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アラン・ラッドの哀愁西部劇です。


『ネブラスカ魂』 Whispering Smith (1948年・米)
ネブラスカ魂
スタッフ
監督:レスリー・フェントン
製作:メル・エプステイン
原作:フランク・H・スペアマン「囁きのスミス」
脚本:フランク・バトラー、カール・カム
撮影:レイ・レナハン
特殊効果:ゴードン・ジェニングス
音楽:アドルフ・ドイチュ
キャスト
ルーク・スミス:アラン・ラッド
マーレイ・シンクレア:ロバート・プレストン
マリアン・シンクレア:ブレンダ・マーシャル
ビル・ダンシング:ウィリアム・デマレスト
エミー・ダンシング:フェイ・ホールデン
ジョージ・マクロウド:ジョン・エルドレッジ
マクスウィギン保安官:ウィル・ライト
ビル・バッグス:J・ファーレル・マクドナルド
リーロイ・バートン:ワード・ウッド
ギャビー・バートン:ボブ・コートマン
ソウバック医師:ドン・バークレー
ブレイク・バートン:マーヴィン・ヴァイ
ホワイティ・デュ・サング:フランク・フェイレン
バーニー・レブストック:ドナルド・クリスプ


 レスリー・フェントン監督作品「ネブラスカ魂」。原題は「Whispering Smith

 原題を訳すと「囁きのスミス」。これと同じ原作を扱ったTVドラマに「スミスという男」という西部劇ドラマもありました。この原題は主人公の俗称ですね。退治の対象となる悪人が背後に囁き声が聞こえたときは、囁きのスミスがいて、悪人の命は終わっているだろう、ってことです。つまりこの映画のタイトルはスミスさんを指しており、スミスさんのストーリーを中心に描かれるってことですね。

 アラン・ラッドといえば、「シェーン」(1953年)でお馴染みですね。私もこの人は西部劇の俳優さんというイメージが強いです。で、アラン・ラッドはこの映画で本格的に西部劇主演を飾ったようです。この人は拳銃を出すのが早いですねえ。そして二挺拳銃。スラっとした細身に格好がつきます。

 レスリー・フェントン監督。元は俳優さんですね。「民衆の敵」(1931年)、「少年の町」(1938年)などに出演してました。30年代後半のころから、映画製作の方にも関わっていきました。アラン・ラッドとは「サイゴン密輸空路」(1947年)でも組んでました。他に彼の作った作品に「テキサス決死隊」(1949年)もあります。

 原作はフランク・H・スペアマンの小説「囁きのスミス」。フィクションの西部劇や、ノンフィクションの鉄道物のお話を書く人です。この囁きのスミスを題材にした映画は何度も映画化されていて、この人の一番の有名な作品だと思われます。他に映画化された作品には「熱車輪」(1928年)や「鉄道王の娘」を映画化して「愛の列車」(1921年)といった作品もあります。

 音楽はアドルフ・ドイチュ。「マルタの鷹」(1941年)、「お熱いのがお好き」(1959年)や「アパートの鍵貸します」(1960年)といった作品の映画音楽の人でもあります。



【あらすじ】

 1890年ネブラスカ州のとある町。脱走した鉄道強盗のバートン兄弟を追ってスミスが鉄道に乗り込む。その鉄道で親友のマレイと再会。だがその鉄道は偶然にもバートン兄弟の襲撃に遭う。一人にがして二人を殺したもののスミスは負傷をしてマレイの家に運ばれる。そこにはかつての想い人マリアンがマレイの妻として看病してくれて・・・













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




1890年アメリカ・ネブラスカ州

 鉄道会社の専属ガンマンであるルーク・スミス(アラン・ラッド)は脱走した鉄道強盗バートン三兄弟のリーロイ(ワード・ウッド)、ギャビー(ボブ・コートマン)、ブレイク(マーヴィン・ヴァイ)を追ってやって来たが馬に乗っているところを遠くから狙撃される。なんとか追い払ったものの馬は負傷しており血の痕を追われてはいけないので、スミスは仕方なく馬を処分する。

 とある鉄道では鉄道会社ロッキー支部の事故処理官マーレイ・シンクレア(ロバート・プレストン)がひと仕事を終え、ソウバック医師(ドン・バークレー)、ビル・バッグス(J・ファーレル・マクドナルド)、鉄道護衛官(ポール・E・バーンズ)と話し合っていた。

