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ハリウッドの闇に杭を打ち込んだ作品とも言えるでしょう。


『サンセット大通り』 Sunset Boulevard (1950年・米)
サンセット大通り
スタッフ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、D・M・マシューマン・Jr.
製作:チャールズ・ブラケット
音楽:フランツ・ワックスマン
撮影:ジョン・F・サイツ
編集:アーサー・P・シュミット
表現演出:ハンス・ドライヤー、ジョン・ミーハン
セット装飾:サム・コメル、レイ・モイヤー
衣装デザイン:エディット・ヘッド
キャスト
ジョー・ギリス:ウィリアム・ホールデン
ノーマ・デズモンド:グロリア・スワンソン
マックス・フォン・マイヤリング:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
ベティ・シェイファー:ナンシー・オルソン
アーティ・グリーン:ジャック・ウェッブ
セシル・B・デミル:セシル・B・デミル
受賞
アカデミー美術監督・装置賞
アカデミー脚本賞:チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、D・M・マシューマン・Jr.
アカデミー作曲賞 ドラマ・コメディ部門:フランツ・ワックスマン
ゴールデングローブ賞 作品賞 ドラマ部門
ゴールデングローブ賞 主演女優賞 ドラマ部門:グロリア・スワンソン
ゴールデングローブ賞 監督賞:ビリー・ワイルダー
ゴールデングローブ賞 作曲賞:フランツ・ワックスマン
公開
米本国公開:1950年8月10日
日本公開:1951年10月5日
配給:パラマウント映画


 ビリー・ワイルダー監督作品「サンセット大通り」。原題は「Sunset Boulevard

 サンセットブルバードとはロサンゼルスにある通りの名前ですね。ロサンゼルス中心部から太平洋の浜辺まで続く大きな通りです。この通りではナイトクラブやら、スターの家やらが点在してます。ハリウッドを象徴する大通りの一つと言っても過言ではなさそうです。

 ビリー・ワイルダー。ハリウッドの監督さんです。「七年目の浮気」とか、「お熱いのがお好き」(1959年)、「アパートの鍵貸します」(1960年)など彼が手がけた名作を上げればキリがないでしょう。喜劇、シリアスなんでもござれの監督さんです。

 製作のチャールズ・ブラケットとワイルダーはずっとコンビを組んで映画を手がけてきましたがこの作品を最後にそのコンビが解消されてしまいますね。理由は喧嘩別れに近いようです。次の「地獄の英雄」(1951年)ではブラケットはもうワイルダーと組んでません。その後はブラケットはヘンリー・ハサウェイやジーン・ネグレスコ、ヘンリー・コスターなどと組んでいきます。

 主演はウィリアム・ホールデン。この人もハリウッドを象徴するような俳優さんです。この時は胸毛が凄かったので驚きました。この人の主演する私が大好きな映画「慕情」を見たときは胸毛が全然なかったんですね。ムードに合わせたのでしょう。

 ノーマ・デズモンド。往年の大女優という役です。これを演じたのはグロリア・スワンソン。サイレント映画時代からの本当の大スターです。このノーマ役は色んな人に声がかかりました。メイ・ウェスト、ポーラ・ネグリ、メアリー・ピックフォード。
 皆さん不吉な役を演じることに渋られてしまい、結果的に大スターのスワンソンに声がかかりそれにスワンソンが応じました。今思うとこの恐ろしいと思うほどの役はグロリア・スワンソンだからこそ完璧なノーマ・デズモンドになったのだと思います。ただスワンソン自身は確かに当時、映画にはあまり出てませんでしたが、その生活にはノーマと違い余裕があったようですね。

 ノーマの執事役はエリッヒ・フォン・シュトロハイム。ホールデン、スワンソンのコンビですら私にとってお腹いっぱいで満足なのにここにシュトロハイムを持ってこられて私は幸せになってしまいます。私はこの人を映画界の鬼と呼んでいます。スワンソンの熟成した演技と、シュトロハイムによる引き締められた演技が素晴らしくこの映画の主要キャスティングは完璧といえるでしょう。

 音楽はフランツ・ワックスマン。アカデミー賞とゴールデングローブ賞の作曲部門で受賞してますね。「断崖」、「レベッカ」や「陽のあたる場所」(1951年)など。ヒッチコックと3作品で組んでます。ただ「裏窓」(1954年)を最後にヒッチコックはバーナード・ハーマンとコンビを組むことになります。

 実はスワンソン以外にも往年の大スターが出演しています。バスター・キートン、アンナ・Q・ニルソン、H・B・ワーナー。この人たちはノーマとのカードゲームのシーンで本人役で出演しています。他にも本人役で監督のセシル・B・デミル、作曲家のジェイ・リビングストンと作詞家のレイ・エバンスのコンビは若者の集まる飲み屋に出て、芸能記者で女優でもあるヘッダ・ホッパーはラストシーンで出ています。


【あらすじ】

 サイレント映画時代の大女優ノーマ・デズモンドの邸宅のプールで一人の男の遺体が浮かんだ。プールに浮かんだ遺体は映画の脚本家のジョー・ギリス。ノーマによって殺されたのだ。大女優は何故、脚本家を殺してしまったのだろうか。















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



アメリカ・ロサンゼルスのサンセット大通り。午前5時

 パトカーや記者の車が、サイレント映画時代に活躍した忘れられた大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)の家へ駆けつける。殺人事件があったとの通報がノーマの邸宅からあったのだ。

 ゴシップを好む記者たちは往年の大女優による殺人を面白おかしく書き立てるだろう。

 背中と腹を撃たれプールに浮かぶ被害者はB級映画の脚本家のジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)。皮肉にもプール付きの家を欲しがったギリスはプールに浮かんで死んでしまった訳だ。

 ギリスは自分が死に至るまでの経緯を、我々に説明しはじめる。


殺人事件が起こる半年前

 ギリスは仕事にありつけず、良い脚本も書けないまま小さなアパートに暮らしていた。ジョーは自分の車を借金取り(ラリー・J・ブレイク、チャールズ・デイトン)に差し押さえされそうになっていた。

 ギリスは世話になっているパラマウント映画の敏腕プロデューサーのシェルドレイク(フレッド・クラーク)に脚本を持ち込む。20世紀フォックスも脚本を買いたがってるように匂わせるが、原稿閲読課のベティ・シェイファー(ナンシー・オルソン)に駄作と一蹴されてしまう。

 20世紀フォックスで主人公をタイロン・パワー※1】に据えるより、パラマウントでアラン・ラッド※2】にこの映画を主演させコーチ役にウィリアム・デマレスト※3】にするべきだ、と熱弁を振るうも、その熱弁もベティ・ハットン※4】の全く違うミュージカル映画にすれば儲かる、などと言ってシェルドレイクも資金難でギリスが差し押さえを回避するために貸す金も、与えられる仕事もなかった。
※1タイロン・パワー:アメリカのトップスター俳優で20世紀フォックスの看板俳優。代表作に「マリー・アントアネットの生涯」、「怪傑ゾロ」、「血と砂」、「愛情物語」などがある。
※2アラン・ラッド:アメリカの俳優でパラマウント映画の看板俳優。代表作の「シェーン」以降、いくつかの西部劇映画に出演。のち人気も身体も衰えカムバックを果たす直前に死亡する。
※3ウィリアム・デマレスト:アメリカの俳優。「ジョルスン物語」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。
※4ベティ・ハットン:アメリカの女優。パラマウント映画と契約。代表作に映画版「アニーよ銃を取れ」、「モーガンズ・クリークの奇跡」などがある。

 ギリスは思いつく友人に借金を頼むがわずかな金をアーティ・グリーン(ジャック・ウェッブ)から借りれた程度だった。仕事を斡旋するエージェント(ハロルド・ミラー)も役に立たない。ギリスはハリウッドに来たことを後悔し故郷に戻ることを決意する。

