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正義を重んじ悪を打ち倒す騎士ドン・キホーテ。


『ラ・マンチャの男』 Man of La Mancha (1972年・伊)
ラ・マンチャの男
スタッフ
監督:アーサー・ヒラー
製作:アーサー・ヒラー
製作補:ソウル・チャップリン
製作総指揮:アルベルト・グリマルディ
原作:デイル・ワッサーマン「ラ・マンチャの男」
脚本:デイル・ワッサーマン
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ローレンス・ローゼンタール
主題歌:ミッチ・リイ(作曲)、ジョー・ダリオン(作詞)「見果てぬ夢」
配給:ユナイテッド・アーティスツ
キャスト
ミゲル・デ・セルバンテス:ピーター・オトゥール
アルドンサ役:ソフィア・ローレン
舞台監督:ジェームズ・ココ
牢名主:ハリー・アンドリュース
大公:ジョン・キャッスル
ペドロ役:ブライアン・ブレスド
床屋役:ジーノ・コンフォルティ
神父役:イアン・リチャードソン
アントニア・キハーナ役:ジュリー・グレッグ
家政婦役:ロザリー・クラッチリー
宿屋の夫人役:ドロシー・シンクレア
教会の騎士団長:マルヌ・メートランド


 アーサー・ヒラー監督作品「ラ・マンチャの男」。原題は「Man of La Mancha

 デイル・ワッサーマンが制作した作品が原作ですね。で、その原作というのはミゲル・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」を基にしている物語なんですね。
 「ドン・キホーテ」っていうのはスペインを批判している部分も含んだお話で、本ばっか読んでた人が自分を勇ましい騎士ドン・キホーテだと思い込んで旅に出る、っていうお話です。で、この「ラ・マンチャの男」という舞台劇はそのドン・キホーテをセルバンテスが牢獄内で演じるっていう物語です。初演はリチャード・カイリー。演劇、ミュージカルの名誉ある賞トニー賞も受賞された作品です。日本では今の9代目松本幸四郎が演じてましたね。

 アーサー・ヒラー。この人の手がけた作品を観て一番まっさきに「おっ!?」と思ったのは「ある愛の詩」(1970年)ですね。観たことはないのですが映画の名前とテーマソングは私も知っていました。他にも「大陸横断超特急」(1976年)や「あきれたあきれた大作戦」(1979年)など私の知ってるけど観たことはない映画が沢山ありました。このヒラー監督作品は私初めてです。

 製作総指揮はアルベルト・グリマルディ。この人は「夕陽のガンマン」(1965年)なんていうイーストウッドの作品の製作もやってました。70年代まで西部劇映画の製作を多くやってた人です。

 ドン・キホーテ、セルバンテスの役はピーター・オトゥールがやってますね。この人は舞台出身だからいろんな役をやってもうまくこなせる俳優さんというイメージがありますね。綺麗なお顔と美しい青い目をしてるんですよねえこの人。この人の評価が高いのはやはり「アラビアのロレンス」(1962年)でしょうか。私はまだ「チップス先生さようなら」しか観たことが無いのですが、その時はお爺ちゃんになった時の先生の役までうまいなあ、と思いましたね。
 ただ残念なのはオトゥールの歌のシーンはサイモン・ギルバートという人が吹き替えたようですね。出来ればオトゥール本人の歌声で聞きたかった。

 ソフィア・ローレン。ただでさえむっちりしていて魅惑的な女優さんなのに今回の役は青少年が目のやり場に困る衣装を着ていますね。この女優さんの映画も実は初めて観ます。数ある映画出演の中でも50年代60年代70年代前半は最盛期ですね。この映画はローレンのキャリアでも中期くらいに当たりますが、魅惑的な肉体は衰えていません。
 ソフィア・ローレンの歌声も当初はマリリン・ホーンという歌手が吹き替えする予定だったようですが、マリリン・ホーンはローレンとギャラが同じじゃないことに不満を持って引き受けなかったようですね。

 最初はワッサーマンの作った「ラ・マンチャの男」を1961年にミュージカル化させた演出家のアルバート・マールが監督に、ミッチ・リーを作曲家、デイル・ワッサーマンは脚本としてユナイテッド・アーティスツに雇われました。しかしスクリーンテストのときにどうも会社側の思ったような映画ではなかったらしく、それらのスタッフを一新して、「ベケット」(1964年)などを撮ったピーター・グレンヴィルを監督に据えようとしました。
 ところがグレンヴィルが原作の歌のほとんどを使わないように考えていたことを知ってまた解雇されました。それで次に据えられたのがアーサー・ヒラー監督、製作補にソウル・チャップリンというメンバーです。このメンバーで落ち着いたようですけども映画の外枠というか、大まかなものは既に決まっていたようですね。


