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この映画のタイトルの「幸福」っていうのは「こうふく」ではなく「しあわせ」と読みます。


『幸福の黄色いハンカチ』(1977年・日)
幸福の黄色いハンカチ
スタッフ
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
原作:ビート・ハミル「Going Home」
製作:名島徹
音楽:佐藤勝
撮影:高羽哲夫
編集:石井巌
製作会社:松竹
配給:松竹
キャスト
島勇作:高倉健
島光枝:倍賞千恵子
花田欽也:武田鉄矢
小川珠美:桃井かおり
帯広にいたチンピラ:たこ八郎
旅館のオヤジ:太宰久雄
ラーメン屋の女の子:岡本茉利
検問の警官:笠井一彦
農夫:小野泰次郎
チンピラ:赤塚真人
渡辺係長:渥美清


 山田洋次監督作品「幸福の黄色いハンカチ」

 なにげに高倉健主演の映画ってのは初めて見ますね。やっぱり健さんは不器用な男の役がすっごい似合うなあ。84年に日本生命のCMで「自分、不器用ですから・・・」って言う健さんのCMがあったそうですねえ。でも健さんが本当に不器用だったらこんな好演はできませんね。不器用な味わい深い人の演技ができる器用な人なんですよ。御年82歳ですかあ・・32年生まれ。もっと長生きしてもらいたいものです。

 さて若いカップルを演じますは若き頃の武田鉄矢と桃井かおり。武田鉄矢は若いけどあまり変わりませんねえ。桃井かおりは・・すっごい可愛いです。でも喋り方は昔と今、ほとんど変わってないですね。あともう一人、倍賞千恵子。やっぱり倍賞千恵子は渥美清と同じくらい山田洋次の作品には欠かせない演者なんですね。


【あらすじ】

 失恋した花田欽也は赤いファミリアの新車を購入して北海道へ向かう。北海道で心機一転の生活を送ろうとして、同じく東京から来た小川珠美という女をナンパし車に乗っけて一緒に観光する。海岸で今度は目的地が近い島勇作という男も乗っけて3人の北海道の旅がはじまる。



幸福の黄色いハンカチのシーン











【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 花田欽也(武田鉄矢)は伸子ちゃんにフられてしまった。頭に来た欽也は工場の仕事を辞めて退職金で新車の真っ赤なファミリアを購入してフェリーで北海道へ向かう。

 北海道・釧路港
 新しい大地に着いた欽也は早速、女の子に手当たり次第声をかけるがうまく釣れない。仕方なく一人で根釧原野を走り網走駅まで向かう。

 網走刑務所
 島勇作(高倉健)は刑期を終えて出所。葉書を購入して速達で夕張のある人物に送る。その後、網走駅前の食堂に入りラーメンとカツ丼をビールを飲みながら思いっきり食べていた。

 欽也は網走駅前で一人の女・小川珠美(桃井かおり)をひっかける。彼女が網走刑務所へ観光にきたと聞き、一緒の車で行こうと食堂に入ってまでしつこく誘った。

 なんとか欽也は珠美を乗っけて二人でドライブ。しかし珠美は内気な性格のようだった。珠美は普段は列車の弁当係をしているが、彼氏が別の女と寝たことを仕事中に同僚から聞かされ傷心の旅に出たのだ。

 ずっこけてばかりの愛嬌たっぷりの欽也に珠美は徐々に打ち解けていく。

 二人は海岸に寄り、そこで海を眺めていた勇作にカメラのシャッターを押してほしいと頼む。

 その後、勇作を駅まで乗っけていくことになった欽也と珠美。勇作は二人に泊まる場所を聞き、それが阿寒温泉だと知ると羨ましがる。どうやら勇作にはこれと決まった目的地がないらしい。欽也と珠美は一緒に泊まらないかと誘い勇作はそれを受ける。

 阿寒温泉に泊まった夜。欽也は他に部屋が無い、と騙して珠美と一緒の部屋で寝る。「オレは何もしないよ」と不安がる珠美をなだめるがちゃっかり近くの薬局でティッシュとコンドームを購入する。

