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断崖

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原作ファンから反感を買いそうな映画でした。


『断崖』(1941年・米)
断崖
スタッフ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:サムソン・ラファエルソン、アルマ・レヴィル、ジョーン・ハリソン
原作:フランシス・アイルズ「レディに捧げる殺人物語」
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
音楽:フランツ・ワックスマン
撮影:ハリー・ストラドリング
編集:ウィリアム・ハミルトン
配給:RKO
キャスト
リナ・マクレイドロウ:ジョーン・フォンテイン
ジョニー・アイガース:ケーリー・グラント
マクレイドロウ将軍:セドリック・ハードウィック
ミセス・ニューシャム:イザベル・ジーンズ
車掌:ビリー・ビーバン
カメラマン:クライド・クック
エセル:ヘザー・エンジェル
ベンソン刑事:バーノン・ダーニング
ホドソン警部:ラムスデン・ヘイア
バートラム・セッバクス医師:ギャビン・ゴードン
イソベル・セドバクス:オリオール・リイ
マーサ・マクレイドロウ:メイ・ウィッティ
ゴードン・スウェイト“ビーキー”:ナイジェル・ブルース
ジョージ・メルブック:レオ・G・キャロル

郵便配達員:アルフレッド・ヒッチコック


 アルフレッド・ヒッチコック監督作品「断崖」。原題は「Suspicion

 原作はフランシス・アイルズことアントニー・バークリーの「レディに捧げる殺人物語」なんですが、映画化されたこの映画は結末が違うようなんですよ。それはまた最後の方にお話ししますので、最後の方の感想文には原作小説のネタバレもありますのでご注意くださいな。

 主演はケーリー・グラントでヒッチコック作品初デビューです。のちに「汚名」(1946年)、「泥棒成金」(1955年)、「北北西に進路を取れ」(1959年)にも出てますね。今回のケーリー・グラントは無邪気さと残しつつどこか怖い印象を受ける男を演じたのですがこれがまたうまい。実はRKOとケーリー・グラントを悪役に使わない約束で彼を主演させたもんですから、原作から改変せざるを得なかったんですよ。
 原作と同じようにしろよ、という意見もあるかと思いますが私はこの役が似合うのはケーリー・グラントぐらいしか思いつきませんね。

 ヒロインのジョーン・フォンテインは「レベッカ」(1940年)で一躍有名になりましたね。ほかには「ジェーン・エア」(1944年)だとか「旅愁」(1950年)がありますね。両親はイギリス人なんですが、実はこの人は日本で生まれたんですよね。

 原題を直訳すると「疑惑」とか「疑い」みたいな意味になるんですよ。でもヒッチコックはサスペンス物が多いからただの疑惑じゃつまらないですよね。私はこの「断崖」って邦題はいい邦題だと思いますよ。奥さんが怖くて怖くて崖っぷちに追い詰められるような精神状況をうまく表現できてると思います。何に追い詰められるかは今は秘密です。


【あらすじ】

 お金持ちのお嬢様リナは優しい男ジョニーと恋に落ち半ば駆け落ちのような形で結婚する。しかしジョニーというのは自堕落な男で、いざ一緒に暮らすと優しいだけで勝手に家宝を売って金にするうえに、職場の金を使い込んでクビになったり、競馬がやめられない。リナは夫に危機感を覚えていた・・・















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ分あり



 汽車が暗いトンネルに差し掛かったころ、1等席の客室にはリナ・マクレイドロウ(ジョニー・フォンテーン)が座っていたがそこに厚かましい男ジョニー・アイガース(ケーリー・グラント)が同席してくる。

 車掌(ビリー・ビーバン)が切符点検に現れリナは切符を渡すがジョニーはどうやら3等席のキップしかなく、追加料金を払わされる。だがジョニーは小銭が足りなく、リナに小銭をくれ、と言う。リナは財布を取り出すがジョニーは半ペニー分の切手を勝手に財布から抜き取って車掌に渡す。

 リナはロクでもない男だと思いつついくつか会話をしてから児童文学の本に目を戻す。その本になんとジョニーの記事が載っていてリナは驚く。

 乗馬会に見物にやってきたジョニーは女を侍らせているところをカメラマン(クライド・クック)に写真を撮らせてほしいと頼まれる。笑顔を作ってくれ、と言われスマイルを作ったあと、ジョニーは汽車で出会った女リサがこの前、会った時のような地味な格好ではなく快活な笑顔を浮かべているのを目撃。侍らせている女からリサが金持ちのお嬢様だと聞き、彼女に興味を持つ。