【あらすじ】

 詩人セルバンテスは部下の舞台演出監督と共に教会に演劇内容が異端であると逮捕され、宗教裁判を控えて投獄されてしまった。その牢獄では荒くれたちがセルバンテスの持ってきたものを身ぐるみ剥がそうとし、セルバンテスが持っている脚本を燃やそうとすらする。しかしセルバンテスはその脚本を何が何でも守るべく、その脚本を基に囚人たちを交えて演劇をしようとする。それはドン・キホーテという正義の騎士の物語であった。













【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 詩人で劇作家のミゲル・デ・セルバンテス(ピーター・オトゥール)は召使兼舞台監督(ジェームズ・ココ)と共に演劇をしている最中に教会の騎士団長(マルヌ・メートランド)ら騎士団によって演劇の内容が異端であるとして逮捕され宗教裁判を控えて地下の牢獄に入れられてしまう。

 セルバンテスと監督が押し込められた牢獄はゴロツキだらけ。しかも出口とは出口側の人たちから架け橋を掛けない限り、渡ることができない。仮にゴロツキに殺されそうになっても助けも呼べないのだ。

 架け橋が上がっていくと同時に寝ていたゴロツキたちが動き出しセルバンテスと監督を押さえつける。ゴロツキたちはセルバンテスが持ってきた舞台衣装などを根こそぎ奪っていく。

 ゴロツキたちに押さえつけられ殺されそうになったとき、囚人の牢名主(ハリー・アンドリュース)がセルバンテスたちの身分などに興味を示しひとまず解放してくれた。

 セルバンテスが詩人であることを知った囚人の中で大公(ジョン・キャッスル)と呼ばれる男は詩人を現実を曇らせ夢ばっか追う人間だと批判する。大公は自国の偽情報を他国に売りつける工作員だったが、真実の情報を他国に売りつけてしまい牢獄送りにされた。

 牢名主が裁判をしよう、と皆に言う。その裁判はこの牢獄に投獄された者はみんな受けるという。有罪になれば所持品を没収されてしまう。

 セルバンテスが腕から離さずに大切に持っていたある脚本も奪われてしまう。その脚本は牢名主により焚火で火に付けられそうになり、セルバンテスは裁判を受けることを了承する。

 しかし弁護士もいない裁判。検察官は大公。即刻、有罪がくだされそうになるがセルバンテスがその脚本に書かれている演劇を囚人たちの協力を得て、自分がお芝居で弁明をしたいという。牢名主たちは大公の反対をはねのけ、興味を持ってその演劇に参加する。

 さてセルバンテスが演じるはアロンソ・キハーナ。隠居し読書にふける老人。さてその老人は本の影響で今の悪で乱れし世に憤りを感じ、思い悩む内に気が違ってしまいやがて正気を失いひとつの思考に至る。
 アロンソ・キハーナは自らを悪を懲らしめ正義の世を取り戻す勇敢なる騎士ドン・キホーテと思い込むようになった。

 舞台監督兼召使の男が演じる近所の小作人サンチョ・パンザをアロンソは旅の相棒としていざ旅へ出発する。汚れてるとは言え、甲冑を纏い槍を持てばアロンソ・キハーナはもはや老人ではなくラ・マンチャの騎士ドン・キホーテだ!

 正義の旅立ちの唄を歌い囚人たちが馬役を演じ、ドン・キホーテとサンチョ・パンザは乗り込む。

 演劇の世界。ドン・キホーテとサンチョ・パンザは馬で荒野を歩く。ドン・キホーテは大魔王の恐ろしさをサンチョに説いた。

 そんな二人の目の前に風車小屋が現れる。我らがドン・キホーテは悲しいかな、その風車小屋を悪しき巨人と勘違いし果敢に挑んでいった。周る風車が巨人の4本の腕に見えるようで、ドン・キホーテはその風車に乗っかり必死に剣を振るう。やがて〝腕〟に振り落とされ、衰えた体で無理したのがたたって休息を取る必要ができた。

