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近年のパニック映画にしてはすっごい好きです。この映画。


『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年・米)
デイ・アフター・トゥモロー
スタッフ
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ローランド・エメリッヒ、ジェリー・ナクマノフ
原案:ローランド・エメリッヒ
製作:ローランド・エメリッヒ、マーク・ゴードン
製作総指揮:ウテ・エメリッヒ、ステファニー・ジャーメイン、ケリー・ヴァン・ホーン
音楽:ハラルド・クローサー
撮影:ウエリ・スタイガー
編集:デヴィッド・ブレナー
製作会社:セントロポリス・エンターテインメント、ライオンズゲート、マーク・ゴードン・プロダクションズ
配給:20世紀フォックス
キャスト
ジャック・ホール:デニス・クエイド(原康義)
サム・ホール:ジェイク・ジレンホール(浪川大輔)
ローラ・チャップマン:エミー・ロッサム(小笠原亜里沙)
J.D.:オースティン・ニコルズ(坂詰貴之)
ブライアン・パークス:アージェイ・スミス(日野聡)
テリー・ラプソン教授:イアン・ホルム(小林恭治)
デニス:リチャード・マクミラン
サイモン:エイドリアン・レスター
ルーシー・ホール:セーラ・ウォード(小山茉美)
ホームレスのルーサー:グレン・プラマー
ピース将軍:チャック・シャマタ
司書ジュディス:シーラ・マッカーシー
司書ジェレミー:トム・ルーニー
宇宙ステーション観測員パーカー:サッシャ・ロイズ
ジャネット・タカダ:タムリン・トミタ
フランク・ハリス:ジェイ・O・サンダース(土師孝也)
ジェイソン:ダッシュ・ミホク(内田夕夜)
トム・ゴメス:ネスター・セラーノ(大塚芳忠)
ベッカー副大統領:ケネス・ウェルシュ
ブレイク大統領:ペリー・キング


 ローランド・エメリッヒ監督作品「デイ・アフター・トゥモロー」。原題は「The Day After Tomorrow

 映像技術の最先端、VFXこと視聴覚効果により竜巻、津波などありえないような映像をリアリティある映像で表現しそれが高い評価を受けるとともに興行収入も凄いもんになりました。

 当時は科学者がこの映画ほど急激な気候変動は起こらないが、映画と同じ理論で、今後十年単位で平均気温が4度低下する恐れがあるという見解を示していましたね。温暖化によって棚氷が溶け、海流の急変から急激に氷河期に陥る、という。怖いですよ・・

 この監督さんは「2012」(2009年)の監督さんでもあるんですね。この監督は「インペテンズ・デイ」(1996年)といい、本当にパニック映画というかSF映画が得意な監督さんなんですね。今度、日本沈没を映画化するときは、この人にやってもらいましょうか・・とすら思いました。


【あらすじ】

 気象学のエキスパートであるジャック・ホールは地球温暖化によって南極の棚氷が溶ける現象を目の当たりにし、調査の結果数百年後かには海流の急変によって地球に氷河期が訪れる可能性を大統領らに提唱したが聞き入れてもらえなかった。だがその頃、地球では確かに異変が起こり始めていた・・・


♪テーマ












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 南極・ラーセンB棚氷
 気象学のエキスパートであるジャック・ホール(デニス・クエイド)はジェイソン(ダッシュ・ミホク)、フランク・ハリス(ジェイ・O・サンダース)と棚氷を調査中に棚氷の崩壊に遭遇する。

 ニューデリーで開かれた国連の国際会議。
 ジャックは地球温暖化により棚氷が溶けることで海流が変化し、やがては地球が氷河期を迎える可能性について話し子孫のために早急な対策をするべき、と唱えるがベッカー副大統領(ケネス・ウェルシュ)ほか各国首脳は金がかかりすぎるだの、なんだので反論する。

 会議場を出たジャック。雪が降る中、ジャックは海流研究学者のテリー・ラプソン教授(イアン・ホルム)と遭遇。彼と意気投合する。

 スコットランド。
 ラプソン教授のヘドラント研究所ではデニス(リチャード・マクミラン)とサイモン(エイドリアン・レスター)がある地点の海域の温度が13度も低下していたことに気付くが、その海域は海が荒れているから単なる観測装置の故障だろうという結論に至る。

 日本・東京。
 警官(ノブヤ・シマモト)が大雨洪水警報により避難誘導をしている最中、岩ほどの大きさの雹が空から降ってきて人々の頭に落下し死に至らしめていた。

 ワシントンD.C.
 ジャックは妻ルーシー(セーラ・ウォード)から息子サム(ジェイク・ジレンホール)が落第点をとったと聞かされ、ニューヨークに高校生クイズ出場のため空港から発とうとしたサムを空港まで車で送る。

 ジャックはサムを問い詰めるがどうやら数学教師が途中式を書かずに自分も出来ない暗算で解いてしまったジャックを減点し口答えしたサムに落第点を与えた、という。ジャックはサムに自分の誤解を詫びる。

 やがてサムは友達のブライアン・パークス(アージェイ・スミス)、ローラ・チャップマン(エミー・ロッサム)と共に飛行機に乗る。飛行機を怖がるサムをブライアンがからかいローラがそれを励ます。やがて飛行機は乱気流に巻き込まれるが何とか脱する。

 ヘドラント研究所。
 ニューデリーから帰ってきたラプソン教授は海水温度13度低下の現象を知る。デニスがそれは故障だった、と言うがデニスが示した地点だけではなく複数の地点で13度低下が観測された。複数が同時に機械が故障する現象などほぼありえないはずなのに。

 ニューヨーク。
 サム、ローラ、ブライアンの三人は交通渋滞に引っかかりタクシーを降りて歩いて会場へ向かう。ふと空を見上げると鳥の大群が不気味に一斉に移動をしていた。

 大会が始まり点を稼いでいくサムたち。ふとサムがローラの視線を追うとその先にはライバル校のJ.D.(オースティン・ニコルズ)がいた。

一方、ジャックはラプソンから海流の13度低下の話を聞き、地球の氷河期到来は決して遠い遠い先の話ではないという確証を得る。

 その頃、ロサンゼルスを巨大竜巻が多数、襲撃しておりキャピタル・レコードやハリウッドサインは無残になぎ倒されていきロサンゼルスの首都機能はほぼ壊滅状態に陥る。他にもオーストラリアでは史上最大の台風、カナダでは北極からの強烈な寒気団、シベリアは異常なまでの低気圧、イギリスや北欧などでは積もるほどの大雪、南欧は大雨と高波の被害をほぼ同じ頃に受けていた。

 アメリカ気象庁ではトム・ゴメス(ネスタ・セラーノ)がジャックの世界で同時に起こる気候災害は海流変化による影響が関わっている、という報告を受け止められずにいた。

 そんななか、ジャックにNASAから派遣されたジャネット・タカダ(タムリン・トミタ)が協力を申し入れる。どうやら彼女もジャックの意見に賛成しているようだ。

 ジャックはジェイソン、フランク、ジャネットと共に予測データを解析し、あと6~8週間の間にも大きな気候変化が発生し氷河期が訪れる結論に辿りつく。

 ジャックはすぐさまトムを介してベッカー副大統領にその話を訴え、アメリカ北東部に避難勧告を出すべきだ、と主張するがベッカー副大統領は目先のアメリカを襲う豪雨やロサンゼルスの竜巻の問題に目を向けてばかりで、そんなバカバカしい予測は相手に出来ないと却下してしまう。

 イギリス。
 王室の救出に向かった英国軍ヘリが低気圧の中心地点である山中にさしかかったころに突如、凍結し出しヘリ3機と中身は完全に凍りついてしまった。

 ニューヨーク。
 サムたち三人はお金持ちのお坊ちゃんであるJ.D.のマンションの部屋に泊めてもらっていた。サムは一刻も早く家に帰るべくJ.D.が弟スミスを迎えに行くのをついでとしてマンションを出て街に出るが、交通渋滞が激しく大雨による下水の増水で身動きがとれない状態にあった。

 一方、ジャックはニューヨークの状況を妻から聞かされサムの身を案じる。

 腰までつかる水で5番街からなかなか動けないサムたちはひとまずニューヨーク公立図書館へ避難しようとする。その頃だった。異常気象とハリケーンによって生まれた自由の女神すら覆ってしまうほどの巨大津波がマンハッタンへ向けて流れていたのは。

デイ・アフター・トゥモローのシーン



 サム、ブライアン、J.D.は公立図書館に逃げ込むことに成功したがローラはタクシーに引っかかって片足を負傷。その後、タクシーの車中から出られない外国人の親子を助けるのに手間取っていた。

 なんとか車中から助け出された親子。だがローラの後方では巨大津波が迫っていた。サムはすぐさまローラを助けに行き、間一髪のところで公立図書館に逃げ込んで津波の被害を免れたのだった。

 ジャックは冷えた低気圧が発達し台風のような暴風と大雪をもたらしており、その台風の目にあたるホール部分には対流圏のたまった冷気が吹き下ろしその部分に到達した地点はパーフェクト・フリーズこと一瞬で何もかも凍らせる現象が発生していること、そして同様の現象がスコットランド、カナダ北部、シベリア上空で発見されたことをラプソン教授に知らせる。
 英軍の王室救助ヘリは台風の目にあたる部分でパーフェクト・フリーズに巻き込まれたために凍結した

 またジャックはラプソン教授に6~8週間より早く暴風が過ぎて地球が氷河期に突入するだろう、というデータをラプソンに送る。ラプソン教授の研究所は既に孤立しており、ジャックに後を託して交信は途切れる。

 その後、ジャックは妻ルーシーと会いニューヨークを津波が襲った、という報道を見て驚いていた。そんな時にサムは図書館の水没しかけたところにある公衆電話を使ってジャックに電話をかける。

 サムの無事を知ったジャックは南へ避難するのは間に合わないから諦め、絶対に建物の外に出ず、自分が迎えに行くから火を焚いて待っているんだ、と話す。サムは溺れかけながらもそれに答えるのだった。

 ジャックはすぐさまニューヨークへ向かう準備を整えるが、トムに呼び止められブレイク大統領(ペリー・キング)と会ってほしい、と頼まれる。

 ジャックはブレイク大統領に北部の住民と土地は諦め、中央部と南部の住民をメキシコなどに南下させて避難させるのが唯一打てる策だ、と提言する。

 それに対しベッカー副大統領は北部の住民を見捨てるなど非人道的である、と反論を述べるがトムが
「あなた方が前にジャックの話を聞いてくださっていれば、見捨てることもしなくてよかった」
 とベッカー副大統領の意見を押さえる。

 それでもベッカー副大統領は
「彼は北部にいないから、そんな他人事が言えるんだ」と話すが
「しかし彼の息子はニューヨークにいるんですよ。彼は今からその息子を迎えに行くところだったんです」
 と話しさすがのベッカー副大統領も黙ってしまった。ブレイク大統領はピース将軍(チャック・シャマタ)にメキシコへの避難活動を命じる。

 ヘドランド研究所では燃料も尽きてしまいラプソン教授、デニス、サイモンの三人が酒を交わしていた。デニスが息子の成長を見守りたかった、と話すがラプソンはあとは未来の子たちが何とかしてくれるさ、と答える。やがてイングランドをパーフェクト・フリーズが襲う。

 やがて暴風雨が収まったニューヨークでは急激な温度の低下で水が凍り、雪が積もっていた。その雪が積もり歩ける状態になったのを見越してニューヨークの生存者たちが南下を始めていた。

 警官キャンベル(フィリップ・ジャレット)はこの隙に図書館から出て行って南下を始めようとするが、サムは父ジャックから決して建物から出てはいけない、と言われていたので止めようとするがほとんどの人間がいなくなってしまう。

 図書館に残ったのは司書のジュディス(シーラ・マッカーシー)やジェレミー(トム・ルーニー)、ホームレスのルーサー(グレン・プラマー)とその飼い犬、そしてサム、ブライアン、ローラ、J.D.ら数人だった。

 一方、ワシントンではジャックがニューヨークへ向かう準備をすすめていたが、ジェイソン、フランクまでもがジャックについてきてしまう。

 南下が始まったアメリカとメキシコの国境。しかしメキシコは移民の数があまりにも多すぎてついに国境閉鎖をしてしまった。ブレイク大統領は中南米諸国の債務の全免除を決定しアメリカ国民の大避難は再開された。

 公立図書館でサムたちは暖炉の火を消してはいけない、と公立図書館内の貴重な書籍まで何もかも燃やして暖をとろうとする。J.D.はルーサーから本の紙をひきちぎって服の中に入れれば少しは温かくなる、と貧乏人の知恵を聞かされルーサーに感謝する。

 同じ頃、ルーシーは難病の少年ピーター(ルーク・レトーニュ)が乗れる救急車が無い事から、救急隊が来るまで病院で待つことにした。部下のマリア(カレン・グレイブ)と別れを告げ、一人病院に待ち続けなんとか救急隊が到着するのだった。

 ジャック達は車でニューヨークを目指していたが事故を起こし、道中から徒歩でニューヨークを目指すことになる。しかしショッピングモールの天井にフランクが乗っかって転落してしまった。

 三人はロープで繋がっており、一番上にいたジャックは二人を釣り上げようとするがさすがに男二人分はキツかった。それを感じたフランクは自らロープを切って転落死してしまった。

 ローラはサムから告白され彼の想いを受け止める。だが彼女の容体はよろしくない。司書のジュディスが本を引っ張ってきてローラが前に水中で負った傷が彼女に敗血症を起こさせてしまったと話す。敗血症はすぐにペニシリンを打たなければ死に至る、という内容だった。

 ブレイク大統領は最後まで国民の避難指示を指揮しており、彼がメキシコへ向かうヘリは道中で遭難し墜落してしまった。ベッカー副大統領はその報告をメキシコで聞き呆然とした。

 宇宙ステーション。
 パーカー(サッシャ・ロイズ)らは対流圏ホールこと〝目〟があと1時間程度でニューヨークに到達する、と気づいた。

 ペニシリンを手に入れるため、サム、ブライアン、J.D.は近くまで流れ着いたタンカーに潜り込む。しかしタンカーには他にも混乱によって動物園から逃げ出した狼もいた。J.D.が狼に噛まれてサムとブライアンはJ.D.をゴームボートに乗せ、医薬品と食料を抱えて急いで戻る。対流圏ホールが近づいていたことにサムは気付いていたからだ。

 急いで図書館に戻りサムらはひたすら本を放り込んで暖炉の火をとにかく強くする。

 ジャックは気絶したジェイクを抱えて対流圏ホールのパーフェクト・フリーズをやり過ごす。その後、ジェイクがもう間に合わないだろう、という意見も一蹴して約束を守るためにジャックは60キロ先のニューヨークを目指し歩き出す。

 宇宙ステーション。
 パーカーや宇宙飛行士ヒデキ(ラッセル・ユエン)は地球を覆っていた大気の雲が薄れているのを確認した。

 凍りついた自由の女神まで到着したジャックとジェイク。雪が覆うマンハッタンを見て絶望的になったジェイクだったがジャックが公立図書館を見つけて侵入する。

 ジャックはその中からサムたちが寝ている部屋に辿りつきサムとジャックの親子二人は抱擁し合う。

 メキシコのベッカー副大統領は新大統領に就任していた。ジャックが息子サムとニューヨークで再会したという報告を聞き絶望的なニューヨークにも生存者がいることを心の底から喜んだ。

 そしてベッカー新大統領はテレビの前で人々の傲慢とまでいえる遅い対応が壊滅を招いたことを恥じ反省し、先進国のわれわれを、今は途上国の人々が助けてくれたことに感謝の意を述べるのだった。

