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大スターになりたてのクラーク・ゲーブルが出てる作品ですね。実際の歴史の事件を映画化しました。


『戦艦バウンティ号の叛乱』 Mutiny on the Bounty (1935年・米)
戦艦バウンティ号の叛乱
スタッフ
監督:フランク・ロイド
脚本:タルボット・ジェニングス、ジュールス・ファースマン、ケイリー・ウィルソン
製作:アーヴィング・サルバーグ、アルバート・リューイン、フランク・ロイド
原作:チャールズ・ノードホフ、ジェームズ・ノーマン・ホール「バウンティ号の叛乱」
撮影:アーサー・エディソン
音楽:ハーバート・スサート
キャスト
ウィリアム・ブライ:チャールズ・ロートン
フレッチャー・クリスチャン:クラーク・ゲーブル
ロジャー・バイアム(モデルはピーター・ヘイウッド):フランチョット・トーン
ジョン・スミス:ハーバート・マンディン
トミー・エリソン:エディ・クィラン
バッカス:ダッドリー・ディグス
トーマス・バーキット:ドナルド・クリスプ
ジョゼフ・バンクス卿:ヘンリー・スティーブンソン
ネルソン:フランシス・リスター
バイアム卿夫人:スプリング・バイントン
マグス:イアン・ウォルフ
役名不明:デヴィッド・ニーヴン


 フランク・ロイド監督作品「戦艦バウンティ号の叛乱」。原題は「Mutiny on the Bounty」。直訳すると「バウンティでの叛乱」

 原作はチャールズ・ノードホフ、ジェームズ・ノーマン・ホールの小説「バウンティ号の叛乱」。チャールズ・ノードホフという人は自然を利用した作品が多い作家さんのようです。例えば「ハリケーン」とか。で、チャールズとジェームズ・ノーマン・ホールは小説で共同執筆することが多く、二人は第一次世界大戦で知り合ったようですよ。二人とも“記録者”としての功績も大きいですね。

 そしてこれは実際に起きた事件なんですね。18世紀末に起きた海洋事件。で、この時を描いたロバート・トッドっていう画家さんの絵があるんです。その絵に描かれているのは追放の場面。その絵を見ると、船の後尾というのが映画でうまく再現されているのが分かりますね。

 フランク・ロイドという監督さんも知ってる人は少ないかもしれませんが、この作品はおそらく彼のベスト作品ではないでしょうか。他にもこの監督の作品には「レ・ミゼラブル」(1918年)、これはレ・ミゼラブルの1909年に作られた映画の次の映画化作品だと思われます。あとは「大帝国行進曲 カヴァルケード」(1933年)などもありますね。

 アーヴィン・サルバーグ。この人はいい映画にばっかありつける人だと思ってます。というのもこの人にかかった映画はほとんど成功してるんです。こういう人は映画プロデューサーの天才と呼ばれるのかもしれません。例えば「ベン・ハー」(1925年)だとか「グランド・ホテル」(1932年)、クレジットにはありませんでしたが「マルクス兄弟 オペラは踊る」(1935年)などなど挙げればキリがないでしょうか。

 クラーク・ゲーブル。1934年に「或る夜の出来事」に出演してアカデミー主演男優賞を獲得して一躍スターになりましたね。これはその翌年、つまりスターになりたての頃の映画とでもいいましょうか。この作品でもゲーブルは成功しましたね。

 チャールズ・ロートン。この映画では終始、仏頂面でしたねえ。それが見てる人の憎しみを煽ってます。実はこの人の出てる映画、初めて見たので今後、この人が出てたら注目したいですね。

 さてこの映画、古い規律と新しい時代の切り替えを示してますね。その切り替えには一定の勇気が必要なのだ、その勇気の行為の象徴がこの映画では、叛乱とされています。英国海軍の軍律を重んじるコテコテのブライ船長。今までの古き軍律を脱し解放されようと試みた叛乱する者たち。その戦いです。古きを破り新しき秩序をもたらせるか、それはなにも英国海軍の、海の上のことだけでは無いですよね。


