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80年代の代表作、といえば私はバック・トゥ・ザ・フューチャーよりE.T.が浮かびます。


『E.T.』(1982年・米)
E.T.
スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:メリッサ・マシスン
製作:スティーヴン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:アレン・ダヴィオー
編集:キャロル・リトルトン
製作会社:アンブリン・エンターテインメント
キャスト
エリオット:ヘンリー・トーマス(村上想太)
ガーティ:ドリュー・バリモア(松野瞳)
マイケル:ロバート・マクノートン(林勇)
メアリー:ディー・ウォレス(藤生聖子)
グレッグ:K・C・マーテル
スティーブ:ショーン・フライ
タイラー:C・トーマス・ハウエル(宮野真守)
鍵をチャラチャラしてる男(キーズ):ピーター・コヨーテ(牛山茂)
E.T.の声:パット・ウォルシュ(真山亜子&一部、松本梨香)



 スティーヴン・スピルバーグ監督作品「E.T.」。原題は「E.T. The Extra Terrestrial」

 これはもうスピルバーグ監督の作品で世界的大ブームを誇った作品ですよね。スピルバーグはもう何年か前からどんな作品を作れば人が感動し、汚い話になってしまいますが儲けることができるのか熟知していました。そんなスピルバーグだからこそ、こんな素晴らしい作品を作れたんですね。

 スピルバーグは「未知との遭遇」(1977年)ですでに宇宙人との接触を取り扱った作品を作っているんですね。しかしこっちのE.T.は接触というより地球人と宇宙人の接触ではなく、交流を優しく暖かくした作品です。宇宙人というとかなり前は、もはや侵略者だとか怖いイメージでしたがスピルバーグがそれを払しょくさせたんですねえ。

 主演の子役はヘンリー・トーマス。このE.T.で彼はアカデミー賞新人優秀賞を獲得し、一躍世界の大スターです。この男の子の瞳がすっごい純粋でかわいいんですよねえ。でも子役って長続きしないような法則が多いんですがこの子は、まあ一時は低迷しましたが未だに俳優活動を続けている数少ない子役から出世した俳優さんですね。

 この映画、スピルバーグの友達のジョージ・ルーカスからヨーダを借りてヨーダが出演するシーンがありますね。カメオ出演という感じですか。

 吹き替えはDVDで観たのでDVD版のキャストです。これ以外に聴き取れたのは生物学の教師の吹き替えはチョーさんだった、ということぐらいですね。


【あらすじ】

 父親がメキシコの女のところに行き、母と兄、妹の四人暮らしをするエリオット。エリオットはある日、E.T.と出会う。兄、妹にE.T.を紹介し母に隠しながら家にE.T.を住ませていた。E.T.とエリオットは徐々に心が通じ合うようになり・・・


♪E.T.のテーマ/ジョン・ウィリアムズ














【以下全文ネタバレ注意】














↓四行後にネタバレ文あり




 アメリカ・カリフォルニア州・ロサンゼルス・サンフェルナンド・バレー付近。
 夜、町の裏山に一つの宇宙船が着陸した。中から宇宙人が大勢出てきて、植物を採取し始めるがそこへNASAの部隊が宇宙船着陸を確認してやってきた。宇宙人たちは急いで宇宙船に戻るが一匹の宇宙人が乗り遅れてしまう。

 同時刻、母メアリー(ディー・ウォレス)、兄マイケル(ロバート・マクノートン)、妹ガーティ(ドリュー・バリモア)と暮らしているエリオット(ヘンリー・トーマス)はマイケルの友達グレッグ(K・C・マーテル)、スティーブ(ショーン・フライ)、タイラー(C・トーマス・ハウエル)らにパシリを受け外から注文されたピザを運んでくる。

 家に入ろうとしたとき、物置で物音がする。エリオットは母メアリーにそのことを話す。興味を持ったマイケル達も物置を調べるがイヌのような足跡があるだけで大したものはなかった。

 深夜、エリオットは気になって畑に向かって、草むらをかき分けて探している。そして畑の草むらでエリオットは見たこともない生き物と遭遇してしまう。

 翌朝、森を調べ餌になりそうなものを撒くエリオット。夕食になり家族にそのことを話すが誰も信じずにバカにする。

 エリオットは不機嫌になり「パパなら信じる」とつぶやく。そのパパはメキシコの女のところへ行き、家族を捨てたのだった。メアリーは不機嫌になり、マイケルがエリオットを責める。

 夜、エリオットはテラスで畑で出会った宇宙人と再会する。宇宙人はエリオットが撒いたチョコレートを差し出してきた。

 エリオットは自分の部屋までチョコレートを撒いていき宇宙人を誘い込む。宇宙人はエリオットの部屋に見事、誘い込まれる。そしてエリオットは眠くなり、ついに寝てしまう。

 翌朝、エリオットは仮病を使って学校を休む。エリオットはクローゼットに隠していた宇宙人を部屋に入れる。エリオットは宇宙人におもちゃや食べ物を紹介する。また、宇宙人を風呂に入れたりもした。

 そこへマイケルが帰ってくる。エリオットは誰にも言わない約束でマイケルに宇宙人を見せる。そこへタイミング悪くメアリーと一緒に帰ってきたガーティも宇宙人を見てしまった。ガーティは悲鳴をあげ、エリオットは宇宙人とガーティをマイケルにクローゼットに隠してもらう。

 なんとか部屋にやってきた母メアリーを誤魔化し、エリオットはマイケルとガーティに緘口令を敷く。

 宇宙人に興味津々で話しかけるマイケルやガーティ。エリオットはまだ、宇宙人だと分かっておらず家はどこか尋ねる。宇宙人は空を指さし、更に粘土玉を浮かせて太陽系を表現して自分が地球の外から来たことを知らせる。更にエリオットは指をケガしたが、宇宙人が不思議な力を使ってそのケガを治してしまう。

 翌朝、エリオットは登校中、グレッグたちに宇宙人だった、と説明するとからかわれる。グレッグは
「宇宙人か!じゃあ、エクストラ・テレストリアル(Extra Terrestrial地球の外)でE.T.だな!」
 とからかうが、その後、その宇宙人はエリオット達からE.T.と呼ばれることになる。

 学校で、エリオットとE.T.はテレパシーで行動などが通じ合ってしまう。例えば、E.T.が酒を飲むとエリオットは酔っ払い、E.T.が漫画で「HELP!!」という文字を見ると解剖の時間でエリオットはカエルを逃がしてしまう。

 E.T.はテレビでやっていた洋画「静かなる男」(1952年、出演=ジョン・ウェイン、モーリン・オハラほか)のウェインとオハラのキスシーンを見て興奮。エリオットも感化されクラスのかわいい女子(エリカ・エレニアック)とキスをする。

 その後、E.T.はテレビで英語を覚える。そして問題を起こしてメアリーに迎えに来てもらって帰ってきたエリオットはE.T.がガーティにコスプレさせられているのを見る。E.T.は英語で「イエニ、デンワ」と話す。E.T.は故郷の星に電話して迎えに来てもらいたいようだ。

 エリオットとマイケルはE.T.に協力。ノコギリやら傘やら色んなものでE.T.は通信装置を作り始める。それをNASAの職員が盗聴していた。

 ハロウィンの日。エリオットとマイケルはE.T.を仮装に見せかけて外に連れ出す。E.T.はヨーダのコスプレをする子供に「イエ!イエ!」と近づこうとしたりしていた。



 マイケルは自転車でE.T.を森に連れて行く。道中、E.T.によりマイケルの乗る自転車が浮かびあがり、丘へと向かうのだった。



 そしてE.T.が作った通信装置は見事、E.T.の宇宙船と通信が行われた。E.T.の宇宙船はいずれ来るそうだ。エリオットはE.T.との別れを悲しむ。

 翌朝、森の中で夜を明かしてしまったエリオット。だが近くにE.T.がいない。具合の悪いエリオットは家に帰り心配し警察官を呼んでいたメアリーに泣かれながら叱られる。

 エリオットはすぐにマイケルにE.T.を探してほしいと頼む。マイケルは自転車でE.T.を探しに行き、NASA関係者の尾行も撒く。そしてマイケルは川で倒れているE.T.を発見して家に持ち帰る。

 E.T.は瀕死の状態。マイケルはメアリーにE.T.を引き合わせるがメアリーはE.T.と子供たちを引き離す。家から離れようとするメアリー達に宇宙服を着こんだ連中が押し入ってくる。

 彼らはNASAだった。NASAはすぐに衰弱するエリオットとE.T.の治療を開始する。鍵をチャリチャリしている男、通称キーズ(ピーター・コヨーテ)はマイケルからエリオットとE.T.がテレパシーで通じ合っていることを知らされる。

 キーズは早速、エリオットに自己紹介。エリオットは通信機のことを尋ねられるがE.T.の友達だから答えられないと言う。キーズは
「私だってE.T.の友達さ。私も10歳のころからE.T.を待っていたんだ」
 と言う。エリオットは故郷の星に帰る交信のための通信機であると話した。

 やがて、エリオットはE.T.との通じ合いが経たれたことで徐々に回復。一方、E.T.はついに心臓の活動を停止してしまう。

 エリオット、マイケルら家族は号泣。キーズはエリオットの悲しみを察して、彼と最後の別れをするといいとエリオットとE.T.の二人っきりにする。

 しかし何とそこでE.T.は息を吹き返したのだ。胸部を赤く点滅させ「イエ、デンワ」と叫ぶE.T.をとりあえず隠したエリオットはマイケルにE.T.が息を吹き返したことを話す。そしてE.T.を丘へ連れて行くことに決める。

 エリオットは手紙でメアリーに丘へ連れて行くことを伝える。それからE.T.が乗せられた救急車をマイケルが乗っ取り、運転し公園へと向かう。騒ぎになり野次馬として家を見つめていたグレッグ、スティーブ、タイラーに自転車で公園に来るよう言う。

 メアリーも宇宙船が到着するという丘へと向かうが、キーズもガーティがポロリと漏らしたのを聞きほかの職員たちに内緒で一緒に向かうことになる。

 うまくパトカーを撒いたマイケルは公園でグレッグたちと合流。救急車を乗り捨て、タイラーたちが用意したマウンテンバイクで丘へ向かう。

 そんなマイケルたちをパトカーは執拗に追い続ける。大通りに出たとき、パトカーが前の道を封鎖する。ここまでかと目を瞑ったエリオットだったがE.T.が能力を使い、エリオットたちの自転車は空へ浮かび上がり丘へと向かうのだった。



 やがて、E.T.を迎えに来た宇宙船が着陸する。メアリー、キーズ、ガーティも到着した。ガーティとマイケルはE.T.と別れを告げる。

 そして、エリオットとE.T.の別れのとき。二人は固く抱き合う。E.T.はエリオットの頭を指さし
「イツモ、ココニイル」
 と別れを告げる。

 そしてE.T.は宇宙船に乗り込み、入り口のところでE.T.は見送るエリオットをいつまでも見つめる。空高く経った宇宙船をエリオットもいつまでも見送るのだった・・・









 いろいろ心温まる宇宙人と子供の交流。これはスピルバーグうまく作ったなあ、と感心させられましたねえ。

 一番大好きなシーンはE.T.がいろいろ部屋のものをいじくるシーンですねえ。見たことないものばかりの部屋で、アイテムをいじるシーンの仕草がかわいいんですね。実は、E.T.が英語などを覚えて人間っぽい仕草をするシーンより、ヘンテコな行動をしてる時の方が私好きなんですね。

 あと気になったのはE.T.がサンフェルドナン・バレーの住宅街の夜景を見つめるシーンです。E.T.にとって、あれは進んだ文明に見えたのか遅れた文明に見えたのか、すっごく気になります。あれは撮影ではミニチュアを使ったようなんですね。意外とあ!ミニチュアだ、と気づくシーンはやっぱりいくつかありますね。

 この映画はスピルバーグの宇宙愛に溢れてますね。スピルバーグはきっと少年時代に宇宙人と出会いたかったんでしょう。彼の無垢な気持ちがこの映画を作らせたのかもしれません。そしてスピルバーグの願望、夢がエリオットという少年そのものなのでしょう。汚れた私にはスピルバーグがこれなら儲けられる、と考えた部分もあると思ってしまいますが・・

※吹き替えDVDバージョン
E.T. The Extra-Terrestrial 20周年アニバーサリー特別版 [DVD]E.T. The Extra-Terrestrial 20周年アニバーサリー特別版 [DVD]
(2002/11/08)
ディー・ウォーレス・ストーン、ヘンリー・トーマス 他

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※吹き替えはVHSの別バージョンが収録されてます。
E.T.コレクターズ・エディション(初回限定生産) [Blu-ray]E.T.コレクターズ・エディション(初回限定生産) [Blu-ray]
(2012/11/02)
ディー・ウォーレス、ヘンリー・トーマス 他

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Category: 洋画ア行
バカバカしい映画も良いモンです。


『トップ・シークレット』(1984年・米)
トップ・シークレット
スタッフ
監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー
脚本:ジョン・デイヴィソン、ハント・ロウリー
製作:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー、マーティン・バーク
音楽:モーリス・ジャール
撮影:クリストファー・チャリス
キャスト
ニック・リバース:ヴァル・キルマー(山寺宏一)
ヒラリー・フラモンド:ルーシー・ガタリッジ(佐々木優子)
セドリック:オマル・シャリーフ(池田勝)
ドゥクワ:ハリー・ディトソン(千田光男)
デジャヴ:ジム・カーター(西村知道)
アルバート・ポテト:シドニー・アーノルド
書店主人:ピーター・カッシング
チョコレート・ムース:エディ・タゴエ(島香裕)
マーティン:ビリー・J・ミッチェル
ポール・フラモンド博士:マイケル・ガフ(田村綿人)
ナイジェル:クリストファー・ヴィリアーズ(千葉繁)
ヴォン・ホルスト:ウォーレン・クラーク
ストレック将軍:ジェレミー・ケンプ(寺島幹夫)

 ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ザッカー監督作品「トップ・シークレット」。原題は「Top Secret!

