会の前でアーチャーと互角の戦いを繰り広げる。その隙に凛と士郎は地下室に入り葛木、キャスターと戦う。士郎は投影によってアーチャーの武器を投影し使う。

 しかし葛木とキャスターの力は強大だった。最初は拮抗していたものの徐々に追いつめらていく。

 それを救ったのはアーチャーだった。アーチャーは最初から葛木とキャスターをだまし討ちするためにキャスターのサーヴァントとなった。キャスターは葛木に寄り添いながら消滅。葛木も死亡する。

 しかしアーチャーは凛の動きを封じ、士郎を殺そうとする。凛はマスターを失い捕らえられていたセイバーを自らのサーヴァントと契約しセイバーをアーチャーと戦わせる。

 アーチャーは凛を拉致して撤退。士郎とセイバー、ランサーはアーチャーを追ってイリヤの城へと向かう。

 イリヤの城でアーチャーと対峙する士郎。ランサーは凛を解放しに向かった。

 ランサーは凛の縄を解こうとするが自身のマスターである言峰綺礼が現れ、言峰はランサーに「アーチャーを殺せと命令したはずだ」と命令無視を咎める。言峰はやがてランサーに令呪の力で自害を命じてランサーは自身の槍で腹を突き刺す。

 言峰は凛を聖杯の器にしようと、連れ去ろうとするが瀕死のランサーが力を振り絞って言峰を槍で殺し、凛を性的に襲おうとした間桐慎二を追い払う。

 瀕死のランサーは凛を解放し自分で周囲に炎を起こす。凛は治癒魔法で治そうとするがランサーはそれは不可能だと断る。凛は「ありがとう。アンタみたいな人は好きよ」と言うがランサーは軽く笑い「もうちょっと年とってから出直してきな小娘」と流す。

 一方の士郎はアーチャーと対峙していた。アーチャーは士郎とセイバーに自分の正体を明かす。それは衛宮士郎が正義の味方になろうと目指した末の末路、つまり英雄となった未来のエミヤだった。

 エミヤは文字通り、多くの人々を救って英雄となったが最期は救った人間に殺されるという哀れな末路を迎えた。彼自身は多くの人間を虐殺してそれより多くの人間を救ってきた。しかしそこに正義の矛盾があることに悩み悩みやがては絶望していき精神を疲弊し自分の生き方を後悔した。

 あのころの生き方をしてきた自分が憎くなり、英霊エミヤは衛宮士郎を殺して自信の存在を消滅させようとしていたのだ。

 衛宮士郎はアーチャーのつくりだした固有結界で自分の末路を知らされる。しかし士郎はアーチャーを否定する。自分の生き方に後悔しアーチャーに負けたら自分自身に負けることだ、としてアーチャーに抗うのだった。

 やがてアーチャーの武器を士郎は投影しアーチャーを倒すに至る。アーチャーは士郎の勝利を認める。

 その直後、ギルガメッシュが王の財宝〈ゲート・オブ・バビロン〉によって士郎を攻撃する。アーチャーはそれを庇い倒れる。そしてギルガメッシュは聖杯を完成させるために柳洞寺に去る。

 士郎、凛、セイバーは柳洞寺へ向かう。セイバーは柳洞寺正門でアサシンと遭遇する。本来、アサシンはマスターであるキャスターが消滅したことでアサシンも消滅するハズなのだ。しかしアサシンは柳洞寺正門が破壊されなければ、消滅しないことになっているらしい。アサシンはセイバーに「私が消滅する前の最後のお相手をしていただきたい」と頼みセイバーはそれを承諾する。

 一方、聖杯の器としてイリヤの心臓を埋め込まれた間桐慎二の肉塊は巨大化し聖杯となりつつあった。遠坂凛はその肉塊から行方の分からなくなっていたアーチャーの援護を受け慎二本体を連れて脱出。肉塊の聖杯はセイバーが「エクスカリバー」で消滅させ、聖杯消滅と共にセイバーも消滅するのだった。

 一方、ギルガメッシュと戦う士郎はアーチャーの固有結界を投影させ、ギルガメッシュと激闘。ついにギルガメシュの右腕を切り落としギルガメッシュは黒い孔に飲み込まれていく。

 最後、悪あがきでギルガメッシュは衛宮士郎も巻き添えに黒い孔に飲み込もうとする。士郎は危機に陥るが、アーチャーがそれを助けギルガメッシュを弓矢で撃ちぬく。ギルガメッシュは一人で飲み込まれていった。

 凛は消滅する寸前のアーチャーを呼び止め、報われないアーチャーに使い魔になってほしい、と頼み込む。しかしアーチャーはその資格はないと断り
「私を頼む。知っての通り、頼りない奴だからな
・・・君が、支えてやってくれ」
と頼み込む。凛はそれに頷くと
「答えを得た。
大丈夫だよ遠坂、オレも頑張るからさ」
と衛宮士郎の笑顔を浮かべ夕陽を背に消滅していったのだ。

アーチャーこと衛宮士郎の笑顔


 聖杯戦争が終わった後、日常が戻り士郎と凛は学校でも親交を図っていた。士郎はその意志を曲げることは無いだろうが、遠坂凛がいる限り迷うこともないだろう。二人のいる教室に希望の夕陽の光が差し込んでいた・・・









 やはりアーチャーのラストの笑顔がいいですよね。実はその前に衛宮士郎が同じような笑顔を浮かべていたんです。それとホントに全く同じ笑顔でした。この演出は原作通りなんでしょうが、なかなか憎たらしい。このシーンが挿入される部分の前後も憎たらしいですねえ。緊張感高いラストバトルを終えたあとのあの笑顔。あ、この物語は終息したのだ、と本当に思えるラストでした。

 原作ではこの終わり方は遠坂凛ルートのTRUE ENDにあたるそうです。GOOD ENDではないそうですね。

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原作 ※18歳未満禁止
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1929年版のほうです。完全版は紛失しているので、現在見れるのは短縮版ですね。


『大学は出たけれど』(1929年・日)
スタッフ
監督:小津安二郎
脚本:荒牧芳郎
原作:清水宏
撮影:茂原英雄
配給:松竹
キャスト
野本徹夫:高田稔
野本町子:田中絹代
二人の母親:鈴木歌子
杉村:大山健二
会社の重役:木村健二
秘書:坂本武
下宿の主婦:飯田蝶子
カフェの客:笠智衆


 小津安二郎監督作品「大学は出たけれど」

 当時の大学卒業生の就職率は30%だったそうです。昔は大学出れば博士か学者か、なんて呼ばれてた時代も近いのに。とってもとっても景気が悪い時代。この1929年にウォール街大暴落が起こり世界恐慌、着々と第二次世界大戦開戦への道へ進み始めていました。この映画の公開が9月6日らしいですから1ヶ月ほど後にウォール街大暴落が起こりますね。

 主演は高田稔。この人は日本で映画が創られたころから活躍する大スター。この映画の当時も輝いていた俳優さんらしいです。田中絹代も同じく。それにしても高田稔はすっごい二枚目だし田中絹代はうつくしいです。

 私が観たのは12分程度の短縮版。実際の完全版は70分ぐらいあるそうです。ただそれが未だに見つからない。

 ちなみに当時のカフェというのは今でいうキャバクラと同じようなものらしく、中には売春までしていたカフェもあったそうです。


【あらすじ】

 大学卒の野本徹夫は定職に就かずにいた。そんな姿を心配した妻・町子(田中絹代)はカフェで働き始め・・














【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 大学を卒業した野本徹夫(高田稔)だったが当時の就職率の悪さもあり定職に就けずにいた。ある会社の面接を受けるが重役(木村健二)は「じゃあ受付からはじめてくれれば入れてあげるよ」という大学卒を軽視した発言にプライドを傷つけられたように激怒し断ってしまう。

 そんな徹夫の下に母(鈴木歌子)と許嫁の町子(田中絹代)が上京してくる。母には会社に就職できた、と嘘をついて安心させており徹夫と町子は正式に夫婦になる。徹夫は下宿先のおばさん(飯田蝶子)に黙っててくれるよう頼み込む。

 母が徹夫の会社に行く姿を見て安心して郷里へ帰って行く。しかし実際は徹夫は弁当を受け取って公園で子供たちと遊んでいただけだった。

 ある雨の日、徹夫は会社に行かなかったのを不安に思った町子は問い詰める。すると徹夫は母を安心させようとした嘘で本当は会社に就職できていないことを打ち明ける。

 町子は夫の身を案じ、自分がカフェで働くことに決める。しかしカフェというのは当時は風俗のような店でもあり、町子はあえてカフェで働くことは隠していた。

 ある日、徹夫は友人の杉村(大山健二)とカフェに入った。そこで働き客(笠智衆)に接客する妻の姿を見てすぐに帰宅する。

 帰宅してきた町子を問い詰め批難する徹夫。すると町子はお母さんを安心させ、家計も助けることで幸せになれると判断してのことだった。徹夫はすっかり参ってしまい、自分の呑気さを恥じ詫びて本気で仕事を探すことに決める。

 冒頭で面接を受けた会社に再び面接にいった徹夫。徹夫は重役に受付でも何でもする、と話す。重役は苦労した徹夫の姿を見て感心し正社員として雇用することを決める。

 会社に行くのを見送った町子は愛する徹夫といつまでも生きていくことを誓うのだった・・・








 小津安二郎が大学卒でも就職するにはプライドもなにもかなぐり捨てて本気で探さなきゃとっても厳しいんだ、という教訓を教えておきながらラストはとっても現実離れした甘いハッピーエンドの希望で終える映画ですね。

 しかしハッピーエンドで終わるとは限りませんよね。これから先、何が待ってるのか、分かりませんからね。人生ってのは厳しいもんですなぁ。

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(1994/08/21)
高田稔、田中絹代 他

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Category: 邦画タ行
三國連太郎追悼二回目の映画。


『北辰斜にさすところ』(2007年・日)
北辰斜にさすところ
スタッフ
監督:神山征二郎
製作:廣田稔、神山征二郎
脚本:室積光、神山征二郎
原作:室積光「記念試合」
撮影:伊藤嘉宏
音楽:和田薫
編集:蛭田智子
キャスト
上田勝弥:三國連太郎(青春時代):和田光司
草野正吾:緒形直人
上田勝弘:林隆三
上田勝男:林征生
上田勝雄:笹森浩介
橋本富子:佐々木愛
下村永吉監督:三遊亭歌之介
西崎浩一:織本順吉(青春時代):田中優樹
西崎公子:佐々木すみ江
上田陽子:斉藤とも子
赤木吾郎:土屋嘉男
西村順造:樋浦勉
海路政夫:北村和夫
天本英人:犬塚弘
北島憲吉:高橋長英
真田喜信:坂上二郎
宇土虎雄:永島敏行
本田一:神山繁
伊東教授:河原崎健三

ナレーター:山本圭


 神山征二郎監督作品「北辰斜にさすところ」

 この監督さんは初めて聞きましたね。この人には決定的なヒット作とよばれるものは多くないらしいですね。ただ彼の「ハチ公物語」(1987年)はヒットしてアメリカでリチャード・ギアによるリメイク作品は作られたほどらしいです。

 主演は三國連太郎。まあ私が三國さんの追悼として借りてきた作品だから当然といえば当然なのですが。実は私がまだ映画をそこまで好きでない頃に釣りバカ日誌ファイナルの作品を観もせずに三國さんは老いて演技もマトモに出来ないのだろう、と勝手に思っていました。しかし今はそんな自分を恥じます。2007年でこれだけの演技ができる方だと当時は知らなかったものですから。

 この作品の主要キャストのうち、公開された年にお亡くなられた名優が一人います。北村和夫さんです。彼は北村有起哉の父親で間違いなく昭和日本の映画界を支えた名優中の名優です。私はこの人だと「黒い雨」(1989年)が思い浮かびます。声優としての活動もありましたね。

 この映画は情熱的な高校野球の物語でもあります。あえて青春とはいわず情熱と呼ばせてもらいます。しかしとってもいい映画なんですね。ただ若い人には少し退屈してしまうかもしれません。かくいう私もまだ若者の範囲なんですが。まあ私は退屈しませんでしたよ。

 タイトルは第七髙等學校の寮歌「北辰斜めに」そのままです。ただしこの寮歌はとっても力強く歌う必要があります。昔の九州男児の魂がこの歌に込められています。私にも実際に会ったことは無いのですが、知り合いに九州男児が二人います。

 ちなみに、天本英人という役名がありますが、これは第七高校卒業生の一人である俳優・天本英世をモデルにしたらしいです。彼は仮面ライダー初代の死神博士役でお馴染みの名優です。


【あらすじ】

 旧制第七高等学校造士館と旧制第五高等学校野球対抗戦100周年を迎えるにあたって鹿児島大野球部と熊本大学野球部の昔のユニフォームを着ての親善試合が行われることとなった。両校OBたちはそれぞれの思いを胸に、その試合を観戦しようと決めていたが七高OBの伝説のエースと呼ばれた打者・上田勝弥はその試合の応援参加を渋っていた・・



♪北辰斜めに (~4:10まで)











【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 鹿児島・旧制第七高等学校造士館。熊本・旧制第五高等学校。野球の対抗戦試合から100周年を迎えた。そのため鹿児島大野球部と熊本大野球部が記念の親善試合を行うことになった。

 七高OBの東京七高会の幹事長・本田一(神山繁)、同窓会委員・海路政夫(北村和夫)、鹿児島七高会事務局長・真田喜信(坂上二郎)は第五高OBの西村順造(樋浦勉)をうまく諭して人吉の川上哲治記念球場で親善試合が行われることになる。人吉は七高OBの伝説の打者兄弟・上田勝弥(三國連太郎)と上田勝雄(笹森浩介)兄弟の出身地だった。

 本田一は同窓会の会報の取材のために上田勝弥の下を訪れ当時の話を聞くことにする。勝弥は一代で病院を建て現在は息子・勝弘(林隆三)に譲った。ちなみに孫・勝男(林征生)は野球部に入っているが、足をやってしまい野球推薦による大学入学は不可能となり別の大学を探しているときだった。

 上田勝弥(和田光司)が七高に入学したとき、彼ら新入生を迎えたのは尊敬すべき先輩・草野正吾(緒形直人)。草野は勝弥ら新入生に「お前たちは天才的なバカになれ!」と歓迎式のときに話す。勉強・スポーツなんでも情熱をもって打ち込め、とのことだった。

 勝弥のあの時代は危険なこともしたがとっても楽しかった。勝弥が一番影響を受けた教師は伊東教授(河原崎健三)。彼は「数式を乱雑に書き並べてはよい推理は出来ない。整然としたあっさりとした数式の中から良い推理は生まれる」と生徒に教え込み、生徒と一緒にすき焼きをつついたりして親交を図っていた。残念ながら長崎で原爆に遭い亡くなられた。また、勝弥は自分の投球をキャッチする捕手・西崎浩一(田中優樹)と親友になり彼の妹・京子(清水美那)に惚れ込み、彼女と後に結婚した。

 また、草野先輩はエレベーターガールをしていた学生たちのマドンナ・露崎真知子(大西麻恵)に積極的にアプローチをかけ後に結婚する。

 また草野先輩は後輩たちが酔ってポストを壊してしまった罪を自ら被って勝弥の卒業する後で遅れて卒業したのだった。

 懐かしい昔話をしている内に勝弥は涙が出てくる。弟・勝雄は海の向こうに出兵しそのまま戦死してしまったのだ。彼は兄・勝弥より球が速かった。そんな弟の名前を孫につけたのが勝弥だった。

 インタビューを終えた本田は勝弥に川上哲治記念球場で行われる親善試合のことを話し出席するように言う。勝弥は「まあ私が生きていたら」と答えを濁す。そのあと、勝弥は海路に草野のことを聞く。

 海路によれば草野もフィリピンで戦死したそうだった。本田はなぜ勝弥がそのことを話さなかったのか疑問に思う。

 本田はかつての七高OBたちに親善試合の招待状を送る。村田聡(滝田裕介)、現在は議員の赤木吾郎(土屋嘉男)、スペイン・アンダルシアで暮らす天本英人(犬塚弘)らは出席に丸をする。

 一方、勝弥は久しぶりに西崎浩一(織田順吉)に浩一によく懐いていた長女・橋本富子(佐々木愛)と共に会いに行く。浩一は勝弥とかつての野球仲間は戦場でほとんど戦死してしまったことを懐かしみ、自分は参加できないから参加しておくれ、と弱気な発言をする。勝弥は励ますが浩一の妻・公子(佐々木すみ江)によれば長く生きられないらしい。

 海路は勝弥に参加を求める電話をするが、勝弥はそれを断る。諦めきれない海路は本田や真田と共にわざわざ家まで出向き出席するよう説得するが頑として勝弥はそれに応じなかった。そんな姿を富子は批難した。

 一方、野球推薦により六大学に入ることが不可能となった勝男は鹿児島に憧れるようになり鹿児島大学へ進むことを決める。母・陽子(斉藤とも子)は反対するが父・勝弘はそれもいいのでは、と賛成する。

 その後、無事に鹿児島大学に受かった勝男は鹿児島に引っ越した。一同は歓迎するが、ほぼ同時期に西崎浩一が逝去した。

 西崎の葬儀に出席した勝弥は公子から夫は死ぬ前まで親善試合に参加したかったと思っていた、ことを話し西崎の遺影を持って人吉に行くので勝弥も人吉に行ってほしい、と頼む。勝弥は承諾する。

 鹿児島に来た勝弥は勝男を連れて開聞岳・望比公園の慰霊碑を訪れる。そこで勝弥はフィリピンでのことを思い出した。

 フィリピンで軍医として従軍した勝弥は負傷して運ばれてきた草野と再会した。草野は上田と再会できてよかった、と喜んだのもつかの間、撤退をせざるを得ない状況に陥っていた。上田は「見捨てるわけにいかない」と撤退を拒否するが草野は「上田、おまんさは生き延びろ。おいに構わず…。北辰斜にさすところ…」と強く言い、やがて唄いだす。上田はついに撤退指令を出す。上田はボロボロに涙しながら草野を置いて撤退した。

 そのことを思い出した勝弥は勝男に「まだ海に沈んでいたり海の向こうの国から帰って来れない日本兵がいるんだ」としみじみと話す。

 夜。親善試合を控えて七高OBで親睦会を開いた。そこで北島憲吉(高橋長英)含む他のOBと再会した勝弥。鹿児島大学の選手たちを励ましながら飲んで酔って踊って騒がしくした。

 翌日。ついに川上哲治記念球場で親善試合が行われる。海路は旧制第五高の財前一郎(鈴木瑞穂)と再会。二人はよき好敵手であり友だった。二人は野球の話で盛り上がるが、やがて二人して戦争から生き延びたことを涙する。

 やがて、ついに試合が開始される。大学の生徒たちは怪我をしない程度にやろう、と老人OBたちほどあまり気乗りはしれいなかった。

 3回裏、五高が1点先取してしまう。しかし4回表で七高が1点とり1対1となった。

 やがて勝男が登板する。勝男は若かりし頃の勝弥の生き写しのようにボールを投げ、両校のOBが驚く。勝男はうまく防衛する。やがて両大学ともこの試合に本気で臨むようになる。

 その後、両大学とも1点もとらず1対1のまま9回裏。選手交代により勝男の代わりに新しい投手が登板する。

 その投手は死んだ勝弥の弟・勝雄に歩き方も投げ方もソックリそのままだった。それだけではない。他のファースト、セカンド、サードもまるで勝弥の同学年の戦死した野球仲間たちにソックリだった。

 やがて五高からもかつて勝雄のボールを売った打者・イワモトにソックリな男が立つ。その男は勝雄ソックリの投手の投球を打つが、そのボールはなんとかキャッチされついにゲームは終了する。退場する選手たちは勝弥の目には次々と消滅していくように見えた。

 1対1の引き分けで終わった試合。勝弥は誰もいなくなった球場をひっそり眺めていると、草野の幻が。草野は勝弥を大声で呼び、「北辰斜め」を唄い始める。

 そんな草野の幻影も消滅し、勝弥はベンチに座るのだった・・・









 この映画は現実のシーンと過去のシーンの対比がいいですよね。そして終盤でその二つが重なるような野球試合。感動しました。しかし私の文だと過去の部分を結構、省略しているようなので少し面白味には欠けた文にはなったと思います。ホントに青春でなくて情熱の映画ですよね。

 実は原作は現在のシステム化教育に納得がいかない室積光という人が書いた本なのですね。確かに私もこういった旧制高校の教育理念は現代の教育で参考にできるものだと思います。

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(2008/09/05)
三國連太郎、緒形直人 他

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原作小説
記念試合記念試合
(2007/12)
室積 光

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Category: 邦画ハ行
民主主義に評価されファシストに批判された映画。