【あらすじ】

 イギリスの船バウンティ号はイギリス・ポーツマスを経ち、タヒチ島へ向かい、そこでパンの木を受け取ってからそのパンの木を西インド諸島へ運ぶ任務を受ける。バウンティ号は勇ましく出航するが、船長のブライは冷酷非道な男で船員たちの不満は募っていく。













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 1787年12月。イギリス船バウンティ号はポーツマスより出港し南海タヒチを目指す。その目的は、奴隷の食料としてタヒチで受け取ったパンの木を西インド諸島まで運び、諸島で苗を植えて育てまくる、ということだった。
 だが、それらは届けられることはなかった。厳格な海洋法が引き起こしたバウンティ号の叛乱が原因である。この叛乱は後に上官と船員の関係を改善させイギリス海軍の力は揺るぎないものとなり、新たな秩序をもたらしたのだった。


1787年~イギリス・ポーツマス

 バウンティ号の副長フレッチャー・クリスチャン(クラーク・ゲーブル)は海軍の強制徴兵隊を率いてポーツマスの酒場を訪問する。クリスチャンは抵抗する彼らを連行。妻マリー(マリオン・クレイトン・アンダーソン)、母(ナーディン・ベレスフォード)と赤ん坊がいるトミー・エリソン(エディ・クィラン)も連行する。

 バイアム卿夫人(スプリング・バイントン)は息子ロジャー・バイアム(フランチョット・トーン)が徴兵されることにジョゼフ・バンクス卿(ヘンリー・スティーブンソン)相手に嘆いていた。しかし息子ロジャーは意気揚々と自分が海の男になることを誇らしく思っていた。

 さあ出港の日。バウンティ号はロジャーが思っていたより小さい。しかし船渡しのオッチャンは「船は大きさじゃなくて、船乗りの力次第ですよ」とちょっといいことを言う。

 バウンティ号では船に乗るのを拒んでいたトミー・エリソンが船を沈めようとしてチャールズ・チャーチル(パット・フラハーティ)と甲板長に捕まっていた。クリスチャンはエリソンを励まし、帰れれば名誉なことである、と伝える。

 士官見習いのロジャー・バイアムはフレッチャー・クリスチャンと挨拶を交わす。ロジャーの教官としてフレッチャーは指導を担当するのだ。

 次に船に乗り込んできたのは船医のバッカス(ダッドリー・ディグス)だ。片足は義足の酔っ払い船医だ。この人は気さくな人のようだ。

 ロジャーとルームメイトで同じ士官見習いが二人いた。一人はジョージ・スチュワート(ダグラス・ウォルトン)、もうひとりは堅物そうな男ヘイワード(ヴァーノン・ダウニング)。船長料理係のジョン・スミス(ハーバート・マンディン)はイライラしてる船長書記マグズ(イアン・ウォルフ)に船長が優しい人か?と聞いていた。まあ答えは得られなかったのだが。

 そして、ウィリアム・ブライ船長(チャールズ・ロートン)が乗船してきた。ブライはすぐさま船員以外の人間を追い払い、出港前に船で船長を殴った罪で軍法会議にかけられ鞭打ちが決まった罪人を鞭打ち24回の刑に処することとなる。

 さて我が船に運ばれてきた罪人。だがその罪人はすでに死んでいた。しかしブライ船長は懲罰は絶対に行う決まりになっている、と言い死んだ罪人に鞭打ちを実行するよう甲板長モリソン(ウォリース・クラーク)に命令する。その酷い有様を見てロジャーは卒倒してしまう。