 まあコメディ映画でしてこの映画にはいろんな小ネタが仕込んであるんですねえ。他の映画のオマージュだったり、クスッと笑えるネタが仕込んであったり。この映画を見てるとアメリカのコメディ・ドラマを見ている感じがしますね。

 主演はヴァル・キルマー。後に「トップガン」(1986年)でアイスマン、を演じたり「バットマン フォーエヴァー」(1995年)ではブルース・ウェインことバットマンを演じたりしてる人です。この人がまだ若くて映画初デビューにして主演という作品がこれです。随所に歌と踊りが入るんですが、彼の身のこなしの軽さはなかなかのものですね。

 他にも脇役に名優オマー・シャリフが出ているところとか、3分にも満たない程度の登場シーンで昔、怪人役でお馴染みのピーター・カッシングが出ているところとかも「おおぉ!すっげえ!」と心躍りました。

 映画監督が3人いるんですが、この3人は一緒に組んでコメディ映画をよく撮ったりしてますね。「裸の銃を持つ男」シリーズもこの3人が手掛けてます。兄のデヴィッド、弟のジェリーのザッカー兄弟と友達のジム・エイブラハムズの3人。3人は共同映画製作チーム「ZAZ」を名乗ってます。

 舞台は東ドイツ。当時は冷戦真っ只中でドイツも東ドイツ、西ドイツに分かれている時代でした。東ドイツはソ連領なので、思想は社会主義。この映画では東ドイツが、まるでナチス政権のように描いています。これ見て私、アメリカの東ドイツへ抱くイメージってこんななのか、と笑ってしまいました。

 吹き替えはテレビ放送版です。DVD収録されていないバージョンですね。たまたま拝見することが出来たのでよかったです。

 あと、一応ストーリーも書きますがコメディ映画ほど文章で表現しにくいものもありません。ぜひ実際に視聴することをオススメします。


【あらすじ】

 アメリカの人気歌手ニック・リバースは東ドイツの文化祭に招待される。しかし彼は銃をつきつけられたヒラリー・フラモンドという女性をひょんなことから助け出してしまい、投獄。コンサート中にヒラリーの手助けで逃亡し、彼女と共に囚われた彼女の父を助けることになる。


♪スケット・サーフィング/ヴァル・キルマー











※一部下ネタ注意

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 東ドイツ。
 英国人スパイのセドリック(オマル・シャリーフ)は列車内でスパイだと気付かれ逃亡を図る。ストレック将軍(ジェレミー・ケンプ)は彼を見つけ次第殺すよう命じ、日曜日の文化祭に世界の関心が向けられている隙に東ドイツはジブラルタル海峡を越え戦争を仕掛ける準備を進めていたのだった。

 列車内でドイツ語の勉強をしていた大人気のロック歌手ニック・リバース(ヴァル・キルマー)。ニックは東ドイツの文化祭に世界的アーティストとして招待されていたのだ。

 国境の駅で、東ドイツ軍将校ヴォン・ホルスト(ウォーレン・クラーク)からアメリカ人特有の好奇心を発揮するなよ、とバカにされながら釘を刺されドイツ語で「お前の母ちゃん出べそ」と言い返す。一触即発の空気と化したが、ニックのマネージャーのマーティン(ビリー・J・ミッチェル)がなだめてその場は収まる。

 逃亡していたセドリックは情報屋(イアン・マクニース)から英国が助け出したい博士の行方が分からないこと、今夜、バレエを見に行くとレジスタンスのリーダーと会える、という情報を聞かされる。しかしセドリックは乗り込んだタクシーの運転手にハメられ、プレス工場で車ごと押しつぶされてしまう。
元ネタ:「007 ゴールドフィンガー」(1965年)

 ヒラリー・フラモンド(ルーシー・ガタリッジ)は東ドイツ政府の監視から逃亡しスパイと接触するが、警察にその場面を目撃され追われる羽目に。すぐ近くのレストランの夕食会に紛れ込もうとする。

 一方、ニックは文化祭の関係者ではないから、と給仕長(ジョン・シャープ)に足止めを食らっているヒラリーを発見。彼女を自分の連れだ、と給仕長に嘘をつき、彼女を助けて彼女とダンスに興じる。

 その後、世界的歌手にこの場で歌ってもらいましょう、という給仕長の紹介を受け、ニックのことではないのに自分のことだと勘違いしたニックは勝手にマイクをとって歌ってしまう。場は大盛り上がりだったが、ヒラリーは警察隊を発見しその場を後にする。



 ホテルの部屋でヒラリーはセドリックと落ち合うことになっていた。そこへ車ごと押しつぶされたセドリックがやってきた。セドリックはヒラリーにバレエを見に行くとレジスタンスのリーダーと会える、ということを伝えヒラリーは自分がそのリーダーと会いに行こうとする。

 バレエの3階席で、ヒラリーは男と会うがその男は警官だった。警官はヒラリーに銃をつきつける。その場面を目撃したニックはすぐにその場へ向かい、警官と顔の掴み合い。警官の顔にはつかまれた痕が。その後、警官を突き落す。
顔の掴み合いで痕が残るシーンの元ネタ:「外套と短剣」(1946年)

 ニックはヒラリーを連れて逃亡。万事休す、というところでヒラリーを先に外に逃がして自身は囮になって警官たちに捕まった。

 ニックは独房で壁にチョークで線を20本書いていた。そこへマネージャーのマーティンがやってきて、文化祭の日まで我慢すればいい、と励ます。そして妻を満足させられない、と相談をしてきたマーティンにニックはアナルバイブをプレゼントする。

 やがてニックは兵士と神に祈る牧師に連れられ、牢を出される。そして牧師が電気椅子に座り、処刑された。ストレック将軍はニックのマネージャー、マーティンが大使館などに交渉もできないままアナルバイブの強度調節を誤って死んでしまったこと、落ちた警官が死んだら銃殺刑だ、と脅す。

 そこに電話がかかってくる。将軍はその電話を受け「容態が変わったら伝えてくれ」と言って受話器を置く。将軍は警官が死んだことを話し、ニックの銃殺刑が決まる。

 独房に戻されたニックはなんとか脱獄できないか、と穴を探す。穴の一つに飛び込み、ついた場所は研究所らしきところだった。彼はポール・ブラモンド博士(マイケル・ガフ)で、東ドイツに囚われ娘の命を人質に日曜日の出兵までに機雷を作ることを強要されていたのだ。

 ニックは開発品の一つに触れてしまい、その開発品が壁を破壊。兵士が次々となだれ込んできてニックは捕まった。

 その後、ニックのコンサートが予定通り行われることになり死刑執行間もなくだったニックは延期となり一時釈放される。

 その後、ニックのコンサートは若い女子たちの大きな黄色い声援を受けまくる。それはビートルズのよう。やがて舞台天井から糸で吊るされて降りてきたギターをつかんで舞台天井にあがる。兵隊は銃で撃とうとするが、興奮してステージに勢いよく上がってきた女子たちの波に飲まれる。吊るしていたのはヒラリーだった。ヒラリーとニックはバイクで逃亡。



 二人はカップルの溜まり場である公園のベンチに座る。そしてニックはヒラリーから父のポール博士を探している、と聞かされ写真を見せられる。ニックは昨日、この人物に刑務所で出会った、と教えポール博士を助けるのを手伝うことに。

 そこに運悪く兵隊が。ニックとヒラリーは誤魔化すためにディープキスをする。

 兵隊をやり過ごしたあと、ニックとヒラリーはレジスタンスの協力者である古本屋に行く。店主(ピーター・カッシング)に状況を説明。レジスタンスのリーダーの居場所を教わり、避難棒で二階にあがってかくまってもらう。

 その二階でヒラリーは昔のことを話す。昔、海で遭難し流れ着いた島でナイジェル(クリストファー・ヴィリアーズ)という青年と愛を深めたことがあるらしい。しかしナイジェルはある日、漁に行ったきり帰って来なかった。ヒラリーは外国船に拾われたのだった。
元ネタ:「青い珊瑚礁」(1980年)

 ニックも昔、母親とたまたま呼び出しアナウンスが壊れていた日にデパートで生き別れたのだ。それ以来、デパートで働いていたがある日、広報用のCMのソングを募集していたときにニックが考え付いた歌を上司に話しそれがヒットのきっかけとなったのだ。

 二人はその夜、暖炉の火をバックに愛を深める。

 翌朝、レジスタンスの隠れ家にやってきたニックとヒラリー。最初は警戒するドゥクワ(ハリー・ディトソン)やアルバート・ポテト(シドニー・アーノルド)らだったがレジスタンスのリーダーが現れ警戒を解く。それはナイジェルだったのだ。ナイジェルとヒラリーは再会を喜び合う。ニックは複雑な気持ちになる。

 好きになった相手をとられたニックはレジスタンスのデジャヴ(ジム・カーター)、チョコレート・ムース(エディ・ダゴエ)らに励まされる。一方、ナイジェルは島に戻れなかった理由を話す。なんでも漂流したところを外国船に拾われるが外国語のために通じず島に戻れなかったらしい。

 直後、東ドイツ政府軍が隠れ家を襲撃。レジスタンス達は応戦。散り散りに解散してからレストランで集合することに。隠れ家から応戦したレジスタンス達は派遣された政府軍の部隊を壊滅させる。

 その後、レストランで集合したレジスタンス達。しかしナイジェルによれば内部に内通者がいるのだという。ニックだけに先に帰国することになったが、刑務所に囚われたポール・ブラモンド博士の場所はニックにしか分からない。ニックは協力を断るがヒラリーに説得され協力することに。

 夜、飛行機からパラシュートで刑務所近くへ降りる一行。空中でヒラリーはニックに、再会は驚いたがナイジェルへの好意はもう薄れニックに傾いているのだ、と言われる。二人は愛を再び確かめ合い、空中でキスをする。バックには暖炉が飛んでいる。

 刑務所を見つめながら、ナイジェル中心に作戦が立てられる。ナイジェルとドゥクワは刑務所で飼われている牛の行列に紛れ牛に変装。発電小屋に行き、柵の電気を切ってから、ニック、チョコレート・ムース、デジャヴの三人が刑務所に潜入し博士を救出してから、ヒラリーが逃亡用トラックを運転する、という作戦が立てられ実行される。

 ナイジェルとドゥクワは牛に化けて散歩の行列に紛れ込む。ナイジェルが後ろ、ドゥクワが前。列からはぐれたフリをして、変電所へ向かうが道中、子牛が近づいてきておっぱいの部分を吸い始める。それはナイジェルの男性器でナイジェルは悶絶する。

 くだらない事を終えてからナイジェル達は小屋に行き柵に流れる電流の電源を切る。それによってニック達は柵をペンチで穴を開けて刑務所に潜入。壁をよじ登り、衛兵の軍服を奪ってから、衛兵に変装してポール・フラモンド博士を救出する。

 フラモンド博士はすでに壁に穴を開けており、フラモンド博士の作った穴は自動車のトンネルのようなものだった。

 一方、ドゥクワはナイジェルに銃をつきつけられ、発電小屋の電力を復活させてしまう。内通者はナイジェルだったのだ。まだ牛の格好のままのナイジェルは後ろから来た牛に掘られてしまう。