『大いなる幻影』(1937年・仏)
大いなる幻影
スタッフ
監督:ジャン・ルノワール
脚本:シャルル・スパーク、ジャン・ルノワール
製作:アルベルト・ピンコヴィッチ、フランク・ロルメール
音楽:ジョゼフ・コズマ
撮影:クリスチャン・マトラ
編集:マルト・ユゲ、マルグリット・ルノワール
配給:RAC
キャスト
マレシャル中尉:ジャン・ギャバン
エルザ:ディタ・パルロ
ド・ボアルデュー大尉:ピエール・フレネー
ローゼンタール中尉:マルセル・ダリオ
ラウフェンシュタイン大尉:エリッヒ・フォン・シュトロハイム


 ジャン・ルノワール監督作品「大いなる幻影」。原題タイトルは「La Grande Illusion

 ルノワールという苗字、聞き覚えありませんか?実はかの有名な印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男坊なんですよ。そしてかなりの自信家でお馴染みの大先輩映画人エリッヒ・フォン・シュトロハイムがワガママを何度も言うのに対してついに泣き出し「これ以上、何かするんだったらアナタが私の代わりにメガホンをとってくれ!」と言ってシュトロハイムを譲歩させたなかなかの男ですね。他の作品には再びジャン・ギャバンとタッグを組んだ「フレンチ・カンカン」(1954)があります。

 この映画はルノワール自身の戦争体験を元に作られ彼自身がリアリズムを追求したからこそ、この映画はフィクションですがとてもリアリティがあります。また、収容所から脱獄する映画の原点を築いた映画でもあります。例えば、「大脱走」(1963)などにも影響を与えたと言えるでしょう。まあ、大脱走とは根本的に違う映画なんですが。

 先述したとおり、この映画は戦場にも敵同士の友情や相手への敬意がある、という戦争における騎士道精神があることも伝えつつ戦争の空しさを訴えた作品でもあるからしてあの映画好きのナチス広告塔ゲッベルスなどを筆頭にファシストにはそのストーリーを嫌悪されていました。日本でも戦時中は検閲によって上映禁止になっていました。しかしアメリカなどの民主主義国には高い評価を受けていたようです。


【あらすじ】

 フランス航空隊のマレシャル中尉とド・ボアルデュー大尉はドイツ軍に撃墜され捕虜収容所に収容される。その収容所で脱出用の穴を掘るがあと少しのところで別の収容所に移送される。何度も脱獄を繰り返す二人は城砦の収容所にて自分たちを撃墜させた貴族出身の元軍人ラウフェンシュタイン大尉と再会。彼は収容所の所長となっており、同じ貴族出身のド・ボアルデュー大尉と仲良くなっていく。しかしボアルデューとマレシャルは諦めることなく脱獄を企てていた・・・



大いなる幻影のシーン













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 第二次世界大戦。

 フランス航空隊のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)とド・ボアルデュー大尉(ピエール・フレネー)は戦闘機を撃墜されドイツ軍に捕虜として捕らわれてしまう。その際、撃墜したドイツ軍の将校ラウフェンシュタイン大尉(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)は二人を歓迎し、やがて二人を収容所へ送る。

 収容所で、マレシャルらはドイツ軍兵士からこの収容所ではドイツの規則に従うように、と釘を刺され二人はユダヤ人銀行家の息子・ローゼンタール中尉(マルセル・ダリオ)らと出会う。ローゼンタール中尉らは脱出用の穴を掘り進めているようだ。マレシャルとボアルデューもそれに協力する。

 徐々に掘り進めるなか、収容所内で慰安演奏会が開かれる。元俳優だった収容所の同室将校(ジュリアン・カレット)が高らかに歌い他のフランス将校たちを笑わせる。そんななか、ドーモンをドイツ軍から奪回したという報が。マレシャルはそれを大声で知らせ、聴衆のフランス将校たちは故郷の歌〝ラ・マルセイエーズ〟を高らかに歌う。

♪ラ・マルセイエーズ

La grande illusion - marseillaise 投稿者 RioBravo
(ドイツ軍の攻撃や侵略を受けるフランス人にとってこの国歌こそ諦めない希望だったともいえます。映画「カサブランカ」でも似たようなシーンがありました。)

 その後、聴衆を煽った罪でマレシャルは独房に入れられてしまう。彼は心配する監視のドイツ軍老兵に対し八つ当たりを散らすが、老兵はハーモニカを置いて部屋を立ち去る。マレシャルはハーモニカを吹き気を紛らわす。その姿を見た老兵は様子を見に来た若い兵隊に「戦争が長すぎたから彼は大声を出したのさ」と説明する。

 その後、独房から出されたマレシャルは穴があと少し、というところまできたことを知る。しかし完成を間近にして突如として収容所の移転を命じられるのだった。

 それからマレシャルとボアルデューは各地の収容所を転々。その間に何度も脱獄、脱走を繰り返すがことごとく失敗する二人だった。

 やがて二人はある城砦の収容所に送られる<ロケ地はアルザスの城砦>。その収容所の所長はなんと自分たちを撃墜させたラウフェンシュタイン大尉だった。彼は戦争で負傷し、その後役人になって収容所の所長になったらしい。また、その城砦の収容所でローゼンタールとも再会する。

 ラウフェンシュタイン大尉は自分と同じ貴族出身の将校ボアルデューに親近感を覚え、彼は特別待遇に扱おうとする。個室を用意しようとしたり、定期検査のときも軽く行うだけにしたり、一方でマレシャルら労働階級の人間には他の収容所所長と同じく厳しく接するのだった。

 ボアルデューはラウフェンシュタインに自分をなぜ待遇するのか聞く。ラウフェンシュタインは「あなたのような貴族出身の将校なら分かるはずだ。この戦争が終われば我々、貴族はもはや無用の存在となる。それが残念でならないだろう」と話す。ボアルデューはそれを聞き「それが時代の流れだ。やむを得ないでしょう」と話すのだった。

 一方でボアルデュー、マレシャル、ローゼンタールらは着々と脱獄の準備を進めていた。そんななか、ボアルデューは自分が囮になって兵を引きつけるから、二人で脱走を図るのだ、と命令する。それを拒否するマレシャルだったがボアルデューの意志は固かった。

 やがてボアルデューは笛を吹きながら脱走を図るフリをする。兵士たちは城の中を逃亡するボアルデューに引きつけられ、マレシャルとローゼンタールの脱獄に気付かなかったのだ。

 ボアルデューは戻ってくれば撃ちはしない、という説得をするラウフェンシュタインの言葉に「気持ちはありがたいが、そういうわけにもいかない」と言い去ろうとする。ラウフェンシュタインはボアルデューの足を狙って撃つが、その銃弾は胸に当たりボアルデューは倒れた。

 翌日、マレシャルとローゼンタールの脱走を知ったラウフェンシュタインはボアルデューに胸を撃ってしまったことを謝罪する。ボアルデューは「迷惑かけたのはこちらの方だ」と言いラウフェンシュタインを励ます。やがてボアルデューは息を引き取りラウフェンシュタインはボアルデューの瞼をおろして瞳を閉ざすのだった。

 脱走したマレシャルとローゼンタール。しかしローゼンタールが脚をくじき、二人はやがていらだちがつのって口論となる。マレシャルはローゼンタールを罵倒し「冗談じゃない!お前みたいなお荷物は置いていくぞ!」と言って去ろうとするが気持ちを落ち着かせローゼンタールに自分の肩を貸す。

 やがて二人は一件の民家の納屋に隠れた。しかしその住人エルザ(ディタ・パルト)に見つかってしまう。

 通報させるかと覚悟した二人だったがエルザは二人を捕虜だと知っていながらもかくまうことになったのだ。エルザは娘と二人暮らし。夫と兄弟はみんな戦死してしまったようだ。

 二人はその民家でまるで本当の家族のように生活する。農作業をしたり、牛にエサをやったり。クリスマスにはエルザとエルザの娘と一緒に祝ったりもした。ほんの少しの憩いの時だった。また、エルザとマレシャルの間に愛情が芽生え始めていた。

 しかし二人は故郷の国に帰らなければならない。マレシャルは別れの際、エルザに「もし俺が故郷に帰り戦争が終わった時まで生きていたら、その時は君たち母子を迎えてフランスで暮らそう」と言う。エルザはその言葉に涙しマレシャルは別れを惜しまないために振り返らずにローゼンタールと民家を後にする。

 ついに二人はスイス国境付近へたどり着く。ローゼンタールは「もし散り散りになった時のためにお別れを今しておこう」といい、二人は笑って抱擁し合う。

 しばらく経ってドイツ軍の警備兵たちが近くを通りかかる。警備兵は二人を見つけて発砲するが、隊長らしき男がそれを止める。

 二人はすでに国境を越え、スイス領に入っていたのだ。隊長は「奴らはスイス領に入ったようだ。運のいい男たちだ」と憎らしげに言う。二人は雪の積もる道をただただ歩き続けるのだった・・・








 この映画は「戦争はダメだよ!」っていう直接的な表現で戦争を批難しているのではなく「戦争ってこんなにむなしいんですよ」と少し柔らかめに、しかし主張は同じく戦争を批難しているのです。戦争で生まれる騎士道精神も決して美しいだけではない、さすがは芸術家の父親を持つだけあってルノワール監督もとても芸術的に戦争映画を作ったんですねえ。

 「大脱走」と違ってこの映画、大衆向けというか娯楽的に作られた映画ではないんですよね。あっちは本当に汗臭い映画といってはなんか批難しているように聞こえるわけですが、そうではなくて大脱走には男の汗、熱っぽい良さがあってこっちの大いなる幻影には美しさと芸術性があるんですね。だから騎士道精神を出したりして、収容所を脱走する内容に芸術色を漬け込んだのでしょう。

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Category: 洋画ア行
20世紀の俳優たちが豪華揃い。


『死に花』(2004年・日)
死に花
スタッフ
監督:犬童一心
脚本:小林弘利、犬童一心
音楽:周防義和
撮影:栢野直樹
編集:阿部亙英
配給:東映
キャスト
菊島真:山崎努
伊能幸太郎:宇津井健
穴池好男:青島幸男
庄司勝平:谷啓
先山六兵衛:長門勇
明日香鈴子:松原智恵子
源田金蔵:藤岡琢也
井上和子:星野真理
遠山貞子:加藤治子
月村俊介:鳥羽潤
鴨下太一:高橋昌明
赤星周次郎:小林亜星
赤星静子:吉村実子
クラリネット奏者:北村英治
阿保親雄:岩松了
黒井順一:ミッキー・カーチス
青木六三郎:森繁久彌


 犬童一心監督作品「死に花」

 パッとキャストを観て先述したとおり、20世紀から活躍してきた名優たちが揃っていますねえ。中でも青島幸男、谷啓、藤岡琢也、森繁久彌らは既にお亡くなりになってるのが残念なのですが。

 死を控えた老人たちの生きざまが描かれていますね!この映画はホンットに老人が生き生きしているですよ。あ、お年寄りってすげえなあ、とか思ったり憧れたりしました。ストーリーとしては喜劇のような感じですね。

 犬童監督というのは初めて聴いた名前なんですが、「ゼロの焦点」(2009)とか「のぼうの城」(2012)の監督さんだったんですね。


【あらすじ】

 高級老人ホーム「らくらく長寿園」。ここに仲良しの老人5人組がいた。ある日、その一人が死にその男が他の5人に遺言のような日記を遺す。それは銀行の地下金庫まで穴を掘って進むいわゆる銀行強盗の計画だった。5人はその意志を引き継ぎ計画を遂行する。














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 高級老人ホーム「らくらく長寿園」。テニスコートあり、温水プールとにかくいろいろな設備が揃った老人ホームなのだ。そこへ新任の介護職員・井上和子(星野真理)がやってくる。井上は施設の中に入り、その施設の凄さを改めて感じる。

 そのホームで、計画を立てるのが大好きな老人・源田金蔵(藤岡琢也)が自分がいつ死んでもいいように、と棺や骨壺を買っていた。それを元銀行員の伊能幸太郎(宇津井健)、女性を観たらすぐに毒牙にかけるエロ爺の穴池好男(青島幸男)、ちょっと体格のいいポッチャリおじいさんの庄司勝平(谷啓)、そして元映画プロデューサーの菊島真(山崎努)ら仲良しの4人に披露していた。

 そのホームで早速、99歳白寿の誕生日お祝い会が開かれた。99歳になったのは太平洋戦争の空襲で妻子を失った青木六三郎(森繁久彌)の白寿のお祝いだった。青木は車いすで檀の上まで運ばれる。

 所長の阿保親雄(岩松了)は青木に何かコメントを、と言うが青木は何も言わずにヨボヨボの老体を見せるだけ。やがて誕生日ケーキが運ばれてくるが青木はなかなか消せない。入居者の一人・赤星周次郎(小林亜星)が妻・静子(吉村実子)の隣で「はやく消せよ!」と文句を言う。青木はそれでも最後の2本を消そうとするが職員が消してしまったため、不機嫌になる。

 井上和子は温水プールのジャグジーでラブラブしている源田と遠山貞子(加藤治子)を見る。二人は本当にラブラブしていた。一方、貞子と仲のいい明日香鈴子(松原智恵子)は夫を亡くしており、その夫は菊島真が疎開していた頃の友達だったのだ。

 ある日、仲良し5人組で釣りをしていたら源田が最近、調子が悪いことを明かす。やがて源田は大きな魚を珍しく釣る。その姿を遠くから見た貞子は「今私凄い興奮してる!」と無邪気に言うのだった。

 それからしばらくして源田金蔵は逝去した。しかし金蔵は亡くなる前から葬式の予定を組んでいたのだ。黒井順一(ミッキー・カーチス)らが司会として葬儀が開かれる。それはまるでパーティのような賑わいだったのだ。クラリネット奏者(北村英治)らがジャズを演奏し、出席者はダンスを楽しんだりする。

 落ち込んでいる貞子を見た菊島はダンスに誘うのだった。

 やがて楽しい葬式は終わり、源田の遺体が入った棺は燃やされた。しかし火葬され骨上げのために出した火葬場の職員が驚き上司を呼ぶ。その声を聞いた全員が集合する。

 なんと骨が二人分あったのだ。貞子が睡眠薬を大量に飲んで金蔵の棺に入り込み、隣に寄り添って燃やされたのだ。共に骨になることで最期まで愛を突き通したのだった。

 一方、形見分けで源田の日記を貰った菊島は読む。その内容を読んだ菊島はサクランボ銀行という銀行に行き、そこで新しい口座を作ろうとした。しかし狙いは別にある。

 翌朝、明日香鈴子と一緒に食事する菊島。菊島が「これからの人生はどうされるおつもりで?」と問うと鈴子は「これからでも一花二花咲かせるべきでは?」と答え、鈴子は菊島を一緒に温泉に行こうと誘うのだった。やがて二人は温泉に行く。向かいのバスの後部座席でキスしたりして。

 しかし、夜。残念ながら菊島の老体は鈴子を抱くことはできなかった。

 翌朝、一足先に鈴子を帰す。菊島は自分以外、誰も見てない金蔵の日記を渡すのだった。

 長寿園に帰って来た菊島は自室に伊能、穴池、庄司、そして鈴子が居るのを見て驚く。鈴子が日記の内容を話してしまったのだ。

 日記の内容というのはサクランボ銀行の地下金庫から金を盗み出す、といった内容だった。それに伊能らが乗ってしまったのだ。特に伊能は昔、サクランボ銀行に勤めていたが上役の罪をかぶせられて辞職させられたのだ。恐らく伊能から話を聞いた金蔵が計画を立てたのだろう。老人4人組は躍起になる。

 穴を掘り始める位置にホームレスの小屋があることに気付いた4人組。そこで伊能は小屋に住むホームレスの老人・先山六兵衛(長門勇)と話し彼が川で桃太郎の桃がドンブラコと流れてこないか、を川に流れるゴミを拾いながら見ていたのだ。伊能は先山を銀行強盗の計画に協力させる。

 穴を掘り始める壁をウォータージェットで開けようとするがなかなか老体には難しい。そこでかつて水道屋をしていた先山がウォータージェットを使い始める。

 長寿園では菊島がバイアグラを飲もうとした時に鈴子に止められ「自然の流れに任せましょう」と言う。菊島らは穴を掘りつつホームでの生活も職員に怪しまれないようにしなければいけないのだ。例えば認知症を防止するための訓練もしている。数字を逆さに数えるのだ。20、19、18・・・と。

 ある日、テレビでサクランボ銀行が他銀行と吸収合併になるという報道が。伊能は新銀行の副頭取になる男が自分に責任を押し付けた男だと悔しがる。やがて伊能はあることに気付き、みんなと共にサクランボ銀行に向かう。

 なんと10月31日閉店というのだ。それまでに銀行強盗を成功させなければならない。急ピッチで進め始める。

 ある日、彼氏とデート中に喧嘩別れした和子は偶然、穴に弁当を持っていく穴池を目撃する。その後を追った和子は土に埋もれてしまった穴池を発見。人工呼吸をするが途中で目が覚めた穴池は情熱的な和子の接吻<和子にとっては人工呼吸だが>を楽しむのだった。鈴子は起きた穴池から銀行強盗の計画を聞かされ老人の凄さを思い知る。

 一方、鈴子と昔話をしていて映画を撮っていたころの自分を思い出した菊島。そしてついにあれほど悩んでいた自分の性器が勃起し鈴子の手を引き寄せるのだった。

 ある日、穴を掘っていると穴の側面が崩れて空洞を発見する。それはかつての防空壕だった。そしてその防空壕からは白骨遺体が3つと小さな人形、そして家族写真と思われるものが発見された。その写真は不鮮明だったが、最近は復元できるようになっているのだ。

 ある日、菊島は自分のブーツの結び方を忘れてしまったことに気付く。

 穴はどんどん進みついには、床下のコンクリート面のところに辿りついたのだ。コンクリート面のところに穴池は「和子 LOVE」と書く。

 いよいよ明日こそ銀行内に侵入しよう、といったその日。台風が近づいてくる。菊島は穴に蓋をしてくる、といって一人戻って行った。

 やがて雨風は強くなり、心配した他の3人と鈴子は様子を見に行く。そこには呆然と立ちつくす菊島がいた。菊島は川を見ながら数を逆に数えはじめる。言えなかった。自分が何をしに来たのか分からなくなってしまったのだ。

 つまり穴は増水した川の水によって飲み込まれてしまったのだ。すべてが水泡に帰してしまった。菊島が土下座し「すいませんでした!」と謝る悲痛な姿に他の面々は何も言えなかった。

 やがて突如、地面が揺れ始めなんとサクランボ銀行が傾いてきたのだ。恐らくあの穴に水が凄い勢いで流れ込み、自然のウォータージェットとなり、地面を陥没させたのだろう。

 ガードマンはトイレに閉じ込められ身動きができない。今がチャンスだと全員で金庫のある地点に向かう。そして突貫工事をはじめるのだ。

 途中、庄司が胸を痛め倒れる。心臓発作だった。やがてビルがまた傾きその揺れで庄司が目覚める。庄司は今、三途の川へ行って源田金蔵からはやくみんなを手伝うよう言われたそうだ。

 とにかく穴を掘り進める老人たち。そして、雨があがったころ、穴池はヘトヘトになりながら満州引き上げのときを話す。「自分は満州引上げのとき、死んだ方がマシだと思った。だがあのころの俺に叱ってやりたい。こんなに面白いことがあるんだから」と言ってのけた。

 お金をいただいた4人は警官に通報する。やがてさくらんぼビルは傾き倒れてしまった。

 翌日からワイドショーで引っ張りだこのこの事件。キャスター(大和田獏)によれば「和子LOVE」という字から若者の犯行だと思われたらしい。

 長寿園では鈴子が防空壕で拾った写真の復元写真を菊島に見せていた。菊島はそれを見て、青木六三郎の下へ向かう。

 防空壕で死んだ家族というのは青木の妻子だったようだ。菊島は青木に防空壕で拾った遺品を見せる。ずっと何を見ているのか分からず何も語らない青木は写真を見た瞬間に涙を流す。

 どうやら青木から妻子をどこかの防空壕が埋まり亡くしたことを聞いた源田が防空壕の場所を特定し、菊島たちに銀行強盗の計画だ、として掘らせたようだった。計画大好きの菊島にまんまと乗せられたようだ。

 青木のお墓を買うためにいくらか使ってもまだお金はありあまっている。使い道を考える4人組に鈴子は「武田信玄の埋蔵金を掘る軍資金にしては?」と言う。

 その言葉に菊島が無邪気に喜び「やろう!やろう!」と叫ぶ。菊島は川辺に駆け込み、川に石を投げて遊ぶ。そして3人組に「こっちにこいよ!じゅんぞう君」と言う。

 じゅんぞう君というのは鈴子の亡くなった旦那で菊島が疎開先で遊んでいた友達の名前だった。菊島は童心に戻ってしまっていた。

 心配そうに見つめる3人に鈴子は「大丈夫ですわ。だってあんなに楽しそうなんですもの」と言うのだ。







 不安なラストですよね。これは結局、菊島真が完全にボケてしまったということなんでしょうか。

 一番好きなシーンは森繁久彌演じる青木六三郎が家族の写真を見せられて泣くシーンです。この演技だけで森繁久彌が好きになりました。

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山崎努、宇津井健 他

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原作小説
死に花死に花
(2003/04)
太田 蘭三

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Category: 邦画サ行
チャップリン短編映画シリーズ。