 ジャック達は救助ヘリ数機でかけつけたゴメスと再会を喜び、彼のヘリに乗り込む。そのヘリから確認できたのはニューヨークのビルの上で救助を待つ他の生存者の人々であった。

 宇宙ステーションからは、今まで見たことないほど、澄み切った大気に包まれた地球が観れたのだった・・・







 デイ・アフター・トゥモローは「明後日」という意味なのですが、まあ映画の意味から考えれば「近い未来」のようなものでしょう。近い未来、本当に起こるかもしれませんよ?っていう警告の意味をタイトルに込めているのでしょうねえ。

 こういうパニック映画っていうのは私、序盤で日常が描かれ、中盤から終盤までで災害などのパニックシーンを描くっていうそういう順序が好きなんですよね。この映画はパニック映画の教科書のようなものだと思います。そこにエメリッヒ監督ならではのパニック感を込め、この映画は作られたのでしょう。

 正直言えば、色々とツッコミをしたい部分もあるにはあります。しかしそれでも、やっぱりエメリッヒの災害パニック映画は一流ですねえ。ああ、「2012」(2009年)も観たくなってきました。

デイ・アフター・トゥモロー [Blu-ray]デイ・アフター・トゥモロー [Blu-ray]
(2007/12/21)
デニス・クエイド

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原作というわけではないが、参考にされた本
デイ・アフター・トゥモロー―スーパーストーム 世界が氷に覆われる日デイ・アフター・トゥモロー―スーパーストーム 世界が氷に覆われる日
(2004/04)
アート ベル、ホイットリー ストリーバー 他

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のち上記の本の作者の一人がノベライズとして著した本
デイ・アフター・トゥモロー (竹書房文庫)デイ・アフター・トゥモロー (竹書房文庫)
(2004/04)
ホイットリー ストリーバー

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Category: 洋画タ行
まさしく無声白黒映画時代だった頃だからこその撮影方法と言えるでしょう。


『ある犯罪の物語』(1901年・仏)
ある犯罪の物語
スタッフ
監督:フェルディナン・ゼッカ
脚本:フェルディナン・ゼッカ
撮影:フェルディナン・ゼッカ
キャスト
強盗犯:ジャン・リエゼル


 フェルディナン・ゼッカ監督作品「ある犯罪の物語」。原題は「Histoire d'un crime」

 無声白黒だからか、とってもあっさりとした映画の感じがするでしょうが、もし今リメイクしたら結構重たい映画ですよね。

 ギロチンのシーンがあるんですが、これはメリエスの映像技術を参考にし、彼がよくやっていた映画マジックこと人間と人形のすり替えですね。やはりメリエスは映画の教科書的存在になっていたことが分かりますね。

 同じようなギロチン処刑シーンは「メアリー王女の処刑」という1895年にもありました。私のブログに記事がありますが、どうも詳しく書いてかったですね。それでもよければ「メアリー王女の処刑

 舞台風の撮影をしていたために、奥に向かっていくシーンがあるのですがそのシーンの演出は書き割りを使っていますね。この書き割りは奥行きを表現するのに結構いい感じです。この映画はなかなかに当時なりに演出が凝っていますよ。まあこの監督さんは他社の映像技術を悪くいえばパクって作っていますからね。それでも当時の映画技術を考え、作られたこの映画は当時の無声、白黒状態を最大限に活用していると言えるでしょう。


【あらすじ】

 普通の男が強盗に入り、殺人を犯してしまう・・・












【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 ある夜。強盗犯(ジャン・リエゼル)は金持ちの家に押し入り、金目の物を奪っていく。しかし抵抗してきたお金持ちを強盗犯は思わず殺してしまう。

 その後、酒場に居たところを警官隊に捕らわれ連行される。

 強盗犯は檻の中でこれまでの事を夢の中で思い出していた。幸せな家族、妻や子供との楽しい一家団欒。そしてギャンブルに負けてしまったこと。

 やがて死刑執行のとき。強盗犯は牧師、執行官に連れて行かれギロチンの近くに立つ。

 強盗犯は必死に抵抗するがそれも空しくギロチンに寝かされ、男の首は落とされるのであった・・・




 ジャンルとしては社会派映画に分類されると思います。この映画は監督自身が死刑をされる人間の視点を視聴者の同情を引くように描いていますね。夢の中のシーンも当時なりに夢だと分かるように舞台劇を活用して撮影されています。
Category: 洋画ア行
御久しゅう映画鑑賞。


『キートンのスケアクロウ』(1920年・米)
キートンのスケアクロウ
スタッフ
監督:エドワード・F・クライン、バスター・キートン
製作:ジョセフ・M・シェンク
脚本:エドワード・F・クライン、バスター・キートン
撮影:エルギン・レスリー
編集:バスター・キートン
配給:メトロ・ピクチャー
キャスト
農場労働者:バスター・キートン
同居人の農場労働者:ジョー・ロバーツ
犬:ルーク
モーターバイクの持ち主・アル・セント・ジョン
農場主の娘:シビル・シーリー
農場主:ジョー・キートン


 バスター・キートン監督作品「キートンのスケアクロウ」。別邦題は「キートンの案山子」。原題は「The Scarecrow

 久しぶりにキートン作品を観ましたが面白いですねえ。映画監督の実力としてはチャップリンの方が私は好きですが、喜劇俳優としてならバスター・キートンの動きの方が好きですね。それにしてもキートンやっぱイケメンですね。

 1920年といえばキートンが丁度、今まで師事しておりコンビを組んでいたロスコー・アーバックルことファーティから独立してソロで活動しはじめた年ですね。しかし別に不仲になったわけではありませんよ。例えば、モーターバイクの持ち主、アル・セント・ジョンはファーティのいとこですし、この映画で登場するワンちゃんはファーティの飼い犬ですからね。

 やっぱりキートンの動きはとっても鮮やかですねえ。洗練されています。そういえばこの映画に出てる農場主のジョー・キートンはバスターの実の父親なんですよ。


※以下、正確な役名ではありませんが農場労働者の主人公のことをキートンと表記させていただきます。

【あらすじ】

 農場労働者キートンは不思議な家での生活を送りつつ隣の家の農場主の娘さんに恋焦がれていた。同居人の男も娘さんに恋焦がれており、キートンは娘さんにアプローチをかけようとして、ワンちゃんに追いかけられたり、農場主さんに追いかけられたり・・・












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



 農場労働者キートン(バスター・キートン)は相棒(ジョー・ロバーツ)が農場主(ジョー・キートン)の娘さん(シビル・シーリー)に恋焦がれているのを見て不機嫌になる。

 キートンは虫歯にロープをくくりつけて、虫歯を引っこ抜く。その後、不思議な仕掛けが張り巡らされた家の中で朝食をとる。

 朝食後、外に出かけたキートンと相棒は農場主の娘さんが出てくるのを見て二人はケンカしながら駆け寄っていく。

 二人は必死にアプローチを賭けるがそれを見た農場主が駆け寄り二人を追い払って娘さんに家の敷地に戻るよう命令する。

 遊び盛りの娘さんは不機嫌になり仕返ししてやろうと父に胃が破壊されるくらいたっぷりとクリームを塗ったパイを父に食べさせようと窓際に置いておく。

 やがて娘さんは母親のダンスの本に興味を持ち庭でダンスをし始める。その姿を見た相棒が娘さんを褒めたたえており、その様子をキートンが目撃してしまう。

 ショックを受けたキートン。彼がその直後に出会ったのはパイを食べたワンチャン(ルーク)。彼は犬を見て狂犬かと疑って逃亡しはじめ、犬はその後を追う。

 キートンは狂犬から逃亡。しかしついに追いつかれたキートンだったが犬はキートンと友達になりたがっていただけで別に狂犬ではなかった。しかしキートンは下着しか着ておらず、その姿を娘さんに見られてしまう。

 娘さんに下着姿を見せて昏倒させたことを許せなく思った農場主はキートンを追いかける。キートンは畑に逃げ込み案山子になりすましてやり過ごそうとする。

 なんとかやり過ごしたものの今度は相棒と娘さんがやってくる。案山子になりすましたキートン。相棒は勝手に娘さんにプロポーズするが娘さんはどうやら取り合わないようす。

 見かねたキートンは娘さんに密かにキスして、娘さんはそれこそビックリして逃げ出す。

 やがてその地点に今度は農場主が。キートンは農場主と相棒のケツを交互に蹴って二人を喧嘩させるが揉み合いの内に案山子の棒を倒されてキートンはバレてしまう。

 農場主と相棒から逃れたキートンは道路で娘さんと再会。娘さんは「突然しないでよ・・・」と照れ臭そうにモジモジしていた。

 キートンは娘さんに肩を貸して抱くが、ゆっくりしている時間はないようで農場主と相棒が追っかけてくる。

 キートンはレンタル馬ショップの馬に娘さんを乗せて先に走らせ、自分もその隣の馬に乗るが一向に動かない。なんと看板だった。

 キートンは慌てて看板から降りて娘さんの馬に追いつき飛び乗ろうとするが、馬は先に走り出したりしてなかなか乗りつけることができない。

 一方、相棒と農場主は馬の持ち主に状況を説明し追っ手が3人になって車に乗ってしまう。キートンはなかなか馬に乗れず、仕方なく娘さんと共に持ち主(アル・セント・ジョン)からサイドカー付モーターバイクを奪って再び逃亡開始する。

 やがてバイクは車を撒いて、偶然で牧師さんを乗っけてしまう。キートンは牧師さんに頼み、二人は結婚を誓おうとして指輪がない。キートンはナットを代理にして娘さんの指にはめる。やがて牧師が二人は夫婦であることを誓おうとした。

「では私が宣言しよう。二人は ─」

 だがよそ見運転していたバイクは川に突っ込む。

 川から飛び出した牧師は「夫婦である」。二人は晴れて夫婦となり抱き合ったのだった・・・






 モジモジするところの娘さんことシビル・シーリーの仕草がなんともいえない可愛らしさですね。面白い駆け落ち劇でした。

 まさしく当時の貧困者層の希望になった映画ではないでしょうか。まあ当時の貧困者層が映画を観れていたのかまでは、さすがに分からないです・・申し訳ない。
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巻き込まれ型サスペンスとは的を射ているようで、そのまんまですね。


『北北西に進路を取れ』(1959年・米)
北北西に進路を取れ
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーネスト・レーマン
製作:アルフレッド・ヒッチコック
音楽:バーナード・ハーマン
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・トマシーニ
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
キャスト
ロジャー・ソーンヒル:ケイリー・グラント(井上孝雄)
イヴ・ケンドール:エヴァ・マリー・セイント(吉野佳子)
クララ・ソーンヒル:ジェシー・ロイス・ランディス
教授:レオ・G・キャロル(大木民夫)
レスター・タウンゼント:フィリップ・オバー
弁護士ビクター・ララビー:エドワード・プラット
精神科医クロス先生:フィリップ・クーリッジ
競売人:レス・トレメイン
秘書マギー:ドリーン・ラング
ジャンケット警部:エドワード・ビンス
部下A:アダム・ウィリアムス
部下B:ロバート・エレンスタイン
タウンセンド夫人:ジョセフィン・ハッチスン
レナード:マーティン・ランドー(西沢利明)
フィリップ・ヴァンダム:ジェームズ・メイソン(川合伸旺)

列車の女性客(女装)、バスに乗り遅れた客:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「北北西に進路を取れ」。原題タイトルは「North by Northwest

 主演はケイリー・グラントです。元々、ヒッチコック作品の主演常連だったジェームズ・スチュアートがグラントの役を熱望していたのですが以前のスチュアート主演のヒッチコック映画の興行収入が思わしくなかったのでお断りされたそうですね。

 この映画はヒッチコック曰く自身の映画で隠喩による最もわいせつなシーンがある映画だそうです。私、そのシーンを実際に観て、その話を聞いて笑っちゃいました。なるほどお、と思いましたね。

 ヒッチコックのカメオ出演なのですが・・・最初のバスに乗り遅れた男ってのは気付きました。でもまさか二回も出てるとは思っておらず一回目でヒッチコックを探すのを止めたのですが、まさか女装して電車にいたとは思いませんでした。気付きませんでしたねえ。

 いやあ、それにしてもこの映画でラシュモア山が出てきますが、この山の壮大さたること・・ラシュモア山ってのはワシントンからリンカーンまでの4人の大統領が岩壁に彫像として描かれているお山ですね。NARUTOの火影の彫像岩壁はこのラシュモア山がモデルですね。余談ですがラシュモア山の縮小版がよく私が茨城まで車で行くときに通る国道6号線だったかな?そこに縮小版が掘られたパチンコ屋がありました。

 それにしてもヒロインのエヴァ・マリー・セイントは本当に美しかったなあ・・妖艶さによる美麗。寝台室のシーンはフェロモンムンムンでしたね。


【あらすじ】

 広告企業社長ロジャー・ヒールソンは裏の仕事屋「ジョージ・キャプラン」と間違われて、謎の男のもとに連れ去られてしまう。ヒールソンが頑なに否定し続けるとヒールソンは酔わされて危うく海に車ごと落とされそうになるが何とか逃げ延びる・・・





北北西に進路を取れのシーン












【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり






 ニューヨーク。

 広告業者の社長ロジャー・ヒールソン(ケーリー・グラント)は友人たちとの会食でプラザホテルの中にあるレストランに来ていた。そのレストランでウエイターがジョージ・キャプラン様いらっしゃいませんか!と叫んでいる。ヒールソンはたまたまそのウエイターに電話を頼もうとして呼び寄せる。

 一方、少し離れたところでその光景を見ていた殺し屋らしき男たち二人(アダム・ウィリアムス、ロバート・エレンスタイン)はヒールソンをジョージ・キャプランと勘違いしヒールソンに銃をつきつけ連れ去ってしまう。

 車に乗せられたヒールソンは状況を問い質すが二人は何も答えないまま、車は町はずれの大邸宅に到着。ヒールソンは家の中に通される。

 家の中では邸宅の主人レスター・タウンゼントと名乗る男(ジェームズ・メイソン)とその秘書を名乗るレナード(マーティン・ランドー)にジョージ・キャプランか?と質問をされる。

 ヒールソンは何度も否定し続け、レスターが依頼したい仕事があるか?と聞いても頑なに断り続ける。

 ヒールソンは帰ろうとするがレスターやレナードはそれを許さずヒールソンをアルコール度の強い酒で無理矢理、酔わせてしまう。

 酔ったヒールセンは車に乗せられ海に落とされそうになるが酔いながらもなんとかヒールソンは車を運転して逃亡を図る。その後、ヒールセンは精神科医クロス先生(フィリップ・クーリッジ)の診断により飲酒運転で逮捕される。

 翌日、酔いが醒めたヒールソンは必死に状況を説明し、母クララ(ジェシー・ロイス・ランディス)や弁護士ビクター・ララビー(エドワード・プラット)と共に警察にレスター・タウンゼントに殺されそうになった、と訴える。

 ジャンケット警部(エドワード・ビンス)らと共にタウンゼント邸を訪れるヒールソンだったが邸宅の住人達はヒールソンがパーティに来て酔い潰れていった、と証言。更にタウンゼント氏はなんと国連で働いているお偉いさんらしい。完全に不利でありヒールソンは罰金を渋々、支払うことにした。