 ドン・キホーテは小山の上の方にあるボロっちい宿屋を見つけて勇者を迎えるお城だ、と喜ぶ。我らが騎士にはボロっちい宿屋も城址に見えるようだ。そこで休息を取ることに決める。

 さて舞台は牢獄に戻り、セルバンテスは宿屋の主人役を牢名主に、その夫人役を囚人の女(ドロシー・シンクレア)にやらせることに。大勢の荒くれはロバ追いの役。そして馬追いの頭のペドロの役を左手が義手の囚人(ブライアン・ブレスド)が。娼婦の役を囚人の女フェルミナ(ミリアム・アセヴェド)。

 そして宿屋の設定で最も欠かせないのは宿屋のメイドのアルドンサ。人生に絶望しながらも男に体を金で売る女の役。この女は焚き火の近くでドン・キホーテのおはなしに全く興味を示す素振りを見せない囚人の女(ソフィア・ローレン)が選ばれた。

 アルドンサは下劣な男どもを忌み嫌いながらも自分は金で男と寝てしまう女なのだ、とそんな自分を嫌ってもいた。しかしこの世の中、この人生では金を払う男を拒否することは出来ない、と受け取ってしまうのだ。

 そんな時、宿屋にドン・キホーテとサンチョの二人がやってきた。ドン・キホーテは恥ずかしがりもせず自分を騎士だと名乗るが入口に長い槍が引っかかって落馬し醜態を晒してしまう。宿屋の夫人は狂人だ、と泊まらせるのを渋ったが主人は客は客だ、ともてなす事にする。

 ドン・キホーテは宿屋のメイドのアルドンサを見てあなたの正体は麗しき処女ドルシネアだと言って疑わない。しかし自分の身の上をわきまえるアルドンサにとってはそんな事を言われても迷惑でしかない。ドン・キホーテを避け、他のロバ追いの下衆男たちからもからかわれる。

 その舞台を大公が弁明に相応しくないただの時間稼ぎだ、と叫んで中断させる。しかしセルバンテスは牢名主から続ける許可をいただき次のシーンに移る。

 次のシーンはドン・キホーテではなく、アロンソ・キハーナの元の家庭でのシーン。アロンソが突如旅に出たことで囚人の女(ジュリー・グレッグ)演じる姪アントニア・キハーナは大慌て。囚人の女(ロザリー・クラッチリー)演じる家政婦、囚人の男(イアン・リチャードソン)演じる牧師は家へ連れ戻す策を考え、大公演じる仏頂面の精神科医カラスコ先生がアロンソの正気を無理やり戻させて、家にも連れ戻す策を講じる。

 次のシーンの舞台は再び宿屋。アルドンサに対してサンチョを通じて恋文とメッセージを送るドン・キホーテ。しかしアルドンサはやはり迷惑そうで自分を汚い奉仕人のアルドンサでしかないと突っぱねる。更にサンチョはドン・キホーテからドルシネアことアルドンサのスカーフを頂いてこいという命令を受けていた。

 それを聞きアルドンサはさっさとスカーフの代わりにボロボロの布を渡す。アルドンサはサンチョがドン・キホーテに付き従う理由に興味を示し聞いてみる。サンチョはドン・キホーテでありアロンソ・キハーナという男の魅力に惹かれていたのだ。理解できないアルドンサだったが、ドン・キホーテから貰った手紙に少し心を動かされる。

 ドン・キホーテはサンチョから布のボロ切れを受け取るがドン・キホーテにとってはそれだけで満足。その時、金ピカの洗面器を頭にかぶった囚人の男(ジーノ・コンフォルティ)演じる床屋がやって来る。

 ドン・キホーテは黄金の洗面器を伝説の黄金の兜だと言い張り彼から半ば奪い取る形で金ピカの洗面器を手に入れ、ボロっちい布を頭に巻き、洗面器を被って伝説の騎士になった気分に浸る。

 その後でドン・キホーテは宿屋の主人に礼拝堂を借りて徹夜で祈りを捧げたいという。主人が礼拝堂は修理中だ、と答えると中庭で祈りを捧げることに。そして翌朝に自分に爵位を与える儀式をしてほしい、と頼み込む。心優しき主人はそれを了承する。

 直後、宿屋に名家のお嬢様率いる黒装束の軍団がやって来る。どうやらお嬢様のお兄さんが大魔王の魔術によって石化され、大魔王を打ち祓い助けてほしいと懇願しに来たようだ。ドン・キホーテはその願いを聞き入れることにした。