 そこへ本社から手紙が届き、バートン三兄弟が逃亡を図ったことを知る。また応援として派遣されるのがルーク・スミスだと知り、驚く。スミスはマーレイと旧友だったのだ。

 スミスの噂をしていた時、ちょうどスミスが鉄道に乗り込んできた。マーレイはかつての友スミスとの再会を喜んだ。マーレイは自分の経営する牧場の家に招待する。マーレイの妻はマリアン(ブレンダ・マーシャル)。マリアンもスミスの知り合いのようだ。

 スミスは保安官に電報を打つためにコヨーテクリーク駅で鉄道を臨時停車させる。そのコヨーテクリーク駅では電信技手がバートン三兄弟の襲撃を受け殺される。バートン三兄弟は鉄道を止めて列車強盗を図ろうとした。

 さて列車が止まり、バートン三兄弟は列車を強奪しようとする。しかしそれをスミスが未然に察知し、二人を射殺。ブレイクを逃してしまいスミスも胸を撃たれて倒れてしまう。胸ポケットに入れていたハーモニカによって助けられた。

 スミスはマーレイの家に運ばれた。目が覚めるとマーレイの妻マリアンがいた。スミスはマリアンに君から貰ったハーモニカに助けられたのだ、ということを話す。マリアンは献身的にスミスを看護してくれたようだ。

 朝、マーレイはスミスに強盗退治をやめて一緒に牧場経営をしないか、と誘う。スミスは今の仕事が合っている、と話して断る。マリアンも積極的に誘いたがらない。どうやら二人には何かあるようだ。

 また、マーレイは普段は気さくだが牧場経営の話になるとどうも厳しい男のようで、口出しをしてきたマリアンを叱りつけ、自分の主張を頑として曲げない頑固な一面があるようだ。

 町に出たマーレイだったが支部に顔出ししたとき、支部長のジョージ・マクロウド(ジョン・エルドレッジ)に報告書の提出が遅い、とお叱りを受ける。このマクロウドというのも規律・規則をとにかく重視する頑固な男のようだ。マクロウドとマーレイの折り合いは悪い。

 報告書を提出しお叱りを受けてからマーレイは事故調査官で、かつてマーレイとスミスが下宿していたビル・ダンシング(ウィリアム・デマレスト)と共に家に帰り、ビルにスミスを会わせようとする。

 道中で二人は牧場の経営者のバーニー・レブストック(ドナルド・クリスプ)とその用心棒のホワイティ・デュ・サング(フランク・フェイレン)と出会う。レブストックはスミスが軽傷しか負っていないことを知り動揺していた。二人とマーレイは仲が良いようだがビル曰く二人には良い評判が無いという。

 スミスとマリアンは過去の思い出を話し合っていた。スミスの過去の思い人はマリアンであったこと、そしてスミスはマリアンに告白できなかったこと。マリアンは告白の言葉が欲しかった、とスミスを責めつつも月日の流れに勝てなかった自分を許して欲しい、とスミスに許しを請う。

 そこへマーレイとビルが帰ってくる。マーレイとスミスにとって恩師ともいえるビルの誘いでマーレイのハーモニカによってオールド・ラング・ザイン(日本では蛍の光)が演奏され、ビルとマーレイが歌う。

 歌が終わってから、話題はレブストックのことになる。スミスが軽傷しかしていないことを聞き動揺したことを話すと、スミスはレブストックが逃げたブレイク・バートンをかくまっているのでは、と怪しみ町へ会いにいく。マーレイは揉め事は起こしたくない、と反対していた。

 町に出たスミスは早速、レブストックとホワイティと出会い、じっくり話がしたいと酒場で話し合う約束を取り付ける。それから支部長のマクロウドと挨拶を交わし、ビルの妻で下宿先の女房エミー(フェイ・ホールデン)と再会する。

 夜、町にブレイク・バートンを捕まえにスミスが出たことを聞かされたマリアンはスミスがまだ片腕が使えない状態にも関わらず危険な状態にあることを心配し、マーレイと共に町へ出る。

 酒場ではレブストックが町からの逃亡を図ろうとしていたブレイク・バートンに兄弟の仇討ちをスミスに対して果たすようにけしかけていた。ブレイクは酒場の外に出て、復讐の準備をする。やがてスミスが酒場に入って、レブストックに2日以内にブレイク・バートンの身柄を引き渡すように要求。しかしレブストックはシラを切るばかりだった。