 だが納得のいかないヒールソンはプラザホテルを調べ、そのホテルにジョージ・キャプランという客がたしかに宿泊していた事実を掴み、その部屋を調べる。

 その部屋を母クララと共に調べ邸宅でタウンゼントと名乗った男の写真を見つける。しかしボーイたちはカプランを見たことがないらしく、部屋にあったスーツはヒールソンのサイズに合わなかった。

 その部屋に電話がかかってくる。タウンゼントの部下からで、今から殺しにいくという電話だった。ヒールソンはすぐさまクララと共にエレベーターで逃亡。しかし同じエレベーターに部下二人組も乗り込んでくる。

 1階についたエレベーター。ヒールソンはうまく逃亡しタクシーですぐさま退散する。

 ヒールソンは国連本部のビルに向かい、そこでタウンゼントに面会を求める。しかし会った相手は昨日の邸宅でタウンゼントを名乗った男ではなかった。

 本物のタウンゼント(フィリップ・オバー)はヒールソンの問いかけに訳が分からなそうだったが、突如苦しみだして倒れる。背中にナイフが突き刺さっていた。

 抱え込んでついナイフに触れてしまったヒールソンは殺人犯だ、と周りに疑われすぐさま逃亡を図った。

 ヒールソンが殺人犯だ、という新聞が一面に載りCIAの会議室で数人がその新聞を見ていた。会議室で指揮権を握る教授と呼ばれる人物(レオ・G・キャロル)はその事態を黙認することを決める。実はジョージ・キャプランという男はCIAが作った架空の人物で、タウンゼントと名乗った男こと密輸業者フィリップ・ヴァンダム(ジェームズ・メイソン)の気を引かせ、彼の近くに潜入するスパイを気付かせないようにしていたのだ。

 スパイを守るため、そのためにヒールソンを黙認するのだった。


 グランド・セントラル駅。ヒールソンはキャプランがシカゴに向かったことを知り20世紀特急に乗り込もうとする。しかし15番窓口の駅員(ネッド・グラス)に正体を気付かれ、なんとか切符を買わずに乗り込んだものの警察隊も特急の中に乗り込んできた。

 万事休す。そんな時、金髪の女性がヒールソンをかくまい犯罪者は列車から降りた、と警察隊に伝える。

 無事に列車は発車し、ヒールソンは食堂車にやってくる。ボーイに案内された席には相席で自分を先ほど助けてくれた女性が座っていた。彼女はイヴ・ケンドール(エヴァ・マリー・セイント)と名乗り、二人は会話をはじめる。

 どうやらイヴはヒールソンの正体を知っているが、彼女曰く一目惚れでヒールソンをかくまってしまったらしい。二人は打ち解けあうが、20世紀特急は突如、停車する。警察隊が乗り込んできたのだ。

 イヴとヒールソンの二人はイヴの部屋に行き、ヒールソンはベッドに隠れ部屋に聞き込みにきた警官はイヴがなんとか追い返すのだった。

 その後、二人は良い雰囲気となりやがて二人で一夜を過ごす。だがイヴはボーイにある男にメモを渡してほしい、と頼む。そのメモを受け取ったのはヴァンダムとレナードの二人だった。内容は「彼の処分どうする?」と。


 シカゴに到着しソーンヒルは列車の乗務員の服を剥いで変装。その後、脱いで警察を騙すのだった。

 イヴはソーンヒルに頼まれカプランに公衆電話でカプランに電話する。しかしカプランは実在しないので、そのフリをしているだけ。本当はレナードと電話で打ち合わせしていたのだ。

 イヴはソーンヒルにカプランがプレーリーで会いたい、と話していたと伝える。ソーンヒルはイヴとの別れを惜しみつつバスでプレーリーへ向かう。

 シカゴ郊外プレーリーにポツンと立ったソーンヒル。車は何台も通るがカプランが来る気配はまだない。バスを待っていた男と世間話をしはじめる。男は遠くで農薬を撒いている複葉機を、あんな場所に農薬は撒かねえんだけどなあ、と訝しみつつバスに乗り込んでいった。

 再び一人になったソーンヒル。やがて農薬を撒いていた複葉機がこっちへ向かってくる。ソーンヒルはすぐに伏せてなんとか回避するが複葉機は旋回して再びこちらへ突撃してくる。

 複葉機から機銃で攻撃してくるためソーンヒルは近くのトウモロコシ畑へ入り込む。

 やがて複葉機はトウモロコシ畑一帯に農薬を撒き散らし始めた。ソーンヒルは道路に出て、たまたま通りかかったタンクローリーに助けを求めるが急停車できないタンクローリーにソーンヒルはその場に伏せて轢かれるのを防ぐ。

 一方、突撃してきた複葉機はタンクローリーを避けきれずに激突。タンクローリーの運転手と共にその場を離れやがて大爆発が起こる。

 そこに農民の車が通りかかり、農民たちが車を降りて爆発現場を見物する。ソーンヒルはその隙に、農民の車を盗んでその場を去って行く。

 シカゴのジョージ・キャプランが泊まっていたというホテルに来たソーンヒル。ボーイによればソーンヒルに会う前にすでにキャプランはチェックインしてサウス・ダコタ州ラピッド・シティに向かったらしい。

 どうしたものか、と考えていた時にイヴがホテルに入ってきた。ソーンヒルは怪しまれないようにボーイにイヴの部屋を聞き出し、イヴの部屋を訪れる。

 部屋のドアを開けたイヴはソーンヒルが生きていることに驚く。ソーンヒルは暗にイヴをこれから監視し続けるという内容のことをイヴに話しイヴは20世紀特急のときよりもよそよそしくなっていた。

 その後、ソーンヒルはシャワーを浴びるフリをして部屋から去り行方をくらまそうとしたイヴの後を追う。

 イヴは美術品の競売場に来た。ソーンヒルも中に入ると、イヴはレナード、ヴァンダムと一緒だった。ソーンヒルはヴァンダムに話しかけ、更に自分を騙したイヴを罵倒する。イヴはその罵倒に耐え切れず

 ヴァンダムは敵意を隠さず必ず始末することを伝え、レナードと部下を競売場に残してイヴと共に去って行った。一方、その競売場で教授もその一部始終を目撃していた。

 レナードと殺し屋二人組が残っているため、逃れられないソーンヒルは競売場を混乱させる。競売人(レス・トレメイン)に「そんな美術品買うなんてバカしかいない」「俺はそれに4ドルだすぞ!」と言いついに店を追い出されそうになる。

 ソーンヒルは抵抗しガードマンを殴りつける。そこへ警官がやってきてソーンヒルは連行させる。殺し屋二人組は悔しそうにその姿を見るだけだった。

 パトカーに連行されたソーンヒルは警官に自分が指名手配中の殺人犯であることを明かす。ソーンヒルはヤケになりヴァンダム達の悪事を警察で全てぶちまけようとしたのだ。

 しかし途中で、警官に無線が入り空港にパトカーは向かってしまう。ソーンヒルはなぜ警察署に行かないのか、と警官に言うがソーンヒルは教授と会わされる。

 教授はソーンヒルにヴァンダムが密輸業者であり、これまでCIAが送り込んだスパイを皆殺しにされていると話す。更にジョージ・キャプランはCIAが作り出した架空の人物であることも。

 ソーンヒルは自分が巻き込まれたことに憤怒するが、教授はあと1日だけジョージ・キャプランを演じてほしいと頼み込んでくる。それを断りさっさとニューヨークに帰らせるように言うソーンヒルに教授は、実はイヴがヴァンダムの近くに潜り込ませたCIAのスパイであることを明かし、ソーンヒルが競売場でややこしくしたせいでイヴが怪しまれ命が危ない、ということを話す。

 少なからず責任を感じたソーンヒルはイヴを助けるためにヴァンダムが向かったラピッド・シティに教授と共に向かう。ヴァンダムはラピッド・シティの別荘から飛行機で外国へ高飛びしようとしていた。


 ラピッド・シティ。ラシュモア山を見上げるカフェにソーンヒルはヴァンダムとレナード、イヴを呼び出す。

 その施設でソーンヒルはヴァンダムの外国への逃亡を見逃す代わりに、イヴを始末したいので身柄を引き渡すようにヴァンダムに言う。しかしイヴがそれを拒絶し拳銃でソーンヒルを撃ってしまう。イヴはすぐに逃亡した。

 教授によって救急車に乗せられたソーンヒル。その救急車はラシュモア山の山中に入り、森の一角で停車する。そこにはイヴがすでに来ておりソーンヒルが救急車から降りる。

 先ほどの発砲は教授の指示通り行った空砲によるソーンヒルの演技だったのだ。

 ソーンヒルとイヴは話し合い、二人は和解しあう。ソーンヒルはもう安心だ、と言うがイヴと話が噛み合わない。どうやらイヴはヴァンダムと外国へ一緒に高飛びする予定になっているらしい。

 教授は騙したことを謝罪し、こうでもしなければ協力が得られなかった、と本当のことを打ち明ける。ソーンヒルは反発しイヴが去ろうとするのを止めようとするが教授が連れてきた当局の人間に殴られソーンヒルは気絶してしまう。

 病院に軟禁されたソーンヒル。イヴとヴァンダムが去ったのを確認後にソーンヒルは解放され、教授の計らいによりソーンヒルはレスター・タウンゼント殺人事件の無実を証明されたことになっているらしい。ソーンヒルは教授に対し、イヴを止めるのを諦めたように演じつつ、教授や見張りの目をかいくぐって窓から隣の部屋に移り病院を脱走する。

 ラシュモア山のヴァンダムの山荘に侵入したソーンヒル。山荘の中をうかがうと、レナードとヴァンダムが話していた。レナードは先ほどソーンヒルが撃たれた拳銃を見せてこの拳銃は最初から空砲だった、ということを報告する。知らされたヴァンダムはイヴを飛行機に乗せて上空から落として始末することを決定する。

 また、ヴァンダムは自分の悪事が詰まったマイクロフィルムを自分の肩身放さず持っている彫刻の中に仕込んでいるらしい。

 焦ったソーンヒルは何度かイヴに自分の存在を気付かせようとするがなかなかうまくいかない。山荘の中に入ったソーンヒルはマッチをイヴの近くに投げつけ、レナードがただのマッチだと判断して机の上に置く。

 そのマッチを何気なく見たイヴはマッチに書かれたソーンヒルからのメモを見て驚く。そしてイヴは指示通り、ソーンヒルと寝室で再会する。

 ソーンヒルは彫刻にマイクロフィルムが入っていることと、イヴの空砲がバレて後に始末されるであろうことを明かす。

 ソーンヒルはイヴが山荘の私有滑走路へ向かったのを確認してから、自分も滑走路へ向かおうとする。だが山荘にいたメイドに気付かれ銃をつきつけられてしまった。

 一方のイヴは滑走路にレナード、ヴァンダムと共に来て彫刻を奪い取る機会を窺っていた。その時、山荘から銃声が。ソーンヒルは山荘から抜け出し、車に乗ってイヴを拾って去って行った。レナードや部下たちがその後を追う。

 どうやらメイドが持ったのはイヴが使った空砲の拳銃だったようだ。その後、門を閉められ車を捨てて徒歩で逃走を図る二人。

 だがラシュモア山の大統領たちの彫像のところに来てしまった。周りは囲まれ、岩壁を下に下りていくしか逃げ道はなかった。イヴは怖がりつつソーンヒルに連れられ岩を下りていく。

 途中、部下一人がソーンヒルに襲い掛かって返り討ちに遭い転落していった。それからしばらく移動して、イヴが落ちそうになりソーンヒルがそれを掴まえるが、ソーンヒルも落ちそうな状態になっていた。

 それを見たレナードはソーンヒルの掴む手を足で蹴って落とそうとする。

 そんなピンチな時、レナードは教授が連れてきた警官によって射殺され落ちていく。彫刻が割れて中からマイクロフィルムが。これで教授は本格的にヴァンダムを逮捕できるようだ。

 シーンは変わって20世紀特急。ソーンヒルとイヴはニューヨークに向かう寝台個室の中でイチャイチャしていた。やがて特急はトンネルの中へ入って行く・・・





 最後のシーン、特急がいわゆる男根でトンネルの穴が・・まあその女性器を隠喩しているようです。ようはこれからセックスをはじめるってことでしょうね。ヒッチコックはこの隠喩が自分の映画で最もわいせつなシーンだと話していたそうです。確かにわいせつですね。

 この映画で有名なのはやっぱり飛行機と荒原で戦うシーンでしょうか。このアイデアはなかなかですねえ。63年の「007 ロシアより愛をこめて」でもヘリとボンドが戦ってます。でもこっちの方が先ですねえ。

 やっぱりこういう大衆向けのヒッチコックミステリーもなかなかに面白い。あえてジョージ・キャプランが存在しないことを先に明かしておいて、後の空砲の部分は視聴者に実際に起こるまで分からせないようにしたのもなかなか工夫してますね。

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Category: 洋画ハ行
寅さんがまた柴又に帰ってくる!


『続・男はつらいよ』(1969年・日)
続・男はつらいよ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、小林俊一、宮崎晃
製作:斎藤次郎
音楽:山本直純
主題歌:渥美清「男はつらいよ」
撮影:高羽哲夫
編集:石井巌
配給:松竹
キャスト
車寅次郎:渥美清
諏訪さくら:倍賞千恵子
車竜造:森川信
車つね:三崎千恵子
諏訪博:前田吟
たこ社長:太宰久雄
川又登:津坂匡章(現:秋野太作)
源公:佐藤蛾次郎
御前様:笠智衆
手術したばかりの患者:財津一郎
諏訪満男:中村はやと
お澄さん:風見章子
葬儀屋:関敬六
藤村薫:山崎努
お菊:ミヤコ蝶々
坪内夏子:佐藤オリエ
坪内散歩:東野英治郎


 山田洋次監督作品「続・男はつらいよ」

 いやあ、久しぶりに男はつらいよシリーズを観ました。まあ、一作目しかまだ観てなかったんですがこの二作目も観て・・いやあこのシリーズ最高ですねえ。

 それにしても山崎努がこの頃はやっぱり若い。今は頑固爺みたいなちょっと怖いおじさんの役ばっかやってる山崎努ですが、この頃の面影やっぱありますねえ。この頃はフレッシュ爽やか俳優みたいな感じでしたね。

 この映画で、寅さんのお母さん、お菊さんが出てきます。演じているのはミヤコ蝶々ですね。ミヤコ蝶々ってのは関西の超大御所コメディアンでした。あとは散歩先生に黄門様の東野英治郎だとか、ドラマ版でのマドンナ坪内冬子を演じていた佐藤オリエだとかも出てましたね。

 ドラマ版でもマドンナを演じていた佐藤オリエだからこそ、この映画では寅さんに対しての「寅ちゃん」という呼び名がとっても似合い、とっても優しく言ってくれます。そんな魅力的なヒロインでもやはりこの映画の一番の引き立て役は、寅さんの師であり、師匠の鑑のような人・坪内散歩先生でしょう。

 映画第一作の評判がとてもよく興行収入も良くて気を良くした松竹がこの作品の完成を急がせました。だからこの作品はそんな急いだ中で、ドラマ版からストーリーを得て、ちょっと脚色して作った映画だそうです。

 この映画では私はやっぱり寅さんとお母さんの関係に泣きました。やっぱり寅さんってのは私憧れますねえ。生き方としては悪い鑑なんでしょうが、ああいう寅さんのような人情味を持ちたいものです。無い物ねだりですね。

 あとは再会と別れが一緒にこの映画で描かれている点もよかったですねえ。

【あらすじ】

 寅さんは1年くらいぶりに柴又へ帰ってきた。妹のさくら達に迷惑をかけまいとすぐに立ち去ろうとする寅さんだったが、自分の高校時代の英語教師であった坪内散歩と再会し・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 車寅次郎(渥美清)は近頃、母・お菊が出てくる夢を近頃何度も見ていた。