 乗馬会の後、家に帰ったリナをジョニーが訪問し、一緒に教会へ行かないかと誘う。リナはルンルン気分でジョニーの誘いに応じるのだった。ジョニーはリナが読んでいた本に自分の写真が掲載された記事が挟まれていることに気付く。

 教会に入ろうとした直前、ジョニーはリナを半ば無理やり散歩に連れ出し、丘で彼女を「モンキーフェイス」(お猿さん顔ということでしょうが、けなしている訳ではないようです。からかい混じりの発言なのでしょうか)と呼びながらキスを迫る。しかし恋愛経験のないリナはウブだったからこそ、キスを拒絶し家に帰る。

 帰宅したリナは父親(セドリック・ハードウィック)と母マーサ(メイ・ウィッティ)が自分のことを話しているのを盗み聞きする。どうやらリナは恋愛をすることはないだろう、と両親は安心しているようだ。リナは癇癪を起こし、思わずジョニーにキスをして去ってしまう。

 家に入ってから食事をするリナ、父親、マーサの三人。リナはジョニーと散歩をしたことを話すが父親によればジョニーは過去にカードで詐欺をしたことがあるらしい。だがリナの熱い想いは変わらなかった。

 しかし当のジョニーはリナが何度も連絡をとろうとしても取れずにいて寂しい思いをさせられる。もしかしたらジョニーはリナを避けているのではないだろうか。

 舞踏会の日。リナは憂鬱な気分が変わらず体調不良を訴えて舞踏会に出席しないつもりでいた。しかしリナに電報が届く。ジョニーからで、舞踏会で待っている、胸骨上縁部が観れるような派手なドレスを着てきてほしいとのことだった。

 すぐにリナは晴れやかな気持ちになりドレスを着こんで舞踏会に参加。だが会場にジョニーの姿は見れず、リナは落ち込みながらも知り合いと踊る。

 やがて舞踏会にマクレイドロウ将軍に招待された、と無理やりジョニーが乗り込んでくる。ジョニーはリナと再会し二人は舞踏会を抜け出し夜のドライブに出かける。

 車の中で二人は思いを打ち明けあう。二人の熱い想いはとどまることを知らず、ついには結婚してしまおうと決めて二人はキスをする。

 翌朝、反対されるであろうことを知っていたリナは両親に何も告げず駆け落ちをしてしまう。新婚旅行はパリやリバプールへ行ったりとヨーロッパ中を巡った。

 大きな家に新居を構えメイドのエセル(ヘザー・エンジェル)も雇った二人だったが、リナは家や新婚旅行の金がすべて借金でありジョニーは無職の一文無しであることが今更判明したのだ。

 これからどうなるのか不安になるリナに対しジョニーはリナの金でやりくりできるであろう、と軽い気持ちでいたようだ。リナは駆け落ちしたのだから両親に金は貰えない、と正直に話しジョニーに働いてほしいと勧める。

 やがて父親から贈り物が届く。それはリナがずっと欲しがっていた家宝とも呼べる椅子2脚だった。ジョニーは金目の物だと期待したが椅子であると知るや落胆。しかしリナに自分に働いてほしい、と不動産会社を経営する従弟のジョージ・メルブック(レオ・G・キャロル)に頼まれていることを伝える。

 数日経ったある日、ジョニーの友人を名乗るゴードン・スウェイト通称ビーキー(ナイジェル・ブルース)が現れる。リナはビーキーをもてなそうとするが父から貰った椅子がない。ビーキーは競馬仲間だと名乗り、この前もジョニーは競馬場で大金をつぎ込んだから恐らく椅子を売ったのだろう、と話す。

 リナはジョニーが競馬をやめた、と本人から言われていたのだ。帰ってきたジョニーを問い詰めるリナ。ジョニーは家具屋に売ってしまった、と言いリナはその言葉を信じる。ビーキーはそんなジョニーに
「それなら小切手はどこにあるんだい?」
 などとジョニーをからかう。ビーキーはジョニーの勧めで家に一週間ほど滞在することになった。

 だが町にリナが出たときに、質屋にあの椅子2脚が展示されていたのだ。リナは自分が否定したビーキーにまず謝り、ビーキーは話を聞いてあいつなら仕方がない、と軽く言う。

 やがてジョニーが競馬で2000ポンド儲けた、と言ってプレゼントをいくつか持って帰ってくる。ビーキー、メイドのエセル、リナに。しかしリナは質屋に椅子を売られたこととそれをだまされたことでショックを受けていた。一方、ジョニーはなんで暗い顔をしているのか分からずビーキーと一緒に笑わせようとする。