 車で帰宅途中にギリスは借金取りに見つかってしまう。ギリスは追跡してきた借金取りを撒いて廃れた車庫に車を隠す。その車庫にはガソリンを食いそうな高級車が置かれていた。

 歩き出したギリスはすぐ近くで車庫の持ち主と思われる豪邸を発見する。豪華絢爛な家“だった”かもしれないが、今はただ大きいだけで、人が住んでいるのか住んでいないのか一見して分からないような不気味な豪邸だった。映画の流れに打ち捨てられた映画人がかつて建てたのかもしれない。

 敷地に入ったギリスは邸宅の女主人に見つかり、誰か別の人物と勘違いされて家の中に呼ばれる。車庫を一時貸してほしい、という事情を説明するためにも豪邸の執事マックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)の招きに応じる。

 マックスの口ぶりでは、ギリスは葬式屋と勘違いされているようだ。ペットのお猿を庭に埋葬してほしい、と頼んできたのはこの邸宅の女主人。女主人に誤解を解いたギリスは、女主人に退出を命じられる。

 出ていこうとしたギリスは女主人の顔に見覚えがあることに気付く。この女主人こそ、サイレント映画時代の大女優ノーマ・デズモンドだった。

 ノーマは映画業界が映画に欲張って有声にしてしまったたことで映画自体の質が落ちてしまい、自分のような質の高い女優は受け入れられなくなり、すぐに消費できる“お手軽な”女優ばかりが売れるようになってしまった、と論じた。

 ノーマをトーキー映画の脚本家という自分の視点でからかい、すぐに消えるように言われたギリス。家を出ようとしたが、ノーマに止められる。

 ギリスは脚本家という職業を買われ、リビングに誘われるギリス。高価そうだが薄気味悪いオルガンがある奇怪なリビングだった。

 ノーマは自分が書いたという大作映画の脚本をギリスに見せる。映画のタイトルは「サロメ」。監督にはセシル・B・デミル※5】を据え置くつもりでいるらしい。
※5セシル・B・デミル:実在する20世紀の映画監督。代表作には「十誡」や「地上最大のショウ」、「クレオパトラ」などがある。

 ギリスはその脚本の一部を読まされる。到底映画になり得るものではない駄文なのにストーリーは大作だったので無駄に長い脚本だった。

 ギリスは読み終わりその脚本を褒めてノーマのご機嫌を取る。だが本物の脚本家による手直しが必要だ、とアドバイスする。ノーマはギリスの読み通りに、ギリスを自分の脚本の手直し係として雇うことにした。そしてノーマは作業中は自分の邸宅の離れに泊まるよう言う。

 まんまと仕事にありついたギリスはマックスに離れの使われていない部屋に案内される。マックスによればノーマは週に1万7千通のファンレターが未だに来るほどの人気だという。今の落ちぶれた彼女にそんな事はありえない。やはりマックスもノーマ同様、頭が少しおかしいのかもしれない。

 ノーマの邸宅にはラインが消えかかっているテニスコート、水を入れず植物が伸び放題で底でネズミが暮らすプールがあった。このプールも昔はメーベル・ノーマンド※6】やジョン・ギルバート※7】が泳いでいたかもしれない。
※6メーベル・ノーマンド:アメリカのサイレント映画時代の女優。「他人の外套」、「夫婦交換騒動」などチャップリンとの共演が多かった。
※7ジョン・ギルバート:アメリカのサイレント映画時代の俳優。代表作に「肉体と悪魔」、無声映画「ベン・ハー」など。有声映画時代の幕開けで甲高い声が暴露され仕事を失う。

 そして庭ではノーマとマックスがサルの遺体が入った棺を埋めていた。

 翌朝、オルガンの音に起こされたギリスは家にあるはずのタイプライターや着替えなどが部屋にあることに驚く。誰かが家からこの部屋に運んできたようだ。

 運んできたのはオルガンを弾いていたマックスで、それはノーマの命令だった。ノーマは脚本の手直しの間、ギリスに邸宅の離れで住み込みでやってもらうつもりだったらしい。

 住み込みを拒否するギリスだったが、それが気に入らないなら別の脚本家に任せる、と言い放つノーマ。ギリスにとっては必要な仕事だったので、それ以上は言えなかった。

 ギリスは急いで手直しに取り掛かるが元の文が稚拙すぎてまとめあげるのは大変、更にギリスの作業中はずっと監視しているノーマが、例えばシーンの一部をカットしようとした時にはそのシーンは必要だ、と突っぱねてくるのでギリスも仕事がなかなか進まなかった。

 ノーマは自分の若かりし頃の写真をリビングいっぱいに飾って過去の栄光に囚われていた。更にギリスはノーマに映画をリビングで鑑賞するのに付き合わされる。無論、その映画もノーマ・デズモンドが出演していた映画だ【※8】。
※8】実際にグロリア・スワンソンが出演していた映画「クィーン・ケリー」が上映される。製作当時、スワンソンが監督のエリッヒ・フォン・シュトロハイムと対立し未完に終わった作品。ちなみにシュトロハイムはこの映画の執事マックス役で上映技師として映写機を回している。

 ノーマはその映画を観ながらやはり俳優に声は必要ない、顔だけで演技できると銀幕の中の自分に酔いしれる。そして今のハリウッドを声でも顔でも演技できるのはグレタ・ガルボ※9】くらいしかいない、と批判した。
※9グレタ・ガルボ:アメリカの女優。サイレント映画時代の「肉体と悪魔」で人気を得てトーキー以後も「アンナ・クリスティ」や「グランド・ホテル」などで更に人気となりサイレント、トーキーとも人気を博した。

 屋敷では時々、ノーマは自分と同じ境遇にあるトーキー以後忘れ去られた俳優たち、バスター・キートンバスター・キートン)【※10】、アンナ・Q・ニルソンアンナ・Q・ニルソン)【※11】、H・B・ワーナーH・B・ワーナー)【※12】とカードゲームに興じていた。
※10バスター・キートン:アメリカの俳優でチャップリン、ロイドと並ぶ三大喜劇王。トーキー以後人気が衰えるも「サンセット大通り」や「ライムライト」での出演により50年代に再評価を受ける。代表作に「セブン・チャンス」、「キートンの蒸気船」、「探偵学入門」などがある。
※11アンナ・Q・ニルソン:アメリカの女優。画家のモデルをやっていたが映画界に入りトーキーになるまで成功する。代表作は「ポンジョラ」、「本塁打王」、「女名捕手」など。
※12H・B・ワーナー:アメリカの俳優。代表作は「キング・オブ・キングス」、「失はれた地平線」など。

 灰皿のタバコを捨てに出たギリスは、マックスから自分の車を借金取りに持って行かれそうになっていることを聞かされる。すぐにノーマに借金取りを追い払ってくれるよう頼むが、カードゲームから手を離そうとしない。

 結局、借金取りにギリスは車を持って行かれてしまった。落胆するギリスに、ノーマは自分の車に乗っかればいい、と言った。

 ギリスはタキシードなどの高級な服を買ってもらう。また、唯一ひとりでくつろげる空間であった離れの小屋の雨漏りが酷くなり、本邸に移ることになった。

 本邸の元旦那の部屋で寝ることになったギリス。だが洗面所も部屋も鍵がないことに気づきマックスに説明を求めた。マックスによれば全ての部屋の鍵を壊したようで、その理由はノーマが幾度も自殺未遂を図るため、彼女の安全を考えて医者がマックスに進言したようだ。

 ギリスはその会話の中でマックスがひとりで週に1万7千通もファンレターを送っている張本人だと気付き、問い詰める。しかしマックスは無視し、大晦日のパーティが近いので洋服を整えるように言って退室した。

 大晦日のパーティの夜。パーティにはギリス、ノーマ、マックス、そして招待された楽団以外に誰もいなかった。ノーマがギリスと二人きりで踊りたかったようだ。だがギリスにはノーマの束縛が耐えられなかった。