 ロジャーは目を覚まし、ブライ船長は出港の号令をかける。航海長ジョン・フライヤー(デウィット・ジェニングス)はテキパキと指示を出していざ出港する。

※一時、用語解説
●右舷・・・船首に向かって右側の船の側面のこと。⇔左舷(舷は船の側面という意味)
●帆を張る・・・帆を展開すること。展開された帆って意味ありげに仰け反りみたいになってますよね。
●デッキ・・・甲板とも。帆船でみんなが歩いてるところ。
●ヤード・・・マスト(下記解説)のてっぺんのちょっと下くらいにある横の柱。帆を展開していないときは帆はヤードにガスケットと呼ばれる綱によって閉じられている。
●マスト・・・帆柱(ほばしら)とも。帆船のデッキ(甲板)の中央にあるでっかい柱。何本もある船もある。船員がマストのヤードまでロープの網で登って行き、ガスケットを解いて帆を下ろす。
●ガスケット・・・帆を展開していないとき、ヤードに帆をぐるぐる巻きにしている。そのぐるぐる巻きに使う網。ロープ。
●綱を引く・・・帆をしっかり張るために船員たちがデッキで、帆と繋いだロープを引っ張ること。
●ようそろ・・・転舵のあと、進路方向そのままにー!進めー!という意味。
●転舵・・・舵輪を回して進行方向を変える、ということ。
●舵輪・・・車のハンドルみたいなもの。進行方向を操る。

 出港したあと、船長室ではブライとクリスチャンが航海のことで話し合っていた。予定航路はチリ最南端のホーン岬を経由して、西に進んでタヒチへと向かうルートだ。しかし西風が吹かなければ一旦、アフリカに戻ってから、東へ向かってタヒチを目指す、というルートになるらしい。それにしてもブライとクリスチャンの折り合いが悪い。船員がいなければ船は動かない、と論じるクリスチャンに対し、ブライは船員など奴隷も同然だ、という意見の衝突が生じる。ブライは船長、という立場を利用しクリスチャンの意見をはねのける。

 士官見習いの共同寝室では、スチュワートが必死に航海術の勉強をしているところを、堅物のヘイワード相手にロジャーが挑発を繰り返していた。それを見かねたクリスチャンは見習いの三人に部屋の中で揺れる天井に吊るされたランタンを見つめ続けろ、という試練を与え、全員が失敗し途中でデッキに出て海にもどしにいったのでクリスチャンは大笑いする。

 三人でもどし終えたあと、見習いの寝室に降りようとしたロジャーをヘイワードが蹴落とす。ロジャーは頭にきてヘイワードを殴るが、その場面をブライが目撃。海が荒れてきたにもかかわらず、ブライはロジャーにヤードに登り頭を冷やせ、と命令する。クリスチャンがそれを見て厳しすぎる、と諌めてもブライは聞く耳持たずであった。

 さて、嵐に巻き込まれたバウンティ号。ロジャーはヤードで気絶していた。クリスチャンはすぐにロジャーを助けに行き、医務室まで運んだ。だがブライ船長は自分が降ろせ、と許可を出していない、と怒鳴り散らしロジャーに再びマストの上まで登るよう命令。クリスチャンは説得するが、ブライ船長はまたしても聞く耳を持たない。

 クリスチャンはロジャーがやっと歩けるようになったのでマストの上に再び登るよう命じる。拒否するロジャーだったが、クリスチャンが自分を下ろしてくれた人物だとバッカスから聞かされて、再びマストに登っていく。

 嵐が過ぎ去り、船がスペイン・テネリフェに差し掛かった頃、ブライ船長は神様に嵐を過ぎ去ってくれたお礼を述べてから、船員の労働がなってない、と叱責しトーマス・バーキット(ドナルド・クリスプ)、トミー・エリソン、ウィリアム・マスプラット(スタンリー・フィールズ)の三人を船員の中から適当に選んで、10日間の食事半減を命じる。そして船員全員に対しその運命を握っているのは、私だと宣言する。

 解散後、ウィリアム・マスプラットはブライへの愚痴をこぼし、それを聞き漏らさなかったブライはまずトミーを疑い、鞭打ち24回をモリソンにさせようとしたが、マスプラットが自白したのでモリソンにマスプラットへの鞭打ち24回、更にトミーがマスプラットを庇って誰が言ったのか、話さなかったのでトミーに対しても鞭打ちを命じる。

 さあ南アメリカの南端に差し掛かったが、進路を変更し南アフリカを経由していくこととなる。道中もずっとブライ船長の恐怖と暴力による支配は続いていた。ある日には、デッキ掃除をしていた船員がヒザが擦り切れて痛いので水で洗いたい、という意見を聞いたブライ船長は紐で吊るして海に放り込んだ。その船員は船底に思い切り体をぶつけ引き上げられた船員は死体となっていた。