 それでも笑わないリナにジョニーは領収書を見せる。あの椅子2脚を買い戻していたのだ。リナはやっと笑顔を取り戻し涙する。

 競馬から足を洗う、と今度こそ約束したジョニー。ビーキー、ジョニー、リナの三人は祝杯の酒を交わすがビーキーはアルコール中毒で診断中の身だった。しかしビーキーは一杯だけ、と飲んだ矢先に苦しみだしてしまう。ジョニーは冷たい顔で
「今度飲んだら死ぬぞ」
 と警告を促すのだった。

 リナはジョニーが勤めている、というメルベックの不動産会社を訪れる。しかしメルベックから聞かされたのは6週間前にジョニーが解雇されたことだけでなく、なんとその理由が会社の金2000ポンドを使い込んだことだったのだ。

 金さえ返せば告訴はしない、というメルベック。リナはショックが大きく、ついに家出を考える。だがそこにジョニーが現れ、なんとリナの父親が死んでしまった、という報告を伝える。リナはその知らせを聞き、ジョニーの胸に泣きつくのだった。

 その後、父親の遺言どおり遺産分配されるが駆け落ちしたこともあり、父親の肖像画くらいしかリナの手元に渡らなくなってしまった。ジョニーはその肖像画に毒づくのだった。

 葬儀の帰り道、リナはジョニーが解雇されたことを知っていると伝えた。理由は知らない、と嘘をつくリナにジョニーは
「彼は古い気質の人間だから新しいことを考える僕とはウマが合わなかった」
 という理由の嘘をつく。葬儀の帰り道に通った海岸線の断崖地帯に車を止め、そこでリゾート地計画の構想を練り始める。

 ジョニーはなんとそれを実現するべくビーキーの出資で不動産を設立してしまう。しかし構想計画を立てていた翌日にはあっさりとそれを中止する。

 夜、一緒に断崖地帯を見に行こうとビーキーに迫るジョニー。ビーキーはあまり乗り気ではないがジョニーは強要しているようだ。

 たまたまその時、言葉遊びをしており言葉の組み合わせが偶然「MURDER」(殺人の意)となる。リナはそれを見て夫ジョニーが断崖でビーキーを殺して財産を奪おうとするのでは、と考え卒倒してしまう。

 翌朝、目覚めたリナは夫ジョニーとビーキーが断崖地帯に出かけたと知り慌てて車を出す。崖についたリナは車のブレーキ痕が崖に向かっているのを見て絶望してしまう。

 家に帰宅したリナだったがジョニーとビーキーは仲良く会話しながらそこに居た。安堵するリナにビーキーは死にかけた、と話す。

 何のことか聞くリナ。ビーキーによれば車を間違えて崖の方向へ進ませてしまい落ちかけたところを飛び込んできたジョニーが助けたとのことだった。

 ビーキーは事業解消のためパリに行くことになった。ジョニーがロンドンまで車で送っていくことになる。

 ある日、ホドソン警部(ラムスデン・ヘイア)とベンソン刑事(バーノン・ダーニング)が家に来る。二人によればパリで酒を飲みすぎて死んでしまったらしい。店員の証言によればビーキーが一緒に飲んでいた相手のあだ名がジョニーがビーキーに呼ばれていたあだ名と似たものらしい。

 リナはジョニーが泊まっているホテルに連絡するが、なんとすでに昨日の朝にホテルを経ったそうだ。もしかしてパリに行ったのでは?疑念を深めるリナのもとにジョニーが帰ってくる。ジョニーはパリに行ってはいないと言って警察にもそのことを伝える。
「昨日はずっとホテルに居ました」
 しかしリナは昨日の朝にホテルを経ったことは聞いていた・・・

 リナは知人の推理小説作家イソベル・セドバスク(オリオール・リイ)の下を訪れる。イソベルによればどうやら自分の小説とビーキーの事件は似ている、とのことだった。

 リナはその本を貸してほしい、と頼むがイソベルはその本はジョニーに貸したという。ますます疑念を深めるリナ。

 帰宅したリナはその本を探し、本にメルベックあてにジョニーが書いたらしき文面がありそれは返済期限の延長を求めるものだった。

その後、ある電話を受け取るリナ。それはジョニーあてで、どうやら保険会社かららしい。翌日、保険会社からの手紙が届き、リナはジョニーがシャワーを浴びている最中にその手紙を盗み見る。どうやら自分には知らないところでリナの保険金がかかっており、ジョニーがその保険金を借りることはできないだろうか、と保険会社に相談したらしい。