♪ 渥美清

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。
帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎
人呼んでフーテンの寅と発します」

 寅さんが旅に出た後、妹のさくら(倍賞千恵子)はじめおじちゃん・竜造(森川信)、おばちゃん・つね(三崎千恵子)ら「とらや」の面々は寅さんを心配していた。

 そんな中でふらっと寅さんが柴又に帰って来た。しかし寅さんは自分はすぐに調子に乗ってしまい失敗しやすいのでさくら達に迷惑かけまいとすぐに立ち去ろうとする。

 寅さんは妹さくらと諏訪博(前田吟)の間に出来た息子・満男(中村はやと)を少し可愛がってから去って行く。追いかけてきたさくらに満男のなにかを買ってやるように、と金を渡し去って行った。。そのすぐ後で「あれは痛かったなあ」と嘆くのだったが。

 寅さんはふと一軒の民家から大勢の子供たちが出ていく場面を目撃する。そこには坪内家とあった。寅さんは坪内の苗字に覚えがあり、家に入って行く。

 中には葛飾商業高校だったころ、英語教師で寅さんが恩師と仰ぐ唯一の人物・坪内散歩(東野英治郎)がいた。寅さんは散歩先生に「自分のことを覚えちゃいませんか?」と訊ねると散歩先生は覚えていたのだ。

 さらに散歩先生は自分の娘を紹介する。寅さんが子供のころからかっていた坪内夏子(佐藤オリエ)だった。昔は寅さんがからかった女の子でも今は寅さんが驚くほどの美女だった。

 寅さんは散歩先生に誘われてお茶を一杯貰う。しかしそれがやがて酒に変わり、散歩先生は寅さんにある漢詩を教える。

「外は雨がしとしと降っている。
二人の話は尽きない。
明日になれば君は
また別れを告げて山を越え、
私はここに残る。
ひとたび別れれば人生は
茫々としてお互いの消息は絶えはてる。」
「アーアー明日山岳ヲ隔ツ、
世事両(セジフタツ)ナガラ茫々。だな!」

─ ─ ─ ─ ─

中国の詩人・杜甫の漢詩の作品「贈衞八處士」です。

人生不相見、動如参與商。今夕復何夕、共此燈燭光。

少壮能幾時、鬢髪各已蒼。訪舊半為鬼、驚呼熱中腸。

焉知二十載、重上君子堂。昔別君未婚、兒女忽成行。

怡然敬父執、問我来何方。問答乃未已、兒女羅酒漿。

夜雨剪春韭、新炊間黄梁。主稱會面難、一舉累十觴。

十觴亦不醉、感子故意長。明日隔山岳、世事兩茫茫。


読みは

人生相い見ず、動もすれば参と商との如し。

今夕は復た何の夕ぞ、此の灯燭の光を共にす。

少壮能く幾時ぞ、鬢髪各々已に蒼たり。

旧を訪えば半ばは鬼と為る、驚呼すれば中腸熱す。

焉んぞ知らん二十歳、重ねて君子の堂に上らんとは。

昔別れしとき君は未だ婚せざりしに、兒女忽ち行を成す。

怡然として父の執を敬し、我に問う何方より来るやと。

問答未だ已むに及ばざるに、兒女は酒漿を羅らぬ。

夜雨春韭を剪り、新炊黄梁を間う。

主は称す会面は難しと、一挙に十觴を累ぬ。

十觴も亦た醉わず、子の故意の長きに感ず。

明日山岳を隔てなば、世事両つながら茫茫。


訳は

人生において、一度別れた友と再会するのは難しい。
ともすれば、夜空のオリオン座とサソリ座のように、遠く隔たったきり会えないままになってしまうことだってあるのだ。
それなのに、今夜は何と素晴らしい夜だろうか。
君と、この明るい燭台を挟んで相向かい合えるとは。
それにしても、青春時代は何と短いことだろうか。
お互いに髪の毛にも鬢の手にも、だいぶ白髪がまじってしまった。
旧友たちの消息を尋ねてみれば、半ばは、もう死んでしまったという。
私は驚きのあまり、嘆声が出てしまい、胸のうちが熱くなってしまった。
誰が予測することができたであろうか、二十年の歳月を経て、私が再び君の家にお邪魔することになるとは。
昔、別れたとき、君はまだ結婚していなかった。
それが今は、子供たちがぞろぞろと列をなして私の前にやってき、笑顔でもって父の友をもてなしながら尋ねてくる。
どちらからいらっしゃったのですか?と。
そのやりとりが終わらぬうちに君はお子さんたちに酒肴を並べさせた。
夜の雨のなかを、やわらかい春ニラを摘んできてくれ、炊きたてのご飯に香ばしいアワが混ぜてあった。
君はしみじみと再会の難しさを嘆き、私は立て続けに十杯もさかずきをかさねた。
十杯かさねても私は酔えない。
なぜなら、君の変わらぬ友情の長さに感動するからだ。
明日、ここを辞してひとたび遠く山々に隔てられたなら、お互いの消息は茫々たる彼方に失われてしまうことだろう。

─ ─ ─ ─ ─

 散歩先生が漢詩をつぶやきだした直後、寅さんは胃けいれんを起こしてしまった。

 寅さんは病院に運ばれて手術。翌日、元気になった寅さんは昨日、手術を嫌がってそれを殴って止めた医師・藤村薫(山崎努)につっかかる。

 だが寅さんは入院中の身でありながらフラフラとどこかへ行ってしまった。藤村は激昂しており坪内夏子にそのことで責めるが夏子も被害者であることを思い出し冷静になって謝罪している。

 その日の夜、寅さんは退院もしてないのに弟子分の川又登(津坂匡章)と共に飲み屋に来た。しかし酒を飲んで肉を食い終わってから二人とも金がないことに気付いた寅さん。寅さんは飲み屋のおやじ(石井愃一)にツケてもらおうと思ったがおやじはそれを拒絶し金を催促する。

 寅さんはちょっとおやじの頭を叩くとおやじは大げさに転び暴力沙汰だ、と警察に通報してしまう。

 警察署に連行された寅さんと川又。川又は無銭飲食だけですぐに釈放されたが寅さんは暴力沙汰を起こしたとして留置所に入れられてしまう。さくらは寅さんに不起訴にしてもらえるっていってたから、と悲しそうに言いやがて泣き出す。寅さんも自分が恥ずかしく、そして悔しくなってうつむく。

 釈放されてから寅さんは散歩先生に会い、自分はやはりすぐに調子に乗ってさくらに迷惑をかけてしまう。だからまた新たな旅をする、と告げる。散歩は
「人生相見ズヤヤモスレバ
   参(シン)と商ノ如シだなあ…」
(人生において、一度別れた友と再会するのは難しい。
ともすれば、夜空のオリオン座とサソリ座のように、遠く隔たったきり会えないままになってしまうことだってあるのだ。)
 と呟く。寅さんはその通りです、と答えるのだった。

それから一か月後

 坪内散歩と夏子の親子は京都に旅行に来ていた。清水寺を巡り、渡月橋に着いたころ、二人は意外な人物を見かける。売り物をしている寅さんとサクラとして寅さんに協力する弟子分・源公(佐藤蛾次郎)だった。

 旅館「巴屋」で寅さんは1月ぶりに再会した坪内散歩に説教されていた。
「まともな職に就け!お前のその人並み以上の体と人並みに近い頭があれば仕事などあろうに」
「はい。実は別府の友人と旅館を共同でやらないか?と誘われてました。しかし私には言い訳にはなりませんが京都にとどまる理由があるんでございます」

 その理由は実は寅さんの死んでいたと思われていた母親・お菊がこの京都のグランドホテルで生きて働いているという情報を寅さんが聞いていたからだった。それを聞いた途端、散歩は
「寅、これは大事なことだからよーく聞け。老病死別といってな、人間には四つの悲しみがある。」
「その中で最も悲しいのは死だ。おまえのおふくろもいつかは死ぬ。」
「その時になってからじゃ遅いんだぞ!その時になって
あ~、一度でもいい、産みのお袋の顔を見ておけばよかった、と
後悔しても、取り返しがつかないんだぞ!そうだろ!寅!」
「さ、会いに行け。生きてるうちに。今すぐだぞ」

 寅さんは散歩先生に説得され夏子と共にグランドホテルへ向かうのだった。

 寅さんと夏子はたまたま近くにいた老婆(風見章子)にグランドホテルの場所を聞く。するとその老婆はなんとそのホテルで働いているという。しかも昔、東京に住んでいたらしい。寅さんも夏子もその優しそうな老婆が寅さんの母・お菊なのではと疑う。

 グランドホテルは連れ込み旅館〈今でいうラブホテル〉のようなところだった。そこの関西弁のいかにも小うるさそうな経営者(ミヤコ蝶々)に老婆はガミガミと言われており、寅さんと夏子は老婆に接触するためにそこの部屋に案内される。

 寅さんと夏子はホテルの雰囲気に気まずくなりながらも老婆に話しかける。老婆に「あなたはおっ母さんじゃありませんか?」と。

 老婆はそれを否定し続け、やがて経営者の女が現れる。寅さんは「お菊さんでしょう!?」と老婆に話すが自分はお澄だと話し、お菊さんは経営者だと話す。

 実は寅さんの母・お菊は経営者の小うるさそうなおばさんの方だった。寅さんが子供だと名乗ると、お菊は少し驚いてから
「ふーん、そう…、今ごろ何の用事やねん。あっ、銭か?銭はあかんで、もう。親子でも銭は関係あらへんで」
 と冷たくあしらう。夏子はその言葉に激怒するが寅さんが
「お嬢さん、帰りましょう。オレは何もこんな淫売上がりの女、見るためにのこのこやってきたんじゃねえんだよ!
さっきから黙って聞いてリャぐたぐた言いたい放題ごたく並べやがって、てめえなんかどっかとっとと消えてなくなれ、このたぬきババア!」

その言葉にお菊も激怒する。

「何?ようそんなことが言えるな、産みの親に向かって!」
「てめえが産みの親?誰がてめえに産んでくれと頼んだ!オレゃてめえなんかに産んでもらいたくなかったい!
ひりっぱなしにしやがって、ひとのことほったらかして雲隠れしやがって、てめえ、それでも親か!」
「ひりっぱなし?ひりっぱなしとはよう言うたな!」
「てめえがオレを捨てたんじゃないか!!」
「やかましやい!!なに言うてケツかんのじゃ、アホ!
どこぞの世界に自分の子供を
喜んでほうる親があるんじゃ!
えっ!何も知らさらんとすき放題なこと言いやがって!
このバカヤロー!出て行け!」
「畜生!てめえが産みの親じゃなかったら、
ぶん殴ってやるんだ!」
「おう!殴ってもらおやないか!やれや!」

 寅さんは出ていき夏子もその後を追うように出ていく。

 お菊は一人になってから聖母マリアのステンドグラス≪聖母マリアが赤子を抱いている≫を眺めつつ
「何しにきやがったんだ、あのアホ、ほんまに…」と悲しそうにつぶやく。

 旅館「巴屋」に戻った寅さんは散歩先生と夏子に励まされる。翌日、東京に一緒に帰ることになった。

続・男はつらいよのシーン

 「とらや」に帰って来た寅さんは面々に気を遣われていた。できるだけ「おかあさん」とかそういった単語は使わないようにしよう。

 博の提案で普段通りの会話を装うことにしたが、どうもちぐはぐしてしまったりお母さん関係の言葉を使ったり。タコ社長(太宰久雄)が空気を読まずに寅さんをからかってきたり。

 それからしばらくして、寅さんは夏子に家に誘われてすっかり元気になっていた。家では散歩先生が酒の勢いで寅さんをしかっていた。寅さんが葛飾商業高校を中退した理由である、校長をぶん殴ったことを思い出したりして。

 あげくには散歩先生は
「ただ!しかしだ!(バン!!)
おまえなんかより少し頭がいいばっかりに、おまえなんかの
何倍もの悪いことをするやつが、うじゃうじゃいることだ。
こいつは許せん!実に許せんバカモノどもだ!!」
 と寅さんを励ましてよそを説教したりもした。

 やがて散歩先生は寝てしまい夏子は寅さんにまた来てほしい、と誘う。寅さんはとっても上機嫌に帰途についた。

 ある日、夏子のヴァイオリンの演奏会が開かれた。そこにはいつの間にか夏子と付き合うようになっていた藤村薫が聴きにきていた。一方、同じく誘われた寅さんだったがヴァイオリンのような上品なものは肌に合わないので、市場でテキヤをしていた。

 サクラとして寅さんに協力していた源公はテキヤが終わってから寅さんに一人芝居をきかせる。
「お嬢さんいいお嫁さんになるだろうな。
あなた、おつかれになった?ご飯にするそれともお風呂?
ねえ、今日ご馳走作っちゃったのよ。何だと思う?
・・・ラーメンよ」
 すると寅さんがすかさずツッコミを入れる。
「ばかやろう!お嬢さんがそんなもの食べるわけないだろう
決まっているじゃねえか、スパゲッチイよ!」

 違う日。散歩先生の体調があまり良くなく、「とらや」を訪れたときにおじちゃんたちに心配されていた。夏子は寅さんに父が呼んでるので家に来てほしい、と頼む。

 寅さんは散歩先生に会いに来た。散歩先生は江戸川で釣った天然のうなぎが食いたい、と頼む。寅さんは江戸川じゃ釣れないと断ると散歩先生は拗ねてしまった。そうされると断りきれないのが寅さんだった。

 寅さんはタコ社長やおばちゃんにからかわれながらも源公と共に江戸川でうなぎを釣っていた。夕方になっても釣れない。

 見かねた夏子が寅さんの様子を見に来る。夏子は父のことを話し出す。
「寅ちゃん…私夕べ、お父さんに叱られちゃった…。寅ちゃんのことで」
「え!?オレのことで?」
「あたし寅さんのお母さんのことひどい人だって言ったら、急に怒り出して『子供が可愛くない親がどこにいる、子供を捨てるにはそれだけの辛い事情があったはずだ。
他人のおまえが生意気な口をはさむんじゃない』って」
「でもねえ、お嬢さん、それはあのババアの面を見たことのねえ人の言うことですよ。そうですよね。
先生のような、上品なお母さんを持っている人には、とてもわからねえ…」
「父もね、お母さんの顔知らないのよ…」
「えっ!…」
「父が二つか三つのときに死んだの」
「はァ…先生も産みのおふくろさんの顔知らないんですか…はぁー…」

 なかなか釣れないのを見かねた夏子は魚屋で新鮮のウナギを買って江戸川で釣った、と言えば?と提案。寅さんはそれに賛成しすぐに撤収しようとした直後、引きが!寅さんは江戸川でウナギを釣ってしまった。

 寅さんは走って散歩先生に見せに行く。しかし散歩先生はすでに旅立たれていた・・・

 散歩先生のお通夜の日。ずっと泣いていた寅さんに御前様(笠智衆)がやってきて説教をする。
「寅、みっともない。泣くのはやめろ。悲しいのは誰も同じだ。
しかし、一番悲しいのは、一番泣きたいのは、あの、娘さんだ」
「その娘さんが涙一つこぼさずにきちんとしておられるのだ。
おまえはなんだ。それでも男か?
こういう時こそおまえがしっかりしなくちゃいけないのではないか?
それくらいのことが分からんほどバカじゃなかろう」
 御前様のお叱りに寅さんはハッとするのだった。