 インド洋に差し掛かると、バウンティ号は連日の無風状態に悩まされていた。無風状態で船を進めるには、帆船を小さなボートで漕ぎ手たちが引っ張るしかないのだ。漕ぎ手の交代のとき、ロジャーはバッカスから二人の船員が体の状態で漕ぐことが不可能だと診断され、二人を休ませようとする。しかしブライ船長は今から交代する食事中の漕ぎ手たちの食事を中断させボートに向かわせるばかりか、動けない二人すら無理矢理に働かせる。

 バウンティ号では配給されたチーズがいくつか無いことで食事にチーズを出さないことをブライが決める。しかしブライの家にチーズの樽を運んだ、と証言する船員のマッコイ(アレック・クレイグ)が出てきた。ブライはマッコイを嘘つきだと罵り、ロープに縛って無理矢理に日光の下に晒す罰を与える。

 その時、風が吹いてきた。この風を逃すまいとブライとクリスチャンが漕ぎ手たちにもっと漕ぎ続けて風を逃すな!と叫ぶ。漕ぎ手たちの奮闘の甲斐あってか、帆船は無事に風に乗ることができた。船員たちは興奮したがブライはマッコイをさっさと縛れ、とモリソンに命じる。マッコイは水も与えられず日差しの下に縛り付けられた。

 食事のとき。ブライはクリスチャン、ロジャー、バッカス、フライヤーと共に食事をしていた。そこにジョン・スミスが船員に食べることを禁じたチーズを持ってくる。ブライは全員にチーズはいるか?と聞くが全員が拒否する。ブライはその態度はなんだ、とクリスチャンに問う。クリスチャンはブライにチーズをクスねるのは不正だ、と非難しブライは不正者呼ばわりされて頭にきてクリスチャン、そしてそれに同調するロジャーを追い出す。

 次の食事のシーンは船員たち。しかしマスプラット、バーキット、トミー、トンプソン(チャールズ・アーウィン)らを含めた船員6人に対して与えられた食事はたかだか2ポンド程度の馬肉だった(現在1ポンドが170円程度なので、340円程度。現在の為替計算なので当時と同じ価値かどうかは不明)。

 さあ6人はたまたま海に鮫を見つけ、その馬肉をエサとして釣りを始める。見事、鮫を釣ったがそこへ士官水兵が鮫をひと切れよこせば船長らに黙っててやる、と言って歩み寄ってきた。バーキットはそのサメのひと切れで士官水平の顔を殴りつけたが、それをブライ船長に見られ、鞭打ちの刑を食らう。酔っ払いのバッカス船医がマスプラットを治療して励ます。

 夜、クリスチャンはロジャーと共にへこたれない船員たちを褒めたたえ、彼らに懲罰を与えるブライ船長を下種だと罵る。クリスチャンは募り募るブライ船長への不満を抑えられるか自身が無い、と言うがロジャーは「アナタなら出来るでしょう」と言う。二人には男の友情があった。

 バウンティ号は南太平洋に入りいよいよタヒチに着きそうなところまで来ていた。

 ブライ船長はクリスチャンを呼び出し、配給物資が正しく行き届いているか、書類にサインを命じる。しかしクリスチャンはいつもならば見逃すちょっと船長がクスねた食べ物も、今回は船員が飢えに困っていることから、クスねたことを重視しサインに応じない。ブライはクリスチャンを憎み、船長の権力を思い知らせてやる、と憤慨し全員をデッキに集めさせる。

 船員全員がデッキに集まって、ブライは全員にもし船長に背く船員あらば階級に関係なく死に値する懲罰が科せられる、という掟を作ってしまった。クリスチャンはサインするものの、帰国後に裁判を申請すると伝える。ブライはお前は生意気な飼い主の手を噛む飼い犬だ!と馬鹿にしてクリスチャンは撤回を求める。しかしブライはそれでも挑発し、クリスチャンは掴みかかろうとしたとき、タヒチの島を船員が発見する。

 タヒチの人々はバウンティ号の船員たちを歓迎する。船にタヒチ島の首領ヒティヒティ(ビル・バンブリッジ)が乗り込んでくる。ブライとは知人の間柄のようだが、どうにもヒティヒティに頭が上がらず、前に来たとき一緒にいたクック船長が死んで居ないのをヒティヒティに知らせる。更にヒティヒティはクックが今度来るとき英国王を連れてくる、と約束しもし来なければ船長の帽子を自分が貰う約束になっていると言い、ブライは船長の帽子をヒティヒティに渡す。