『チャップリンの霊泉』 (1917年・米)
チャップリンの霊泉
スタッフ
監督:チャーリー・チャップリン
脚本:チャーリー・チャップリン
製作:チャーリー・チャップリン
撮影:ローランド・トザロー
配給:ミューチュアル・フィルム・コーポレーション
キャスト
霊泉のアル中の客:チャーリー・チャップリン
娘:エドナ・パーヴァイアンス
大男:エリック・キャンベル
マッサージ師:ヘンリー・バーグマン


 チャーリー・チャップリン監督作品「霊泉」。原題タイトルは「The Cure

 久しぶりのチャップリン作品。これはチャップリン作品の中でも中期ごろの作品ですね。

 霊泉って言葉、私知らなかったんで調べてみたんですが「不思議な効能がある温泉」といった意味らしいです。要は温泉ってことですね。

 そんなたいそうなところに泊まれるんだからチャップリンは少しは富のある役を演じているようですね。貧乏人を演じ風刺をきかせたような作品では、ないということです。しかもアルコール中毒の役のようで。

 この映画で気に入ったシーンはマッサージ師とチャップリンが格闘するシーンもそうですが、やっぱり回転扉のくだりはとても面白い。回転扉はゴッドファーザーのあるシーンで少しトラウマになりかけてましたが、こんな面白い回転扉の使い方はそうそうできません。さすがのチャップリンです。

 チャップリンって時々女々しいポーズや目の使い方をするんですが、この映画でもチャップリン女々しかった気がしますね。



※古い映像と音源ですのでノイズが入っています。
Category: 洋画タ行

慕情

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私の中で最高の映画音楽が流れていますね。


『慕情』 (1955年・米)
慕情
スタッフ
監督:ヘンリー・キング
脚本;ジョン・パトリック
原作:ハン・スーイン「多くの輝きをもつもの」
製作:バディ・アドラー
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ウィリアム・レイノルズ
配給:20世紀フォックス
キャスト
ハン・スーイン:ジェニファー・ジョーンズ
マーク・エリオット:ウィリアム・ホールデン
アデリーン・パーマー=ジョーンズ:イソベル・エルソム
スザンヌ:ジョージャ・カートライト
少女:キャンデース・リー
ノラ・ハーン:ソー・ヨン
Dr.セン:カム・トン
叔父:フィリップ・アーン
ハンフリー・パーマー=ジョーンズ:トリン・サッチャー


 ヘンリー・キング監督作品「慕情」。原題タイトルは「Love Is a Many Splendored Thing

 この映画は前述したとおり映画音楽が素晴らしすぎる。今まで、そして恐らく今後も映画音楽で一番好きな曲になると思います。アルフレッド・ニューマンが演奏しサミー・フェインが作曲した曲。

 主演女優のジェニファー・ジョーンズはロバート・ウォーカーっていうヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」(1951年)で気味悪い病んでいる男を演じた人と最初に結婚。その後、子供産んで離婚してから映画プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックと結婚。セルズニック死別後ももう一回、結婚してますね。2009年にお亡くなりになってますが90歳という長生きした女性でした。

 対してウィリアム・ホールデンはプライベートでいろいろあってアルコール依存症になり、階段から落ちて出血多量で死んだそうです。勿体ないですねえ。でもホールデンってこの映画のために毛むくじゃらの胸毛を剃った、とかって淀川長治さんが言ってました。

 この映画はストーリーは悲恋。この壮大にも静かな悲哀の色も出せる万能な主題歌によってそのストーリーに魅力を継ぎ足していました。私はストーリーよりも香港の情景が凄く印象的です。美しく綺麗な海、香港の街、この映画一つで香港に行ってみたくなる映画でしたね。ホントに香港の撮り方がうまかったし色彩も素晴らしいと評価します!


【あらすじ】

 香港で医師をしている研修医のハン・スーイン。彼女は中国人と英国人のハーフだった。そのことで苦労することも多かった彼女は第二次世界大戦で夫を中国共産党員に殺害されていた。恋にも人にも絶望した彼女はある日、パーティで英国人記者のマークと出会う。マークには夫婦関係のうまくいかない妻がシンガポールにいるが二人は逢引を重ねるうちに・・・


♪主題歌   アルフレッド・ニューマン
















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 第二次世界大戦終結後の香港。

 香港で研修医として病院に勤めるハン・スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)。彼女は英国人と中国人のハーフで優秀な医者だったがハーフであることから蔑まれることもあった。夫を先の大戦で亡くし、彼女は中国から香港へやってきたのだ。

 交通事故にあった家族とはぐれた難民の少女(キャンデース・リー)を治療し彼女はDr.ジョン・キース(マーレイ・マシソン)に誘われてパーティに出席する。

 パーティでは理事長ハンフリー・パーマー=ジョーンズ(トリン・サッチャー)と理事長夫人のアデリン・パーマー=ジョーンズ(イソベル・エルソム)を紹介される。さらにハンはそのパーティでアメリカ人海外特派員で記者のマーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)と出会う。マークはスーインを観ると一目惚れしてしまい、彼女を食事に誘う。しかし彼女は仕事がある、と言って断る。

 帰り道、キースはマークが妻帯持ちであることをスーインに話す。しかしその妻との夫婦関係は冷めているようだが。

 スーインが病院に戻ったあと、マークから電話がかかってくる。スーインは一度きりなら、と彼との食事に応じる。

 そしてお食事の日の夜。スーインとマークは船上レストランで彼と食事をする。満月を楽しみ、二人は憩いの一時を過ごす。車で見送った後、スーインもマークも互いの身の上を告白する。スーインはもうあなたと会うことはない、と言うがマークはまた誘う、と言うのだった。

 それから一週間後。マークはシンガポールへいく、という連絡をし帰り次第連絡する、ともいった。

 その日の昼ごろ町に出たマークは旧友で同じハーフの女性スザンヌ(ジョージャ・カートライト)と再会する。スザンヌは髪を金に染め中国人であることを捨てようとしていたのだ。それに対しスーインは自分には中国人としての誇りがある、だからいずれ故郷・中国に戻るつもりだったのだ。

 その後、香港に戻ってきたマークはスーインに連絡。泳ぎに行こう、と誘う。スーインは駄目だとは分かりつつも彼の誘いに応じ浜辺に行く。

 浜辺からスーインの友人の家に泳いで向かったスーインとマーク。二人はノラ・ハン(スー・ヤン)とその夫ロバート(リチャード・ルー)の家を訪ねる。ノラらはスーインにマークといい関係になっちゃって、と言うがスーインは関係を否定する。

 しかし浜辺へ戻る帰りの舟でマークはスーインにキスをしてしまう。スーインは愛に傾きつつも、いまだに迷いがどこかにあった。

 翌朝、病院の裏の小高い丘の木のところで待ち合わせした二人。スーインは遅くなってしまい、マークが見えなかったので帰ろうとするがマークはずっと待っていたのだ。二人はその丘でイチャつく。やがてマークの肩に赤い蝶が止まった。スイーンは「赤い蝶は幸運をもたらす」と言うがマークが動いたのでその蝶は飛び立ってしまった。

 しかし数日たって。スーインは妹スーチェン(ドナ・マーテル)が何かやらかした、と叔父(フィリップ・アーン)から連絡を受けて故郷・中国の重慶に戻ることになった。

 そのことをマークに伝えるスーインは自分の血のことも含め色々なことを整理したい、とマークに言う。しかしマークは焦れており、未だに中国と英国の混血のことを気にするスーインの下からついに去ってしまう。

 重慶行きの飛行機の中で、スーインはスザンヌと再会。スザンヌはなんと理事長ハンフリーと不倫関係にあるようだった。

 重慶の実家に辿りついたスーインは叔父ら親戚の一族と再会する。叔父からスーチェンが今は外国人と暮らし中国から逃げたがっている、ということを聞く。

 スーインはスーチェンと再会し彼女が中国を捨て国外で暮らす決意をしていることを聞き、彼女を応援することを決める。

 実家に戻ったスーインは客人が来ていることを知らされる。エリオットだった。エリオットはシンガポールの妻と離婚することとスーインに求婚するのだ。スーインはついにそれを承諾する。

 スーインは叔父たちに報告。叔父らはスーインを縁切りするかわりに彼女の結婚を承諾。そして家族一人一人が長く自分で身に着けていた大切なヒスイをスーインに渡すのだった。

 飛行機で帰ったスーイン。マークはそのまま一度、香港へついてからシンガポールへと向かった。

 シンガポールから一度はマークは妻の承諾が出た、という報せを受けるスーインだったが帰って来たマークの顔は浮かない。どうやらその後で妻が離婚を断ったそうなのだ。ショックを受けるスーインだったが今までの関係を続けることを変えるつもりはないようだ。

 その後、取材でマカオへ立つことになったマーク。マークはスーインについてきてほしい、と言いスーインはそのあとをついていくことを約束する。

 自分も追おうとした日、理事長夫人アデラインに呼び出される。アデラインは妻帯者のマークと付き合うなんて病院の医師として不名誉なことだ、と忠告するがスーインはそれを無視しマカオに旅立つ。

 マカオで占い師に幸運を祈ってもらったスーインとマーク。二人は永遠に時を同じく過ごせる、という占いの結果が出たのだった。

 しかしホテルに戻った途端、スーインには朝鮮戦争の取材によって現地に飛ぶように、との電報が届いていた。すぐに香港へ戻る二人だった。

 スーインは病院をクビになってしまい、この前助けた難民の少女と共にノラ・ハンの家に居候させてもらうことになった。中国人医師のDr.セン(カム・トン)は中華人民共和国になった故郷へ共に戻らないか、と誘うがスーインはもはや中国人の誇りなど捨ててそれを断るのだった。

 出発を控えたマークはスーインと病院の裏の丘を登る。スーインはマークにいつまでもこの丘で帰りを待つことを約束し愛を確かめ合うのだった。

 スーインは一月経っても、マークから届く手紙を心待ちにしていた。

 しかしある日、その希望は非情にも断たれてしまう。新聞にマークの戦死を伝える記事が掲載されていた。スーインはその記事を読み絶望しながら家を飛び出す。

 スーインはあの病院の裏の丘をのぼりだす。丘をのぼったところで、こちらに手を振るマークの姿が見えた!しかしそれはやがて消滅する。

 スーインは泣き崩れる。亡きマークはスーインの心に語りかける。

 私たち二人は幸せなときを過ごせたのだ。私達は出会えて幸せだった・・・










 本当に悲恋ですがいい映画でしたよ。しかしいい映画だと思わせるにはこの主題歌が欠かせなかったでしょう。この主題歌なしでヒットはありえなかったと思います。だからってストーリーがチープとかじゃなくて、ストーリーの美しさそのものをこの音楽が引きたてているんですよね。

 ラストシーンなどで使われている小高い丘、というのはビクトリアピークのケレット山というのだそうですが、詳しい場所はわかってないそうです。一説には、その丘のシーンだけスタジオで撮影したとか別の公園で撮ったとか諸説あるようです。

 この主題歌は素晴らしいので多くの歌手が歌っています。その中の一つ、アンディ・ウィリアムズと美空ひばり、マット・モンロー、ナット・キング・コール、フランク永井。フォー・エイセスのやつを紹介しますね。どのバージョンも1番好きとか決めることは不可能ですねえ。どれも素晴らしすぎて。
♪アンディ・ウィリアムズ

♪美空ひばり

♪マット・モンロー

♪ナット・キング・コール

♪フランク永井   慕情は2:00ごろから

♪フォー・エイセス

 また、上記の歌唱バージョンだけでなく、イージーリスニングでも多く演奏されています。例えばあのカーメン・キャバレロとかに。


 慕情の観光スポットめぐりのサイトはいくつかあるようですね。サイトのひとつ

 最後に、私も香港に行きたいなあ。

慕情 [DVD]慕情 [DVD]
(2006/11/24)
ウィリアム・ホールデン、ジェニファー・ジョーンズ 他

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原作小説
についてなんですが、深町真理子という方が慕情の日本語訳の本を書いたそうなんですがアマゾンにはありませんでした。古本屋か図書館で取り寄せてもらうほかないと思います。
原語版のやつを貼っておきますね
Many Splendoured ThingMany Splendoured Thing
(1972/09/07)
Suyin Han

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Category: 洋画ハ行
今日、私は洋画を観るつもりでしたが三國連太郎の急遽の訃報により、三國の作品を観賞しました。

最初は釣りバカ日誌の1を観るつもりだったんですが、借りられていて、これぐらいしか借りられるものを見つけられませんでした。
しかし、この作品は三國氏の追悼に内容的に物凄くピッタリな作品だと思います。


『大病人』 (1993年・日)
大病人
スタッフ
監督:伊丹十三
脚本:伊丹十三
製作:玉置泰
音楽:本多俊之
撮影:前田米造
編集:鈴木晄
製作会社:伊丹プロダクション
配給:東宝
キャスト
向井武平:三國連太郎
緒方洪一郎:津川雅彦
向井万里子:宮本信子
看護婦:木内みどり
神島彩:高瀬春奈
ミッチャン:熊谷真実
名プロデューサー:田中明夫
癌患者:三谷昇
臨終を控える癌患者:高橋長英


 伊丹十三監督作品「大病人」

 この映画は伊丹十三による独特の終生観を描いていますねえ。伊丹十三はきっと癌で死ぬことになっても病院で死ぬより家で死にたい、と思っていたのでしょう。まあ、彼は不審な死でその人生を終えましたが。伊丹十三の奥さんの宮本信子が三國連太郎の奥さん役で出演されています。

 さて、三國さんですが彼は東銀座でスカウトされ俳優になりました。その後は多分、テレビのワイドショーなどを見ていれば多くの情報は分かると思います。彼は本当に俳優バカであり、怪優でした。「異母兄弟」(1957)の撮影で老人役を演じるために歯を10本抜いたエピソードはとても真似できないものです。どんどんと戦争を知る俳優さんたちがお亡くなりになっていますね。


【あらすじ】

 大物俳優であり監督である向井武平は吐血をして医者に診てもらう。担当医の緒方は癌だと気付き、手術をするがすでに向井は癌が別の場所に転移していた。しかし向井は必死に看病する妻に構わず不倫を続ける。激怒した緒方はつい、向井に死が近づいていることを打ち明けてしまう。ショックを受けた向井は自殺を図る・・・














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 映画監督でありその作品に主演俳優としても出演している向井武平(三國連太郎)。彼はガン患者であり妻も同じくガン患者になってしまった作曲家の役を演じていた。妻役の女優は神島彩(高瀬春奈)だった。

 向井は誕生日を撮影スタッフに祝われてからホテルで彩と情事にふける。老いてもこの男、性欲は真っ盛りだった。

 しかし向井は情事を終えてからトイレで吐血し苦しみだす。スキャンダルが暴露されては、と思い彩を帰してから自身も家に帰る。

 家では妻・万里子(宮本信子)が家を出ていく準備をしていた。武平は自分が吐血してしまったことを話し妻を引き止め、万里子の大学の頃の同級生だった外科医・緒方洪一郎(津川雅彦)に連絡し彼に診察を頼む。

 武平は看護婦(木内みどり)を口説いたりするが軽くあしらわれる。武平は診察中も緒方にペチャクチャ話して緒方にも軽くあしらわれる。

 その後、精密検査をした向井武平。結果は癌だった。

 武平は癌を患者に告知しない主義なので、あえて告知をせず胃かいようだと言っておきながら万里子には真実を伝える。そして緒方はまだ撮影中なんだよ!と駄々をこねる武平を執刀する。

 癌は取り除いたがすでに目に見えないところに転移しているかもしれない。万里子にはあと1年生きられるか生きられないか、正直なところを話す。

 万里子は癌だと知るや、いくら離婚寸前とはいえ、夫への愛情が蘇り彼に残りの人生だけでも優しくすることを決める。

 武平は再び癌が再発し入院させられ彼の知らないところで医者や妻が動いていた。武平はただ痛みに耐える生活を送る。何も知らない武平は自分の撮る映画の撮影を病室で行う。

 武平は、看護婦に妻との出会いを打ち明ける。ホテルで「ラストダンスは私に」のピアノの弾き語りをしていた妻・万里子と出会い彼女に一目惚れし猛アプローチの末に1週間後に結婚した。貧しかった頃の武平は夜店で買った指輪を万里子にプレゼントしたのだ。

 ある日、武平は癌患者(三谷昇)と出くわしそのケースが自分と似通っていることに気付く。そしてその癌患者に連れられある病室に入った武平。そこで見た物は喉に穴を開けられ体を動かせずに「あがー、あがー」とうめき声しか癌の末路の姿の男(高橋長英)の姿だった。

 武平と話す癌患者は「この人だってこんな風にはなりたくねえさ。だけども病院で入院したまま寿命を終えたらこんな感じなのさ。俺はまっぴらごめんだね。さっさと退院しちまいたいもんだ」としみじみと話す。

 やがて癌患者専用の点滴が自分にも使用されること、妻・万里子が自分に優しくしてくれること、そして髪の毛が抜け始めた〈抗がん剤の副作用〉ことで薄々、自分が癌なのだ、と気づき始める。

 自分の死を実感しはじめた武平はプロデューサーに依頼して愛人の神島彩を呼んできてもらう。その彩と病室でセックスをする武平。しかし彩は絶頂してから病室にやってきた看護師に追い返されてしまう。

 病院から出ていく彩の姿を見た妻・万里子はすぐに夫の浮気を察知し武平の病室を訪れ「今更、嫉妬すると思って?あなたは可哀想な人。誰もあなたを満たすことはできないのね」と言ってから「あなたは最低よ。さようなら」とビンタをして家に帰ってしまった。

 去る万里子の車を見つめた武平はすぐに病院の公衆電話を使って緒方に電話をする。そして武平の叔父を名乗り、財産整理の件などで武平の本当の病気は癌なのかを教えてほしい、と頼む。緒方は何度聞かれても答えなかったがやがて看護師の「向井さん。点滴はどうしたの?」という言葉を聞き武平だと察し激怒する。

 憤怒した緒方は武平の病室を訪れ「あんたは芸術家のくせに痛みと向き合おうともせず不倫して奥さんを困らせ、医者もだまそうとしたのか!」と積もった思いをぶつける。それに対し武平は「俺の人生は俺のものだ。あんたは俺の人生の一部を執刀したんだ。あんたの執刀も俺のものなんだ」と突っぱねる。

 ついにカチンと来た武平はつい「死ぬ前ぐらい、立派に生きたらどうなんだ!」と言ってしまう。すぐに自分の言葉を訂正しようとするが武平はガラス製の点滴容器<昔はパックではなくガラス製だった>を緒方の頭にぶつける。緒方は気を失ってしまった。

 武平はその隙に、睡眠薬とビニール、ヒモなどを持って屋上へ行く。そして睡眠薬を服用しビニールを頭にかぶりヒモで首をしめて呼吸ができないようにして自殺を図った。

 目を覚ました緒方は頭から出血するのも構わず医者や看護師と共に向井武平を探す。屋上についた時、真っ赤な夕焼けと共に自殺を図っていた武平を発見する。武平はすぐに運ばれる。

 家に帰って来た万里子は居るはずのない武平<幽霊?>と出くわしそれが指輪を渡そうとして消滅するのを見てすぐに病院に駆け込む。

 武平は手術されるが心臓は手術開始直後ごろから停止してしまう。一方、幽体離脱した武平は世界の情景を巡り、そして三途の川のようなところへ来た。武平はフラフラとその方へ向かっていく。

 電気ショック300をかけても蘇生しない。緒方は諦めようとするが万里子がもっと強い電圧をかけて、と言うので緒方は渋りつつそれに応じる。それ以上かけて生き返ったためしがないのだ。

 やがて350をかける。幽体離脱した武平は急に崖から落ちていき、やがて生き返ったのだ。緒方も万里子も奇跡を喜び合った。

 その後、緒方は万里子と相談し武平に癌であることを打ち明けることにした。緒方はこの前のことを謝罪し「医者として患者の気持ちが分からなかった。俺は未熟だった。すまなかった」と謝罪する。そして癌だということを打ち明ける。打ち明けても武平は癌だと薄々、気付いていたから目に見えるような驚きはしなかった。しかしその後でやはり震えるように泣き出し、緒方と共に悔し涙を浮かべる。

 しばらくして、退院の準備をする武平。緒方はその武平を止め「まだ希望はある。こんなところで諦めたらあんた死んじゃうよ!」と言う。しかし武平は「入院したってせいぜい1ヶ月ほどしか延命できやしない。1年ならあんたの願いに従うんだが」と言う。それでも止めようとする緒方に「むしろあんたの医者としての正念場だここは。あんたが俺の立場だったら延命を頼むか?」と聞く。

