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7月になったら日曜日以外は本格的に休止する予定なんですが・・・私っていうのはどうも甘い人間なようです。


『ロープ』(1948年・米)
ロープ
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーサー・ローレンツ、ヒューム・クローニン
原作:パトリック・ハミルトン
製作:アルフレッド・ヒッチコック、シドニー・L・バーンスタイン
音楽:レオ・F・フォーブスタイン
撮影:ジョセフ・ヴァレンタイン、ウィリアム・V・スコール
編集:ウィリアム・H・ジグラー
キャスト
ルパート・カデル:ジェームズ・スチュアート
ブランドン・ショー:ジョン・ドール
フィリップ・モーガン:ファーリー・グレンジャー
ジャネット・ウォーカー:ジョアン・チャンドラー
ケネス・ローレンス:ダグラス・ディック
アニータ・アトウォーター:コンスタンス・コリアー
ミセス・ウィルソン:イディス・エヴァンソン
デービッド・ケントレイ:ディック・ホーガン
ヘンリー・ケントレイ:セドリック・ハードウィック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品。原題は「Rope

 もともとはパトリック・ハミルトンっていう人が1929年に舞台劇『Rope's End (ロープの端)』というのを作ってそれがヒッチコックが映画化しましたね。で、その舞台劇っていうのは24年に起きた「レオポルドとロープ事件」っていう実際の事件を基にしたものですね。

 面白いのは映画の全編をワンシーンでつなげてるところですね。ヒッチコック初カラー作品ってところも貴重ですがこの映画は舞台がマンションの一室だけ。しかも一日だけで、昼→夕→夜と実際に映画の中の時間と実際の時間が同じ間隔で進んでいくっていうのも面白いですね。ただスタッフもキャストもきっと大変だっただろうなあ、と思いますよ。

 主演はジェームズ・スチュアートですね。ジミーはヒッチコック作品は初出演でのちに「裏窓」(1954年)、「知りすぎていた男」(1956年)、「めまい」(1958年)にも主演張ってますがめまいの評判が良くなくてジミーはそのあとの「北北西に進路をとれ」(1958年)で主演やりたかったのにおろされちゃって、ケーリー・グラントになっちゃいましたね。当時サスペンスは低俗なものだと思われた風潮があり、ゲイリー・クーパーとかもヒッチコックには出なかったんですが、ジミーはよくサスペンスに出てましたねえ。


【あらすじ】

 自分は優秀である、と疑わないブランドンは元舎監ルパートが優秀な人間は劣等な人間を殺すこともできる、というブラックジョークを真に受けてフィリップという友人と共に友人ケネスをロープで絞め殺し、収納箱の中にしまい、その収納箱を燭台に見立てパーティを開いた。ルパートは二人に疑念を持つ。



ロープのシーン














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり






 ニューヨーク。マンハッタンの摩天楼にあるアパートの一室。
 完璧主義者を気取るブランドン・ショー(ジョン・ドール)とそれに乗せられたピアニストのフィリップ・モーガン(ファーリー・グレンジャー)は二人の友人であるデービッド・ケントレイ(ダグラス・ディック)をリビングでロープを使って絞殺する。

 動機は単純。ブランドンが自分に完璧殺人ができる特権を持つ優秀な男で殺される側のデービッドはそれより劣る者なのだ、と証明するためだった。ブランドンは本気で自分のような優秀な人間には殺人をできるという特権を持っていると信じていた。

 ブランドンが信じている理由。それは彼が尊敬する舎監だったルパート・カデル(ジェームズ・スチュアート)が放った優秀な人間は劣等な人間を殺す特権を得ている、というブラックジョークを真に受けたからだった。そしてそれを実践できるのは自分とフィリップしかいないと思っていた。

 対してフィリップは殺したことを後悔し動揺していた。ブランドンは真昼間なのに閉まっていたカーテンを開けてからデービッドの死体を収納箱の中に隠し夜が来るまで待つ。

 ブランドンはすぐに死体を運ぶのではなく、このすぐ後に部屋で開かれる田舎に帰るフィリップの送別会パーティを無事に進行させて夜になってからブランドンの遺体を車へ運ぼうとしていたのだ。しかしそのパーティにルパートも呼ばれている、と知りフィリップはあの男は勘がいいから危険だ、と動揺する。

 ブランドンは死体を隠した収納箱の上にテーブルクロスを敷いてキャンドルを置き料理を置いて食卓にしてしまおうとした。フィリップは気が気じゃない。

 そこへ家政婦のミセス・ウィルソン(イディス・エヴァンソン)が買い物から帰ってくる。ウィルソンはなぜダイニングに食事を用意したのにわざわざ料理をリビングのチェストの上に置くのか理解できなかった。

 フィリップはウィルソンに犯行に使ったロープを見られた、と慌てふためくがブランドンは余裕をかまし、キッチンの引き出しにロープを隠す。

 その後、ブランドンとフィリップの友人ケネス・ローレンス(ダグラス・ディック)が訪れてくる。ブランドンはケネスにケネスの婚約者も招待したんだ、というがどうやらケネスは婚約者ジャネット・ウォーカー(ジョアン・チャンドラー)と婚約破棄してデービッドと付き合ってしまったらしい。ブランドンとフィリップはケネスを励ます。

 それからジャネットもやってくる。ジャネットとケネスの間には気まずい空気が。ジャネットはブランドンを責めたてるがブランドンは
「まったく。僕の次はケネス。ケネスの次はデービッドかい?金のある男に流れるんだね君は」
 と言いジャネットは愕然とする。

 そのあと、デービッドの父親であるヘンリー・ケントレイ(セドリック・ハードウィック)と本当は来るはずだった妻が寝込んでしまったために急きょ代理できたヘンリーの妹アニータ・ケントレイ(コンスタンス・コリアー)がパーティにやってくる。

 アニータは占いが趣味で、フィリップの手を見て将来、名声を掴む手だ、と言われフィリップは動揺する。参加者たちは時間に正確なデービッドが来ないことに心配していた。

 やがて最後に現在は出版関係の仕事についているルパートがやってくる。ルパートやヘンリーはブランドンが執筆した本の初版本が見たくて来ているという面もあったのだ。

 参加者たちでソファーに座り座談が始まる。フィリップはチキンが嫌いだ、ということが話題になり昔、フィリップがニワトリの首を絞め殺しそこねて食卓で生き返ったのがトラウマになったのだ、ということが話される。するとフィリップはムキになって否定する。

 そのあと、ルパートが語りだす
「しかし殺人というのは正当化されてしまうんですよ。高級レストランで待つのが嫌になれば前の客や店員を銃で殺してしまえばいい」
 と言いはじめ「殺人というのは芸術である」という冗談を言う。

 ヘンリーが理解できない、と真に受ける。「その理論ならば死んでいい人間など誰が決めるんだ」と言い、そのあとで、ブランドンがルパートの冗談を助長し「優等なものが劣等を殺せる特権を得ている」ということを力説しだしヘンリーと口論になりヘンリーを呆れさせる。

 しらけた雰囲気になり、各々が解散してからルパートはブランドンの力説とフィリップの嘘について疑念を抱いていた。

 一方、ジャネットはケネスと気まずくなりながらお互いのことを話す。実はケネスがジャネットを振ってしまい、傷心にくれたジャネットをデービッドが励まし付き合いだしたのがきっかけだった。

 しかしその会話のなかでケネスは自分がジャネットと別れたことに対して「大丈夫だよ。チャンスはあるさ」とブランドンが言っていたことを話し、ジャネットとケネスはブランドンを問い詰める。ブランドンはその問いに飄々と軽く受け流したのでさらに腹を立てた。

 ブランドンがなにかおかしいと感じたルパートはミセス・ウィルソンとの会話でブランドンとフィリップが朝からおかしかったことを知る。ウィルソンをさっさと買い物にいかせたと思えば買い物にかける時間はゆっくりめにしろ、だの言われたらしい。

 ほかにもウィルソンが本来なら食卓などの準備をするのに買い物にいかせた内に二人で準備を終わらせたこと、ダイニングの食卓に置かれた料理をリビングのチェストの上にテーブルクロスを敷き燭台と料理を乗せたことなど不審な点だらけ。

 それを見ていたフィリップはウィルソンに給仕に集中するよう命じる。明らかにウィルソンを引き離したフィリップにルパートは
「このパーティはおかしなことばかりだな。愉しんでるのはブランドンくらいしかいない」
 フィリップがニワトリを殺してない、とウソを座談のときについたことなどを問い詰めフィリップは明らかに混乱していた。

 ルパートはフィリップに
「ブランドンはデービッドの場所を知っているが話さない。君に聞くがデービッドはどこにいるんだい?」
 と問い詰めるがフィリップは答えなかった。

 やがて初版本数冊をブランドンがロープに縛ってヘンリーに渡していた。フィリップは呆然とし、それを問い詰めるルパートに
「い、いえ・・ただ、ロープの縛り方がおかしいなあと思っただけです」
 と答える。そのロープはデービッドを殺したロープで、ブランドンは凶器を被害者の父親に手渡ししている状況なのだ。

 ルパートはフィリップとブランドンに探りを入れ、何かを考え始める。やがてウィルソンがパーティの片づけをしはじめて、ヘンリーに渡さず見せるだけの本をチェストにしまおうと開けようとする。

 しかしそれをブランドンが止め、チェストにしまうのは明日きてしてくれ、と命じる。ルパートはブランドンの慌てぶりに何かを感じていた。

 やがて電話がかかってきた。応対したアニータによればどうやらデービッドの母がデービッドの行方が分からなくなったことで混乱しているようだった。ヘンリーは妻が心配になり本を持ってアニータと共に帰る。

 ジャネットもヘンリーに付き添い、ジャネットの頼みでケネスもそれに同行することになる。ブランドンは不謹慎にも
「チャンスは来たじゃないか」
 とケネスに言いジャネットとケネスは腹を立てて出て行った。

 ルパートも帰ろうとするが、ウィルソンが帽子を間違えて渡してしまう。そこにはイニシャル“DK”の文字が彫られておりルパートは動揺しながらも本物の帽子をかぶってひとまず退散する。

 ブランドンはフィリップと共に作戦成功を喜ぶがフィリップはルパートは絶対に真相を掴んだはずだ、とおびえており酒をガブガブと飲み始める。ブランドンは一緒に旅行に出よう、となだめても効果はない。ずっと片づけをしていたミセス・ウィルソンは明日片づけの続きをするために家の鍵を預かって、帰って行った。

 やがて駐車場係に電話して車を用意してもらったあと、電話がかかってくる。ルパートからで煙草入れを部屋に忘れたので取りに行きたい、とのことだった。ウソに決まってる、と断らせようとするフィリップにブランドンは5分間は耐えるんだ、と説得し拳銃をポケットに入れてからブランドンを招き入れる。

 ルパートは煙草入れを探すフリをしてから、時間稼ぎのためにブランドンから酒をもらう。ルパートは少しおびえながらジャネットが話していた、という名目で推理を語り始めた。

 ブランドンとフィリップが早くに部屋にデービッドを招き入れ、彼を気絶させてからロープで絞殺。そのあと、遺体をチェストの中に隠したのだ、と。

 それからルパートはブランドンの上着の右ポケットに拳銃が隠されていることを指摘。ブランドンはすぐに強盗用だ、とウソをついてピアノの上に拳銃を置く。

 やがてルパートは先ほどヘンリーに渡す本を縛るのに使ったロープ、ケネスを絞殺したロープを二人に見せる。犯行を悟られた、とフィリップは動揺し「全員殺して僕も死んでやる」と言いながら拳銃を振りかざしはじめる。

 ルパートは危険なフィリップから手を怪我しながらも拳銃を奪い取る。フィリップは酔いすぎただけ、というブランドンにルパートはチェストの中身を見せるよう言い、ルパートはチェストの中身を確認して驚いてしまう。

 ブランドンは殺人に崇高な考えを持つアナタなら理解してくれるはずだ、と乞いはじめる。
「あなただって言ったじゃないか。勝る者が劣る者を殺してもいい特権を持っているのだ、って。僕たちはそれを実行しただけだ」

 ルパートは自分の言葉が二人を犯罪に駆り立てたのか、と愕然としつつ
「私と君たちを一緒にするな。私には実行しないだけの理性がある。それに君たちは優者と劣者の概念を歪めただけで一人の男の将来と愛を奪う口実に過ぎない」
 とブランドンの犯罪を否定する。そして
「君たちは捕まるだろう。そして待っているのは死だろうな」
 と宣言してから窓を開けて外に拳銃を三発撃つ。

 外で銃声を聞いた人々はすぐさま警察に通報。パトカーのサイレンが近づいてくる。

 呆然とするルパート、未だに動揺するフィリップ、ブランドンは平静さを装い、酒を一杯飲み干す。マンハッタンはすでに夜になっていた。







 これはヒッチコックの考え方そのものかもしれませんねえ。しかしヒッチコックはあえて自分の考えを映画の中で最終的に否定した。天才の考えることはよくわかりません。

 この映画の登場人物はみんな縛られてばかりですね。それをロープで例えたのでしょう。

 舎監ルパートは理論づける生き方に縛られ、ブランドンはルパートの優者と劣者の考えに縛られ、フィリップはブランドンに縛られて。フィリップが本を縛るのに使ったロープを見て動揺したときに発した「縛り方がおかしい」っていうのはルパートからの教えをおかしく捉えたブランドンのことを指してたんでしょう。

 最後に二人が死ぬ、ってのは二人の未来の絞首刑のことを示してるんでしょうか?あとはこの映画がワンシーンで繋がれ切れていないのもロープそのものなんでしょう。うまいタイトル。

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黒幕の名前を映画にするのは「007 ゴールドフィンガー」(1964年)を思い出します。


『フレンチ・コネクション』(1971年・米)
フレンチ・コネクション
スタッフ
監督:ウィリアム・フリードキン
脚本:アーネスト・タイディマン
原作:ロビン・ムーア「フレンチ・コネクション」
製作:フィリップ・ダントーニ
製作総指揮:G・デイヴィッド・シャイン
音楽:ドン・エリス
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集:ジェリー・グリーンバーグ
配給:20世紀フォックス
キャスト
ジミー・ドイル“ポパイ”:ジーン・ハックマン(小池朝雄)
バディ・ラソー“クラウディ”:ロイ・シャイダー(羽佐間道夫)
ビル・マルダリック:ビル・ヒックマン
クライン:ソニー・グロッソー(村瀬正彦)
ウォルト・サイモンスン:エディ・イーガン
アンリ・デヴェロウ:フレデリック・ド・パスカル(柴田秀勝)
アンジー・ボカ:アーリーン・ファーバー
サル・ボカ:トニー・ロー・ビアンコ(山田康雄)
ピエール・ニコリ:マルセル・ボズッフィ(渡部猛)
ジョエル・ウェインストック:ハロルド・ゲイリー
アラン・シャルニエ“フレンチ・コネクション”:フェルナンド・レイ(大平透)


 ウィリアム・フリードキン監督作品「フレンチ・コネクション」。原題タイトルは「French Connection

 主演はジーン・ハックマン。そしてその相棒にロイ・シャイダー。ハックマンは「俺たちに明日はない」(1967年)で一躍有名になりましたね。その後でハックマンはキャリアを積み、この映画もハックマンの輝かしいキャリアの一つですね。一方のロイ・シャイダーは脇役が多かったんですがこの映画や同年の「コールガール」が彼を輝かせ「ジョーズ」(1975年)で主演するのを手伝ったんでしょう。

 ウィリアム・フリードキン監督といえばこの映画と、2年後の「エクソシスト」(1973年)が代表的ですね。彼は著名なハワード・ホークス監督の娘と付き合ってたんですけど、ホークスに言われたそうです。本当の面白い映画とは悪人をブチ殺す映画だそうです。

 実はこれのモデルになった事件があります。実在のニューヨーク市警察本部薬物対策課のエドワード・イーガンとサルヴァトーレ・グロッソがフランス・マルセイユから密輸されたヘロイン約40kgを押収した事件がモデルだったそうです。ちなみにこのモデルの二人の刑事はアドバイサーだったそうです。

 吹き替えなんですが羽佐間さんと小池さん。羽佐間さんはもう一言では語れない吹き替えの大御所で、小池さんはやっぱ刑事コロンボですか。やっぱりこの吹き替えは最高でした。小池さんのうまいセリフ回し。推理で語るコロンボと暴力で語るドイルの両方を違和感なくできちゃうなんてやっぱ凄いですよねえ。

 この映画のすごいところは撮り方がうまいところです。こういう技術方面を語るのは私、ちょっと苦手なところなんですが、この映画は刑事が歩いて尾行する場面だとかが日常を撮影している、まるでドキュメンタリーのような撮り方なんですよね。そんな撮り方がノンフィクションであることを引き立て、本当の日常を映しているリアリティアル撮影方法で、すごくうまいんですよね。


【あらすじ】

 ニューヨーク市警察麻薬捜査課のドイル刑事とその相棒ラソーは麻薬の出処を追っていた。そんな中でたまたま立ち寄ったナイトクラブでドイルは直感により羽振りのよさそうな実業家に目をつけ張り込みを始める。その実業家はフランスの麻薬の大物と取引をはじめる準備をしており・・・





フレンチ・コネクションのシーン
ドイル(右:ジーン・ハックマン)と相棒ラソー(左:ロイ・シャイダー)













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 フランス・マルセイユ
 マルセイユの麻薬組織として大物であるアラン・シャルニエ(フェルナンド・レイ)は“フレンチ・コネクション”として恐れられていた。

 そんなシャルニエを追っているマルセイユの刑事が一人居たが、その刑事はシャルニエの右腕である殺し屋ピエール・ニコリ(マルセル・ボズッフィ)に殺されてしまう。

 アメリカ・ニューヨーク・ブルックリン、ベッドフォード・スタイベサント地区
 ニューヨーク市警察本部麻薬捜査課ジミー・ドイル(ジーン・ハックマン)こと“ポパイ”とその相棒であるバディ・ラソー(ロイ・シャイダー)こと“クラウディ”の二人は街に蔓延る麻薬の出処を追っていた。不良を暴力で脅しこんで必死に追い続ける。二人はどんな手段を使ってでも結果をあげようとしていたのだ。

 チンピラを一人ぶちこんだ後、ドイルとラソーはクラブ歌手(スリー・ディグリーズ)の歌うナイトクラブに寄り一杯やっていた。そのナイトクラブで異常なまでに羽振りの良い男を見つけ、ドイルの提案によりその男を尾行する。男は妻アンジー(アーリーン・ファーバー)とともに小さな飲食店を経営するサル・ボカ(トニー・ロー・ビアンコ)だった。

 マルセイユ
 シャルニエはテレビの人気スターであるアンリ・デヴェロウ(フレデリック・ド・パスカル)と会う。シャルニエの計画ではデヴェロウの車に麻薬を隠してニューヨークへ渡ろうとしていたのだ。

 ニューヨーク
 ドイルとラソーはボカの陰にジョエル・ウェインストック(ハロルド・ゲイリー)という麻薬の大物がいることに気づく。また、二人は定期的にガサ入れしているバーで雇っている情報屋からニューヨークに異常なほどの麻薬が輸入されることを聞く。二人は上司ウォルト・イモンスン(エディ・イーガン)を説得し盗聴器の許可をとった本格的な捜査をしようとする。

 やがてニューヨークにアンリがやってきて、同時にリンカーン・コンチネンタルもニューヨークの地を踏む。シャルニエとニコリもニューヨークへ渡ってきた。

 捜査が始まり二人の捜査を監視する役目を担ったFBIの捜査官ビル・マルダリック(ビル・ヒックマン)をサイモンスンから紹介されるラソー。どうやらマルダリックは昔、貴重な捜査員一人をドイルとの捜査で死なせてしまったことからドイルを恨んでいた。また、ドイルもマルダリックのことを忌み嫌っていた。

 シャルニエはボカの弟ロー(ベニー・マリノ)と共に廃車および盗難車の競売で、リンカーン・コンチネンタルを買い占める。

 ボカの店の電話を盗聴していたドイルとラソー。ついにボカが異国人と落ち合う、という通話内容を掴みガッツポーズをする。

 その後、ドイル、ラソー、そしてマルダリックや同僚のクライン(ソニー・グロッソー)ら警官たちと共にボカの尾行をはじめる。ボカは大通りでシャルニエ、ニコリと接触。ドイルはシャルニエを取引相手と睨み、尾行するがシャルニエは地下鉄のホームでドイルを撒いてしまった。

 一方、ボカはウェインストックから刑事にも尾行され電話も盗聴されたのだからもう少し慎重な取引をしろ、と取引の先延ばしを命令する。ボカはシャルニエとの取引の機会を失うのでは、と内心焦っていた。

 ワシントンD.C.にて取引を開始するシャルニエとボカ。しかしボカから取引先延ばしを伝えられると、ウェインストックが慎重すぎると内心嘆いてから、執拗に尾行してきたドイルを邪険に思い、彼の抹殺をニコリに命じる。

 一方、取引を見逃してしまった、と思っていたドイルとラソー。ドイルはマルダリックと一悶着を起こし、サイモンスンから普段の勤務に戻るよう命じられる。

 悔しがりながら家に戻るドイル。しかしアパートに差し掛かったところでニコリの銃撃が飛んでくるがドイルでなく別の民間人に直撃する。

 ドイルはすぐさまニコリを追いかける。ニコリは高架線の駅に逃げ込んでから鉄道に乗り込む。鉄道に乗り損ねたドイルは車を半ば無理やり借りて、鉄道を高架線の下の車道から車で追いかける。