 何でも与える、というノーマに対してただ自由を求めるギリス。ついに我慢の限界が来たギリスはノーマに、自分には恋人がいるんだ、とウソをつきノーマに頬を叩かれてしまう。

 ノーマは自分の部屋に閉じこもってしまった。とにかく邸宅から逃げ出したいギリスは夢見る映画人の卵である若者たちの集まるタバコ屋へ向かう。ここで新年を祝うパーティが開かれているのだ。

 そのタバコ屋でギリスは友人のアーティ・グリーン、そして偶然にもベティ・シェイファーと再会する。ギリスはアーティに2週間ほど置いてほしい、と頼む。その後でベティから脚本を読んだ、と聞かされ彼女と自分の脚本についてのトークが始まる。

 半ば口論しながらも、もう半ばで茶番劇をして盛り上がった二人。ギリスは自分の荷物をまとめておくように電話でマックスに頼むが、マックスからノーマが自殺を図った、と聞かされ驚愕。すぐに邸宅に戻る。

 幸い未遂で済んだノーマ。ノーマは泣きながらギリスに出て行くように言う。哀れに思ったギリスはもう自殺を図らないことを約束させ、家に留まることを決意。「蛍の光」が流れ、新年が明ける。


 シェイファーはギリスの居場所を人づてに聞き出しノーマ邸に電話をかけるがマックスが応対し、ここには居ない、と答える。シェイファーはこの家がノーマ・デズモンドの暮らす邸だとは知らないようだ。

 ノーマはついにセシル・B・デミルに脚本を送った。あとは相手の返事待ち。ノーマは屋敷のプールに水を入れて、愛するギリスと暮らしていて幸せな日々を送っていた。

 俳優仲間を訪ねる道すがら、ノーマのタバコが切れたのでタバコ屋の前で車を止めさせ買いに行ったギリス。そこでシェイファー、アーティと大晦日ぶりに再会。シェイファーはギリスの脚本の一つに売れる要素があるので、ぜひ一緒に脚本を作ってほしい、と頼む。しかしギリスはもう脚本はやらない、と断ってしまう。

 ギリスが退屈しているとノーマは小さなショーを見せてくれた。例えば水着美人の衣装を着てパラソル捌きを見せてくれてメイベル・ノーマンドとの思い出に浸ったり【※13】、今度はチャップリンの物真似までしてくれた【※14】。
※13】グロリア・スワンソンはマック・セネットという喜劇映画のプロデューサーによる映画作品の何本かで海水着美人の役でデビューした。その時の衣装。ちなみにメイベル・ノーマンドも同じ水着美人からのデビューだった。
※14】グロリア・スワンソンは「嬲られ者」という映画でチャップリンの物真似をしたことがある。

 チャップリンの真似の最中、パラマウント映画から電話がかかってくる。ノーマはデミルから電話が来たのだ、と喜ぶがゴードン・コール(バート・ムーアハウス)という男からだった。ノーマはデミル自身がかけてこなければ応対しない、と突っぱねる。

 3日後、コールから緊急の用事がある、として撮影スタジオに向かうノーマ、マックス、ギリスの三人。若い門番のマック(ジョン・コーティ)に追い払われそうになったが、ノーマをよく知る老人の門番ジョンジー(ロバート・エメット・オコナー)がノーマを通してくれた。

 ノーマが来ることを知った撮影中のセシル・B・デミル(セシル・B・デミル)。用件が、あの酷い脚本のことだと分かっていたが追い返すわけにもいかず、撮影を一時休憩にしてノーマを迎える。

 ノーマを監督のイスに座らせ、デミルはノーマを呼んだゴードン・コールに確認を取ろうとする。デミルが居なくなったあと、電飾技師のホグ・アイ(ジョン・スキン・ミラー)がノーマに気付きスポットライトを当てる。スタジオ内の年配者たちがノーマに気づいて次々と近付いて挨拶をした。

 一方、確認をとっていたデミル。どうやらコールはクロスビー※15】の主演する映画に、ノーマの愛車がピッタリ似合っているので車を貸してほしい、という連絡をしようとしていたのだ。
※15ビング・クロスビー:アメリカの俳優。歌でも成功している。代表作に「ホワイト・クリスマス」、「我が道を往く」、「上流社会」などがある。

 デミルは真実を伝えようとしたが、ノーマが久しぶりにスタジオに入り、感動して思わず泣いてしまう姿を見て真実を伝えようにも伝えられなかった。

 マックスはこのスタジオのオフィスの一部が全てノーマの衣装部屋だった時代のことを話す。ウォーレス・リード※16】の寝る場所などスタジオになくて、キャンピングカーで寝かされていたほどだった。
※16ウォーレス・リード:アメリカの俳優。代表作に「カルメン」、「山火事」など。

 ギリスは閲読課でシェイファーを見つけ、声をかけにゆく。ギリスは自分の脚本をすべてシェイファーに任せたい、と伝えるがシェイファーは一緒に協力してその脚本を書いてほしい、と求めた。

 マックスのギリスを呼ぶクラクションが聞こえて戻ろうとするギリス。シェイファーは自分がアーティと婚約したことを伝え、アーティが遠方のロケに出かける来月の間、夜一緒に脚本を練ってほしい、と頼み込む。ギリスはそれを断り、良いアイデアだけ小出しして、マックスの下に戻る。

 マックスは、パラマウントのゴードン・コールが呼び出した件というのは車を貸してほしい、という事だった、と伝える。ノーマは脚本が通ったのだ、と勘違いしたまま車に戻ってきた。結局、デミルもマックスもギリスも残酷な真実を伝えることはできなかった。

 その日以来、ノーマはいつでも撮影に入れるように美容師の一団を家に招き美顔術やらトレーニングやらを欠かさずに行い毎日夜9時には寝るという生活を送る。まるでオリンピックを目指す運動選手の生活のごとく。その結果が報われないことを知らないまま。

 ノーマは夜遅く、ギリスが出かけることに気付いていた。問い詰めるノーマに対し嫌気が差すギリス。ギリスは夜遅く、シェイファーの下に行き彼女の脚本制作の手伝いをしていたのだ。

 2人で脚本を練りながら時にはスタジオを散歩する、という日々を繰り返す内にギリスとシェイファーの仲は縮まっていく。

 車庫に戻ると車庫の中でマックスが待ち伏せしていた。戻るときはあまり音を立てるな、と進言するマックス。マックスはノーマのデビュー作品の監督をしていて、彼女をスターにしたのもマックスだったのだ。

 デミル、グリフィス※17】と並ぶほどの有望株の監督だったが、ノーマに惚れ込んでしまい彼女と結婚。彼女の一人目の夫となった。離婚後、マックスはノーマなしでは耐え切れず監督業を捨てて彼女に執事にしてくれるように頼んだのだ。
※17D・W・グリフィス:アメリカの映画監督。ユナイテッド・アーティスツの創設者。代表作に「國民の創生」、「イントレランス」、「散り行く花」などがある。

 ギリスが帰ったのを見つけたノーマ。ノーマは、ギリスが夜中に抜け出してシェイファーと共同脚本を作っていることを知ってしまう。タイトルは「名もなき愛の物語」。

 一方、シェイファーはアーティからアリゾナに来るよう電報が来たことをギリスに知らせる。なぜか悲しみに暮れるシェイファー。彼女は今、恋する相手はアーティではなくギリスだということを打ち明けギリスとキスをする。

 ギリスは自分が彼女の将来を握っているが、その自分自身はどうしようもなく醜い人間であることに気付く。自分から汚点をぬぐい去るにはノーマの下から逃げ出すしかない、と考えていた。

 隣のノーマの部屋ではノーマがシェイファーに電話をかけていた。ノーマはギリスという男がどこで誰と暮らしているか暴露してしまおうとしていたのだ。

 ギリスは受話器を奪ってシェイファーに屋敷に来るように伝え電話を切る。ノーマは自分を嫌わないでほしい、憎まないでほしいと懇願し自分が自殺用に拳銃を買ったことも明かす。