 カクカク歩きのナイジェルは、トラックまで戻りヒラリーに銃をつきつけトラックに乗るよう言う。ナイジェルは漁に行って行方不明になったあと、船に拾われたが、その船は東ドイツの共産主義の船だったのだ。ナイジェルは共産主義者たちから教えを受け、東ドイツに協力していたのだ。

 トラックが居るべき位置に戻ったニックたちだったがトラックがいない。そこへドゥクワが戻ってきてナイジェルが裏切り者だったことを知らされる。

 そこへ東ドイツの衛兵たちのトラックが追いかけてくる。チョコレート・ムースはタイヤをパンクさせる。フラフラのトラックは近くにたまたまあったフォード社のフォード・ピントという車の後部にチョコっと当たりピントは大爆発。トラックも爆発に巻き込まれる。

 ニックはヒラリーを取り戻すことを決める。ドゥクワたちは先に空港へ行くことになり、デジャヴがニックに熱烈なキスをしてお見送りをする。

 ニックはバイクでナイジェルの運転するトラックを追いかける。
元ネタ:「大脱走」(1963年)

 トラックに追いついたニックはナイジェルを運転席から引きずりおろそうとして、二人で橋から川に落ちる。

 川底に立った二人は殴り合い。やがて舞台は川底にある西部劇の酒場っぽいところに移る。殴り合いの末についにナイジェルに勝利するニック。ニックはヒラリーと共にバイクで急いで脱出用に飛行機まで向かう。

 出発時間までに飛行機の場所へたどり着いた二人。ヒラリーは父ポールとの再会を喜び合う。

 ヒラリーはこの国でまだやり残したことがある、とアメリカへの旅立ちを拒否する。しかしドゥクワやニックの説得があり、物価の違いなど不安がありながらもニックが優しく諭し二人はキスする。

 国内で活動を続けるドゥクワ、チョコ・ムース、デジャヴ、そしてなぜかそこに居た案山子さん(リチャード・ボーンヒル)と別れを告げ、ヒラリー、ニック、ポール博士の3人はアメリカへと飛び立つのだった。
元ネタ:オズの魔法使い









 実は主人公ニック・リバースの役そのものがエルビス・プレスリーのパロディーだったりするんですよね。アホらしくて笑っちゃいますよ。私はいつも、文の締めはきれいに終えたいなあ、なんて思うのに一番最後に元ネタ解説って・・・悲しくて仕方ないです。

 ちなみにこの映画、パックンらしきものが登場するシーンがあるんですが、エンドロールにスペシャルサンクスのところに「ナムコ」ってあるんですよ。ちゃんとナムコから許可とって使わせてもらってたみたいですね。

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(2003/09/26)
ヴァル・キルマー、ジム・エイブラハムズ 他

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Category: 洋画タ行
サイレント映画短編シリーズ。


『パン屋の楽しみ』(1902年・米)
監督:エドウィン・S・ポーター
製作:エジソン・マニュファクチャリング・カンパニー


 エドウィン・S・ポーター監督作品「パン屋の楽しみ」。原題は「Fun in a Bakery Shop

 まあストーリーは特にないです。これはストップモーションの実験的に作られたようなものです。パン屋の親父がパン生地をこねて生地を人の顔の形に変えたりするんですね。
Category: 洋画ハ行
これで観たのは3,4回くらいかな。ちゃんと観たのは2回目くらいですね。


『ジョーズ』(1975年・米)
ジョーズ
スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ピーター・ベンチリー、カール・ゴッドリーブ
原作:ピーター・ベンチリー「ジョーズ」
製作:デイヴィッド・ブラウン、リチャード・D・ザナック
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:ビル・バトラー
編集:ヴァーナ・フィールズ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
キャスト
マーティン・ブロディ:ロイ・シャイダー(滝田裕介)
サム・クイント:ロバート・ショウ(北村和夫)
マット・フーパー:リチャード・ドレイファス(樋浦勉)
エレン・ブロディ:ロレイン・ゲイリー(寺田路恵)
マイケル・ブロディ:クリス・レベロ(池田真)
ショーン・ブロディ:ジェイ・メロ(中村友和)
ヘンドリックス警官:ジェフリー・クレーマー(円谷文彦)
アレックス・キンター:ジェフリー・ボールヒーズ
キンター夫人:リー・フィエロ
クリシー・ワトキンス:スーザン・バックリーニ
トム・キャシディ:ジョナサン・フィレー
漁師デンヘルダー:エドワード・チャルマース
ベン・ガードナー:クレイグ・キングズベリー
ベン・メドウズ:カール・ゴットリーブ(加藤正之)
ボーン市長:マーレイ・ハミルトン(細井重之)


 スティーブン・スピルバーグ監督作品「ジョーズ」。原題タイトルは「Jaws」

 これはスピルバーグの傑作のひとつですねえ。「激突!」(1971年)っていうテレビ映画をスピルバーグは作ってるんですがそれに似てます。舞台を海に移した「激突!」そのものですねえ。海の上の沈黙の恐怖、襲撃者の沈黙の恐怖、そして襲撃者の執拗さ。それを倒す展開ってのは海を舞台にした、西部劇やスパゲッティ・ウェスタンですねえ。

 何がいい、ってジョン・ウィリアムズの音楽がシーンの恐怖をうまく引き立ててるんですよねえ。追い詰めるときの軽快な音楽、襲撃者の出現したときの恐怖の音楽。ジョン・ウィリアムズの音楽なしにこの映画は語りにくいでしょう。

 最初は原作者のピーター・ベンチリーが脚本書いたんですがスピルバーグが却下したんですね。あんまりにもサメに詳しすぎて若者が興味を示さないと。で、スピルバーグが友人のカール・ゴッドリーブに脚本書かせて娯楽作品にしちゃったんです。原作から大きく改変しましたねえ。結末も変えちゃって。ベンチリーはこの映画を観て「売れるわけがない」と言ってましたね。まあ結果は皆さんの知ってるとおりです。スピルバーグはこの作品で世界に名を知らしめましたね。

 吹き替えで観たんですけどジョーズは色々な吹き替えのバージョンがありますが、やっぱりこれが一番ですねえ。滝田裕介はブロディ署長の役がうまい。ロイ・シャイダーでなら羽佐間道夫さんの方がいいんですけど、署長に限ると滝田さんですね。あと北村和夫もうまいんですよねえ。荒くれ漁師のクイントの役が。無論、樋浦勉はリチャード・ドレイファスのFIXですし。


【あらすじ】

 平和な観光地の田舎町アミティにサメに殺されたと思われる女性の死体が見つかる。海開きを控える季節、市長はブロディ署長に隠すよう命じるが、その後もサメの被害が増えてついにブロディ署長は地元漁師クイント、海洋学者フーパーと共に海にサメ退治に出かける。



♪ジョーズのテーマ














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 ある学生たちが浜辺でパーティをしていた。学生の一人トム・キャシディ(ジョナサン・フィレー)は知り合った女性クリシー・ワトキンス(スーザン・バックリーニ)を泳ぎに誘う。だがトムは酔っぱらっており、クリシーが先に海に入る。しかしクリシーは海で何かに襲われ、陸に戻ってくることはなかった。

 ニューヨークの都会の喧騒がいやになったマーティン・ブロディ(ロイ・シャイダー)は妻エレン(ロレイン・ゲイリー)、長男マイケル(クリス・レベロ)、次男ショーン(ジェイ・メロ)を連れて平和な田舎町でビーチを観光地としたアミティの警察署の署長に就任する。

 浜辺で女性が失踪した、という通報を受けたブロディは浜辺に駆けつけトムから話を聞く。そんな時、二人は警笛の音を聞く。ブロディの部下のヘンドリックス(ジェフリー・クレーマー)だった。ブロディがそこに駆けつけると見るも無残な女性の死体が置かれていた。

 ブロディは検視医(ロバート・ネヴィン)の報告を受け、女性はサメに殺されたという書類を打ち、浜辺に遊泳禁止の立札を打とうとする。しかし海水浴場による多大な利益を欲しているボーン市長(マーレイ・ハミルトン)や地元紙の社長ベン・メドウズ(カール・ゴッドリーブ)は検視医に圧力をかけてサメによるものではなく、ボートのスクリューに巻き込まれた、とさせてしまう。

 ブロディ署長は家族で海水浴場へ行きながら、海を監視していた。海水浴場では地元のホテルのオーナーのミスター・タフト(フィル・マレー)とミセス・タフト(フィリッツィ・ジェーン・コートニー)の家族らが泳いでいた。フリスビー投げをしている青年(スティーブン・ポッター)もいた。しかし犬が海に入ったきり帰ってこないのを青年は不思議がる。

 突如、子供の叫び声が聞こえた。海で遊んでいたアレックス・キンター(ジェフリー・ボールヒーズ)がサメに襲われたのだ。ブロディらは急いで陸へ引き揚げさせるが、アレックスの母キンター夫人(リー・フィエロ)はアレックスの乗っていた子供用ボートがメチャクチャになっているものを発見する。

 サメ退治に3000ドルの懸賞金をかけたキンター夫人。アメリカ中から3000ドル目当てのサメハンターが集まる。市長は24時間だけ海水浴場を封鎖しサメ退治を許可する。

 しかしそこにサメ退治の腕利きハンターを名乗るクイント(ロバート・ショウ)が全員の注目を引き、1万ドル出せば助手もなし自分の船だけでサメを仕留める、と息巻いた。しかし市長は相手にもせず、クイントは去っていく。

 その日の夜、ブロディはずっとサメの本を読んでいた。しかし子供たちが自身の所有するボートの船着き場で遊んでいることを知るとすぐに呼び戻す。

 深夜、漁師デルヘンダー(エドワード・チャールマス)は相方と共に船着き場にエサを撒いていた。するとサメが食いつき、エサにくくりつけたロープが巻かれた船着き場ごと持ってってしまう。海に投げだされたデルヘンダーの相方はなんとか陸まで泳ぎ切って命からがら助かった。

 その後、次々とハンターたちが港に集結し出港の準備をしていた。ブロディはその対応に追われていたが自身が呼んだ海洋学者のマット・フーパー(リチャード・ドレイファス)が来ると、彼に検視医立会いの下、クリシーの遺体を見せる。一方、ハンターたちは3000ドル目当てに地元のベテラン漁師ベン・ガードナー(クレイグ・キングズベリー)らが次々といっせいに出港する。中にはダイナマイトを撒く男(ブレンダン・ギャラガー)も居た。

 フーパーはクリシーの遺体を見て巨大なサメによって食いちぎられたのだ、と断定する。

 その後、ハンターのフランク・プラット(ディック・ヤング)によってサメが確保された。市長もブロディも大喜びになるが、フーパーは一人、このサメでは小さくてクリシーの食いちぎったサメとは合わないかもしれない、と主張。サメは胃の消化が遅いので24時間以内に食べたものは消化されずに胃に残っている、と解剖を要請する。

 そこにキンター夫人がやってくる。キンター夫人はブロディにビンタしクリシーが殺されたときにサメによる死だと明かして警告を促してれば息子アレックスは死ぬことがなかった、と言いブロディを息子を殺した人殺しと罵る。

 夜、ブロディは人殺しだと罵られ落ち込んでいた。息子ショーンになぐさめられるが、そこへフーパーが家を訪問してくる。

 フーパーは自分が鮫に興味を持ったのは、舟を襲われた過去があるからだ、と自身がサメに興味を持った経緯を話し、ブロディにサメの解剖をさせてほしい、と頼む。

 ブロディはフーパーの鮫解剖に立ち会う。フーパーは鮫の腹を切り裂き、胃に消化されずに残っているものを取り出していく。魚やナンバープレートまでもが出てくるが、人の死体は出てこなかった。これはイタチザメだったのだ。

 すぐに二人はフーパーの最新鋭の技術を積んだ調査クルーザーでまだ鮫が近くにいるであろうと予測し近海を捜索する。そして無人のベン・ガードナーの舟が浮かんでいるのを発見した。

 フーパーはすぐに潜水服を着込んで船底を調べる。すると船底にはホオジロザメの白い歯と、ガードナーの死体が見つかった。

 翌日、二人はガードナーの舟を陸まで運び、市長を説得する。ホオジロザメは人の味を覚えてまた海水浴場にやってくる、と。しかし海開きを控えていた市長はそれにより得られる利益を優先し、海開きを強行させてしまった。

 海開き初日。TVリポーター(ピーター・ベンチリー)などメディアも注目するなか海開きされた。警官を多数動員して厳重な警備が敷かれる。しかし海開きしたのに誰も泳ぎださないので市長は知り合いに一番最初に泳いでほしい、と頼む。