 ニコリは鉄道内に居た公安警官を射殺。運転室に乗り込み、駅で止まらないように命じる。

 走り続ける鉄道と荒っぽい運転で追い続けるドイル。ニコリは近づいてきた別の公安警官も撃ち殺し、極度の緊張に追い込まれていた運転手は気絶。鉄道は駅に停車していた前の鉄道と激突。ニコリは負傷する。

 命からがら駅のホームを降りたニコリは待ち構えていたドイルと遭遇。ドイルは逃げようとしたニコリを階段で撃ち殺す。

 その後、ボカが受け取ったリンカーン・コンチネンタルを怪しく思い見張っていた。夜頃、停車していたリンカーンの周りを何度も徘徊していた男たちを逮捕する。しかしそれはただのタイヤを盗もうとしたコソ泥だったようだった。

 ボカは仕方なく車を証拠品として回収する。そして車を解体して麻薬が隠されていないか調べる。とにかく解体しまくったがなかなか出てこない。だがラソーがマルセイユの出航時のときの重量が車の仕様書と違っていることに気づく。

 持ち主であるアンリは車がなかなか回収されないことを焦っていた。整備士は疲れ果て
「ロッカー・パネル以外は全部調べたけど何もないぞ」
 という言葉を聞き、ボカたちはロッカー・パネルも探す。そして麻薬が見つかった。

 ラソーは泳がすためにリンカーンをアンリに返す。アンリはシャルニエに車を渡して自分の名前に傷がつくことを恐れたアンリはこれ以上の協力を断る。

 ニューヨーク・ウォーズ島
 シャルニエはウェインストックとの麻薬取引を済ませる。大金を持ってウォーズ島を離れようとするがすでに警官が島の交通網を封鎖していた。シャルニエは車を島へ引き返す。

 取引現場である廃墟の工場へ引き返したシャルニエは倉庫へ逃げ込む。ボカは警察隊の銃撃に遭い死亡。ウェインストックらは降伏する。

 倉庫へ逃げ込んだシャルニエを追うドイルは中でラソーと合流。ドイルは倉庫の中にいた人影に向かって銃弾を撃ち込むが、それはマルダリックだった。ドイルは誤射してしまった。

 呆然とするラソー。ドイルはシャルニエを追いかけることを優先し、別の部屋へ走っていく。やがて一つの銃声が鳴り響いた。


 ウェインストック、アンリ、アンジー・ボカ、ロー・ボカらは後に微罪の判決を受けたり釈放されたりした。シャルニエは逮捕を免れてマルセイユへ逃亡。

 ドイルとラソーは麻薬課を転出となるが後に復帰した・・・




 いい娯楽映画でしたよ。やはりハックマンが電車を車で追いかけるシーンなんか豪快なアクションでしたよ。車はボッコボコになってましたが。あとはやっぱりこの映画は撮り方がうまい。ドイルがシャルニエを追いかけるシーンなんかもまさしくドキュメンタリー。私はストーリーより撮り方に魅入られたようです。映画は生活を映す、そう教えられてる気がしましたね。

 実は続編「フレンチ・コネクション2」が別の監督によって作られています。はたしてそれは観るべきか、いま考えているところですね。舞台はマルセイユだそうで、ロイ・シャイダーの相棒は出演してないんですよね。

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松本清張の書いた原作より松本清張作品っぽくなっていると思います。


『黒の奔流』(1972年・日)
黒の奔流
スタッフ
監督:渡辺祐介
脚本:国弘威雄、渡辺祐介
原作:松本清張「種族同盟」
製作:猪股尭
音楽:渡辺宙明
撮影:小杉正雄
編集:寺田昭光
配給:松竹
キャスト
矢野武:山崎努
岡橋由基子:谷口香
若宮朋子:松坂慶子
若宮正道:松村達雄
楠田誠次:中村俊一
三木弁護士:玉川伊佐男
北川大造:中村伸郎
太田美代子:岡本茉莉
杉山とくの娘:金子亜子
杉山とく:菅井きん
倉石検事:佐藤慶
松本裁判長:河村憲一郎
阿部達彦:穂積隆信
貝塚藤江:岡田茉莉子


 渡辺祐介監督作品「黒の奔流」

 松本清張作品ですね。清張の作品って男女関係の堕落とかちょっといやらしいところがある作品多いんですがこの原作の短編はそうでもなかったようです。それをもうちょっと男女関係をいやらしく描いた映画に改変されましたね。清張っぽい風味でいいと思います。

 ただこの映画を観た人には「映画じゃなくて2時間ドラマでやれよ」みたいな意見がちらほら見えますね。確かに内容的にいえば土曜ワイド劇場とか、火曜サスペンスにピッタリの内容でしょうね。

 さて渡辺祐介監督というのは映画「少女妻 恐るべき十六才」(1960年)で映画監督デビューしていますね。それまでは脚本とか助監督をしていました。後に必殺人シリーズのドラマ監督をいくつかやったり喜劇映画の監督をしたりしています。

 さすが松本清張作品だけあって設定とかが細かい。とにかく清張さんは綿密な調査の末に、その調査を生かした社会の実情を作品に反映させるのがなかなかにうまい人ですからねえ。

 さて今回、男女の淫らな関係が描かれる、ということで岡田茉莉子と谷口香の裸体と乳首が見れました。谷口香は化粧台で化粧をしているシーンの背中がとっても綺麗ですねえ。岡田茉莉子は大人の女のフェロモンムンムンに出てるので彼女の情事のシーンもなかなかにムンムンとしてました。


【あらすじ】

 弁護士・矢野武は小さな事務所を経営しながら恩師・若宮正道の娘・朋子と結婚し弁護士としての名誉を高めようとしていた。ある日、恩師・正造が誰にやらせるか困っていた絶対不利の殺人事件があると知り、その事件の弁護を引き受ける。被告人・貝塚藤江を矢野は救えるのだろうか・・・













【以下全文ネタバレ注意】


 青年弁護士・矢野武(山崎努)はガードレール下の電車が来るとガタゴト揺れる小さな事務所を構え、助手の岡橋由基子(谷口香)、辞めたがっているお茶くみの太田美代子(岡本茉莉)と経営していた。

 ある日、久しぶりに客が舞い込んだと思ったら金品をとられていない結婚詐欺の話。被害者(金子亜子)の母とく(菅井きん)によれば心を弄ばれたとのこと。矢野は
「騙された娘さんの異性を選ぶ目を養わせることですな」
 と言って早々に追い返してしまう。

 夜、矢野は岡橋と淫らな夜を過ごした。矢野は岡橋から国選弁護の依頼状を受け取り、どうせロクな事件はないと思いながらも小遣い稼ぎのために東都弁護士会に顔を出すことにする。

 翌朝、入り口で同僚弁護士と会ったときに仕事は忙しいかと聞かれ
「暇なんですよ。せめて国選でもやって稼がないとね」
 と笑いあう。

 先輩弁護士・楠田誠次(中村俊一)から恩師・恩田正道(松村達雄)がいると聞かされ正道に挨拶する。矢野は正造の娘・朋子(松坂慶子)を伴侶にしようと狙っており正造になんとか取り入られようとしていたのだ。

 正道は三木弁護士(玉川伊佐男)とどうやら被告人の絶対不利な国選弁護の仕事を誰にやらせようか相談していた。矢野はその事件の概要を朋子から見せてもらい引き受けることを決める。

 多摩川渓谷の崖から阿部コンツェルンの次期社長・阿部達彦(穂積隆信)が川に突き落とされ、死亡。その男と顔馴染みだった旅館の美人女中・貝塚藤江(岡本茉莉子)が逮捕されたのだ。

 事件の日、貝塚藤江は春秋荘という自分が働く旅館からすぐ手前の工事している道路を歩き駅前の交差点の雑貨屋にフィルムを買いに向かった。待ってる間、5時35分に駅に電車が到着し40分ごろ藤江が領収書をもらう。その後、顔馴染みの阿部と再会し5分間ほど立ち話。

 そのあと、阿部に観光名所の崖まで案内してほしい、と頼まれ25分ほど歩いて6時5分に吊り橋のところにたどり着き、その後は山の中の地図を阿部は手帳に書き、わたっていた。藤江は橋を渡らずに橋の下で30分ほどたたずんでから宿へ帰ったと証言する。それは6時55分だとされている。

 しかし倉石検事(佐藤慶)は被告人が橋を渡って崖にたどり着いたのが6時5分ごろ藤江がそのまま山に入り、10分ほど山の中を歩いて6時15分ほどに崖のところに着き13分の時間を要して阿部を誘惑し性交渉に至ってから彼が金を持っていると知り強奪し、阿部を崖から突き落とした。それが6時15分から28分の間。それから急いで宿に帰り、約20分~30分ほど走って55分ごろ到着したと考えていた。

 それに藤江は阿部の万年筆を持っていた。藤江は阿部に吊り橋の前で阿部が山の中の地図を書くときに落とした万年筆を拾った、といっていたが倉石検事はこれこそが阿部を殺した証拠物件だと主張する。

 ただでさえ不利な状況を、矢野は雨の日でしかも着物を着ていた藤江には時間的に犯行は不可能だ、という点から攻めていく。

 しかし倉石検事は新しい証人を呼んでいた。それは阿部と藤江が一緒に吊り橋を渡ったところを目撃した、という証言だった。

 さらに不利になってしまい、矢野は藤江を責める。藤江は疑われたくない一心でそのことを必死に隠していたらしい。絶体絶命のところで、岡橋が新しい証人を見つけてきた。

 その証人は犯行時間を証明してくれた。6時50分ごろに被害者と思われる悲鳴が轟いていた、とのことだった。藤江が旅館に戻ったのは55分。春秋荘から崖まで歩けばどう考えても最低では20分ほどかかるので藤江が犯行を行って帰ったとすれば等速にすれば崖から春秋荘までの距離2000メートルを100メートルにつき15秒の速さで帰らなければならない。しかも事件当時は草履で和服。完全に不可能な犯行だった。

 また、検察が藤江と事件当日性交渉に至ったとされる証拠の阿部のパンツに精液がついていたことだが、事件前夜に阿部は別の女を抱いていたようだった。

 その後、松本裁判長(河村憲一郎)は貝塚藤江に無罪判決を下す。藤江は涙する。

 藤江、矢野、由基子、太田美代子の四人は居酒屋で乾杯する。由基子をよく耐えたと褒め称えた矢野。由基子はさすがに春秋荘が嫌になり、矢野は辞める美代子の代わりに事務所で勤めてほしいと誘う。

 居酒屋からの帰り道、矢野は新しいアパートの世話もした。由基子は払う金がないので身体で払わせてほしい、と申し訳なさそうに言うが矢野はとりあえずそれを断るのだった。

 それから、矢野は逆転無罪を勝ち取った弁護士として有名になった。藤江は事務所で働きはじめ楠田は矢野に「これなら恩田先生の娘さんをモノにできるかもしれんぜ」と始める。

 矢野は恩田正道に呼ばれ家でごちそうになる。その家で正造の娘・朋子が脈ありな反応を矢野に示していた。また正道の旧友の日東銀行の北川大造(中村伸郎)が矢野を気に入ったとも言っていた。矢野はまさしく順調だった。

 その後、矢野は藤江のアパートに寄る。藤江は未だに矢野のことを感謝し尊敬しており、抱いてほしいという思いは変わらないことを矢野は聞くと、矢野は
「昨晩は弁護人と被告人の関係が拭いきれなかった。しかし、今は違う。一人の男と女だ」
 そういって矢野は藤江を抱いてしまうのだった。

 その後、矢野と藤江の周りにバレないようなみだらな関係が続いてしまう。藤江は
「関係が続くならば日陰の女でもかまわない」
 と言い由基子は大胆すぎないか、と矢野に注意を促す。

 そのあとで由基子は藤江に自分は前に矢野と関係を持っていたこと、そして矢野が恩田朋子と婚約寸前であることを打ち明ける。その頃、矢野は朋子とキスをしていた。

 矢野が帰宅したとき、家の前に藤江がいた。矢野は朋子を家に入れる。藤江は矢野を問い詰めるが矢野は
「お前が陰の女でもいい、というから抱いていたんだぞ。俺がどうしようと俺の自由じゃないか」
 と悪びれもしなかった。藤江は今までの矢野と全く違う冷たい矢野に悲しくなり家を出ていく。

 翌日、矢野は、朋子、正造、そして矢野を気に入った北川大造と会食をする。しかしなんと近くで変装した藤江が監視していたのだ。さらに恩田家の電話に藤江が電話してきたりもしたのだ。

 矢野は藤江のアパートに駆け込み問い詰める。藤江は陰の女でいい、ということを撤回し矢野と結婚したいと話す。冗談じゃない、という矢野に藤江は妊娠したことを打ち明ける。それでも
「貴様は気が狂ったのか!陰の女でもいいというから高学歴な俺が、無学なお前を抱いてやったんだぞ!それを今更なんだというのだ!俺は朋子と結婚するんだ。お前ごときが俺と釣り合うわけがないだろう!」
 そう突き放そうとする矢野には自分が阿部達彦を殺した犯人であるという真実を裁判所に訴える。と脅しはじめた。

 動揺するものの嘘だ、という矢野に事細かに説明する。藤江は山を下りてすぐに外国人の車を拾って春秋荘に送ってもらったのだ。外人だから工事中という立て看板が読めなかったらしい。藤江はそれを証拠とする阿部の手帳を所持しており、矢野に見せてついに矢野は呆然とする。

 それでも矢野は一時不再理があるから意味がない、というが藤江は矢野と共犯して事件を隠ぺいした、と証言すると脅す。間違いなく矢野の地位はどん底まで落ちるだろう。矢野は逃げるように去って行った。

 翌朝、矢野は藤江を尾行。藤江はなんと恩田正造に訴えにいこうとしていたのだ。たまたま正造がいなかったが矢野は藤江に恐怖を抱く。

 夜。事務所で由基子に相談する。すると由基子は大金を交換条件に案を出す。藤江と和解の旅行に出て、旅行先の湖でボートを事故で沈ませ泳げない彼女を溺死させればいい、と話す。

 矢野は藤江を和解しお前と結婚する、と騙して旅行に誘う。藤江は喜ぶのだった。

 旅行一日目の夜。矢野は考え事をしていた。藤江はその目を見つめ何かを感じる。

 二日目。釣りをしよう、とボートを借りて乗り込む矢野と藤江。ボートは湖の真ん中まで行き、やがて霧が発生する。

 藤江は
「昨日の夜、わかったわ。あなたは私を殺そうとしている」
 それに対し矢野は開き直ったようにボートの中に水を入り込ませてから
「だったらどうするんだ。お前は泳げなくて死んでしまうが俺は生き延びてお前を必死に助けようとしたと証言するぞ」
 という。

 藤江は近づき、矢野を果物ナイフで刺した。矢野は驚くとともに倒れていく。藤江は
「あなたは誰にも渡さないわ。一緒に死にましょう」
 とわんわん泣きながら腹から血が噴き出す矢野の体に抱きついていた。やがてボートは二人を湖の底へ沈めていった。

 藤江は旅館に置手紙をしていた。それは自分の罪の告白。正造、三木弁護士、楠田らがそれを読み楠田は
「ばかなやつだなあ。あんな女に人生を棒に振るなんて」
 由基子は三人に対し
「二人が私に言わずに旅行に行ってしまいました。こんなことになるなんて知ってたら止めましたわ!」
 と言って泣き始める。

 その近くである若い弁護士が先輩弁護士に仕事は忙しいか?と聞かれていた。若い弁護士は
「暇なんですよ。せめて国選でもやって細かく稼がないと。」
 そう答えるのだった・・・







 冒頭の結婚詐欺の話。これは山崎努に対しては女に気をつけろ、という警告と岡田茉莉子には男に気をつけろ、という警告の意味があったんですね。つまり視聴者の両性別の人にたいして、異性の相手に気をつけろよ、という警告を促しているんです。皆さんも相手は冷静に選びましょう。

 私は山崎努の役の下種さと、岡田茉莉子から女性の怖さを感じましたね。両性別の醜い部分を曝け出した映画だったと思いますよ。

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岡田茉莉子、山崎努 他

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松本 清張

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Category: 邦画カ行
日曜日に観た休止の例外の映画。


『アラバマ物語』(1962年・米)
アラバマ物語
スタッフ
監督:ロバート・マリガン
脚本:ホートン・フート
原作:ハーパー・リー「アラバマ物語」
製作:アラン・J・パクラ
音楽:エルマー・バーンスタイン
撮影:ラッセル・ハーラン
編集:アーロン・ステル
配給:ユニバーサル映画
キャスト
アティカス・フィンチ:グレゴリー・ペック(田中秀幸)
スカウト・フィンチ:メアリー・バダム(嶋村侑)
ジェム・フィンチ:フィリップ・アルフォード(田村睦心)
ディル・ハリス:ジョン・メグナ(川島悠美)
アーサー・ラドリー“ブー”:ロバート・デュヴァル
ヘック・テイト保安官:フランク・オーヴァートン(水野龍司)
モーディ・アトキンソン:ローズマリー・マーフィー(日野由利加)
トム・ロビンソン:ブロック・ピーターズ
ヘレン・ロビンソン:キム・ハミルトン
スペンス・ロビンソン:ジェスター・ヘアストン
ラドリー家主人:リチャード・ハレ
ステファニー・クロフォード叔母さん:アリス・ゴーストリー
テイラー判事:ポール・フィックス
サイクス牧師:ビル・ウォーカー
ギルマー検事:ウィリアム・ウィンダム
カルパーニャ:エステル・エヴァンス
ウォルターの息子:スティーヴン・チャールズ
ウォルター・カニンガム:クレハン・デントン
デュボース夫人:ルース・ホワイト
メイエラ・ユーエル:コリン・ウィルコックス
ボブ・ユーエル:ジェームス・アンダーソン

ジーン・ルーイズ:キム・スタンリー

 ロバート・マリガン監督作品「アラバマ物語」。原題タイトルは「To Kill a Mockingbird

 主演はグレゴリー・ペック。彼は見事にアメリカ合衆国の理想となる父親の姿を好演しました。それは原作者のハーパー・リーがモデルとなった父が映画の撮影中に死んで、ペックに会い感動し彼に父の形見である腕時計をプレゼントしたほどでした。このペックの父親像はアメリカだけでなく多くの国で父親、そしてアメリカンコミックのスーパーマンやバットマンとは違ったヒーローとなりえる存在でしょう。

 ロバート・マリガン監督は「サスペンス劇場」(1950-1954)というTV映画シリーズで監督デビューしました。やはりマリガン監督の一番の出来は、このアラバマ物語だったでしょう。

 背景を説明しましょう。この物語のモデルとなったのはスコッツボロ事件だそうです。1931年にアラバマ州でアフリカ系アメリカ人こと黒人9人が白人の女性をレイプした容疑で裁判にかけられ、その裁判では陪審員が全員白人でした。一番若い黒人以外は全員が死刑判決になったそうです。その後のこの事件の見解では被害者の白人の女性が、黒人相手に売春してしまったというタブーを犯してしまったことを隠ぺいするため、だったと今では考えられているそうです。

 この映画が製作された当時も公民権運動が盛んでした。公民権運動というのは黒人が差別解消を求めた運動でして、白人のチャールトン・ヘストンやマーロン・ブランドも参加していました。物語は古いものですが、かなり時事ネタに近い映画だったそうです。

 ちなみに原題を直訳すると「マネシツグミを殺すこと」です。マネシツグミというのはアメリカの方の鳥で、とっても美しい声で鳴いてくれる人畜無害な鳥なんですね。だから本来、殺されるハズのない鳥なんですよね。この映画ではそんなマネシツグミちゃんがどのように関わってくるのでしょうね。


【あらすじ】

 弁護士のアティカス・フィンチは息子一人、娘一人と貧乏な生活を送りつつアラバマ州の住宅街で暮らしていた。子供たちの興味は隣家に住む怪物と呼ばれ恐れられる男、一方のアティカスはレイプした容疑で裁判にかけられた黒人の弁護を担当することになった。そして裁判のとき、陪審員は全員白人の中、アティカスは・・・




アラバマ物語のシーン














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 この物語の語り手はスカウト・フィンチ(メアリー・バダム)。後にジーン・ルーイズ(キム・スタンリー)となる女性の回想なのだ。


 1932年の夏のアラバマ州メイコムの住宅街。

 弁護士アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)はウォルター・カニンガム(クレハン・デントン)から農作物を貰っていた。アティカスの娘スカウト(メアリー・バダム)はアティカスにカニンガムが農作物を持ってくる理由をたずねる。アティカスは時代が世界恐慌ゆえに、仕事の報酬が金でなく、農作物であると答えるのだった。

 息子ジェム(フィリップ・アルフォード)はアティカスが歳だから、と言って球技に参加してくれないことを拗ねていた。

 アティカスは妻に先立たれ、娘と息子の三人で決して豊かとはいえない暮らしを送っていた。それもこれもアティカスの人が良すぎて、彼は無償で貧しい人を助ける善人の弁護士だったからだ。

 ジェムとスカウトは近くに夏休みで遊びに来ていたディル・ハリス(ジョン・メグナ)と仲良くなる。彼はお金持ちのお坊ちゃんで、ジェムとスカウトは隣家のラドリー(リチャード・ハレ)の息子アーサー(ロバート・デュヴァル)こと〝ブー〟と呼ばれ恐れられる男は人を襲ったりと怪物のような行いをしてきた、と教える。