 ノーマの屋敷にやって来たシェイファー。ギリスは屋敷をルドルフ・ヴァレンチノ※18】が踊った床だと説明。それから屋敷の話をして、自分がノーマの寵愛を受けて暮らしていることを明かす。
※18ルドルフ・ヴァレンチノ:アメリカの俳優。多くの女性を虜にした。代表作品に「熱砂の舞」、「黙示録の四騎士」、「椿姫」などがある。

 シェイファーはノーマのことは忘れるから荷物をまとめて一緒にいこう、と誘うがギリスはそれをしてしまうと自分の金が無くなってしまう、と拒否。アーティと幸せな結婚生活を送るように言い、シェイファーが帰るのを見送りする。

 シェイファーの帰り際にプールのライトをつけて、アーティと一緒に泳ぎに来るといい、と発しシェイファーは何も言わずに屋敷を出て行った。

 追い返したのを喜び感謝するノーマだったが、ギリスは何も言わない。自分の部屋に戻ったギリスは荷物をまとめて出て行く準備をしていた。ギリスはノーマに貰った貴金属や服を返し故郷に戻るつもりでいたのだ。

 必死に引き止めるノーマ。金で引き止めようとしてもギリスの決意は固かった。ノーマは自殺してやる、と脅すがギリスはそれも関係ない、と意に介さなかった。

 今でも自分がスターだと信じるノーマに、ついにギリスはスタジオが電話をしたのは車を貸してほしい、という要求のためだけだ、と披瀝してしまう。

 ギリスはやって来たマックスにファンレターもマックスが書いているんだ、と真実を言うべきだと主張するがマックスはそれでも隠し通そうと嘘をついた。

 自分はまだスターなのだ、と喜んだノーマ。ギリスの正論にもノーマは耳を傾けず、スターである自分に酔いしれていた。

 別れを告げ庭に出ていくギリス。ノーマは拳銃を持って彼を追いかけ、プールの近くで彼を撃つ。3発のうち2発の弾丸がギリスに当たり、ギリスの体はプールに飛び込んでいった。

 ギリスの遺体がプールに浮かぶ。マックスがノーマの下に駆けつけた。ノーマは「スターは輝きを失わない年を取らない」と焦点の定まらないまま呟いた。


 以上が一人の脚本家が往年の大女優の邸宅のプールで浮かぶに至った事件の真相である。

 ノーマの邸宅は空虚な賑わいを見せていた。野次馬、警官、芸能スキャンダル記者のヘッダ・ホッパーヘッダ・ホッパー)【※19】を始めとする記者たちで屋敷は一杯になっていた。ニュース映画の撮影隊も駆けつけた。今、前代未聞の殺人事件に世間はノーマにスポットライトを照らしていた。
※19ヘッダ・ホッパー:アメリカの女優、また芸能コラムニスト。芸能界に精通するとともに自身も女優である。

 もし仮にノーマは軽罪で済んだとしても、映画や社会へのカムバックは不可能に等しい。

 ノーマは未だに心神喪失状態にあった。警官の質問にも答えず、化粧をするノーマ。警官の一人が下にニュース映画のカメラが来ていることを上司の刑事に報告する。

 その報告を聞いたノーマはマックスを呼び「デミルにすぐ行くと伝えて」と命じる。

 階段を降りたマックスは待機するニュース映画のカメラマンたちに準備がいいかを確認する。そして部屋からノーマ・デスモンドが出てきた。マックスはまるで自分が監督であるかのようにニュース映画のカメラマン達や照明に指示を出す。

 ライトが当たったノーマ。ノーマは自分の“役”を思い出す。ここは宮殿。皆が王女が階段を降りてくるのを待っていた。

 奇妙なことに遂にノーマ・デズモンドにカメラが回される。彼女の念願が叶ったのだ。彼女に夢を見させ続けることを許したのだ。

 一段一段、優美に降りていくノーマ。

 階段を降りた先でノーマは感極まり自分の“役”を中断し、女優に戻るノーマ。ノーマは自身の心情を語り始めた。
「わたくし、再び映画が撮れて本当に幸せです。どれだけ寂しい思いをしてきたか。
二度と映画を捨てません。『サロメ』の後も私は映画に出演し続けます。
映画こそ私の人生。それだけが私の生きる道。
私たちとカメラと、スタッフと、暗闇の中で画面を見続けてくれる素晴らしいお客さん」

 最後にノーマは言った。
「デミル監督、クローズアップをどうぞ!」

 カメラはノーマ・デズモンドの、一人の女優の顔を大きく写していた・・・








 現実を受け入れられず過去にのみ浸り続けたノーマ・デズモンドという女優の物語でした。あまりにも哀れでした。

 ハリウッドの闇です。おそらくノーマ・デズモンドに限らずハリウッドというよりは映画界は俳優、女優を使い込んだあげくに時代に合わなければ捨て去る、という冷酷さも持ち合わせていますね。実際に“消費”させられたスター、役者、スタッフがどれだけ多いだろうか・・自分は消耗品の一つだという覚悟があれば、受け入れることも出来るでしょうが純粋に自分の栄光は輝き続ける、と思い込んでしまっては受け入れられないかもしれませんね。

 グロリア・スワンソン。この映画ではずっと無声映画の演技でしたね。身振り手振りがいちいち大きい、トーキー以後の演技をするウィリアム・ホールデンと比べるとよくわかります。しかしこれは流石グロリア・スワンソンと褒めるべき所です。ノーマ・デズモンドという女優が無声映画時代でしか生きていられなかった、という役柄を理解してこそグロリア・スワンソンによる無声映画らしい演技、ということです。

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私はキートンがクールな顔しているところが好きなんです。


『セブン・チャンス』 Seven Chances (1925年・米)
セブン・チャンス
スタッフ
監督:バスター・キートン
脚本:ジーン・ハーベッツ、クライド・ブラックマン、ジョゼフ・ミッチェル
原作:ロイ・クーパー・メグルー
製作:バスター・キートン
製作会社:バスター・キートン・プロダクション
1995年公開版音楽:ロバート・イスラエル
撮影:バイロン・ホーク、エルジン・レスレー
編集:バスター・キートン
表現演出:フレド・ガブリー
照明:デンバー・ハーモン
キャスト
ジェームズ・シャノン:バスター・キートン
マリー・ジョーンズ:ルース・ドワイヤー
ビリー・ミーキン:T・ロイ・バーンズ
ジョーンズ夫人:フランキー・レイモンド
弁護士:スニッツ・エドワーズ
牧師:エルウィン・コネリー
使用人:ジュール・カウルス
ミス・スミス:ジーン・アーサー
公開
配給:ゴールドウィン・ピクチャーズ・コーポレーション
米本国公開:1925年3月11日
日本公開:1926年7月11日 ヤマニ洋行による配給


 バスター・キートン監督作品「セブン・チャンス」。原題は「Seven Chances」。日本での公開当時は「キートンの栃麺棒」なんていうタイトルで公開されてました。
 栃麺の栃麺とはトチノキの実を小麦粉やそば粉にまぜてうどんのようにした食品のことで、栃麺棒とは栃麺を伸ばすときに使う棒、という定義が一つ。もう一つの意味にあわてんぼう、という意味があるそうです。後者の意味で邦題つけされたのでしょうね当時は。

 バスター・キートン。ご存知でしょうか。全盛期はチャップリン、ハロルド・ロイドと共に三大喜劇王と称されていた方です。この人は他の二人に比べて表情の変化が薄いです。その代わりに自分の身体と周りの登場人物やモノによる活動で表現し、笑わすことができます。他人頼りじゃないか!という意見が出てきそうですが、キートンは他の登場人物も周りのモノもどうやって動かすかを自分で考えているわけですから、結局はキートンの才能なのです。

