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ハリウッドの闇に杭を打ち込んだ作品とも言えるでしょう。


『サンセット大通り』 Sunset Boulevard (1950年・米)
サンセット大通り
スタッフ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、D・M・マシューマン・Jr.
製作:チャールズ・ブラケット
音楽:フランツ・ワックスマン
撮影:ジョン・F・サイツ
編集:アーサー・P・シュミット
表現演出:ハンス・ドライヤー、ジョン・ミーハン
セット装飾:サム・コメル、レイ・モイヤー
衣装デザイン:エディット・ヘッド
キャスト
ジョー・ギリス:ウィリアム・ホールデン
ノーマ・デズモンド:グロリア・スワンソン
マックス・フォン・マイヤリング:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
ベティ・シェイファー:ナンシー・オルソン
アーティ・グリーン:ジャック・ウェッブ
セシル・B・デミル:セシル・B・デミル
受賞
アカデミー美術監督・装置賞
アカデミー脚本賞:チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー、D・M・マシューマン・Jr.
アカデミー作曲賞 ドラマ・コメディ部門:フランツ・ワックスマン
ゴールデングローブ賞 作品賞 ドラマ部門
ゴールデングローブ賞 主演女優賞 ドラマ部門:グロリア・スワンソン
ゴールデングローブ賞 監督賞:ビリー・ワイルダー
ゴールデングローブ賞 作曲賞:フランツ・ワックスマン
公開
米本国公開:1950年8月10日
日本公開:1951年10月5日
配給:パラマウント映画


 ビリー・ワイルダー監督作品「サンセット大通り」。原題は「Sunset Boulevard

 サンセットブルバードとはロサンゼルスにある通りの名前ですね。ロサンゼルス中心部から太平洋の浜辺まで続く大きな通りです。この通りではナイトクラブやら、スターの家やらが点在してます。ハリウッドを象徴する大通りの一つと言っても過言ではなさそうです。

 ビリー・ワイルダー。ハリウッドの監督さんです。「七年目の浮気」とか、「お熱いのがお好き」(1959年)、「アパートの鍵貸します」(1960年)など彼が手がけた名作を上げればキリがないでしょう。喜劇、シリアスなんでもござれの監督さんです。

 製作のチャールズ・ブラケットとワイルダーはずっとコンビを組んで映画を手がけてきましたがこの作品を最後にそのコンビが解消されてしまいますね。理由は喧嘩別れに近いようです。次の「地獄の英雄」(1951年)ではブラケットはもうワイルダーと組んでません。その後はブラケットはヘンリー・ハサウェイやジーン・ネグレスコ、ヘンリー・コスターなどと組んでいきます。

 主演はウィリアム・ホールデン。この人もハリウッドを象徴するような俳優さんです。この時は胸毛が凄かったので驚きました。この人の主演する私が大好きな映画「慕情」を見たときは胸毛が全然なかったんですね。ムードに合わせたのでしょう。

 ノーマ・デズモンド。往年の大女優という役です。これを演じたのはグロリア・スワンソン。サイレント映画時代からの本当の大スターです。このノーマ役は色んな人に声がかかりました。メイ・ウェスト、ポーラ・ネグリ、メアリー・ピックフォード。
 皆さん不吉な役を演じることに渋られてしまい、結果的に大スターのスワンソンに声がかかりそれにスワンソンが応じました。今思うとこの恐ろしいと思うほどの役はグロリア・スワンソンだからこそ完璧なノーマ・デズモンドになったのだと思います。ただスワンソン自身は確かに当時、映画にはあまり出てませんでしたが、その生活にはノーマと違い余裕があったようですね。

 ノーマの執事役はエリッヒ・フォン・シュトロハイム。ホールデン、スワンソンのコンビですら私にとってお腹いっぱいで満足なのにここにシュトロハイムを持ってこられて私は幸せになってしまいます。私はこの人を映画界の鬼と呼んでいます。スワンソンの熟成した演技と、シュトロハイムによる引き締められた演技が素晴らしくこの映画の主要キャスティングは完璧といえるでしょう。

 音楽はフランツ・ワックスマン。アカデミー賞とゴールデングローブ賞の作曲部門で受賞してますね。「断崖」、「レベッカ」や「陽のあたる場所」(1951年)など。ヒッチコックと3作品で組んでます。ただ「裏窓」(1954年)を最後にヒッチコックはバーナード・ハーマンとコンビを組むことになります。

 実はスワンソン以外にも往年の大スターが出演しています。バスター・キートン、アンナ・Q・ニルソン、H・B・ワーナー。この人たちはノーマとのカードゲームのシーンで本人役で出演しています。他にも本人役で監督のセシル・B・デミル、作曲家のジェイ・リビングストンと作詞家のレイ・エバンスのコンビは若者の集まる飲み屋に出て、芸能記者で女優でもあるヘッダ・ホッパーはラストシーンで出ています。