 一方、勇作は温泉に浸かっていた。勇作はふと女房の姿を思い出す。やがて温泉に珠美も入ってきて、勇作は動じずに場所を空けるが、珠美はどうやら混浴だと気付かなかったようで慌てて出ていく。

 夜もふけ、勇作は警察に追われる夢を見ていた。やがて寝苦しさに起き上がり、隣の欽也と珠美の部屋の声が聞こえるのに気付き、反対の方を向いて寝ようとする。

 一方、盛りのついた欽也は珠美に襲い掛かる。珠美はキスだけは許すがそれ以上のことは抵抗しやがて泣き出してしまう。欽也も泣かれて困り果てていた。

 泣き声が大きくなり、勇作が欽也たちの部屋のドアを開けて「いい加減にしろよ。他の客もいるんだぞ」と一喝し欽也はシュンとなる。

 翌朝、車中はどこか気まずい雰囲気。勇作は陸別駅で降りるといい、珠美も一緒に陸別駅で降りてしまう。欽也は珠美が頑なに降りるというので、車で去って行ってしまった。

 しかし列車の待ち時間は2時間もあり、珠美は早くも車で行けばよかったと後悔する。

 そこに欽也の車が戻ってきた。欽也は高い金をはたいてカニを購入し、珠美と勇作にふるまい珠美の機嫌を直そうとした。

 三人で欽也の買ったカニを食べながらおしゃべり。欽也と勇作は二人とも福岡県生まれの九州男児だったのだ。欽也は打ち解けた珠美と二人の旅を楽しみたかったが、珠美が強く言うので子供っぽいことを言いながら仕方なく勇作も乗せて3人の車旅は再開する。

 だが欽也はカニがあたったようで、下痢が止まらない。ある農場に寄って欽也はトイレを貸してもらう。

 二人きりになった珠美と勇作。珠美は勇作に結婚していないのか、としつこく聞きだす。勇作は多くを語りたがらない。

 やがて一台の大きなトラクターが通ろうとするが欽也の車が邪魔で通れない。珠美は仮免まではいった、と勇作を説得し車をバッグさせるが路肩に落としバンパーもへこんで道路に上がれない。

 珠美がアクセルを踏み、欽也と勇作が後ろから車を押す。やがて道路に乗り上げたが珠美は今度はブレーキが分からず、農場の牧草に突っ込んでしまう。

 欽也はもう業者呼ばないとだめになった、と珠美を責めるが珠美は
「なによ!あんたがうんこなんてするからいけないんでしょ!」
 と二人は喧嘩。二人とも泣き出してしまった。

 その後、勇作が農場主(小野泰次郎)に頼み込み、明日に業者が来るまで泊めてもらえることになった。勇作はそのことを二人のいる車中に報告しようとするがまた懲りずに欽也が珠美を無理矢理キスしようとしていて呆れてしまう。

 夜、勇作は欽也に珠美に対して惚れてるのか?と聞くと欽也は若者らしく軽いノリであると打ち明ける。勇作は欽也に説教をはじめる。
「女の子の気持ちがわからないなんてそれでもお前は九州男児か!」
「・・・・」
「今日のお前の行動は、おれの所では“草野球のキャッチャー”と言うんじゃ。わかるか!!」
「いえ、わかりません・・」
「“みっと”もない、と言う意味だ」

 翌朝、勇作は帯広駅で降りると話す。十勝平野の美しい景色、大雪山の白い雪を眺めつつ、やがて帯広駅に到着する。

 帯広の駐車場で、自分勝手に停車して他の車を停めにくくしている車を殴って傷をつける。すると車の中からチンピラ(たこ八郎)が出てきて、必死に謝る欽也に暴力を振るう。

 それを見ていた勇作は「謝っているんだからやめてやれよ」と言うが男は勇作にも八つ当たりする。勇作は頭を掴んで男の頭を車に叩きつけ、ひるんだ隙に車を運転して欽也と珠美を乗っけて出発する。

 やがて勇作は夕張を目指していることをそれとなく話し、欽也と珠美は夕張に寄ることを決める。だが道中で強盗犯を逮捕するための一斉検問にひっかかり、免許証の提示を警官(笠井一彦)に求められるが無免許であることを話す。