 ブライはヒティヒティからパンの木の苗を1000株頂く、という取引に成功する。更にヒティヒティは子供たちにプレゼントを与えるロジャーを気に入り、彼がタヒチ語辞典の製作を任されていることも聞き、船が停泊している間だけ家族と一緒に暮らして欲しい、と頼む。それは無理だ、というブライに対しヒティヒティはその決定権は自分にある、と強気に言い、ブライは特別に許可する。

 ブライは船員の島への上陸は許可するが、クリスチャンだけは上陸を許さない、と命令を出した。

 船員たちは“地獄”から解放されタヒチ島で現地の生活を楽しむ。ロジャーだけは夜も帰らずに済むが、船員は基本、夜は船で寝ることを命じている。しかしそれでも船員たちにとっては飢えに困ることのない最高の日々だった。

 さてロジャーはタヒチ語辞典の製作中。現地のイタズラ娘テハニ(モビタ)に恋したり、タヒチには“お金”がないことも知る。その時、上陸できないクリスチャンの自分を呼ぶ声が聞こえる。そんなはずはないと思ったロジャーだったがどうやらヒティヒティがブライに頼んだらしい。クリスチャンは上陸を許されたのだ。

 そんなクリスチャンはヒティヒティの孫娘マイミティ(マモ・クラーク)に恋する。ロジャー、テハニ、クリスチャン、マイミティの四人はタヒチの綺麗な海を泳ぐことになる。クリスチャンは“地獄”とは大違いだ、と感慨に耽っていた。

 やがてクリスチャンに船に戻れ、という伝令が届く。クリスチャンはもう地獄はうんざりだ、と拒否しマイミティが気を利かせてクリスチャンは見つからない、と嘘の伝言を伝えさせる。

 船に戻ろうとするクリスチャンにマイミティは追いつき、二人はその日の日没まで愛のひとときを過ごす。船まで泳いで戻ったとき、マイミティも一緒についてきて再びキスした。

 船に戻ると早速、ブライ船長からお小言をいただいた。
「遅かったねえ。もうすぐ武装隊でお迎えするところだったよ」
「嘘の伝令を寄越すなんて、士官として恥ずかしくないのかね?」
 クリスチャンは分かっていた。ブライは自分をポーツマスで鞭打ちによって死なせた罪人と同じ目に遭わせたいのだと。

 さてパンの木の苗1000株を積んだバウンティ号。しかし植物学者によれば、枯らさないように多くの水が必要らしい。ブライは船員の飲み水を減らせばいい、と考える。

 船員たちが楽しいひと時を終えて船に乗り込んでくる。しかし個人でお土産を持つのは許されず、お土産はヘイワードとマグスによって無理やり取り上げられ、全て英国の“陛下”とバウンティ号の“陛下”に与えられるという。

 ロジャーもオルゴールをテハニにプレゼントする。ヒティヒティはロジャーに自分の息子にならないか、と聞くがロジャーは自分はイギリスに帰らなければ、と断る。そしてクリスチャンもマイミティから真珠をプレゼントされる。そしてロジャーの通訳で「絶対にまた帰ってくる」とマイミティに伝えるのだった。それが不可能なことと知りながら。

 バーキットが脱走者として捕まった。バーキットは自分たちは苗木を落としてしまい、しばらく船に乗ることを厳禁されていたので散歩していただけだ、と主張するがブライ船長は足枷をはめさせ監禁する。更に、ココナッツ10個がチャーチルの監視下に盗まれた、と言いクスチャンにその疑いをかける。そしてマグスが目撃し密告したチャーチルがマイミティから受け取ったという真珠をクリスチャンから取り上げる。

 西インド諸島へ向かう道中、バーキットらの鞭打ちの際に船医バッカスが病気で集合できないのを飲み過ぎなだけだ、と決めつけ無理矢理にでも連れてくるようブライ船長はロジャーに命じる。ロジャーはバッカスの様子を見て動けない、とブライを説得するがブライは本当に聞く耳持たず。