 しかしそんな風に好奇心を抱くジェムとスカウトに対しうるさく言われるのはきっといやだろう。そっとしておくのが一番だ、とアティカスは常々言っていた。

 なかなか信じないディルに叔母のステファニー・クロフォード(アリス・ゴーストリー)はすべてが事実だから、ラドリー家に近づくなと話す。

 夕方5時になりジェムとスカウトはディルを連れてアティカスを迎えに行く。家を通るとき、小うるさいデュボード夫人(ルース・ホワイト)がジェムに絡んでくるが、アティカスがデュボード夫人にお世辞を言ってはぐらかす。ジェムとスカウトはアティカスと帰宅し、ディルも叔母の家に帰って行った。

 夜。スカウトはアティカスから本の文字を書く練習をさせられていた。練習を終えて寝よう、というときにスカウトはジェムがアティカスからいずれ貰える懐中時計のことを羨ましがる。アティカスは母の形見をスカウトにいつか与える、と話す。

 その後、ベッドルームでスカウトはジェムに母親のことを聞いていた。その会話を外のポーチでアティカスは聞いていた。

 やがてアティカスのもとにテイラー判事(ポール・フィックス)がやってくる。テイラー判事は町の白人娘をレイプした黒人の男の弁護を頼みたい、と依頼されアティカスはそれを引き受ける。

 ディルはジェムにブーの家にこわくて入れないの?と挑発しはじめる。ジェムはそれを無視してスカウトを乗せてタイヤ転がしを始める。しかしそのタイヤはラドリー家の門の前に転がって行ってしまった。

 ジェムはすぐにスカウトを回収してから、ディルに見得を張るために玄関前まで突入し、それからスカウトを拾って退散した。

 その後、ディルはジェムとスカウトの父アティカスの職業に興味を持ち成り行きで裁判所に行くことになる。裁判所の近くでチェスをしていた老人(ジェイミー・フォースター)からアティカスが裁判所にまだいると聞き、ディルは興味津々で裁判所の中に入ってしまう。

 裁判所ではアティカスが黒人の被告人トム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)の事情聴取に立ち会っていた。聴取が終わった後、アティカスは裁判所で見つけたジェムたちを家に帰す。それからレイプを受けた被害者の女性メイエラ・ユーエル(コリン・ウィルコックス)の父親であるボブ(ジェームス・アンダーソン)に呼び止められる。

 ボブは「黒ンチョ〈黒人のこと〉の弁護を引き受けるって本気かい?」と人種差別丸出しの発言でアティカスを責め立てるがアティカスは任務を遂行するのみ、と相手にしなかった。

 好奇心旺盛な子供たちのジェム、スカウト、ディルの三人は夜こっそり家を抜け出し敷地に入ってラドリー家の地下室を覗こうとする。

 しかしその直後、巨大な黒い影が。ディルたちはビックリして逃げ出すが、逃げる途中で金網の穴にズボンが引っかかってジェムはそのズボンを脱いできてしまい慌てて取りに行く。ディルは来年の夏にまた会おう、と約束して家に戻って行った。

 スカウトは家のすぐ近くでジェムに待たされる。すると銃声がラドリー家の敷地から聞こえ、その直後にジェムが帰ってきた。

 どうやらラドリー家の主人が敷地に不審者がいると思って発砲したらしい。それにより町は一時期パニックになる。


 やがて夏休みも終わり、スカウトは学校に入ることとなり普段の格好とは似ても似つかないワンピースを着ていた。向かいの家に住むフィンチ家の理解者モーディ・アトキンソン(ローズマリー・マーフィー)は似合っている、と褒めたのだが、ジェムがスカウトを見て大笑いしスカウトは嫌になってしまう。

 学校に入って初日で、スカウトはカニンガムの息子(スティーヴン・チャールズ)と喧嘩になる。原因はどうやら家が貧乏なことがかかわっているらしい。

 ジェムはスカウトを止めてから相手の子に夕食に来ないか、と誘う。

 夕食でカニンガムの息子は今まで食べたことのないような食べ物をガツガツと食べる。どうやらカニンガムの息子も銃を撃てるらしい。そのことに憧れるジェムに対しスカウトは注意する。

「だが、人間にとって無害なマネシツグミのような美しい歌声で鳴く鳥は殺してはいけない。その鳥を殺すことは罪なのだよ」と注意した。

 その後、カニンガムの息子がシロップをドバドバかけるのを見て批難する。家政婦として雇われているカルパーニャ(エステル・エヴァンス)はスカウトをキッチンに連れて行き説教をする。

 スカウトはポーチに出て揺れ椅子に乗り、アティカスに喧嘩したり給食費のことで学校が嫌になったと話す。アティカスはそんなスカウトに妥協、という言葉の意味を教えるのだった。
「お互いが話し合いなどで譲歩することで得られる合意を言うのだ。たとえば、学校に行く必要性を認めるなら、私たちは毎晩いっしょに本を読んでも良いとお父さんは思っているのだよ」


 秋になったある日の昼。狂犬が現れ町をおびやかした。カルパーニャはジェムとスカウトを家に入れてからアティカスを呼ぶ。

 車でヘック・テイト保安官(フランク・オーヴァートン)と共に戻ってきたアティカス。ヘック保安官はアティカスに代わりに銃で仕留めてほしい、と頼む。ジェムはアティカスは歳だから危険だ、と言うがアティカスは見事に狂犬をライフルで一発で仕留めてしまったのだ。アティカスは射撃の名手だった。

 その晩、アティカスは子供たちにせがまれ、子供を連れてロビンソン家に向かう。妻のヘレン(キム・ハミルトン)と会話をしていた時、車で待っていたジェムとスカウトをどこからか現れたボブが睨み付ける。

 酔っ払いながら絡んでくるボブにアティカスは車に乗ってさっさと退散する。

 帰ってきてからアティカスは留守をジェムに任せ、カルパーニャを車で送って行く。その後、嫌な音を聞いたジェムはアティカスを呼びに行こうとするが、途中でラドリー家の前の木の穴にメダルが入っていることに気付き持って帰る。


 冬のある日、学校でスカウトがセシル・ジェイコブス(キム・ヘクター)と喧嘩をしてしまった。再びやさぐれるスカウトにアティカスが話しかける。どうやら喧嘩の理由はアティカスが黒人の弁護を引き受けたことをネタに馬鹿にされたかららしい。

 しかしアティカスはスカウトにどんなことがあっても喧嘩はしてはいけない、と諭す。スカウトはアティカスになぜ黒人の弁護をするのか、訪ねるとアティカスは答えた。
「私が今回、弁護したのがたまたま黒人の男性というだけでそれ以外は何ら変わらない。それにもしこの事件を引き受けなかったら私は今後、公正であり続けることができないのだ」
 アティカスは答えてからスカウトにもう今後は喧嘩をしないと約束させる。

 ある日、ジェムとスカウトはラドリー家の木の穴に今度は二人に似た兄妹の手作りの人形が入っていることに気付くがラドリー家のお父さんがその穴を埋めてしまう。

 その日の夜、ジェムはスカウトに秘密の箱を見せる。箱には今までで何回か木の穴に入っていたメダル、懐中時計、ナイフなどなどが入っていた。

 ジェムはそれに関連付けて、ラドリー家に忍び込んだ夜のことを話す。ズボンを取りに戻ったジェムはなんと自分のズボンが誰かの手によって畳まれて置かれていたことに驚いていたのだ。


 再び夏が訪れた。ディルが帰ってきて早々、いきなり父親の自慢話をしはじめる。その一方で、トム・ロビンソンが裁判のために他の町からこちらの町に身柄が移されてきたのだ。

 その日の夜、ディルも泊まっていた時、保安官代理がやってきてアティカスにトム・ロビンソンを保安官事務所に拘留しているのだが、どうも町の農民がトムに何かしでかしそうらしい。保安官たちは視察に向かうので、アティカスに事務所の前で門番をしてほしい、と頼んでくる。

 ジェムはスカウト、ディルと共にアティカスの後を追う。アティカスは保安官事務所の前でトム・ロビンソンを見張っていたがそこに農民たちの車が一斉にやってくる。どうやら保安官の目をかいくぐってきたらしい。

 代表者のウォルター・カニンガムが10人ほどの農民を引き連れライフル銃などを持ちどくようにアティカスに言うがアティカスはどかない。

 見ていられなくなったジェムはスカウト、ディルと共にアティカスの下に駆け寄る。アティカスはこの場から立ち去るようジェムに言うがジェムは納得しなかったので退散しなかった。

 やがてスカウトがカニンガムを見つけて話しかける。気まずさから無視していたカニンガムだがそうとも知らずにスカウトはカニンガムさんの男の子と友達になったんだ、とかカニンガムさんがくれた作物をあまり出来がよくなかったと正直に言ってしまったことを悪くとらないでほしい、と純粋に話しかける。

 カニンガムは「いや、いいんだよ。息子と仲良くしてくれてありがとうスカウト」と言い農民たちと共に引き上げていった。アティカスに言われジェムたちも安心して家に帰ってから、スカウトはトムに農民たちがもう去って行ったことを知らせる。


 翌朝、ついに裁判が開廷しジェム、スカウト、ディルは気になって裁判所に行く。そしてサイクス牧師(ビル・ウォーカー)を見つけ牧師と一緒に黒人が大勢座っている2階席で傍聴する。

 まずテイラー判事が開廷を宣言。最初の証人は保安官代理で、検察側のギルマー検事(ウィリアム・ウィンダム)はボブ・ユーエルがトム・ロビンソンに娘をレイプされた、と通報してきたと証言。一方のアティカスは保安官代理から被害者メイエラの〝右目〟にアザがあったことを確認する。

 次の証人はボブだった。アティカスはなぜ保安官事務所に走ったのに医者には走らなかったのか、という疑問を追及してからボブに名前の文字の読み書きをさせて、ボブが左利きであることを確認する。

 次の証人は被害者メイエラ本人。メイエラは家具を壊してほしい、とトムに頼んで家に招くとトムは首をしめて殴ってきた。その後、ボブが帰ってきてトムは逃げ、ボブは誰がやったのか、と怒鳴ったと嗚咽しながら証言する。

 アティカスはメイエラに父は酒を飲むと殴ってくる、ということを聞きメイエラは答えない。アティカスはその後、コップをトムに投げてトムは右手でキャッチする。その後、左手で同様のことをしてもらおうとするが、トムは左手は昔大けがをして以来、使えない状態にあることを話す。

 アティカスは冷静にメイエラを問い詰めるがメイエラは興奮しわめき散らす。
「できるとかできないとかどうでもいいのよ!間違いなくそこの黒人がやったのよ!お前たち見てるやつら何やってんのさ!理屈ばっか並べてなに紳士気取ってんのさ!そんなのドブにでも捨てりゃいいじゃない!」
 と言って取り乱し傍聴席に戻される。

 最後の証人はトム・ロビンソン。トムによれば、何度もメイエラにこれまで家に招かれ家具を壊してあげたりしていたらしく、それは無償で全て弟の世話で大変なメイエラへの同情からによるものだった。

 しかし事件の日8月21日。メイエラはドアの修理を頼んでトムを部屋に招く。そのあと、部屋のドアの鍵を閉めてトムに襲い掛かり誘惑してきたのだ。トムはメイエラに無理矢理、接吻をされ慌てて逃げ出した。もちろん殴ったりもしなかったが、逃げ際にボブがメイエラに「殺してやるぞ!」と言っていたことを聞いていた。

 一方、ギルマー検事はトムは片手で家具を壊せる力があるのだから殴ってレイプする力は十分にあった、と状況証拠のみを立証せざるを得なかった。

 最終弁論でアティカスは語り始める。
「この裁判はそもそも裁判に値しない。メイエラは右目にアザがあるので明らかに左利きの人間に殴られているが、トムは右利き。明らかにトムの犯罪を立証できるものではない。
 彼女はマトモな貧困と教育を受けていないので無知の犠牲者であることは同情に値する。
 だが一人の命がかかわってくると話は別。メイエラは黒人を誘惑してしまう、という“罪”を犯してしまった。あえて罪という言葉を使う。
 彼女は罪を犯したあとで事の重大さを認識しその罪をトムを犯罪者に仕立て上げることで隠蔽しようとした。
 そもそもこの裁判の場は黒人は嘘つき、不道徳、女を誘惑する、乱暴という偏見で基づかれている。私だって理想主義者ではない。真に公平な裁判など不可能である、と分かっている。
 しかしそれでもトムの命がかかっているこの裁判では、神の名にかけて陪審員の皆様には公平な判決をお願いしたい」

 2時間にも及ぶ陪審員たちの会議のあと、ついに陪審員から判決が発表される。検察の求刑通りトムの有罪だった。トムはうなだれてしまう。テイラー判事は裁判を終結してから不機嫌そうに退席していった。

 アティカスは連行されていくトムに諦めてはいけない、控訴して共に戦えばきっと無罪を勝ち取れると励ますがトムは無言で去っていた。

 一階席の白人たちは興味無さそうに退室していくが二階席で傍聴していた黒人たちはアティカスに敬意を表して立ち上がる。牧師はスカウトにも立ち上がるように言い
「お立ちなさいスカウト。あなたの素晴らしいお父様が退廷される」

 その後、家に帰ったアティカスはテイト保安官から、トムが移送中に無我夢中で逃げ出し保安官の一人が狙いを誤ってトムを銃殺してしまったことを話す。

 アティカスはジェム、スカウトを車に待たせてトムの父スペンス(ジェスター・ヘアストン)やヘレンにトムの死を伝える。そこに現れたボブ・ユーエルがアティカスを呼び、ボブはアティカスの顔にツバを吐きかけ侮辱する。

 それに対しアティカスは感情を抑えてハンカチで顔を拭いてから何も言わず何もせずに車に乗って去って行った。ボブは去って行く車をいつまでもにらんでいた。


 時は経ち秋のハロウィンの夜。

 ジェムとスカウトが森を通っていた時、二人は何者かに襲われる。ジェムは腕を物凄い力で掴まれ、逃げ出すがスカウトが逃げ遅れてしまう。

 スカウトは目をつぶるが、その時、暴漢から二人を守るように暴漢にナイフを突き刺す影が。スカウトは訳も分からず逃げ出す。

 その後、スカウトは家に帰ると医者がジェムの腕がひどい状態であることを伝える。暴漢はまるでジェムの腕をひきちぎるぐらいの力を出していたのだ。テイト保安官が現場を見てくると、ナイフが刺さった二人を襲った暴漢ことボブ・ユーエルの遺体が発見された。

 アティカスとテイト保安官はジェムの部屋から退室する。その部屋のドアの陰に〝ブー〟が隠れていた。スカウトはすぐにそれが〝ブー〟だと分かり、眠っているジェムの頬を撫でてあげて、と言いブーは恐る恐るジェムの頬を撫でる。

 その後、スカウトは〝ブー〟と手を取りポーチに出る。アティカスは動揺しているようでジェムが刺した、と勘違いしていた。テイト保安官はナイフで刺したのはジェムではなく〝ブー〟ことアーサー・ラドリーだ、と話す。

 ブーはジェムとスカウトにとても優しく、木の穴に贈り物を入れていたのだ。ジェムが逃げたあと、ズボンを畳んであげたのもブーだった。

 テイト保安官は常に公平なスカウトに対し
「ボブは自分でナイフを脇腹に刺して死んだんだ。アナタはきっと真実を公表するべきだろう、と言うだろう。確かにブーはジェムとスカウトを救ったヒーローとして罪に問われず、町で称賛されるだろう。でもブーはきっと静かに暮らすことを望んでいる。アナタはそんなブーを人前にさらすのか?私にはできない。黒人を死に追いやった張本人が自分で勝手に死んだ。ブーをさらす方がそれこそ罪だ」
 と言い去って行く。アティカスはそれでも悩んでいたが、スカウトも保安官のセリフに賛成し
「人畜無害なマネシツグミを殺すことは罪なんでしょ?」
 とアティカスに言う。アティカスはブーに感謝の意を示す。

 この出来事はスカウトの胸に想い出として刻まれることになる。ブーはジェムとスカウトにメダル、人形などを与え、そして命を与えてくれたのだ。スカウトはブーと手をつなぎながらラドリー家まで歩いていく・・・







 アティカスやっぱり恰好いいですよね。彼は妥協というものを知りながらも納得できないことは譲らない。彼は黒人に対する根付いた人種差別を追及する場面で、ためらいもせず白人に呼びかける。それってすごい勇気いることなんですよね。こんな安っぽい言葉を使いたくはないのですが本当に見習うべき人間であり、法律家、父親、そして人間の鑑なのではないでしょうか。

 黒人、ブーがこの映画の中の差別の対象であり、それはいかんことなのだ、とアティカスという人間像を立派に描くことで視聴者に共感させているんですね。

 そして最後はスカウトとブーの接触ですよね。これはスカウトが人から聞いたことでしかないから、ブーの恐ろしさっていうのが実際に会うと全然違う人だったんですよね。そういうことってよくありません?

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※小説
アラバマ物語アラバマ物語
(1984/05)
ハーパー・リー、菊池 重三郎 他

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Category: 洋画ア行
申し訳ありません。

私、現在受験生ですのでこれから進路に本気に取り組むため、しばらく当ブログは休止、映画もしばらくは封印することを決めました。

ご理解いただければ幸いです。


なお復帰予定は一旦は夏休みごろ、本格的な復帰は来年の春ごろを予定しております。

また、日曜日見た映画は例外的に書くかもしれません。

もし事情が変わった場合はもっと早く復帰すると思いますが、その時はまた連絡いたします。

当ブログを観てくださっていた方、またこれから観るつもりの方には深くお詫びいたします。

復帰後も変わらぬ応援をしてくださると嬉しく思います。それでは皆様お元気で。


チャカチャカりきりきの映画(ときどき違うのもあり)日記
管理人:チャカチャカりきりき
Category: 連絡など
仮面ライダー頑張ってます。


『ゴーゴー仮面ライダー』(1971年・日)
ゴーゴー仮面ライダー
スタッフ
監督:北村秀敏
原作:石森章太郎
脚本:伊上勝
撮影:篠原征夫、川崎竜治
編集:菅野順吉
音楽:菊池俊輔
キャスト
本郷猛:藤岡弘、
滝和也:千葉治郎
緑川ルリ子:真樹千恵子
野原ひろみ:島田陽子
野本健:堀田真三
再生人間コウモリ:市川治
再生サソリ男:水島晋
再生カメレオン男:中村文弥
再生蜘蛛男:水島晋
再生セラサニア人間:水島晋
再生かまきり男:水島晋
再生蜂女:市川治
再生改造コブラ男:市川治
再生ゲバコンドル:市川治
再生ヤモゲラス:市川治
立花藤兵衛:小林昭二
ショッカー首領:納谷悟朗


 北村秀敏監督作品「ゴーゴー仮面ライダー」

 シュールな映画ですねえ。近年の仮面ライダーを知ってるとなおシュールに見えるのでしょうか。それにしたって再生改造人間どもは本当にショッカー雑魚兵と同じくらい弱い扱いされてます。

 これはどうやらテレビシリーズの第13話を劇場用に上映しただけなのでオリジナルストーリーではないんですね。それでも一応、仮面ライダーの映画扱いになりますね。

 それに仮面ライダーって改造された人間自体は助からないんですね。世界全体は救われても個人はなかなか救われない。理想のヒーローとは別に現実の厳しさを思い知らされてる気がしました。


【あらすじ】

 東洋原子力研究所を襲撃したショッカー軍団。ショッカーは原子力漏れを起こし東京を死の町に変えようとしていた。しかし研究所には電磁波バーリアが張られていて、ショッカーが入れなくなっていた。ショッカーはバーリアを壊せる怪人を発明しようとする・・・


仮面ライダー GO GO MASKED RIDER OPENING TITLE 投稿者 oriibumakaron













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり



 仮面ライダー・本郷猛(藤岡弘、)は改造人間である。彼を改造したショッカーは、世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは、人間の自由の為にショッカーと戦うのだ!