 翌日の葬式では寅さんは張り切って仕切っていた。その葬式に藤村薫がやってきた。寅さんは藤村を歓迎し夏子に紹介する。夏子と藤村が付き合っているとも知らず。

 夏子はひとり部屋でたたずみ、そこへ藤村がやってくる。夏子は藤村の胸に泣き崩れ藤村は問う。
「結局、僕のことは…」
「言ったわ。3日前にそれとなく…」
「そしたら?」
「お前の選んだ男なら何にも言わんって、
ちょっと寂しそうな顔を…」

 そこへタイミング悪く寅さんが入ってきてしまった。寅さんは気まずそうに出棺です、と言ってから退室する。

 出棺の車に乗るとき、寅さんは運悪く遅れてしまい葬儀屋(関敬六)に一号車に乗せられる。その一号車には藤村、夏子がいた。三人はとっても気まずそうだった。

 おじちゃんたちはとらやに帰ってきて電灯のつく前に寅さんのことを「ありゃ可哀想だ。三枚目だねえ」と言う。やがて電灯がつきおじちゃんの後ろには寅さんがいた。

 寅さんは何も言わずに二階にあがっていく。心配したさくらも二階にあがる。寅さんは笑ってから
「さくら、心配するなよ、別にどおってこたあねえんだ…。
オレは慣れてるしよ。先生の葬式も一応取り仕切ったし、これで…ちったあ先生への恩返しもできたろうよ。
あとのことはよどうってこたあねんだよ…ウウウ…」
「お兄ちゃん、泣いてるの?」
「バカヤロウ!顔で笑って、心で泣いてよ…そこが渡世人のつれえところよ。ウウウ…」

 さくらも寅さんも二人で泣き出すのだった。
「先生!先生よー!先生は分かってくれるよなー!
ウウウ…」


 しばらく経った頃。夏子と藤村は結婚し旅行で京都に来ていた。そして夏子は父に語りかける。

「そうなのよ、お父さん、私今京都にいるの、つとむさんとふたりでね。
そしてね、とってもびっくりするような、お父さんにどうしても聞かせてあげたいことに出会ったのよ。
寅ちゃんがいたの」
「お父さん。寅ちゃんは、お母さんに会っていたのよ。
そうなのよ、やっぱりそうだったのよ。お父さん。
お父さんがどんな顔をするか見てみたいわ。」
「でも、もう..
そのお父さんはもういないのね・・・」

 夏子は寅さんを優しく温かい目で見つめながらさびしそうな顔を浮かべる。

 お菊は寅に憎まれ口を叩きながらも二人の親子は仲良さそうに三条大橋を渡って行った・・・




 なんでしょう。やっぱりこの映画は温かい。散歩先生との別れはとても寂しいものだけど、親子の愛だとかに心を温かくされますねえ。

 葬儀屋が寅さんを一号車に乗せたシーンありましたが、あれは散歩先生に魚屋のウナギで一度でも誤魔化そうとした寅さんへの罰だったのでは、と思ったりもしますねえ。散歩先生は寅さんのことを本当に理解している反面、とっても厳しい人だったんでしょう。

 やはり私は一作品目より二作品目が好きですねえ。いや、一作品目も好きなんですが、二作品目はもっと好きです。

 では最後に私の大好きな散歩先生のお言葉で締めましょう。
「寅、これは大事なことだからよーく聞け。老病死別といってな、人間には四つの悲しみがある。」
「その中で最も悲しいのは死だ。おまえのおふくろもいつかは死ぬ。」
「その時になってからじゃ遅いんだぞ!その時になって
あ~、一度でもいい、産みのお袋の顔を見ておけばよかった、と
後悔しても、取り返しがつかないんだぞ!そうだろ!寅!」
「さ、会いに行け。生きてるうちに。今すぐだぞ」

 皆さんも会っておきたい人がいたら死別する前に絶対に合っておきましょう。いや、今合っておきましょう。いつお別れが突然に来るか、それは分からないですからねえ。

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 最後にすいません。私事ですが実は高校3年生になりまして進路に取り組む季節ですので映画鑑賞のペースはガクンと落ちると思います。ということは当ブログも更新が遅くなることがあるかと思いますが、これからも当ブログを観てくださる、というのであれば何卒よろしくお願いいたします。ご迷惑をおかけいたします
Category: 邦画サ行
ミッキーマウス、ミニーを助ける。


『ギャロッピン・ガウチョ』(1928年・米)

スタッフ
監督:ウォルト・ディズニー
製作:ウォルト・ディズニー
音楽:カール・スターリング
アニメーション:アブ・アイワークス
キャスト
ウォルト・ディズニー


 ウォルト・ディズニー監督作品「ギャロッピン・ガウチョ」。原題タイトルは「Gallopin' Gaucho

 まずガウチョというのは南米のカウボーイみたいな人たちだったそうです。ミッキーがガウチョさながらにピートと戦ってミニーを救出する、という物語です。

 ミッキーがプカプカ、煙草を吸ったりビールを飲んだりと今のミッキーさんでは考えられないですね。だから最近でも放送されるときはそういう部分がカットされるようです。

 もともと、「プレーン・クレージー」(1928年)と同じくらいに作られたんですがサイレント映画だったので、当時トーキーがばんばん出ている時勢ではサイレント映画のミッキーを何本作っても配給会社に相手にされませんでした。ウォルトはアニメーションにトーキーを混ぜることを思いついて「蒸気船ウィリー」(1928年)に作りミッキーシリーズとして初公開されました。その後、この映画や「プレーン・クレイジー」も製作したのは前ですがトーキー用に再編集し「蒸気船ウィリー」の後に公開されました。


【あらすじ】
 ミニーがピートにさらわれてしまった!ミッキーはロバで逃げるピートをダチョウに乗って追跡する。






【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 ミッキーはダチョウに乗って、ある酒場に入り、そこでダンサーとして活躍するミニーとダンスをする。

 二人がいい雰囲気になるなか、ピートがミニーをさらってしまった!

 ミッキーは酒場で酔っぱらってしまったダチョウに乗ってロバに乗って逃げるピートをどこまでも追跡する。

 撒いたと思ったピートは自分のアジトにミニーを連れて入っていた。ミッキーも正面のドアから入ろうとするが扉が開かない。

 ミッキーは上の階の窓からアジトに入り込み、ピートと対決。一時は追いつめられるがピートを圧倒しミニーを奪還する。

 調子を取り戻したダチョウに乗るミッキーとミニー。二人はダチョウの揺れを気にしないよう工夫しながらキスをするのだった。





 この映画には「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)がオマージュしたかもしれないシーンがところどころありますね。そういえばお姫様を助けるところなんかもカリオストロの城まんまですねえ。
久しぶりにメリエスの作品。


『天文学者の夢』(1898年・仏)

スタッフ
監督:ジョルジュ・メリエス
製作:ジョルジュ・メリエス
脚本:ジョルジュ・メリエス
キャスト
天文学者:ジョルジュ・メリエス


 ジョルジュ・メリエス監督作品「天文学者の夢」。原題タイトルは「La lune à un mètre

 これはストーリー性はほとんどなく、メリエスによる撮影技術の原点と発想力の素晴らしさに酔いしれるマジック映画のようなものですね。

 「月世界旅行」(1902年)で出てきたようなこわいこわいお月さんが出てきますね。この映画はロケットが突き刺さった月世界旅行のお月さんよりとっても怖い。何せ天文学者を食べちゃおうとするんですから。あとメリエス大好きの悪魔さんも登場しますね。
Category: 洋画タ行
日本の鎌倉が出てきますが、この当時は明治3年。チョンマゲの人もいれば、散切り頭の人もいましたね。


『八十日間世界一周』(1956年・米)
八十日間世界一周
スタッフ
監督:マイケル・アンダーソン
脚本:S・J・ペレルマン、ジェームズ・ポー、ジョン・ファロー
製作:マイケル・トッド
原作:ジューヌ・ヴォルヌ「八十日間世界一周」
音楽:ヴィクター・ヤング
撮影:ライオネル・リンドン
配給:ユナイテッド・アーティスツ
キャスト
フィリアス・フォッグ:デヴィッド・ニーヴン
パスパルトゥ:カンティンフラス
アウダ姫:シャーリー・マクレーン
将軍フランシス・クロマーティ卿:セドリック・ハードウィック
フィックス刑事:ロバート・ニュートン
イギリス
イングランド銀行総裁ゴージャー・ラルフ:ロバート・モーレイ
デニス・ファレンティン:トレヴァー・ハワード
アンドリュー・スチュアート:フィンレイ・カリー
クラブの執事ヒンショー:ハーコート・ウィリアムズ
その他社会改良クラブメンバー:ロナルド・スクァイア、ベイジル・シドニー、A.E.マシューズ、ウォルター・フィッツジェラルド
職業紹介所所長ヘスケス・バゴット:ノエル・カワード
前執事フォスター:ジョン・ギールグッド
スコットランドヤードの捜査官:リチャード・ワッティス
牧師:フランク・ロイド
しゃっくりする御者:ジョン・ミルズ
信仰復興論者のリーダー:ベアトリス・リリー
パリ
パリ駅員で気球所有者ムッシュ・ガッセ:シャルル・ボワイエ
パリの御者:フェルナンデル
パリで色目を使った婦人:イヴリン・キース
スペイン
フラメンコのダンサー:ホセ・グレコ
闘牛士:ルイス・ミゲル・ドミンギン
豪族アクメッド・アブドゥッラー:ギルバート・ロンラード
アブドゥッラーの子分:シーザー・ロメロ
エジプト
イギリス領事:アラン・モーブレイ
モンゴリア号の給仕係:メルヴィル・クーパー
インド
警部補:レジナルド・デニー
大インド半島鉄道職員:ロナルド・コールマン
ゾウの運転士:ロバート・カバル
中国・香港
香港蒸気船会社事務員:チャールズ・コバーン
香港の酔っ払い:マイク・マザーキ
カルナティック号船員:ピーター・ロレ
アメリカ
酒場の用心棒:ジョージ・ラフト
酒場の酔っ払い:レッド・スケルトン
酒場の情婦:マレーネ・ディートリッヒ
酒場のピアニスト:フランク・シナトラ
サンフランシスコの男スタンプ・プロクター:ジョン・キャラダイン
大陸横断超特急車掌:バスター・キートン
騎兵隊隊長:ティム・マッコイ
フォトカーニー駅長:ジョー・E・ブラウン
ヘンリエッタ号一等航海士:アンディー・ディヴァイアン
ヘンリエッタ号舵手:ヴィクター・マクラグレン
ヘンリエッタ号船長:ジャック・オーキー

冒頭の解説者:エドワード・R・マーロー


 マイケル・アンダーソン監督作品「八十日間世界一周」。原題タイトルは「Around the World in 80 Days

 主演はデヴィッド・ニーヴン。ニーヴンっていうのは英国紳士の役が多いですね。実はこのニーヴンの役、銀行強盗と間違われるんですが、私はそれを聞いた瞬間、「お?ピンクパンサーか?」などと思ったりもしましたね。

 カメオ出演という言葉を生んだ映画です。とにかく端役に豪華俳優をあててしまうこの映画の恐ろしさ。セリフのないピアニストをフランク・シナトラが演じるとかマレーネ・ディートリッヒが出たりだとか・・恐ろしいです。

 マイケル・アンダーソン監督というのは第2次世界大戦で従軍していた人で退役後に監督になったそうです。1949年に映画監督デビュー。同姓同名の宇宙飛行士がいますが関係はないようです。

 それにしてもこの映画、世界の情景がとても綺麗。香港、スペインやアメリカ行ったり、その先々で景色は変わりますがとっても綺麗に撮るんですね。あとは鎌倉も。

 実はこの映画、映画より主題歌の方が多分有名だと思います。ヴィクター・ヤングによるこの音楽は恐らく映画史に残るでしょう。


【あらすじ】

 英国紳士フィリアス・フォッグは賭け仲間との賭けで80日間以内に世界一周できなければ5000ドル払うと約束する。フォッグは従者パスパルトゥと共に世界一周の旅へ出かける。


♪  ヴィクター・ヤング


80日間世界一周のシーン










【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




1872年。

 女人禁制クラブ・社会改良クラブの会員であるゴージャー・ラルフ(ロバート・モーレイ)はイングランド銀行の総裁。しかしイングランド銀行で強盗が発生し大金が盗まれてしまう。

 パスパルトゥ(カンティンフラス)は新たな職業を探していた。職業紹介所に入ったパスパルトゥはその所長ヘスケス・バゴット(ノエル・カワード)に対しフォスター(ジョン・ギールグッド)が執事として前に働いていた先の主フィリアス・フォッグ(デヴィッド・ニーヴン)の自分に対する扱いの悪さに関して暴言を吐いていた。

 フォッグはとにかく時間に厳格で几帳面な男だった。新たなフォッグの執事を探さなければいけない。そんな時、パスパルトゥは自分が執事になると名乗り出る。

 翌日、フォッグは社会改良クラブとカードの試合をしていた。そんな中で大インド鉄道が開通し交通も万全となってきたという話題が出る。

 今は世界一周が80日でできる、とフォッグが話し他のメンバー(トレヴァー・ハワード、フィンレイ・カリー、ロナルド・スクァイア、ベイジル・シドニー、A.E.マシューズ、ウォルター・フィッツジェラルド)がそれを否定する。しかしフォッグは断固としてできる、と言いやがて賭けになる。80日後までに世界一周して帰って来れなければ5000ポンド、賭けてもいいとなりフォッグはその日から80日で世界一周をする事になる。

 フォッグはパスパルトゥにすぐに準備をさせその日の夜にもロンドンから去る。

 電車でパリにやってきた二人は御者(フェルナンデル)の操縦により駅に来る。馬車を降りたとたんに女好きのパスパルトゥは誘惑する婦人(イヴリン・キース)に流されそうになるがフォッグがそれを止める。

 マルセイユ行の特急のキップを買おうとする。しかしマルセイユ行の特急は事故により通行しておらず、二人は困る。駅員ムッシュ・ガルセ(シャルル・ボワイエ)は二人に気球でマルセイユを目指してはどうだ、と提案し自分の気球を貸す。

 気球に乗った二人は市民に見送られながらもアルプス山頂を超え、ある町へ降りたつ。二人はマルセイユに来たはずがそこはスペインの町だった。どうやら飛び過ぎてしまったようだ。

 スペインを脱出するには町の豪族アクメッド・アブドゥラー(ギルバート・ロンラード)の所有する飛空艇を借りるしかなかった。

 フォッグとパスパルトゥは酒場に行き、フラメンコのダンサー(ホセ・グレコ)のフラメンコを見たり、パスパルトゥがフラメンコを踊ったりする。その後、二人は酒場にやってきた豪族アクメッドに接触する。

 アクメッドは子分(シーザー・ロメロ)を通訳として、パスパルトゥが闘牛祭で活躍したら飛空艇を譲る、と話す。フォッグはそれは虐殺だ、と断ろうとするがパスパルトゥはそれに応じる。

 パスパルトゥは闘牛祭で華麗なダンスで闘牛を圧倒する。それは闘牛士(ルイス・ミゲル・ドミンギン)も称賛するほどだった。

 アクメッドはパスパルトゥの闘牛を気に入り、フォッグに飛空艇を譲るのだった。

 その後、二人は無事にマルセイユに着き、スエズに辿りつく。スエズではフォッグをイングランド銀行の強盗犯だと疑っているフィックス刑事(ロバート・ニュートン)が二人をイギリス領事館へ連行する。イギリス領事(アラン・モーブレイ)は二人を解放したあと、フィックス刑事は二人を尾行しはじめる。