 ブロディはマイケルに子供たちと一緒に入江で泳いでほしい、と頼み込む。マイケルはそれを承諾しマイケルとその友達の子供たちは入り江で遊びはじめる。

 やがて、大勢の人々が海で遊び始めた。しかしそれを察知したかのようにビーチにサメの尾ひれが見えた。ブロディはすぐに遊んでいる人たちをあがらせるが、警備隊が銃を突きつけると子供たちのイタズラだと発覚する。

 しかしその直後に「入り江の方にサメよ!」という大声が聞こえる。ブロディは面倒臭そうにしていたがマイケルたちが入り江で遊んでいるのを思い出し急行する。

 今度は本物のオオジロザメだった。マイケルたちが入り江で遊んでいるのを邪魔だ、と言ったボートに乗っていた青年(テッド・グロスマン)のボートが転覆させられ食べられてしまう。サメは幸いマイケルら子供を襲わずそのまま遠くへと去って行った。

 マイケルは気を失い病院に運ばれた。市長はさすがに海岸を閉鎖しクイントを雇ってサメをハントすることを決める。

 一人で海に出ようとしていたクイントだったが、その舟にブロディとクイントからお金持ちの坊やに海がわかるかい、と暴言を受けたフーパーも同行することになった。

 出港の日。フーパーの近代的装備をみたクイントは嘲笑し馬鹿にする。ブロディは妻エレンに見送られるがクイントは不謹慎な発言をして、エレンを憤慨させる。やがて三人の乗った小船は沖へ向かっていく。

 ブロディはエサを撒きクイントは釣竿を構え、フーパーは舵をとっていた。クイントはボンベにつまずきボンベが転がっていく。なんとか止めたクイント。フーパーはクイントを注意する。なんでも衝撃を受けると爆発する危険なボンベらしい。

 クイントは釣竿に引きを感じ臨戦態勢をとる。やがて今までに会ったこともない魚の引きにクイントはサメだろう、と判断する。しかしフーパーはマグロかなにかだろう、と馬鹿にする。

 結局、糸を引きちぎられてどっかへ行ってしまった。

 再びエサ撒きをはじめたブロディはそのエサを食らう巨大ホオジロザメを発見。体長約8メートル体重約3トンの巨大なホオジロザメだった。

(体長約8メートルの見本として8メートル)
8メートルのもの

 クイントは急いでフーパーに樽を用意させる。途中、アミティ監視所の監視員(スティーブン・スピルバーグ)から電話がかかり、ブロディの妻エレンが夫の様子を聞きたがっていた。しかしクイントが出て、勝手に切ってしまう。

 フーパーは樽に発信器を取り付け、クイントは銃を撃ち込むがサメは樽を付けても潜ることができた。これにはフーパーも驚き、サメは樽を付けたまま潜って行方をくらます。

 夜、酒を交わしてフーパーとクイントが海洋生物に噛まれた、という傷自慢大会をしていた。そんな中でブロディがクイントの左腕の入れ墨を消した痕を見つけ、どういう入れ墨かを聞く。

 クイントはこの入れ墨はインディアナポリス号、と刻まれていたと話す。それを聞いた瞬間、フーパーの顔色が変わり驚く。ブロディはその名前を知らなかったのでクイントは昔話をはじめる。

 インディアナポリス号というのは太平洋戦争中にテニアン島へ極秘任務として広島へ落とす原爆を運んだアメリカ海軍の巡洋艦だった。その帰り道に日本海軍の潜水艦「伊58」に魚雷を撃ち込まれ、沈没。1199名のうち約900名が攻撃で死に残りが海へ投げ出された。

 3日後に哨戒機によって発見され全員の救助が完了するまで5日。生き残ったのは海に投げ出された900名ほどのうち316名。残りはサメの群れの餌食になったのだという。
実際には体温低下などが犠牲者のほとんどだがサメの群れの襲撃は事実。それによって食い殺された者、ショック死した者もいる

 クイントの恐ろしい過去を聞き、言葉も出ないブロディとフーパー。しかし憩いの時を邪魔するかのようにサメが襲撃してくる。サメの体当たりによりエンジンが半壊し海水が流れ出してオイルにも塩水が混じってしまった。

 翌朝、再びサメが現れる。ブロディは湾岸警備隊の応援を無線で呼ぼうとしたがプライドの高いクイントは無線通信機を壊してしまう。

 しかしそのタイミングで再びサメの襲撃を受ける。クイントは再び樽を打ち込む。3発樽がホオジロザメに撃ち込まれ、3個の樽を付けたままホオジロザメは逃亡する。

 樽のロープが舟の留め具に付けられており、ホオジロザメは凄い力で遠くへ向かうため、舟が壊されそうになる。そしてホオジロザメは留め具ごと持ってってしまう。またホオジロザメの抵抗により海水が舟の中に流れ込んでいた。

 沖合では不利だ、と判断したクイント、ブロディ、フーパー。浅瀬に誘い込もうと舟を浅瀬へ向かうが、クイントがフーパーの制止も聞かず、全速力で浅瀬へ向かうため、ついにエンジンが焼き付いて壊れてしまう。

 打つ手なし。絶望的になるブロディとフーパーにクイントは救命胴衣を渡す。クイントはフーパーの持っているモリに興味を持つ。

 フーパーはそのモリの先に強毒の入った注射器を付け、檻を利用し海の中に入れて口の中へ注射器を刺せばホオジロザメは死ぬ、という作戦を提案し自分が檻に入ることを決める。

 三人はすぐに檻を組み立て、フーパーが中に入って檻を海に潜り込ませる。

 フーパーは早速、ホオジロザメの襲撃を受ける。フーパーはホオジロザメを警戒したが後ろから襲撃されモリを落としてしまう。

 檻が半壊されフーパーは食われそうになるが、なんとか海底に潜ってやり過ごした。

 やがて檻を引き上げたブロディとクイント。その直後、ホオジロザメが舟を襲撃。後部から口を大きく開け舟は襲撃により沈み始め、クイントが食われてしまった。

 サメは再び舟を襲撃し生きているブロディはフーパーが持ち込んだ酸素ボンベをサメの口の中に突っ込む。そしてブロディはショットガンを持って近づくホオジロザメにモリを打ち込みながら舟のマストに昇り始める。

 徐々に沈んでいく舟とマスト。ブロディはショットガンをホオジロザメに連発していくがなかなか死なない。ホオジロザメは徐々に接近する。

 口を開けはじめたホオジロザメにブロディ署長は「くたばれ、化け物!」と言いショットガンを撃ち込む。その弾はホオジロザメの加えたボンベに当たり大爆発。ホオジロザメの体は四散し血と肉片のの雨が降る。

 やがてフーパーが浮上した。ブロディはフーパーにクイントが殺されたことを伝える。そして二人は残ったタルを使って海岸まで泳いでいった・・・








 この映画のあと、現実のホオジロザメが虐待の対象になっちゃった現象が起きましたねえ。今では多くが保護されているようですが。ボンベを加えさせて銃で撃ち込むほどの馬鹿はいないでしょうが・・

 この映画はストーリーがそもそも娯楽映画なので、特に語れることがないんですが・・この後何作もジョーズのシリーズが続くんですけど・・どうも見る気が失せるというか。やっぱりその後が「2」を除いて駄作、という評価がありますからねえ。気が向いたら見ますよ。

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(2012/08/22)
ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ 他

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原作小説
ジョーズ―顎 (1975年) (Hayakawa novels)ジョーズ―顎 (1975年) (Hayakawa novels)
(1975)
ピーター・ベンチリー

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Category: 洋画サ行
ここまで何度も泣かされた映画は初めてかもしれないです。

ちなみに、にじゅうしのひとみ、と読みます。


『二十四の瞳』(1954年・日)
二十四の瞳
スタッフ
監督:木下惠介
脚本:木下惠介
原作:壺井栄「二十四の瞳」
製作:桑田良太郎
音楽:木下忠司
撮影:楠田浩之
配給:松竹
キャスト
大石久子先生:高峰秀子
香川マスノ“マーちゃん”:月丘夢路
川本松江“マッちゃん”:井川邦子
山石早苗:小林トシ子
岡田磯吉“ソンキ”:田村高廣
加部小ツル:南眞由美
西口ミサ子“ミーさん”:篠原都代子
徳田吉次“キッチン”:戸井田康国
片桐コトエ:永井美子
相沢仁太“ニクタ”:清水竜雄
竹下竹一:三浦礼
森岡正“タンゴ”:大槻義一
大石大吉:八代豊→八代敏行
大石並木:浮田久之→木下尚爾
大石八津:郷古慶子
よろずや:清川虹子
飯屋のかみさん:浪花千栄子
小林先生:高橋トヨ
田村先生:大塚君代
校長先生:明石潮
大石先生の夫:天本英世
ちりりんや:高原駿雄
松江の父:小林十九二
松江の母:草香田鶴子
男先生:笠智衆
大石先生の母:夏川静江
男先生の妻:浦辺粂子

~二十四の瞳 分教時代(1年生)~
相沢仁太“ニクタ”:佐藤国男
岡田磯吉“ソンキ”:郷古秀樹
香川マスノ“マーちゃん”:石井裕子
片桐コトエ:上原博子
加部小ツル:田辺由実子
川本松江“マッちゃん”:草野節子
木下富士子“フジちゃん”:神原いく子
竹下竹一:渡辺五雄
徳田吉次“キッチン”:宮川真
西口ミサ子“ミーさん”:小池泰代
森岡正“タンゴ”:寺下雄朗
山石早苗:加瀬かをる

~二十四の瞳 本校時代(6年生)~
相沢仁太“ニクタ”:佐藤武志
岡田磯吉“ソンキ”:郷古仁史
香川マスノ“マーちゃん”:石井シサ子
片桐コトエ:上原雅子
加部小ツル:田辺南穂子
川本松江“マッちゃん”:草野貞子
木下富士子“フジちゃん”:尾津豊子
竹下竹一:渡辺四朗
徳田吉次“キッチン”:宮川純一
西口ミサ子“ミーさん”:小池章子
森岡正“タンゴ”:寺下雄章
山石早苗:加瀬香代子


 木下惠介監督作品「二十四の瞳」

 原作は1952年に発表された壺井さんの「二十四の瞳」という小説。これを当時「カルメン故郷に帰る」(1951年・日)ですでに名を飛ばしていた木下監督が映画化しました。ただ舞台を壺井の故郷・香川県小豆島に変えたんですね。でもこの映画は木下監督と高峰秀子の人気を高めましたねえ。

 1年生時代と6年生時代で同じ役を苗字が同じ人がやってるの気づきました?これは木下監督が全国からよく似ている兄弟を募集して3600組7200人の中から12組24人を選んだんですね。だから1年生の子が6年生になったのを映像で撮っても違和感がそんなにないんですね。後にこの24人は「瞳の会」と称して同窓会を行い、木下監督の葬儀にも行っていたらしいです。

 この映画は、よく子供たちの合唱とかメロディーとして有名な童謡ばっか流れるんですねえ。私は小学校中学校と童謡はよく歌いましたが、この映画を見て、童謡ってこんなに素晴らしいんだ、と初めて思いましたね。合唱は美しい声で、何度も涙を誘いメロディーのみの童謡でも涙しそうになりました。音楽が流れるたびに涙腺が緩むなんてそうそうないです。

 大石先生は本当に泣き虫です。泣きミソ先生っていうのは的を射たあだ名ですねえ。だから先生の生徒への思いにこちらも胸を詰まらせる思いになりますね。

 この映画は教育者という立場の人間と教え子の関係を密接に描き、戦争による教育方針の変化を感じ取り、木下監督はこの作品に戦争反対の意思を込めました。つまり反戦映画の一つですね。ただし戦争の軍人が戦うシーンは描かれてません。しかし大石先生が何と戦っていたのか、それは描かれてますね。



【あらすじ】

 小豆島の分校にやってきた新米教師・大石久子は12人の子供たちを教え子として接し、24人の瞳に見つめられながら授業をしていた。やがて骨折により本校に移った久子は4年後に12人の子供たちと再会。しかし当時、徐々に戦雲が高まりつつあり・・・

















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 瀬戸内海の島の一つ・小豆島
 小学校の生徒は四年までが岬の分教場にゆき、五年になってはじめて片道五キロの本村の小学校へかようのである。

 昭和三年四月四日。
 生徒たちが「村の鍛冶屋」を歌っていると辞めてしまう小林先生(高橋トヨ)を見つけ駆け寄る。小林先生は後任に大石久子先生(高峰秀子)が来る、と教え大石、という苗字なのに背が小さいことを聞かされると「じゃあ小石先生だ!」と言って大はしゃぎする。