 夜の東洋原子力研究所。
 ショッカー軍団の再生人間コウモリ(市川治)と再生サソリ男(水島晋)は研究所に忍び込もうとするが電磁波によるバーリアが張られて入ることができなかった。

 ショッカー首領(納谷悟朗)は原子力研究所で原子力漏れを起こし東京を死の町にしてしまおうと企んでいた。だがコウモリとサソリ男の報告を受けバーリアを破壊できる改造人間を作ろうとする。

 プロサッカー選手の野本健(堀田真三)は再生カメレオン男(中村文弥)と再生蜘蛛男(水島晋)に誘拐され改造を施される。そうして怪人トカゲロンが生まれた。

 滝和也(千葉治郎)は本郷に命じられ、野原ひろみ(島田陽子)と共に東洋原子力研究所を見張っていた。そんな時、怪しげな車を追い滝は洋館に入り込む。

 その洋館で目にしたものは怪人たちの動かない姿。滝は洋館の主と名乗る野本に追い払われるが、口封じのために滝はトカゲロンによる落石攻撃に襲われる。

 続く落石攻撃で絶体絶命のピンチのとき、滝の危機を救ったのは仮面ライダーだった。しかし現れた新怪人トカゲロンによる必殺シュート投石の前にライダーは敗れ去ってしまう。

 滝は一週間の絶対安静による入院。仮面ライダーは必殺シュートを破ろうと、藤兵衛と猛特訓を重ねついにライダーは「電光ライダーキック」を編み出す。

 滝は怪我をおして再び野本の屋敷に潜り込むがすでに野本ら怪人はいなかった。どうやら原子力研究所襲撃に向かったらしい。滝は助けに来たライダーに研究所に向かうよう言い、自分は雑魚戦闘員たちの相手をする。

 やがて東洋原子力研究所は再び襲撃され、トカゲロンが必殺シュートでバーリアを破壊しようとしたがそれをライダーが受け止め投げ返す。

 ライダーは再生人間コウモリ、再生サソリ男、再生カメレオン男、再生蜘蛛男、再生セラサニア人間(水島晋)、再生かまきり男(水島晋)、再生蜂女(市川治)、再生改造コブラ男(市川治)、再生ゲバコンドル(市川治)、再生ヤモゲラス(市川治)、そしてトカゲロンの9体を同時に相手にする。

 ライダーは次々と再生怪人たちを倒しトカゲロンの必殺シュートも電光ライダーキックで石を撃ち返し、トカゲロンは消滅するのだった・・・









 やっぱり1話30分程度ですからねえ。凄い短い映画ですよ。でも当時の子供たちはきっと劇場の巨大スクリーンで仮面ライダーが観れる!なんてウキウキして観てたんでしょうねえ。でも映画用に映像を作ってたわけではないから実際の劇場では役者の上半身や顔はほとんど映ってなかったようですよ。

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アメーバブログ時代の私の記事から転載してきました。


『悪い奴ほどよく眠る』(1960年・日)
悪い奴ほどよく眠る
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:小国英雄、久坂栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
製作:田中友幸、黒澤明
音楽:佐藤勝
撮影:逢沢譲
編集:黒澤明
配給:東宝
キャスト
西幸一:三船敏郎
板倉:加藤武
岩淵佳子:香川京子
岩淵辰三:三橋達也
和田課長補佐:藤原釜足
野中検事:笠智衆
三浦重役:清水元
古谷の妻:賀原夏子
有村総裁:三津田健
白井課長:西村晃
守山管理部長:志村喬
岩淵副総裁:森雅之
波多野社長:松本染升


 黒澤明監督作品「悪い奴ほどよく眠る」

  さてタイトルがまず迫力ありますよね。悪い奴ほどよく眠る、って。私、実は黒澤監督作品だと時代劇モノより現代モノの方が好きなんですよね。現代モノの方が黒澤監督が何を訴えたいのかわかりやすいですから。

 三橋達也というと、どうも十津川警部のイメージが強いですね。実は昨日もやっていた高橋英樹の十津川警部シリーズサスペンス。あれ実は初代が三橋達也らしいんですよ。

 今回の森雅之は当時49歳のくせにして、不毛地帯での山形勲みたいな容姿の老人を演じるんですよね。なのにこれまた合ってるんですよね。当時の役者のすごさを思い知らされましたね。

 西村晃といえば水戸黄門様。だが今回はナヨナヨした悪役を演じてましたね。そして石坂金田一シリーズの等々力警部役でおなじみ加藤武。今回はちょっと若い感じでしたが・・・あんま変わんないですね。

 この映画、最初に結婚披露宴のシーンが入るんですが、どうやらそれはゴッドファーザーの元になったらしいんです。コッポラ監督も観た作品を自分も観ている、と考えるとなんか良いですね。


【あらすじ】

 日本未利用土地開発公団副総裁の秘書の結婚披露宴が行われた。それは副総裁の娘と秘書の結婚式だった。その結婚披露宴では役人が一人、逮捕されたりとトラブルがあった。しかし一番大きなトラブル。それは5年前、開発公団の役人の一人が自殺したビルを模して、飛び降り自殺を図った部屋に花が挿し込まれていた模型のケーキが何者かに届けられたことだった。そのケーキを見てある三人の悪人が狼狽える・・・





悪い奴ほどよく眠るのシーン










【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 とある結婚披露宴。その結婚披露宴とは日本未利用土地開発公団副総裁・岩淵(森雅之)の秘書・西幸一(三船敏郎)と岩淵の娘・佳子(香川京子)の結婚披露宴だったのだ。

 その披露宴には新聞記者たちが駆けつけていた。兼ねてから公団と大竜建設という会社に黒い噂があったからだ。記者にとっては格好のネタになるやもしれない。

 記者たちの前でさっそく公団の契約課長補佐・和田(藤原釜足)が警察に連行される。何も知らない有村総裁(三津田健)はさして驚かなかったが彼の供述一つで失脚する恐れのある岩淵、契約課長・白石(西村晃)、そして公団管理部長の守山(志村喬)の三人は驚く。

 佳子は足が悪い。佳子の兄・辰夫(三橋達也)は幸一に佳子を幸せにしなければ殺す、と破天荒な演説を終えてやがてケーキ入刀でケーキが運ばれる。

 しかしそのケーキ入刀で運ばれた差し入れのケーキ、それはあるビルを模した模型ケーキで七階のある部屋に花が挿し込まれていた。

 その模型ケーキを見た、岩淵、白石、守山の三人は驚く。実は開発公団では5年前に開発補佐を勤めていた古谷という男が公団ビル七階から飛び降り自殺を図った。その部屋は古谷が飛び降りた部屋なのだが。

 検察の尋問を受ける和田。同じく尋問を受けていた大竜建設の重役・三浦(清水元)ともども黙秘していた。

 やがて拘置期間が終わり二人とも何も話さなかった。三浦は釈放後、野中検事(笠智衆)の策略により横領の容疑で逮捕されそうになるが、釈放直後に現れた顧問弁護士(中村伸郎)から波多野社長(松本染升)の発言を聞かされ、車に飛び込み自殺する。

 一方の和田も自殺しようと火山の火口に向かうがそこである男に自殺を止められる。それは岩淵の娘婿・西幸一だった。西は友人の板倉(加藤武)の工場に和田をかくまう。

 和田の遺書が見つかった事から和田は自殺したと判断され、葬儀が済まされる。その葬儀を見せられる和田だったが、西は録音した守山と白井の会話を和田に聞かせる。それは和田が死んでくれて安堵した、といった内容の会話だった。

 和田はそれを聞き激怒する。そして西は、和田に自分の復讐に協力してくれと頼みこむ。

 ある日、白井は貸し金庫に預けていた現金が無くなっていたことに気付く。それを上司の守山と岩淵に報告する。貸し金庫から金を出せるのは白井と和田だけだったことから白井は二人に疑われる。

 白井は二人に金庫の鍵を提出するために鞄を取りにいくがそこには現金が入っていた。西幸一が密かに現金を入れていたのだった。守山と岩淵は西がひそかに〝つまみ食い〟したのだと疑ってかかる。

 疑われた白井は呆然としていた。そして家に帰る道で和田に遭遇する。死んだはずの和田がいたことで和田は生きていた、と守山と岩淵に喚き散らす白井。

 白井の混乱は頂点にまで昇っており、挙句の果てには守山と岩淵に、自分を殺そうとしてるなら俺が全てぶちまけてやる、と二人を脅す。岩淵は守山に白井を殺すように命じる。

 白井は帰りの道で殺し屋(田中邦衛)に殺されかけるが西幸一と和田に救われる。そして古谷の自殺したビルに連れて行かれる。

 ビルの古谷が飛び降りた部屋で、白井は西幸一から「俺の親父はこの部屋で殺された古谷だ」という発言を受ける。

 西は白井にこの部屋から飛び降りるか劇薬で死ね、と選択を迫る。だが白井は抵抗し、西は無理やり、飲ませる。和田は西を恐れるが、劇薬だと言ったのはただのアルコールだった。

 家に遅く帰宅することが多い西は佳子を気遣え、と辰夫から怒られたりもする。佳子は純真無垢で夫にひたすら尽くそうとする良い女性だった。西は道具として利用するだけと扱おうとしていた自分の仇の娘に思いが傾きはじめる。

 翌日、公団は白井がビル七階で見つかったという発表を抑えさせ精神病院に入院させる。

 守山と白井は結婚披露宴でケーキを差し入れした人物が裏で操っているのだと気付き始め、古谷の妻(賀原夏子)を守山は訪ね、古谷には愛人の息子が居たことを知らされる。写真からその息子が西だと知る。

 一方、板倉は和田に、自分は西と戸籍を交換したんだ、と教える。西と板倉には何らかの友情があった。和田の説得により西は道具としてだけ扱うはずだった佳子への想いを認め、佳子を大事にしようとする。

 そして岩淵邸では守山が岩淵に報告をしていた。その報告を盗み聞きしていた辰夫は邸に帰ってきた、西を銃で発砲。西は逃亡する。

 廃工場跡で、板倉を訪ねてきた守山を西と板倉は監禁していた。飢えさせ守山に金や帳簿の居所を吐かせようとする二人。やがて飢えに苦しむ守山は暴露する。西は記者会見を開きすべてを暴露しようとする。

 一方、西の妻・佳子が何も知らないままでいるのは不憫だと思った和田は佳子を連れてくる。西と佳子は話し合い、佳子は西の復讐を応援しないにしても、黙秘することにする。二人は初めて打ち解けあえたのだった。

 帰宅した佳子。一方の岩淵はいつ暴露されるか、と不安になり眠ることもできなかった。そこへ帰宅した佳子を見つけ、佳子が西のところに行っていたと悟る。

 岩淵は佳子に、辰夫が西を殺しに行った、と騙まし込み西を助けるためなんだ、と場所を聞き出して睡眠薬で佳子を眠らせる。

 それからしばらく経ち佳子は父親に騙されたことに気付き、辰夫と共に西の下へ向かう。道中で列車事故に遭った車を発見する。

 廃工場で、板倉一人だけが泣き崩れていた。板倉は佳子を罵る。騙されていただけ、と庇う辰夫だったが板倉はポツリポツリと経緯を語りだす。

 佳子から居所を聞き出した岩淵は数名の殺し屋を派遣し西を睡眠薬入りの注射を打ち眠らせる。そして車に押し込め汽車の線路上に放置し潰させたのだった。

 守山は解放され暴露した情報の証拠隠滅を、和田も居らずおそらく既に殺されているのだろう。一度死んでいる人間を殺すなんて簡単なことだ。

 自分には何もできない、と悲しみ嘆く板倉。佳子は自分が結果的に西を殺すのを手伝ってしまったことに、何も反応できなくなってしまった。

 副総裁室では岩淵副総裁は記者たちに対して西の死亡を悲しんだ風に演じていた。

 会見の終わったあとに辰夫と何の反応も出来なくなった佳子の二人がやってくる。辰夫は「西を殺し、佳子もこんな風に殺したのはあんただ。猟銃があったら撃ってやりたい、あんたとは絶縁だ」と言い去っていく。

 追おうとする岩淵だったが、電話がかかってきてそれに応じる。それは岩淵よりも悪党の人物からだった。岩淵はその人物から「あなたから頂いた睡眠薬のおかげでぐっすりと」と言った。本当の悪党は、よく眠れるのだ・・・





 今まで見てきた黒澤映画で一番好きです。岩淵副総裁ですらなかなか眠れないんです。本当の悪党は眠れるんです。ぐっすりと。つまり、岩淵よりもぐっすりと眠れる悪党がいるんですよ上には。恐ろしい恐ろしい。でも本当に面白い。こういう陰謀系の映画私好きなんですよ。

 結果的に報われない映画でしたね。でも相変わらず三船敏郎の演技力が凄い。悪党を追求し、更に役人の上司の為に犠牲になるというシステムを批判する映画でもあります。このころはおそらく内部告発なんて考えられない時代だったんでしょうね。まあ天皇陛下のために死ぬ時代がこの映画のちょっと前まであったようですからね。
Category: 邦画ワ行

十戒

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神様の映画ですね。


『十戒』(1956年・米)
十戒
スタッフ
監督:セシル・B・デミル
脚本:イーニアス・マッケンジー、ジェシー・L・ラスキー・Jr、ジャック・ガリス、フレドリック・M・フランク
製作:セシル・B・デミル
音楽:エルマー・バーンスタイン
撮影:ロイヤル・グリッグス
編集:アン・ボーチェンズ
配給:パラマウント映画
キャスト
モーセ:チャールトン・ヘストン
ネフレテリ:アン・バクスター
セティ1世:セドリック・ハードウィック
セフォラ:イヴォンヌ・デ・カーロ
ベシア:ニナ・フォック
ヨシュア:ジョン・デレク
リリア:デブラ・パジェット
ヨシャベル:マーシャ・スコット
アロン:ジョン・キャラダイン
ミリアム:オリーヌ・デアリング
イテロ:エドワード・フランツ
エチオピア王:ウディ・ストロード
メムネット:ジュディス・アンダーソン
エジプト軍隊長:ヘンリー・ウィルコクソン
バッカ総督:ヴィンセント・プライス
デーサン:エドワード・G・ロビンソン
ラムセス2世:ユル・ブリンナー

ナレーション:セシル・B・デミル


 セシル・B・デミル監督作品「十戒」。原題タイトルは「The Ten Commandments

 原作は「旧約聖書」の「出エジプト記」から。特に預言者であるモーセの視点と物語を中心に描かれています。演じていたチャールトン・ヘストンの神の声を聞いた後の彼の姿はまさしくミケランジェロが作ったモーセ像そのものような姿でした。

 セシル・B・デミル。この監督さんは20世紀で一番有名になった監督さんと言っても過言じゃありませんね。「スコウ・マン」(1914年)でデビューしました。デミルは一度、「十誡」(1923年)でこれとほとんど同じストーリーの映画を作りました。それから約30年後、この「十戒」を自分でリメイクして製作しました。約10年間くらい製作など色々かかったそうですね。この映画がデミルの遺作で3年後くらいにお亡くなりになられました。

 主演はチャールトン・ヘストン。この人は英雄役やらせたら右に出る者はいないかもしれませんね。例えばこれ以外にも「ベン・ハー」(1959年)でヘラクレスのような筋肉のベン・ハーを演じて戦車レースで勝ってます。いやはやこの人も2008年まで生きてたんですがね。

 正直、私はこの映画の唯一神ヤハウェは好きじゃありませんね。だってこの映画だとヘブライ人の奴隷がエジプトで苦しみに耐えてるのにヤハウェは預言者としてモーセを生ませた、ってなんて遠回りな救い方なんでしょうね。モーセが神の教えを受けるまで、何十年分、ヘブライ人を苦しませるつもりなんでしょう。その割にはヘブライ人に偉そうにして、ちょっと姦淫にふけったからってヘブライ人を40年も荒野で彷徨わせる上にモーセには川を渡らせない。鬼畜の所業ですね。神といえど、コイツは嫌いです。

 個人の好みですので、教徒の方が観ていたらゴメンなさい。実際のヤハウェを侮辱している訳では決してございません。


【あらすじ】

 エジプト人に奴隷にされていたヘブライ人たちは救世主の誕生を待ちわびていた。そんな時、一人の子供がヘブライ人に生まれその子は後に救世主となりえる。母はエジプト人によるヘブライ人男子の生まれたばかりの赤子の虐殺を逃れ、子供を川に流し、その子供は夫を失ったベシアという王宮の女性に拾われ育てられる・・・

















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 エジプト
 ヘブライ人たちはエジプト人に奴隷として苦役を強いられており、彼らは救世主の誕生を願っていた。

 そんな時、ヘブライ人のヨシャベル(マーサ・スコット)が一人の赤子を生む。一方、ヘブライ人の希望の救世主が誕生したことを神官から聞かされたファラオのラムセス1世(イアン・キース)は謀反の兆候を防ぐべく救世主の始末を命ずる。

 その内容は、ヘブライ人で生まれたばかりの男子の赤子をしらみ潰しに虐殺していく、という冷酷非道なものだった。

 ヨシャベルは息子を殺されることを避けるべく籠に息子を入れ、その籠をナイル川に流す。

 籠を拾ったのはラムセス1世の娘ベシア(ニナ・フォック)。ベシアは夫を亡くし、その籠に入っていた子供を自分の子供代わりに育てようと決める。しかし召使いのメムネット(ジュディス・アンダーソン)は子供がヘブライ人であることから災いをもたらすであろうと諌言する。

 それでも聞かないベシアはモーセと名付け、子供を包んでいた産着をカゴと一緒に川に沈ませるようメムネットに命じる。メムネットはもしもの時のために産着を懐に隠し、カゴだけ沈めたのだった。


 モーセ(チャールトン・ヘストン)は成長し、王子として民衆から慕われていた。エチオピア外征を終えたモーゼは都に戻り、ファラオであるセティ1世(セドリック・ハードウィック)に報告。エチオピア王(ウディ・ストロード)にセティ1世と謁見させる。

 ラムセス2世(ユル・ブリンナー)はセティ1世の実子だが、叔母であるベシアの子供のくせに今や王位につくのはモーゼだ、という噂をよくは思っていない。ラムセス2世は奴隷が働かないせいで進まなかった都の工事をモーセに任せては、とセティ1世に進言する。モーセは都の工事の指揮を引き受ける。

 ラムセス2世はヘブライ人が信じて崇める救世主の正体に探りを入れていた。ヘブライ人奴隷の監督であるデーサン(エドワード・G・ロビンソン)に救世主について探るよう命じる。デーサンはヘブライ人でありながら、富や地位のためなら同胞を売ることも厭わないような男だった。

 一方、ラムセス2世の娘ネフレテリ(アン・バクスター)は宝石のように美しい女性だった。彼女はモーセを深く愛しており、彼女と結婚する者こそ次の王位に就く者であったためにネフレテリはモーセになんとしても王位を継いでほしかった。しかしモーゼを妬みネフレテリを欲すラムセス2世もいた。

 ヘブライ人の奴隷たちはエジプト人に扱き使われながら働かされていた。ヘブライ人の一人、リリア(デブラ・パジェット)は奴隷たちの水汲み娘でヨシュア(ジョン・デレク)と愛し合っていた。しかしリリアを卑しい目で見る者もいた。それが監督であるデーサンだった。

 石の像を組み立てているときに一人のヘブライ人の土に油を塗る仕事をする老婆が石像の下に服の紐が引っかかって動けなくなっていた。このままでは石像組み立てのときに老婆が潰されてしまう。

 しかしエジプト人たちは老婆など放っておけ、と言う。ヨシュアはそんなエジプト人を殴ってしまい、捕らえられた。ヨシュアは老婆の頼みで、監督をしていたモーセのところに駆け寄り助けてくれるよう頼み込む。

 モーセはすぐさま現場に駆けつけ、石像の組み立てを一時中断させ、老婆を助ける。その後、事情を聞きヨシュアを解放させ、老婆を見捨てようとしたエジプト人を罵倒する。

 モーセは奴隷たちの士気をあげるべく、神殿に備えるための穀物をヘブライ人の奴隷たちに与えてしまい、更に7日に一回の休日を奴隷たちに与えてしまう。

 その後、工事は進む中、エジプト人たちの間ではモーセがヘブライ人の側に立つのをよしとしない者が現れ始め、その都度セティ1世に諫言をする。

 セティ1世はそれを放っておこうとしたが、ラムセス2世がヘブライ人を従えてモーセは反乱を起こす気である、と偽証。セティ1世はすぐさまモーセの下へ向かう。

 モーセはやってきたセティ1世とラムセス2世に対し、大勢の人数を一気に使ってのオベリスクの塔の完成、門に備えるスフィンクス、そしてセティ1世の大肖像を見せる。セティ1世はモーセは忠実である、と褒めたたえ弟を貶めようとしたラムセス2世には王位を渡さないと宣言する。

 ある夜、もはやモーセが王位を継承するのは当然と思っていたネフレテリは上機嫌だったが召使いのメムネットからモーセがユダヤ人の拾い子であることを伝え、モーセの産着を見せる。

 ネフレテリはモーセへの愛から、モーセ王位継承の邪魔になりうるメムネットを口封じでベランダから突き落として殺害してしまう。

 その直後に訪れたモーセはメムネットが死んだこととネフレテリの不審な態度が気になり彼女を問い質す。モーセは自分がヘブライ人の子供であることを聞かされるのだった。

 モーセはベシアを問い質し彼女の静止を振り切って実の母ヨシャベルに会いに行こうとする。

 先回りをしようとしたベシアはヨシャベルの家に行き、不自由な生活はさせないから都から立ち退くように、と命令。しかしベシアの後をつけてきたモーセがヨシャベルと会ってしまう。そのヨシャベルというのは石像に潰されそうになっていた老婆だった。

 モーセは神に誓えるか、と聞きながらヨシャベルを問い質しヨシャベルはついに本当のことを話してしまった。モーセは自分もヘブライ人として生きることを決意する。

 そしてモーセは兄アロン(ジョン・キャラダイン)と姉ミリアム(オリーヴ・デアリング)にヘブライ人として自己紹介をするのだった。

 その後、モーセは身分を隠しながら泥まみれになりながら働いていた。リリアは総督バッカ(ヴィンセント・プライス)に気に入られてしまい彼女はバッカ直属の召使いにされる。それを見て激怒したヘブライ人の老人はエジプト人に情け容赦なく斧で殺される。

 そこにネフレテリが現れ、モーセを連れて行く。ネフレテリはあなたが一緒に働いてもヘブライ人が解放されることはない、それよりファラオになれば解放も自由だ、と言い私もラムセス2世にとられていいのか?と説得しモーセはセティ1世即位25年祭の時には必ず宮殿に戻るとネフレテリに約束する。

