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お婆ちゃん、オマケで3人の誘拐団VS頭の切れる本部長


『大誘拐 〜Rainbow kids』(1991年・日)
大誘拐
スタッフ
監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
原作:天藤真「大誘拐」
音楽:佐藤勝
撮影:岸本正広
編集:鈴木晄、川島章正
配給:東宝
キャスト
戸並健次:風間トオル
秋葉正義:内田勝康
三宅平太:西川弘志
柳川とし子:北林谷栄
柳川国二郎:神山繁
柳川可奈子:水野久美
柳川英子:田村奈巳
柳川大作:岸部一徳
串田:天本英世
安西:奥村公延
邦子:岡本真実
吉村紀美:松永麗子
テレビ和歌山アナウンサー:松澤一之
高野パイロット:本田博太郎
東京:嶋田久作
刑事:常田富士男
鎌田:橋本功
佐久間:竜雷太
テレビ和歌山報道局長:上田耕一
テレビ和歌山社長:中谷一郎
中村くら:樹木希林
井狩大五郎:緒形拳


 岡本喜八監督作品「大誘拐 〜Rainbow kids〜」。

 岡本喜八監督来ました!「ブルークリスマス」(1978)を初めて見て以降、この監督さん大好きです。次はこの監督の「殺人狂時代」(1967)が観たいですねえ。

 相変わらず岡本監督作品はキャストが豪華すぎる。なぜこの人はいつもこれだけ豪華なキャストが揃えられるのか不思議で仕方がありません。例えば彼は座頭市シリーズで唯一、メガホンをとったのが「座頭市と用心棒」(1970)なのですが、そこで勝新太郎と三船敏郎を戦わせるという、とにかく凄い、としか言いようがないことを成し遂げてしまいました。

 北林谷栄はどっちかというと脇役として作品を支えてきたベテラン女優です。若い頃からもう老婆の役が得意というかたくさんやってきました。まあこの頃は本当に老婆の年になっているのですが。「となりのトトロ」のカンタの婆ちゃんの声もやっています。

 ちなみに岡本真実という女性は岡本喜八監督のご息女です。


【あらすじ】

 戸並健次、秋葉正義、三宅平太の三人は大金持ちの大奥様・柳川とし子誘拐計画を画策し、その老婆を誘拐する。しかし老婆は三人に怯えるばかりか入れ知恵をしてアジトの場所を変えさせたり、要求額を5000万から100億へハネ上げさせたりするなど、三人に協力的。一方、警察側では和歌山県警本部長・井狩大五郎が捜査指揮を執り・・












※刀自、というのは日本古語で女性の戸主、という意味です。

【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 大阪刑務所から出所したばかりの戸並健次(風間トオル)、秋葉正義(内田勝康)、三宅平太(西川弘志)の三人。兄貴の健次は大金を稼ぐために、三人で誘拐を実行しようと提案する。健次は超お金持ちの柳川家の大奥様・柳川とし子(北林谷栄)を誘拐し5000万円を要求することを思いつく。

 和歌山県龍神村の柳川家本邸。広大な敷地を持つ柳川家本邸。三人は向かいの山から柳川とし子が外へ出ないか出ないかと張っていた。

 やがて柳川とし子は度々、登山をはじめるようになった。三人はある日、登山中のとし子とお手伝いの吉村紀美(松永麗子)の前に現れる。しかしとし子は全く動じず「それじゃアタシだけ誘拐しなさい。この子を一緒にさらうよりアタシだけ誘拐した方が身軽よ」と言い、犯人たちと一緒に一本締めをする。

 三人はとし子に目隠しをして車に乗せるが、とし子は捜査指揮を執るのは和歌山県警本部長・井狩大五郎(緒形拳)。井狩は勘がいい男だから、都市部にアジトを構えていたら必ずすぐに捕まる、と提言する。

 三人は代わりに自分たちが顔の見えないようにサングラスとマスクを装着して、とし子が「いいアジトがある」というので、その指示に従いそこへ向かう。

 そこはかつてとし子に使用人として仕えていた中村くら(樹木希林)の家だった。とし子はくらに私を連れてきたお供の三人と一緒にしばらく家に泊めさせてもらいたい、と頼む。

 運転手の安西(奥村公延)は警察に通報。東京から来た新入り警部補(嶋田久作)は婆さんが誘拐されるなんて物好きだ、と気にも留めなかった。しかし年配の刑事(常田富士男)により、それが地元の大金持ちの婆さんだと知るや、すぐに新入りは県警本部長・井狩に連絡する。