 服を着て自転車に乗りながら通勤する大石先生によろず屋(清川虹子)らはおなごのくせに、と不信感を募らせていた。

 始業式を終えた大石先生は早速、自分の持つクラスの教え子たちの出席をとり、名前と顔を覚えていた。子供たちは、頼みもしないのにあだ名を教えたりしてくれた。

 相沢仁太“ニクタ”(佐藤国男)、岡田磯吉“ソンキ”(郷古秀樹)、香川マスノ“マーちゃん”(石井裕子)、片桐コトエ(上原博子)、加部小ツル(田辺由実子)、川本松江“マッちゃん”(草野節子)、木下富士子“フジちゃん”(神原いく子)、竹下竹一(渡辺五雄)、徳田吉次“キッチン”(宮川真)、西口ミサ子“ミーさん”(小池泰代)、森岡正“タンゴ”(寺下雄朗)、山石早苗(加瀬かをる)。

 大石先生は早速「小石先生」なんてあだ名を付けられ呼ばれながら帰宅していた。分校にはもう一人男先生(笠智衆)と、教師ではないがその妻(浦辺粂子)がいた。男先生と対称的に村人には「おなご先生」なんて呼ばれていた。

 その後、大石先生は12人の子供たちとよく歌を歌ったりして仲良くなっていく。しかし村人から好かれていないことを大石先生は悩みお母さん(夏川静江)に相談したりもしていた。

 だがある日、大石先生は暴風雨が過ぎ去った次の日、道のガレキ駆除を教え子たちと手伝っていると教え子の一人の家の押入れが壊れちゃった、と聞き12人と一緒に大笑いする。

 しかしここぞと大石先生に嫌気を差していたよろず屋が
「人の不幸をなに笑うとるんです?ウチは旦那が屋根から落ちましたがそれがオモロいですか?」
 大石先生は謝罪しよろず屋は去っていく。
「小石先生、大失敗の巻だね」
 大石先生はうつむきながら泣き、生徒たちはそれを見過ごしはしなかった。

 落ち込んだ先生を励ましてやろうと悪ガキ達を中心に12人の子供たちは先生に落とし穴を仕掛ける。落とし穴にハマった先生だったが、苦しんでいた。どうやら足を痛めたのだという。生徒はすぐに男先生たちを呼びに行った。先生は担架で運ばれしばらくの復帰は無理そうだった。

 土曜日の一週間に一度の唱歌の時間。いつもは大石先生がオルガンを弾いて子供たちと歌を歌ってたのだが大石先生はいない。しばらくは前に習った歌を合唱したりしていたが、いつまでもそうし続けるわけにもいかない。男先生は必死に妻と一緒にオルガンを習っていた。

 そしてその週の土曜日、男先生がオルガンで子供たちに教えるが、やはり大石先生ではない物足りなさがあった。

 12人の生徒たちは対岸にある先生の家を見つけ、近くに見えるからそこへみんなで歩いて行こう、と歩き出す。しかし舟のお金がないうえに黙って行かなければいけない12人はわざわざ回り道をしなくてはならない。自転車で大石先生が通勤するのに50分かかる道を歩くのだ。

 親たちは子供が居なくなったもんで探し回る。一方、その12人の子供たちはなかなか家につけずコトミが泣きだしてしまう。

 そんな時、たまたまその道をバスが通りかかる。竹一がそのバスに乗っている大石先生を見つけ追いかける。バスは停車し中から大石先生が降りてきた。子供たちはみんな大石先生の下に駆け寄り一斉に泣き出してしまった。自分に会いに来たと知った大石先生も泣き出してしまう。

 その後、大石先生は家に連れて行ききつねうどんを皆にたらふくごちそうする。そのあと、みんなで集合写真を一枚撮って帰りは舟で帰って行ったのだった。

二十四の瞳の写真

 しばらく月日は経ち大石先生の家に本校の校長(明石潮)が怪我で分教場へ行くのは難しいだろうから、と本校に転任が決まったと伝える。しかし大石先生は複雑な心境だった。そこに小ツルの父親のちりりん屋(高原駿雄)が1年生の保護者からのお見舞い品を持ってやってきた。

 しばらくぶりに舟で分教場側の岸にやってきた大石先生。子供たちはいっせいに大石先生に駆け寄る。大石先生は保護者にお見舞いの感謝の言葉を言いに回って行ったが誰がどれをくれたのかよく分かっておらず頓珍漢な発言をしたりする。一方、保護者や村人も大石先生への意見を改めており、温かく接する。

 大石先生は子供たちと共に分教場に戻っていくがそこで本校に転任するのでお別れのあいさつをしに来た、と告げる。森岡正が自分が毎日、舟を漕ぐと言ったりして、やがて全員で泣き出す。大石先生もつられて泣き出してしまった。男先生は言う。
「ありゃ。先生を笑顔で送んなきゃダメじゃないか。いつまでも泣きやまんなら、泣きたいだけ泣け。こりゃ授業になんねえなあ。」
 大石先生は泣きながら言う。
「みんな。成長して本校でまた会いましょうね」

 やがて大石先生出発のとき。岬に暮らす人たちは大石先生の船を見送るのだった。男先生が自分の教えた歌で見送ろう、と生徒に促すが12人の子供たちは大石先生に教わった「七つの子」を歌って見送るのだった。


~あれから5年後。

 12人は6年生に上がっていた。相沢仁太“ニクタ”(佐藤武志)、岡田磯吉“ソンキ”(郷古仁史)、香川マスノ“マーちゃん”(石井シサ子)、片桐コトエ(上原雅子)、加部小ツル(田辺南穂子)、川本松江“マッちゃん”(草野貞子)、木下富士子“フジちゃん”(尾津豊子)、竹下竹一(渡辺四朗)、徳田吉次“キッチン”(宮川純一)、西口ミサ子“ミーさん”(小池章子)、森岡正“タンゴ”(寺下雄章)、山石早苗(加瀬香代子)。

 海の色も山の姿もそっくりそのまゝ昨日につゞく今日であった。しかし流れ去った五年の歳月の間に満州事変、上海事変、世の中は不況の波におしまくられていた。
 だが幼い子供達は前途に何が待ち構えているかをしらず、彼等自身の喜びや彼等自身の悲しみの中で伸びていった。

 春休みになり、大石先生は遊覧船の船乗り(天本英世)の婿をもらう。生徒たちは大石先生の旦那さんに興味津々だった。

 川本松江の家は貧しく、父親(小林十九二)は娘が欲しがっているユリの花の弁当箱も買ってあげられなかった。また母親(草香田鶴子)は妊娠していたものの、休みもせず働いていた。

 それが原因なのか、松江の母は出産のときに死んでしまい、妹だけが松江に残った。大石先生は家庭訪問をして子守をする松江にユリの花の弁当箱を差し出す。

 だが、松江はいつまで経っても学校に来ない。ある日、大石先生は松江の妹がついに死んだことを知らされる。

 別の日、大石先生の同僚・片岡先生が「草の実」という文集を授業で使い子供に反戦思想を植え付けた、という容疑で警察に取り調べられた。すぐに釈放されたものの、その文集を大石先生が自分は使った、と校長に報告。すぐに校長はその文集のある場所を聞き出し、火をつけて燃やしてしまった。

 しかし片岡先生が警察に連れて行かれた理由を「資本者」などという言葉を使って子供たちに説明した大石先生は校長から厳重注意を受ける。

 また、母が死んだ松江は父親と共に大阪に引っ越してしまったことを知る。頭を殴られながらも必死にいやだいやだ、と父に訴えていたらしい。大石先生はそのことを聞き自分の無力さを嘆いていた。


 修学旅行。
 香川県へ船で向かう本校の子供たち。途中、夫の乗っていたフェリーと出会った大石先生は夫に向かって手を振る。また船の上ではマスノが「浜辺の歌」を歌ったりもした。

 金毘羅宮に差し掛かったとき、大石先生は疲れており同僚の田村先生(大塚君代)と一緒に近くの茶屋にでも入ろうとしていた。そのとき、「天ぷら一丁」という聞き覚えのある声を聞き、その声がした飯屋に入ってみた。そこには大阪に引っ越したはずの松江が学校の時間にも関わらず働いていたのだ。

 大石先生は松江に話しかけるが松江は大した返答もしない。飯屋のうるさいかみさん(浪花千栄子)と二、三松江のことを話してから大石先生は店を去る。
「マッちゃん。手紙頂戴ね。先生も書くから」
 松江は黙ってうなずき、大石先生は何もしてやることができないまま11人の生徒たちのもとへ戻っていく。松江は店を抜け出し、通りで先生に駆け寄っていく11人を隠れて見つめ、路地裏でさびしそうにする。

 そして、修学旅行生を乗せたフェリーは本校へ戻っていく。みんなの帰りのフェリーを埠頭から泣き続けながら見送るのだった。

 授業で“将来の希望”について作文させている大石先生。しかし途中でフジちゃんが泣き出してしまう。大石先生はフジちゃんを連れて渡り廊下で話を聞くことにする。
「先生。私、将来の希望なんてかけないんです」
「書けなくたっていいわ。書かなくても先生よく分かる。フジちゃんの辛いの」
「先生にもどうしていいか分からないけどあんたが苦しんでるのあんたのせいじゃないでしょう。
お父さんやお母さんのせいでもないわ。世の中のいろんなことからそうなったんでしょう」
「だからね。自分にがっかりしちゃだめ自分だけはしっかりしていようと思わなきゃね。
先生無理なこと言っているようだけど、もう他に言いようがないのよ」
 フジちゃんは先生の胸で泣き、先生も思わず泣いてしまう。

 大石先生は面談でコトエに進学を勧めていた。しかしコトエは進学しないという約束で修学旅行に行かせてもらったらしく、本人も親に奉公したいという思いがあり進学は諦めていた。

 大石先生は男の子の生徒たちと軍人さんについて話していた。軍人さんになりたい、と言っている男の子たちに
「先生は軍人さんより庄屋さんとか農家の人の方が格好いいと思うけどなあ」
 と生徒の命を案じて答え、男の子は先生を弱虫扱いする。

 また、マスノの料理屋に家庭訪問に行った大石先生。東京に行って歌をやりたい、というマスノの夢を止めるよう説得してくれ、というマスノの母。大石先生はそれを決して馬鹿にしたり、止めることはしなかった。

 校長に呼び出された大石先生が反戦思想を吹き込んだいわゆる“赤”だ、という疑惑が流れていると伝え大石先生を厳重注意する。
「いいですか。教師ってのはお国に御奉公のできるような、そういう国民に育てあげるのが義務です」
 大石先生はその考えにどうしても賛同できなかった。

 卒業式。
 そして11人の子供たちは卒業式を終え、卒業していった。

 大石先生は妊娠しながら、夫と相談。今の大日本帝国による教育方針に失望し、教師を辞めることを決意したのだった。

 そんな大石先生の家にソンキと竹一が訪ねてくる。二人は兵隊さんになるつもりらしい。また二人から富士子が兵庫に引っ越したことを聞かされる。やりきれない思いを抱えながら大石先生は帰る二人をバス停まで見送った。


~8年後

 海の色も山の姿も昨日につゞく今日であった。しかしそこに住む人々の生活は 支那事変、日独伊防共協定 大きな歴史の流れにおし流されていった。

 大石先生は結核のコトエの家にお見舞いにやってくる。どうやらコトエはもう永くないらしい。結局、奉公すら出来ず男の子に生まれれば両親を苦労させることはなかった、とコトエは意気消沈しており大石先生は励ます。

 そして貧しい家に飾られた12人の子供たちと大石先生で撮った写真。それをコトエは寝たっきりになりながらずっと見つめているのだという。大石先生も時代の変化に涙し24の瞳がこれから背負うものの重さを嘆いてていた。

 やがて教え子の徳田吉次(戸井田康国)、相沢仁太(清水竜雄)、竹下竹一(三浦礼)、森岡正(大槻義一)、岡田磯吉(田村高廣)たちが次々と出征していく。島民たちは戦地に赴く男たちの乗るフェリーを見送るのだった。