 ジョニーを疑いながらリナはイソベルにジョニー共々食事に呼ばれる。その食事会でイソベルは検視医をしている弟バートラム(ギャビン・ゴードン)と毒薬談義の話になり、ジョニーは追跡不可能な毒薬が生まれたという話題に敏感に興味を示す。イソベルもゴードンもその話をしなかったが、リナはジョニーが自分を殺そうとしているのではないか、と恐怖を抱く。

 夜、別々の寝室で寝ようと提案したリナ。ジョニーは不機嫌になりながらも承知し別室へ去っていく。極度の緊張感に襲われていたリナは卒倒してしまう。

 目が覚めるとジョニーとイソベルが看護をしてくれていた。イソベルはリナに、リナが眠っている間に毒薬の話をしてしまった、と打ち明ける。イソベルによればその毒薬は生活必需品だけで作れるもので、飲むとすぐに死ぬが毒の痕跡は出ない、とのことだった。

 イソベルが帰った後、ジョニーが牛乳を運んできた。リナはその牛乳が怖くて、手を出すことができなかった。



 翌朝、リナは体調が悪い上に母親が寂しがっているので、実家に帰るとジョニーに伝える。ジョニーは妻の態度を不審がって車で実家まで送っていく、と伝える。

 断りきれず車に乗せられるリナ。ジョニーは断崖沿いの道路を乱暴な運転で走っていく。上がるスピードメーターに恐怖するリナ。

 ついにリナ側のドアが開き、ジョニーは怖い目をしてリナを突き落とそうとつかみかかる。リナは車から飛び降りるがジョニーがそれを捕まえる。
「いい加減にしてくれ!死ぬところだったじゃないか!」

 ジョニーの発言が訳も分からずリナはジョニーにおびえる。どうやら先ほど落とされそうになったのはリナが極度の緊張状態に追い込まれた末の妄想だったらしい。自分を殺そうとしているのだ、とおびえるリナにジョニーは告白をはじめた。

 ジョニーはメルベックの金を使い込んで払いきれなくなり、ビーキーとロンドンで別れてからその足でリバプールまで行ったらしい。リナの保険金を借りることはできまいか、と思ったジョニーだったが保険会社からそれは無理だ、という返答を受け、イソベルの言っていた毒を服用して自殺しその保険金で返済しようと思っていたのだという。

 リナはその話を聞き自分の妄想を後悔しやり直すことができる、と励ます。しかしそれに対してジョニーは自分はもう変わることはできないんだ、と悔しげに話しジョニーはリナを実家へ帰そうとする。

 リナは粘り強くジョニーを説得し、ついに二人でまた一からやり直すことを決めて二人の車は来た道を戻っていくのだった・・・









(以下原作小説のネタバレも含)

 やっぱり友人殺しの犯人はケーリー・グラントじゃなかろうか、という疑念は私の中に残ってますね。ロンドンで一緒に飲んだ相手がケーリー・グラントにつけられたあだ名に似ていた、もしくは一致していた、というのがものすごく気になってます。

 というのも原作では実は奥さんが旦那さんが自分を殺そうとしているのでは、と疑念を持つのがかなり終盤の方で、結局旦那を愛しているから自分が殺されるのを待つ、そして旦那は奥さんを殺すっていう終わり方だったんですよ。

 原作ではホントに旦那さんの役は・・外道です。リナ相手に最後、お前の金が目当てだったにきまってるだろう、とか吐いたり、メイドを妊娠させたり、結婚後もリナの友達や街の女に手を出したり、映画ではそんなワケにはいきません。RKOはケーリー・グラントを悪役になんてさせたくないからです。

 実は原作とは違ったもう一つの結末をヒッチコックは考えていたみたいなんですが、先述のRKOの方針によりそれは却下されたそうです。余韻を残した終わり方だったそうですよ。

 この映画でヒッチコックすごい、とよく言われるシーンはケーリー・グラントが奥さんにミルクを運ぶシーンで夜の暗い階段を上がるグラントとミルクの怖さと怪しさを際立たせるために、ミルクの中に豆電球を入れたそうですよ。天才は考えることがちがいますね・・

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