 原作はロイ・クーパー・メグルーによる同名のミュージカルです。1916年よりジョージ・M・コーハンの劇場で公演が始まりました。その権利をプロデューサーのジョゼフ・M・シェンクを通じてキートンが買って映画化することができました。

 ヒロインはルース・ドワイヤー。1898年にニューヨークのブルックリンで生まれ1978年にロサンゼルスで亡くなった女優さんです。1919年からウィスタリア・プロダクションの映画「The Lurking Peril」でデビュー。それから、翌年にはホールマーク・ピクチャーズ・コーポレーションなどと色んな製作会社の映画に出演しました。しかし彼女のキャリアの中で今、一番有名なのはやはりこの「セブン・チャンス」でしょう。

 この映画で女装ショーの館と知らず、劇場にキートンが入り込み、求婚するシーンがあります。その求婚相手は女装した男性で、そうとも知らず看板の綺麗な“女性”を見てその劇場に潜り込んだのですが、追い払われます。実際に追い払われるシーンはないのですが、看板に描かれている女装俳優はジュリアン・エルティンジ。有名な女装俳優だったようです。

 この映画で特に有名なのはキートンが傾斜を下るシーン。ゴロンゴロン転がってきますね。落石です。キートンはそれを巧みに避けたり、ぶつかったり。そのシーンはぜひ実際に自分の目で見てみてください。



【あらすじ】

 ジェームズ・シャノンには想い人がいた。だが告白しようとしてもできない。ある日、叔父が遺産をジェームズに相続させる、という遺言を遺す。しかしそれには今年の誕生日の7時までに誰かと結婚するのが条件だった。その日が誕生日だったシャノンは想い人に告白するが振られてしまい、会社のために他の人間と結婚しようとする。しかし想い人はシャノンのことを誤解していただけで、私と結婚して欲しい、という手紙を送るが・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



 美しい花の彩る夏、ジェームズ・シャノン(バスター・キートン)は想い人のマリー・ジョーンズ(ルース・ドワイヤー)に愛を伝えたかったが伝えられずに居た。伝えようとしても伝えられないまま季節は秋、冬を越え春を迎える。マリーの愛犬もすくすく育っていく。

 ジェームズ・シャノンは共同経営者のビリー・ミーキン(T・ロイ・バーンズ)と共にブローカーをしていたが、詐欺に引っかかってしまい、経営状態が芳しくない。このままでは逮捕や破産のおそれまである。

 そんなタイミングで、ある老人弁護士(スニッツ・エドワーズ)がジェームズに良い情報を持ってオフィスに現れた。シャノンの叔父が死に遺産をジェームズに譲る、という手紙を持ってきたのだ。

 弁護士はシャノンのオフィスで受付嬢にシャノンを呼んでくるように言うが、裁判所からの督促だと勘違いしたシャノンはそれに応じない。

 弁護士は無理矢理にでも入ろうとするがシャノンとミーキンに追い払われる。頑として動こうとしない弁護士。シャノンとミーキンはカントリークラブに向かい、弁護士も追いかける。

 カントリークラブまで追いかけてきた弁護士だがシャノンとミーキンはクラブのガードマンに追い払うよう命じる。弁護士はガードマンの警備の目を潜って、レストランに居た二人に窓越しに手紙を見せる。

 オフィスに戻って手紙を読む三人。内容は条件付きでのジェームズに対しての700万ドルの遺産譲渡だった。その条件というのは今年の誕生日の7時になるまでにジェームズが結婚すること。三人は唖然。ジェームズの誕生日は今日だったのだ。

 急いで想い人のマリーに告白するジェームズ。マリーは一度は承諾しかけるも、ジェームズが「“誰か”と結婚すれば大金が手に入るんだ」ということを求婚の言葉の中に混ぜてしまい、マリーはジェームズにとって結婚する相手は自分以外の誰でもいいのか、と勘違いし結婚を断ってしまう。

 事情を聞いたマリーの母(フランキー・レイモンド)はもう一度ジェームズにチャンスを与えるべきだ、とアドバイスしマリーはオフィスに電話をかける。

 傷心したジェームズ。オフィスに戻ったジェームズは弁護士とミーキンに振られたことを伝え、自分は金よりも彼女の愛を失ってしまったことが悲しい、と漏らす。電話でそのことを聞いていたマリーは電話口にジェームズの名前を呼びかけるが、ジェームズは電話に気付かなかった。

 弁護士とミーキンはマリー以外の女性と結婚するように説得。拒むジェームズだったが会社を救うためだ、とミーキンに迫られ“マリー以外の誰か”と結婚することに了承する。

 マリーはすぐに「自分以外の女性と結婚しないでほしい」という内容の手紙を使用人(ジュール・カウルス)に届けさせる。使用人は手紙を持って馬でジェームズの下へと向かった。

 ジェームズ、弁護士、ミーキンの三人はカントリークラブに行き、花嫁探しを始める。そこにはジェームズの知り合いが7人居て、7回の機会があるということ。早速、知り合いの女性に求婚するが周囲で聞き耳を立てていた人間たちと共に大笑いする。馬鹿にされたジェームズはすぐにその場を退散する。

 帰ろうとするジェームズをなだめるミーキンと弁護士。次の候補である女性(ドリス・ディーン)に求婚しに向かうが、これもまた女性と聞き耳を立てていたゴルフを楽しむ家族たちに笑われてしまい失敗する。

 次に、自分の帽子を預かり所の女性(ロザリンド・バーン)に預け、2階席に座る女性に「結婚しません?」と書いた手紙を投げるが手紙をビリビリに破られてしまう。

 今度はミーキンがジェームズの代わりに告白に行く。彼女には結婚願望があるようで、ミーキンは結婚してほしい相手を女性に見せるが、その女性は自分にオススメされたのが弁護士だと勘違いし拒否する。

 続いて階段を上がっていく女、階段を降りていく女、電話ボックスの女に告白するもやはり失敗。ミーキンは自分と弁護士が花嫁を探しておくので5時に教会に集合するように言う。5時までの間にミーキンたちが一人、ジェームズが一人見つけてくるくらいの余裕で十分だろう。

 ジェームズはもうひとりに声をかけるがまた失敗。預かり所から帽子を返してもらい預かり所の女性に試しに求婚してみようとするが、失敗する。

 次に声をかけた女性に求婚してみると初めてOKがもらえた。今まで自分を振ってきた女性たちが見つめるなか、求婚に成功した女性と一緒に車に乗ろうとするがその娘の母親(ロリ・バラ)に止められる。

 母親は娘を連れて去っていく。娘はお母さんの服をめかしこんでいてまだお人形が好きな幼い女子だったのだ。ジェームズは観客たちに馬鹿にされ、憤慨しながら車を走らせて去っていく。

 ジョーンズ家の使用人は車を走らせるジェームズを踏切所の「STOP」の看板で止めようとするが構わずに去っていく。「STOP」の裏に「GO」と書かれていたのだ。

 車を走らせるジェームズは運転中の女性(マリオン・ハーラン)にも求婚してみるが前方を見てなかったので木に車をぶつけてしまう。

 ベンチで新聞を読む女性への求婚も失敗、その近くを通りかかった女性に求婚かと思いきや実は黒人の男でそもそも求婚せず、床屋に入って髪を切られている女性に声をかけようとしたらマネキンだったり、同じ床屋に居た女性をマネキンと疑い首を取ろうとして実は本物の人間だったので床屋(ジュリアン・リヴェロ)に追い出されたり、と散々な目にあう。

 舞台の楽屋入口にたどり着いたジェームズは看板に描かれた見目麗しい女優を見て、見張りの男に賄賂を渡し楽屋に入っていく。しかしその看板に書かれていたのは女装俳優のジュリアン・エルティンジ。