 何日か考えた後、緒方は武平の退院を認める。武平は「むしろ今からが生きれる、って感じがする」と言うのだった。

 武平は退院してからすぐに映画のラストシーンを撮影する。亡き妻のために指揮をふる、というラストシーンだ。主人公を演じる武平は車いすから上がって曲を演奏する。終わって拍手が会場を響かせると同時に向井は倒れ込む。武平は「カット」と力をふりしぼって言うのだった。

 その後、家でプロデューサー(田中明夫)など、大勢の撮影スタッフや神島彩などに見られながら武平は大勢の人に感謝する。緒方には「アンタは立派な医者だ。またアンタとは会えるさ」と言い看護婦には「この緒方をよろしく頼むよ」と言う。他にも一言二言喋ってから万里子に「ほぅら。ラストダンスはとっておいただろ?先に向うに行って待ってるよ」と言う。やがて武平は静かになる。死んだかと思ったが武平はまだ生きていて冗談で笑わせる。

 すると突然、うがーと小さくそして何回もうめき声をあげてからやがて静かに息を引き取る。万里子はじめ多くのスタッフが泣き崩れるのだった。

 桜並木を歩く緒方と看護婦。看護婦が「また会える、って言ってましたね。」と言い緒方は「ああ、また会えるさ・・・」そうつぶやきながら二人で歩くのだった。









 この映画はいかにして人生を終えるか、を描いていますね。私も実は病院じゃなくて家で死ぬことに憧れています。だからこの映画には凄い共感できたんですよね。もちろん、病院で最後まで治療を受ける、というのも間違ったことではないとは思いますよ。しかしやっぱり最後は畳の上で安らかに死にたいものです。

 最初、私はこの映画「癌」が主題だと思ってました。「白い巨塔」のような。しかしそうではなくて最後をどう生きるか、ということを主題としているんですよね。

 皆さんはどうですか?病院か家か。日本人のほとんどは病院で最期を迎えるのが実情だそうです。死は避けられない運命なのだから今から考えて頭の隅っこにでも置いておくといいと思いますよ。

 最後に、三國連太郎さんのご冥福をお祈りします。

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三國連太郎、津川雅彦 他

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Category: 邦画タ行
お婆ちゃん、オマケで3人の誘拐団VS頭の切れる本部長


『大誘拐 〜Rainbow kids』(1991年・日)
大誘拐
スタッフ
監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
原作:天藤真「大誘拐」
音楽:佐藤勝
撮影:岸本正広
編集:鈴木晄、川島章正
配給:東宝
キャスト
戸並健次:風間トオル
秋葉正義:内田勝康
三宅平太:西川弘志
柳川とし子:北林谷栄
柳川国二郎:神山繁
柳川可奈子:水野久美
柳川英子:田村奈巳
柳川大作:岸部一徳
串田:天本英世
安西:奥村公延
邦子:岡本真実
吉村紀美:松永麗子
テレビ和歌山アナウンサー:松澤一之
高野パイロット:本田博太郎
東京:嶋田久作
刑事:常田富士男
鎌田:橋本功
佐久間:竜雷太
テレビ和歌山報道局長:上田耕一
テレビ和歌山社長:中谷一郎
中村くら:樹木希林
井狩大五郎:緒形拳


 岡本喜八監督作品「大誘拐 〜Rainbow kids〜」。

 岡本喜八監督来ました!「ブルークリスマス」(1978)を初めて見て以降、この監督さん大好きです。次はこの監督の「殺人狂時代」(1967)が観たいですねえ。

 相変わらず岡本監督作品はキャストが豪華すぎる。なぜこの人はいつもこれだけ豪華なキャストが揃えられるのか不思議で仕方がありません。例えば彼は座頭市シリーズで唯一、メガホンをとったのが「座頭市と用心棒」(1970)なのですが、そこで勝新太郎と三船敏郎を戦わせるという、とにかく凄い、としか言いようがないことを成し遂げてしまいました。

 北林谷栄はどっちかというと脇役として作品を支えてきたベテラン女優です。若い頃からもう老婆の役が得意というかたくさんやってきました。まあこの頃は本当に老婆の年になっているのですが。「となりのトトロ」のカンタの婆ちゃんの声もやっています。

 ちなみに岡本真実という女性は岡本喜八監督のご息女です。


【あらすじ】

 戸並健次、秋葉正義、三宅平太の三人は大金持ちの大奥様・柳川とし子誘拐計画を画策し、その老婆を誘拐する。しかし老婆は三人に怯えるばかりか入れ知恵をしてアジトの場所を変えさせたり、要求額を5000万から100億へハネ上げさせたりするなど、三人に協力的。一方、警察側では和歌山県警本部長・井狩大五郎が捜査指揮を執り・・












※刀自、というのは日本古語で女性の戸主、という意味です。

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 大阪刑務所から出所したばかりの戸並健次(風間トオル)、秋葉正義(内田勝康)、三宅平太(西川弘志)の三人。兄貴の健次は大金を稼ぐために、三人で誘拐を実行しようと提案する。健次は超お金持ちの柳川家の大奥様・柳川とし子(北林谷栄)を誘拐し5000万円を要求することを思いつく。

 和歌山県龍神村の柳川家本邸。広大な敷地を持つ柳川家本邸。三人は向かいの山から柳川とし子が外へ出ないか出ないかと張っていた。

 やがて柳川とし子は度々、登山をはじめるようになった。三人はある日、登山中のとし子とお手伝いの吉村紀美(松永麗子)の前に現れる。しかしとし子は全く動じず「それじゃアタシだけ誘拐しなさい。この子を一緒にさらうよりアタシだけ誘拐した方が身軽よ」と言い、犯人たちと一緒に一本締めをする。

 三人はとし子に目隠しをして車に乗せるが、とし子は捜査指揮を執るのは和歌山県警本部長・井狩大五郎(緒形拳)。井狩は勘がいい男だから、都市部にアジトを構えていたら必ずすぐに捕まる、と提言する。

 三人は代わりに自分たちが顔の見えないようにサングラスとマスクを装着して、とし子が「いいアジトがある」というので、その指示に従いそこへ向かう。

 そこはかつてとし子に使用人として仕えていた中村くら(樹木希林)の家だった。とし子はくらに私を連れてきたお供の三人と一緒にしばらく家に泊めさせてもらいたい、と頼む。

 運転手の安西(奥村公延)は警察に通報。東京から来た新入り警部補(嶋田久作)は婆さんが誘拐されるなんて物好きだ、と気にも留めなかった。しかし年配の刑事(常田富士男)により、それが地元の大金持ちの婆さんだと知るや、すぐに新入りは県警本部長・井狩に連絡する。

 連絡を受けた井狩は連絡が遅れた新入り警部補を叱責し、鎌田(橋本功)、佐久間(竜雷太)と共に県警本部に捜査本部を設置し、すぐに柳川本邸へたどり着く。

 柳川本邸には柳川国二郎(神山繁)、可奈子(水野久美)、英子(田村奈巳)、大作(岸部一徳)らとし子の息子娘たちが集結していた。井狩は使用人の指揮をとっている串田(天本英世)と再会し、犯人が3人組で男たちなどの情報を聞く。

 翌朝、公開捜査にふみきった警察たち。一方、サングラスと眼鏡をしていた秋葉正義と三宅平太の二人はそれを外して顔や本名がバレてしまった。

 とし子と相談した健次らは自分たちを〝虹の童子〈レインボー・キッズ〉〟と名乗り、要求の手紙を書く。健次は「5000万円を要求する。婆ちゃんには悪いがこれ以上まけられないぜ」と言うが婆ちゃんはそれを叱咤する。「柳川家を舐めるんじゃない!100億にしよう」と言いだした。これには逆に健次たちが困惑する。結局、とし子に押されそれに納得。とし子には100億をうまく運ぶ方法が思いついてるようだ。手紙を書くのはとし子自身で内容を考えたのも彼女だった。

 100億という法外な金額を要求された柳川家は「そんな金は用意できない」と困惑する。犯人の要求によれば翌日、テレビ和歌山で特番を組んでテレビとラジオ和歌山の両方で流れる放送で井狩が代表して回答をしなければならない。井狩はある作戦を考えて翌日のテレビ番組に出る。

 アナウンサー(松澤一之)に紹介され井狩は回答をする。「柳川家はとし子刀自を解放するために尽力されている。しかし100億円などという法外な金額は払えない。そして、とし子刀自の身の安全の保障も分からない。ぜひ生でとし子刀自を家族と再会させてもらいたい」と答えるのだった。

 その番組の視聴率は井狩の堂々とした回答によりかなりのものだった。虹の童子は再び手紙で今度はとし子を家族と再会させることを約束する。条件つきで。

①9月27日、夜9時から10時までの間とする。この特別番組は午後5時に開始する
②柳川家の家族はWTBの放送会場の一室に集合し、井狩も連絡責任者として同席する
③WTBは、この時間帯のテレビとラディオの放送をこの中継放送のみにあてる
④WTBは中継放送車を用意し、午後7時に出発して、平均時速50kmで国道42号線を田辺方面に向かう
⑤進路や放送開始の指示などのコンタクトは、「童子」たちが無線連絡する

 夜、警官を乗せてない放送車は虹の童子指定地点へ車を走らせ、それを追走する警察隊が尾行する。犯人たちの指定でテレビ神奈川のスタジオに柳川家の面々が待機する。

 しかしほとんど誰もいなくなったテレビ和歌山のテレビ局社長室に健次が入り込み、報道局長(上田耕一)と社長(中谷一郎)に手紙を見せる。社長はその指示通り、新しい放送車を用意し警察に連絡せず、カメラマンや放送技師と共にその放送車で健次の指定した場所へ向かう。

 放送車はやがて山林で川の対岸にいた車を見つけ放送車を停め、テレビカメラで放送を開始する。

 健次は架け橋を渡って川の対岸へ行き、やがて対岸にとし子が現れる。とし子はテレビカメラで自分の身が安全なところにあることと、あることを伝える。

 それはとし子刀自の全資産を子供に譲る、とのことだった。それは金に換えれば720億円ほどになる。(当時の)税制では資産総額7200万円以上ならば相続税と贈与税は同じ70%。それならば自分が死ぬ前に贈与してもかかる税金は変わらない、と話す。

 つまり全資産を柳川の子供たちが得て、510億円ほどを国に納めることになる。残るのは210億円。そのうちの100億で身代金を支払うことができる、と刀自は言うのだ。しかしそのためには山林などを金に換えるなどの膨大な作業が必要だ。しかし子供たちが全力を出せばできないことでもない、と言い虹の童子に連れられて去って行った。

 中村家に帰って来た後、健次がとし子に顔と実は昔あったことがある、と話す。健次がかなり昔に施設にいたころ、施設のスポンサーであるとし子と会ったことがありとし子に優しく接され、やさぐれだった健次はその優しさを素直に受け取れず、施設を脱走したのだ。とし子は健次の顔を見て、そのことを思い出す。そして健次は「ばあちゃんが警察に言っても、それは俺たちの自業自得だ」と伝えるのだった。

 子どもたち、特に大作はぴっちりと計算しとし子刀自の計算が正しいことを証明。無事に100億円を用意することに成功する。

 虹の童子による受け渡しの方法の手紙が送られる。

①柳川家の人びとが1万円札100枚の束を400個ずつ透明な塩ビの大きな袋に詰める(25袋できる)。この過程をテレビとラディオで実況中継すること。
②25袋を、柳川家が大株主の航空運輸会社の大型ヘリコプターに積載して、指定した時間に指定したコースを飛ぶこと。これについても、追走ヘリから中継放送すること。
③受渡しの時間と方法は、無線でヘリの指定した操縦士・高野(本田博太郎)に連絡する。

 高野は100億円を詰めた小型ヘリをやがて発進させる。放送ヘリも後を追うが、ヘリ二台は渓谷で着地。犯人の指示により放送ヘリは本部へ帰る。渓谷では小型ヘリに虹の童子の一人が乗り込んでいた。

 その後、小型ヘリは霧により迷走する。その動きを井狩は奇妙に思っていた。

 その後、柳川本邸に100億円の領収書とその裏に「刀自は3日後に返す」と書かれていたものが落下する。ヘリは行方をくらましやがて高野が発見される。

 高野は岬へヘリを降ろしたあと、催眠入りビールを飲まされ気絶していたのだ。金はすべてトラックに詰め込んだようだ、と証言する。

 あれから3日後、刀自は大作の家で発見された。虹の童子がそれを遠回しに柳川家に伝えたのだ。刀自は睡眠薬を飲まされていた。

 次の月、柳川家はすっかり観光名所となっていた。そこを井狩が訪ねる。

 井狩は刀自が虹の童子を指揮していた、と睨んでいたのだ。井狩は恐らく高野も協力したのだ、と話しそれができるのは刀自本人しかいない、と話す。

 刀自は回想する。あれは夏で登山を始める少し前ごろ。自分に極端な体重の減少が見られ、ガンであると思ったのだ。そうなると自分の人生を回想しはじめる。

 長男、長女、次男の命を戦争で国に奪われてしまった。自分が死んだら自分の遺産の70%も相続税で持っていかれるのだ、子どもを奪い金まで奪って国はそれを悪用するつもりかと思ったのだ。そんな時に誘拐事件が起き、それに自ら乗ったのだ。

 子供たちに払わせた100億円というもの。実はそのうち64億円は「贈与税の課税対象資産の査定にあたって、突発的な災害や突然の経済的事変、あるいは雑損失の控除分として、この奪われた身代金について、お目こぼし分」として100億円を払った後で国から払われるものなのだ。つまり子供たちの損失は実質、36億円となる。

 井狩はそれを知り感心する。どうせ国に遺産の金をとられるくらいなら、国に金を出させてやろう、と刀自は考えたわけだ、と。

 ところで、虹の童子たちはというと。秋葉正義は実は、中村家の隣の家の邦子(岡村真実)と結婚し、くらの養子となる、ということを100億円を分けるときに言いだした。だからこの金は受け取れない、と。

 また、三宅平太は母親の病気を治すための金1千万円を貰う、とだけ言って帰ってしまった。そして健次も金には手をつけず、刀自に木工職人として働かせてほしい、と泣きつく。刀自はそれを承諾。誘拐された時に健次の声を聞いていた紀美には「誘拐犯の声のそっくりさん」と健次は認識された。

 刀自の指示により健次は阿弥陀堂を建てる。その土台のコンクリートの部分に1万円札が丁度、99万9千枚(平太の受け取った1千万が抜かれて)入る計算になっていたのだ。身代金はその土台に隠された。

 そっくりさん、の存在が刀自の近くに居ると知った井狩はこれで犯人がどこに居るのか分かる。そして井狩は刀自に「それにしてもまた丸くなられましたな」と言う。

 刀自の体重の減少は単なる夏バテのようなものだったのだ。

「要するに、あの事件は、おばあちゃんにとってメルヘンだったんですね」「はいな」

 やがて刀自は美しい山々を見て「綺麗な山ですなあ・・・」そうつぶやいた・・










 岡本喜八作品にしては爆発性が少ない作品だったと思いますが、この作品の訴えは刀自の国への「思い」そのものにあると思います。

 子供を戦争で奪われ、自分が死んで資産のほとんどを国に持っていかれることになる、刀自はすでに国に対して絶望していたんでしょう。まあアンチな意味合いもあるのでしょうね。

 私のネタバレ文よりもっと詳しい説明があるサイトがありました。⇒サイト

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・・・・・


『アルファベット』 (1968年・米)
スタッフ
監督:デヴィッド・リンチ
脚本:デヴィッド・リンチ
製作:H・バートン・ワッサーマン
撮影:デヴィッド・リンチ
編集:デヴィッド・リンチ
音楽:ロバート・ジェイミーカラム、デヴィッド・リンチ、ロバート・マクドナルド
アニメーション:デヴィッド・リンチ
出演:ペギー・リンチ

 デヴィッド・リンチ監督作品「アルファベット」。原題タイトルは「THE ALPHABET

 始めに言います。私は嫌いな映画は無い、と豪語できます。しかしこの映画の不気味さと生理的に嫌悪感を催すものには、「ああ。これはなかなか好かれる映画ではないな」というのはわかりました。

 この頃のリンチ監督作品はこれと同じような訳の分からないキ〇ガイじみた映画が多かったようです。

 はっきり言ってストーリーも理解することも何もありません。ただ映画が一方的に視聴者を追い詰めるものです。我々は完全に受け身で何も考えずに観せられるのです。



Category: 洋画ア行

部屋

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この映画の監督さんは哲学的な方ですね。


『部屋』 (1968年・捷〈チェコ〉)
スタッフ
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
製作:エルナ・クミンクノヴァ、ジリ・バニェック
音楽:ズテニェク・リスカ
撮影:スヴァトプルク・マリー
編集:ハナ・ワラチョバ
キャスト
男:イヴァン・クラウス
訪ね客:ユライ・ヘルツ


 ヤン・シュヴァンクマイエル監督作品「部屋」。原題タイトルは「Byt」

 チェコ映画はもしかしたら初見かもしれません。この映画は主人公が一軒の家に閉じ込められるんですが、その家の中の家具などが色々と仕掛けがあるんですね。

 そういう仕掛けにはまってしまう主人公が面白いし、まるでバスター・キートンの作品のように感じてきましたが決定的に違うところはこの監督さんが哲学的な意味を込めるところと、最後までコメディタッチで終わらないところですね。

 ヤン・シュヴァンクマイエル監督は長編作品が多いのですが短編作品も多くメガホンをとってます。彼は子供のころから「食べる」という行為が嫌いらしく、それが映画にも表れていますね。彼はCGを一切使用せずにストップモーション・アニメで通します。私はCGを批判するつもりなど全くありませんが、こういう作り方もいいなあとは思います。


【あらすじ】

 一人の男が家に閉じ込められた。家の家具は彼を歓迎せずに牙をむいていく。男は部屋に翻弄されていく。












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 男(イヴァン・クラウス)はある部屋に閉じ込められてしまう。

 男は食事をしようとしてもできず、家具には牙をむかれてしまう。

 やがてある訪問客(ユライ・ヘルツ)が部屋に入ってくる。客人は男にハンマーを手渡し去って行く。

 何かに駆られたように男はドアをハンマーで破壊。ドアが落ちて露出した壁には名前がいくつも描かれている。男もその壁に自分の名前を書くのだった・・・





 まあ意味不明だと思います。こればっかりは実際に観てみないと本当に分からないですね。ニコニコ動画に落ちていますので観るならご自分で観ることをオススメします。

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Category: 洋画ハ行
歌の映画。


『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』 (1984年・日)
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
スタッフ
監督:石黒昇、河森正治
脚本:富田祐弘
製作:大西良昌、吉田健二
音楽:羽田健太郎
主題歌:飯島真理『愛・おぼえていますか』
撮影:橋本和典
配給:東宝
キャスト
一条輝:長谷有洋
リン・ミンメイ:飯島真理
早瀬未沙:土井美加
ロイ・フォッカー:神谷明
クローディア・ラサール:小原乃梨子
柿崎達雄:鈴木勝美
リン・カイフン:鈴置洋孝
ミリア639:竹田えり
マクシミリアン・ジーナス:速水奨
ブルーノ・J・グローバル:羽佐間道夫
エキセドル4970:大林隆介
ブリタイ7018:蟹江栄司
ゴル・ボドルザー:市川治


 石黒昇、河森正治監督作品「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」

 まあ最初に描写不足は否めません。初見の人も観れるように作りたかったのでしたら、せめて超巨大艦マクロスに地球の人々が移住している理由は欲しかったです。いや、初見の人バイバイでアニメシリーズを全部観た人しか対象にしてないなら、話は別ですが映画である以上、それはないでしょう。そこは必要だったと思います。

 最初に不満を言っていますが、決して悪い評価なわけではありません。この主題歌でもある「愛おぼえていますか」はとってもとっても素晴らしい歌でした。昭和臭い歌なのに、私は聴いてて感動してしまいました。というか、この主題歌がバックで流れている時のシーンも反則です。最終決戦のバックにこの歌が流れている。多くの命が散り、激しい戦争が起きながらそれと対照的にこの穏やかな歌が流れる。終盤のシーンの演出は私としては高評価を下したい、と思います。

 リン・ミンメイ役の飯島真理は歌手ですねえ。主役の長谷有洋さんは自殺したそうです。

 この映画の主人公のキャラはあまり好きになれませんでした。


【あらすじ】

 地球人は巨大宇宙艦マクロスに移住し、現在地球を目指し敵異星人ゼントラーディの襲撃を何度か受けていた。可変戦闘機のパイロット・一条輝とマクロス内のスーパーアイドルであるリン・ミンメイはひょんなことから出会い、二人は仲を深めていく。一方、一条はマクロス航空管制主任の早瀬未沙とも出会うが、一条は無責任の命令違反ばかり起こし早瀬との仲は最悪だった。ある時、一条はミンメイをゼントラーディに誘拐されてしまい輝と早瀬は辺境の惑星に飛ばされる。それはなんとマクロスの目指していた地球だったが・・・