 総督バッカの邸宅で、リリアは高いドレスを着せられていた。そんなリリアを助けようと邸宅にヨシュアが忍び込む。ヨシュアはリリアを逃がそうとするが逆に捕まってしまう。

 ムチを打たれ傷だらけのヨシュアを救ったのは、モーセだった。モーセはムチでバッカの首を絞め殺し、ヨシュアにあなたこそ救世主だ、と崇められる。その後、ヨシュアを逃がし自身も逃亡する。その姿をデーサンが見ていたのだ。

 ラムセス2世がバッカ殺しの現場検証をしていた時、デーサンから耳よりの情報があると聞かされる。デーサンの巧みな話術により、総督の地位とリリアをくれてやることを条件にデーサンはモーセが総督殺しの犯人でヘブライ人の求めた救世主であることを話すのだった。

 セティ1世即位25年祭。ラムセス2世はヘブライの救世主としてモーセの首に鎖を繋いで連れてきた。セティ1世はベシアから拾ったユダヤの子であることを聞かされ激怒するものの、モーセに本当の子供と同然の愛は抱いていた。

 セティ1世はモーセにヘブライ人の救世主としてエジプトに謀反を起こそうとしないのであれば、ヘブライ人の子供でも許す、と話すがモーセはそれを約束しなかった。

 セティ1世はモーセの処罰をラムセス2世に任せ彼を次の後継者とする。そしてセティ1世はモーセの記録をすべて消し去り今後は名前を出してはいけない、と命令するのだった。

 ラムセス2世はモーセに生きながら苦しんでもらおうと、砂漠に放置し一日分の食糧と水のみ与える。砂漠を越えるのには何か月もかかろう。ラムセス2世はモーセにヨシャベルが獄中で死ぬまで持っていたヘブライ人の布と落ちていた杖をモーセに与えて去って行った。

 その後、モーセはずっと砂漠を彷徨い続けた。飢えも喉の渇きも限界まできており、意識も朦朧としている。しかし彼は神の加護を受け、村に辿りついたのだった。

 エジプトである頃からひたすら優秀であったモーセはその村で果敢な男手として族長イテロ(エドワード・フランツ)に気に入られる。モーセはイテロから娘を誰か一人貰っていいと言われる。

 モーセは長女セフォラ(イヴォンヌ・デ・カーロ)と話し、エジプトに残したネフレテリが忘れられないことを打ち明ける。セフォラは「確かにエジプトの女性は宝石のような美しさでしょうが、宝石は冷たいものです。私達は羊飼いでも心は温かいのです」と話し二人は結婚しモーセは村で羊飼いとして生きていくことを決める。

 やがて村はシナイ山の麓に移動。セフォラによればその山には神がやって来るらしい。モーセは神がいるのであれば、なぜエジプトの同胞たちの悲鳴を聞かないのか疑問に思っていた。

 一方、エジプトではセティ1世が息を引き取ろうとしていた。ネフレテリ、ラムセス2世に看取られながらセティ1世は最愛の息子〝モーセ〟の名を自ら禁を破って呼んだ。

 一方、リリアはデーサンにヨシュアを殺してほしくなければ自分に召使いとして仕えろ、と言いリリアは悔し涙を浮かべながらデーサンに従うことにする。

 それからしばらく時は経ちモーセとセフォラは息子を儲ける。三人で羊飼いとして仲睦まじい生活を送っていたある日、麓に見知らぬ男がやってきた。その男はヨシュアだった。

 モーセは炭鉱の強制労働から逃げ出したヨシュアから虐げられる同胞の声を聞き、やがてシナイ山に一筋の神々しい光を見つける。

 その光に導かれて山を歩き、たどりついたところにあったものはまばゆい光を放つ一つの大木だった。光は神そのもの。神はモーセにヘブライの苦しむ民をエジプトから救うのだ、とお告げを放つ。

 お告げを受けたモーセは神の代弁者・預言者としてエジプトへと戻るのだった。



 エジプトに戻ったモーセはアロンと共にラムセス2世に謁見。ラムセス2世には世継ぎが生まれていた。

 モーセはヘブライの民を解放しなければ災いがもたらされる、とて神の奇跡の一つを見せる。アロンの持っていた杖が蛇に変わり、エジプトの二匹の蛇を丸のみしてしまう恐ろしい様だった。しかしラムセス2世は聞く耳を持たずむしろヘブライ人に更なる重圧をかけてしまう。

 モーセはデーサンを主導としたヘブライ人奴隷たちに責められるが、ネフレテリに助けられる。ネフレテリはモーセを呼び寄せ、今でも思っているのだ、と伝えるがモーセは全く動じない。彼は神に仕えて女への愛を捨てたのだ。

 その後、モーセはラムセス2世の前に再び現れ、彼の目の前でナイル川を血で染めてしまう。赤土の影響だ、と言うラムセス2世に今度は燃える雹をエジプトに降らせ災いをもたらす。

 ラムセス2世は大臣の進言を聞いて民を解放しようかと迷うがネフレテリが挑発してそれを阻止させる。

 やがてラムセス2世はモーセの子を含めたヘブライ人の初子を虐殺するよう命じる。ネフレテリはすぐさまモーセの妻セフォラに会い、息子の命が狙われていると教える。セフォラは息子を連れ逃亡。やがて帰宅したモーセはネフレテリからラムセス2世が息子を殺そうとしたのを助けた、と彼からの愛を求める。

 しかしモーセはその言葉を聞き驚愕する。きっと神は代わりにエジプト人の初子を殺そうとするだろう。それはネフレテリとラムセス2世の息子も含めて。ネフレテリはモーセからの愛を得られた、と勘違いし息子の身も安泰だと勝手に帰ってしまった。

 やがて神の怒りの闇と化した死神はエジプトを覆い、エジプト人の初子を死に至らしめる。モーセは釈放された育ての母ベシアを異教徒でも家に招き入れる。ヘブライ人は玄関に子羊の血を塗って死神をやり過ごそうとする。

 ラムセス2世はついにモーセを呼び、彼にヘブライ人の解放を認めてしまう。しかしラムセス2世の子も死に、ラムセスはその子を別の冥界の神の力で生き返らせようと祈り続ける。

 翌日、ついにヘブライ人のエジプトからの脱出と大移動がはじまった。モーゼとヨシュアが彼らを導く。ヘブライ人たちはエジプトからの解放に歓喜した。

 デーサンもヘブライ人としてエジプトから追放される。リリアはヨシュアによって解放されるが、デーサンは何かを企んでいるようで、エジプト兵にヘブライ人たちを説得して連れ帰るから褒美を用意していろ、と言うのだった。

 一方、祈りが効かないと悟ったラムセス2世はネフレテリに焚き付けられ、モーセを生け捕りにしてヘブライ人を皆殺しにすることを決め出陣する。

 戦車部隊が近づいているのを知ったヘブライ人たちは慌てふためくが前は紅海。後ろはエジプト軍。まさしく逃げ道はなかった。

 デーサンは今降伏すれば死ぬよりかはマシだ、と声高らかに叫ぶがモーセは神の奇跡として、まずエジプト軍がこちらに近づいてこれないように炎の竜巻で進路を塞ぐ。

 そしてモーセは海に向かって「この神の奇跡を見よ!」と叫びなんと紅海を真っ二つに割って道を作ってしまった。ヘブライ人たちはその道を通って進んでいく。

十戒のシーン

 ヘブライ人たちが渡り切ったころ、火の竜巻が消えてエジプト軍も進軍を開始。海の割れた道を戦車隊が通って行く。

 やがてヘブライ人たちが全員、対岸に移動したのを見計らい道が海へと戻って行く。戦車隊は海に流されほぼ壊滅状態に陥る。ラムセス2世はそれを見て呆然としていた。

 エジプトに帰ったラムセス2世はネフレテリに言う
「モーセの神は誠の神であった」
 さすがのラムセス2世もモーセの神を認めざるを得なかった。

 シナイ山の麓で山を登って行くモーセを40日間ほど待ち続けたヘブライ人たち。彼らの間に不安が立ち込め、デーサンがそれを利用して黄金の子羊像を作ってエジプトに帰れば許されるだろう、と話す。

 ヘブライ人たちはモーセの理想に逆らい、彼らが勝手に作った子羊像を崇拝し、やがて彼らは腐敗する。踊り狂い、酒を飲み狂い、食べ物を食べ狂い、やがては暴力、姦淫まで行われた無秩序状態に陥る。

 一方、モーセは神から10の律法を与えられその10の律法は石板に刻まれる。

1.他の神々を持ってはならない
2.いかなる偶像も崇拝してはならない
3.神、主の名をみだらに唱えてはならない
4.週の7日目の安息日を聖とせよ
5.父、母を敬え
6.殺してはならない
7.姦淫してはならない
8.盗んではならない
9.隣人に関して偽証してはならない
10.隣人のものを欲してはならない

 モーセはその石板を与えられ、神からヘブライ人が無秩序にふけっているということを聞かされ下山する。

 モーセはヨシュアと共に下山。ヘブライ人たちに喝を入れ、教えを信じ律法を守る者のみが近づくのだ、と命じる。

 それに反してデーサンらはモーセが王にでもなるつもりか、と罵倒する。そして律法のない自由を謳歌する。

 激怒したモーセは神から与えられた十戒の石板を子羊像に投げつける。するとたちまち天変地異が起こり、悪しき心を持ったユダヤ人たちが次々と地割れの中に落ちて行った。

 その後、堕落した民に激怒した神は残った民が本当に十戒に従うか40年間もの間、荒野をさまよわせる。

 十戒を破った者はことごとく絶やされていき、やがて約束の地カナンへはヨルダン川を越えてあと一歩のところまで辿りついた。

 しかしモーセは神の怒りに触れ、カナンへの侵入を許されなかった。神は最期の地にヨルダン川手前のネボ山を用意した。

 モーセは一緒に残ると言う妻セフォラを説得して行かせ、自分の後継にヨシュアを指名する。そしてモーセは神の元へ召されるためにネボ山を登って行く・・・








 さて今若い人が見てしまえば他のSFXを利用した特撮とかに慣れてる人ならば、この映画の技術にチープさを感じてしまうかもしれませんが当時56年、昭和33年ごろではあまりの凄さに映画界のほとんどの人が腰をぬかすくらいだったんですよ。安っぽいチープな技術だ、なんて言ってしまう人はもう一回、当時の時代を考えてほしいですね。

 それにしたって旧約聖書の壮大なお話をそれに見劣りしないくらい壮大に作ってしまったこの映画は本当にすごいですよねえ。デミルが死の前にもその才能と監督としての力が劣っていないということなんでしょうねえ。まさしく神の意志、神の映画でありますな。

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Category: 洋画サ行
まさにドナルドダックやりやがった、って感じですね。


『総統の顔』(1943年・米)
総統の顔
スタッフ
監督:ジャック・キニー
脚本:ジョー・グラント、ディック・ヒューマー
製作:ウォルト・ディズニー
音楽:オリバー・ウォレス
配給:RKO Radio Pictures
キャスト
ドナルドダック:クラレンス・ナッシュ


 ジャック・キニー監督作品「総統の顔」。原題タイトルは「Der Fuehrer's Face

 プロパガンダ映画です。普通にアドルフ・ヒトラー、ベニート・ムッソリーニ、そしてイエローモンキーを示してるかのごとく黄色い肌の昭和天皇の絵とか出てきますし、ヒトラーは特に何回も出てきますね。でも昭和天皇はどっちかというと東条英機っぽく書かれてますね。でも昭和天皇の絵であることは間違いないでしょう。なぜならドナルドダックが「ヒロヒト」(昭和天皇の諱が裕仁)って言ってましたから。

 ウォルト・ディズニーは結構、積極的にプロパガンダ映画を作ってますね。それが本人の意志であるかは私には分かりませんしコメントするつもりもありません。ただディズニーは映画監督として偉大ではある、と言えます。

 いやあ、正直こんな不用意な発言をするのはアレかもしれませんが、面白いですよ。ドナルドダックがドイツの兵士にいじめられ強制労働をさせられるあたり、チャップリンの「モダン・タイムス」(1936年)を思い出させますねえ。どちらもブラック・ジョークがお得意なようで風刺がかってて面白いですよ。

 ただ日本ではソフト化はおろかテレビ放映も一度もしたことありませんし予定もないようです。アメリカで発売されたドナルド・クロニクルDVDの日本語版にはこの話は収録されてませんでした。まあ、内容が内容だけにソフト化できないでしょう。“日本人にとって”不謹慎と思えてしまうでしょうし宮内省は許さないでしょうから。


【あらすじ】

 ドイツ兵のドナルドダックは朝起床して昭和天皇、ムッソリーニ、ヒトラーの肖像画の前で敬礼する。「ハイル!ヒットラー!」貧乏、不自由な暮らしを強いられながら、強制労働工場で48時間の強制労働を強いられドナルドダックは気が狂う。

総統の顔のシーン













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 ここはナチランド。

 町中いたるところにハーケンクロイツがあり、軍人が朝っぱらから軍歌を高らかに歌う。

 ドナルドダック(クラレンス・ナッシュ)は軍歌に起こされ不機嫌になり窓のカーテンを閉めるが、逆に軍人にカーテンを斬りつけられ、アドルフ・ヒトラー、昭和天皇、ベニート・ムッソリーニの三人の肖像画の前で敬礼させられる。

 それから二度寝しにベッドに向かうと、軍人にバケツで水を叩きつけられドナルドは着替えを済ませる。

 ドナルドは朝食にノコギリで切らなければ切れないような堅いオガクズ入りライ麦パンを食し、“ベーコンエッグの香り”というものの匂いを嗅ぎながら食す。軍人に隠れながら一粒分の小ささの三角パックを使ったコーヒーを飲んでしまう。贅沢は敵だそうだ。

 知識を磨け!と軍人に言われてヒトラー著「我が闘争」を読まされ、軍隊に連れられて兵器工場に働きに出る。

 一日48時間働いて砲弾を製造させられるドナルドダック。ベルトコンベアで流れてくる砲弾を流れ作業で製造していき、ときどき流れてくるヒトラーの肖像画には敬礼をしなければならない。

 やがて放送で演説が流される。ヒトラーは全く生産ラインが追い付かずやがては狂いだしてしまった。

 目が覚めると窓際からの物影が伸びており、それはヒトラーの敬礼だった。ドナルドダックはすぐに敬礼しようとすると自分が星条旗のパジャマを着ており、物影は自由の女神のミニチュアだった。

 ここはアメリカ。ドナルドダックは悪夢を見ていた。ドナルドダックは自由の女神のミニチュアに抱き着き自分がアメリカ国民であることを心から喜ぶのだった・・・・







 アニメ映画でこんな余裕あるプロパガンダ映画を作れる国に勝てるわけがないですよね。日本はひたすら戦時中は戦意を高めるプロパガンダばっかだったんですから、ブラックジョークの余裕もありませんでした。この映画は風刺が面白く、そしてアメリカの強さが身に染みる映画ですねえ。

 ちなみに私は落ちている動画を見ました。日本語字幕はありませんでしたが、意味はそこそこ分かるもんですねえ。
この映画のタイトルの「幸福」っていうのは「こうふく」ではなく「しあわせ」と読みます。


『幸福の黄色いハンカチ』(1977年・日)
幸福の黄色いハンカチ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
原作:ビート・ハミル「Going Home」
製作:名島徹
音楽:佐藤勝
撮影:高羽哲夫
編集:石井巌
製作会社:松竹
配給:松竹
キャスト
島勇作:高倉健
島光枝:倍賞千恵子
花田欽也:武田鉄矢
小川珠美:桃井かおり
帯広にいたチンピラ:たこ八郎
旅館のオヤジ:太宰久雄
ラーメン屋の女の子:岡本茉利
検問の警官:笠井一彦
農夫:小野泰次郎
チンピラ:赤塚真人
渡辺係長:渥美清


 山田洋次監督作品「幸福の黄色いハンカチ」

 なにげに高倉健主演の映画ってのは初めて見ますね。やっぱり健さんは不器用な男の役がすっごい似合うなあ。84年に日本生命のCMで「自分、不器用ですから・・・」って言う健さんのCMがあったそうですねえ。でも健さんが本当に不器用だったらこんな好演はできませんね。不器用な味わい深い人の演技ができる器用な人なんですよ。御年82歳ですかあ・・32年生まれ。もっと長生きしてもらいたいものです。

 さて若いカップルを演じますは若き頃の武田鉄矢と桃井かおり。武田鉄矢は若いけどあまり変わりませんねえ。桃井かおりは・・すっごい可愛いです。でも喋り方は昔と今、ほとんど変わってないですね。あともう一人、倍賞千恵子。やっぱり倍賞千恵子は渥美清と同じくらい山田洋次の作品には欠かせない演者なんですね。


【あらすじ】

 失恋した花田欽也は赤いファミリアの新車を購入して北海道へ向かう。北海道で心機一転の生活を送ろうとして、同じく東京から来た小川珠美という女をナンパし車に乗っけて一緒に観光する。海岸で今度は目的地が近い島勇作という男も乗っけて3人の北海道の旅がはじまる。



幸福の黄色いハンカチのシーン











【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 花田欽也(武田鉄矢)は伸子ちゃんにフられてしまった。頭に来た欽也は工場の仕事を辞めて退職金で新車の真っ赤なファミリアを購入してフェリーで北海道へ向かう。

 北海道・釧路港
 新しい大地に着いた欽也は早速、女の子に手当たり次第声をかけるがうまく釣れない。仕方なく一人で根釧原野を走り網走駅まで向かう。

 網走刑務所
 島勇作(高倉健)は刑期を終えて出所。葉書を購入して速達で夕張のある人物に送る。その後、網走駅前の食堂に入りラーメンとカツ丼をビールを飲みながら思いっきり食べていた。

 欽也は網走駅前で一人の女・小川珠美(桃井かおり)をひっかける。彼女が網走刑務所へ観光にきたと聞き、一緒の車で行こうと食堂に入ってまでしつこく誘った。

 なんとか欽也は珠美を乗っけて二人でドライブ。しかし珠美は内気な性格のようだった。珠美は普段は列車の弁当係をしているが、彼氏が別の女と寝たことを仕事中に同僚から聞かされ傷心の旅に出たのだ。

 ずっこけてばかりの愛嬌たっぷりの欽也に珠美は徐々に打ち解けていく。

 二人は海岸に寄り、そこで海を眺めていた勇作にカメラのシャッターを押してほしいと頼む。

 その後、勇作を駅まで乗っけていくことになった欽也と珠美。勇作は二人に泊まる場所を聞き、それが阿寒温泉だと知ると羨ましがる。どうやら勇作にはこれと決まった目的地がないらしい。欽也と珠美は一緒に泊まらないかと誘い勇作はそれを受ける。

 阿寒温泉に泊まった夜。欽也は他に部屋が無い、と騙して珠美と一緒の部屋で寝る。「オレは何もしないよ」と不安がる珠美をなだめるがちゃっかり近くの薬局でティッシュとコンドームを購入する。

 一方、勇作は温泉に浸かっていた。勇作はふと女房の姿を思い出す。やがて温泉に珠美も入ってきて、勇作は動じずに場所を空けるが、珠美はどうやら混浴だと気付かなかったようで慌てて出ていく。

 夜もふけ、勇作は警察に追われる夢を見ていた。やがて寝苦しさに起き上がり、隣の欽也と珠美の部屋の声が聞こえるのに気付き、反対の方を向いて寝ようとする。

 一方、盛りのついた欽也は珠美に襲い掛かる。珠美はキスだけは許すがそれ以上のことは抵抗しやがて泣き出してしまう。欽也も泣かれて困り果てていた。

 泣き声が大きくなり、勇作が欽也たちの部屋のドアを開けて「いい加減にしろよ。他の客もいるんだぞ」と一喝し欽也はシュンとなる。

 翌朝、車中はどこか気まずい雰囲気。勇作は陸別駅で降りるといい、珠美も一緒に陸別駅で降りてしまう。欽也は珠美が頑なに降りるというので、車で去って行ってしまった。

 しかし列車の待ち時間は2時間もあり、珠美は早くも車で行けばよかったと後悔する。

 そこに欽也の車が戻ってきた。欽也は高い金をはたいてカニを購入し、珠美と勇作にふるまい珠美の機嫌を直そうとした。

 三人で欽也の買ったカニを食べながらおしゃべり。欽也と勇作は二人とも福岡県生まれの九州男児だったのだ。欽也は打ち解けた珠美と二人の旅を楽しみたかったが、珠美が強く言うので子供っぽいことを言いながら仕方なく勇作も乗せて3人の車旅は再開する。

 だが欽也はカニがあたったようで、下痢が止まらない。ある農場に寄って欽也はトイレを貸してもらう。

 二人きりになった珠美と勇作。珠美は勇作に結婚していないのか、としつこく聞きだす。勇作は多くを語りたがらない。

 やがて一台の大きなトラクターが通ろうとするが欽也の車が邪魔で通れない。珠美は仮免まではいった、と勇作を説得し車をバッグさせるが路肩に落としバンパーもへこんで道路に上がれない。

 珠美がアクセルを踏み、欽也と勇作が後ろから車を押す。やがて道路に乗り上げたが珠美は今度はブレーキが分からず、農場の牧草に突っ込んでしまう。

 欽也はもう業者呼ばないとだめになった、と珠美を責めるが珠美は
「なによ!あんたがうんこなんてするからいけないんでしょ!」
 と二人は喧嘩。二人とも泣き出してしまった。