 勇作は前までは免許があったが、服役していたために免許の更新が止まった、と話し警官は勇作を署まで連行。驚いた欽也と珠美もその後をついていく。

 警察署内で勇作は自分の逮捕に立ち会った渡辺係長(渥美清)という男と再会する。渡辺は出前をとったラーメン屋の女の子(岡田茉利)に金を払ってから勇作は思い出話に花を咲かせ、ふと勇作の妻のことを聞く。しかし勇作は妻と別れた、と話し渡辺は残念そうにしていた。

 その後、渡辺の計らいですぐに出られることになった勇作。渡辺は困ったことがあったらすぐに来い、と励ました。

 勇作は待っていてくれた欽也と珠美に駅で電車に乗るよ、と気を遣って去って行く。しかし欽也も珠美も放っておけず結局、車に勇作を乗っけてしまう。

 勇作は車の中で欽也と珠美に昔の話をし始める。

 若い頃はやんちゃばっかして刑務所に入るのも自慢のひとつのようなチャラチャラした生活を送っていた勇作。しかし30にもなると自分の生き方に後悔しはじめて福岡から北海道の夕張まで行き、そこで炭鉱夫としての生活をはじめる。

 しかし勇作は生きることに活力を見出せなかった時にスーパーマーケットで働いていた光枝(倍賞千恵子)という女に惚れ込み不器用ながらも普通に会話できるようにまではなった。

 やがて交際をはじめ、ある夜思わず勇作は光枝にキスをする。光枝は驚きその日から数日、勇作を避けるがある日、勇作の家に入って、
「自分はすでに結婚したことがあります。それでもアンタはいいの?」
 と聞き二人はついに結婚する。

 その後、二人は貧しいながらも幸せな生活を送り、ある日ついに光枝が妊娠したかもしれない、と勇作に打ち明ける。病院に行ってくる、という光枝に勇作は酒を買って帰るよ、と話す。気が早い。

 勇作はどうにかして家に着くまでの帰り道で、光枝の妊娠が正確か分からないか?と聞く。光枝は
「もし、妊娠が本当だったら、竿を立ててその先に幸福の、黄色いハンカチをあげておく。もし黄色いハンカチが見えたら、お酒を買ってきてちょうだい」
 と言い勇作は浮かれつつ仕事に向かう。

 夜、勇作はすでに酒を買っていた。やがて黄色いハンカチが見えて天にも上る気持ちになった。

 だが光枝は勇作が止めるのも聞かず働きづめでついに流産してしまう。医者は光枝が流産したのは前にも一回あるだろう、と言い勇作はそれを聞かされていなかったので驚いてしまう。

 夜、勇作は前にも流産したことがあると聞かされなかったことに頭に来ていた。
「隠し事をする女は嫌いなんだ」
「だって聞かれなかったから!話さなくてもいいかと思って・・・」
「まだほかに隠し事はあるのか!それとも他に子供でもおるんか!」
 勇作はちゃぶ台をひっくり返して夕食をメチャクチャにして、家を出ていく。光枝は泣きながら夕食と割れた皿を片付けていた。

 勇作は夜の町で酔っ払い(赤津真人)に激突したことで酔っ払いとそのダチ(高橋伸一郎)に絡まれてしまう。
勇作はボコボコにしてきたダチの方を思わず頭を掴んで何度もコンクリに叩きつけてしまいダチは死んでしまった。勇作は呆然とする。

 そこまでの話を聞いた欽也、珠美。三人はハゲたオヤジ(太宰久雄)が経営する宿屋に泊まり、珠美がなぜ刑期を終えるまでに奥さんが離婚したのか疑問で仕方がないようだ。しかし勇作は光枝に離婚をしてほしいと頼んだのは自分の方だ、と打ち明ける。

 6年の実刑判決が下った勇作。光枝は何度も面会に訪れて待ち続けるつもりだったが、勇作が離婚届に名前を書いて捺印を押してほしい、と言う。
「お前はまだ若いんだ。他に俺よりいい男見つけて、幸せな家庭を築くんだ。わかったな?」
「・・・一緒になった時も別れる時もあんたって勝手な人だねえ・・」
 光枝はむせび泣いた。