 ドン・キホーテとサンチョ・パンザがその場を居なくなってから石化したハズのお兄さんが動き出す。どうやら牧師、カラスコ、家政婦らが一芝居打ったようだ。ドン・キホーテをこのまま乗せて、後で正気を取り戻させ連れ戻す算段のようだ。アルドンサはそんな一行を卑怯者だ、と罵る。

 水汲みをしていたアルドンサは下衆男たちに絡まれ男に対する絶望を募らせていく。アルドンサはドン・キホーテの恋文をペドロに見られからかわれてしまう。

 ドン・キホーテは夜中、一人で祈りを捧げていた。それを気になったアルドンサがドン・キホーテに話しかける。ドン・キホーテが自分をドルシネアと呼ぶのに下心があるのだろう、と疑うアルドンサ。しかしドン・キホーテは誠実さを見せ、ドルシネアを戦いの励みにしたい、と言うのだ。

 ドン・キホーテのこの冷たい世を暖かな黄金のように輝く世の中に変えたい、という理想にアルドンサはこの世の中は変えっこのないウジ虫がわくゴミみたいな世界だ、アタシもその中の一人さと返す。

 しかしドン・キホーテのいう旅が気になったアルドンサはそのことを聞くと、ドン・キホーテは旅は自分に与えられた騎士の特権だ、と答え「見果てぬ夢」を歌う。

♪見果てぬ夢を追い かなわぬ敵に挑む
 耐え得ぬ悲しみに耐え 勇者も行かぬ地へ向かう
 正せぬ誤りを正し 清きを遠くより愛す
 疲れきった腕で 届かぬ星をつかむ

 これが我が旅 星に向かって行こう
 かなわぬ夢でも いかに遠くても
 正義のために戦う 問いも休みもなく
 至上なる戦いのために 地獄へも行こう
 この栄光の旅に 背を向けることがなければ
 死しても 我が心は 安らかに眠ろう

 世の中を良くするため
 男は笑われ 傷を負い
 最後まで戦うのだ

 届かぬ星をつかもうと

 「見果てぬ夢」を歌い終わったあと、汚れていると自分で思い込む自分をきちんと見てほしい、と言うアルドンサ。そこにペドロが邪魔をしに来た。いつまでたっても部屋に来ないアルドンサをペドロはぶつ。

 頭に来たドン・キホーテはご自慢の槍の取っ手の部分でペドロの脳天にガツンと一発入れる。大ダメージのペドロは応援に部下を呼ぶ。

 大人数を相手にドン・キホーテ、アルドンサ、応援に駆けつけたサンチョ・パンザの3人は大乱闘。なんだか正しい乱闘のようには見えないが、一応は下衆男どもをやっつけることに成功する。

 下衆男たちは退散。そこへ宿屋の主人がやって来て厄介事は勘弁してくれ、と早い立ち退きをお願いする。ドン・キホーテはそれに応じる代わりに、爵位を与える儀式をしてほしい、と頼む。優しい御主人はそれに応じてドン・キホーテに爵位を与えた。

 その後でドン・キホーテは倒したロバ追いたちの傷を治療してやろうとする。倒した敵にも誠意を見せるのが騎士道だと聞くとアルドンサが自分がやる、と言って一人でロバ追いたちがうなされている小屋に入る。

 ロバ追いたちの治療をしてやろうとしたアルドンサ。しかしロバ追いたちはそんなアルドンサを捕まえ、宿屋を出発しアルドンサを拉致していった。

 そうとも知らずドン・キホーテは勝利の余韻に浸り身を引き締めるために「見果てぬ夢」を歌う。

 その時、牢獄の架け橋が下がってきて教会の騎士団たちがやって来た。舞台は一時中断。セルバンテスは自分が連れて行かれるのかと思った。しかし宗教裁判のために連れられていったのは別の人物だったようだ。

 大公は今回は命拾いしたようだがこれが現実だ、と冷たく言い放つ。セルバンテスはこの絶望しかない世界で正気を保ったまま現実を見続けるよりも、正気を無くし常軌を逸してでも夢を追い続けるほうが利口ではないか、と主張する。

 ドン・キホーテはサンチョと共に宿屋を出発した。ドン・キホーテはアルドンサが居なくなった理由もなにか事情があってのことだろう、と楽観的だった。

 二人は道端でボロボロの服を来たアルドンサと再会する。宿屋でのドン・キホーテと共に闘ったアルドンサではなく、男に拉致され何もかもに絶望してドルシネアと呼ばれることが嫌なアルドンサに戻っていた。またはそれ以上に一度、夢が叶うのでは、と期待させられただけに絶望をしていた。