 そうとも知らず求婚して失敗したジェームズは腹立たしげに見張りの男から賄賂を取り返して去っていく。

 弁護士とミーキンは新聞で大金持ちになる予定のジェームズの花嫁募集の記事を載せる。その記事を見たチャンスを掴もうとした女性たちが教会に集まっていた。

 予定の5時頃になり、ジェームズは教会の一番前の席で仮眠を取る。その間にわれこそは花嫁になり金持ちになりたい、という夢を抱いた女たちが教会に集まっていた。

 大勢の女性たちは教会に押し寄せ、全員が教会に入りきれないほど集まってしまった。しかしその中に美人はあまりいない。ジェームズの存在に気づいた女たちはジェームズの取り合いになってしまう。

 見かねた神父(エルウィン・コネリー)は、ジェームズに金なんかない、と言ってしまう。詐欺師だ、と怒った女性たちはジェームズを問い詰める。

 教会を逃げ出したジェームズはジョーンズ家の使用人とバッタリ遭遇。彼からマリーに結婚する意思がある、という手紙を受け取りすぐにマリーの家へと向かう。

 現在の時間を確認しようとするが時間通りの時計がなかなか見つからない。アパートの窓から降ってきた時計を見たジェームズ。6時15分だった。

 ジェームズは早足で大通りを歩きジョーンズ家へ向かう。しかし後ろから多勢の花嫁候補今や暴徒と化した女性たちがジェームズに迫っていた。

 暴徒たちは各々レンガを手に取り、ジェームズを追いかけ投げつける。追いかける内にミーキンと合流し7時にマリーの家に行くので、牧師を呼んでおくように求めた。

 採掘場に逃げ込んだジェームズ。花嫁たちに捕まりそうになるがクレーンに掴まって空中に釣り上げられ難を逃れた。だが花嫁(ルイーズ・カーヴァー)にクレーンを占拠され滅茶苦茶な動きをする内に採掘場を脱出する。

 女性たちはジェームズを追いかける。ジェームズは川をボートで逃げ、女性たちが泳いで追いかける。川を逃げ、ジェームズは荒山を登っていく。

 荒山と荒山の間をジャンプで飛び越えたりして、次は荒山の傾斜を下っていく。その傾斜の下り道でジェームズの邪魔をするかのごとく、どんどんと落石が転がっていく。

 雪崩のようにどんどん転がっていく落石。それを避けたり時々当たりながら下山するジェームズ。麓で構えていた花嫁の暴徒たちもこれには参って一斉に逃げ出してしまう。

 なんとかジョーンズ家にたどり着いたジェームズ。しかしミーキンが時計を渡したので見てみると7時を過ぎていたのだ。

 金などいらない、と励ますマリーだったが、金のない自分と結婚させて不幸せな想いをさせたくない、と結婚を断るジェームズ。

 家を出たジェームズは近くの教会の時計を見て驚きミーキンの時計が壊れていることに気付いた。まだ7時になっていないのだ。

 すぐに結婚を済ませたジェームズとマリー。ジェームズはマリーに接吻をしようとするが、タイミングが合わない。

 ジェームズはマリーを連れ出し庭のベンチでキスをしようとするが、今度はマリーの愛犬によってそれも邪魔されてしまったのだった・・・






 キートン作品の特徴はチャップリンに比べて説教臭くない、というか風刺的な要素が薄いです。しかし映画の背景は貧困を舞台にしているので、やはり貧しさを匂わせています。その点で上品なハロルド・ロイドとは違いますね。

 公開当時の貧しい時代だったからこそ貧困層の人々はこの映画で憂さを笑い飛ばしていたのではないでしょうか。喜劇は励ましでもありますから。
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Category: 邦画カ行
流石ウィドマーク。ただの格好いい主人公を演じていません。癖の強い主人公です。


『襲われた幌馬車』 The Last Wagon (1956年・米)
襲われた帆馬車
スタッフ
監督:デルマー・デイヴィス
脚本:ジェームズ・エドワード・グラント、デルマー・デイヴィス、グウェン・バグニー・ギルガット
原作:グウェン・バグニー・ギルガット
製作:ウィリアム・B・ホークス
音楽:ライオネル・ニューマン
撮影:ウィルフリッド・クライン
編集:ヒュー・S・ファウラー
助監督:ジョゼフ・E・リカーズ
録音:バーナード・フレデリックス、ハリー・M・レオナルド、ウィリアム・バフィンガー
表現演出:ルイス・H・クレバー、ライル・R・ウィラー
セット装飾:チェスター・ベイヒ、ウォルター・M・スコット
服飾デザイン:メアリ・ウィルズ
メイクアップアーティスト:ベン・ナイ
ヘアスタイリスト:ヘレン・ターピン
視覚効果:レイ・ケロッグ
撮影補助:チャールズ・G・クラーク
衣装監督:サム・ベンソン
カラーコンサルタント:レオナード・ドス
キャスト
コマンチ・トッド:リチャード・ウィドマーク
ジェニー:フェリシア・ファー
ビリー:トミー・レディング
ジョリー・ノーマンド:スーザン・コーナー
ヴァリンダ・ノーマンド:ステファニー・グリフィン
クリント:レイ・ストリックリン
リッジ:ニック・アダムス
ブル・ハーパー保安官:ジョージ・マシューズ
ケリー中尉:ジェームズ・ドルーリー
オリバー・O・ハワード将軍:カール・ベントン・リード
ノーマンド大佐:ダグラス・ケネディ
コール・ハーパー:ティモシー・ケイリー
公開
米本国公開:1956年9月21日
日本公開:1956年12月12日
配給:20世紀フォックス


 デルマー・デイヴィス監督「襲われた幌馬車」。原題は「The Last Wagon」。原題直訳すると「最後の幌馬車」といった感じですかね。

 デルマー・デイヴィス。「縛り首の木」(1959年)、「ディミトリアスと闘士」(1954年)、「決断の3時10分」(1957年)、「避暑地の出来事」(1959年)などの監督さんです。30年代は脚本家として、40年代からは監督もやり始めて60年代中期まで作品を作り続けました。

 主演はリチャード・ウィドマーク。私の中で彼のイメージは「オリエント急行殺人事件」(1974年)で殺された悪党のイメージが強いです。「襲われた帆馬車」では主役です。コマンチに育てられ家族を殺された復讐の殺人者であり、帆馬車をアパッチから助ける男を演じます。「荒野のガンマン」で復讐を諦めたブライアン・キースと違い、復讐を躊躇いません。良い意味でも悪い意味でも綺麗好きな帆馬車の人々と対照的な汚れ役です。

 ヒロインはフェリシア・ファー。ジャック・レモンの再婚相手で彼が死ぬまで奥さんであり続けた女優さんです。現在も生きていらっしゃるようです。他には「決断の3時10分」(1957年)などがあります。

 製作はウィリアム・B・ホークス。この人のお兄さんはかの有名な映画監督ハワード・ホークスです。従妹はキャロル・ロンバート。他に製作を手がけた作品には「偽将軍」(1958年)、「ゴーストタウンの決斗」(1958年)などがあります。

 物語の舞台は1873年。1861年~65年まで続いた南北戦争の約8年後。南北戦争終結後は南軍北軍の軍人ともに同胞となりました。つまり南北戦争は後に同胞となる人々による殺し合いだった訳です。南北戦争の戦果というものは、後に同胞となる人間たちを何人殺したか、という事になります。冷静に考えれば恐ろしいことだ、ということを考えさせられるシーンが出てきますね。



【あらすじ】

 家族を殺した三兄弟のうち二人に復讐を果たしたコマンチで育てられた男コマンチ・トッド。残る一人の保安官に捕らえられ町に連れて行かれる道中、複数の家族の馬車と遭遇する。その家族たちに情けをかけられ、トッドは多少自由が利くようになるともうひとりの保安官を殺害する。夜、家族たちの内の若者数名が川へ泳ぎに行った隙に・・・