 酒場を出たところで自分を狙うブレイク・バートンに気付くスミス。ブレイクはスミスを撃つが弾は外れる。すぐにスミスは車庫に逃げるブレイクを追いかける。銃撃戦を展開するなか、ブレイクを射殺することに成功するが、自分の帽子を背後から何者かに撃ち抜かれたようだ。

 すぐにその犯人がレブストックの用心棒ホワイティだと気付くが、証拠もなかったので「腕が落ちたな」と皮肉るだけで終わった。そして町にマリアンとマーレイが到着。マリアンはスミスが無傷であったことを心底喜ぶが、その姿がマーレイを嫉妬に駆らせる。

 翌朝、ダンシング家に泊まったスミスは親友マーレイのことを聞く。どうやらマーレイは職務における問題行動が多いことで有名らしい。スミスはマーレイのそういった行動を黙認しているビルにマーレイの問題行動を改めさせるよう言う。

 その直後に鉄道の事故が発生した。現場に駆けつけるスミスと支部長マクロウドが見たのは、事故処理に当たっているマーレイが作業員たちに事故の起きた貨物鉄道が運んでいた酒や葉巻を振る舞って、積み荷を横領しいつも世話になっているレブストックの下に横領品を譲り渡しているのだ。

 マクロウドは酒樽の酒を勝手に提供するマーレイを罵り、すぐにレブストックのもとへ持っていこうとした荷物を降ろすよう命じる。反発するマーレイとマクロウドの間に仲裁に入ったスミスだがどちらかというと立場上、マクロウド寄りのスミス。癇癪を起こしたマーレイにマクロウドはクビを言い渡す。マーレイは自暴自棄になり積んだ荷物を捨てて去っていった。

 スミスが町を経つ日。マリアン、マーレイがクビの件でスミスの下を訪ねてきた。スミスは本社の社長にマーレイのクビを撤回してもらうよう懇願した手紙を送っていたのだ。

 しかし社長から送られてきた電報は予定通りマーレイをクビにする、というものだった。マーレイは腹立ち、スミスが懇願で手を抜いたんじゃないか、と当たってから去っていく。スミスはマリアン、エミー、ビルらと別れの挨拶をして町を経つ列車に乗り込んだ。

 やけくそになったマーレイは酒場に入る。するとレブストックに相席するよう誘われた。レブストックはマーレイに一緒に組んで列車強盗をしないかと持ちかける。マーレイはその誘いに乗ってしまうのだった。

それから列車事故が連続して発生する。一件目はウィスコンシン州クローリング・ストーン湖付近。二件目はワイオミング・ララミーからカリフォルニア・ベンダー行きの列車が。三件目も発生した。

 ビルは三件目の事故の処理を終え家に帰宅した。彼は間違いなくこれら3件がすべて人為的に引き起こされた事故であると確信していた。

 町に出てきたマーレイとマリアン。マーレイが変わってからマリアンもひたすら謝る女性になってしまい、マーレイは苛立っていた。マリアンが本音をぶつけ、悪いのはあなたとツルんでいる仲間よ!と言うとお前には関係ない!と叱りつける。よもやマーレイは人間が変わってしまった。

 マリアンがビルの家に入ろうとすると、扉の前でスミスと再会する。スミスは連続鉄道事故の調査にやって来たのだ。マリアンは人が変わってしまったマーレイの説得をしてほしいと頼む。スミスはマクスウィギン保安官(ウィル・ライト)からマーレイが酒場にいることを聞き出し、酒場に入る。

 酒場ではマーレイが女をはべらせてレブストックらと一緒にいた。スミスはマーレイと席を共にする。スミスはマーレイを鉄道事故の件で疑っていることを遠回しに伝え、今レブストックと手を引けば見逃す、と忠告する。しかしマーレイはマリアンを奪おうとしてるのだろう、と支離滅裂なことを言ってスミスを殴る。

 スミスは仕返しこそしなかったものの茶化してきたホワイティを殴りつけて酒場を去っていった。

 スミスはマリアンに会いに行った。マリアンに説得をできなかったことを謝罪。マリアンは家を出る、と言うがスミスはそれを止める。マリアンがいなくなるとマーレイの心の支えが無くなってしまう、と。スミスはマーレイの説得をもう一度してほしい、と頼むのだった。