超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますかのシーン














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




※映画では説明されなかった経緯です。

 異星人のゼントラーディ軍の突如の襲撃を受けた地球。地球統合軍の巨大宇宙戦艦SDF-1マクロスは脱出時の動力不調から太陽系外周部へ飛び出してしまった。戦闘巨人族異星人ゼントラーディ軍の追撃をうけながら地球への自力帰還をめざす航海の5か月目、土星の衛星タイタン宙域でのこと。

※以下、映画より

 可変戦闘機VF-1 バルキリーことバルキリー隊の新米パイロットの一人・一条輝(長谷有洋)は先輩で隊長のロイ・フォッカー(神谷明)に憧れ、自分で活躍しようとする。

♪ドッグ・ファイター




♪小白竜 リン・ミンメイ


 マクロス内部ではスーパーアイドルとして人々の憧れの対象であるリン・ミンメイ(飯島真理)がゼントラーディ軍によるマクロス内部への襲撃で建物が一部崩壊し、外に兄でマネージャーのリン・カイフン(鈴置洋孝)と共に避難する。

 しかし道中ではぐれてミンメイはゼントラーディ軍に襲われそうになる。そこへマクロス内部に敵が侵入したのを見て管轄を無視し命令違反してマクロス内部に敵を掃討しに来た一条輝がやってきてゼントラーディ軍のパイロットを蹴散らす。

 その後、マクロスの一部機能が故障し、マクロス市街地の重力が制御できなくなり、ミンメイは落ちていく。それを見た一条はバルキリーでミンメイをキャッチするがエンジンルームに突っ込んでしまい、その後シャッターが閉まって閉じ込められてしまった。

 バルキリーから降りた一条は自分が救った女性がミンメイであることに気付き、自己紹介をしてから彼女のファンを名乗りサインをしてもらう。

 その後、エンジンルームから脱出する手段を探す二人だったが途中で無重力空間のエンジンルームをミンメイが楽しみ始める。一条もそれに付き合うような形で。

 エンジンルームには先ほどの重力制御がきかなくなってしまったことにより、食べ物や色々な物がエンジンルームに落ちてきていて浮かんでいた。

 ミンメイはシャワーを浴びたり着替えを見つけたりと、それなりに順応していく。

♪0-G LOVE リン・ミンメイ

(テレビアニメでは映らなかったミンメイの乳首が映っています)

 一方のゼントラーディ軍はゼントラーディ軍第425基幹艦隊所属のブリタイ7018アドクラス艦隊司令・ブリタイ7018(蟹江栄司)と記録参謀のエキセドル4970(大林隆介)らがマクロス内部に入り込んで撮影した記録映像を見ていた。

 やがて地球人たちが男と女、両方が争いもせず共同的に生活していることに驚愕していた。ゼントラーディ軍は男だけの軍でメルトランディという女性だけの異星人軍と戦争をしているのだ。

 彼らは地球人のような小人族を「マイクローン」と呼んでいた。そして彼らの言い伝えに「マイクローンに触れるな。さもなくば滅びる」という言い伝えがあったのだ。ブリタイ7018は嫌な予感がしていた。

 ミンメイと一条輝の二人は家族の話題になる。ミンメイは両親に勘当され歌手になる、と言って家を飛び出したのだ。マクロスには乗っておらず、地球に残っている。生死消息は一切不明なのだ。

 一条は話題を変えて、ミンメイが出演していた芸能の噂を確認する。「あのドラマで共演していたイケメン俳優との熱愛ってホント?」それに対しミンメイは爆笑し「あれは嘘よ。ドラマに熱入ってた、といっても所詮演技よ」と否定する。

 なかなか信じない一条に「じゃあ試してみる?」と言ってミンメイはドラマのヒロインのような役になりきり、やがて一条にキスをして二人は抱擁し合う。

 エンジン・ルームのゲートがやっと開き、ミンメイ探索の取材陣たちが見た物は軍人の一条とアイドルのミンメイのキスシーン。これはすぐにスキャンダルとなってしまう。

 一条は先ほどの戦いで管轄を無視したことはミンメイ救出、という手柄によって帳消しにされたのだ。マクロス航空管制主任の早瀬未沙(土井美加)は一条に厳重注意を促し去って行く。

 その夜、ロイ・フォッカーにバーに呼ばれた一条。そこにはロイの恋人クローディア・ラサール(小原乃梨子)と早瀬がいた。フォッカーはいつも仏頂面の早瀬を「女らしくないぜ」みたいなことを言い、早瀬と一条の目の前でクローディアにキスをする。

 その時、一条に家族と名乗る者から電話がかかってくる。それはリン・ミンメイだった。一条はリン・ミンメイに呼ばれてすぐに公園へ向かう。

 公園のベンチで変装したリン・ミンメイと再会した一条。ミンメイと一条はその夜、マクロスの街で思いっきりデートを楽しむ。やがて宇宙の景色を眺めていたミンメイは土星を見て魅かれる。

 ゼントラーディ軍ではゼントラーディ軍第425基幹艦隊総司令官のゴル・ボドルザー(市川治)がブリタイ7018から報告を受け、マイクローンの女性一人を捕らえるように命令する。

 一条は練習用バルキリーを操縦してミンメイを後ろに乗せ、土星付近を遊覧する。しかしすぐに早瀬とリン・カイフンに見つかってしまう。

♪SUNSET BEACH リン・ミンメイ


 緊急事態は起こった。ゼントラーディ軍のユニットが近づいてきたのだ。一条は応戦しようとするが練習用バルキリーは銃をつかえないことをすっかり忘れていた。やがてロイ・フォッカーが応援にかけつけるが、バルキリーは捕らえられ、フォッカーも救おうとして逆に捕らわれる。

 ブリタイ艦に早瀬たちも捕らわれ連行されてしまった。やがてブリタイ7018と謁見した一条、早瀬、リン・ミンメイとカイフン兄妹、ロイ・フォッカーたち。

 ブリタイ7018はなぜ男と女が共存していられるのか疑問を呈す。ロイ・フォッカーはためしに早瀬を抱擁すると、それだけでブリタイ7018やエキセドル4970が驚愕して引いていた。

 更にキスとはなにかを問われ、脅されて仕方なくカイフンがミンメイとキスをする。それだけでブリタイ7018、エキセドル4970は更に驚いていた。

 捕虜としてリン兄妹と別の車に乗せられ運ばれる一条、早瀬、ロイの三人。やがてメルトランディ軍のミリア639(竹田えり)がブリタイ艦を奇襲攻撃。どさくさに紛れて一条、早瀬、ロイの三人は逃げ延びバルキリーに乗り込み逃亡を図る。

 しかし直後、ロイがゼントラーディ軍のカムジン03350(目黒裕一)の襲撃を受けてしまう。ロイのバルキリーはカムジン03350を押さえ、一条のバルキリーを逃がし、そして相討ちとなって果てたのだった。

 一条と早瀬の乗った練習用バルキリーは発信機によってメイ兄妹の捕らわれたところまで辿りつくが、直後艦がフォールドを開始。たまたま着弾し大破した壁から一条たちのバルキリーは艦の外へ吸い出されてしまう。

 一条と早瀬がたどりついたのは不思議な砂漠の惑星だった。生体反応は皆無。しかしすぐに自分たちのいる惑星がわかる。統合軍の廃墟となった戦艦があったのだ。ここはマクロスの目指した故郷・地球だったのだ。早瀬は地球の変わってしまった姿に絶望する。

 早瀬と一条は地球でしばらく過ごすことになる。一条は統合軍の廃墟の戦艦から食べれそうな食料を持ってくるが早瀬は不機嫌にするだけ。一条もますます不機嫌になる。

 ゼントラーディ軍ではボドルザーがブリタイ7018とエキセドル4970に「マイクローン(人間)」が「歌」という「文化」を持っていることを教える。その「歌」こそマイクローンの戦闘する意思を失わせる力があるとも話す。そしてボドルザーは文字の書かれたプレートを出して「これは私がはるか昔に捕獲した文化の断片だ。これを二人に見せれば何かわかるやもしれん」と言った。

 地球の早瀬と一条。どこを探しても人間は絶滅していた。不機嫌なままの一条は早瀬に挑発的に次の指示を仰ぐがいっぱいいっぱいの早瀬は泣き出してしまった。

 夜、3日もなにも食っていない早瀬を心配し一条は魚を焼いて差し出す。グロテスクなその焼き魚を見た早瀬は拒絶する。一条は早瀬が地球を滅ぼすような相手に勝てるわけがない、と生きることに絶望していたのを聞いて彼女を励ます。

 話は一条の家族の話に。一条の両親は子供の頃に死んでしまった。早瀬は一条のタフさを見直し、わざと明るく振る舞う彼を配慮して焼き魚を食べ始める。

 ある朝、海の上に浮かぶ巨大な柱上のようなものを発見。一条は早瀬に言われ、その柱のようなものに近づいていく。

 それは遺跡のようなものだった。早瀬は中でコントロール室を発見しフィールド通信システムを使いマクロスに交信する。しかしすぐに途切れてしまった。無事にマクロスに連絡がいったかも不明だ。

 やがて一条が変なボタンを押してしまう。するとコンピューターと名乗る何かが話しかけてきた。早瀬は多少なら分かるようだ。コンピューターは「これは宇宙移民船の管理コンピューターだ。今から都市を浮上させる」と名乗ったようで早瀬に何かを話して消滅した。

 やがて遺跡が浮上しはじめる。早瀬はコンピューターが話していた内容を一条に説明する。

「ずっと昔に、プロトカルチャーという宇宙文明があった。そこでは遺伝子工学が発達していて、男は男、女は女だけで子孫を増やせるようになったとき、かれらは男だけのゼントラーディと、女だけのメルトランディに分裂して、戦争をはじめた」
一条はそれが巨人である、ということを理解する。
「ええ。だけど、巨人たちの戦争が激しくなりすぎて、ようやく間違いに気づいた人たちが、もういちど男と女が一緒に暮らせる場所をもとめて、この地球に逃げのびてきたらしいの。そして、そのとき地球にいた現住生物の遺伝子を操作して、わたしたちの祖先をつくった。」

 では地球に逃げ延びてきた人はどうしたのか。彼らは街を海の中に隠して一時的に去った。その後、帰ってくることはなかったが、半年前に地球をゼントラーディ軍が襲撃した際に遺跡の管理コンピューターが彼らが帰って来たものだ、と勘違いし都市を少し浮上させたそうだ。

 遺跡内で文字が書いてあるプレートを見つける早瀬。そのあと、遺跡の、ある民家でおままごとのようなことをする一条と早瀬。しかし早瀬は泣き出し「マクロスのみんなに会いたい」と言いだすのだった。

 やがて空から轟音が鳴り始める。一条と早瀬が外に出るとマクロスが来ていた。通信を受け取っていたのだ。一条と早瀬は抱擁しキスを交わす。

 マクロスに帰還した一条と早瀬はSDF-1マクロス艦長ブルーノ・J・グローバル(羽佐間道夫)に地球の様子を報告する。そしてクローディアにロイが立派に死んだことも伝えるのだった。

 二人はグローバルから休暇を貰い、外に出る。そこには大きなスクリーンに失踪したはずのリン・ミンメイが映っている。彼女がいなくなっても、人々はミンメイの唄に心魅かれていたのだ。

♪シルバームーン・レッドムーン リン・ミンメイ


 ラプラミズ(鳳芳野)率いるメルトランディ軍も地球の遺跡を狙っていた。一条は友人の柿崎速雄(鈴木勝美)、後輩のマクシミリアン・ジーナス(速水奨)と共にメルトランディ軍の襲撃に出陣する。

 女の軍だ、と舐めていた柿崎は撃墜され、マクシミリアンはミリア639を追撃。ミリア艦に入ってついに彼女を倒す。

 マクシミリアンは機体を降りてミリア639の顔を見る。そしてその美しさに息を呑むのだった。

 やがてゼントラーディ軍の艦隊がやってきて、リン・ミンメイの歌を流す。その歌にミリア艦のメルトランディ軍は次々と撤退していく。

 ブリタイ7018はブルーノに和平協定を結ぼう、と提案してきたのだ。

 かくしてブルーノによる記者会見が開かれる。グローバルは地球のことや巨人族と地球人はおなじ遺伝子を持つことを記者たちに話し人間サイズになった巨人族の和平使節団の三人を見せる。

 使節団の三人はマクロス内でふるまわれた飲み物に心底、カルチャーな物として興味を示していた。そんな姿を見たブリタイ7018は「私もマイクローンになってみるか」とミンメイに教わった〝ジョーダン〟をエキセドル4970に言う。

 やがて記者会見に今度はリン・ミンメイが登場する。ミンメイはボドルザーの持っていたプレートが歌の歌詞であることを話し、マクロス内の作詞家に歌を作ってもらっている、と話すのだ。唄の力によってメルトランディ軍とも和平を結びたい、という平和路線の方針も話す。

 やがてミンメイは一条輝と再会する。抱き着きミンメイに一条は隣にいた早瀬の方を向く。ミンメイは一条の視線を見て、何があったのかを察する。

 その後、一条の部屋を訪れたミンメイは早瀬と何があったかは知らないけど、私は輝が好きなの。と告白し抱き着く。

 その頃、遺跡で拾ったプレートをミンメイの唄の歌詞だと分かり解読していた早瀬。解読したものを一条の部屋に届けに来るが、そこで早瀬の背中を抱きしめるミンメイを目撃してしまう。

 一条は誤解だ、と言いその言葉にミンメイが泣いて部屋を出て行ってしまう。一条はミンメイを追わずに早瀬に「俺の隣にいてほしいのは未沙なんだ」と告白をする。未沙は涙が止まらず、輝と抱き合う。その時、非常態勢の警報が鳴りだす。

 ボドルザーはミンメイの歌の歌詞が出来上がってないこととミンメイがどこかへ行ってしまったと聞き、「もはや歌の力でメルトランディを屈服させるのは不可能だな。ならばマクロスとラプラミズ要塞を標的に全滅させよ」と命令を下す。かくしてメルトランディ、ゼントラーディ、マクロスの三つ巴の戦争が始まった。

 グローバルはわずかの平和だった時を嘆き、マクロスを退避させる。やがて遺跡都市は崩壊した。

 マクロス展望台にいたミンメイ。輝はミンメイに歌詞を渡そうとするがミンメイは「嫌よ。あの人の歌なんて歌わないわ」と拒絶する。

 ボドルザーは友軍艦隊を巻き込んでまで主砲ゴルグガンツ砲をラプラミズ要塞に放つ。ラプラミズはその砲撃によって要塞ごと消滅したのだった。ブリタイ7018はボドルザーの冷酷な判断に驚愕する。

 ミンメイは歌を歌っても勝てる見込みはない。どうせ死ぬならそばにいてほしい、と話す。輝はマクロスの人たちのために歌ってほしい、というがミンメイは「どうして世の中があたしたちふたりだけじゃないの!他の人なんてみんな死んじゃえばいいのに!」と話しついに輝はミンメイにビンタをしてしまう。

 ミンメイは輝から柿崎やロイがやりたいことがあったのに死んでしまった。しかしミンメイは生きているのだから歌が歌える、と話す。ミンメイは地球で死んだであろう両親のために、そして何より歌が好きな自分のためにも先ほどの自分を反省し、輝から歌詞を受け取る。

 やがてミンメイは地球付近で戦う全艦隊にその歌を聴かせるのだった。

「愛おぼていますか」
♪リン・ミンメイ

(一瞬、グロ映像に注意)

 ミンメイの歌を聞きブリタイ7018は自分たちが文化を取り戻したことに気付く。そしてグローバルに援護をすることを伝え、他の友軍艦隊やメルトランディに「我々が文化を取り戻すための共通の敵はゴル・ボドルザーだ」と言い、味方艦隊も次々と造反をしていく。そしてほとんどの艦隊が目指す敵はボドルザー旗艦だった。

 ボドルザーは「これが、リン・ミンメイの歌かっ・・・!」と驚愕していた。

 やがて援護を受けて旗艦中枢部に攻め込んだ一条機はボドルザーの頭部を一斉射撃しボドルザーはついに滅びるのだった。輝は帰投することを報告。かくしてこの勝利にマクロスの人々は喜び合ったり呆然としたりする。

 エキセドル4970はブリタイ7018にまだラプラミズやボドルザーの艦隊はこの銀河系だけでも数千隻はいる、と話すがブリタイ7018は「しかし歌ひとつでこれだけのことができたのだ。文化の力を信じるしかあるまい・・」と話すのだったのだった。

 クローディアは未沙に近づき「結局、何の歌だったのかしら」と聞く。未沙は笑ってから「何万年も昔に異星人の町で流行った流行歌よ」と答える。

♪天使の絵の具  リン・ミンメイ







 まあ一条輝はあまり好きになれませんでしたが、「愛おぼえていますか」の曲を聴いていたときは本当に何も思わずにただ映画を見てました。ホントに無心でした。音楽の力の偉大さを思い知らされたような感じです。

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薬師丸ひろ子がかわいすぎた。何回でも言えますよ。


『探偵物語』 (1983年・日)
探偵物語
スタッフ
監督:根岸吉太郎
脚本:鎌田敏夫
原作:赤川次郎「探偵物語」
製作:角川春樹
音楽:加藤和彦
主題歌:薬師丸ひろ子『探偵物語』
撮影:仙元誠三
編集:鈴木晄
製作会社:角川春樹事務所
配給:東映
キャスト
新井直美:薬師丸ひろ子
辻山秀一:松田優作
直木幸子:秋川リサ
長谷沼君江:岸田今日子
永井裕:北詰友樹
進藤正子:坂上味和
アパートの住人:榎木兵衛
援助交際のオヤジ:加藤善博
国崎三千代:中村晃子
国崎和也:鹿内孝
岡野:財津一郎
国崎剛造:藤田進


 根岸吉太郎監督作品「探偵物語」。原作は赤川次郎の1982年の同名小説。

 探偵物語、というタイトルで松田優作、といえば松田が帽子かぶってスーツ着てるあのドラマ「探偵物語」を思い浮かべた方もおおいと思いますが、それとは全くもって関係ありません。というか、むしろそのタイトルでドラマの映画化か?なんて思って騙されて観た方もいるのではないでしょうか。はっきり言ってタイトル詐欺ですね。

 赤川次郎はミステリー作品の巨匠ですよね。しかし彼は「セーラー服と機関銃」の作者でもあります。薬師丸ひろ子はこのセーラー服と機関銃にも出てました。赤川作品の名ヒロインですね。

 薬師丸ひろ子は可愛かったです。こういう肌を焦がした活発で短髪な女の子も私好きなんですよ。当時生きていたらファンになってたでしょう。

 この作品はとっても可愛いヒロインがいて面白いストーリーで、格好いい探偵がいて、ただ描写が不足しているような気がしました。どんなのかは後述したいと思います。

 根岸吉太郎監督はどっちかというとロマンポルノ作品が多い感じです。要するにエッチな作品が多い人です。


【あらすじ】

 アメリカの親のもとへ行く準備をしていた新井直美。彼女は日本にいる間に想いを寄せる永井という先輩と一夜を過ごそうとするが突如として現れた怪しい探偵に阻止されてしまう。その探偵とやがて親しくなっていく直美だがある日、その探偵の元妻が殺人事件の容疑者にされてしまう・・・


探偵物語のシーン













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 お嬢様女子大生の新井直美(薬師丸ひろ子)。彼女は家政婦の長谷沼君江(岸田今日子)に急かされ親と暮らすためにアメリカへ行く準備をしていた。

♪序章


 直美は、好意を寄せる大学の先輩、永井裕(北詰友樹)に誘われて海を見に来る。海でペンダントを買ってもらう。その夜、ホテルの部屋をとった二人。しかしそんな二人を突如として直美の叔父と名乗る男が邪魔してきた。

 直美の叔父を名乗る男は永井を帰らせて直美の叔父になりすますために直美をぶつ。しかしその叔父は直美の知り合いでもなんでもなかった。

 すぐに交番で聴取される男。男は直美のボディーガードを依頼された、という探偵・辻山秀一(松田優作)。直美はそれを雇ったのが家政婦の長谷沼だということを察して男を解放する。

 しかし帰り道、容赦なくついてくる男にさすがの直美もうっとうしく感じていた。

 翌朝、直美は家の前から尾行してくる辻山をまこうとする。そして、公園の公衆電話で永井に電話をかけるが切られてしまう。電話番号を知ってるが家の住所は知らない。そこに現れた辻山が直美を助け電話番号にかけて電電公社を名乗り、住所を教えてもらうことになる。

 早速、その家に向かう直美。団地の階段を上がって行くが辻山はそれを追わずに遠いところで双眼鏡で辻山の家を観察する。辻山は本当の彼女・進藤正子(坂上味和)と過ごしており直美に対し居留守を使っていた。

 帰って来た直美は辻山に「会えなかった」と話す。辻山はあえて本当のことは話さなかった。

 その後、お別れ会に出席した直美。直美はお別れ会に入り込んだのに全く踊らない辻山をダンスに誘い、渋々、つき合わさせる。

 夜、一緒に並んで帰る二人。話は辻山の家庭の話になり、辻山は元妻がいたことを打ち明けた。

 辻山が見送った後、密かに直美は辻山の後を追う。辻山がたどり着いたのは元妻が働く売春斡旋のバークラブ。そこで辻山は歌手としてクラブで歌う元妻の直木幸子(秋川リサ)と再会する。