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1873年・アリゾナ準州

 コマンチ・トッド(リチャード・ウィドマーク)は復讐の相手である四兄弟の内の一人を射殺する。

 残りの兄弟三人がコマンチ・トッドを追いかけてきた。コマンチ・トッドは崖の上から撃ってくる兄弟の内の一人を射殺し再び逃亡する。

 兄弟の一人が死んだことを確認したコール・ハーパー(ティモシー・ケイリー)と保安官のブル・ハーパー(ジョージ・マシューズ)はコマンチ・トッドを追いかける。コマンチ・トッドはアパッチ族が多く出没する地域に逃げ込んでいった。

 コマンチ・トッドは岩場の影に隠れ不意打ちを食らわせてコール・ハーパーを殺すことに成功する。しかしブル・ハーパーに捕まり手枷を付けられ紐で引っ張られていく。まるで酷い仕打ちを受ける動物のような扱いだった。

 ブル・ハーパーはコマンチ・トッドを木に吊るして、水を少ししか与えない。コマンチ・トッドが処刑台に連れて行かれるまで生き延びていればトッドの身体の状態などどうでもよかったのだ。

 そこへ、幾つかの家族を連れて引越しをしていたノーマンド大佐(ダグラス・ケネディ)率いる数台の幌馬車が通りかかる。家族たちはアパッチ族だらけの通称「死の谷」を越えようとしていたのだ。ブル・ハーパーは案内役を申し出る。

 ブル・ハーパーによって地面を引きずられて、連れて行かれるコマンチ・トッド。その姿を見たジェニー(フェリシア・ファー)が非人道的な扱いをするブル・ハーパーを非難する。

 ノーマンド大佐も人道的な扱いをしろ、と忠告。ブル・ハーパーはコマンチ・トッドがコマンチ族で育てられた屑以下の人間だ、と差別的な発言を交えて罵る。

 クリントン夫人(ジュニー・エリス)が料理を作りそれをみんなが食べる。ジェニーの弟ビリー(トミー・レディング)がご飯の残り物である林檎をコマンチ・トッドにあげようとするが、それをブル・ハーパーが発砲して脅す。

 銃声を聞いたノーマンド大佐がブル・ハーパーに銃を向けて、コマンチ・トッドに飯と水を与えるように言う。ブル・ハーパーは最初は脅しに応じなかったがノーマンド大佐が本気で撃とうとしていたので、ブル・ハーパーが脅しに応じコマンチ・トッドの片手を車輪から外し、飯と水を与えるのを許可する。

 ノーマンド大佐の娘で潔癖症のヴァリンダ・ノーマンド(ステファニー・グリフィン)はコマンチ・トッドを不潔な男だと扱い、そのトッドを庇うジェニーを卑しい下心がある恥知らずな女、と悪態をつく。

 ヴァリンダの異母妹のジョリー(スーザン・コーナー)は、そんなヴァリンダを心の中が不潔な人だ、と本人に言う。二人は口論になり、ヴァリンダはジョリーを父が卑しいインディアンの女と汚らわしい愛で出来た産物だ、と悪口を言う。

 ノーマンド大佐がカッとなるヴァリンダを諌めジョリーに謝る。ジョリーはノーマンド大佐とインディアンの愛人の間で生まれた娘だった。

 リンゴをコマンチ・トッドに与えるビリー。トッドはビリーから姉のジェニーがトゥーソンに行き、結婚することを聞かされる。

 若者のクリント(レイ・ストリックリン)とリッジ(ニック・アダムス)はコマンチ・トッドに興味を持っていた。クリントがパイプを与えるが、ブル・ハーパーがクリントを殴りつける。

 男たちはブル・ハーパーの横暴ぶりについに我慢の限界でブル・ハーパーを追い詰めるが、その隙にコマンチ・トッドが解放された片手を使って、落ちていた斧をブル・ハーパーに投げて殺害する。

 ノーマンド大佐らはコマンチ・トッドによる殺害を許さず、コマンチ・トッドに両手で手枷をはめて車輪に紐を引っ掛けて両手を拘束する。

 夜。リッジがヴァリンダを説得して川に泳ぎに行くことになる。その川泳ぎに聞き耳を立てていたジョリーとビリーも同行することとなった。

 クリントはコマンチ・トッドに自分がタバコを吸わせなければこんなことにならなかった、と謝罪する。しかしコマンチ・トッドは最初からブル・ハーパーを殺害するつもりだったから、機会が早まっただけだと打ち明ける。

 ビリーが居なくなったのを心配したジェニーがビリーの居場所を聞きに来た。コマンチ・トッドはビリーがジョリー、リッジ、ヴァリンダと一緒に川へ遊びに行ったことを教える。

 見張りをするべきかビリーの所へ行くべきか悩むクリントに、コマンチ・トッドが見張りを引き受ける。

 川に着いたジェニーとクリント。リッジが、ビリーには川の下流で遊ばせた、と知らせた時、ビリーの助けを呼ぶ声が聞こえた。

 慌てて駆けつける一行。ビリーは下流の勢いに飲まれていた。すぐにジェニーとクリントがビリーを助け出して事なきを得る。クリントは無責任なリッジを殴り、リッジが殴り返す。

 ジェニーがその喧嘩を制止して一刻も早く戻らなければノーマンド大佐に怒られてしまう、と説得し二人は喧嘩をやめる。

 朝になりキャンプ地に戻ってみるとほとんどの幌馬車が燃やされ壊され、ノーマンド大佐やクリントの母や妹も無惨に殺されていた。アパッチの襲撃があったようだ。

 全員皆殺しかと思いきや、コマンチ・トッドを拘束していた馬車が崖下に落ちていてコマンチ・トッドが生存していた。コマンチ・トッドは馬車の車輪に手枷をかけられ、その車輪の上に馬車の床部分が乗っかってコマンチ・トッドは動けない状態にあった。

 ビリーがロープで崖を降りて、まずロープを車輪にかけてジェニーが馬を使って崖上からロープを引っ張る。コマンチ・トッドのかけられた車輪が崖上まで引っ張られた。

 その後でビリーをロープで崖下から崖上に引っ張る。

 コマンチ・トッドによればアパッチの大勢の襲撃でキャンプは壊滅させられ、自分は崖下に転落したがおかげでアパッチに死んだと勘違いされたようだ。しかし罪人であるコマンチ・トッドだけが生き残っていることにリッジ、ジェニー、クリントはコマンチ・トッドを疑う。

 コマンチ・トッドの引っ掛けられた車輪を壊して拘束を解き道案内してもらおうと考えたジェニーとビリーだったがそれをリッジが止める。リッジは拳銃をコマンチ・トッドに向けるが自分を撃てるわけがないと威圧。そしてジェニーが車輪を壊してコマンチ・トッドは手枷は残るものの拘束から解放される。

 コマンチ・トッドは早速、自分たちに残された唯一の脱出方法「死の谷」を越えるために出発しようとするが、リッジ達は死者の埋葬が先だ、と突っかかる。そんな連中を見放しコマンチ・トッドは恩義があるジェニーとビリーだけでも「死の谷」を無事に越えさせようとする。

 ジェニーはジョリー、リッジ、クリント、ヴァリンダを説得し今すぐに出発することに決まる。急いで幌馬車を組み立て、ノーマンド大佐らの遺留品である武器、食料や水をかき集め出発の準備をする。コマンチ・トッドはブル・ハーパーの保安官バッジを復讐成功の記念に持っていくことにする。

 夜、コマンチ・トッドはアパッチ族の集会を遠くから覗く。

 翌朝、幌馬車に帰ってきたコマンチ・トッドは、アパッチ族は白人の兵隊に110人近くを殺されその報復に白人を殺そうとしていることをジェニー達に知らせる。2日で追跡態勢を整えるアパッチに対し自分たちは2日で出来る限り遠くへ行かなければならない。