 その日以来、光枝は面会に訪れず、ついに光枝が捺印を押したことで離婚が成立した。珠美は勇作に奥さんがかわいそうだ、と責めるが勇作は
「だが塀の中の俺にそのほかになにができたっていうんだ・・」
 と言い、別室に去って行く。欽也も珠美も涙していた。

 翌日、勇作は珠美と欽也に、光枝に手紙を送ったことを話す。
「俺はお前が他の良い男と再婚して幸せになっていることを望んでいる。この手紙がつく頃、俺は夕張行くが、もしも、もしもだ、お前が今でも独りで暮しているなら庭先の鯉のぽりの竿の先に黄色い布をつけておいてくれ、その布を・見たら俺は家に帰る。でも布がなかったら、俺はそのまま夕張を去ってゆく」
 未練がましいと自嘲的に笑う勇作だが珠美と欽也はそれなら夕張へ行こうと夕張まで走らせる。

 夕張に近くなったところで、勇作はやっぱり引き返してほしいと欽也に言う。欽也と珠美は説得するが勇作はいいから引き返せ!と言い欽也は
「なんだよ俺には偉そうに説教したくせに。ガソリン代がムダになったよ」
 と言って引き返す。しかし珠美は納得がいかず勇作を説得しもし黄色いハンカチがあがってなければ札幌駅に一緒に行こう、と最後の説得をし、勇作もそれに押される。

 夕張を走る車の中で、勇作は家に近づくたびにうつむき加減になる。珠美と欽也も「引っ越してるかもしれない。それなら仕方ない」と自信が無くなってくる。

 やがて陸橋を越え、炭鉱町の坂を上り、風呂屋が見え、勇作の家が見えるところに車を停める。勇作はうつむいたまま珠美と欽也が黄色いハンカチを探す。

 なかなか見つからない。しかし欽也が見つけた。それは何枚もの黄色いハンカチがまるで鯉のぼりのように棒にたなびいている光景だった。

 欽也と珠美は勇作を車から降ろしてその背中を押す。勇作は欽也と珠美に背中を押され、何も言わずに家に帰って行った。欽也と珠美は勇作が洗濯物を干して待っていた妻と共に家に入って行く姿を遠くから見守る。

 その後、欽也と珠美は車を路肩に止めて、熱烈な本気の愛情が込められたキスを交わすのだった・・・
 









 この映画は一言で表すなら黄色そのものです。幸福って意味合いもありますが、私はこの黄色に山田洋次が込めた優しさというものを感じました。この映画は本当に優しい物語です。後半になると随所に黄色いのぼりだとか看板が出てきます。その理由は映画を観ればわかりますが、最後の展開を示しているものなんですね。そういった黄色いのぼりが私には山田洋次が最後に、優しさを持ってくるんだぞという意思を感じた気がしました。

 あとは若いカップルと中年カップルの対比がいいですねえ。若いカップルの話を重点に進んでいる場合は私達観ている人が中年男と同じような第三者の視点に立ち、中年カップルの話になった時は若いカップルと同じような視点で映画を観ることができる。なかなか凝っていますねえ。

 あと私個人としては高倉健の不器用さが男としてすっごい共感できるんです。桃井かおりや倍賞千恵子は離婚したことが勝手だ、なんて言ってましたが惚れた女の幸せを不器用に祈り自分は身を引く、という行為自体に一種の男としての美があるように感じるんですよ。女性には理解しづらくて「勝手だ」と一言言われてしまえばそれまでのことなんでしょうけど。

 でも実際にしてしまったら後で未練がましくなっちゃうのも分かるし、会いに行こうとして寸前のところでやっぱり引き返そうとする。共感できます。なんだか実際に会ってもし倍賞千恵子が本当に他の男と結婚していたら、それを考えたら会わずに希望を持ち続けたまま生きていくのがよいのではないか・・・そういう考えが右往左往する気持ち。よく分かります。男ってのは案外、女々しいものなのですよ。

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原作のピート・ハミルのコラムが読める本だそうです
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(2009/07/03)
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