 そこへバッカスがやって来る。だがバッカスは無理してデッキに上がってきたので、やはり倒れてしまう。そしてそのまま息絶えた。クリスチャンはブライを睨みつけ「貴様が殺したのだ」と放つ。ブライはクリスチャンに黙るよう命じ解散させる。マッコイらはブライを殺そうと武器に手をかけるが、ブライはそれを察知しあえて自分から近づき、牽制したのだった。

 バッカスは冗談が多く気さくで船員を和ませる男だった。そんな彼が死に、船員はますます怒りを募らせるのではないか。そんな不安があった。

 ある夜。もうクリスチャンは我慢の限界に達しており、ロジャーにもし自分の身に何かあったら私の両親に会ってほしい、と遺言めいたことを話す。クリスチャンは故郷を懐かしく思い、どうしても家に連れて私の親友だ、と言って家族に紹介したいらしい。そこへブライ船長が邪魔しに来てお開きとなった。

 翌朝、マッコイは船に鮫がついてくるので拳銃が欲しい、とクリスチャンに言う。マッコイが要求するのは二丁。鮫と船で威張り散らす鮫様も殺したいのだそうな。クリスチャンはそのときはマッコイを叱咤した。

 その後、銃を一丁取りにクリスチャンは脱走者が捕らわれたところへ行く。そこでは前に鮫の肉で殴られた士官が自分を殴ってきたバーキットに仕返しをしていた。どうやらバーキットがもう一人、監禁された脱走者トンプソンへの水を分けるのを頼んだのが発端のようだ。クリスチャンはその士官を追い払う。

 クリスチャンはバーキットを気遣うがバーキットはトンプソンが皮膚が擦り切れ、水を欲しがってるので与えて欲しいと頼む。バーキットもトンプソンも衰弱しきっていた。その姿を見て、ついにクリスチャンは叛乱を決意する。

 さあ虐げられた者たちの叛乱が始まった。叛乱は成功し、ブライ船長は縛り上げられた。トミーらはブライに鞭打ちをしようとするが、それをクリスチャンが止める。「俺は鞭打ちや無用な殺しをなくすために乗っ取ったんだ!」と。

 クリスチャンらは船でいばりくさったブライを始めとする上官たちを小舟でわずかな食糧と水を与えて追放する。なかには一緒に小舟に乗りたかったが、定員オーバーで乗れなかった船員もいた。ブライはこの復讐は必ずする!と大声を張り上げるのだった。

 ロジャーは叛乱に反発。船長を戻すように言う。クリスチャンはそれを拒否し、しかもロジャーは定員オーバーで結局、小舟に乗れなかった。クリスチャンは抵抗するロジャーを殴りつけた。その後でクリスチャンはロジャーを呼び出し、率直な意見を聞いた。やはり反対の立場は変わらないようだ。ロジャーは「あなたとの友情が終わってしまったのが残念だ」と言い残し去っていった。

 ブライら追放された者たちは近くの島では食人人種が多いので、安全な港ティモールを目指すという。その航路は決して楽なものではない。嵐にあい、飢えと枯渇に喘ぎ多くの船員を失ったものの、ブライらはなんとティモールにたどり着いてしまった。

 それから、世はクリスマス。イギリスではバイアム卿夫人が息子ロジャーの身を案じ、クリスチャンら叛乱した船員たちはタヒチに戻っていた。ずっとクリスチャンを拒んでいたロジャーだったが、クリスマスの日にクリスチャンに会いに行き二人は和解する。クリスチャンはマイミティと結婚し子供も産まれた。しかしその赤ん坊の子供を見てトミーはポーツマスに残した妻子を思い出し、悲しみに暮れた。

 クリスチャンはマイミティと、ロジャーはテハニとイチャイチャしながら楽園生活を過ごしていた。しかしその生活も終わりを迎えた。英国の船がやってきたのだ。幸い、風の影響で明日まで上陸できない。その隙にクリスチャンらは島をバウンティ号で脱し家族を連れて新たな地図に載っていない島を目指そうとする。