 幸子と軽く話した後、幸子に誘われてクラブに入る辻山。更衣室から入った辻山はオーナーらしき男と従業員の女が「辞めたい」と言っているのを脅迫して辞めさせないようにしている口論を聞く。

 店の中に直美がいることに気付いた辻山は直美の席に座り彼女を問い詰める。直美は「ちょっと暇な女子大生が依頼人で探偵さんを調査しています」とあっけらかんと言い辻山は直美を「こっちは生活がかかってるんだ。お遊びじゃないんだよ」と叱る。

 やがてバニーガールの従業員が飲み物を持ってくる。その女性は進藤正子だったのだ。直美は正子のことを永井から軽く紹介されており、正子は直美に対して嫉妬心むき出しで先ほど自分と永井は一緒に家にいたが直美が訪問したときは居留守をつかったことを話してしまう。

 憤慨した直美は飲んだことも特にないお酒を飲んでしまう。帰り道はデロンデロンで辻山がおぶって帰ったのだ。

 翌朝、朝食をとろうとする直美はテレビのニュースでラブホテルにて辻山の元妻・直木幸子が国崎組組長の息子・国崎和也(鹿内孝)を殺した殺人事件の容疑者で指名手配されているニュースを見る。

 すぐに直美は辻山のアパートを訪ねる。辻山は「心配してくれてありがとう。今日は君のボディーガードはお休みだ」と言いドアをすぐに閉める。

 閉め出された直美はヤクザの車が近づいているのを目撃。すぐに辻山を呼び出し隙をついて家の中に入ってしまう。

 辻山は国崎組が近づいているのを見て慌てて浴槽に隠れていた直木幸子を連れて窓から逃げようとする。しかし幸子は怖がって一向に降りようとしない。

 そこで直美は再び幸子を浴槽に隠して自分は上着を脱いでシャツだけの姿で辻山を呼び戻し二人で布団の中に潜り込む。

 やがてドアを押し開けたヤクザたちが布団を開いて布団の中に潜っていたのは幸子でないことに気付く。適当に探して見つからなかったヤクザたち。ヤクザの岡野(財津一郎)は辻山に「幸子隠してたら命は無いでっせ」と言い放ち去って行った。

 その後、幸子は隣の部屋の住人(榎木兵衛)に大金を渡してアパートから引っ越しをしてもらいその引っ越しのトラックに紛れ込んで家の前に張り込むヤクザの目を盗み、直美の家に辻山と幸子を連れてくる。

 直美は家で二人をもてなす。そして直美は辻山が実は、何者かから国崎和也の浮気調査を頼まれていたことを話しており、そのことで直美は依頼人こそ犯人では、と言う。

 しかしその依頼人はすぐに分かった。幸子だった。和也と本気で結婚したがっていた幸子は和也が自分と浮気していることを探偵に証明させ、その報告書を和也の妻・国崎三千代(中村晃子)につきつけて離婚してもらおうか、と考えていたのだ。

 辻山は呆れ、やがて家政婦の長谷沼が二人がいると迷惑なので帰ってほしい、と言う。直美は「二人を家の外に出すなら私はアメリカへ行かない」と言う。長谷沼は「警察に任せるのがいいでしょう!」と言うと直美は話題を変えて「でも長谷沼さんが良い人じゃないのは知ってるの。お父さんとの関係も」と話す。

 長谷沼はそのことを聞き、自分もアメリカへ行く予定だったパスポートをひきちぎり、自分は行かないから直美はアメリカへ行ってください、と言う。そして二人を家にかくまうことも決めるのだった。

 翌朝、直美は密かに国崎和也の葬儀に参列する。直美は実は三千代があのヤクザの岡野と不倫をしていることを突き止める。そして直美はタクシーに乗り、三千代と岡野の乗る車を追う。しかし途中で辻山もそのタクシーに乗り、今後の調査は辻山一人でする、と直美を帰そうとする。

 しかし直美も来てしまい辻山は盗聴器を手に、岡野の家の中を盗聴録音。三千代と岡野の濃厚な性交を盗み聞きし録音したのだ。

 その後、ヤクザに見つかり追われる羽目になった二人。銃で発砲されるが、なんとか二人は追跡を撒く。

 直美の家に帰った二人だったが、ヤクザたちが襲撃し幸子は隠れ長谷沼が拉致されてしまう。ヤクザの要求は長谷沼と幸子の交換だったのだ。

 直美は辻山に依頼され、すぐに盗聴した録音データをテープにする。一方、辻山は酔った幸子と話をしていた。辻山が浮気をしてしまい幸子は激怒し彼との子供を中絶してしまう。それに怒った辻山は幸子との関係を壊したのだ。幸子は今晩一晩だけ私と寝てほしい、と辻山を誘う。

 直美はテープを辻山に渡そうとするが、酔った幸子が辻山を誘い二人は部屋で情事を交わしていた。いつの間にか辻山に好意を寄せていた直美はショックを受け夜の街を彷徨う。

 そして直美は一人の中年男性(加藤善博)に誘われホテルへ行く。そして直美は事件現場のあったラブホテルに男が入ろうとして、自ら率先して入る。

 直美は事件現場の部屋に入り、実は犯人が隠れられた場所があったんじゃないか、と探し始める。焦れた男がベッドへ直美を抱きこむと直美はそれを拒絶しひとまずシャワーを浴びる、と言って浴室に入る。

 直美は浴室の窓を隠し、シャワーをつけて浴室のしかけを探す。そして浴室の天井を開けると隣の部屋の浴室に繋がっている仕掛けを見つける。その仕掛けの道を通っているときに永井とおそろいで買ったペンダントを見つける。そして隣の部屋に移り、ホテルを脱出する。

 家に帰ると、辻山も幸子もおらず長谷沼がいた。どうやら辻山がテープを持って幸子と共に国崎組に向かい長谷沼と交換されたらしいが、そのテープは盗聴したものとは別物だったのだ。

 すぐに直美は国崎会館に行き国崎剛造(藤田進)に謁見。剛造に岡野と三千代の不倫テープを聞かせる。

 岡野は三千代との不倫を認め、指を切った。しかし「密室だったんだ!殺しはあの女以外にできません!」と必死に犯行を否認する。

 直美は国崎たちを連れて事件現場に行き、浴室のしかけを見せる。剛造は監禁していた辻山と幸子に詫びて二人を解放するのだった。

 しかしホテルを出た直後にホテルのマネージャー(三谷昇)が「指名手配犯の幸子がホテルに来ている!」といって通報した警察に捕まってしまう辻山と幸子の二人。真犯人は岡野でも三千代でもない。

 直美はすぐに永井に会いに行き、ペンダントをどうしたか問い質す。永井は進藤に渡した、と打ち明け永井と直美は進藤に会いに行く。

 直美は進藤正子に「売春クラブのオーナーが殺された現場であのペンダントが落ちていた」ということを話す。正子はそれを聞いてがっくりとうなだれ、真実を語り始める。

 正子はお金持ちの女性が好きな永井のために売春をしてお金を稼いでいたのだ。しかし正子は永井にペンダントをプレゼントされ、喜び自分の妊娠も知る。

 正子はオーナーである国崎和也に売春を辞めたい、と打ち明けるが和也は「辞めたら稼ぎ頭がいなくなっちまう。もし辞めるんだったら自分が売春している、ってことを秘密にしてる親御さんに挨拶したほうがいいねえ」と脅迫し彼女を辞めさせないようにしていたのだ。

 このままでは辞められない。正子は和也がいつもラブホテルの同じ部屋で幸子と会っていることを知っており、その隣の部屋の浴室の天井から和也の部屋の浴室に移り彼を殺したのだ。

 正子は自分が妊娠した子供は客のものではなく、永井の子であることを話す。永井もうなだれ正子は永井にバイクに乗せられて警察へ出頭する。

 真犯人の出頭で釈放された辻山と幸子。幸子は辻山に「もう一度、ヨリを戻したい」と言うが辻山はそれを拒絶。幸子は涙ながらに諦め、去って行った。

 直美は長谷沼に「私のお父さんのことを愛しているの?」と聞く。長谷沼は家事をしながら「愛は言えば言うほどすり減ってしまうものですわ」と軽く受け流す程度だった。

 夜、直美は辻山の家を訪ねる。辻山はそういえば、なぜホテルの仕掛けがわかったのか聞く。

 直美は自分が辻山を好きになったのに辻山が幸子と情事をしているのに嫉妬した。そして夜の町に行き行きずりの男とホテルへ入ったんだ!と打ち明ける。

 辻山は直美を「お前はまだ子どもだ!」と叱るが直美はそれを否定する。そして「今日は帰りたくない...」と言うが辻山は「お茶を飲んだらお引き取り願いたい」と冷たく言い放つ。

 直美は激情のまま、辻山の家を出ようとして最後に「私、ホテルには入ったけど寝てはいないわ!」と言い去って行った。

 翌朝、成田空港に到着する直美。エスカレーターで降りて行こうとして、なんと辻山を発見する。

 辻山に駆け寄る直美。辻山と直美は抱擁を交わしディープキスをする。そして直美はエスカレーターを降りていく。

 その姿をいつまでも辻山は見つめていた・・・

♪探偵物語 薬師丸ひろ子









 先ほど話したような描写不足、と思ったのはやはり辻山のことです。交番で辻山が「誰に雇われたのか知らないんだ」と言い直美が「長谷沼さんね!」と直美の確定づけたセリフではありますが、そういったことを証明する描写がこの後、一切でてこないんですよ。だから私、「実は辻山に直美のボディーガードを依頼したのは結構な伏線じゃないのか?」と深読みしてしまいました。

 あとは家政婦の長谷沼さん、結局アメリカへ連れてってくれなかったのかあ、とは思いました。まあそれが描写不足かどうかは不明ですが。


 さて、この映画。推理の観点から見るとなかなか面白かったです。では恋愛の視点で見るとどうでしょうか。

 この映画は恋愛というよりセックスです。直美は女子大生。歳としてもそろそろ、異性とのセックスにますます興味津々。まず先輩と夜、ホテルで。これは思わぬ介入者により失敗してますが。

 幸子さんだとか正子だとかはバリバリのセックスウーマン。そんな女性が周りにいるからなおさら直美は悶々としていますね。そして最後の辻山の家でのシーン。辻山に拒絶されます。

 最後の空港でのディープキス。清純派アイドル・薬師丸ひろ子の大ファンたちは毛穴から血を垂らして死んだことでしょう。清純派の彼女が!ってね。まあそれは置いておいて。直美は最後にディープキスでひとまず満足したようです。

 辻山の言った通りですね。やっぱり直美はお子様です。自分もセックスがしてみたい、という焦燥にかられ周りの男に欲情する。私は愛情ではなく、愛欲を直美が永井先輩や辻山に抱いた、と思います。ん?愛欲という漢字からして、それは大人ってことなんでしょうか。複雑ですねえ。


 ちなみに余談ですが、私ずっと直美が女子大生だと気付かずに物語の後半まで女子高生だと思ってました。というのも薬師丸ひろ子がいくら私服を着て、大学らしき校舎に通ってても女子大生だと気付かない可愛さなんです。本当に女子高生かと見間違えるくらいの可愛さでした。あどけなさでした。

 だからずっとこの映画観てて疑問に思ってたんです。女子高生が中年の探偵に恋するものかなあ、と。だからずっと探偵とくっつく展開を拒否していました。まあラストはそうならなかったんですが。でも直美が女子大生だと最後の方で気付いて、「ああ、それなら好きになってもいいかあ」と納得しました。

 まとめとして、ストーリーは面白くヒロインがお年頃の映画でした。
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生活のかかった釣りバカ日誌。


『老人と海』 (1958年・米)
老人と海
スタッフ
監督:ジョン・スタージェス
脚本:ピーター・ヴィアテル
原作:アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」
製作:リーランド・ヘイワード
音楽:ディミトリ・ティオムキン
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ、フロイド・クロスビー、トム・タットウィラー
水中撮影:ラマー・ボーレン
編集:アーサー・P・シュミット、フォーマー・ブラングステッド
配給:ワーナー・ブラザーズ
キャスト
老人:スペンサー・トレイシー
少年:フェリペ・パゾス
カフェの主人マーティン:ハリー・ビレヴァー
ナレーション:スペンサー・トレイシー


 ジョン・スタージェス監督作品「老人と海」。原題タイトルは「The Old Man and the Sea

 悲壮漂う映画でした。映画の半分以上は海の上が舞台でほとんどのセリフが老人とナレーションによるものでした。はっきり言うとドキュメンタリー調で人によっては退屈で眠くなる映画だと思います。私は大丈夫でしたが。

 しかしこの映画、私はストーリーよりこの映画で出てくるアフリカの海岸やライオン、港町の情景、海の上にうかぶ夕雲や海に映る太陽の光。こういった映画の情景が素晴らしく綺麗であると思いました。この映画一つ観ただけで外国の海に私自身が浮かんだような気がします。

 原作のヘミングウェイは「誰がために鐘は鳴る」などの作者でもあります。この「老人と海」は1954年にヘミングウェイがノーベル文学賞をとる大きな要因となった映画です。しかし彼自身はこの後に二度の飛行機事故に遭い生存しましたが後遺症に悩まされ61年にライフル自殺してしまいます。勿体ない、としか言いようがないですね。

 ジョン・スタージェス監督は「OK牧場の決斗」(1957)、「荒野の七人」(1960)、「大脱走」(1963)などの監督だそうです。西部劇やアクション映画がお得意だったようですね。そんな監督がなぜ、この映画のメガホンをとったのか疑問ですが。まあもともとはフレッド・ジンネマン監督だったようですが彼が降板したようです。ちなみにジンネマン監督もアクションや西部劇が得意な監督さんなんですが。


【あらすじ】

 小さな小屋に住む漁師の老人は一人で小舟に乗り漁をしていた。近頃は歳のせいもあってかなかなか魚が獲れずにいた。ある日、再び漁に出た老人は巨大なカジキが食いついたのを見て、他の魚は気にせずその魚をとにかく獲ろうとする。巨大なカジキは小舟を引っ張る勢い。果たして老人はカジキに勝つことが出来るのだろうか・・・














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 キューバ・コヒマル。ここに一人の一本釣りの老人漁師(スペンサー・トレイシー)が小屋に暮らしていた。妻に先立たれ、白髪にしわの顔立ち、しかし恰幅はある男だ。

 老人はある少年(フェリペ・パゾス)に漁を教え、彼を舟に乗せて一本釣りの大型魚を釣っていたこともある。しかし老人は年老いて、少年の父親は彼を別の舟に乗せてしまった。しかし少年は老人を尊敬し陸地ではいつも彼にべったりしている。

 しかし老人は最近は一人で海に出ているがまったく釣れずに困っていた。マーティン(ハリー・ビレヴァー)のカフェで飲むビールですら少年に奢ってもらう始末。他の若い釣り人からは嘲笑される。昔は侮辱に感じたが今は何とも思わない。

 その日の夜、ぐっすり眠る老人は幼い頃に居たアフリカの情景を思い出す。海岸、漁をする民族、戯れるライオンたち。

 翌朝、いつものように陽が昇る前に沖合に漁に出た老人。陽が昇ったころ、突如として針に反応が。これはいつになく大きい獲物だ。

 獲物はどんどん遠ざかり、舟ごと引っ張られていく。針が刺さっているハズなのに全く弱らないこの大きな魚。老人はその魚をとることに執着心を燃やし、他の針に引っかかった魚に目もくれずその糸を切ってしまう。

 大きな魚は夜になっても浮かび上がってこない。老人はあの少年がいたら、としみじみと思いつつ綱から手を離さない。そのあまりの力に老人も手を痛め傷ついてしまう。

 一睡もせず、夜が明けようとしたころにその獲物がついに海面から姿を見せる。老人が生きてきたこれまでの人生でも観たことのないような大きなカジキだった。老人は興奮する。

 陽がのぼった後は雨が降り出していた。老人は自分の手を傷ついた左手を見てカサブランカでの思い出を思い出す。

 腕相撲のチャンピオンだった黒人のマッチョマンと腕相撲をした際に何時間もかけ接戦の末についに黒人に勝利した想い出。それを思い出し老人は奮起する。

 日没、また夜が明けてあまりの疲労と眠たさにうとうととする老人。しかし綱が動いて老人は目を覚ます。あのカジキが海面をバタバタと暴れ回りだしたのだ!

 ここで逃がすわけにはいかない。老人はひたすらカジキ、そして睡魔や疲労感と戦う。

 陽が昇りついに老人はカジキをモリで仕留めたのだ。老人はカジキに友情すら感じていた。カジキを仕留めるのに三回の太陽が昇るのを見かけたからだ。

 しかし帰り道。遠いところまで流された老人の小舟。カジキが突かれたところから流れる血によってサメが集まってきてしまった。

 老人はモリでサメを突き、退治する。しかしサメにカジキの一部を食われてしまい、カジキが出血する。その血の臭いに他のサメも寄ってくることを避けられなかった。

 先ほど退治したサメにモリを持ってかれた老人はオールにナイフをくっつけて寄ってくる他のサメを撃退する。しかしナイフの刃も折れモールで叩くことでしか戦えない。

 第一波を撃退するが第二波もやってきてカジキはほとんどの肉を食われてしまう。さすがの老人もショックを隠せなかった。夜になって風に流れて港町に帰ってきて5回ほど休みながら家に帰宅する。

 朝は風が強く漁ができない。少年は老人の家に行き、手を傷だらけの老人を見て悲しむ。そして少年は食いちぎられたカジキの痕に寄ってきた漁師たちを眺め老人を誇らしく思う。マーティからコーヒーを貰って老人に持っていく。

 少年が次の漁について来る、と言い老人は「ワシは運が無いから一緒に来ちゃだめだ」と断る。

 しかし少年は明るい笑顔で「なら僕が運を持ってくるよ」と励ます。

 老人は再び深い眠りアメリカのライオンの夢を見る。








 この頃からヘミングウェイは現実に絶望していたんでしょうねえ。現実が理想とは相いれない、冷酷な現実に。

 でもやはり最後は希望で終わらせる。若い少年の笑顔と励まし。これ重要ですよね。

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北野監督は撮り方がうまいですねえ。感心しました


『キッズ・リターン』 (1996年・日)
キッズ・リターン
スタッフ
監督:北野武
脚本:北野武
製作:森昌行、柘植靖司、吉田多喜男
音楽:久石譲
撮影:柳島克己
編集:北野武、太田義則
配給:オフィス北野、ユーロスペース
キャスト
ミヤワキ・マサル:金子賢
タカギ・シンジ:安藤政信
ヒロシ:柏谷享助
南極五十五号:北京ゲンジ
ハナヤマ:やべきょうすけ
ハナヤマの仲間の短髪男:大塚義隆
ハナヤマの仲間の金髪男:翁和輝
担任教師:森本レオ
ジムの会長:山谷初男
カズオ:津田寛治
サチコ:大家由祐子
サチコの母:丘みつ子
ハヤシ:モロ師岡
若頭:寺島進
ヤクザの会長:下條正巳
ヤクザの組長:石橋凌


 北野武監督作品「キッズ・リターン」

 北野武には独特な撮り方がありますね。私ははっきり言って、撮影技法だとかそういう製作上での技術、というものはあまり気にしないし、そういうものをメッタに評価はしないのですが武の撮り方は本当に独特だ、ということは分かりました。

 武がバイクで事故って死にかけた後に復帰してはじめて撮った作品です。やはり死ぬ寸前まで人は陥ると考え方も変わるようです。

 私自身はこの映画を淀川先生が評価している、ということを知って興味を持ちました。あの洋画を愛し邦画のことは洋画ほどは語らない淀川先生が、という思いで観賞しました。まさしく青春ですね。

 しかし北野監督はこのキッズ・リターン以前の映画が何故か国内のウケが悪い。彼を褒めたたえる評論家(淀川さんや黒澤明など)もいるにはいますが、多くはないし興行収入もさほど良くない。私は北野映画を「芸術」として観ていますので、近年芸術映画離れし娯楽映画ばかりが撮られる日本では評価されにくいのも仕方ないでしょうか。まあ映画人の評価が悪いのは、彼がタレントであるのに映画監督なんて生意気である、というところにもあるのでしょうが。もちろん、それが悪いとも私は言いませんよ。

 でも私は北野監督は「俺は映画を知らない」と、本当に北野武がそこまで映画を知らなかった時代の映画の方が好きですねえ。周囲から映画として非常識だ、と言われるくらいの映画を作ってほしいものです。私は絶対観ますから!、なんて言いたいですがね。

 全体的にまとめるとこの映画は男の青春と友情の映画です。独特の青春ですよねえ。そして独特の世界観。


【あらすじ】

 不良のマサルとシンジ。二人は授業を平然とサボり教師からは「学校に来なくていいから、迷惑だけはかけるな」と見捨てられていたが二人は不良なら不良らしく楽しんでいた。ある日、ボクサーに返り討ちにされたマサルはシンジを連れてボクシングジムに通う。だがボクサーの卵としてはマサルの方が上だった・・・