 その後、勇作が農場主(小野泰次郎)に頼み込み、明日に業者が来るまで泊めてもらえることになった。勇作はそのことを二人のいる車中に報告しようとするがまた懲りずに欽也が珠美を無理矢理キスしようとしていて呆れてしまう。

 夜、勇作は欽也に珠美に対して惚れてるのか?と聞くと欽也は若者らしく軽いノリであると打ち明ける。勇作は欽也に説教をはじめる。
「女の子の気持ちがわからないなんてそれでもお前は九州男児か!」
「・・・・」
「今日のお前の行動は、おれの所では“草野球のキャッチャー”と言うんじゃ。わかるか!!」
「いえ、わかりません・・」
「“みっと”もない、と言う意味だ」

 翌朝、勇作は帯広駅で降りると話す。十勝平野の美しい景色、大雪山の白い雪を眺めつつ、やがて帯広駅に到着する。

 帯広の駐車場で、自分勝手に停車して他の車を停めにくくしている車を殴って傷をつける。すると車の中からチンピラ(たこ八郎)が出てきて、必死に謝る欽也に暴力を振るう。

 それを見ていた勇作は「謝っているんだからやめてやれよ」と言うが男は勇作にも八つ当たりする。勇作は頭を掴んで男の頭を車に叩きつけ、ひるんだ隙に車を運転して欽也と珠美を乗っけて出発する。

 やがて勇作は夕張を目指していることをそれとなく話し、欽也と珠美は夕張に寄ることを決める。だが道中で強盗犯を逮捕するための一斉検問にひっかかり、免許証の提示を警官(笠井一彦)に求められるが無免許であることを話す。

 勇作は前までは免許があったが、服役していたために免許の更新が止まった、と話し警官は勇作を署まで連行。驚いた欽也と珠美もその後をついていく。

 警察署内で勇作は自分の逮捕に立ち会った渡辺係長(渥美清)という男と再会する。渡辺は出前をとったラーメン屋の女の子(岡田茉利)に金を払ってから勇作は思い出話に花を咲かせ、ふと勇作の妻のことを聞く。しかし勇作は妻と別れた、と話し渡辺は残念そうにしていた。

 その後、渡辺の計らいですぐに出られることになった勇作。渡辺は困ったことがあったらすぐに来い、と励ました。

 勇作は待っていてくれた欽也と珠美に駅で電車に乗るよ、と気を遣って去って行く。しかし欽也も珠美も放っておけず結局、車に勇作を乗っけてしまう。

 勇作は車の中で欽也と珠美に昔の話をし始める。

 若い頃はやんちゃばっかして刑務所に入るのも自慢のひとつのようなチャラチャラした生活を送っていた勇作。しかし30にもなると自分の生き方に後悔しはじめて福岡から北海道の夕張まで行き、そこで炭鉱夫としての生活をはじめる。

 しかし勇作は生きることに活力を見出せなかった時にスーパーマーケットで働いていた光枝(倍賞千恵子)という女に惚れ込み不器用ながらも普通に会話できるようにまではなった。

 やがて交際をはじめ、ある夜思わず勇作は光枝にキスをする。光枝は驚きその日から数日、勇作を避けるがある日、勇作の家に入って、
「自分はすでに結婚したことがあります。それでもアンタはいいの?」
 と聞き二人はついに結婚する。

 その後、二人は貧しいながらも幸せな生活を送り、ある日ついに光枝が妊娠したかもしれない、と勇作に打ち明ける。病院に行ってくる、という光枝に勇作は酒を買って帰るよ、と話す。気が早い。

 勇作はどうにかして家に着くまでの帰り道で、光枝の妊娠が正確か分からないか?と聞く。光枝は
「もし、妊娠が本当だったら、竿を立ててその先に幸福の、黄色いハンカチをあげておく。もし黄色いハンカチが見えたら、お酒を買ってきてちょうだい」
 と言い勇作は浮かれつつ仕事に向かう。

 夜、勇作はすでに酒を買っていた。やがて黄色いハンカチが見えて天にも上る気持ちになった。

 だが光枝は勇作が止めるのも聞かず働きづめでついに流産してしまう。医者は光枝が流産したのは前にも一回あるだろう、と言い勇作はそれを聞かされていなかったので驚いてしまう。

 夜、勇作は前にも流産したことがあると聞かされなかったことに頭に来ていた。
「隠し事をする女は嫌いなんだ」
「だって聞かれなかったから!話さなくてもいいかと思って・・・」
「まだほかに隠し事はあるのか!それとも他に子供でもおるんか!」
 勇作はちゃぶ台をひっくり返して夕食をメチャクチャにして、家を出ていく。光枝は泣きながら夕食と割れた皿を片付けていた。

 勇作は夜の町で酔っ払い(赤津真人)に激突したことで酔っ払いとそのダチ(高橋伸一郎)に絡まれてしまう。
勇作はボコボコにしてきたダチの方を思わず頭を掴んで何度もコンクリに叩きつけてしまいダチは死んでしまった。勇作は呆然とする。

 そこまでの話を聞いた欽也、珠美。三人はハゲたオヤジ(太宰久雄)が経営する宿屋に泊まり、珠美がなぜ刑期を終えるまでに奥さんが離婚したのか疑問で仕方がないようだ。しかし勇作は光枝に離婚をしてほしいと頼んだのは自分の方だ、と打ち明ける。

 6年の実刑判決が下った勇作。光枝は何度も面会に訪れて待ち続けるつもりだったが、勇作が離婚届に名前を書いて捺印を押してほしい、と言う。
「お前はまだ若いんだ。他に俺よりいい男見つけて、幸せな家庭を築くんだ。わかったな?」
「・・・一緒になった時も別れる時もあんたって勝手な人だねえ・・」
 光枝はむせび泣いた。

 その日以来、光枝は面会に訪れず、ついに光枝が捺印を押したことで離婚が成立した。珠美は勇作に奥さんがかわいそうだ、と責めるが勇作は
「だが塀の中の俺にそのほかになにができたっていうんだ・・」
 と言い、別室に去って行く。欽也も珠美も涙していた。

 翌日、勇作は珠美と欽也に、光枝に手紙を送ったことを話す。
「俺はお前が他の良い男と再婚して幸せになっていることを望んでいる。この手紙がつく頃、俺は夕張行くが、もしも、もしもだ、お前が今でも独りで暮しているなら庭先の鯉のぽりの竿の先に黄色い布をつけておいてくれ、その布を・見たら俺は家に帰る。でも布がなかったら、俺はそのまま夕張を去ってゆく」
 未練がましいと自嘲的に笑う勇作だが珠美と欽也はそれなら夕張へ行こうと夕張まで走らせる。

 夕張に近くなったところで、勇作はやっぱり引き返してほしいと欽也に言う。欽也と珠美は説得するが勇作はいいから引き返せ!と言い欽也は
「なんだよ俺には偉そうに説教したくせに。ガソリン代がムダになったよ」
 と言って引き返す。しかし珠美は納得がいかず勇作を説得しもし黄色いハンカチがあがってなければ札幌駅に一緒に行こう、と最後の説得をし、勇作もそれに押される。

 夕張を走る車の中で、勇作は家に近づくたびにうつむき加減になる。珠美と欽也も「引っ越してるかもしれない。それなら仕方ない」と自信が無くなってくる。

 やがて陸橋を越え、炭鉱町の坂を上り、風呂屋が見え、勇作の家が見えるところに車を停める。勇作はうつむいたまま珠美と欽也が黄色いハンカチを探す。

 なかなか見つからない。しかし欽也が見つけた。それは何枚もの黄色いハンカチがまるで鯉のぼりのように棒にたなびいている光景だった。

 欽也と珠美は勇作を車から降ろしてその背中を押す。勇作は欽也と珠美に背中を押され、何も言わずに家に帰って行った。欽也と珠美は勇作が洗濯物を干して待っていた妻と共に家に入って行く姿を遠くから見守る。

 その後、欽也と珠美は車を路肩に止めて、熱烈な本気の愛情が込められたキスを交わすのだった・・・
 









 この映画は一言で表すなら黄色そのものです。幸福って意味合いもありますが、私はこの黄色に山田洋次が込めた優しさというものを感じました。この映画は本当に優しい物語です。後半になると随所に黄色いのぼりだとか看板が出てきます。その理由は映画を観ればわかりますが、最後の展開を示しているものなんですね。そういった黄色いのぼりが私には山田洋次が最後に、優しさを持ってくるんだぞという意思を感じた気がしました。

 あとは若いカップルと中年カップルの対比がいいですねえ。若いカップルの話を重点に進んでいる場合は私達観ている人が中年男と同じような第三者の視点に立ち、中年カップルの話になった時は若いカップルと同じような視点で映画を観ることができる。なかなか凝っていますねえ。

 あと私個人としては高倉健の不器用さが男としてすっごい共感できるんです。桃井かおりや倍賞千恵子は離婚したことが勝手だ、なんて言ってましたが惚れた女の幸せを不器用に祈り自分は身を引く、という行為自体に一種の男としての美があるように感じるんですよ。女性には理解しづらくて「勝手だ」と一言言われてしまえばそれまでのことなんでしょうけど。

 でも実際にしてしまったら後で未練がましくなっちゃうのも分かるし、会いに行こうとして寸前のところでやっぱり引き返そうとする。共感できます。なんだか実際に会ってもし倍賞千恵子が本当に他の男と結婚していたら、それを考えたら会わずに希望を持ち続けたまま生きていくのがよいのではないか・・・そういう考えが右往左往する気持ち。よく分かります。男ってのは案外、女々しいものなのですよ。

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原作のピート・ハミルのコラムが読める本だそうです
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Category: 邦画サ行
三船敏郎とクリント・イーストウッドの用心棒は本当に安心感がありますねえ。


『荒野の用心棒』(1964年・伊)
荒野の用心棒
スタッフ
監督:セルジオ・レオーネ
脚本:ヴィクトル・アンドレス・カテナ、ハイメ・コマス・ギル、セルジオ・レオーネ
製作:アリゴ・コロンボ、ジョルジオ・パピ
音楽:エンニオ・モリコーネ
配給:ユナイテッド・アーティスト
キャスト
名無しの男ジョー:クリント・イーストウッド
マリソル:マリアンネ・コッホ
シルバニト:ホセ・カルヴォ
棺桶屋ピリペロ:ヨゼフ・エッガー
鐘つきホワン・テディオス:ラフ・バルダッサーレ
アントニオ・バクスター:ブルーノ・カロテヌート
ジョン・バクスター:ウォルフガング・ルスキー
ドナ・コンスエラ・バクスター:マルガリータ・ロサノ
エステバン・ロホ:ジークハルト・ルップ
ドン・ミゲール・ベニート・ロホ:アントニオ・プリエート
ラモン・ロホ:ジャン・マリア・ヴォロンテ


 セルジオ・レオーネ監督作品「荒野の用心棒」。原題タイトルは「Per un pugno di dollari

 淀川長治が「マカロニ・ウェスタン」という呼び名を定着させた映画でもありますね。でもこの映画はどうも中身のない西部劇、という暗喩が込められているという説があるようで、私はそれを知ってしまったらマカロニ・ウェスタンという呼び方は使いたくなくなりますね。では私は正しい呼び方であるスパゲッティ・ウェスタンで呼んでいこうと思います。

 主演はクリント・イーストウッド。彼は元々アメリカのテレビドラマ「ローハイド」ですでに日本でもアメリカでも大人気でした。ローハイドはこの映画の翌年に放送終了していますので、この映画が作られたのはドラマの放映最中だったということですね。イーストウッドもこの映画の撮影が終わったらアメリカに帰ってまたドラマに出ています。

 ストーリーは完全に黒澤明の「用心棒」(1961年)ですね。でもセルジオ・レオーネらは東宝に許可を取っていなかったので訴えられちゃいました。結局、レオーネ側が負けて金を払ってますね。でもこの払った金額というのが少なくて黒澤明は日本の映画に疑問を持ち、ハリウッドへ行く原因にもなったそうですよ。

 この映画はぜひ吹き替えで観たかったです。山田康雄のクリント・イーストウッドで痺れたかった。今度、吹き替え版も観賞しますよ。


【あらすじ】

 アメリカとメキシコ国境にある小さな町サン・ミゲルに一人のガンマンが流れついた。ガンマンはこの町で二つの勢力が抗争状態であることを知り、この二つの勢力を同士討ちさせて壊滅させてしまおうと目論み、酒場のオヤジに泊めてもらう・・・


♪ エンリコ・モリオーネ


荒野の用心棒のシーン













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 アメリカ=メキシコ国境の小さな町サン・ミゲル。

 ガンマンのジョー(クリント・イーストウッド)はサン・ミゲルにやってきた。

 町に入って最初に見た光景は、子供がママであるマリソル(マリアンネ・コッホ)に会おうとして太った男チコ(マリオ・ブレガ)に威嚇射撃され、子供の父が理不尽な暴力を受け、町を追いだされそうになっているところだった。

 町に不審な予感を感じたジョーは町の鐘つきホワン・テディオス(ラフ・バルダッサーレ)に話しかけられ銃を買いたいのか?とかしつこく聞かれる。

 その後、ジョーはバクスター家の子分たちからからかわれて馬の足元を撃たれ馬が暴れてしまう。ジョーは馬を下りて、近くの酒場に入り込んだ。

 酒場のオヤジのシルバニト(ホセ・カルヴォ)は酒をおごり、ジョーにさっさと町を出ていくよう勧める。

 この町では酒を売り物としているロホ兄弟と銃を売り物としているバクスター家の二大勢力がいるらしい。この二つの勢力は抗争状態にあるが、どうやら今のところロホ兄弟が有利らしい。しかし町自体は物寂しく、儲かってるのは棺桶屋のピリペロ(ヨゼフ・エッガー)くらいらしい。

 ロホ兄弟にはラモン・ロホ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)という凄腕ガンマンがいるらしい。ジョーはあることを思いつき、ロホ家に向かって俺を雇え、と叫んでからバクスター家の方へ向かっていく。

 バクスター家では先ほどジョーを馬鹿にしたガンマン4人ほどがいた。ジョーはそのガンマン4人に先ほど馬を馬鹿にした仕返しだ、とか言ってガンマンを4人とも撃ち殺してしまう。

 そこにジョン・バクスター(ウォルガング・ルスキー)という保安官が出てくる。ジョンはジョーに対して逮捕して処刑するぞ、と脅すがジョーは使えない保安官は遺体でも埋めてろ、と一蹴して去って行った。

 ロホ兄弟の屋敷に入れてもらったジョー。ドン・ミゲール・ベニート・ロホ(アントニオ・プリエート)は彼を用心棒として気に入り100ドルで雇うことを決める。エステバン・ロホ(ジークハルト・ルップ)はアメ公ごときに100ドルも払うのか!と反発するが、ミゲールはジョーの腕を恐ろしがり飼いならすことを決めていた。

 ジョーはとりあえずこの屋敷で寝るのは嫌になったので、酒場のシrバニトに泊めてもらうことに決める。

 やがて町にメキシコの騎兵隊が巡回にやってきた。ジョーはシルバニトと馬車の積み荷には何が入っているんだろう、と会話をしていた。

 翌朝、ジョーはシルバニトと不思議な動きをする騎兵隊を追いかける。やがて騎兵隊は川岸に止まった。

 騎兵隊はどうやらアメリカ北軍の格好をした連中と武器の取引をしているようだ。しかし突然、北軍の連中が騎兵隊をガトリング銃で撃ちまくり騎兵隊を壊滅させてしまう。

 どうやら北軍の格好をしたラモン・ロホ率いるロホ家のメンバーたちだった。ロホ家は騎兵隊が所持していた金塊を奪って去って行く。

 ロホの屋敷に戻ったジョーは何食わない顔でラモンと挨拶する。ラモンは町でバクスター家との抗争を止め和平協定を結ぼうと考えているようだった。夜にでも一緒に会食の算段らしい。

 ジョーはバクスター家とロホ兄弟の間で同士討ちを起こし、二つとも壊滅させようと目論んでいたことをシルバニトに話す。シルバニトは大笑いし、抗争が終わったらお前さんはお払い箱だ、とこの町から去ることを再び進言する。

 夜。バクスター家からジョン、息子のアントニオ(ウォルフガング・ルスキー)、そしてジョンの妻で旦那を尻に敷くドナ・コンスエラ・バクスター(マルガリータ・ロサノ)が出ていき会食のためにロホの屋敷へ向かう。しかしコンスエラはかなり警戒していた。

 一方、ジョーはシルバニトを連れて棺桶二つを持って墓場に来ていた。ラモンが殺害したメキシコ兵士2人の遺体を、川から拾って墓場に放置した。ジョーにはある考えがあるようだ。

 ジョーはまずバクスター家に戻ってきたコンスエラとジョンに金塊を騎兵隊から強奪し、生き残りの兵が墓場にいる、ということを話す。その兵士がすでに死体となっているとも知らず。

 裁判でその兵士を証言台に立たせるべく保護しに向かったバクスター家の面々。その後、ジョーは今度はロホの屋敷に行き生き残っていた兵を保護しにバクスター家が向かった、ということを話す。ロホ兄弟らはすぐに兵士の口封じをするために墓場へと向かう。

 墓場で兵士二人をめぐって銃撃戦が展開された。その兵士二人がジョーの用意したメキシコ兵の死体である、とも知らず。やがてラモンが兵士二人を撃ち、バクスター家は撤退。道中にアントニオ・バクスターがロホ兄弟に捕らわれてしまう。

 一方、ロホの屋敷に残っていたジョーは倉庫の見張りを気絶させ倉庫に潜入して金塊の入った樽を発見し、金塊の入った袋をいくつか持っていく。

 やがて倉庫の怪しい気配を察知したマリソルが倉庫に入ってきてジョーは彼女を思わず気絶させてしまう。やがてロホ兄弟が屋敷に帰ってきてアントニオを誘拐した、ということをジョーは聞き、マリソルを抱えてバクスター家へ向かう。

 バクスターの屋敷にマリソルの身柄を引き渡したジョー。翌日、マリソルとアントニオの人質交換が行われるが途中、様子を見に来たマリソルの夫だった男フリオと息子ヘススが出てきてしまう。

 マリソルはラモンが気に入っている妾の女だった。しかしマリソルはフリオの妻で、ラモンが半ば強引に奪ってフリオとヘススに殺されたくなければ町から出ろ、と再三脅していた。

 マリソルはヘススの顔を見て思わず抱き着いてしまう。フリオもやってきて壊された家族は再会の涙を浮かべていた。

 気に入らないラモンはフリオとヘススを射殺するよう指示。部下がヘススを殺そうとするが、シルバニトがショットガンを持ち出しその部下を脅す。

 ジョーはマリソルにラモンのところへ戻るよう指示。マリソルはラモンのところへ戻って行きヘススはまた泣きじゃくる。

 一方、戻ってきたアントニオをコンスエラはビンタする。こうしてその場は収められた。

 夜。ロホ兄弟の屋敷では宴会が開かれ、お遊びでジョーが鎧を撃っていた。その後ろからラモンがウィンチェスター銃で鎧の心臓部分を正確に狙い撃ちしており、
「俺は心臓を撃って必ず仕留めるんだ」
 と得意げに語り、普通の拳銃よりウィンチェスター銃の方が強いと語っていた。

 酔っ払ったジョーは寝室に運ばれベッドに寝かされた。しかしそれは演技でジョーはベランダから出てマリソルが捕らわれている小屋に向かう。

 小屋に入ったジョーは見張りを皆殺しにし、大勢の犯行であるように現場を見せてからマリソルを解放し、フリオとヘススに引き合わせ金塊を渡して遠くに逃げるよう言う。

 マリソルはなぜこんなに優しくしてくれるのか、と聞くとジョーは昔助けられなかった女がいた、と話し三人を逃がすのだった。

 やがて銃声を聞きつけたロホ兄弟の増援が到着。ジョーは増援の目を盗んで、屋敷に戻る。

 屋敷に戻りベランダから自分の部屋に入ろうとした時、部屋には先客が。ラモンだった。ジョーがマリソルを逃がしたことがバレてしまったのだ。

 その後、ジョーは拷問を受ける。徹底的に痛めつけられるがマリソルの居場所を吐かなければ殺されはしなかった。ジョーは頑なに白状せず、半殺し状態で一旦は引き上げる。

 再び拷問を再開しようとした子分二人をジョーは大きなタルを転がして返り討ちに潰して、廊下に隠れる。

 やがてラモンらが拷問部屋に入り込み、ジョーを探す。ジョーはその隙に入口に火を放ち、屋敷を脱出する。

 ラモンらはすぐさま町を捜索。酒場に殴り込み、シルバニトをリンチして吐かせようとしたりしていた。その場面を目撃したラモンは棺桶の中に隠れ、棺桶屋のピリペロに町の外の廃坑まで連れて行ってくれるよう頼む。

 道中、バクスター家に差し掛かる。ロホ兄弟はジョーがバクスター家に逃げ込んだのでは、と思いバクスター家を奇襲。爆弾を仕掛けたり放火したりして家の中の住人たちを外へ誘き出す。

 家から逃げ出したガンマンたちを次々と殺害するロホ兄弟たち。やがて丸腰のジョンとアントニオが出てきて投降して町から出ていくから殺さないでくれ、と頼み込むがロホ兄弟は容赦なく彼らを殺害する。