【あらすじ】

 サイレント映画時代の大女優ノーマ・デズモンドの邸宅のプールで一人の男の遺体が浮かんだ。プールに浮かんだ遺体は映画の脚本家のジョー・ギリス。ノーマによって殺されたのだ。大女優は何故、脚本家を殺してしまったのだろうか。















【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり



アメリカ・ロサンゼルスのサンセット大通り。午前5時

 パトカーや記者の車が、サイレント映画時代に活躍した忘れられた大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)の家へ駆けつける。殺人事件があったとの通報がノーマの邸宅からあったのだ。

 ゴシップを好む記者たちは往年の大女優による殺人を面白おかしく書き立てるだろう。

 背中と腹を撃たれプールに浮かぶ被害者はB級映画の脚本家のジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)。皮肉にもプール付きの家を欲しがったギリスはプールに浮かんで死んでしまった訳だ。

 ギリスは自分が死に至るまでの経緯を、我々に説明しはじめる。


殺人事件が起こる半年前

 ギリスは仕事にありつけず、良い脚本も書けないまま小さなアパートに暮らしていた。ジョーは自分の車を借金取り(ラリー・J・ブレイク、チャールズ・デイトン)に差し押さえされそうになっていた。

 ギリスは世話になっているパラマウント映画の敏腕プロデューサーのシェルドレイク(フレッド・クラーク)に脚本を持ち込む。20世紀フォックスも脚本を買いたがってるように匂わせるが、原稿閲読課のベティ・シェイファー(ナンシー・オルソン)に駄作と一蹴されてしまう。

 20世紀フォックスで主人公をタイロン・パワー※1】に据えるより、パラマウントでアラン・ラッド※2】にこの映画を主演させコーチ役にウィリアム・デマレスト※3】にするべきだ、と熱弁を振るうも、その熱弁もベティ・ハットン※4】の全く違うミュージカル映画にすれば儲かる、などと言ってシェルドレイクも資金難でギリスが差し押さえを回避するために貸す金も、与えられる仕事もなかった。
※1タイロン・パワー:アメリカのトップスター俳優で20世紀フォックスの看板俳優。代表作に「マリー・アントアネットの生涯」、「怪傑ゾロ」、「血と砂」、「愛情物語」などがある。
※2アラン・ラッド:アメリカの俳優でパラマウント映画の看板俳優。代表作の「シェーン」以降、いくつかの西部劇映画に出演。のち人気も身体も衰えカムバックを果たす直前に死亡する。
※3ウィリアム・デマレスト:アメリカの俳優。「ジョルスン物語」でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。
※4ベティ・ハットン:アメリカの女優。パラマウント映画と契約。代表作に映画版「アニーよ銃を取れ」、「モーガンズ・クリークの奇跡」などがある。

 ギリスは思いつく友人に借金を頼むがわずかな金をアーティ・グリーン(ジャック・ウェッブ)から借りれた程度だった。仕事を斡旋するエージェント(ハロルド・ミラー)も役に立たない。ギリスはハリウッドに来たことを後悔し故郷に戻ることを決意する。

 車で帰宅途中にギリスは借金取りに見つかってしまう。ギリスは追跡してきた借金取りを撒いて廃れた車庫に車を隠す。その車庫にはガソリンを食いそうな高級車が置かれていた。

 歩き出したギリスはすぐ近くで車庫の持ち主と思われる豪邸を発見する。豪華絢爛な家“だった”かもしれないが、今はただ大きいだけで、人が住んでいるのか住んでいないのか一見して分からないような不気味な豪邸だった。映画の流れに打ち捨てられた映画人がかつて建てたのかもしれない。

 敷地に入ったギリスは邸宅の女主人に見つかり、誰か別の人物と勘違いされて家の中に呼ばれる。車庫を一時貸してほしい、という事情を説明するためにも豪邸の執事マックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)の招きに応じる。

 マックスの口ぶりでは、ギリスは葬式屋と勘違いされているようだ。ペットのお猿を庭に埋葬してほしい、と頼んできたのはこの邸宅の女主人。女主人に誤解を解いたギリスは、女主人に退出を命じられる。

 出ていこうとしたギリスは女主人の顔に見覚えがあることに気付く。この女主人こそ、サイレント映画時代の大女優ノーマ・デズモンドだった。

 ノーマは映画業界が映画に欲張って有声にしてしまったたことで映画自体の質が落ちてしまい、自分のような質の高い女優は受け入れられなくなり、すぐに消費できる“お手軽な”女優ばかりが売れるようになってしまった、と論じた。

