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稲妻

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成瀬巳喜男監督作品初観賞。


『稲妻』(1952年・日本)
稲妻
スタッフ
監督:成瀬巳喜男
企画:根岸省三
原作:林芙美子「稲妻」
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
編集:鈴木東陽
音楽:斎藤一郎
配給:大映
キャスト
小森清子:高峰秀子
屋代光子:三浦光子
縫子:村田知英子
おせい:浦辺粂子
国宗つぼみ:香川京子
国宗周三:根上淳
龍三:植村謙二郎
嘉助:丸山修
下宿人・桂:杉丘毬子
下宿先の老婆・杉山とめ:瀧花久子
バス運転手:高品格
バスの老人客:宮島健一
呂平の愛人・田上りつ:中北千枝子
綱吉:小沢栄太郎


 成瀬巳喜男監督作品「稲妻」

 この映画で成瀬監督作品は初観賞なんですが、とっても良い映画でしたね。まあ淡々と進む物語に退屈に感じる人もいると思いますが。

 この映画では結局、光子がどうなったのかまで描かれていないのですが成瀬監督はそんなシーンは必要ないと判断したのでしょう。清子と母が一緒に歩いて終わるこのラストシーン、私は高く評価したいです。こういう終わり方にしてくれてありがとう、と感謝したくなるほどです。

 ストーリーは高峰秀子演じる姉妹の末っ子という視点から、姉や兄を見つめ家族というものを考えていくんですよ。姉二人とも結婚しており、本当に結婚というものが幸福なのかを考えたりする。それにしては本当に可哀想なくらい周囲がダメな人ばっかなのですが。

 高峰秀子いいですねえ。本当に可愛げが顔に現れている。ちょっとふっくらとしている所とか本当に邪な思いを抱いてしまいそうになりますね。成瀬監督と高峰秀子はこの後、何回かコンビを組んだようですね。

 ちなみに成瀬監督は黒澤明、小津安二郎、溝口健二と共に日本の名監督四天王?みたいなので評価されていますねえ。


【あらすじ】

 小森清子は三姉妹の末っ子で唯一、結婚しておらず彼女自身は男を獣のようにしか見ていなかった。ある日、次女・光子の夫が違う女性と銀座を歩いている姿を目撃する。また、清子の結婚を執拗に申し込んできて長女・縫子経由で小森家に入りびたりし始めた綱吉という男まで現れ・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 小森静子(高峰秀子)は小森おせい(浦辺粂子)の娘で三姉妹の末っ子で観光バスのバスガイドをしていた。そのバスに乗った乗客の一人の老人(宮島健一)とその老妻を見てそんな結婚生活に羨望のまなざしを向ける。

 静子はふと窓の外を見ると次女・屋代光子(三浦光子)の夫・呂平と知らない女が歩いているのを目撃する。

 一方、長女・縫子(村田知英子)は静子に縁談を押し付けようと光子と相談していた。縫子によればまだ男を知らない静子をとても気に入っているパン屋の綱吉(小沢栄太郎)という男が居るらしい。縫子にとって清子を綱吉に嫁がせることは自身の事業拡大にもなるのだという。

 静子は仕事を終え光子のところに寄る前に母親・おせいから縁談のことを聞かれる。しかし静子は男をケダモノとしか捉えておらず男嫌いだった。

 実は三姉妹、更に長男の嘉助(丸山修)はみんな父親が違う人だったのだ。静子は夫を4人も持って幸せだったか訊ねる。静子は幸福を否定するがおせいは静子の父、つまり最後の夫はルビーの指輪をくれたのだ。しかし静子はどうせ作り物だ、と否定する。

 静子は光子から夫・呂平が出たっきり帰って来ない、と聞かされる。光子は呂平を探しに出かけ、その間で縫子の夫・龍三(植村謙二郎)が呂平の店にやってくる。龍三は妻・縫子も最近よく外出が多い、と話し静子に「放っておくとフラフラどっかへ行くような女房になっちゃ駄目だ」と言って帰って行った。

 帰って来た光子は店の路地に居た猫を拾う。

 その後、呂平が死んでいたことが判明し急遽、葬式などが行われた。静子は夫・呂平が死んだことにいつまでも落ち込んでいてメソメソ泣く光子のことがイマイチ理解できなかった。

 清子は葬儀に訪れた綱吉を気味悪がり、2階から降りなかったが縫子が降ろそうとする。清子はそれでも拒絶すると縫子はヒステリックに清子をビンタしてしまう。綱吉はそれでも清子をいたく気に入っており彼女に気に入られようと渋谷で新たに始める温泉事業に縫子や龍三を手伝わせたり嘉助を就職させたりした。

 やがて光子の下に呂平の愛人だと名乗る田上りつ(中北千枝子)が現れる。りつは手を合わさせてほしい、というが光子はそれをきっぱりと断り追い返す。静子はりつが呂平と一緒に歩いていたことを思い出したのだった。

 光子は今まで夫と経営していた店を畳んで、実家へ帰って来た。静子はその頃、おせいの家の部屋の一室を間借りしている桂(杉山毬子)と仲良くなっていたが彼女は住み込みの家庭教師をすることになり家を出て行った。

 呂平が死んだことで光子に50万円の生命保険が下りてきた。夢ばっかり大きくて行動が伴わない龍三、綱吉の店で働いているダメ男・嘉助らはその50万円の一部を融資してほしい、などと光子に付きまとうようになる。