 最後に出てきたコンスエラはロホ兄弟を人殺し、と罵るが彼女も無残に殺害される。その一場面を棺桶に隠れて目撃していたジョーは
「ショーは観終わった。さあ行ってくれ」
 と頼む。

 廃坑で身体を回復させていたジョーは鉄板をやすりで削って細工し、その鉄板に銃を撃ちこんでいる。どうやら鉄板の強度を確認しているようだ。

 やがてピリペロが情報を持ってやってきた。どうやらシルバニトが意地でもジョーの居場所を吐かないので吊るされたらしい。ジョーはピリペロからガンベルト、リボルバーとオマケでダイナマイトを渡される。

 町ではシルバニトの老体が吊るされ拷問を受けていた。そんな時、突如町で爆発が起こる。

 煙をバックにジョーが歩いてくる。ラモンはジョーの心臓を撃ちジョーは倒れた。

 しかしジョーは起き上がってくる。何度撃ってもジョーは何度も起き上がって近づいてきた。ラモンは恐怖で仕方がない。

 やがてジョーは腹の中に隠していた鉄板を見せつける。そこには弾痕が。ラモンは呆然としている隙にジョーは5発撃ってラモン以外のミゲール含めた5人を撃ち殺す。

 それからラモンはシルバニトの吊るされた綱を撃ち落とし、シルバニトを解放させる。

 生き残ったラモンにジョーは「拳銃よりウィンチェスター銃の方が強いかどうか証明してみろ」と言ってジョーが落としたライフルを拾わせる。シングルアクション弾倉固定のリボルバーとレバーアクション、チューブ弾倉のウィンチェスターライフル銃との実包装填からの勝負となる。

 装填が早い分、ジョーのリボルバーの方が銃口を向けるのが早かった。ジョーはラモンを撃ち、ラモンは苦しみやがて息絶える。

 やがてジョーが近くの建物の2階から水平2連ショットガンで狙われる。それを解放されたシルバニトが別の水平2連ショットガンで撃ち、ジョーを狙っていたエステバンが撃ち殺される。

 棺桶屋のピリペロが嬉しそうに死体の寸法を測っていた。シルバニトはジョーに治安が良くなるだろうから、もう少し居ないか?と誘う。ジョーはもうすぐ来るであろうメキシコやアメリカ政府に縛られるのはゴメンだぜ、と言って馬で去って行った・・・

※画質悪いので注意

A Fistful Of Dollars final scene-bir avuc dolar... 投稿者 karazeybek1919






 この映画は西部劇に転換したからこそ、オリジナルよりよくなったシーンとかもありますね。例えばオリジナルの「用心棒」では仲代達矢がアッサリとやられますが、ラモンはなかなかにしぶといですねえ。刀だから良い、というオリジナルのシーンもあれば、銃だからいい、というこっちの映画のシーンもあります。

 まあ本音を言えばオリジナルの方が好きですね。何せ向うはキャストも脚本もとにかく完璧ですから。しかしこっちの荒野の用心棒だって並ぶまではいきませんが、かなり頑張って近づいている作品だと思います。刀と銃の良さ、味の違いがオリジナルも観てこっちも観れば比較できていいですよねえ・・・

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アメーバの私が書いた過去の記事からそのまんまパクってきました。要は転載というやつです。


『007 ドクター・ノオ』 (1962年・英)
007 ドクター・ノオ
スタッフ
監督:テレンス・ヤング
原作:イアン・フレミング「007 ドクター・ノオ」
脚本:リチャード・メイボーム、ジョアンナ・ハーウッド、バークレイ・マーサー
製作:ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
音楽:モンティ・ノーマン
撮影:ピーター・ハント
キャスト
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー(若山弦蔵)
ジュリアス・ノオ:ジョセフ・ワイズマン(有本欽隆)
ハニー・ライダー:ウルスラ・アンドレス(弓場沙織)
M:バーナード・リー(藤本譲)
マネーペニー:ロイス・マクスウェル(泉裕子)
ライター:ジャック・ロード(家中宏)
デント教授:アンソニー・ドーソン(稲葉実)
ストラングウェイズ:ティム・モクソン
クォーレル:ジョン・キッツミラー


 テレンス・ヤング監督作品「007 ドクター・ノオ」。公開当時の邦題は「007は殺しの番号」。原題は「007 Dr. No

 007シリーズ第6作品目の小説。映画化シリーズでは第1作品目となります。

 ほとんどの日本人にとってコネリーといえば、真っ先に007がでてきますね。私もまだ007はこれしか観てませんが、ジェームズ・ボンドといえばショーン・コネリーというイメージが強くなりましたね。

 さて吹き替えはDVD新録版でした。若山弦蔵が昔に収録した時より低くなっているんですよね。ですがこの吹き替えは悪くはないでしょう。まあ、昔の収録したキャストよりかは良くはないですが。まあ私も吹き替えの比較動画でしか昔のは聴いたこと無いんですけどね。

 ジェームズ・ボンドというのは、一応スパイらしいですよ。アクション色多いスパイですね。まあ、映画の中のスパイなんてそんなもんですかね?とにかくこの映画は今後の世界のスパイ物映画に大きな影響を与えたんじゃないでしょうか。それだけこの映画は影響力が強いですしシリーズが今でも続くのも納得です。


【あらすじ】

 1962年、冷戦の真っただ中。英国情報部「M16」に所属する007ことジェームズ・ボンドは同僚のストラングウェイズとその助手が消息不明となった件の調査を命じられる。ボンドは調査中、何度も命を狙われるがその中で、ストラングウェイズが詳細不明の中国人科学者ノオのことを調べていたことが明らかとなっていく・・・


OP映像


007 ドクター・ノオのシーン












【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後、ネタバレ文あり




 英国情報局(M16)ジャマイカ支局長ストラングウェイズ(ティム・モクソン)が秘書と共に何者かに殺されてしまう。

 ストラングウェイズは本局からアメリカが発射させようとしている月面ロケットの軌道を電波妨害する正体を掴むように、という任務を受けていた。

 諜報員のひとり、〝007〟の番号を得ているジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は本部長のM(バーナード・リー)に呼び出される。ボンドは秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に手をつけようとするがMはそれを叱咤する。

 Mはボンドにストラングウェイズが殺された件を調査しにジャマイカに飛ぶよう指示する。

 ボンドは空港に到着して真っ先に迎えに来た運転手を偽物だと見破り、逆に拳銃をつきつけ誰に雇われたかを問いつめるがその男は服毒自殺をしてしまう。ボンドは自分の抹殺を命じた雇い主がどれだけ部下に恐れられた存在なのかを再認識する。

 その後、ボンドはストラングウェイズのカード友達であるデント教授(アンソニー・ドーソン)と会う。デント教授の証言によりボンドはストラングウェイズが船を借りた地元漁師クォレル(ジョン・キッツミラー)に興味を持つ。

 クォレルを問い詰め、彼がCIAのライター(ジャック・ロード)の協力者であるとつかんだ。

 ライターとクォレルは港から離れた大きな島に、表向きは採掘業者のCIAですら詳細が掴めない中国人博士ノオ(ジョセフ・ワイズマン)の存在があることを知らされる。

 島は〝クラブ・キー〟と呼ばれ現地住民は島にドラゴンが住んでいる、という言い伝えを信じ近寄らなかった。

 ボンドは島にひそかに潜入したストラングウェイズが島の石を持ち帰って、デント教授に分析を依頼していたことをクォレルから聞く。だがデント教授はその石には何もない、と答えたという。

 一方、デント教授は島に行きドクター・ノオから次の指示を仰いでいた。ドクター・ノオはデントに毒蜘蛛をボンドに仕掛けて仕留めろ、と命じる。

 夜、ベッドの上で毒蜘蛛が体に乗っていることに気付いたボンドだったが息を殺し何とかやり過ごした。

 総督官邸を訪れたボンドは官邸内にドクター・ノオのスパイがいることを察知し総督の秘書ターロー(ジーナ・マーシャル)に接触。ターローに家に御呼ばれする。

 しかしその道中でボンドは自分を攻撃してくる車の追跡に遭う。何とかその車を崖下に転落させ車が燃えたことにより無事に〝葬儀〟も済ませたボンドはターローの家に到着する。

 ボンドはターローと情事を交わしてから彼女を警察に連行させる。そしてターローに呼ばれ家に到着したデント教授。ボンドはデント教授を殺害する。

 その後ボンドはライター、クォレルと共にクラブ・キーに上陸する。ライターとは別行動をとるボンドとクォレル。

 翌朝、ボンドは島で貝を拾いに来たという女性ハニー・ライダー(ウルスラ・アンドレス)と遭遇する。だが彼女のボートが襲撃されボンド、ハニー、クォレルは逃亡する。

 そして夜、ボンドはハニーが父親がドクター・ノオに殺されたことを聞かされる。やがて島の恐れられた〝ドラゴン〟が正体を現す。

 それは火炎放射器を備えた戦車だった。クォレルは火炎放射器で焼き殺されボンドとハニーもやむなく投降する。

 その後、ノオの海底施設アジトに連れてこられた二人はまず、放射能に汚染したということで衣服を脱がされシャワーなどで除染させられる。
ここのウルスラ・アンドレスのセクシーさがたまらない。見ようによってはセクシーではないだろうが、思わず巻き戻してしまった。

 そしてボンドはドクター・ノオに夕食会に呼ばれる。ドクター・ノオはボンドに自分が東にも西にも属さず独立した犯罪組織〝スペクター〟の一員として世界征服を目論んでいることを聞かされる。

 ボンドはノオに当局に島を包囲する要請した、とハッタリで脅すがノオは全く動じなかった。ノオは逆にボンドに自分に与するよう誘い込むがボンドはそれをバカにして拒否する。

 ノオはボンドを部下に痛めつけさせ牢獄に監禁させる。ボンドは通気口の電気が流れる扉をスリッパで恐し、通気口から管制室に潜入する。管制室ではノオがロケットに対し電波妨害工作を行おうとしていた。ボンドはそれをなんとか阻止。工作は失敗する。

 ノオの部下たちが襲い掛かるのをボンドは追い払う。

 やがて電波妨害阻止のためにボンドが原子炉爆発を設定してしまったことによりノオの部下たちは次々と逃げ出す。ドクター・ノオはボンドに自ら襲い掛かるが原子炉に突き落とされその野望と共に消滅する。

 ボンドはハニーを救出し島から脱出。海底施設は大爆発する。

 その後、漂流した二人は救援に来たライターに曳航してもらう。ボンドとハニーはボートの中で愛し合うのだった。






 典型的な娯楽映画ですね。だからすごくジェームズ・ボンドのアクションにハラハラしましたし、ボンドつえええなんて思ったりもしました。それにしたってこのコネリーのボンドが渋い。吹き替えが若山弦蔵ってのも渋い。だがコネリーそのものが渋い。

 渋み+アクションの楽しさが調和されたコネリーのボンド像。一見、合わないようにも見えますが実際に観てみればコネリーが確立させた渋ボンドがどんなものか分かると思います。

※私はブルーレイで観ましたが吹き替えならこのTV初放送のヤツがオススメです。
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g@me.

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東野圭吾原作の映画ですね。どんどんどんどんどんでんでんでんでん返しの映画です。


『g@me.』(2003年・日)
g@me.
スタッフ
監督:井坂聡
脚本:尾崎将也、小岩井宏悦
原作:東野圭吾「ゲームの名は誘拐」
製作:亀山千広、島谷能成、遠谷信幸、武政克彦
製作総指揮:関一由、宅間秋史
音楽:松原憲
主題歌:ZEEBRA「It's all a game」
撮影:佐々木原保志
編集:阿部亙英
配給:東宝
キャスト
佐久間俊介:藤木直人
葛城樹理:仲間由紀恵
葛城勝俊:石橋凌
小塚茂:宇崎竜童
安藤純平:IZAM
杉本智也:入江雅人
年配の刑事:ガッツ石松
敏腕刑事:椎名桔平
制服警官:小日向文世
葛城の部下:生瀬勝久


 井坂聡監督作品「g@me.」

 先述したとおり、どんどんでんでん返しの映画ですね。ストーリーとっても面白い。ここでこう来るか!こうなっちゃうのか!とストーリーのどんでん返しにただただ視聴者は翻弄されるだけ。フリーメールが発信者の身元を特定しないっていう部分はちょっと穴があると思いますがそれを補うほど面白い。

 井坂監督さん。「Focus」(1960)という作品で劇場映画にデビューしました。この人はTVでも映画でも監督やってますね。この人の作品はこれが初めてです。

 井坂さんは原作者・東野圭吾に「映画を作るうえで登場人物の描写を付け足したい」と東野に許可をとったんですね。さすがに本に比べて多少、描写が不足しているところも例えば主人公とヒロインの出会ったことが偶然なのか、それとも故意なのか、などの部分もあったでしょうが、それにしたってなかなかにいい出来と言えますよ。

 実はこの映画、原作よりストーリーが延長されてるんですよ。だから終盤はほとんどオリジナルストーリーといえるでしょう。井坂監督なりのストーリーの延長。この映画を観る方はラストを作ったのは東野圭吾でなく井坂聡ら映画スタッフである、ということを覚えておいてください。


【あらすじ】

 広告クリエイター佐久間俊介は取引先の社長・葛城勝俊に企画を白紙にされ恨みを持つ。そんな時、葛城の家をブラブラしていると勝俊の娘が家出する場面を目撃する。その夜、勝俊の娘・樹里は俊介に狂言誘拐をしないかと持ちかける。















【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 一流広告クリエイター・佐久間俊介(藤木直人)は取引先の広告主・葛城勝俊(石橋凌)に手がけた仕事を蹴られてしまいプライドをガタガタに傷つけられてしまう。

 頭に来た佐久間は葛城邸のあたりをウロついていたが、その邸で勝俊の娘が邸宅をコッソリと逃げ出す場面を目撃してしまう。

 俊介はすぐにその娘に接触する。娘はどうやら勝俊の愛人の娘・樹里(仲間由紀恵)というらしい。俊介は仕方なくその樹里を自分の家に泊めてやることにした。

 その晩、樹里は
「…ねぇ、“わたし”のこと誘拐しない?」
 と俊介に持ちかける。どうやら樹里は海外に逃げたいらしく、3億円を山分けしないかと誘う。俊介はその時はバカバカしいと一蹴する。

 翌日、俊介は自分の立ち上げた広告プログラムが勝俊によって白紙にされ上司・小塚茂(宇崎竜童)からプログラムは別の広告クリエイター・杉本智也(入江雅人)に引き継がれてしまったということを聞かされる。

 憤慨しプライドを傷つけられた俊介はすぐに樹里の誘いに応じることを決める。
「“俺”は、ゲームにはいささか自信があるんだよ」
 樹里も最初は戸惑っていたが計画を遂行するにあたり満足そうだった。

 その後、俊介は葛城邸あてに送り主を分からなくするフリーメールを送る。そして相手側にインターネットによる特定BBSに“樹里”で書き込むように指定する。

 捜査を担当するのは昔のドラマのような年配刑事(ガッツ石松)ではなく、エリート刑事(椎名桔平)だろうと俊介は予測。勝俊は絶対に屈しないと宣言する。そして千春の捕らわれたかのような写真を撮っておく。

 翌日、出勤前に樹里が偉そうにするな、と俊介にあたる。出勤した俊介は葛城勝俊の突然の方面を受け驚く。勝俊は仮面を使った俊介のCGに興味を持ち
「君は自分の仮面を被っても仮面に責任を持てるかね?」
 と意味深な発言をする。

 その後、今度は樹里が訪問してくる。俊介は焦るが樹里は自分一人で狂言誘拐を行おっかなあ、と言う。俊介は樹里を引き止め、今後は偉そうなことはしないと約束する。

 パソコンのBBSに書き込みがあった。内容は「娘の無事を確認させろ」、とのことだった。やがて樹里が、家出した日に友達に留守電を残していたことを打ち明ける。

 一度は計画の頓挫を考えた俊介だったが樹里が友達の家に入って留守電を消す手段があることとその友達の家が横須賀にあると聞き、計画の再開を宣言する。

 まず横須賀の友だちの家に入った樹里は留守電を消す。その後、俊介は樹里を連れてラブホテルに入り込み、アリバイ工作を怠っていないことと電車の効果音をバックに流して樹里の元気な声を聞かせてやった。

 その後、樹里と俊介の二人は埠頭の方へ行き、やがて二人は吊り橋効果からか、恋に落ちてしまう。それが誤算だったのだ。樹里は無邪気に金を手にしたらオーストラリアで金鉱を掘りたい、と話す。

 翌日、ついに計画が始動。まず3億円を銀行で古い紙幣に変えさせ、緑のジャガーに勝俊を乗せて、首都高の休憩所パーキングに止まらせる。そしてその停車させた車から葛城の会社の支店長に電話し副社長が倒れたから大事な書類を緑のジャガーから回収してほしい、と騙し込んで3億円を支店長に回収させる。

 その俊介と樹里はそれをホテルの部屋から眺めていた。その後、ホテルを出る際に樹里が過去にからまれたことがある安藤純平(IZAM)を目撃する。俊介はその純平の目をうまく盗んで樹里を先に行かせる。支店長から見つからずに金を受け取った、樹里と俊介だった。

 うまく金を受け取った樹里と俊介。樹里は別れを惜しんでいるが、俊介は冷静に事を進めようとする。しかし樹里は
「いっしょに逃げない?どこでもいいから。もう会えないのは嫌だ」
 と言うが俊介はそれでは公開捜査になり“ゲーム”に勝てないとそれを断り、目隠しを樹里にして別れを告げキスをする。

 翌日、誘拐事件の記事がないことに疑問を抱いた俊介はBBSを見る。“樹里”によれば「金を払ったのになぜ娘が帰って来ないのだ」という書き込みだった。

 やがてテレビのニュースが葛城樹里が行方不明になっている、という報道をする。しかし俊介が観た“葛城樹里”は自分と組んで狂言誘拐した女とは全くの別人だった。

 俊介はテレビ局に探りを入れ、得た情報は実は葛城勝俊が警察に電話をしておらず、一人で身代金を支払ったのでは、ということだった。

 訳が分からなくなった俊介は街頭テレビで葛城樹里の遺体が発見されたことを観る。その遺体は自分の知っている樹里ではなく、しかもその遺体は俊介と樹里を名乗った女が一緒に行った埠頭でだった。

 夜、帰宅した俊介は合鍵を返されたハズの樹里を名乗った女と再会する。その女の正体は次女・千春だった。

 千春は薬で頭がおかしくなってしまった樹里と揉め合いの末に殺害してしまい、安藤純平の家を訪れてレイプまがいのことをされそうになったのだ。

 千春はその後、俊介と出会ってから父・勝俊に電話をする。そして父・勝俊は状況を冷静に判断し俊介を利用しての狂言誘拐を千春にさせるのだった。

 俊介は千春の持って来たワインを飲んでしまう。その中には毒が盛られていた。シナリオは犯人・俊介の自殺で幕を閉じるのか、と俊介は悔しそうに倒れ込む。

 その後、自分の持ち分をコインロッカーで回収した樹里。樹里はアタッシュケースに隠されたもう一つのカギを見つける。そのカギで隣のロッカーを開けると俊介の取り分のアタッシュケースが。その中には金とシャベルがあったのを見つけて驚く。

 やがて俊介が目を覚ます。目を覚ました俊介に電話がかかる。それは葛城勝俊からだった。

 俊介はレストランで勝俊と謁見する。勝俊によればワインに持ったのは毒ではなく睡眠薬であること、樹里の麻薬常習者である事実を隠すこと、そして俊介が優秀な男であるから計画に利用した、と話す。

 ゲームは利用しようとして仮面を被り逆に利用された俊介が勝俊に負けたのだった。勝俊はタダで自分に協力した褒美として俊介にあることを教える。それは樹里が身代金を奪う前に一度、計画をやめたいと提案したことだった。

 勝俊は妻を紹介する。その妻は俊介が一度、横須賀で会っていた女性だった。勝俊はもう君の役目は終わりだ、と告げて去って行く。

 大学のキャンパスを歩いていた千春は俊介から電話されて驚く。俊介は
「自分の気持ちまで偽る必要はない。明日、一緒に海外へ飛び立とう」
 と誘う。千春はそれを断ろうとするが・・・

 翌朝、空港で俊介の指定された場所に来た千春。千春が来たのを確認した俊介は急用でシドニー行きの飛行機に遅れるが絶対に行く、というメールを千春に送る。千春はメールの「駆け落ち」という部分を見て無邪気に喜んでいた。

 俊介はすぐさま勝俊に電話をかける。内容は千春を誘拐した、と。そしてフリーメールで俊介は勝俊に千春と誘拐計画を計画した当日に捕らわれたかのように撮影した写真を送りつける。

 千春は父・勝俊から電話を受け事態を知り、すぐにあるホテルへ向かう。一方、勝俊も警察を引き連れてそのホテルへ向かっていた。誘拐犯・俊介を逮捕するために。

 千春は俊介に「もうすぐ部屋に父が連れてきた警察が来る」と話す。そして勝俊は警察官を連れて部屋をノックする。

 その部屋には安藤純平がいた。純平によれば葛城の秘書を名乗った男がこの部屋で葛城を待て、と言ったらしい。警察官は純平の部屋で千春誘拐の証拠になりそうなものを発見した。警察官は純平を連行していったのだ。