 ボンベイ行きのモンゴメリア号に乗った二人。フォッグはフランシス・クロマーティ将軍(セドリック・ハードウィック)と友になる。しかしフォッグの頑固な性格は変わらず、船の給仕係(メルヴィル・クーパー)に自分だけ食事は別にしろ、と言ったりもする。

 ボンベイに着いた二人。パスパルトゥは寄り道をしてしまい、開通したばかりの大インド半島鉄道に乗り込む。

 汽車の中で一緒になったクロマーティ将軍によればインドの宗教というのは人殺しも平気でする宗教があるそうだ。やがて突然、汽車が止まってしまう。

 どうやら汽車は全線開通していないそうで、線路が終わったところまでしか行かないそうだ。将軍、フォッグ、パスパルトゥの三人は困惑する。やがて鉄道職員(ロナルド・コールマン)が近くにゾウを貸してくれる人がいるとのことで三人はその人を頼る。

 1000ポンドの大金を積んでゾウを貸してもらった三人は運転士(ロバート・カバル)の操るゾウでカルカッタへと向かう。

 道中、怪しい宗教の儀式の行列に遭遇する。運転士によれば宗教の大物が死んでしきたりによりその妻アウダ姫(シャーリー・マクレーン)も無理矢理、一緒に生きたまま燃やされるそうなのだ。三人は無理やり、燃やされる奥さんを助け出そうとする。

 将軍とフォッグはいかにして助けようか作戦を考えていた。そんな時、パスパルトゥがどこにもいない。なんとパスパルトゥは死んだ旦那に化けており、やがてさもその男が蘇ったように演じる。

 恐れおののいた儀式の参加者は散り散りに逃亡。その隙にパスパルトゥはアウダ姫を連れ出すことに成功する。

 その後、宗教の祭殿に乗り込んだ罪で逮捕されたフォッグらだったが保釈金を払い釈放され、香港へやってくる。フィックス刑事は保釈金を高くしたのに、と警部補(レジナルド・デニー)相手に愚痴をこぼす。

 香港から横浜行きのカルナティック号のキップ購入を頼まれたパスパルトゥはキップを購入しあとで取りに行くことになる。

 待つ間、偶然を装ってパスパルトゥに接触してきたフィックス刑事。フィックス刑事は酒場で二人で飲みあおう、と誘い自分の正体が刑事であるからフォッグ逮捕に貢献してほしいと依頼する。

 しかし忠誠心の高いパスパルトゥはそれを拒否する。フィックス刑事はパスパルトゥにアルコール度の高い酒を飲ませ、彼を眠らせてしまう。

 パスパルトゥが船員(ピーター・ロレ)に起こされた時は自分一人だけカルナティック号に乗せられていた。主人を置いてきてしまった、と絶望的になる。

 一方、フォッグはアウダ姫、そしてまたしても接触してきたフィックス刑事と共にオンボロ船に乗せてもらい横浜を目指すのだった。

 横浜ではパスパルトゥが鎌倉の曲芸屋で曲芸をして食費を稼いでいた。フォッグとアウダ姫は遅れて横浜に到着しパスパルトゥを連れて船で太平洋を横断しサンフランシスコへと向かう。

 アウダ姫は自分と同じ几帳面で時間に厳格な性格である英国紳士フォッグに興味を持っていた。

 サンフランシスコへ着いたフォッグ、アウダ姫、パスパルトゥ。パスパルトゥは寄り道した酒場で用心棒(ジョージ・ラフト)に睨みを利かせられたり、酔っ払い(レッド・スケルトン)と接触をはかったり情婦(マレーネ・ディートリッヒ)に誘惑されたりする。

 フォッグは一人のアメリカ人男スタンプ・プロクター(ジョン・キャラダイン)に絡まれる。英国人の誇りを馬鹿にされたフォッグは鉄棒でスタンプを殴り気絶させる。

 その後、アメリカの大陸横断鉄道に乗り込んだフォッグ、スタンプ、アウダ姫、さらに接触してきて同行しだしたフィックス刑事ら。

 汽車が停止する。民族が汽車を止めたようだが彼らは友好的だった。ほかにもバッファローの大群により停車する。あと停止したのは橋の手前。川の氾濫で橋が崩れそうなのだという。しかしスタンプが運転士に酒を振る舞い、汽車は助走をつけて全速力で橋を通過していった。

 やがてフォッグはスタンプに絡まれついに二人は拳銃による決闘となる。車掌(バスター・キートン)が心配するなか、突然矢が車内に飛んでくる。先住民のインディアン・スー族に鉄道が襲撃される。

 車内の全員が応戦する。パスパルトゥはスー族を引きつけるために単身、騎馬で囮となって逃亡するが、捕らえられて火あぶりにされそうになる。その隙に鉄道はフォトカーニー駅に停車し騎兵隊隊長(ティム・マッコイ)が率いる騎兵隊が出動し間一髪でパスパルトゥを解放する。

 しかしパスパルトゥ救出の間に鉄道は一つ行ってしまい、駅長(ジョー・E・ブラウン)は明日まで待て、というが待てないフォッグはトロッコを作ってそのトロッコに帆を張りニューヨークへ辿りつく。

 ニューヨークで貨物船ヘンリエッタ号に乗り込んだフォッグ。フォッグに焦らされ船長(ジャック・オーキー)は全速力でリバプールへ向かうが途中で燃料が切れてしまった。

 フォッグは船長から船を買い取ってしまい、燃やせる飾りなどのものをすべて燃やして全速力でリバプールへと向かう。しかし燃やせるものがなくなった時、ここまでかとフォッグは悔しそうに帽子と杖を投げ込む。しかしすぐそこに陸が見えた。船長はこんな旅ははじめてだった、とフォッグたちと喜び合う。

 しかしリバプールに着いた途端、逮捕状を請求したフィックス刑事がフォッグを逮捕してしまう。残り時間に余裕もない。フォッグは無実を訴えるが牢獄に捕らえられてしまった。

 牢獄の中でついに約束の80日間の時間が経ってしまった。その後、フィックス刑事が真犯人が捕まった、申し訳ないことをしましたた、と謝罪する。それに対しフォッグは
「こんな予想外な妨害でまさか失敗するとは。あなたとの旅は不快なものでした」
 と恨み言を吐いて釈放される。

 フォングが数えて81日目。家に帰って来たフォッグ。フォングは賭けに負け全財産を失うことに落ち込んでいた。アウダ姫も一緒についてきており、姫はフォッグを励ましやがて二人は結婚することを誓い合う。パスパルトゥは結婚式を開くために牧師(フランク・ロイド)を呼びに行かされる。

 パスパルトゥは牧師を家に連れて行こうとして、看板をふと見ると土曜日と書いてある。本来ならば日曜日のはずなのだが。パスパルトゥは1日誤っていることに気付き、新聞を買ってすぐにフォングの下に帰る。

 フォングに新聞を見せたパスパルトゥ。フォングは世界一周を西から東へ向かってしていったことで日付変更線を通り過ぎたため、今日がイギリスでは丁度80日目になるのだった。フォングはすぐにクラブへ向かう。

 途中、拾った御者(ジョン・ミルズ)がしゃっくりが止まらなくて進まなくなったり、歩いていくと今度は侵攻を復活せよと論する女性(ベアトリス・リリー)に絡まれたりもした。

 クラブのメンバーたちはフォングは間に合わなかった、と思っていたがフォングは80日目の時間ぴったしに到着する。フォングは賭けに勝った。

 やがて女人禁制のはずのクラブにアウダ姫が入ってきてしまう。フォングはすぐに追い返そうとするが今度は窓からパスパルトゥが現れ、肖像画が落下する。

 ある男が呟く。「大英帝国の崩壊だ・・・」






 これは現実世界のファンタジー物語ですねえ。気球で二人がフランスを目指すシーンとかはこの映画の代名詞みたいなシーンですよね。この映画を観てない人でもこの映画に気球が登場する、というのは知ってる人は結構多いでしょうが。

 ヴィクター・ヤングの音楽は本当に観て聴く人を旅行したい、という気分にさせますねえ。素晴らしく壮大かつ草原がイメージされるような音楽ですねえ。ストーリーも引き立てるので童心に帰るようなアドベンチャー映画にさらにアドベンチャー味を引き立ててますねえ。

 そしてゴメンなさい。最後のオチが意味不明でした。私なりに調べてみたんですがよく分かりません。英語サイトなら何か書いてあるかもしれませんが私が英語が苦手なのでよく分からなかったです。もし今後で分かったら追記しておきます。

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オズの魔法使い、とはいっても1910年のサイレント映画です。


『オズの魔法使い』(1910年・米)
スタッフ
監督:オーティス・ターナー
製作:ウィリアム・セリグ
原作:ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」
配給:セリグ・ポリスコープ・カンパニー
キャスト
ドロシー:ビーブ・ダニエルズ
オズの魔法使い:ホバート・ボズワース
かかし:ロバート・Z・レナード
北の魔女:オリーブ・コックス
西の魔女:ウィニフレッド・グリーンウッド


 オーティス・ターナー監督作品「オズの魔法使い」。原題タイトルは「The Wonderful Wizard of Oz

 実はオズの魔法使いの原作が刊行されたのは1900年のことなんですよ。原作のライマンは1919年まで生きるので、この映画の公開当時には存命だったようです。

 オーティス・ターナー監督はセリグ・ポリススコープ・カンパニーに入社してからこの映画を作っています。この映画は結構金かかったそうですねえ。この会社を破産させてしまいました。続編も製作予定だったそうですがしばらくできなくなったそうです。

 ドロシー役のビブシー・ダニエルズはこれもあってかサイレント映画の大スターに上り詰めたんですねえ。デミルにその才能を評価されてたそうです。

 舞台劇のセットでとった映画です。何がすごいかって、私はたつまきのシーンとかが凄いと思います。この時代にあの技術。今でならチープの一言で済ませますが時代を考えれば凄いなあ、と思いますよ。あとは人が浮かんだり気球が浮いたりのシーンですかね。


【あらすじ】

 少女ドロシーは竜巻に巻き込まれオズの国にやってきた。オズの魔法使いは東の魔女を討伐すれば褒美を与える、と言いドロシーはかかしや木こりと共に東の魔女を倒そうとする。













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 少女ドロシー(ビーブ・ダニエルズ)はかかし(ロバート・Z・レナード)と出会い、その直後に竜巻に襲われオズの国に流れ着いてしまう。

 オズの国では西の魔女(ウィニフレッド・グリーンウッド)が暴れ回り、オズの魔法使い(ホバート・ボズワース)は困り果てていた。ついに魔法使いは魔女を討伐した者に褒美を与える、と懸賞をかける。

 一方、ライオンに襲われたドロシーだったが北の魔女(オリーブ・コックス)の魔法で強くなった犬に助けられる。ドロシーは魔女が置いて行った魔法使いによる懸賞の手紙を読んで、東の魔女を討伐することにしてライオンも一緒についてくる。

 更に道中でブリキの木こりと遭遇。彼に油を刺して彼に命を吹きかけ木こりも一緒についてくることになった。

 ドロシーは西の魔女のもとにやってきて彼女の弱点であるバケツいっぱいの水を西の魔女に浴びせる。魔女は消滅しドロシーは魔法使いの下に向かう。

 魔法使いは実はただの人間であることが判明した。魔法使いは王様の座をかかしに譲り自身は気球でアメリカへ帰ろうとする。ドロシーもその気球に乗り込む。

 気球は上昇していきドロシーはオズの国とお別れをする。新たな王となったかかしと木こりは仲良く見送るのだった・・・






 私が観たジュディー・ガーランドのやつとはストーリーがいくつか違ってますね。この映画を観るとやはりジュディ・ガーランドのバージョンも観たくなってきますよ。
Category: 洋画ア行

稲妻

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成瀬巳喜男監督作品初観賞。


『稲妻』(1952年・日本)
稲妻
スタッフ
監督:成瀬巳喜男
企画:根岸省三
原作:林芙美子「稲妻」
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
編集:鈴木東陽
音楽:斎藤一郎
配給:大映
キャスト
小森清子:高峰秀子
屋代光子:三浦光子
縫子:村田知英子
おせい:浦辺粂子
国宗つぼみ:香川京子
国宗周三:根上淳
龍三:植村謙二郎
嘉助:丸山修
下宿人・桂:杉丘毬子
下宿先の老婆・杉山とめ:瀧花久子
バス運転手:高品格
バスの老人客:宮島健一
呂平の愛人・田上りつ:中北千枝子
綱吉:小沢栄太郎


 成瀬巳喜男監督作品「稲妻」

 この映画で成瀬監督作品は初観賞なんですが、とっても良い映画でしたね。まあ淡々と進む物語に退屈に感じる人もいると思いますが。

 この映画では結局、光子がどうなったのかまで描かれていないのですが成瀬監督はそんなシーンは必要ないと判断したのでしょう。清子と母が一緒に歩いて終わるこのラストシーン、私は高く評価したいです。こういう終わり方にしてくれてありがとう、と感謝したくなるほどです。

 ストーリーは高峰秀子演じる姉妹の末っ子という視点から、姉や兄を見つめ家族というものを考えていくんですよ。姉二人とも結婚しており、本当に結婚というものが幸福なのかを考えたりする。それにしては本当に可哀想なくらい周囲がダメな人ばっかなのですが。

 高峰秀子いいですねえ。本当に可愛げが顔に現れている。ちょっとふっくらとしている所とか本当に邪な思いを抱いてしまいそうになりますね。成瀬監督と高峰秀子はこの後、何回かコンビを組んだようですね。

 ちなみに成瀬監督は黒澤明、小津安二郎、溝口健二と共に日本の名監督四天王?みたいなので評価されていますねえ。


【あらすじ】

 小森清子は三姉妹の末っ子で唯一、結婚しておらず彼女自身は男を獣のようにしか見ていなかった。ある日、次女・光子の夫が違う女性と銀座を歩いている姿を目撃する。また、清子の結婚を執拗に申し込んできて長女・縫子経由で小森家に入りびたりし始めた綱吉という男まで現れ・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 小森静子(高峰秀子)は小森おせい(浦辺粂子)の娘で三姉妹の末っ子で観光バスのバスガイドをしていた。そのバスに乗った乗客の一人の老人(宮島健一)とその老妻を見てそんな結婚生活に羨望のまなざしを向ける。

 静子はふと窓の外を見ると次女・屋代光子(三浦光子)の夫・呂平と知らない女が歩いているのを目撃する。

 一方、長女・縫子(村田知英子)は静子に縁談を押し付けようと光子と相談していた。縫子によればまだ男を知らない静子をとても気に入っているパン屋の綱吉(小沢栄太郎)という男が居るらしい。縫子にとって清子を綱吉に嫁がせることは自身の事業拡大にもなるのだという。

 静子は仕事を終え光子のところに寄る前に母親・おせいから縁談のことを聞かれる。しかし静子は男をケダモノとしか捉えておらず男嫌いだった。

 実は三姉妹、更に長男の嘉助(丸山修)はみんな父親が違う人だったのだ。静子は夫を4人も持って幸せだったか訊ねる。静子は幸福を否定するがおせいは静子の父、つまり最後の夫はルビーの指輪をくれたのだ。しかし静子はどうせ作り物だ、と否定する。

 静子は光子から夫・呂平が出たっきり帰って来ない、と聞かされる。光子は呂平を探しに出かけ、その間で縫子の夫・龍三(植村謙二郎)が呂平の店にやってくる。龍三は妻・縫子も最近よく外出が多い、と話し静子に「放っておくとフラフラどっかへ行くような女房になっちゃ駄目だ」と言って帰って行った。