 そして大吉(八代豊)、並木(浮田久之)、更に八津の三人の子供を産んだ大石先生だったが、夫が赤紙によって徴収されてしまう。


~四年後

 四年の歳月は大東亜戦争の擴大とともに兵隊墓に白木の墓標をふやすばかりであった。

 4年前は赤ん坊だった八津(郷古慶子)も今は成長していた。大石先生は病気がちな母親を看病していたがやがて母親は死んでしまう。

 そして大石先生の夫の戦死の通知が届いたのだった。


~八月十五日

 学校で、敗戦を知らせる天皇陛下の玉音放送が流れた。出征を控えていた大吉だったが、戦地に赴けなかったことを悔しがっていた。

 しばらくして、八津が柿の木に昇って柿を取ろうとして木から落下し死んでしまった。大石先生はお墓に行き、貧しくてロクに食べさせてあげられなかった、だからおなかがすいて柿をとろうとしたんだろう、ということを嘆いていた。


~昭和二十一年 四月四日

 大石先生は大吉(八代敏行)の漕ぐ舟で分教場へと向かっていた。彼女は年老いたが、再び教壇の上に立つことになったのだった。彼女は息子・大吉が舟を漕ぐ姿を見て、教え子・森岡正が昔に舟を漕いで先生を送っていくよ、と言っていたのを思い出す。

 運命の悪戯か、かつての教え子たちの子供や結核で結局死んでしまったコトエの妹などが学校に通っており、大石先生が教えることになったのだ。始業式の日に早々と大石先生は泣き出してしまう。

 大石先生は墓地へ行き、戦死した教え子の森岡正、相沢仁太、竹下竹一のお墓参りをしていた。その墓場で娘を教えてもらうことになったかつての教え子・ミサ子(篠原都代子)と再会する。墓参りをして泣き続ける大石先生を見つけた子供たちが
「泣きミソせんせぇー!」
 とからかっていた。大石先生の新しいあだ名はすぐ泣いてしまうから“泣きミソ先生”なのだという。ミサ子は大石先生の歓迎会を開いてくれる、ということを決めたと大石先生に話す。

 歓迎会の会場であるマスノ(月丘夢路)の料理屋に向かう大石先生。大吉、並木(木下尚爾)らと一緒に途中まで行き、二人を先に帰して料理屋に向かっていく。

 料理屋の近くで、加部小ツル(南眞由美)、山石早苗(小林トシ子)と再会。そしてあの松江(井川邦子)も来ていたのだ。大石先生も松江も再びの再会に感涙する。

 マスノの料理屋の和室に来た大石先生はそこで教え子たちがお金を集めて購入した自転車をプレゼントされまた感涙してしまう。泣きミソ先生というあだ名も的を射ているかもしれない。

 そして戦争に行き盲目になってしまい時には死んだ方がマシだった、と嘆いていたソンキこと磯吉、戦地から無事に帰ってきたキッチンこと徳田吉次も合流する。

 みんなで「七つの子」を歌ったりして、やがて思い出の24の瞳と大石先生が映った記念写真が回される。やがてソンキも見たくなり、写真を持ちながら目が見えないのに指で辿る。

「おうこの写真はなあ、見えるんじゃ」
「なあほら、まん中のこれが先生じゃろ。その前にわしと竹一と仁太が並んどる。
先生の右の、これがマーちゃんで。こっちが富士子じゃ」

 大石先生や松江たちもその姿を見ながら昔を思い出し泣き出す。ソンキは声を詰まらせながら
「マッちゃんが左の小指を一本ぎり残して、手を組んどるが」
 と言う。歌手になりたかったマスノは涙目になりながら「浜辺の歌」を歌うのだった。


 大石先生はプレゼントされた自転車に乗って分教場へと今日も向かっていた・・









 好きなシーンってのはたくさんあります。泣いてしまったシーンもたくさんあります。例えば子供たちが歩いて先生のお見舞いに行って再会したシーン、なんといっても終盤の歓迎会のシーン。私が演出でうまいなあ、と一番感じたのは松江がフェリーを見送るシーンですね。松江は泣きながらかつての仲間が乗ったフェリーと同じ方向へトボトボ歩きだすんですが、それを遠くのフェリーが松江を抜かすんです。そうするように移したカメラワークがうまい。辿りつけない、ことをうまく表している気がしました。

 まあ確かにちょっとコトエの結核で嘆くシーンは少しあざといかなあ、と思ったこともあります。ですがこの映画はうまく感情移入できるようにしてあると思います。私たちのような戦争を知らない世代でも。まあ個人差なのですが、是非泣ける人はむせび泣いてみてください。感動の一作です。

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Category: 邦画ナ行
ジェリー・ルイスがシンデレラ役の男版シンデレラの映画作品。


『底抜けシンデレラ野郎』(1960年・米)
底抜けシンデレラ野郎
スタッフ
監督:フランク・タシュリン
製作:ジェリー・ルイス
原作:フランク・タシュリン
脚本:フランク・タシュリン
撮影:ハスケル・ボッグス
音楽:ウォルター・シャーフ
キャスト
フェラ・キングストン:ジェリー・ルイス(肝付兼太)
チャーミング姫:アンナ・マリア・アルバーゲッティ(杉山佳寿子)
名付け親の妖精:エド・ウィン(雨森雅司)
カウント・ベイシー演奏団ボーカリスト:ジョー・ウィリアムズ
カウント・ベイシー演奏団ジャズ奏者:カウント・ベイシー
本物のシンデレラ:ノーラ・ソープ
ジル:シャリ・リー・バーナス
ジャック:スティーヴン・ジェイ
金魚の運転手:ノーマン・リーヴィット
マクシミリアン・キングストン:ヘンリー・シルヴァ(徳丸完)
ルパート・キングストン:ロバート・ハットン(木原正二郎)
エミリー・キングストン:ジュディス・アンダーソン(島美弥子)

※吹き替えは1976年4月23日テレビ東京放映の音源を収録したものだそうです。


 フランク・タシュリン監督作品「底抜けシンデレラ野郎」。原題は「Cinderfella

 先も言いましたように、ストーリーはかの有名なグリム童話「シンデレラ」を基にしていますね。それをジェリー・ルイスが喜劇として、そしてミュージカル風にジェリー・ルイス自身が歌声を披露したりしました。ジェリー・ルイスの歌声が聞けて、その身軽なダンスも見れてしまう。それだけでもお得もんですわな。

 ジェリー・ルイスはまあ、ちょっと貧乏でトンマな役を演じるわけですね。そして人当たりが良くて、痛めつけられてもくじけない良い子。でもそれはお父さんの教えに従ってたから。だから終盤ではとっても賢明な男になってるんです。私はジェリー・ルイスの顔芸を見ると、加藤茶を思い出しますね。

 フランク・タシュリンっていうのはジェリー・ルイス主演の底抜けシリーズやら腰抜けシリーズでも制作スタッフの一員として映画を作ったりしてますね。この人は喜劇映画をよく作ってますね。

 一方、ミッキー・ルーニーってのも喜劇俳優ですね。底抜けシリーズではよくディーン・マーティンと共演してました。マーティンは死にましたが彼は今も生きており、例えば「ナイトミュージアム」(2006年)にも敵の老人三人の一人として出演してました。

 吹き替えは・・・ミッキー・ルーニーが肝付兼太って。どうしても骨川スネ夫がチラついてしまって。でも実はミッキー・ルーニーの原語と結構声が似てるんですよね。ただ、正直どうしてもスネ夫が浮かんでしまいました。


【あらすじ】

 実父が死に、後妻に遺産が譲渡されたが先妻の息子であるフェラは後妻に愛されず、後妻とその息子たちに召使のようにこき使われていた。そんなフェラの前に名付け親の妖精を名乗る老人が現れ、訪米することで騒がれているプリンセス・チャーミングと舞踏会で結婚できると言われるが・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



 アメリカ・ロサンゼルス。

 フェラ・キングストン(ミッキー・ルーニー)は実父が亡くなり、エミリー・キングストン(ジュディス・アンダーソン)に遺産が継がれる。

 しかしエミリーは実子のルパート(ロバート・ハットン)とマクシミリアン(ヘンリー・シルヴァ)を溺愛し、先妻の息子フェラを召使のようにこき使っていた。

 朝早くに朝食の準備やら家事やらで忙しいフェラ。継母エミリーはフェラを情けで置いてやっている、と常々フェラ自身に言っていた。遺言のフェラを慈しんでくれ、というのは平気で破られていた。

 ある日、プール掃除をしていたフェラは見知らぬ老人(エド・ウィン)と出会う。老人はプールに招待されたわけでなく勝手に来ているらしい。フェラは人や人物が好きだから、ゆっくりしてってくれ、と言うが老人は人と人物は同じだろう、と言う。しかしフェラは
「大違いさ。人物っていうのは偉い人。ただの人とは違うよ」
 と言う。フェラは普通の人でも満足しているらしい。だが老人は後の舞踏会でフェラも人物になれる、という。

 夜。エミリー、ルパート、マクシミリアンの三人は後に開かれる舞踏会の話し合いをしていた。なんでもその舞踏会にモナカ大公国のチャーミング姫(アンナ・マリナ・アルバーゲッティ)が表向きは遠い縁戚を訪ねる親善旅行に、実は婿探しに来るらしい。

 金を使い込みすぎて貧乏になっていったエミリーは何としてもルパートとチャーミング姫を結婚させ、富を手にしたい、と計画を練っていたのだ。

 そこにフェラがお替わりのドリンクを持ってやってくる。フェラはプールに居た老人が突如、消えたと説明するがルパートらはそれはお得意の夢だろう、と取り合わない。フェラはよく実父が隠した大金の場所を教えてくれそうなところで目が覚めてしまう、という夢を見ているのだ。

 一方、フェラの夢が本当なのではと信じ始めたエミリー、ルパート、マクシミリアンの三人。貧しくなる一方、フェラが隠し場所を夢の中で父から教われば、自分たちでその金を手にして貧困から解放される、と思い保険のためにフェラに優しく接しようとする。

 その日の夕食、フェラはいつも通り、食堂の長机の端っこに座り少ない料理を食べ、もう片方の端っこに三人集まって食べていた。相変わらずフェラは食べている最中にワインを注いだり、砂糖をコーヒーに入れたり、タバコに火をつけたりてんやわんや。

 しかしエミリーが食べ終わった後、フェラの料理をはじめて「おいしかった」と言う。フェラはその言葉だけで感激し、ルパートとマクシミリアンはフェラをポロ、テニス、ゴルフというスポーツに連れて行ってやる、と言いフェラはさらに感激していた。

 しかしこれはルパートとマクシミリアンの計画で、スポーツで疲れ切ったフェラならば夢を最後まで見て場所を寝言でつぶやくのではないだろうか、というものだった。

 翌日、案の定疲れ切ったフェラは自室で眠る。ルパートとマクシミリアンはエミリーに伝えずに自分たちで山分けしよう、と部屋に忍び込み寝ぼけているフェラを監視する。

 やがて眠りだし夢をみはじめたフェラは突如、起き上がり
「父さん。大金の隠し場所まで連れてってくれるのかい?」
 と言って窓の外に出ていく。ルパートとマクシミリアンは窓の外の下を覗くが、フェラは回り込んで、部屋の中に入り寝ぼけながら窓を閉める。窓に押し出されたルパートとマクシミリアンは落下していった。

 やがてチャーミング姫がキングストン邸へやってくる。一週間の滞在でマスコミも注目していた。

 フェラは一家の恥だから、と自室に閉じ込められていた。窓からチャーミング姫が家の中に入るのを見つめることしかできない。

 そんなフェラに鍵がかけられた部屋なのに入ってくる老人がいた。プールで出会った老人だ。彼は自分をフェラの名付け親で、妖精だと名乗る。そしてフェラにシンデレラと同じ奇跡を与えよう、というがフェラは信じない。

 なんでもシンデレラに奇跡を起こした妖精は自分なのだが、それを記事にしたのが女性記者で妖精までもが勝手に女性に変更されて後世まで伝えられたのだという。ますます胡散臭くなる。

 信じないフェラに対し、妖精は本物のシンデレラを部屋に召喚する。さらに妖精は貧乏な服で現れたシンデレラにドレスとガラスの靴を履かせた服装に変身させる。やがてシンデレラは消失。フェラは妖精を信じるようになる。

 妖精たちの間で、シンデレラが後世に伝えられたせいで夢見がちな女性が自分を白馬の王子様が迎えに来ると思い込んでしまったらしい。しかし女性は現実を思い知り、手近な男と結婚して済ませる。しかし女性は白馬の王子様と現実の夫を比べてあーだこーだ言い、亭主が不憫な時代になってしまったらしい。

 そこで妖精たちは不憫な亭主たちに、今度は男版シンデレラを後世に伝えていき、亭主も女房に
「こっちだってフェラみたいな思いがしたかったのに、お前のような安上がりで済ませたんだ!」
 と言えるようにしていこう、と考えたそうだ。そうすれば亭主も女房も自分たちの身の程を知り、理解できるのではないか、それが妖精の考えで白羽の矢が立ったのがフェラだった。

