上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
今日は映画「醉いどれ天使」を観ました。


『醉いどれ天使』 (1948年・日)
醉いどれ天使
スタッフ
監督:黒澤明
脚本:植草圭之助、黒澤明
製作:本木荘二郎
音楽:早坂文雄
撮影:伊藤武夫
編集:河野秋和
キャスト
真田:志村喬
松永:三船敏郎
奈々江:木暮実千代
美代:中北千枝子
ぎん:千石規子
ブギを歌う女:笠置シヅ子
高浜:進藤英太郎
セーラー服の少女:久我美子
婆や:飯田蝶子
花屋:河崎堅男
花屋の娘:木匠久美子
親分:清水将夫
岡田:山本礼三郎



 黒澤明監督作品「醉いどれ天使」。主演は志村喬ですが三船敏郎ともいえます。

 これは三船敏郎の出演3作品目にして初めての黒澤明監督作品です。「銀嶺の果て」(1947)でデビューした三船はこの作品で脚本だった黒澤明に才能を認められこの醉いどれ天使に出演します。この醉いどれ天使で益々、黒澤明に気に入られて以後、多くの黒澤作品に出演します。しかもほぼ主演のような立ち位置という。

 一方の主演だった志村喬ですが「銀嶺の果て」(1947)で主演を張っていました。また志村喬は黒澤明監督初作品の「姿三四郎」(1943)からずっと黒澤作品にほぼ常連として出演しています。つまり志村喬は三船敏郎を抜いて黒澤監督作品にもっとも多く出演した俳優です。最後に出演したのは黒澤監督がスタッフやキャストと対立しまくった「影武者」(1980)です。そしてその2年後に志村喬はお亡くなりになっています。「影武者」の次の黒澤監督作品は「乱」(1985)ですから黒澤監督作品とは一生を通じてお付き合いしたことになりますね。

 あと美代役は最初、折原啓子がやる予定だったのですが病気療養で降板したそうです。

 そしてこの映画に使われた南新町の闇市は「新馬鹿時代」(1947)で使われた大がかりなセットを東宝が「これちょっと壊すの勿体なくね?」みたいな感じで黒澤に提供したそうです。ちなみに新馬鹿時代の監督は山本嘉次郎で黒澤明監督の師匠です。ですがこの新馬鹿時代は皮肉なことに使いまわしのセットで製作した「醉いどれ天使」より知名度も低いし、今は観賞するのが難しいそうです。


【あらすじ】


 頑固でひねくれ者だが患者には一途に診察する飲んだくれの医師・真田はある日、銃弾を受けた若いヤクザを診察する。真田はヤクザに結核の兆候が見える、とレントゲン撮影を促すが素直じゃないヤクザは「死ぬのなんか怖くない!」と意地を張る。真田は若い頃の自分を若きヤクザに照らし合わせ、憎まれ口を叩きながらもその男を助けようとする・・・

















【以下全文ネタバレ注意】


 南新町の駅前。ここでは闇市が繁盛し、その付近にはゴミ捨て場になり飲んだら害があるであろう沼があった。またここはヤクザの縄張りでもあった。

 診療所を営む医師・真田(志村喬)は酒好きのひねくれ者で、思ったことをそのまんま口に出し憎まれ口も叩き叩かれたりするが、患者に対しては一途に接する良き医師であった。婆や(飯田蝶子)と共に病院を経営している。しかし理解者は多くはない。

真田医師

松永と真田

 ある日、真田の下に手に傷を受けた若い男がやってくる。男は松永(三船敏郎)と名乗り駅前でシマを張っているヤクザだと自己紹介する。しかしそういったヤクザが嫌いな真田は松永に容赦なく憎まれ口を叩き診察。その時に真田が肺病(結核)の兆候があることを発見。真田にレントゲンを撮影するよう強く言う。しかし松永はそれを素直に聞かず、揉め合いになる。そこに看護婦の美代(中北千枝子)が現れたことで松永は一旦、撤退する。

美代と婆や

 その後、松永は咳の間隔が短くなりつつあるのに気付いていく。一方、何だかんだで松永のことを気にかける真田はぎん(千石規子)という松永に惚れ込んだ女がいることを知る。真田は松永を酒に誘い松永はそれを渋々、受ける。真田は市場街では売り物や酒を勝手に持っていったり飲んで行っても何も言われないほど闇市の顔役だったのだ。

ぎん

 酒場で真田と松永は話し合うが松永は「死ぬことは怖くない。むしろ病気であることを知られるのが恥だ」と言って酒も女もやめなかった。そんな態度の真田は再び激怒し揉め合い。挙句の果てに真田は酒場を追い出される。

真田に絡む松永

 真田は美代に松永のことを言う。「あいつも可哀想な男だ。病気を怖がることが男の恥だと思っている。あいつほどの臆病者はいない」と。美代は松永がヤクザの人間だと知り、かつて自分を奴隷のように扱って今は牢屋の中にいる岡田(山本礼三郎)という男を思い出す。岡田は松永の前に近辺一帯の土地を縄張りとしていた男だった。もう岡田は牢屋から出てくるころだった。