 帰って来た光子は店の路地に居た猫を拾う。

 その後、呂平が死んでいたことが判明し急遽、葬式などが行われた。静子は夫・呂平が死んだことにいつまでも落ち込んでいてメソメソ泣く光子のことがイマイチ理解できなかった。

 清子は葬儀に訪れた綱吉を気味悪がり、2階から降りなかったが縫子が降ろそうとする。清子はそれでも拒絶すると縫子はヒステリックに清子をビンタしてしまう。綱吉はそれでも清子をいたく気に入っており彼女に気に入られようと渋谷で新たに始める温泉事業に縫子や龍三を手伝わせたり嘉助を就職させたりした。

 やがて光子の下に呂平の愛人だと名乗る田上りつ(中北千枝子)が現れる。りつは手を合わさせてほしい、というが光子はそれをきっぱりと断り追い返す。静子はりつが呂平と一緒に歩いていたことを思い出したのだった。

 光子は今まで夫と経営していた店を畳んで、実家へ帰って来た。静子はその頃、おせいの家の部屋の一室を間借りしている桂(杉山毬子)と仲良くなっていたが彼女は住み込みの家庭教師をすることになり家を出て行った。

 呂平が死んだことで光子に50万円の生命保険が下りてきた。夢ばっかり大きくて行動が伴わない龍三、綱吉の店で働いているダメ男・嘉助らはその50万円の一部を融資してほしい、などと光子に付きまとうようになる。

 そして光子に手紙が届けられた。それは呂平の愛人・りつからで、50万円のうち、20万円を子供の養育費に当てたいのでほしい、とのことだった。静子は光子に同伴してりつに会いに行くがりつは高慢な態度に出ており、さも20万円出すのが当然だ、と言わんばかりの口調だった。

 光子はりつにとりあえず5万を渡しあとで5万円という形でりつと手を打つことに決めた。

 光子は新しい何かをするためにとりあえず、龍三の旅館事業の経理を担当させてもらうことにした。

 一方、縫子は行動力のある男が好きで、夫・龍三に対し愛想を尽かしていき、綱吉に入れ込みはじめていた。ついに龍三に綱吉と結婚するので別れてほしい、という。龍三にもプライドがあり、断ると縫子はついに龍三を無視しはじめる。

 飲んだくれた龍三は縫子に恨み言をみっともなく吐くが、縫子は軽く一蹴するだけ。龍三は行き場が無くなっておせいの下に転がり込む。おせいとしても娘が見捨てた男を申し訳なさから見捨てられずにいられなかった。

 龍三と嘉助は綱吉の悪口を言い合っていた。家を訪れた綱吉に掴みかかる。その姿はとても醜い敗者の姿だった。

 家の有象無象に嫌気が差した清子は家を出ていくことを決める。

 清子は世田谷で暮らす老婆・杉山とめ(瀧花久子)から2階の部屋を借りさせてもらう。そして清子はとめの家のお向かいに住む国宗つぼみ(香川京子)とその兄・周三(根上淳)と出会う。周三は小森の家にいる男連中とはどこか違っており妹が大好きなピアノの才能を伸ばすために働き、上品で優しい人であり清子はここならば周りの人間とは違う温かさを味わえる、とほっとする。

 清子は実家に帰り母おせいに報告する。おせいや光子は清子が黙って何日も家に帰って来なかったので心配していたようだった。おせいはしっかり者の清子に去られると、と不安になってしまう。

 清子はこれまでの男とは違う周三に興味を持つようになっていく。そんな時、清子の家に光子がやってきた。光子は今、カフェを開いているらしい。

 清子は光子に誘われてカフェにやってくるが、そのカフェには綱吉がいた。どうやら綱吉は未亡人の光子と愛人のような関係になってしまったらしい。綱吉は善意でカフェを資金援助しているように見せているが清子は光子にも失望してしまう。

 綱吉は清子にベタベタ触って迫ってくるが清子はとにかく拒絶する。やがてカフェに縫子が現れ縫子と光子は一触即発の状態になる。

 清子は世田谷でいつも周三の様子が気になっていた。ある雨が降った日、清子は周三の家の洗濯を取り込んであげた。周三はつぼみと共にそのことを感謝し、周三は清子の瞳の美しさから清子が田舎の人間ではないだろうか、と聞いてくる。清子は「田舎に住んでないですが、田舎に憧れます」と答えつぼみの提案で今度、3人で田舎にいこう、という事になった。

 上機嫌になった清子だったが客人がやってくる。それは母おせいだった。おせいによれば、龍三は夢ばっかり大きくていつも失敗ばかりで金を浪費していき、光子は縫子と大喧嘩して行方不明になってしまったらしい。綱吉が二人に手をかけたことをおせいは話すが清子は既に感づいていた。

 おせいがみんなに甘いからこうなったんだ、と清子はおせいを責め立てる。清子は幼いころから姉妹で唯一、しっかり者だったのでいろいろ溜まった思いが爆発してしまったのだ。挙句の果てに清子は
「母ちゃん惨めよ。なんで姉妹全員同じお父さんで生まなかったの!私は母ちゃんに私を産んでほしいと思ったことはないのにどうして産んじゃったのよ!」
と言って泣き出してしまう。

 対しておせいも
「あたしだってあんたにそんなことを言われるためにおなかを痛めて産んだわけじゃない!こんな子になるなら産むんじゃなかったよ!子どもを不幸にしたくて産む親なんていないんだよ!」
 と言ってついに二人とも号泣する。

 しばらく泣く声が部屋を支配する。やがて清子は窓を見つめる。二人の感情を表すかのように外では雷鳴が鳴り響き光っていた。

 先に心が落ち着いたのは清子で「母ちゃんみっともないから泣くのを止めて」と言う。それでも泣き止まないおせいは
「あんたは姉妹で一番いい子だと思ってたのに一番悪い子だ。親を泣かせて」
 と言う。清子は優しい微笑みで母に笑いかける。

 清子は家まで母を送る。
「そういえば父ちゃんが母ちゃんにあげたルビーの指輪。あれ本物だったよ」
「そうだろう。あんたの父ちゃんは嘘がつけなかったからね。」
 親子二人は仲良く並んで歩いていた・・・








 私はうまくこの映画の良さを表現できませんでしたね。この映画は清子と母が喧嘩してから仲直りするところこそ最大の良いシーンだったのですが。

 貧乏な世の中、絶望的な現実、清子にとって世田谷の間借りした部屋はそんな周囲から逃げるオアシスみたいなところだったんですね。それにしてもお母さんの子供を想う気持ちと悲痛な叫び、これは現代社会の親子関係の教訓になる言葉ですね。おせいが言った言葉
「こどもを不幸にしようとして生む親なんていないよ」
この言葉は本当に大切にしなければならない言葉なのですね。

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Category: 邦画ア行
ジェームズ・ボンド、あえて罠に飛び込む!!


『007 ロシアより愛をこめて』(1963年・英)
007 ロシアより愛をこめて
スタッフ
監督:テレンス・ヤング
脚本:リチャード・メイボーム
原作:イアン・フレミング「007 ロシアから愛をこめて」
製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
音楽:ジョン・バリー
撮影:テッド・ムーア
編集:ピーター・ハント
配給:ユナイテッド・アーティスツ
キャスト
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー(若山弦蔵)
タチアナ・ロマノヴァ:ダニエラ・ビアンキ(林真里花)
ケリム・ベイ:ペドロ・アルメンダリス(チョー)
マニーペニー:ロイス・マクスウェル(泉裕子)
ヴァヴァラ:フランシス・デ・ウォルフ
M:バーナード・リー(藤本譲)
Q:デズモンド・リュウェリン(白熊寛嗣)
ケリムの息子運転手:ネヴィル・ジェイソン
ケリムの愛人:ナジャ・レジン
シルビア・トレンチ:ユーニス・ゲイソン
オリエント急行車掌:ジョージ・パステル
ロシアの狙撃者クリレンク:フレッド・ハガティー
No.5クロスティーン:ウラデク・シーバル(田原アルノ)
No.3ローザ・クレッブ:ロッテ・レーニャ(定岡小百合)
モーゼニー:ウォルター・ゴテル(島香裕)
グラント:ロバート・ショウ(山野井仁)
No.1ブロフェルド:アンソニー・ドーソン(稲垣隆史)


 テレンス・ヤング監督作品「007 ロシアより愛をこめて」。日本公開当時の邦題は「007 危機一発」。原題タイトルは「007 From Russia with Love

 前作こと「007 ドクター・ノオ」(1962年)ではショーン・コネリーのジェームズ・ボンドはどちらかというとアクション抑え目の隠密スパイ色が強かったのですが、今回はアクションが更に多くなりましたね。30代のコネリーが奮闘してました。

 コネリーを苦しめた敵というのはロバート・ショウが演じました。彼といえば私はやっぱり「ジョーズ」(1975年)のクイント船長役が印象に残っています。で、そんなロバート・ショウはあの荒くれ男の役とは全く違った冷徹で後半まで全く喋らない無口の殺し屋をやっていました。この悪役グラントは私結構好きですねえ。デューク東郷を思わせました。

 実は原作ではドクター・ノオが時系列ではこれの後の作品になるんですよ。でも映画では逆だったからストーリーも少し変更したそうです。

 私の好きなシーンはボンドとショウが列車内で戦うところです。あそこの照明具合がすっごい良い感じがしました。列車の中なのにまるで宇宙とか宇宙船とかで戦っているように見えましたね。

 さてロシアより愛をこめて、というのはボンドガールのダニエラ・ビアンキがボンドを指名して自身の護衛を頼んだラブレターの事でしょう。指名した理由というのはダニエラ・ビアンキがボンドの写真を見て一目惚れした、という理由になっていました。それを聞いたボンドが皮肉交じりにラブレターのことをロシアより愛をこめて、と言ってのけたんですよね。


【あらすじ】

 英国にソビエト情報局の美人情報員女性が暗号解読機「レクター」を持って亡命したい、という提案がもたらされる。女性は護衛にジェームズ・ボンドを指名してきており、英国海外情報局は罠だと感じながらもレクターの重要さを優先しジェームズ・ボンドがイスタンブールに派遣されるが・・・


♪ロシアより愛をこめて  マット・モンロー











【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 冷酷な元殺人犯で今は殺し屋の傭兵レッド・グラント(ロバート・ショウ)は模擬戦にてジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)の覆面を被った男を標的に見立て彼を殺害する。



 西側の犯罪組織「スペクター」はドクター・ノオを暗殺したジェームズ・ボンドへの復讐を誓う機関の依頼を受けてボンド抹殺を計画する。

 スペクターのNo.1ブロフェルド(アンソニー・ドーソン)はNo.5クロスティーン(ウラデク・シーバル)にボンド抹殺計画の具体的な内容を計画させ、No.3ローザ・クレッブ(ロッテ・レーニャ)にその計画に必要な人材を用意させる。

 内容はこうだ。英国が欲しがっている暗号解読機「レクター」を持って亡命しようとしている女性の存在を認識させその女性の亡命のための護衛にジェームズ・ボンドを派遣させ彼をこちらで殺害しようという罠だった。

 ローザは元ソビエト情報局長だったが現在はスペクターに落ちのびた。しかしそのことは局側には機密にされており、そのことを知らなかった情報員タチアナ・ロマノヴァ(ダニエラ・ビアンキ)はローザに呼び出されボンド接触を図る女性を演じることを命令される。元々祖国を想う気持ちが強いタチアナは拒否すれば殺されると脅されたこともあってその役を買う。

 しかしタチアナは祖国のためである、と信じさせられおり単に利用されているだけだった。

 また、ローザはボンドを殺害する殺し屋を傭兵としてスペクターによって育てられていた冷酷な元殺人犯レッド・グラントを雇う。

 タチアナは英国海外情報局に自分が「レクター」を持って亡命するので、護衛にジェームズ・ボンドをつけて亡命を手伝ってほしい。ボンドを指名した理由は写真を見て一目惚れしたからだ、とメッセージを送る。

 シルビア・トレンチ(ユーニス・ゲイソン)と休暇中だったジェームズ・ボンドは呼び出しを受け上司M(バーナード・リー)の下を訪れる。Mは罠だと知っていながらもそれでもレクターを英国が欲していることを話しボンドはこの仕事を請け負うことを決める。ボンドが女好きであることも彼が仕事を請け負った理由の一つといえるだろう。

 ボンドは発明のプロであるQ(デズモンド・リュウェリン)から工夫して開けないと催眠ガスが発生し小刀を隠している特殊アタッシュケース、銃を受け取りイスタンブールへと向かう。

 イスタンブールに着いたボンドはトルコ支局長ケリム・ベイ(ペドロ・アルメンダリス)の息子運転手(ネヴィル・ジェイソン)の車で支局まで向かう。その後ろをレッド・グラントが監視していた。

 ケリムと会い、一通りの説明を聞いたボンド。どうやらこのイスタンブールでは英国情報局の支局も東側〈ソ連など〉に監視されているらしい。

 その後、ボンドはホテルの部屋に行き盗聴器などの有無をチェックする。フロントに部屋を取り換えてほしい、と頼むがフロントは渋っている。どうやらフロントにも手が回されているらしかった。

 一方、ロシアのナッシュがグラントによって殺された。ロシアは英国情報局の仕業であると即刻判断しトルコ支局を攻撃。ケリムの部屋に爆弾が仕掛けられたがたまたま愛人(ナジャ・レジン)にベッドに誘われていたことで助かっていた。

 ケリムはボンドと共に東側の大使館を偵察しに行く。そこではお偉いさんと一緒に話す西側を専門に攻撃するケリムの宿敵の殺し屋クリレンク(フレッド・ハガティー)がいた。ケリムは今朝の爆弾はクリレンクの土産だと悟る。

 ホテルは危険だと判断したケリムはボンドと共に東側に情報をつかまれていない友人のヴァヴァラ(フランシス・デ・ウォルフ)の経営するジプシー・レストランに向かう。

 そのレストランではダンサー(ライザ・ギロー)の妖艶なダンスを見たり、ひとりの男を取り合ってヴィダ(アリザ・ガー)とゾラ(マルティーヌ・ベズウィック)の決闘を見物する。ボンドはつかみ合う女性たちの姿に目を背けがちになる。

 そんな時、突然クリレンクらに襲撃される。ボンドはヴァヴァラの危機を救ったりして応戦。ケリムはクリレンクに腕を撃たれ、ボンドも後ろから襲われそうになるが突然その男は何者かに撃ち殺される。ボンドは不審がりつつも攻撃しやがてクリレンクらは撤退する。

 ケリムはクリレンクの襲撃に激怒し、その後、アジトに向かいアニタ・エグバーグの看板の口の部分から逃げようとしたクリレンクはケリムによって撃ち殺された。

 ホテルに帰った夜、ボンドはお目当てのロマノヴァの待伏せを受ける。その部屋でボンドとロマノヴァは愛し合い、その姿を密かにグラントらがボンド暗殺のストーリーのタネの一つとして利用するべく盗撮していた。

 その後、ロマノヴァはレクターが保管されているソ連領事館の見取り図を寺院でボンドに渡す。渡すとき、密かにグラントが見取り図を奪おうとした別の男を抹殺する。

 ボンドは船上デートでロマノヴァにレクターの形状などを吐かせる。それを本局に送り、Mはロマノヴァが本物の協力者である、と話しボンドは領事館から盗むよう命じられる。

 領事館の地下に仕掛けられた爆弾が爆発。爆発の混乱に乗じてボンドはロマノヴァと共にレクターを盗み出すことに成功した。

 その後、ボンドはロマノヴァ、ケリムと共にオリエント急行に乗り込みイスタンブールから脱出する。

 ボンドはロマノヴァと夫婦、ということになっていた。二人は部屋でイチャイチャしたりしていた。その頃、ケリムは協力者である車掌(ジョージ・パステル)と交渉する。計画はブルガリア国境で列車から降り、アテネからロンドンへ空路でいくことになっていた。