 しかしフェラはそのためにチャーミング姫と自分が結婚する、ということを知り卒倒してしまう。妖精はジル(シャリ・リー・バナス)とジャック(スティーヴン・ジェイ)を召喚しバケツの水を卒倒したフェラの顔にぶっかけてやった。

 夜、フェラと妖精は庭でダンスをするチャーミング姫とルパート。二人は良いムードになりフェラは邪魔してやろうか、と思ったがうまく飛び出せない。キス寸前、というところでエミリーが興奮し悲鳴をあげて、二階からエミリーと一緒に観ていたマクシミリアンは池に落っこちる。

 池に様子を見に来たルパート。そのタイミングでチャーミング姫にフェラは見つかり、フェラはすぐさま逃亡する。

 舞踏会当日。実父が結婚式のときに来ていた服を手直しして舞踏会に参加しようとするフェラにエミリーたちは大笑いし家の暖炉を暖めておくよう指示する。

 さすがのフェラもこれにはショックを覚え、エミリーたちが舞踏会に行った後に反抗し暖炉を暖める作業を途中でやめてしまう。

 そこに妖精が現れる。諦めようとしていたフェラを妖精はさっさと行け、と指示しフェラは赤いドレスを着込んで出席することにした。

 舞踏会ではルパートとチャーミング姫が踊り、良い雰囲気になりまたしてもキス寸前のところまでいく。

 しかし突如、現れたカウント・ベイシー(カウント・ベイシー)演奏団の演奏に気をとられる二人。そこへ赤いドレスを着込み髪が若干グレーで年上の男風に現れたフェラ。

 フェラは身軽なダンスを披露しチャーミング姫の手を取りダンスに誘う。チャーミング姫は了承し、二人は軽快なダンスを踊る。

 しかし時計は12時近くを指しておりフェラはチャーミング姫に「あなたのことは忘れない」と言って魔法が解ける前に去っていく。チャーミング姫はフェラを引き留めようとしたが失敗。しかしフェラが意図せず落としていった紳士靴を見つけそれを抱く。

 魔法が解ける前に家に帰宅するフェラ。運転手(ノーマン・リーヴィット)は金魚に戻り、車もフェラの自転車に姿が戻ってしまう。フェラは金魚が死ぬ前に池の中に金魚を戻す。

 そこにマクシミリアンがやってきて殴られたくなければフェラの父が隠した大金の在り処を吐け、と脅してくる。フェラは金のことしか考えない兄に失望し、近くにあった木の枝を引っ張る。

 するとその木の穴から大量の金貨やら銀貨やら金目のものが飛び出してきてマクシミリアンはそれに吹き飛ばされてしまった。

 翌朝、結婚が失敗し財産すべてを舞踏会につぎ込んでいたエミリー、マクシミリアン、ルパートたちは屋敷を去ろうとする。

 それをフェラが呼び止め、隠されていた大金をエミリーにすべて譲る、と言う。エミリーは、これはフェラのお金だ、と拒否するが
「嫌じゃなかったらここで暮らしてよ。兄さんもお母さんも僕のお金のために僕に優しくしてくれてたんでしょ?このお金でお母さんやお兄さんが幸せになるんだったら、全部あげるよ」
 そういって去っていく。エミリーは息子の愛に泣き、許しを請う。言われた通り、大金を手につかむマクシミリアンやルパートに、やめなさい。これはフェラのお金よ、と止めるのだった。

 自転車に乗ってどっかへ行こうとするフェラに紳士靴のセールスだ、と名乗ってチャーミング姫が昨晩の靴を履いてほしい、と言う。

 フェラはその靴は大きくて合わない、と履きもせずに去ろうとする。引き留めるチャーミング姫。
「ダメだよ。僕たちは身分が違いすぎるんだ。僕は普通の男だ」
「公女だって普通の女です」
 フェラは結局そのまま自転車で去っていく。チャーミング姫は悲しみに暮れ悲歌を歌い始める。

 そこにフェラが戻ってくる。二人は抱き合いキスをする。舞台は切り替わり、舞踏会へ。

 そして二人はいつまでも幸せに暮らしたとさ。











 チャップリン、キートン、ロイドの三人の喜劇を見てるせいか、この映画でのミッキー・ルーニーの喜劇的要素がそんなに面白いとは思わなかったんですよねえ。私個人はなかなか笑えなかったです。むしろカウント・ベイシー演奏団のジャズソングが聴けて良かった、という印象が大きいですね。

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Category: 洋画サ行
岡本喜八のほうですね。


『殺人狂時代』(1967年・日)
殺人狂時代(1967)
スタッフ
監督:岡本喜八
脚本:小川英、山崎忠昭、岡本喜八
原作:都筑道夫『飢えた遺産』
製作:田中友幸、角田健一郎
音楽:佐藤勝
撮影:西垣六郎
編集:黒岩義民
製作会社:東宝
配給:東宝
キャスト
桔梗信治:仲代達也
鶴巻啓子:団令子
大友ビル:砂塚秀夫
義眼の殺し屋:富永美沙子
安:大木正司
秀:樋浦勉
間淵憲三:小川安三
松葉杖の詩人殺し屋:久野征四郎
仕込み傘の老人殺し屋:沢村いき雄
オバQ:大前亘
アトム:伊吹新
青地光:江原達怡
小松弓江:川口敦子
ブルッケンマイヤー:ブルーノ・ルスケ
部下・池野:滝恵一
溝呂木省吾:天本英世


 岡本喜八監督作品「殺人狂時代」

 まあキチガイ映画ですね。キチガイという発言がいっぱい出てきます。テレビじゃそうそう放映できませんね。しかしこの映画は岡本喜八らしさが爆発しててとっても素晴らしい映画。私、岡本喜八は邦画の監督で黒澤明と同じくらいかそれ以上に好きな監督さんです。

 この映画ではチャップリンの「殺人狂時代」(1947年)のように監督独特の殺人観が込められてますね。人はみな殺人をしたがる、英雄というのはみんな殺人を犯しつくしたキチガイなのだ、とのことです。例示にヒトラーが持ち出されました。やっぱ殺人狂といえば、ヒトラーなのですねえ。

 この映画では天本英世が本当に輝いていた。彼の名言の一つですねえ。「気違い結構!」自分がキチガイであることを誇らしく思ってます。私は似たようなキャラの死神博士より、こっちの溝呂木の方が好きですね。

 最初、日活に持ってったんですが拒否されました。そのあと、東映に持ってったんですが東宝も岡本監督作品なのに対して宣伝せず、東宝で過去最悪の興行収入となってしまいました。岡本監督も落ち込んだそうですよ。

 映画を全体でみるとアクション多めでパッと見すると大衆向けですね。分かりやすいキチガイの悪役博士が語る殺人哲学なども別にこの映画自体が反戦ものでは無いので大した意味はなさないんですよねえ。ですがこの映画はある意味、キチガイを肯定しているのではないでしょうか。


【あらすじ】

 犯罪心理学教授・桔梗信治は殺し屋に命を狙われるが返り討ちに遭わせてしまう。すぐに警察に出頭するが家に殺し屋の遺体は無くなっており、知り合ったオカルト雑誌の女性記者・鶴巻啓子や車泥棒の大友ビルと共に、殺し屋の組織に接触しようとする。















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり




 ナチス残党のブルッケンマイヤー(ブルーノ・ルスケ)は多くの精神病患者を収容した精神病院の院長・溝呂木省吾(天本英世)に会いに来る。ブルッケンマイヤーは「大日本人口調節審議会」のトップである溝呂木に仕事を依頼しに来たのだ。

 大日本人口調節審議会は増えすぎた人口を抑えようとしている。そのためならば手段は選ばない。ブルッケンマイヤーは無作為に選んだ3人を始末して、実力を見せてほしいという。

 サラリーマンの男は義眼の女(富永美沙子)に殺され、おばさんは松葉杖の殺し屋(久野征四郎)に殺され、あと一人の標的・犯罪心理学の教授である桔梗信治(仲代達也)を間淵憲三(小川安三)が殺そうとする。

 間淵はボサボサの髪と髭、大きい黒縁眼鏡、ボーッとした態度、そして水虫に悩まされ、死んだ母をマザコンのように崇拝する桔梗の家を訪れ、自己紹介をしてから切れ味のよいカードの間に刃を仕込んで、彼を殺そうとするが驚いた桔梗は腰を抜かして回避。桔梗は倒れて糸に引っかかりその糸に引っ張られて石像が落下して間淵の頭上に落下。間淵は死んでしまう。

 桔梗は派出所に出頭し、警官とたまたまそこにいたオカルト雑誌の記者・鶴巻啓子(団令子)を連れて家に帰宅する。しかし家には間淵の死体が消失していた。

 桔梗は鶴巻に飯をおごって、話を聞いてもらう。しかし鶴巻は信じてないようだった。そんなとき、桔梗は自分のポンコツ車(最高で20キロくらいしかでない)を盗まれそうになる。

 桔梗は車を追いかけ、車泥棒の大友ビル(砂塚秀夫)と出会う。鶴巻が警察に伝えない代わりに、協力しろと大友を脅し汚い世界に顔の広い大友は桔梗たちに「大日本人口調節審議会」について知ってそうな人間を会わせる。

 大友は安(大木正司)と秀(樋浦勉)を紹介する。しかし二人とも全く知らないようで桔梗は見当違いでしたね、と言って帰ろうとする。しかし安と秀はそんなことを言われて激怒し、殴りかかろうとするが桔梗はそれをたまたま水虫を掻きはじめて回避し、起き上がった桔梗と勢いありすぎて吹っ飛ばされた安と秀。桔梗は大友に兄貴、と慕われるようになる。

 その夜、大友は車で寝て、桔梗はラブホテルに一人で泊まることになる。しかしその部屋に帰ったはずの鶴巻が裸でベッドに居た。鶴巻は
「こんな面白そうな案件は他の会社に取られたらもったいないわ。契約させてもらうわ」
「待ってて。今、万年筆を」
「あはは。いらないわよ。もっと別の契約方法もあるのよ」
 桔梗は誘われるまま彼女と一夜を過ごす。桔梗の肩には手術痕が残っていた。

 一方、溝呂木はブルッケンマイヤーが執拗に桔梗にこだわる理由が気になり、彼に自白剤を打って証言を引き出す。どうやら桔梗には「クレオパトラの涙」というダイヤモンドが体内に埋め込まれているらしい。

 翌日、桔梗は姿を隠すためにも変装としてボサボサの髪と髭を剃り、度の強い大きな黒縁眼鏡を外しスーツを着込む。まるで別人のように変わってしまった。しかし彼は母のお守りと称してカーネーションを胸ポケットに大事にしまうのは変えなかった。

 そこへ大友が駆け込んでくる。どうやら秀が大日本人口調節審議会のメンバーと接触したらしく地下鉄の駅で会ってもいい、とのことだった。桔梗と大友、鶴巻の三人は警戒しながら地下鉄の駅のホームに降りていく。

 その駅で飛び込み事故があったようだ。桔梗と大友は嫌な予感がして、遺体を確認しに行く。それは秀だった。どうやら大日本人口調節審議会に殺害されたようだった。

 桔梗はすぐさま鶴巻のもとに行く。そして犯人がまだここに居て次は自分を狙ってるのではと警戒。やがて仕込み傘の殺し屋(沢村いき雄)が桔梗を殺そうとするが、桔梗はその男に驚いて思わず男を地下鉄の線路に突き落とし返り討ちに遭わせる。

 そのあと、桔梗、鶴巻、大友の三人はレストランで食事をしていた。その三人に突如、話しかけてくる怪しい青地光(江原達怡)。青地はどうやら霊能力研究者で、桔梗に霊媒師の小松弓江(川口敦子)を紹介する、という。

 桔梗は青地を怪しみ、帰ったフリをして車のトランクに隠れる。代わりに鶴巻と大友が青地に霊媒を依頼したいと小松のオフィスまで連れてってもらう。

 だが小松も青地もやはり大日本人口調節審議会からの差し金だった。鶴巻と大友の二人は小松の催眠術で操られる。桔梗の場所を吐かされそうになり、鶴巻は催眠術をかけられながらも
「私・・桔梗さんのことが好きなの」
 と答える。仕方なく小松は大友から車のトランクに居ることを聞き、青地を派遣する。