 連絡を受けた井狩は連絡が遅れた新入り警部補を叱責し、鎌田(橋本功)、佐久間(竜雷太)と共に県警本部に捜査本部を設置し、すぐに柳川本邸へたどり着く。

 柳川本邸には柳川国二郎(神山繁)、可奈子(水野久美)、英子(田村奈巳)、大作(岸部一徳)らとし子の息子娘たちが集結していた。井狩は使用人の指揮をとっている串田(天本英世)と再会し、犯人が3人組で男たちなどの情報を聞く。

 翌朝、公開捜査にふみきった警察たち。一方、サングラスと眼鏡をしていた秋葉正義と三宅平太の二人はそれを外して顔や本名がバレてしまった。

 とし子と相談した健次らは自分たちを〝虹の童子〈レインボー・キッズ〉〟と名乗り、要求の手紙を書く。健次は「5000万円を要求する。婆ちゃんには悪いがこれ以上まけられないぜ」と言うが婆ちゃんはそれを叱咤する。「柳川家を舐めるんじゃない!100億にしよう」と言いだした。これには逆に健次たちが困惑する。結局、とし子に押されそれに納得。とし子には100億をうまく運ぶ方法が思いついてるようだ。手紙を書くのはとし子自身で内容を考えたのも彼女だった。

 100億という法外な金額を要求された柳川家は「そんな金は用意できない」と困惑する。犯人の要求によれば翌日、テレビ和歌山で特番を組んでテレビとラジオ和歌山の両方で流れる放送で井狩が代表して回答をしなければならない。井狩はある作戦を考えて翌日のテレビ番組に出る。

 アナウンサー(松澤一之)に紹介され井狩は回答をする。「柳川家はとし子刀自を解放するために尽力されている。しかし100億円などという法外な金額は払えない。そして、とし子刀自の身の安全の保障も分からない。ぜひ生でとし子刀自を家族と再会させてもらいたい」と答えるのだった。

 その番組の視聴率は井狩の堂々とした回答によりかなりのものだった。虹の童子は再び手紙で今度はとし子を家族と再会させることを約束する。条件つきで。

①9月27日、夜9時から10時までの間とする。この特別番組は午後5時に開始する
②柳川家の家族はWTBの放送会場の一室に集合し、井狩も連絡責任者として同席する
③WTBは、この時間帯のテレビとラディオの放送をこの中継放送のみにあてる
④WTBは中継放送車を用意し、午後7時に出発して、平均時速50kmで国道42号線を田辺方面に向かう
⑤進路や放送開始の指示などのコンタクトは、「童子」たちが無線連絡する

 夜、警官を乗せてない放送車は虹の童子指定地点へ車を走らせ、それを追走する警察隊が尾行する。犯人たちの指定でテレビ神奈川のスタジオに柳川家の面々が待機する。

 しかしほとんど誰もいなくなったテレビ和歌山のテレビ局社長室に健次が入り込み、報道局長(上田耕一)と社長(中谷一郎)に手紙を見せる。社長はその指示通り、新しい放送車を用意し警察に連絡せず、カメラマンや放送技師と共にその放送車で健次の指定した場所へ向かう。

 放送車はやがて山林で川の対岸にいた車を見つけ放送車を停め、テレビカメラで放送を開始する。

 健次は架け橋を渡って川の対岸へ行き、やがて対岸にとし子が現れる。とし子はテレビカメラで自分の身が安全なところにあることと、あることを伝える。

 それはとし子刀自の全資産を子供に譲る、とのことだった。それは金に換えれば720億円ほどになる。(当時の)税制では資産総額7200万円以上ならば相続税と贈与税は同じ70%。それならば自分が死ぬ前に贈与してもかかる税金は変わらない、と話す。

 つまり全資産を柳川の子供たちが得て、510億円ほどを国に納めることになる。残るのは210億円。そのうちの100億で身代金を支払うことができる、と刀自は言うのだ。しかしそのためには山林などを金に換えるなどの膨大な作業が必要だ。しかし子供たちが全力を出せばできないことでもない、と言い虹の童子に連れられて去って行った。

 中村家に帰って来た後、健次がとし子に顔と実は昔あったことがある、と話す。健次がかなり昔に施設にいたころ、施設のスポンサーであるとし子と会ったことがありとし子に優しく接され、やさぐれだった健次はその優しさを素直に受け取れず、施設を脱走したのだ。とし子は健次の顔を見て、そのことを思い出す。そして健次は「ばあちゃんが警察に言っても、それは俺たちの自業自得だ」と伝えるのだった。