 いざバウンティ号への乗り込み。そこでトミーがイギリスに帰りたい、と言い、投降することをクリスチャンに伝える。クリスチャンは最初は止めようとするが、本人の家族に会いたい、という意思を尊重し置いていくことにする。ロジャーは叛乱に反対する立場をとっていたので島に残る必要があった。クリスチャンはロジャーに別れの言葉を伝える。ロジャーはクリスチャンの両親に会ったら真実を伝える、と約束。クリスチャンたちはバウンティ号で新たな島を目指した。

 ロジャーは同じく叛乱する気が無いのにタヒチに連れてこられたヘイワードや投降する叛乱者と共に英国の船に乗った。船長はなんとブライだったのだ。ブライはクリスチャンの絞首刑を望んでおり執念深く追跡しようとしているのだ。ロジャーたちを叛乱に加わった者だと決めつけ、拘禁。クリスチャンが向かった目的地を話すまで、出さないという。

 しかしブライの船はほぼブライのゴリ押しで岩礁地帯を無理に通ろうとしたため、結局、激突し沈没する羽目になってしまった。ロジャーたちの牢屋では穴が開き水が入ってきた。見捨てられるのかと思いきや、裁判のために必要だ、とブライは捕まっていた全員を解放し脱出する舟に載せた。

 一方、クリスチャンはついにバウンティ号で新たな地図に載っていない島にたどり着く。ピトケアン諸島だった。クリスチャンはバウンティ号を島にのりつけ、最後にその船を燃やした(のりつけるシーンで、映像の逆戻しが使われており、多分船が波に揺れているシーンを演出したかったのであろうが、バレバレである)。これでもうイギリスに戻ることはできないだろう。

 ロジャーたちはイギリスに帰国。ポーツマスで裁判を受けることになった。裁判ではフライヤーとブライが証言に立ち、叛乱をされる心当たりなど全くなく、クリスチャンとロジャーが叛乱の前日に何か話し合っていたから、ロジャーも首謀者に違いない、と証言する。

 被告の控え室ではトミーが絞首刑になるのは分かっているが、その前にどうしても家族に会いたいのに会わせてくれないことを嘆いていた。それでわめき散らすのをロジャーが抑える。

 さて判決が出た。ロジャーは裁判室に向かう前にジョゼフ卿から裁判長の前に短剣が置かれ裁判長の方に刃が向けられていたら無罪、こちらに向けられていたら有罪だということを聞かされる。

 結果はロジャーの有罪だった。ロジャーは最後に、叛乱した者とはいえ、クリスチャンは偉大な男であった、と話しブライ船長が船員を追い詰め、叛乱を引き起こさせたのだ、とブライの暴虐さを非難しもし船員と船長が互いを気遣える関係が英国艦隊に生まれたのであれば、更に強力な艦隊となるのであろう、と説いた。

 裁判の終わったあと、ブライ船長に対する貴族の目は冷ややかなものとなった。

 被告の控え室に戻ってきたロジャーはトミーがやはり絞首刑の判決を食らったことを聞かされる。しかしトミーはどうやら家族に会えたようで死ぬ前に会えてよかった、とトミーは喜んでおり、バウンティ号で叛乱を起こし、地獄から解放された日々を懐かしく思った。

 叛乱者が処刑されたあと、ジョゼフ卿が国王に計らったことでロジャーは後に恩赦となり、英国海軍に復帰した。あの叛乱以来、英国海軍は船長と船員の関係を改善していき、ロジャーも海軍として復帰する。ロジャーは海軍の英雄として扱われ、英国艦隊はその力を強大なものとしていった・・・






 この船には改革の歴史がありましたね。奴隷扱いされた人々が地位の向上を求め、叛乱を起こし改革に成功。古きを打破し新しいものを手に入れる。まさしく歴史において繰り返し行われる改革。そしてその改革の果てにクリスチャンたちの目指した楽園というのは真の平等と平和がもたらされる世界ですね。

 さてクリスチャンとロジャーの違いを述べましょう。クリスチャンは新しき世界を見つけ、新しき秩序をもたらそうとしました。ロジャーは今までの世界に新しき秩序をもたらしました。この違いですね。クリスチャンたちは船を燃やしました。これは海との決別です。ロジャーはまた船に乗ることができました。この二人の決着のつけ方というのもうまい対比構造になってると思いますよ。


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