岡田

 ある日。結核と戦い続けた少女(久我美子)が真田に「もうすぐ治るから治ったらあんみつおごってね」と笑顔で言う。その後に沈んだ顔をした松永が真田のところへやってくる。だが再び揉め合いとなり、真田は去って行った。真田は松永に「お前のような男より結核と戦い続けた少女の方が強い」と言ったのだ。松永はそれを認めるのが嫌だったのだ。

闘病した少女

 翌日、かつての旧友で今は大病院の院長・高浜(進藤英太郎)と再会する。その高浜によると松永のレントゲンを撮影し真田の下へ雨の日に行かせた、という。真田はそれを聞き松永にレントゲン写真を病院に持ってくるよう言う。

 その夜、松永はでろんでろんに酔いながらレントゲン写真を持ってくる。真田はその写真を見て予想通り、松永がやはり結核であると判断。松永は病気なんか怖くない、となおも意地を張るが真田や美代にはそれが寂しく思えた。

 松永は酒は飲まない、と真田と約束するが出所した岡田に盃を傾けられ飲んでしまう。その日、松永に近づいていた情婦の奈々江(木暮実千代)は病気で落ち目になりつつある松永から離れて岡田に接触を図っていく。また、真田にも愛想を尽かされ見限られてしまう。

松永と奈々江

♪ジャングルブキ      笠置シヅ子


 その後、病気でどんどん貧弱になっていく松永。ある日、松永は吐血し奈々江の部屋で寝込む。真田はそれを知らされ美代に「絶対に行かない」と突っぱねながらも結局、真田を診察する。

 やがて松永は岡田の女となった奈々江に部屋を追い出され真田の診療所で寝泊まりする。一方、美代が診療所に居ると知った岡田は連れ戻そうと訪ねてくる。真田はそれを拒絶し松永も岡田に頼み込み、ひとまず岡田は去っていく。

 その後、松永は仁義を重んじる親分(清水将夫)に頼めば美代のことを岡田が諦めてくれる、と直で親分に頼み込みに行くがそこでは親分が岡田に「アイツは病気で死にかけだから、もうすぐ別の勢力に襲われるあのヤミ市を任せても立派な鉄砲玉になってくれる」と言っていた発言を聞いてしまいその場を去る。

 呆然とした松永は闇市を歩き回り、いつも花を勝手に持っていく花屋(河崎堅男)やその娘(木匠久美子)から代金を請求されたりする。すでに岡田がこの一帯を縄張りとしてしまったのだ。絶望した松永は立ち寄った酒屋でぎんから慰められ、松永に今でも惚れ込むぎんは二人で一緒に郷里へ帰ろうと誘われる。しかし松永はそれに返答せず酒屋を去る。

 やがて松永は奈々江の部屋を訪れ岡田をドスで刺し殺そうとする。しかし病弱な松永には勝ち目はなかった。すぐにドスを奪われ刺される。しばらく床を這った松永は臆病者のまま息絶える。


 松永の葬儀は組にもやってもらえず、ぎんが一人で資金を出して済ませてしまった。ぎんと再会した真田は死人の松永に憎まれ口を叩く。そして真田は「ヤクザの世界なんてそんなもんだ。獣を真っ当な道に歩ませようとした私は馬鹿だ」と。ぎんはその言葉を聞き泣いてしまう。

 やがてあの結核と戦っていた少女が。少女は結核に勝ったのだった。約束のあんみつをおごらされる真田。真田は少女に言う。「結核だけじゃない。病気にも何事にも理性が勝てなければ強くはない」と・・・








【考察・感想】


 松永は可哀想ではないと思います。だって松永は、自分がヤクザ流の生き方しか生きることが出来ないと勝手に思い込んで周りの手を差し伸べてくれる人を拒み続けたんです。挙句の果てに一人で片を済ませようと勝手に殴り込みに行って死んだんです。自業自得ともいえます。最後まで弱くて脆くて最低の生き方ですよ。私はたとえ力がどんなに強くても周囲を嫌い拒んで周囲と歩めない人間が大っ嫌いなんです。だってその人たちは自分の存在が周りに迷惑をかけている、と自覚してないんですから。

 それに比べて本当に可哀想なのは松永に手を差し伸べたぎんだとか、真田医師とかです。二人は松永を見限らずに必死に接してくれたんです。そんな気持ちも理解できない松永はまあロクな死に方はしないと思ってましたが、本当にロクな死に方じゃありませんでしたね。容姿がかっこよくてもなにすましてんの?って感じですね。

 多分この当時は病気の人は自分の病気を恥ずかしいと思っていた時代なんでしょうね。まあ確かに病気で兵役を免れた男性は「非国民」と周りから罵られていた戦争時代もありましたからね。しかしあの少女は本当に素晴らしい。自分で病気であることを自覚し、戦って勝利したんです。本当に強いのは暴力を着飾る連中ではなくて、こういった芯の強さを持った人なんだと私は思いました。
スポンサーサイト
Category: 邦画ヤ行

てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~ | Home | となりのトトロ

Comment

Post comment

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。