 やがてロマノヴァを追ってきたKGB〈ソ連国家保安委員会〉の職員(ピーター・ベイリス)をボンドとケリムはとっ捕まえケリムが別室で監視していた。

 だが何とケリムとKGBの職員が部屋で何者かによって殺されていた。その現場はさも相討ちに偽装されたかのように。ボンドは作戦を中止しブルガリア国境でも列車は止まることはなかった。

 ボンドはロマノヴァを問い詰めるがロマノヴァは何も話したがらない。結局、そのまま答えずボンドも聞かなかった。

 ベオグラード駅についたボンドはケリルの息子運転手と再会。運転手に父の死と遺品を渡してから、ザグレブに応援を寄越すよう本局に伝えてほしい、と言い再び列車に乗る。

 ザグレブに着いたオリエント急行。そこから最初に下りたのはボンドたちを追っていたグラントだった。グラントは応援として駆けつけたナッシュ大尉(ウィリアム・ヒル)を殺害してからそのナッシュを装ってボンドに接触する。

 グラントは二人を食堂車に誘い、ロマノヴァに睡眠薬を仕込む。寝込んでしまったロマノヴァをボンドは不審がりグラントを問い詰めようとしたが銃で気絶させられる。

007 ロシアより愛をこめてのシーン

 グラントはボンドの銃を奪ってから目覚めたボンドに自分がスペクターの一員で、一夜の映像をネタに脅迫してきたロマノヴァと脅迫されたボンドはロマノヴァを殺しその後、自殺するという情けない死に方を装うつもりだ、と言う。

 それはドクター・ノオをボンドに殺された復讐でもあった。

 ボンドはグラントにアタッシュケースの中に金貨が入っているからそれをくれてやる、と誘う。興味を示したグラントはそのアタッシュケースを普通に開けようとして催眠ガスが噴出する。

 不意打ちをついてボンドはグラントに掴みかかり二人は列車の部屋の中で格闘。ボンドは首を絞められピンチに陥るが、アタッシュケースに隠された小刀を抜き取り形勢逆転しついにグラントを抹殺する。

 やがてグラントが仕事を終えたと思い込んだスペクターの手引きにより列車は急停車。その隙にボンドとロマノヴァは下車しスペクターの軽トラックを盗み出し運転手にさせる。

 朝になり、トラックはスペクターのヘリコプターの追撃を受ける。ボンドはトラックを降りてヘリコプターを引きつけ手りゅう弾を投下してくる乗員一人を撃つ。やがて手りゅう弾はヘリコプターの中で爆発する。

 ボンドとロマノヴァは船に乗り込みベニスを目指した。運転手だった男は海に放り投げて。

 一方、スペクターでは作戦立案し失敗したクロスティーンがモーゼニー(ウォルター・ゴテル)に殺されてしまう。恐れおののいたローザ・クレッブは何としてもレクターは奪還すると誓うのだった。

 ヴェニスに向かう道中、ボンドらはモーゼニー率いるスペクターのボート部隊の襲撃を受ける。ほぼ包囲されかけボンドらは危機に陥るが、ボンドは燃料を積んだタンクを海に捨て、照明弾を投げ込んで大爆発を引き起こしモーゼニーらは炎に包まれながら海に落ちて行った。

 ボンドとロマノヴァはついにヴェニスに辿りつく。ホテルをとり部屋に入るが清掃員に化けたローザ・クレッブに襲われる。銃を突き付けられ、ロマノヴァもローザについてレクターを持ち去ろうとする。

 だがロマノヴァはローザを裏切り、彼女を銃で撃つ。無事レクターは英国本局の手に渡るのだった。

 ボンドとロマノヴァには休暇が与えられヴェニスの海を漕いでいくボートの上で任務を忘れて熱いキスを交わすのだった。そしてボンドは盗撮された二人の夜のフィルムを海に投げ捨てる・・・







 いやあ面白い映画でしたねえ。ボンドのヒロインってドクター・ノオも今回もなかなかにいい女ですよねえ。今回のヒロインはドクター・ノオの放射能除去シャワーシーンのようなキワドイ露出はあまりなかったですね。

 映画っていうのは観てて入り込めば旅も出来ちゃうからいいですよねえ。特に私はラストの方のヴェニスの情景がイスタンブールより印象的でした。

 私は冷徹な殺し屋グラントも好きですが、最後惨めに敗れたローザ・クレッブも好きですよ。何せあんなスペクターの大幹部が直々に掃除屋のオバチャンに変装してボンドを襲うんですから。そのシーンを観た瞬間私は悪人の惨めな末路だなあ、と哀れに思ったりもしました。

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Category: 洋画ラ行
何気に初見の映画です。この映画は名作ですが、もはや歴史ですよね。


『ローマの休日』(1953年・米)
ローマの休日
スタッフ
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:イアン・マクレラン・ハンター、ダルトン・トランボ、ジョン・ダイトン
原案:ダルトン・トランボ
製作:ウィリアム・ワイラー
音楽:ジョルジュ・オーリック
撮影:アンリ・アルカン、フランク・F・プラナー
編集:ロバート・スウィンク
配給:パラマウント映画
キャスト
アン王女/アーニャ・スミス:オードリー・ヘプバーン(池田昌子)
ジョー・ブラッドレー:グレゴリー・ペック(城達也)
アーヴィング:エディー・アルバート(大塚明夫)
マリオ・デラーニー:パオロ・カルリーニ(山寺宏一)
女官ヴィアルバーグ伯爵夫人:マーガレット・ローリングス(荘司美代子)
ヘネシー支局長:ハートリー・パワー
大使:ハーコート・ウィリアムズ(北村弘一)
プロブノ将軍:トゥリオ・カルミナティ(丸山詠二)


 ウィリアム・ワイラー監督作品「ローマの休日」。原題タイトルは「Roman Holiday

 オードリー・ヘプバーンが今まで主演女優になったことは一度もありませんでした。しかしウィリアム・ワイラーに認められ彼女がこの映画で初めて主演をとりました。そしてアカデミー賞主演女優賞を獲得したのでした。確かにヘプバーンの笑顔って幼さと上品さの両方を持ち合わせているんですよね。

 ヘプバーンの相手役はグレゴリー・ペック。ペックはすでに一流の俳優でした。しかしペックもワイラーも両方ともヘプバーンの演技を高く評価していたようです。それでもペックとヘプバーンのコンビはこの一作きりでした。そこにも映画の余韻を感じずにはいられないですね。

 恋のシーンだけじゃなくって笑えるシーンとかもあったんですね。ペックとヘプバーンの掛け合いとかも聞いてて面白い。エディー・アルバートの転ばせたりするシーンとかでも面白い。ペックの声が城達也っていうのも日本語版を作ったスタッフはよく分かっているんだなあ、と思ったりもしました。

 名シーンも本当に多いなあ。スクーターバイクに二人乗りしたり、真実の口に手を突っ込むシーンとか。こんなに面白い映画だったんですね。でも祈りの壁とかはどこのことを言ってたんでしょうか。実在はしないようですが。

 私が思うにこのローマの休日、ベッドシーンが無かったのもよかったと思います。キスシーンだけで終わるこの恋物語がやはり恋であるのだなあ、と感じずにはいられません。

【あらすじ】

 某国王女アン王女はハードスケジュールに疲弊し、ローマの大使館からついに抜け出してしまった。ベンチで寝ていたアン王女は記者ジョー・ブラッドレーに介抱され、寝ぼけながらジョーの部屋に一緒に来てしまう。翌日、出勤したジョーは自分の家で寝ているのがアン王女だと知り・・・






















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 某国の王女であるアン王女(オードリー・ヘプバーン)はヨーロッパの国々を訪問していた。やがてアン王女はローマを訪れ歓迎晩餐会が開かれ大使館に滞在する。

 しかしアン王女はまだ若い。彼女は一般の人々が開放的な生活をできているのに自分は束縛されてばかりだ、と過密的なスケジュールの疲弊もあって女官のヴィアルバーグ伯爵夫人(マーガレット・ローリングス)相手にヒステリックに取り乱してしまう。

 アン王女は周囲のプロブノ将軍(トゥリオ・カルミナティ)ほか自分を束縛しようとする人たちについに嫌気が差していた。やがて侍医に遅効性の睡眠薬を打たれてしまう。

 アン王女は大使館から脱出を計画する。王女は大使館を逃げ出しやがて睡眠薬の効果により眠くなりベンチに座って寝込んでしまう。

 一方、会社から帰宅途中の記者ジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)はベンチで寝る高貴そうな女性アンを発見する。ベンチから落ちそうなアンを助けるうちに寝ぼけるアンに絡まれてしまい、彼女をタクシーに乗っけて厄介払いしようとする。

 だがアンは全く目覚める気配もなく、家も分からないので成り行きでジョーが自分の家に彼女を泊める流れになってしまった。

 翌朝、アンに絡まれていたせいで寝坊してしまったジョーは会社に遅刻してしまう。ジョーは言い訳としてヘンシー支局長(ハートリー・パワー)にアン王女の会見に出席した、と嘘をつくがヘンシーは王女が発熱で会見を取り止めたことを話す。

 ヘンシーはジョーにその記事が載った新聞を見せる。その新聞のアン王女の顔写真を見たジョーは自分の家に泊まっている女性がアン王女その人であることに気付く。電話で大家にアン王女がまだ部屋にいるかを確認し、ジョーはヘンシーにアン王女の一大スクープを撮ると約束し、500ドルを賭ける。

 ジョーはすぐに帰宅し目覚めたアン王女の前に現れる。ジョーは昨夜のことを説明しアンはアーニャ・スミスと名乗る。〈スミスが含まれるジョン・スミスなどは日本でいう名無しの権兵衛〉

 ジョーはアンに対して、あえて王女だと気付いてないフリをして相棒のカメラマンであるアーヴィング(エディ・アルバート)に電話し事情も伝えずにすぐに来るように伝える。

 その後、アンはジョーに何リランかを貰って家から去って行った。その後を追ってジョーは尾行を開始する。

 アンは街の屋台や出店で店の人からあまりの美貌に声をかけられたりして興味津々なご様子。ヘアーサロンに飛び込んだアンはそこで理髪師のマリオ・デラーニー(パオロ・カルリーニ)にバッサリ切るように指示する。

 マリオはアンに夜にテヴェレ川の遊覧船で行われるダンスパーティに来てほしいと誘う。

 アンはアイスクリームを買ってスペイン広場へ向かう。そんなアンに今まで追尾してきたジョーが話しかける。さも偶然に出会ったかのように。ジョーはアンを誘いパリ市内の観光案内をする。

 ジョーはカフェにアーヴィングを呼んでいた。アーヴィングはアンを「王女に似てる」と何度も言おうとするがジョーがその妨害をする。立腹したアーヴィングを別の部屋に呼び寄せアン王女の独占記事を獲るので手伝ってほしい、と依頼する。

 その頃、アン王女の本国の機密捜査官たちが入国する。大使(ハーコート・ウィリアムズ)とプロブノ将軍(トゥリオ・カルミナティ)が出迎えるが機密捜査官は機密捜査官っぽい目立たないようでかなり目立つ黒服ばかりだった。

 その後、ジョー、アンはコロッセオなどを見たりしてヴェスパに乗り込む。アンの危なっかしい運転は後ろから車でついてくるアーヴィングの撮る写真のネタには持って来いだった。しかしアンの運転によって多くの人間が迷惑を被り、やがて三人は警察に捕まってしまう。

 ジョーは警察に二人で結婚するんだ、と嘘をついて釈放してもらった。

 その後、ジョーとアン、アーヴィングは真実の口に向かう。真実の口に手を入れた者がやましい気持ちがあったりすると手を噛み切られる、という伝説をアンに伝え実際に口に手を突っ込む。ジョーはアンをからかう為に手を食われたフリをしてアンの反応を面白がった。

 その後、アーヴィングと別れジョーとアンは祈りの壁に向かう。アンはジョーに秘密で祈りを捧げる。

 夜。マリオが誘ったパーティに参加したジョー、アン。アンは楽しげにマリオとダンスをしておりアーヴィングがそれを撮影していたが、そのパーティには秘密捜査官が張り込んでいた。捜査官はアンの身柄を拘束し連れ去ろうとするがジョー、アーヴィングそしてマリオが捜査官を撃退する。

 海に逃亡したジョーとアン。秘密捜査官たちはその後、通報を受けた警官隊に身柄を取り押さえられてしまう。

 陸にあがったジョーとアンはキスをする。二人は家に戻り着替える。

 家ではアン王女に失踪疑惑が浮かび上がっている、という報道がラジオで流れていた。ジョーは結ばれることのない悲恋に泣きじゃくるアンを抱きしめ自分が記者であることを明かそうとするが何も言わなかった。ジョーは車でアンを大使館前まで送り彼女と最後のキスをして彼女は大使館へ戻って行った。

 その後、アンは王女に戻りしつこく何をしていたか聞いてくる将軍らを退室させる。

 翌日、ジョーはヘンシー支局長にネタが上がらなかった、と嘘をつく。更にアーヴィングがやってきて写真を渡そうとするがジョーはしつこく聞いてくるヘンシーを帰らせる。ヘンシーは去り際に王女の会見があるからそこでスクープをしてこい、と命令し帰って行った。アーヴィングはジョーに写真をネタにしよう、と誘うがジョーは頑なに断り写真をどうするか判断をアーヴィングに委ねる。

 その後、アン王女は記者会見場でジョーとアーヴィングがいることに驚いた。記者が質問を開始し、ジョーは会社を代表してアン王女に「あなたは人と人の信頼を大切に信じている。あなたの信念は誰かに裏切られるものではないでしょう」とアン王女を励ましアンはそれを喜ぶ。

 ある記者が質問する。
「いちばん印象に残った訪問地はどこでしたか?」
 侍者がマニュアルを密かに耳打ちしアン王女はその通りに答えようとする。
「いずこの地もそれぞれ比較は素晴らしく・・・」
 やがてアン王女ははっきりとした表情で
「なんと申しましてもローマです。私は素晴らしい思い出をくれたこの地を一生忘れないでしょう」
 と話しその場の全員が動揺する。

 やがてアン王女は一人一人、手前の記者たちとあいさつを希望する。アーヴィングは自分の撮った写真をアン王女に渡す。アン女王は挨拶を終えてから笑顔を浮かべ、そしてどこか悲しい表情をしてから去って行く。

ローマの休日のシーン


 ジョーは去って行くアン王女をいつまでも見つめてから去って行った・・・











 悲恋の物語でしたね。私は悲恋とか悲劇の物語ってどこかモヤモヤを残したり不満を抱いたりもするんですがこの映画ではそれが全然ありませんでした。本当にさっぱりと終わってすごく良い物語でした。

 真実の口にペックが手をつっこんで手がなくなったフリをしてましたが私はそのシーンを観て「ああ、これはペックが新聞記者であることを隠していることをアン王女に暗示していたのか」とも思いました。またアン王女が真実の口に手を突っ込もうとして突っ込まなかったのもアン王女も王女の地位であることを隠していたから、だったと思っています。そう考えるとこの笑えるシーンも凄く感慨深いシーンになりますね。

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