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 高校に通うミヤワキ・マサル(金子賢)とタカギ・シンジ(安藤政信)の二人。二人は担任(森本レオ)らから見放され、授業にも出ず窓から人形を吊るしたり、自転車で二人乗りで校庭を走りまわったりと遊び回っていた。シンジがマサルのことをマーちゃんと呼び慕い、引っ張られるような形になっている。

 たまに授業に出ても教師に「お前らは迷惑さえかけなければ教室に来なくていいんだ」と言われる始末。それなら出てやる必要はない。

 いつも寄る喫茶店ではおどおどしたヒロシ(柏谷享助)が喫茶店のサチコ(大家由祐子)にアプローチをかけている。サチコの母(丘みつ子)はヒロシ君、いいんじゃない?というがサチコは気にかけてもいないようだった。

 夜になれば、ラーメン屋に行きオヤジ(田村元治)から酒とタバコを貰う始末。そして常連のヤクザの組長(石橋凌)をマサルは心酔している。

 ある日、カツアゲした生徒(宮藤官九郎、菊川浩二)が助っ人(石井光)を呼んでいた。構わずマサルは殴りかかるが助っ人はボクサーだった。コテンパンに返り討ちに遭わされる。

 その日以来、マサルと会えないシンジ。学校にひとまず通いつまらない通学生活を送っていた。しかし久しぶりにマサルと再会したシンジはマサルに連れられてボクシングジムへ通うことになる。

 シンジはボクサーとしての芽を開花させていた。ジムの会長(山谷初男)もシンジに目をかけるようになっていた。

 そしてある日、マサルはシンジと打ちあった時にシンジに大敗してしまう。その次の日からマサルはジムに通わなくなってしまう。

 一方のヒロシはサチコにはかりの会社に就職することを打ち明ける。サチコの母はいい物件じゃないかあ、とサチコに提案していた。

 マサルがいなくなってもシンジはジムに通い続けていた。そんななかでシンジは先輩のボクサー・ハヤシ(モロ師岡)から色々なことを教わる。シンジは期待のボクサーとして輝きだす。

 そんな時に久しぶりにマサルと再会する。マサルはラーメン屋でよく出会うヤクザの組長に従っていたのだ。シンジとマサルはお互いに何も話さないままマサルはタバコを買いに行った。

 かつての同級生の進路はさまざま。お笑いの練習をしていた二人(北京ゲンジ)は大阪へ行った。不良三人組(やべきょうすけ、大塚義隆、翁和輝)はシンジの通うボクシングジムに通っていた。

 ヒロシはサチコと結婚していた。だがはかりの会社の上司(平泉成)に不満を持った友達に押され、共に会社を辞めてタクシーの運転手になってしまった。客(大杉漣)にいびられ、上司(日野陽仁)に業績の悪さで嫌味を言われる毎日を送る。

 しばらく経ったころ、久しぶりにマサルがシンジの通うジムにやってきた。マサルは全身に入墨をいれている。マサルは組長が殺した敵対ヤクザに対し殺した罪を若い部下のカズオ(津田寛治)に拳銃を持って警察に行くように言い、若頭(寺島進)を九州へしばらく隠れさせ、現在若頭のシマをマサルが管理しているのだ。

 しかしマサルはすぐに会長によって出入り禁止にされてしまう。マサルはシンジに「じゃあな」と言い車に乗って去って行った。

 シンジはパフォーマンスの前座で試合で敵ボクサーに勝利する。その試合でジムのチャンピオン・イーグル飛鳥(吉田晃太郎)が試合で敗北する姿を見る。

 その頃からシンジはハヤシに再びべったり付いており、ハヤシはシンジに酒を飲ませてたらふく食べさせる。シンジは最初は戸惑っていたが今では普通に酒が飲めてしまう。ハヤシは吐けば減量できる、と言うがシンジはなかなか減量できずに会長に怒られていた。

 ハヤシはシンジに怪しい薬を飲ませるがシンジはそれでもうまくいかなかった。

 一方、マサルは組長が撃ち殺され、仇討にいかない、という結論を出した会長(下條正巳)を罵倒して退室する。会長は若頭にシンジを〝仕置き〟するよう命令する。

 万全な体調でないままシンジはボクシングの試合にのぞむ。結果は大敗だった。

 ヒロシはタクシーで事故を起こしてしまう。

 マサルはかつての部下たちに若頭の命令でボコボコにされ若頭によって日本刀で腕を切られてしまう。かくして輝かしい時代は一旦、終わりを迎える。

 さらに数年後、新聞の配布をするシンジは職探しをしているマサルと再会し久しぶりに自転車で二人乗りをする。

 ヒロシは事故を起こしたが何とか生きており、サチコに映画を観に行こうと誘うが断られる。

 大阪へ来た二人組は南極五十五号を名乗り、今はネタがなんとかウケている。

 マサルとシンジは学校の校庭を自転車で遊び回る。校庭を見つめる生徒を教師が「またあのバカどもだ」と冷たく言い放つ。

 シンジはペダルを漕ぎながら「マーちゃん。俺たち、もう終わっちゃったのかなあ」としみじみと言う。マサルは「バカヤロー、まだ始まっちゃいねえよ」と二人で笑い飛ばすのだった・・・










 久石譲が音楽を担当しているだけあってこの主題歌、良い曲ですよねえ。

 自転車っていうのが本当に青春の象徴ですよね。青春という人生の一部に、北野は人生そのものを映画として描きました。

 この映画は主人公たちがどんな道でも輝かしい人生を駆け上がる、という希望を見せかけて挫折させて落とす。しかし最後にはそんな落ちぶれた人間たちも楽しく生きられる、という温かさや優しさ、希望で包み込んでしまう。北野監督なりの優しさをこの映画に吹きこんでるんでしょう。

 しかしやはり挫折という冷酷な人生の一部を見せつけられるとしみじみと感じます。やっぱり生きるのって死ぬより難しいですよねえ・・
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2000年代の短編映画を観るなんてすごい珍しいですよ。


『またたく魔』 (2008年・日)
またたく魔
スタッフ
監督:田平衛史
撮影:大目象一
編集:田平衛史
音楽:浅田将助
キャスト
男:小澤喬
撮影スタジオのアルバイト:畠山綾野
占い師:吉居亜希子


 田平衛史監督作品「またたく魔」

 私が今まで観てきた短編、長編含む映画の中でも極めて異質な作品といえます。ストーリーは日常生活を切り取ったまさに〝またたくま〟に淡々と進むストーリーだしスケールも個人製作であることが分かるくらいの、スケールなのですが面白いし魅かれます。

 しかし、なかなか文章で評価するのが難しい映画のような気もします。なんと言ったらいいのでしょう。とにかく異質で異色な映画、としか私には言えません。この独特の面白さをうまく表現できません。では単純に、面白い、という言葉で評価させてもらいます。

 私は小津安二郎を調べてこの映画を知りました。この映画は「第9回小津安二郎記念蓼科高原映画祭 準グランプリ」を受賞しているようです。私はこの映画を観て今の短編映画も捨てたものではない、と思いましたね。田平監督には期待したいものです。


【あらすじ】

 占い師に〝お見合い写真〟が運勢のベストキーになる、と言われた男は撮影スタジオを訪れる。しかしその男は撮影されるとどうしてもまばたきしてうまく写真が撮れないのだ・・・














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 占い師(吉居亜希子)に占ってもらった男(小澤喬)はお見合い写真がラッキーアイテムだと知った男はお見合い写真を撮るために撮影スタジオを訪れる。

 そこの社長はおらず、男はアルバイトの女性(畠山綾野)に撮影してもらうことになる。

 早速、撮影が開始されるが男は目を瞑ってしまう。二枚目を撮影しても男は目を瞑ってしまっていた。

 男はアルバイトの女性に、もういいですよ、と言うとアルバイトの女性は頑なにそれを断る。男はそれに威圧されるがアルバイトの女性はやがて泣き出してしまう。

 公園でアルバイトの女性から話を聞く男。女性は、情緒が豊かすぎて自分のショックを隠し切れずに泣き出したりしてしまうのだ。大声で。

 再び占い師の下を訪れた男。占い師はもう占いが外れたんだ、というが男は諦めなかった。

 男は再び何枚も何枚もアルバイトの女性に撮ってもらう。やがて二人とも興奮してきて、男も白シャツ一枚とズボン姿になり絶頂寸前のところで目がつぶっていない写真が撮れた。

 するとアルバイトの女性は次の人が来るまでに撮れてよかったあ、と言い次の人を呼ぶ。白けた男はただ呆然としている。

 やがてそのお見合い写真がある一家のところへやってくる。家の面々はお見合いを断ろう、と言うばかりだったが一人の女性がこの人とお見合いしたい、と言う。それは占い師の女性だった・・・






 またたく魔ってのは写真のときに目をつぶる、つまりまたたいてしまう主人公のことでしょう。なかなかに良いタイトルですねえ。

 そしてまさかヒロインが写真屋のアルバイトじゃなくて占い師の方だったとは・・少し予想外でした
Category: 邦画マ行
結婚生活7年目はご用心。


『七年目の浮気』 (1955年・米)
七年目の浮気
スタッフ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー、ジョージ・アクセルロッド
原作:ジョージ・アクセルロッド「七年目の浮気」(ブロードウェイの舞台劇)
製作:ビリー・ワイルダー、チャールズ・K・フェルドマン
音楽:アルフレッド・ニューマン
撮影:ミルトン・クラスナー
編集:ヒュー・S・ファウラー
製作会社:チャールズ・K・フェルドマン・グループ、20世紀フォックス
配給:20世紀フォックス
キャスト
ブロンドの美女:マリリン・モンロー
リチャード・シャーマン:トム・イーウェル
ヘレン・シャーマン:イヴリン・キース
リッキー・シャーマン:ブッチ・バーナード
トム・マッケンジー:ソニー・タフツ
管理人:ロバート・シュトラウス
ベジタリアンレストランのウェイトレス:ドロ・メランデ
配管工:ビクター・ムーア
ブルベイガー先生:オスカー・ホモルカ
ミス・モリス:マルグリット・チャップマン
ミス・フリンチ:キャロリン・ジョーンズ
エレイン:ロクサーヌ


 ビリー・ワイルダー監督作品「七年目の浮気」。原題タイトルは「The Seven Year Itch

 有名なワイルダーの監督作品です。ワイルダーは名前だけじゃなくて製作した映画に職人芸を見せるから私も好きなんですよ。ワイルダーは映画監督ではなくて、映画職人じゃないかなあ、と私は思っています。

 何だかんだで私、マリリン・モンロー映画を観るのは初めてなんですよ。モンロー初の映画はあのモンローのスカートが地下鉄が通る風でフワリを浮かび上がる有名なシーンがあるこの映画を選んでみました。しかし正直、かなり有名になるほどのシーンとは思えなかったんですが、当時のセックスシンボルであるモンローのあのセクシーなシーンと考えればなかなかいい脚だったと思います。しかしこのシーンを観た夫が激怒しモンローと離婚するほどですからね。

 トム・イーウェルは原作のブロードウェイの舞台でも同じ主人公役を演じていたんですね。ちなみにその時のモンローの役をやっていたのはヴァネッサ・ブラウンという女性です。このトム・イーウェルの妄想癖がすごい面白かったです。

 アルフレッド・ニューマンのこのヘナヘナとした音楽も良い感じですよねえ。

 この映画を観て、マリリン・モンローに私もメロメロになった気がします。彼女って、純粋で無垢な役をやらせたらホントに輝きますねえ。メッチャ可愛いです。


【あらすじ】

 リチャード・シャーマンは夏になり毎年、恒例の妻ヘレンと息子を避暑地へ送り出し、自身はマンハッタンで仕事に打ち込む決意をしていた。酒と煙草を封印し、他の世の夫たちのように隠れて女と過ごしたりもしない。しかし結婚生活7年目の夏。階上に一人のブロンド美女が部屋を間借りしにきはじめ、リチャードの浮気心がくすぶられて・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 ある民族は夏になると妻と子供を避暑地へ送り出す。しかし残った夫たちは避暑地に行かなかった女性に目がいってしまうのが習慣となっていた。

 この民族の話は物語とは全く関係ない。しかし今の時代でも世の男たちがやっていることは同じなのだ、ということを知ってほしい。

 主人公リチャード・シャーマン(トム・イーウェル)は小さな出版社に勤めている。リチャードは妻ヘレン(イヴリン・キース)と息子リッキー(ブッチ・バーナード)を夏の間、避暑地へ送り駅まで見送りした。しかし息子たちがホームに降りた後、カヤックのかい〈手に持って漕ぐアレ〉を渡し忘れたことに気付く。

 そのまま持って帰り、夕食はヌーディズム〈裸体主義〉のウェイトレス(ドロ・メランデ)がいるベジタリアンレストランで健康食を食べる。

 医者に言われたため、妻ヘレンとの約束で禁煙禁酒をモットーとしていたリチャード。彼は煙草と酒を封印したのだ。

 帰宅したリチャードは自分の階上の部屋を夏だけ間借りしているブロンドの美女(マリリン・モンロー)と出会い、彼女に鼻の下が伸びてしまう。ほぼ無意識。

 リチャードは妻ヘレン以外の女性に鼻が伸びてしまったことをすぐに後悔し仕事の準備に戻る。

 そんななかでヘレンが夜10時に必ず電話を入れる、という約束になっておりリチャードは妻が自分を信用していないからだ、と一人で勝手に憤慨する。何が彼女を信用させていないのか。酒は飲まない、煙草は禁煙、では女か?

 リチャードはバルコニーで避暑地に行ったはずの妻と妄想で会話をする。自分は浮気ができないんじゃなくて、浮気を拒み続けているのだ、と。妄想の妻ヘレンはその言葉に笑う。

 リチャードは秘書のミス・モリス(マルグリット・チャップマン)、入院中の看護婦ミス・フリンチ(キャロリン・ジョーンズ)、ヘレンの友達エレイン(ロクサーヌ)らに自分がかもしだすフェロモンのような何か、によって彼女たちはリチャードを求めたがリチャードはそれらをきっぱり断ってきたのだ、と妄想の中で空想物語を話す。

 ヘレンの電話がかかりリチャードは妄想を止めてその電話に応じる。何もしちゃいない元気だ。ヘレンが列車でリチャードの友人のトム・マッケンジー(ソニー・タフツ)に会ったのを知り警戒をうながす。彼は軽い男だ。人妻だって食ってしまうかもしれない。

 やがてベランダの自分がさっきまで座っていたイスにトマトの鉢植えが落下してくる。リチャードは階上の住人に「私を殺す気か!」と怒鳴るとそこに先ほど出会ったブロンドの美女が出てくる。

 ブロンドの美女が謝ると今までの態度が打って変わって「いえいえ、お気になさらず」とまるで紳士気取り。リチャードはブロンドの美女に私の家で一杯どうです?と誘う。ブロンドの美女はそれを受け、冷蔵庫に冷やした下着をつけてくる、と言ってベランダから戻って行った。

 リチャードはエッチな妄想をかきたてつつ、美女を迎える準備をはじめる。ヘレンのことを考えるが一晩だけ一緒に酒を飲むだけで浮気ではない、と誰に聞こえるわけでもない言い訳をつぶやく。

 準備中に妻ヘレンに頼まれてじゅうたんを引き取りに来た管理人(ロバート・シュトラウス)が部屋を訪れるが美女との逢引と誤解されないために引き取ってもらう。

 やがて美女が訪れマティーニを注文。砂糖で割るものなの?とか訳の分からないことを美女が言うが美女はクーラーがついていることに驚き、興奮する。美女が間借りしている家にはクーラーが無く、扇風機で過ごしているらしい。

 リチャードは独身である、と偽り彼女の要求するタバコを持ってくる。約束はすべて破られてしまう。

 美女は実は歯ブラシのCM女優である写真集のモデルのようなものもやっている、と言った。美女はシャンパンを持ってくる、と言って一旦家に帰る。リチャードは実はその写真集を持っており、彼女が映っているページを確認する。その後、妻ヘレンから電話がかかりリッキーのカヤックのかいをヘレンに届けることを伝える。

 美女が持ってきたシャンパンを開けようとして指がはまってしまったリチャードは何とか抜くが結婚指輪を見られてしまう。しかしブロンドの美女は「独身男性って素晴らしいわ。妻がいて責任があるから求婚なんてしないもの」と喜ぶ。

 ブロンドの美女は自分がよく独身男性に求婚されることや、自分が結婚する意思がないことを話す。

 リチャードはピアノを弾いてほしい、と頼まれ〝チョップスティック〟を演奏する。美女も興奮し出しリチャードと一緒に演奏する。やがてリチャードは演奏をやめて彼女への気持ちを抑えられず一緒に倒れこんでしまう。

 その後、すぐに我に返ったリチャードは後悔し美女に家に戻るように言う。

 翌朝、出勤し社長ブレイディ(ドナルド・マクブライド)に休暇を要請し家族の下に行こうとするがブレイディに笑い飛ばされハイ、無理でした。

 出版社にやってきた精神医ブルベイカー(オスカー・ホモルカ)の中年男性の性とかいう原稿を読み興味を示す。特に結婚7年目の夫はその年の夏になるとほとんどが痒くなり、浮気心がくすぶられてしまうのだ、という内容には興味を示す。

 社へやってきたブルベイカーに異変が起きていることを見抜かれ、ブルベイカーに診察される。次は襲うなよ、と釘を刺し去るブルベイカー。

 直後、ブロンドの美女が昨晩、襲われたことを町中に言いふらしているのでは、と疑心暗鬼にかられる。いや、彼女はCM女優だからテレビで暴露してしまっているかもしれない。すると妻ヘレンや息子リッキーがそれを今頃、観ているかも。

 心配になったリチャードは煙草を吸って落ち着いてからヘレンに電話を掛ける。しかしヘレンたちはどうやら知らないようだ。安堵するリチャードだった。

 その後、妻への愛を取り戻したリチャードは帰りにブロンドの美女に声をかけられても彼女のあふれるフェロモンに誘惑されずに済んだ。

 しかし家に帰ってシャワーを浴びながらリチャードは妻ヘレンが向うでトムと浮気してるんじゃないか、とまたしても疑心暗鬼になり、それならこっちも、とブロンドの美女を映画に誘う。

 映画を一緒に観たリチャードと美女。美女は地下鉄が通ると風がうかんでフワリとスカートが浮かぶのを楽しんだ。



 その後、エアコンがギンギンに効いている、という口実のもとリチャードは美女を家に招き入れる。考えた美女は元の部屋ではずっと暑くて眠れないが、ここでなら眠れそうだ、と言ってここの家で眠らせてほしい、と頼み込む。リチャードは喜ばしい気持ちを抑えながら、承諾する。



 しかし管理人が部屋を訪れ美女を見られてしまう。リチャードは鉢植えのことで話してただけだ、と言いごまかす。そして残念だが、と美女に家に帰ってもらう。

 カヤックのかいを包み始めたリチャードは美女が部屋にいることに驚く。実は階上の部屋とは階段で繋がっており、階上の美女に間借りさせている住人がリチャードと相談して床をふさいでいたのだ。

 美女はそのふさがれていた床を開けてリチャードの部屋にやってきたのだった。

 翌朝、目覚めたリチャードは朝食を作りながら実は美女が管理人とグルになって中年男性から金を脅迫する恐喝犯なのでは、と妄想をかきたてる。美女が眠っている自分の部屋のベッドを確認。美女がいない!逃げたのか!