 そして光子に手紙が届けられた。それは呂平の愛人・りつからで、50万円のうち、20万円を子供の養育費に当てたいのでほしい、とのことだった。静子は光子に同伴してりつに会いに行くがりつは高慢な態度に出ており、さも20万円出すのが当然だ、と言わんばかりの口調だった。

 光子はりつにとりあえず5万を渡しあとで5万円という形でりつと手を打つことに決めた。

 光子は新しい何かをするためにとりあえず、龍三の旅館事業の経理を担当させてもらうことにした。

 一方、縫子は行動力のある男が好きで、夫・龍三に対し愛想を尽かしていき、綱吉に入れ込みはじめていた。ついに龍三に綱吉と結婚するので別れてほしい、という。龍三にもプライドがあり、断ると縫子はついに龍三を無視しはじめる。

 飲んだくれた龍三は縫子に恨み言をみっともなく吐くが、縫子は軽く一蹴するだけ。龍三は行き場が無くなっておせいの下に転がり込む。おせいとしても娘が見捨てた男を申し訳なさから見捨てられずにいられなかった。

 龍三と嘉助は綱吉の悪口を言い合っていた。家を訪れた綱吉に掴みかかる。その姿はとても醜い敗者の姿だった。

 家の有象無象に嫌気が差した清子は家を出ていくことを決める。

 清子は世田谷で暮らす老婆・杉山とめ(瀧花久子)から2階の部屋を借りさせてもらう。そして清子はとめの家のお向かいに住む国宗つぼみ(香川京子)とその兄・周三(根上淳)と出会う。周三は小森の家にいる男連中とはどこか違っており妹が大好きなピアノの才能を伸ばすために働き、上品で優しい人であり清子はここならば周りの人間とは違う温かさを味わえる、とほっとする。

 清子は実家に帰り母おせいに報告する。おせいや光子は清子が黙って何日も家に帰って来なかったので心配していたようだった。おせいはしっかり者の清子に去られると、と不安になってしまう。

 清子はこれまでの男とは違う周三に興味を持つようになっていく。そんな時、清子の家に光子がやってきた。光子は今、カフェを開いているらしい。

 清子は光子に誘われてカフェにやってくるが、そのカフェには綱吉がいた。どうやら綱吉は未亡人の光子と愛人のような関係になってしまったらしい。綱吉は善意でカフェを資金援助しているように見せているが清子は光子にも失望してしまう。

 綱吉は清子にベタベタ触って迫ってくるが清子はとにかく拒絶する。やがてカフェに縫子が現れ縫子と光子は一触即発の状態になる。

 清子は世田谷でいつも周三の様子が気になっていた。ある雨が降った日、清子は周三の家の洗濯を取り込んであげた。周三はつぼみと共にそのことを感謝し、周三は清子の瞳の美しさから清子が田舎の人間ではないだろうか、と聞いてくる。清子は「田舎に住んでないですが、田舎に憧れます」と答えつぼみの提案で今度、3人で田舎にいこう、という事になった。

 上機嫌になった清子だったが客人がやってくる。それは母おせいだった。おせいによれば、龍三は夢ばっかり大きくていつも失敗ばかりで金を浪費していき、光子は縫子と大喧嘩して行方不明になってしまったらしい。綱吉が二人に手をかけたことをおせいは話すが清子は既に感づいていた。

 おせいがみんなに甘いからこうなったんだ、と清子はおせいを責め立てる。清子は幼いころから姉妹で唯一、しっかり者だったのでいろいろ溜まった思いが爆発してしまったのだ。挙句の果てに清子は
「母ちゃん惨めよ。なんで姉妹全員同じお父さんで生まなかったの!私は母ちゃんに私を産んでほしいと思ったことはないのにどうして産んじゃったのよ!」
と言って泣き出してしまう。

 対しておせいも
「あたしだってあんたにそんなことを言われるためにおなかを痛めて産んだわけじゃない!こんな子になるなら産むんじゃなかったよ!子どもを不幸にしたくて産む親なんていないんだよ!」
 と言ってついに二人とも号泣する。

 しばらく泣く声が部屋を支配する。やがて清子は窓を見つめる。二人の感情を表すかのように外では雷鳴が鳴り響き光っていた。

 先に心が落ち着いたのは清子で「母ちゃんみっともないから泣くのを止めて」と言う。それでも泣き止まないおせいは
「あんたは姉妹で一番いい子だと思ってたのに一番悪い子だ。親を泣かせて」
 と言う。清子は優しい微笑みで母に笑いかける。

 清子は家まで母を送る。
「そういえば父ちゃんが母ちゃんにあげたルビーの指輪。あれ本物だったよ」
「そうだろう。あんたの父ちゃんは嘘がつけなかったからね。」
 親子二人は仲良く並んで歩いていた・・・








 私はうまくこの映画の良さを表現できませんでしたね。この映画は清子と母が喧嘩してから仲直りするところこそ最大の良いシーンだったのですが。

 貧乏な世の中、絶望的な現実、清子にとって世田谷の間借りした部屋はそんな周囲から逃げるオアシスみたいなところだったんですね。それにしてもお母さんの子供を想う気持ちと悲痛な叫び、これは現代社会の親子関係の教訓になる言葉ですね。おせいが言った言葉
「こどもを不幸にしようとして生む親なんていないよ」
この言葉は本当に大切にしなければならない言葉なのですね。

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林芙美子作品集〈第3巻〉稲妻 (1956年)林芙美子作品集〈第3巻〉稲妻 (1956年)
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