 夜、マリアンはマーレイに家を出ることを伝える。マーレイは止めもせず、レブストック達と共にどこかへと出かけてしまった。

 マーレイはレブストック達と共にいつも通り列車を襲撃する。その襲撃でホワイティが容赦なく鉄道職員を殺害したのを見て、マーレイは困惑する。

 再び鉄道事故が発生したと知ったスミスはビル、マクスウィギン保安官、ソウバック医師、マクロウドらを連れて現場へと急行する。そこで車掌(レスター・ドール)からホワイティの目撃情報を聞き、レブストックらの逃げたと思われる方向へ進む。

 スミスはすぐにマーレイの牧場の家にやって来る。そこでマリアンから夜レブストックらと出かけたきり帰ってきてない、ということを聞きマーレイが列車強盗に加担したと確信する。

 スミスはすぐさまマクスウィギンらと合流しレブストック一味が隠れている山小屋へ向かう。山小屋で保安官たちの接近に気づいたレブストックら。レブストックは後処理はするから、マーレイ達に先に逃げるよう言う。

 しかし山小屋に一人、ホワイティが残っていた。ホワイティはレブストックが裏切ってマーレイや自分たちの身柄を引き渡そうとしているのだ、と気付いていた。レブストックはホワイティを殺そうとするが、ホワイティに返り討ちにあう。

 スミスらは逃げるマーレイらを追撃。マーレイはスミスらの目をかいくぐって、追撃隊の後方を取って後ろ側に撤退。それを見つけたマクロウドを射殺した。スミスはライフル銃でマーレイと一緒に逃げたシーグルー(レイ・ティール)とホワイティを遠くから狙撃し射殺するが、マーレイを撃つことが出来なかった。

 負傷し流血しながら帰宅したマーレイはスミスなんかに渡さん、と言ってマリアンに逃げる準備をさせる。そこへスミスとビルがやって来る。応対したマリアンはマーレイを庇い、家に帰ってきてないと答えるがスミスは家の中まで続く血の痕を見て家の中にいることを確信。自首を促し一旦、去っていく。

 マリアンはマーレイに自首してほしい、と懇願するがマーレイは取り合わなかった。マリアンは逃亡用の馬車を準備しに行くと、小屋にスミスとビルが居た。マリアンは家の中に入らないでほしい、と泣いて頼むがスミスはビルにマリアンを連れて行くよう伝える。

 マーレイは小屋からスミスを撃ってくるがスミスはマーレイを撃ち返し、マーレイは致命的な傷を負う。それからタンスから拳銃を取り出し懐に隠す。

 スミスは家の中に入る。マーレイはイスに座って降参している様子を見せて「お前にはいつも負けていたが、マリアンだけは渡さない」と伝える。それからブランデーを入れてほしい、とスミスに頼む。

 ブランデーを注ぐスミスを呼びつけるとマーレイは懐に隠していた拳銃を向けていた。間一髪だったが、マーレイは撃つ力も無くなり床に倒れ込む。スミスは「お前だけは撃ちたくなかった。それだけは分かってほしい」と言いマーレイはその言葉を聞き息絶えた。スミスは馬に乗り込み、牧場を去っていく。








 正直ストーリーにもう一つひねりが欲しかったところです。いわゆる哀愁西部劇だと思われるので、哀愁的な面を強くするために例えば、マーレイが正義や道徳・友情や妻への愛と金や悪友の間で板挟みにあい葛藤するはっきりとした描写を増やすだとか、奥さんがかつてスミスを愛していた描写をもっと増やすだとか、何より西部劇として敵がアッサリやられてしまうところが、物足りない気がしました。ホワイティというすごく怖そうな悪役がいるのだから、そのホワイティと激戦をくり広げるシーンも作ってもいいと思います。勿体無いですね。

 アラン・ラッドのクールなキャラクターは良かったですね。あまり感情的になって、大声を張り上げたりせず、沈着冷静なままのキャラクターでいるところは西部劇の主人公として格好良さを引き出してます。前述した通り、どこかスミス以外のキャラクターが物足りないなあ、と感じましたがスミスというキャラクターを際立たせる為に、それ以外のキャラクターの描写をそこまで作らなかったのかもしれませんね。

ネブラスカ魂ネブラスカ魂
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