 子どもたち、特に大作はぴっちりと計算しとし子刀自の計算が正しいことを証明。無事に100億円を用意することに成功する。

 虹の童子による受け渡しの方法の手紙が送られる。

①柳川家の人びとが1万円札100枚の束を400個ずつ透明な塩ビの大きな袋に詰める(25袋できる)。この過程をテレビとラディオで実況中継すること。
②25袋を、柳川家が大株主の航空運輸会社の大型ヘリコプターに積載して、指定した時間に指定したコースを飛ぶこと。これについても、追走ヘリから中継放送すること。
③受渡しの時間と方法は、無線でヘリの指定した操縦士・高野(本田博太郎)に連絡する。

 高野は100億円を詰めた小型ヘリをやがて発進させる。放送ヘリも後を追うが、ヘリ二台は渓谷で着地。犯人の指示により放送ヘリは本部へ帰る。渓谷では小型ヘリに虹の童子の一人が乗り込んでいた。

 その後、小型ヘリは霧により迷走する。その動きを井狩は奇妙に思っていた。

 その後、柳川本邸に100億円の領収書とその裏に「刀自は3日後に返す」と書かれていたものが落下する。ヘリは行方をくらましやがて高野が発見される。

 高野は岬へヘリを降ろしたあと、催眠入りビールを飲まされ気絶していたのだ。金はすべてトラックに詰め込んだようだ、と証言する。

 あれから3日後、刀自は大作の家で発見された。虹の童子がそれを遠回しに柳川家に伝えたのだ。刀自は睡眠薬を飲まされていた。

 次の月、柳川家はすっかり観光名所となっていた。そこを井狩が訪ねる。

 井狩は刀自が虹の童子を指揮していた、と睨んでいたのだ。井狩は恐らく高野も協力したのだ、と話しそれができるのは刀自本人しかいない、と話す。

 刀自は回想する。あれは夏で登山を始める少し前ごろ。自分に極端な体重の減少が見られ、ガンであると思ったのだ。そうなると自分の人生を回想しはじめる。

 長男、長女、次男の命を戦争で国に奪われてしまった。自分が死んだら自分の遺産の70%も相続税で持っていかれるのだ、子どもを奪い金まで奪って国はそれを悪用するつもりかと思ったのだ。そんな時に誘拐事件が起き、それに自ら乗ったのだ。

 子供たちに払わせた100億円というもの。実はそのうち64億円は「贈与税の課税対象資産の査定にあたって、突発的な災害や突然の経済的事変、あるいは雑損失の控除分として、この奪われた身代金について、お目こぼし分」として100億円を払った後で国から払われるものなのだ。つまり子供たちの損失は実質、36億円となる。

 井狩はそれを知り感心する。どうせ国に遺産の金をとられるくらいなら、国に金を出させてやろう、と刀自は考えたわけだ、と。

 ところで、虹の童子たちはというと。秋葉正義は実は、中村家の隣の家の邦子(岡村真実)と結婚し、くらの養子となる、ということを100億円を分けるときに言いだした。だからこの金は受け取れない、と。

 また、三宅平太は母親の病気を治すための金1千万円を貰う、とだけ言って帰ってしまった。そして健次も金には手をつけず、刀自に木工職人として働かせてほしい、と泣きつく。刀自はそれを承諾。誘拐された時に健次の声を聞いていた紀美には「誘拐犯の声のそっくりさん」と健次は認識された。

 刀自の指示により健次は阿弥陀堂を建てる。その土台のコンクリートの部分に1万円札が丁度、99万9千枚(平太の受け取った1千万が抜かれて)入る計算になっていたのだ。身代金はその土台に隠された。

 そっくりさん、の存在が刀自の近くに居ると知った井狩はこれで犯人がどこに居るのか分かる。そして井狩は刀自に「それにしてもまた丸くなられましたな」と言う。

 刀自の体重の減少は単なる夏バテのようなものだったのだ。

「要するに、あの事件は、おばあちゃんにとってメルヘンだったんですね」「はいな」

 やがて刀自は美しい山々を見て「綺麗な山ですなあ・・・」そうつぶやいた・・










 岡本喜八作品にしては爆発性が少ない作品だったと思いますが、この作品の訴えは刀自の国への「思い」そのものにあると思います。

 子供を戦争で奪われ、自分が死んで資産のほとんどを国に持っていかれることになる、刀自はすでに国に対して絶望していたんでしょう。まあアンチな意味合いもあるのでしょうね。

 私のネタバレ文よりもっと詳しい説明があるサイトがありました。⇒サイト

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