 理想の壁にぶち当たったドン・キホーテ。そこに謎の騎士団がやって来る。謎の騎士団を大魔王だと思い込み決闘を申し込むドン・キホーテ。謎の騎士団団長は自分を鏡の騎士と名乗り鏡で出来た盾をドン・キホーテに見せる。そして
「自分の顔をよく見ろ。この老いぼれがラ・マンチャの騎士ドン・キホーテだと?」
 と現実を突きつける。残酷な現実を見せられたドン・キホーテことアロンソ・キハーナは絶望しそのまま倒れてしまった。騎士団長は鎧を外す。騎士団長に扮していたのは精神科医カラスコだった。アロンソはそのまま意識を失う。

 セルバンテスが考えていたドン・キホーテの物語はここまでしか考えていなかった。あまりにも消化不良な結末に牢名主は有罪判決を下そうとするがセルバンテスは即興でラストを考える。そしてもう一度、舞台を演じる。

 最後のシーン。ここはアロンソ・キハーナの家。カラスコ医師の強引な処置もあってアロンソはマトモな判断もできず呆然としてもはや死にかけていた。サンチョがやって来たことで意識を少し取り戻したアロンソは牧師に遺言を残そうとする。

 そこにドン・キホーテに心を救われたアルドンサがやって来る。だがアロンソはアルドンサの事も自分がドン・キホーテを名乗って旅をしたことも覚えていない。アルドンサは僅かな希望にかけてアロンソに「見果てぬ夢」を思い出させようとする。アロンソは涙を目に貯めながら自分の夢を思い出していった。

 そしてアロンソはついに全てを思い出した。アロンソはベッドを降りてサンチョ、アルドンサと共に旅を続けようとして「見果てぬ夢」を歌う。

♪栄光のラッパが 我が心を駆る
 ラッパが呼びかける
 どこへ行こうと 友と一緒
 我が従者 そして我が君

 私はドン・キホーテ ラ・マンチャの騎士
 運命が呼びかける
 幸運の風が 私を押し進める
 前へ前へと
 運命の風が 私を押し進める
 栄光への道へと

 歌い終わった時、アロンソ・キハーナは息絶えてしまった。

 アルドンサはアロンソ・キハーナが死んでもドン・キホーテは生きている、とサンチョに言いどこかへと旅立っていった。

 舞台の終わりと共にセルバンテスを迎えに来た教会の騎士団が架け橋を下ろしてやって来る。牢名主はセルバンテスを無罪にして大切な脚本を他の人にも伝えてやれ、と返す。

 架け橋の階段を上っていくセルバンテスと舞台監督。アルドンサを演じた囚人の女をはじめとして囚人たちはセルバンテスを「見果てぬ夢」で送る。

♪見果てぬ夢を追い かなわぬ敵に挑む
 耐え得ぬ悲しみに耐え 勇者も行かぬ地へ向かう
 勇者も行かぬ地へ 永遠のかなたまで
 旅に疲れていても 届かぬ星に手を

 届かぬ星に手を どんなに高くても
 求める心を忘れず
 遠く 到達しがたい 星に向かおう





 希望を追いかけよ、夢を諦めるなという励ましの物語でした。そして私たちをドン・キホーテの夢を受け継がせようとしてくれている物語でしたねえ。

 この映画の製作国であるイタリアは1950年代はめざましい経済復興を見せたのに対し、60年代からストライキの流行や一部での共産主義の流入などでその発展が衰退しつつありました。この映画はイタリア経済の立て直しというか国民の鼓舞のためにも良い映画だと思われたのではないでしょうか。残念ながら80年代中期まで経済の失速は立ち直らないのですが。

 ドン・キホーテという物語が作られたのは17世紀はじめ。スペインがヨーロッパ中で戦争を繰り広げ衰退しつつあるような時期でした。セルバンテスというのは本当に過酷な人生だったようです。生活も良くならなかった。そんな中でも自分を失わないためにセルバンテスは「ドン・キホーテ」という物語を書いたのではないでしょうか。で、その物語の中に自分の国スペインへの恨みを込めてスペイン人の騎士がオランダを代表する風車に負けるシーンなんてのを書いたのでしょう。

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(1991/03)
デール・ワッサーマン、青木 信義 他

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Category: 洋画ラ行

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