 トラックに隠れていた桔梗はトランクから出て車の座席に隠れていた。青地はトランクにベルトで鞭打つが、桔梗は車を運転して青地を轢いてしまう。

 轢かれた青地は息絶え、桔梗は小松のいる部屋を目指す。

 小松の部屋では鶴巻がさらわれ、大友は自分は鳥だ、と洗脳され窓から飛び降りさせられそうになる。大友は窓から降りようとした瞬間に自我を取り戻し窓にしがみつく。

 小松に落とされそうになるが、桔梗が部屋に入ってきて
「覗け!」
 と言う。大友はその通りに小松のスカートの中身を覗く。小松は油断し、転落してしまう。

 その後、桔梗は次々とおもちゃにも見える実は秘密兵器というものを用意し、大友と一緒に鶴巻を助け出そうとする。

 まず早速、鶴巻の勤めていた雑誌社の編集長(草川直也)の下を訪問するが彼は何も知らない。そこに溝呂木と名乗る男が自分は知っているからついて来い、と言う。

 溝呂木に案内された場所はただの酒場。そこで溝呂木は人々が「部長は死ぬべきだ!」とか「近所の旦那さん、殺されたんじゃないかしら」などの話題が周りで流れているのを聞かせて
「聞いてごらんなさい桔梗君。みな殺人の話ばかりだ。
みな戦争のニュースを見るとテレビに飛びつく。それは面白いからだ。
人々はみな殺意を持っている。それは人間の、動物の本能だ。
人間も動物なのだから生存競争をするのは当たり前だろう。
だがそんな周りの人間と私が違うのはただ一つだけ。
それは周りは隠しているが私がはその殺意を持っていることを露わにしていることだ。
気違い結構
しかし英雄と呼ばれるヒトラーやナポレオンはみな殺人を繰り返した気違いだよ」

 溝呂木は煙草を貸そうとするが桔梗はそれを拒絶し女性からマッチで火を借りて自分の煙草で吸う。溝呂木は彼女を無事に返してほしければおとなしくすることだ、と言い去って行った。

 桔梗は、溝呂木を典型的な愉快犯でありながら、ちゃんと計画を立てうまく遂行させる知能犯だ、ともプロファイリングした。

 溝呂木が去った後、彼が意図的に残したフィルムテープを拾い8mmの映写機で見る二人。そこには拷問を受ける鶴巻啓子の姿が映されており今夜10時に迎えが来るとあった。

 二人はなんとか打開策を考えるが、そこに鶴巻が落としたと思われるメモを届けてきた眼帯の女がやってくる。二人はヒントになるのでは、と眼帯の女に拾った地点まで運転してもらう。

 眼帯の女は暴走運転をして、桔梗を殺そうとする。桔梗はその前に毒針を仕込んだクラッカーで先手を打つ。桔梗は
「富士の麓に彼女はいる」
 と遺して死んでしまった。

 桔梗と大友の二人は富士の麓を当てもなく車でさまよう。もし敵がわれわれを発見したら必ずアクションを起こすだろう。一か八かの賭けだった。

 やがて敵と思わしきヘリが旋回しているのを見つける。もうすぐ二人に接触を試みるだろう。そんな時、若い女二人がヒッチハイクをしていた。大友は無視して通過しようとするが桔梗はあえてその女二人をホテル「マウント富士」まで乗せることにした。

 マウント富士で降りた女二人。しかし大友は二人の持っていた書類を偶然、盗み見て彼女たちが持っていた書類はどうやら「大日本人口調節審議会」のものだったと言う。やっぱり二人はスパイだった。

 二人はプールで水着撮影を終えたヒッチハイクの女二人に部屋で暖めてほしい、と誘われる。桔梗たちは部屋をとろうとするが、自分の部屋を貸してくれる、と松葉杖の男がキーを渡してくれた。

 二人は松葉杖の男から譲られた部屋で女二人から聞き出そうとする。しかし彼女たちは名前は似ているが別の組織の書類を持っていた。誤解が解けたところで女二人は大友と桔梗を誘惑する。

 ソファーに倒れこんだ桔梗。その部屋に松葉杖の男が入ってくる。松葉杖の男は松葉杖に仕込んだ拳銃で桔梗を殺そうとするが桔梗が小さな爆発物を松葉杖の男の方へ打ち込み松葉杖の男は退却する。

 松葉杖の男は車に乗り込もうとするが、すでに桔梗と大友が待ち構えており、車に乗せて出発。鶴巻啓子の居場所を聞き出す。どうやら自衛隊の演習場のトーチカにいるらしい。しかも自衛隊はそこで演習をしており、もうすぐトーチカが爆破されるのだという。

 あわてて演習場へ向かう桔梗と大友。しかし迂闊に近づけない二人は自衛隊員の呼称オバQ(大前亘)、アトム(伊吹新)に話しかけられる。

 二人はなんとか自衛隊員を気絶させようとするが、その必要もなく自衛隊員は上司に呼ばれて別の配置場所へ去っていき、桔梗と大友はトーチカへ走っていく。

 なんとか爆破前にトーチカにたどり着いた二人だったが、そこには鶴巻啓子ではなくマネキンが置かれており溝呂木が置いた無線から溝呂木の声が聞こえた。

 全て溝呂木がここへ誘い込むための罠だったのだ。桔梗と大友はしてやられた。自衛隊の演習というのもそもそも嘘で、自衛隊員の格好をした溝呂木の部下たちだったのだ。

 やがてトーチカに砲撃を食らう。二人はトーチカへの一発目の砲撃で、トーチカの外へ飛び出し、そのあと砲撃された場所をたどっていく。一度砲撃された地点に、連続でもう一度正確な砲撃は不可能だろうと信じて。

 二人は砲撃をうまく避けながら撤退を開始。溝呂木はまず先ほどホテルで殺人に失敗した松葉杖の殺し屋を処刑。なんとしても二人を始末するようオバQたちに言い、オバQら偽自衛隊は出向いていく。

 桔梗は偽自衛隊員を一人抹殺しその銃でもう一人を射殺。それから近くに落っこちていた不発弾を回収し、それを地面に埋めて、オバQたちが乗ったジープをおびき寄せる。

 ジープは埋まった不発弾の上を通過し爆発。二人はなんとか生き延びたのだった。

 その後、バスの中で桔梗は溝呂木と再会。溝呂木は桔梗との一対一の殺し合いの対決を望み二人はバスを降りて溝呂木の精神病院へと向かう。

 その車の中で、溝呂木は桔梗が数年前、ドイツに少年団の一人として使節にいった時にダイヤモンド「クレオパトラの涙」を埋め込まれただろう、と問い詰めるが桔梗は覚えていないと話す。

 その病院には狂った精神病患者が檻に収容されており、笑う狂人(中山豊)、咆える狂人(山本廉)、羽織袴の狂人(土屋詩朗)、ウインクする狂人(浦山珠実)、団扇太鼓を叩く狂人(出雲八恵子)らが居た。鶴巻もその檻に囚われていた。溝呂木は自分を殺してからだ、と桔梗を防音室へ案内する。

 防音室に入った途端、桔梗はこれまでの無感情のようなキャラから一変しダイヤモンドのことを覚えている、と話す。
「ナチスの残党ブルッケンマイヤーは看護師から聞き出し、
仲間を殺してその情報を独り占めした。
そして今度は私がブルッケンマイヤーを殺して情報を手にした。
さて君はダイヤモンドのことを覚えているかね」
「ああ、俺は覚えてるさ。
リヒャルト・ヒンケル博士がナチスから盗み出したダイヤのクレオパトラの涙。
ヒンケル博士はナチスに捕まりそうになったとき、事故で運ばれた僕に
ダイヤモンドを埋め込んだのさ。
まあ博士はナチスの拷問中に心臓麻痺で死んで回収は不可能になってしまったがね」
「今まで忘れていた、と言ってたじゃないか」
「他の誰かに言うと、もっと早く命を狙われそうだったからね」
 溝呂木は隠し拳銃を突きつけようとするがその前に桔梗が動き、溝呂木の動きを封じ拳銃を奪って溝呂木につきつける。

「君はいったい・・何者なんだ」
「そうだなあ。例えばクレオパトラの涙を埋め込んだことで
自分を狙おうとする組織をおびき出そうと壊滅しようと準備していたとしたら?」
「なるほど。殺し屋を返り討ちにさせたのはすべて偶然ではなかったのか」
「ああ、そうだ。あとヒンケル博士は俺にダイヤモンドを埋め込んでなかった。
何年か前に手術をしたら肩からガラス玉が出てきたよ。
ヒンケル博士の用意したダミーだったらしい」
「なに!?そうか・・
だが私はダイヤモンドなぞにあまり興味はない!
例えば君を砲撃なんてしたものにはダイヤモンドも一緒に吹っ飛んでいただろう。
私はそんな事よりエキセントリックな殺人を君に捧げようと思ってたのさ
砲撃で死ぬなんてそうそうない事態だ。素晴らしいだろう」
 溝呂木はナチスのヒトラーの演説を聞き彼に心酔しているらしい。

 桔梗は溝呂木に拳銃を突きつけ、鶴巻の解放をさせようとする。

 桔梗と溝呂木は廊下に出て、歩いていく。その桔梗を溝呂木の助手・池野(滝恵一)が壁に隠れて襲撃する。だが桔梗は檻に囚われた狂人が壁の方に手を振っているのを見て襲撃者の存在を確認。ゴリラほどの怪力を持つ池野と取っ組み合いになるが、池野を倒すことに成功する。

 溝呂木は池野を倒した桔梗を称賛。溝呂木はスペイン式決闘、お互いの左手をタオルで縛り、右手のナイフで戦うというもので決着をつけよう、と誘い桔梗もそれに応じる。

 ナイフでお互いを切りつけようとする二人。しかしやはり溝呂木は追い詰められた。
「皮肉なもんだな。殺人狂でも誰でもみんな死ぬのは怖いのさ」
 しかし溝呂木は左手を取り外して左腕に装着されたサブマシンガンを桔梗に向ける。どうやら溝呂木の発明した左手の義手だったらしい。

 万事休すの桔梗。しかし溝呂木はすぐ背後の檻に捕らわれた狂人に首を絞められ、やがて骨を折られて死んでしまう。

 桔梗は鶴巻啓子を解放し二人は車で脱出する。啓子は抱いてほしい、と言い桔梗はそれに応じる。しかし啓子は最後に毒針を仕込んで桔梗を殺害しようとして、桔梗は胸のカーネーションから催眠ガスを噴出する。

 桔梗はずっと啓子のことを疑っていたのだ。
「君が怪しいと思ったのは地下鉄の駅だ。
僕は変装をしたのにすぐに殺し屋にバレた。それは目印に君がいたからだろう
確信を持ったのはさっきだ。池野が隠れていたとき、君は位置的に池野が見えていたのに
何も言わなかったからね」
 啓子は自分で毒薬を飲んでしまう。
「あなたに殺されるんじゃないわ。自分で死ぬのよ」

 どうやら啓子は溝呂木の娘だったらしい。啓子は最期に桔梗に抱いてほしい、と誘い桔梗は応じる。

 啓子はバッグに爆弾を仕掛けていたのだ。しかし桔梗はそのバッグを外に放り投げる。バッグは爆発し花火と変わった。

 もっと威力の強い爆弾を仕掛けた啓子は驚いていたが桔梗が爆弾を改造して花火にしてしまったのだ。
「君の葬式にもっとふさわしいものにしておいたんだ」
 啓子は毒づき、やがて息絶える。桔梗は車を降りて去っていくのだった。

 その後、桔梗は大友の下に現れる。
「ウチの双子の弟が迷惑をかけたようですね。今その弟は外国へ行ってしまいました」
 桔梗はそういって車に乗り込み帰って行ったのだった・・・









 やっぱり岡本監督は私の中で和製ヒッチコックだと思ってます。ヒッチコックよりも風刺が利いてますが。逆転のまた逆転、命を狙われつつも返り討ち。この死ぬかと思いきや、の展開が面白い。「北北西に進路を取れ」に近い映画ともいえますね。

 序盤の展開は山田悠介「リアル鬼ごっこ」っぽいですよね。増えすぎた人口を減らすため。まあ確かに人口増大の末に食糧危機が起こり人間の中で生存競争が発生するかもしれない事態は十分あり得ますね。

 この映画で天本英世が演じる溝呂木博士は恐らく後の特撮「仮面ライダー」に出てくる死神博士のモデルではないでしょうか。演じる俳優も同じですし。

 溝呂木博士の殺人観にはなかなか肯定できるところもあります。誰しも一度は人に死んでほしい、だの殺したいだのそこまで深くなくても殺意を抱くことがないでしょうか。それは動物の本能、人間の本能。溝呂木博士は言ってました。しかしそれを理性で抑えられるのも人間なんですよねえ。

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原作
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(1962)
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Category: 邦画サ行
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