 砂嵐の酷い昼。このまま幌馬車を進めると砂埃の動きでアパッチに気付かれてしまう、と昼に休息し夜動くことになる。

 休憩地点でクリントはキャンプ地に残してきた遺体がどうなってるか気になっていた。励ますためにもコマンチ・トッドはインディアンは仲間が死んだとき亡者は誇り高き地位にありつけ、天界へと召されると信じられていて仲間の死に悲しまない種族であることを教える。

 それは野蛮人だからだ、と馬鹿にするジョリーに対しコマンチ・トッドは自分の息子二人と妻を殺されたことを打ち明け、彼らが天国へ召されたと考えれば悲しみも落ち着くものだ、とコマンチ・トッドは言う。しかしヴァリンダはそんなインディアンの考えを受け入れることはできなかった。

 コマンチ・トッドは全員を集め食べ物になる植物などを集めるよう指示する。植物など汚らわしくて食べられない、と我儘しか言わないヴァリンダについに頭に来たコマンチ・トッドがヴァリンダと、同じく自分に反抗的なリッジを叱責し食べ物を探すように言う。

 ジェニーとコマンチ・トッドは二人でお喋りを楽しむ。コマンチ・トッドは自分の白人の実父が巡回説教師で、彼が殺されてからコマンチ族の首長に拾われ育てられた過去を話す。

 その後、コマンチ・トッドは鳥の巣がある洞穴で鳥を殺し、食べ物を確保する。帰り道で鉱石を発見し、矢の鏃に使用する。

 ビリーを連れてコマンチ・トッドはウサギの隠れる洞穴を発見し、ビリーに収穫させようとする。

 コマンチ・トッドが離れた隙に、ビリーを狙うアパッチ族の祈祷師(アベル・フェルナンデス)が。あと少しでビリーを殺そうとしたところでコマンチ・トッドが放った矢によって祈祷師は死ぬ。

 祈祷師はアパッチの集団に先行して一人で薬草などを取りに来るらしい。ということはアパッチの集団が近づいているということだ。

 丁度、植物をとっていたヴァリンダが毒蛇に手を噛まれて大声を張り上げ暴れまわる。

 コマンチ・トッドは毒を抜くのとアパッチに気づかれないために制止させようとするが止まらない。仕方なく殴って気絶させ、毒を取り出すために出血させる。

 暴れまわったせいで毒が回っているかもしれない。コマンチ・トッドはすぐに幌馬車にヴァリンダを移す。

 その時、銃声が聞こえる。リッジが毒蛇を殺すのに重要な拳銃を三発も放って殺したのだ。コマンチ・トッドは責めるがリッジはアパッチは居なかったから大丈夫だ、と言う。

 だがアパッチ族の男二人が近づいていた。コマンチ・トッドは仲間を呼ばれないためにその二人を呼び寄せて二人を殺し、その遺体をアパッチに見られないように隠す。

 日が傾くと同時に幌馬車を進ませるコマンチ・トッド。

 幌馬車で看護されるヴァリンダはジェニーから、ジョリー、コマンチ・トッドらが一度も水を飲まずヴァリンダのための水を工面していることを聞かされる。

 ヴァリンダはコマンチ・トッドを呼び、彼の手枷の鍵を渡す。ノーマンド大佐からずっと預かっているように言われていたのだ。

 手枷の外れたコマンチ・トッドは理由は分からないがアパッチの集団が後方に迫っていることを知らせ、崖からアパッチの集団を見張ることに決める。そしてビリーに自分の子供たちが生きていたらビリーを見習わせたい、と言い、ジョリーにもインディアンの誇りを忘れてはいけない、と残し馬で去っていった。

 崖上からアパッチ族を見張るコマンチ・トッド。そこにコマンチ・トッドを心配したジェニーがやって来る。

 ジェニーとトッドは家の話になる。風の軋む音が嫌で木造の家が我慢ならないトッド。星空を屋根にして自然のいい香りに包まれた自然での暮らしこそがビリーの心を育てることもできる、とジェニーにプロポーズする。

 二人はキスで愛を確認しあう。

 翌朝、小隊が行進しており、アパッチが集団で集まっているのはそれの襲撃が理由だと判明する。コマンチ・トッドは小さな鏡で太陽光をチカチカさせて小隊に気付かせ、幌馬車のところまで誘導する。

 しかし幌馬車の所に来た小隊は十数人程度の輸送部隊でしかなく、軍曹(ケン・クラーク)曰く本隊はいないようだ。

小隊がコマンチ・トッドを見てないか確認するが全員が庇い、誰も答えなかった。そしてコマンチ・トッドはビリーの父でジェニーの夫ということになる。

 コマンチ・トッドはその小隊と共に進行。しかし周りはアパッチ族に包囲されていた。

 コマンチ・トッドはアパッチ撃退のベテランとして輸送隊の隊長ケリー中尉(ジェームズ・ドルーリー)にアドバイスをする。まず馬車を一箇所に集めさせる。それから誘き寄せられたアパッチ族を何とか追い払う方法がコマンチ・トッドにはあるようだ。

 作戦を立てるうちにケリー中尉がコマンチ・トッドの持っている保安官のバッジを見つける。そのバッジでケリー中尉は自分たちを助ける男の正体がコマンチ・トッドだと分かり、脱出成功後に逮捕することを伝える。

 しかしケリー中尉はコマンチ・トッドに敬意を払っていて君がコマンチ・トッドで残念だ、と言いコマンチ・トッドの言うとおりに馬に乗り込み、部下にも馬に乗るよう指示する。

 コマンチ・トッドは一箇所に集まった馬車に火矢で火を放つ。すると馬車の中にあった可燃性の物質によって、馬車が爆発する。

 アパッチは大混乱し撤退していく。その隙にコマンチ・トッドらはひたすら西へ逃亡を開始。町にたどり着くことができた。

 町でオリバー・O・ハワード将軍(カール・ベントン・リード)が裁判長のもと、コマンチ・トッドの裁判が開かれる。コマンチ・トッドは四兄弟を殺したのは衝動的ではなく計画的な犯行だったことを認める。

 そしてハーパー四兄弟が、自分の妻を犯し止めようとした子供たちと妻を殺したので復讐のために四兄弟を殺害した、と自白する。

 コマンチ・トッドはハワード将軍に南北戦争で何人殺して英雄になったか聞く。南北戦争は結局、同胞同士の殺し合いのようなものだ、それに比べインディアンは同胞殺しはしないと訴えるコマンチ・トッド。ハワード将軍はそれが正義を信じての行為だ、と返すとジェリーがそれはトッドも同じことだと主張する。

 トッドは確かに四人を殺したが、それ以上の人間をアパッチの谷から救った。ジェニーはビリーと共にコマンチ・トッドを愛しているかと尋ねられ、その通りだと答える。

 コマンチ・トッドと同行したジョリー、クリント、リッジ、ヴァリンダらもコマンチ・トッドに救われたと答える。ハワード将軍はコマンチ・トッドが人を救ったことを重視し、彼の身柄をジェニーとビリーが引き受けるということを条件に無罪放免の判決を言い渡す。

 コマンチ・トッド、ジェニー、ビリーは幌馬車隊に別れを告げ、三人で新天地へと馬を走らせていく・・・







 インディアンの多くは西部劇で敵とされます。西部劇映画では大体が敵がアパッチ族含むインディアンか、あるいは悪党のガンマンだったりします。この映画では主人公がコマンチ族で育てられました。だからコマンチ族に同情的な発言をウィドマーク演じるコマンチ・トッドがインディアンに同情的な発言をしています。

 アメリカを作った人々にとってインディアンを追いやる形で建国した歴史というのはアメリカの暗い闇の一つです。この映画はその闇の一部に触れた気がしますね。「ソルジャー・ブルー」(1970年)ほど過激ではないにしろ、アメリカ人の大好きな西部劇で、自らの国の歴史を考えさせられた映画ではないでしょうか。

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Category: 洋画ア行
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