 実は俊介があらかじめ部屋を細工して取り換えていたのだ。勝俊は俊介のところに行き「私の負けだよ・・・」と言い去って行く。

 千春は俊介にビンタをして去ろうとしたとき、俊介がシドニー行きのチケットを持っていることに気付く。
「行っただろ。遅れるけど行くって」
 千春は俊介に涙して抱き着くのだった。

 翌朝、千春はいない。千春は動画を残しており、
「佐久間のこと大好き。でも私は樹里を殺してしまったのも事実。だから私は私にとって一番つらい選択をする。それは佐久間とお別れをすること。じゃあね」
 俊介はひとりつぶやく。
「ゲームオーバーか・・」










 この映画は実際に観て、なおかつ小説も観ないと理解できないと思います。私も映画だけ観ても70%しか理解できず原作を読んだ父に教えてもらいながら理解しました。実は原作小説は俊介が眠らされて、その後に勝俊に事件のすべてを打ち明けられるところで終わっているようです。この終わり方は映画に比べてとってもとっても冷酷なものですね。

 もし、私の稚拙な文で理解できなかった方はもうちょっと分かりやすくしたつもりの解説を下に書こうと思います。それでも理解できなかったら小説と映画両方観て読んでくださいな。この映画


 まず、葛城副社長が佐久間俊介に恨みを持たれ、俊介が葛城の家をウロウロしていたときに千春が家を抜け出したところは偶然です。

 このとき、千春は思わず安藤純平によって与えられた麻薬を常習していた樹里を殺してしまいました。その後、千春は俊介と出会い、父・勝俊に電話で相談。勝俊は実の娘が麻薬に関わっていたと世間に知られることを恐れ、狂言誘拐をするよう命じます。

 千春は俊介に狂言誘拐を持ちかけます。勝俊相手に3億円を要求。しかしその狂言誘拐の計画自体すでに勝俊が計画したものでした。だから勝俊は警察に通報しません。

 その後、千春は友達の家に留守電を残した、と言って横須賀まで行きます。横須賀には樹里の死体が。実は横須賀で千春がいなくなった隙に千春の母が警察官と共に俊介が停めていた車を移動させてほしい、俊介に頼んできました。

 この時点で俊介が横須賀にいる、と千春の母によって警察官に認識させられました。つまり勝俊は俊介に樹里殺しの罪を着せようとしていたんです。

 その後、勝俊は俊介の指定通り動き3億円を俊介に渡させるのです。その後、樹里がいなくなったことを警察に伝え、樹里の死体が横須賀で発見されます。

 そして千春は勝俊に睡眠薬を盛ったワインを飲ませ、勝俊の部屋で自分が過ごした形跡を証拠隠滅しました。

 その後、電話で勝俊は俊介を呼び出し狂言誘拐の計画は自分が練ったもので、俊介は負けたんだと言い去って行きます。きっと俊介は勝俊に恨みを持っていたこと、横須賀にいたことを警察は掴んで俊介を樹里殺しの犯人だと認識されるでしょう。そう勝俊は仕向けたのです。

 実はここで小説は終わりですね。こっからは映画独自のオリジナルストーリィ展開。

 しかし俊介も黙っちゃいない。その後、千春に接触し一緒にシドニーに行こうと誘います。

 そして空港に来た千春を確認してから勝俊に千春を誘拐したと通報。勝俊は千春に電話して千春の無事を確認してからこの際、俊介をとっ捕まえてしまおうと警察を連れて俊介が交渉に呼び出したホテルの部屋へ向かいます。

 千春もその部屋へ向かう途中、俊介を発見し俊介の入った部屋へ一緒に入り、もうすぐ父が来るから逃げられない、と話す。

 しかし俊介が入った部屋は交渉のために指定した部屋とは別の部屋だった。一方、勝俊は警察官を連れて交渉をすすめるための部屋へ入る。そこには安藤純平が居ました。

 俊介が勝俊の秘書を名乗って、安藤純平にその部屋にいるよう指示していたのです。脅迫された金を勝俊が届けにくる、と嘘をついて。

 純平がいた部屋にはあらかじめ細工されておりさも千春を誘拐したのが、純平であるような証拠品も警察に見つかってしまいます。純平は警察に連行されます。

 勝俊は俊介にしてやれました。もうこうなったら純平を樹里殺しの殺人犯に仕向けるほか道はありません。しかし警察が樹里殺しのことで純平を捜査したら必ず麻薬のことは明かされてしまうでしょう。何をしても勝俊は損害を被る。つまり、ゲームは最終的に勝俊の負けでした。

 その後、俊介は本気で惚れ込んでしまった千春に一緒にシドニーに行こうと誘います。千春も本気で俊介に惚れ込んでおりそれを喜びますが、翌日には俊介のもとを千春が去ります。樹里を殺してしまった自分に対する一番の罰と考えて。結局、俊介もゲームには勝てませんでした。



 この映画では本当に登場人物すべてがゲームをして、結局は誰も勝てなかったところが本当に面白い。犯罪を利用したゲームは誰もが得しない、そんなことを示しているような気がしました。

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(2004/05/14)
藤木直人、仲間由紀恵 他

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原作小説
ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)
(2005/06/14)
東野 圭吾

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Category: 邦画カ行
10分に一回はパンツが見えるアニメ映画


『ストライクィッチーズ 劇場版』(2012年・日)
ストライクウィッチーズ 劇場版
スタッフ
監督:高村和宏
脚本:ストライカーユニット
原作:島田フミカネ、Projekt kagonish
製作会社:第501統合戦闘航空団 活動写真、AIC
配給:角川映画
キャスト
宮藤芳佳:福圓美里
服部静夏:内田彩
リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき
エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵
フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美
サーニャ・V・リトヴァク:門脇舞以
エイラ・イルマタル・ユーティライネン:大橋歩夕
アメリー・プランシャール:矢作紗友里
山川美千子:佐藤有世
ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン:高森奈津美
ルチアナ・マッツィ:広橋涼
マルチナ・クレスピ:水橋かおり
ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネ:野水伊織
宮藤清佳:天野由梨
結城兵曹長:星野充昭
ドナルド・D・アイゼンハワー元帥:辻親八
モントゴメリー:中田譲治
戦艦「天城」艦長:菅生隆之
秋本芳子:翠準子
アレクサンドラ・イワーノヴナ・ポクルイーシキン:原由実
フェルナンディア・マルヴェッツィ:森永理科
ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン:川澄綾子
ハイデマリー・W・シュナウファー:植田佳奈
坂本美緒:世戸さおり
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵


 高村和宏監督作品「ストライクウィッチーズ 劇場版」

 もともとは原作っていうのはメディアミックスで原作が一つ、というわけでは無いみたいなんですね。このストライクウィッチーズのストーリーというのはアニメから始まり、その後その続きとして劇場版が作られました。その劇場版がこの作品ですね。だから実はこのストライクウィッチーズ系列の作品の原作とかイマイチ、ピンと来なくて私にはよく分かりませんね。

 この映画というのは、別にテレビアニメを観てなくても多少のあらすじみたいなセリフはあるので理解できなくはないですが、少し難しいですね。何せ続きですから。私もかじる程度、観ていたので結構理解していましたが。この映画だけ観る、という場合は多少の下調べは必要かと思います。

 前述したとおり、10分に一回は女の子のパンツが必ず観れる映画ですね。要はマニアック向けの映画でして、ヒロインの〝萌え〟が強調されているアニメの映画でした。最近はアニメの映画でもそういうのがそこそこありますよね。家族で観るのは確実にオススメしません。

 まず主人公たちはぶーんと空を飛べる魔法が使える女子で、男性はほとんど登場しません。そんなかわいい女子たちが機械に乗っ取られた飛行機みたいな形の未確認静物を駆逐していくSF的ストーリーの映画ですね。

 ちなみに、一番好きなウィッチはバルクホルンですね。


【あらすじ】

 かつて伝説を作ったウィッチの宮藤芳佳は扶桑皇国に帰り、医学の大学進学のために勉強に励んでいた。そんな中、かつての上司・坂本美緒に呼び出されかつて自分が戦ったガリア地方へ護衛任務に就いている服部静夏と共に向かう。だが同じ頃、衰退しつつあったネウロイが不審な動きを見せており・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




~まずはTVアニメのおさらい~

 人類は常に異形の存在と戦い続けていた。

 ときに1932年。ネウロイが突如出現しそれらは次々と侵略を開始し欧州地方は大半が制圧されてしまった。そんな中でウィッチと呼ばれる魔法が使える魔女たちは対ネウロイの先頭に立ち、ストライカーユニットという魔導によって空を飛ぶことが出来る装置でネウロイと戦っていた。

 そのなかで連合軍第501統合戦闘航空団などの大活躍により、欧州は徐々にネウロイの支配の手から解放されていった。

 連合軍第501統合戦闘航空団に所属していた宮藤芳佳軍曹は上司の坂本美緒少佐と共にウィッチとしての魔力を失ってしまい、第501航空団解散後は故郷・扶桑皇国に帰り少尉として昇進してから退役してから通常の学校生活を送っていた。

~以下本編~

1945年8月2日ベルギカ上空
 ハイデマリー・W・シュナウファー(植田佳奈)少佐はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ(田中理恵)中佐の命を受け夜の空の上を飛んでいた。

 そんな時、突如ネウロイと遭遇。ネウロイがこれまで戦ったことのないような変形型だったので苦戦しながらもなんとか撃退した。

扶桑皇国
 宮藤芳佳(福圓美里)は第501統合戦闘航空団に所属していた頃を取り戻すかのように山川美千子(佐藤有世)と共に普通の学校生活を送っていた。芳佳は帝都女子医学校への進学をめざし、日々勉強に励む。

 ある日、美千子と遊んでいたときに犬が川の中央の石のところで動けなくなっているのを発見する。芳佳はその犬を救ったあと、川に流されてしまった。ストライカーユニットもない芳佳は飛ぶことすらできない。

 やがて滝から落ちてしまうが、間一髪で一人のウィッチに救われた。服部静夏(内田彩)軍曹だった。

 静夏は気をつけるよう言うが、直後に助けた相手が芳佳であるといきなり改まり自己紹介をする。どうやら静夏は欧州にいた頃の芳佳の武勇伝を聞き尊敬しているようだった。

 静夏は芳佳に坂本少佐からの伝言を頼まれていた、と話す。坂本少佐というのは芳佳を欧州へ来るよう誘った坂本美緒(世戸さおり)少佐で、伝言の内容は欧州三大医学校の一つのヘルウェティア連邦の医学校からの招聘だった。

 芳佳は母・清佳(天野由梨)や祖母・秋本芳子(翠準子)と相談し、留学することを決める。

ヴェネツィア公国
 シャーロット・E・イェーガー(小清水亜美)中尉とフランチェスカ・ルッキーニ(斎藤千和)少尉はヴェネツィアで連合軍第504統合戦闘航空団「ARDOR WITCHES」のフェルナンディア・マルヴェッツィ(森永理科)中尉、ルチアナ・マッツィ(広橋涼)少尉、マルチナ・クレスピ(水橋かおり)曹長とボートレースをして楽しんだ。

 だがシャーロットが本気を出し過ぎて止まれず、ボートは吹っ飛んでルッキーニがタンコブを作ってしまう。

 ルッキーニはフェルナンディアに治癒魔法によって治してもらおうとするが、かつての宮藤芳佳の時のような治療時の良さを感じなかった。芳佳がそれだけ治癒魔法に長けていたということだ。シャーロットは遠い地にいる芳佳のことを思い出す。

 やがて突如、ネウロイがヴェネツィアに出現。ルッキーニとシャーロットは備えておいたストライカーユニットに乗り、上空でネウロイと交戦。そのネウロイも変形型でルッキーニもシャーロットも少し苦戦するが、504航空団の協力もありなんとか撃墜する。

戦艦「天城」
 芳佳は静夏の自分に対して「少尉」という呼び方に遠慮を覚え「自分は静夏ちゃんって呼ぶから、静夏ちゃんも自分を好きなように少尉以外で呼んで」と言い、静夏はためらいながらも「宮藤さん」と呼ぶことになる。

 しかし翌日、芳佳が少尉でありながら料理を手伝ったり、戦艦のモップ掃除をしている事に対し静夏は注意する。静夏はどうやら軍規を徹底的に遵守する人間であり、少尉でありながら一兵卒のするようなことをする芳佳に疑問を覚えていた。

 そしてある日、戦艦「天城」は氷山の一角に激突し、補助発電機室付近から火災が発生した。隣の弾薬庫で結城(星野充昭)曹長が閉じ込められてしまい、結城は艦長(菅生隆之)に非常用スプリンクラーのバルブも動かないので火災を消すために水密扉を閉じて注水するよう言う。

 艦長は扉を閉じようと命令するがそれを芳佳が止め、芳佳は体に水を被って、結城を助けに行く。あと少しで水密扉を閉じる、というところで芳佳は結城と協力してバルブを開き、スプリンクラーを作動させた。

 その後、静夏は艦長の命令に逆らった芳佳に幻滅してしまっていた。芳佳は静夏に軍人たるもの規則を守るべき、と冷たく言い去って行く。

 翌日、天城に芳佳の大親友であるリネット・ビショップ(名塚佳織)曹長とペリーヌ・クロステルマン(沢城みゆき)中尉がパ・ド・カレーの港に到着するのを待ちきれずストライカーユニットで飛んできてしまった。リネットと芳佳は再会を抱き合って喜び合う。

 その後、リネット、ペリーヌ、静夏、芳佳の四人はガリア地方パ・ド・カレーのペリーヌの邸宅に一晩泊まることになる。その邸宅はネウロイの襲撃を受けた傷跡が少し残っており、それでもまだガリアの解放直後よりかはマシらしい。

 ペリーヌは上院議員との懇談を後回しにしてアメリー・プランシャール(矢作紗友里)と共に親を亡くした子供たちの教育を優先するほど昔とは違い心に余裕ができていた。

 その夜、芳佳は夕食を作りペリーヌと静夏がそれを手伝う。だが静夏が作ったスープはどうも美味しくない。静夏はひたすら謝罪する。

 深夜、ペリーヌは静夏を励ます。軍人として小さい頃から教育を徹底された静夏は料理を習っていなかったのだ。ペリーヌは芳佳の話をし始め、芳佳は独断専行、命令無視で静夏が疎ましく思うタイプだろう、と言ってからしかし芳佳が来て504航空団が飛躍的に強くなったのも事実なんだ、と話した。静夏はそのことが理解できなかった。

 翌朝、車で静夏と芳佳はペリーヌ邸を発つ。次の宿泊地はディジョン。ペリーヌからはライン川の国境を越えたり国境付近はネウロイが容赦なく襲ってくるので危険だと警告を受け、芳佳はリネットが一ヶ月も前から作っていた白衣をプレゼントされ、喜ぶ。

オラーシャ帝国ペテルブルク連合軍第502統合戦闘航空団前線基地
 サーニャ・V・リトヴァク(門脇舞以)中尉とエイラ・イルマタル・ユーティライネン(大橋歩夕)中尉は占いによって宮藤芳佳の身に災いが起こる、という不吉な結果をもたらして心配になり二人はペテルブルク基地を経とうとする。

 アレクサンドラ・イワーノヴナ・ポクルイーシキン(原由実)大尉に別れを告げられ、経とうとするが見送りに来たニッカ・エドワーディン・カタヤイネン(高森奈津美)曹長が落雷を受けてストライカーユニットを壊したことで出発を少し遅らせて気を取り直してニッカに見送られながら去って行く。

 サーニャとエイラは霧中の海で巨大な何かに遭遇する。

 一方、ディジョンに向かっていた静夏と芳佳。道中、村人に無線を貸してほしい、と頼まれる。どうやら国境付近の村で崖崩れが起きたらしい。しかし静夏たちの無線も繋がらない。芳佳は静夏に頼んで危険だと承知で村へ向かう。

 芳佳は簡単な治療で被害に遭った村人を助けていく。だがあるけが人の止血にシーツなどが足りない、と知り芳佳はリネットに謝ってからリネットから貰った白衣を止血に使った。その日の夕方、芳佳も静夏もその村に泊まることになる。

ベルギガ王国サントロン基地。
 ミーナとハイデマリーはヴェネツィアの襲撃などでライン川の方で新たなネウロイの巣が生まれたのでは、という可能性を思いつきゲルトルート・バルクホルン(園崎未恵)大尉とエーリカ・ハルトマン(野川さくら)中尉に哨戒へ向かわせようとする。

 ゲルトルートらは最初、自分たちでなくても、と反論を唱えたがエーリカが哨戒地点の近くは芳佳が通る道だ、と言うとゲルトルートは芳佳の身が心配になりすぐさまエーリカと共に出発する。

 ライン川近くに差し掛かったころ。ゲルトルートとエーリカは引き返そうとした矢先に潜望鏡型ネウロイに遭遇する。潜望鏡型ネウロイは小型ネウロイを次々と放出しゲルトルートとエーリカを苦戦させるが、何とかそれらを撃退。しかし潜望鏡型ネウロイはガリアの芳佳たちの近くの村に向っていってしまった。

 帰り道、エーリカがゲルトルートに抱き着いて帰るために二人とも武器を全て捨ててしまった。その直後に小型ネウロイが襲撃し万事休すとなるがミーナの出撃によって難を逃れる。

 一方、村から去ろうとした芳佳と静夏は村を襲撃する潜望鏡型ネウロイを発見し村を救出しようとする。

 芳佳は村人の避難指示をし、静夏が潜望鏡型ネウロイから放出される小型ネウロイと対決。何機か撃墜し訓練通りに撃墜できたことで喜ぶが、変形小型ネウロイの攻撃をうまくガードしきれず地上に落ちて気絶してしまう。

ガリア共和国第506統合戦闘航空団セダン基地
 ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン(川澄綾子)少佐はウィッチに出陣命令を出し、ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネ(野水伊織)少佐が留守を担う、と聞き自らも出陣し多数のネウロイと交戦する。

 ネウロイの大規模攻撃は各地で行われた。ベルギガ東部アルデンヌ、南部のバストーニュ、連合軍西方総司令部ではドナルド・D・アイゼンハワー(辻親八)元帥やモントゴメリー(中田譲治)が対処に追われていた。

 一方、ミーナ、ハイデマリー、ゲルトルート、エーリカは会議をしていたが、そこにやってきたペリーヌとリネットから芳佳と連絡が途絶えた、と聞きすぐに途絶えたあたりの地点へ向かう。

 芳佳は静夏を木陰に休ませて車で潜望鏡型ネウロイの気を引きつけ村から離れようとする。だが潜望鏡型ネウロイの攻撃を受け芳佳は負傷してしまう。

 やがて地中から超巨大な母艦型のネウロイX-26が現れる。それはたくさんの中型小型ネウロイを放出していった。

 目を覚ました静夏は芳佳の元に駆けつけ、芳佳の危険を見て、上空へとび立ち、とにかく無線で助けを求める。
やがて静夏はネウロイに囲まれてしまう。

 その無線で断片的に救援要請を聞きつけたハイデマリー、ミーナ、リネット、ペリーヌ、ゲルトルート、エーリカはすぐにその地点へ向かう。

 一方、芳佳は母艦型ネウロイX-26型を撃破するために再集結した元第501統合戦闘航空団のウィッチ達の自分を心配する声の呼びかけを聞いて立ち上がる。

 その瞬間、芳佳は突如魔力が復活し、傷も癒えていて、巨大な魔法陣がまばゆい光とともに半球状に出現して付近の魚雷型ネウロイを復活した魔法力だけで撃破し、母艦型ネウロイにもダメージを与える。

 やがて(TVアニメの頃に座礁した)修復された戦艦大和がライン川から突如、登場しネウロイに攻撃。その大和から零式に乗った坂本美緒が魔法力が回復した芳佳にストライカーユニット「震電」を届ける。

 やがて霧中の海で大和と合流していたサーニャとエイラがやってきて、ついに元第501戦闘航空団が集結する。

 元第501戦闘航空団は集結して宮藤芳佳を先頭にバリアを敷いて突撃。ついにネウロイX-26を貫き破壊する。

 上空で芳佳の魔法力に救出された静夏は芳佳の力に感動し、思わず抱き着いてしまう。少尉と呼ぶ静夏に宮藤は少尉はいらないよ、と優しく微笑む。

 ハイデマリーはミーナにカールスラント国境にネウロイ出現の兆しあり、という無線を受信したと報告する。ミーナは第501航空団の再結成を宣言し、新たなネウロイの下へ飛び去って行った・・・・







 実はこの映画の静夏ちゃんが芳佳のことを「宮藤さん」と呼ぶのですが私、この呼び方がどうにも「咲 -saki-」の原村和が宮永咲に対して言う「宮永さん!」と同じイントネーションに聞こえてダブってました。これは続編では静夏と芳佳の百合展開がくるという暗示でしょうか・・・

 ところで、この映画も戦闘シーンはなかなかのものでしたねえ。でも戦闘シーンでいちいちパンツを見せてくる、いやらしい映画だなあ。

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(2012/10/26)
福圓美里:宮藤芳佳、内田彩:服部静夏 他

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ノベライズ
ストライクウィッチーズ 劇場版  還りたい空 (角川スニーカー文庫)ストライクウィッチーズ 劇場版 還りたい空 (角川スニーカー文庫)
(2012/03/31)
南房 秀久

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