 しかし美女はシャワーを浴びてるだけだった。誤解がとけたリチャードは今度は早朝の汽車で妻ヘレンが帰ってくるんじゃないか、と不安になる。

 帰って来た妻ヘレンは実は管理人を装った探偵から調査内容を受けすぐに帰ってきて説得するリチャードを拳銃で殺してしまうのでは、そんな妄想をかきたてる。美女がシャワーから出てリチャードをひとまず落ち着かせる。

 我に返ったリチャードはまさか魅力のない私を殺そうとまでは、思わないはずだ。と自虐する。

 美女はリチャードを励ます。「パーティでよくいる着飾った男。自分はモテるんだ、ってことをアピールする男性より、隅っこでおとなしくしている優しい男性の優しい笑顔を女性は好きになるのよ」と話す。

 その言葉にすぐに陽気に戻ったリチャード。やがて家にトム・マッケンジーがやってきた。リチャードはトムがカヤックのかいの件で話に来ただけなのに、実はヘレンと私を離婚させる話だろう!と勝手に怒りリチャードをこの着飾った男め!と殴って気絶させ管理人に引き取らせる。

 家族に会いたくってたまらなくなったリチャードはリッキーのかいを自分で届けることを決めて朝食を用意したブロンドの美女にそれを伝える。ブレイディ社長に休暇を伝えてほしい、と頼み自分が居ない間はこの部屋を好きに使っていい、と話すリチャード。

 別れを告げるリチャードにブロンドの美女は口にキスをする。それを拭おうとするリチャードだったがそれを止めて「奥さんがこのキス痕をイチゴソースと間違えたらうんと叱ってあげて」と言いヘレンの嫉妬を煽ろうとする。

 靴も履かないで飛び出してしまったリチャードにブロンドの美女は靴を投げ手を振る。陽気で手を振りかえしたリチャードは靴を履いてリッキーのかいを持って避暑地へと向かった・・・









 中年男の妄想がすごく面白い。こんな中年に世の中の中年は励まされるんじゃないでしょうか。

 あとはマリリン・モンローの可愛さが凄い映画ですよ。セクシーであり可愛くもあるモンローってやっぱり私は好きですなあ。
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Category: 洋画サ行
3人に善意を渡しましょう。そしてその3人にまた、善意を他の人に渡してもらいましょう。


『ペイ・フォワード 』 (2000年・米)
ペイ・フォワード
スタッフ
監督:ミミ・レダー
脚本:レスリー・ディクソン
原作:キャサリン・ライアン・ハイド「ペイ・フォワード」
製作:ピーター・エイブラムス、ロバート・L・レヴィ、スティーヴン・ルーサー
製作総指揮:メアリー・マクラグレン、ジョナサン・トレイスマン
音楽:トーマス・ニューマン
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:デイビッド・ローゼンブルーム
配給:ワーナー・ブラザーズ
キャスト
トレバー・マッキニー:ハーレイ・ジョエル・オスメント(進藤一宏)
ユージーン・シモネット:ケヴィン・スペイシー(田原アルノ)
アーリーン・マッキニー:ヘレン・ハント(小林優子)
クリス・チャンドラー:ジェイ・モーア(横堀悦夫)
ジェリー:ジェームズ・カヴィーセル(てらそままさき)
グレイス:アンジー・ディキンソン(斉藤昌)
リッキー・マッキニー:ジョン・ヴォン・ジョヴィ(宮本充)
アダム:マーク・ドナト


 ミミ・レダー監督作品「ペイ・フォワード 可能の王国」。原題タイトルは「Pay It Forward

 この映画、私は今日まで知りませんでした。しかし千歳飴さんという方からこの映画を観てほしい、とツイッターで教わり観賞してみました。私はこの映画を観て本当に良かったと思っています。まずは千歳飴さん、ありがとうございました。

 ペイ・フォワードとは「善意を次へ渡す」という意味合いのようです。確かにこの映画はその通りでした。ほんの少しの勇気を出して次へ渡す、簡単そうに聞こえますが難しいんです。

 ミミ・レダー監督なんですが調べてみるとあの「ディープ・インパクト」(1998)の監督さんだったんですね!全然知りませんでした。

 実は恥ずかしながらキャスト陣のメンバーは全然知らない人ばかりだったんです。ケヴィン・スペイシーは名前を聞いたことある程度でした。主役のハーレイ・ジョエル・オスメントは子役タレントとして有名だったそうです。私が観た限りではまだ肌がツヤツヤしていい子役でした。しかし後にまあスキャンダルを起こしてるんです・・アメリカの子役ってスキャンダルに縁がありすぎる気がします。


【あらすじ】

 中学1年生に進級したトレバーは新しい社会科の教師であるユージーンの世界のために君は何ができるか、を課題とする。考えたトレバーは3人の人に善いことをして、恩返しを求めずその3人の人たちが違う3人にまた、善いことをして世界を善い世界に変えていく、ということを思いつき・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 ロサンゼルス。車に自分の愛車を激突され困っていた記者のクリス・チャンドラー(ジェイ・モーア)は見知らぬ老紳士からジャガーの車とキーを渡された。

 こちらはラスベガス。中学1年生になったトレバー・マッキニー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)の担任は社会科教師のユージーン・シモネット(ケヴィン・スペイシー)となっていた。

 顔面の火傷の跡が残っていたシモネット先生。彼は最初の授業で「君たちは世界に何を期待されている?」と問い「君たち自身の手でこのクソッタレな世界を変えようと思ったら何をするか」を課題として生徒たちに問い質した。

 トレバーは考え、ホームレスの一人で全く面識がないジェリー(ジェームズ・カヴィーゼル)を家に招く。彼に母アーリーン・マッキニー(ヘレン・ハント)が自分のために用意した夜ごはんを分けてあげた。

 アーリーンは昼はカジノで働き夜はコンパニオンとして働いていた。そして彼女はアルコール中毒だった。息子との約束で克服はしようとしているんだが、なかなか止められずにいた。

 一方のロサンゼルスでクリスは老紳士が娘を今は留置所に捕まっている囚人に助けられた。その囚人が3人に善い行いを渡してほしい、と言っていたことを知り囚人に会いに行く。囚人はラスベガスに居た時にホームレスの婆さんに助けられ3人に善い行いを回してほしい、ということを頼まれたことを話す。

 翌朝、アーリーンは自分の家に全く知らないジェリーが泊まっていたのに気づきすぐに彼を追い払う。

 学校に登校したトレバーは自分の考えを発表する。それは3人の人たちに善意の行いをしてあげて、その3人がまた3人に善意を行う、それをどんどん広げていけば世界は良くなる!という考えだった。

 シモネット先生はトレバーの考えを評価する。一方、トレバーが先生の課題でホームレスのジェリーを助けたんだ、ということを聞きだしたアーリーンはシモネットを問い詰める。しかし難しい言葉ばかり使うシモネットにのらくらりとアーリーンは交わされてしまう。

 アーリーンは家に帰ってからすると車のガレージで誰かの気配を感じる。銃を構えるとジェリーが出てきた。ジェリーはガレージでずっと故障したまま使えなかった軽トラックを誰に言われたでもなく直していた。

 ジェリーはトレバーが言っていた3人へ恩を返す、という話をする。そしてジェリーは自分が麻薬中毒者でホームレスになった。今度、失敗すれば自分は死ぬだろう、と話し修理業者として真面目に働くことを話す。アーリーンはそれを聞き銃を置いてジェリーにコーヒーをごちそうするのだった。

 次の日、トレバーはジェリーが泊まっているモーテルの部屋に行くがジェリーは再び麻薬に染まってしまい、仲間たちによって追い返されてしまう。ジェリーを助けるのは失敗してしまった。

 次、トレバーが善い行いをしようとする相手。それはシモネット先生だった。トレバーは母アーリーンが書いた手紙のように装いシモネットに家に来てほしい、という手紙を渡す。

 シモネットは指定通りに家を訪れアーリーンに会いに来る。シモネットはこの前の非礼を詫びた後、アーリーンにあなたを呼んでない、という事を言われトレバーに謀られたことを知る。

 アーリーンは食卓のロウソクにトレバーによって火をつけられていることを知り、とりあえずシモネットと夕食をする。その後、シモネットは帰って行き、アーリーンはトレバーに「こんなことをしたって先生も私も好きになったりはしないわ」と話すのだった。

 そのうちにトレバーとアーリーンは口論になる。トレバーが詰め寄らなかったアーリーンを責め、ついにはアーリーンが隠れて酒を飲んでいることを問い詰め、母親失格だ!とまで言ってしまう。アーリーンはトレバーをビンタしてしまい部屋から去って再び酒を飲もうとしたが、すぐに酒を吐きだす。飲んではいけない、という意志の下だった。

 その後、トレバーの部屋に謝りに行こうとしたが部屋にはトレバーがいない。家出してしまっていた。

 アーリーンは警察に電話するが取り合ってくれない。そこでシモネットに電話をし、車に乗せてもらうことにした。

 シモネットはアーリーンからアルコール中毒という話を聞かされるが「でも克服しようとしている」と慰めの言葉を述べる。

 シモネットはもしかしたら、とバス停留所へ車を停め探す。トレバーはバス停留所でバスを待っており、誘拐しようとしていた男に声をかけられていた。シモネットはその男をトイレに連れ込み殴り倒してから親子を見守る。

 アーリーンはトレバーに自分がアルコール中毒であることと、先ほどは飲もうとしたが飲まなかったこと、そしてトレバーをぶったことを死ぬまで後悔する、と話し謝る。トレバーはアーリーンに抱き着き親子は仲直りした。

 シモネットは車を運転しアーリーンとトレバーを家まで送る。アーリーンは去ろうとするシモネットにいつでも家に来てほしい、と話したのだった。

 数日後、シモネットはアーリーンが昼に勤めるカジノを訪れ夕食を一緒にいかがかな?と誘う。アーリーンはそれを承諾する。

 しかしアーリーンは残業が長引いて遅れてしまった。アーリーンはトレバーが気をきかせて待たせていたタクシーに乗り込み、帰ろうとしていたシモネットを呼び止め夕食を共にする。

 アーリーンはその後、シモネットと何度もディナーを共にする。しかしそれ以上の進展はなかなか無く、アーリーンは焦れていた。

 ある日、夕食を終えたアーリーンはシモネットに家に寄って泊まってほしい、と言う。しかしシモネットは拒絶する。君を好きだが自分には抱けない、と言ってキスだけして家に帰って行った。

 アーリーンは頭に来てシモネットの家に行き、問い詰める。シモネットはそれでも拒絶しアーリーンは諦めて帰って行った。

 4日ほど後、トレバーは登校中に友達のアダム(マーク・ドナト)が不良にいじめられているのを助けようとするが怖くて手を出せなかった。

 3人に善い行いをする、というのを失敗したトレバーは落ち込んで授業に出なかった。シモネットはトレバーに何があったかを聞く。

 トレバーはシモネットが母アーリーンと4日も会ってないこと、トレバーを助けられなかったことを話す。シモネットはできないこともある、と言いアーリーンに会うのも出来ないと話す。トレバーは実の父親リッキー(ジョン・ヴォン・ジョヴィ)がアーリーンに暴力をふるう事を話し、アーリーンの側に居てほしい、と話す。

 トレバーの話を聞いたシモネットはアーリーンの下を訪れ、ついに一夜を共にする。



 翌朝、トレバーはシモネットが家にいることを知り、自分の作戦が成功したことを知る。

 3人に善い行いを渡す、の起源が気になったクリス・チャンドラーはラスベガスへやってくる。

 一方、再び薬物中毒になっていたジェリーは橋を渡っていた時に一人の自殺しようとしていた女性を見つける。ジェリーは一目散にその女性を説得する。女性は一向に飛び降りようとするのを止めようとしなかったが、ジェリーは「さっきまで麻薬のことしか考えてなかったのにあなたを見た途端、それを忘れました。私は3人に善い行いを渡さないといけません。どうか私のために自殺を止めて善い行いをさせてください」と言う。女性は泣きながら自殺を止めるのだった。

 アーリーン、シモネット、トレバーは家で楽しく過ごしていた。そこへ実の父親リッキーが帰ってきてしまった。シモネットは寂しそうに家を退散する。リッキーはもう酒をやめて真面目に暮らす、と話しアーリーンはそれを信用してしまう。

 その後、アーリーンはシモネットに謝りに行き、リッキーが更生しようとしていることを話す。しかしシモネットはトレバーがいかにリッキーがアーリーンに暴力をふるっているのを見てビクビク怯えているか!と叫び、やがて自分の父親の事を話す。母親に暴力を振るう父親に嫌気が差したシモネットは一度、家出をしてから帰ってきて父親を叱咤し母親を連れて出て行こうとした。

 しかしシモネットは父親に傷つけられ、ガソリンを撒かれて火をつけられたことを話す。そしてシモネットは未だに火傷の痕が残っているのだ。

 アーリーンはその話を聞いて涙する。シモネットは同情などいらない、と話しアーリーンの話をマトモに聞かず家に帰って行った。

 翌日、やはりリッキーは酒を飲みアーリーンやトレバーに暴力を振るおうとした。アーリーンはリッキーを家から出ていくように言い、「選択ミスしちゃったわね」と涙を浮かべてトレバーに言った。

 トレバーは学校に登校してからアーリーンが後悔しているから仲直りしてほしい、とシモネットに言うがシモネットはそれはできないんだ、と話す。トレバーは臆病者だ、とシモネットを罵り教室を出ていく。

 クリス・チャンドラーは逃げていた囚人を助けたホームレスの老婆に会う。老婆グレイス(アンジー・ディキンソン)は酒と交換で話しだす。

 久しぶりにグレイスに実の娘アーリーンが会いに来た。アーリーンは母グレイスに酷い目に遭わされたが、それでも彼女を許す、とグレイスを許したのだ。そしてアーリーンは3人に善い行いをする話をはじめたのだ。クリスはグレイスの娘アーリーンの存在を知る。

 トレバーの誕生日パーティが開かれアーリーンやアーリーンに許されたグレイスらが一緒にパーティをしていた。そこへ記者クリスが訪れ3人に善い行いをする運動のことを質問する。アーリーンは息子トレバーが先に始めたことだ、と話しトレバーはクリスに学校の教室でインタビュー映像を撮影される。

 息子を見守るアーリーン。そこへシモネットもやってくる。気まずいアーリーンとシモネット。やがてトレバーが話し始める。

 トレバーは「困難だから本物なんだ。勇気を出しさえすればできるんだ。でも中にはとても臆病な人達もいる。変化が怖いんだ。本当は世界は・・思ったほど・・クソじゃない。だけど日々の暮らしに慣れきった人たちは良くない事もなかなか変えられない。だから諦める。でも諦めたら、それは負けなんだ。すごく難しいことなんだ。もっと周りの人が、どういう状況か、よく見る努力をしなきゃ。守ってあげるために心の声を聞くんだ。直してあげるチャンスだ。自転車とかじゃなく・・・人を立ち直らせる」とインタビューで答える。

 トレバーの言葉を聞いたシモネットはアーリーンと和解し本当の愛し合える関係に戻ったのだ。

 一方、トレバーはアダムが再び不良にいじめられているのを見て不良に飛びかかる。不良は思わず脅し用のナイフを手に取りトレバーはそれが刺さって倒れてしまう。

 病院に搬送されたトレバーは息を引き取ってしまう。シモネットとアーリーンは家に帰りテレビでトレバーのインタビュー映像を見つめていた。

 シモネットは何気なく外を見つめる。そしてすぐにアーリーンを連れて玄関を出る。

 そこには大勢の人々がロウソクを手に取りトレバーに献花をしていた。多くの人々がトレバーの夢物語かと思われた〝ペイ・フォワード〟に影響を受けていたのだった・・・

♪Calling All Angels Jane Siberry












 この映画は本当に評価が分かれますね。ラストシーンが後味悪い、かラストシーンがあったからこそ感動できたか。私はラストシーンに納得がいきません。しかし、このラストシーンだったからこそ感動した、というのも事実です。

 3人に善い行いをする⇒希望。それが広がる⇒希望。この映画はハッピーエンドで終われば希望の映画で終わった〝いい映画〟でした。私はその映画でもよかったと思います。

 しかし最後の方でトレバーの死を挟むことでただの希望の映画で終わらず、トレバーが負けずの聖人のような子どもではなかった、という現実がそこに挟まれていました。確かに後味悪いですがラストシーンに影響します。

 ラストシーンでトレバーが死しても訴えた〝ペイ・フォワード〟に多くの人が影響され献花シーンがありました。ここで私は感動しました。トレバーの運動が実を結んだのだ、と。しかし仮にトレバーが死ななかったらあのペイ・フォワードは本当に夢物語で終わらなかったでしょうか・・と考えます。トレバーが死んだからこそ多くの人々が影響されたのも事実ではないでしょうか。

 そのラストも一種の希望ですよね。私はラストでなにもトレバーは死ななくても、とは思い納得がいきません。しかしラストでトレバーが死んだからこそ、私は感動し涙したというのも事実です。だから私にとっては複雑な映画ですねえ。トレバーの死によってこの映画の意味が輝いた、ともいえると思うんです。

 あとペイ・フォワード運動ですよね。とても革新的なアイデアですよね。私もそれは全く思いつくことができません。この考え方は素晴らしいアイデアです。私も感化されて3人に善い行いをしてみたい、と思ったほどです。

この映画は全体的に神秘的に感じました。恐らくサウンドトラックの効果でしょう。


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久しぶりにキートン映画を観ました。本当はサイレント映画のベン・ハーを観るつもりだったのですが、ちょっと時間がなかったので。


『キートンのハイ・サイン』(1921年・米)
スタッフ
監督:エドワード・F・クライン、バスター・キートン
脚本:エドワード・F・クライン、バスター・キートン
撮影:エルジン・レスリー
編集:バスター・キートン
配給:メトロ・ピクチャー(MGMの初期の名前)
キャスト
用心棒であり殺し屋の男:バスター・キートン
ミス・ニックルーザー:バーティン・バーケット
練習中に撃たれた男:アル・セント・ジョン
まばたきハゲ鷲団のボス:チャールズ・ドロシー


 バスター・キートン、エドワード・F・クライン監督作品「キートンのハイ・サイン」。原題タイトルは「The High Sign

 久しぶりのキートン作品鑑賞でございます。この作品はキートンが初めて監督として〝製作〟された映画です。ただしキートンが気に入らなかったのでその1年後に公開されました。初公開作品は「文化生活一週間」(1920)です。

 キートンが映画の撮影中に怪我をしたため、その埋め合わせとして公開されていたそうです。ですから、もしキートンが怪我をしてなければ公開されなかった可能性もあります。

 キートンが「文化生活一週間」で見せたセットの造形の凄さがこの映画でも目立っています。お得意のカラクリハウスとキートンのキレのある動きが観ている人々を笑いに誘いました。


※以下、キートンの役名は「キートン」と表示させていただきます。
【あらすじ】

 射的場のバイトで腕を見込まれたキートンは冷酷非道のギャング「まばたきハゲ鷲団」に加わる。初仕事の殺しはなんと、自分が用心棒として雇われた雇い主だった。護りながら殺す・・はたしてキートンにそれが可能なのだろうか。













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 キートン(バスター・キートン)は大きな新聞を広げ射的場の求人募集を見つける。銃の腕が良いのが条件だった。

 キートンは警官の持っていた拳銃を盗みバナナと取り換えて、たまたま居た男(アル・セント・ジョン)に見てもらう。しかしキートンの腕は散々で男は笑いだす。ムッと来たキートンは男に向って撃つが逆にそれが的のビンに命中する。

 男に褒められ気を良くしたキートンはもう一つのビンを撃つが今度は男に弾が当たりそうになり男はすぐさま逃げ出してしまった。もう一発、今度こそとビンに当てようとしたら今度は空を飛んでいた鳥に命中してしまう。

 キートンは射的場に行き、店主(チャールズ・ドロシー)に客が来たらパフォーマンスで的に当てろ。鐘がなったら命中した合図だ、と言って地下室へ店主は地下室へ去った。

 キートンは練習するが全く当たらない。そこで裏口で犬をつかったトリックを使いパフォーマンスの際にさも銃の腕前が良いように装う(説明が難しいのでその辺は本編を見てください)。

 一方、店主は地下室でまばたきハゲ鷲団という冷酷なギャングのボスとしてある金持ちの命を狙っていた。殺されたくなければ金を払え、そう脅迫状を送ったのだ。

 送られたオーガニスト・ニックルーザーはパニック。娘(バーティン・バスケット)の用心棒を雇おう、という提案により射的場を訪れた二人は銃の腕が良いキートンを用心棒として雇う。

 射的場に戻ってきた店主はキートンを殺し屋として雇う。その殺す相手はオーガニスト。護りながら殺す、というのはどのようにすればいいのだろうか。

 キートンは他の仲間の動作を見てまばたきハゲ鷲団のサインポーズを真似て仲間入りを果たす。

 その後、キートンはニックルーザー家を訪れる。不安を抱えた二人は自分の家をからくり屋敷にしてしまった。

 キートンは何度か二人を落とし穴の仕掛けで穴に落とそうとするがことごとく失敗。仲間の密告によりボスはキートンへの信頼を失い総突撃をする。

 まばたきハゲ鷲団が近づいていることを知ったキートンは発砲するのでオーガニスト氏は死んだフリをしてくれ、と頼む。まばたきハゲ鷲団が窓の外から様子を見るなか、キートンは発砲しオーガニストは倒れこんで死んだふりをする。

 歓喜するまばたきハゲ鷲団たち。キートン達も死んだふりが成功したとしておもわずオーガニスト氏が立ってしまう。

 死んだふりだと気付いたボスたちは家の中に入り込んでくる。オーガニスト達はカーテンの中に隠れ、キートンは追われてからくり屋敷の中を逃亡を図る。

 屋敷のカラクリでことごとくやられるまばたきハゲ鷲団たち。その後、全滅したと思いオーガニストと娘がカーテンから出てくる。

 しかしボスはまだ生きていた。ボスは娘を掴み今にも殺そうとしている。

 そこへキートンが現れ、事態に気付いたキートンは落とし穴の仕掛けを発動しボスは穴に落ちて行った。娘とキートンは抱擁を交わした・・・





 やっぱりキートン、ロイド、チャップリン映画は面白いですよね。

↓のDVDに映画が入ってるようです。まあ、私はニコニコ動画に落ちていた日本語字幕つきの動画を観たのですが。
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