 ノーマをトーキー映画の脚本家という自分の視点でからかい、すぐに消えるように言われたギリス。家を出ようとしたが、ノーマに止められる。

 ギリスは脚本家という職業を買われ、リビングに誘われるギリス。高価そうだが薄気味悪いオルガンがある奇怪なリビングだった。

 ノーマは自分が書いたという大作映画の脚本をギリスに見せる。映画のタイトルは「サロメ」。監督にはセシル・B・デミル※5】を据え置くつもりでいるらしい。
※5セシル・B・デミル:実在する20世紀の映画監督。代表作には「十誡」や「地上最大のショウ」、「クレオパトラ」などがある。

 ギリスはその脚本の一部を読まされる。到底映画になり得るものではない駄文なのにストーリーは大作だったので無駄に長い脚本だった。

 ギリスは読み終わりその脚本を褒めてノーマのご機嫌を取る。だが本物の脚本家による手直しが必要だ、とアドバイスする。ノーマはギリスの読み通りに、ギリスを自分の脚本の手直し係として雇うことにした。そしてノーマは作業中は自分の邸宅の離れに泊まるよう言う。

 まんまと仕事にありついたギリスはマックスに離れの使われていない部屋に案内される。マックスによればノーマは週に1万7千通のファンレターが未だに来るほどの人気だという。今の落ちぶれた彼女にそんな事はありえない。やはりマックスもノーマ同様、頭が少しおかしいのかもしれない。

 ノーマの邸宅にはラインが消えかかっているテニスコート、水を入れず植物が伸び放題で底でネズミが暮らすプールがあった。このプールも昔はメーベル・ノーマンド※6】やジョン・ギルバート※7】が泳いでいたかもしれない。
※6メーベル・ノーマンド:アメリカのサイレント映画時代の女優。「他人の外套」、「夫婦交換騒動」などチャップリンとの共演が多かった。
※7ジョン・ギルバート:アメリカのサイレント映画時代の俳優。代表作に「肉体と悪魔」、無声映画「ベン・ハー」など。有声映画時代の幕開けで甲高い声が暴露され仕事を失う。

 そして庭ではノーマとマックスがサルの遺体が入った棺を埋めていた。

 翌朝、オルガンの音に起こされたギリスは家にあるはずのタイプライターや着替えなどが部屋にあることに驚く。誰かが家からこの部屋に運んできたようだ。

 運んできたのはオルガンを弾いていたマックスで、それはノーマの命令だった。ノーマは脚本の手直しの間、ギリスに邸宅の離れで住み込みでやってもらうつもりだったらしい。

 住み込みを拒否するギリスだったが、それが気に入らないなら別の脚本家に任せる、と言い放つノーマ。ギリスにとっては必要な仕事だったので、それ以上は言えなかった。

 ギリスは急いで手直しに取り掛かるが元の文が稚拙すぎてまとめあげるのは大変、更にギリスの作業中はずっと監視しているノーマが、例えばシーンの一部をカットしようとした時にはそのシーンは必要だ、と突っぱねてくるのでギリスも仕事がなかなか進まなかった。

 ノーマは自分の若かりし頃の写真をリビングいっぱいに飾って過去の栄光に囚われていた。更にギリスはノーマに映画をリビングで鑑賞するのに付き合わされる。無論、その映画もノーマ・デズモンドが出演していた映画だ【※8】。
※8】実際にグロリア・スワンソンが出演していた映画「クィーン・ケリー」が上映される。製作当時、スワンソンが監督のエリッヒ・フォン・シュトロハイムと対立し未完に終わった作品。ちなみにシュトロハイムはこの映画の執事マックス役で上映技師として映写機を回している。

 ノーマはその映画を観ながらやはり俳優に声は必要ない、顔だけで演技できると銀幕の中の自分に酔いしれる。そして今のハリウッドを声でも顔でも演技できるのはグレタ・ガルボ※9】くらいしかいない、と批判した。
※9グレタ・ガルボ:アメリカの女優。サイレント映画時代の「肉体と悪魔」で人気を得てトーキー以後も「アンナ・クリスティ」や「グランド・ホテル」などで更に人気となりサイレント、トーキーとも人気を博した。

 屋敷では時々、ノーマは自分と同じ境遇にあるトーキー以後忘れ去られた俳優たち、バスター・キートンバスター・キートン)【※10】、アンナ・Q・ニルソンアンナ・Q・ニルソン)【※11】、H・B・ワーナーH・B・ワーナー)【※12】とカードゲームに興じていた。
※10バスター・キートン:アメリカの俳優でチャップリン、ロイドと並ぶ三大喜劇王。トーキー以後人気が衰えるも「サンセット大通り」や「ライムライト」での出演により50年代に再評価を受ける。代表作に「セブン・チャンス」、「キートンの蒸気船」、「探偵学入門」などがある。
※11アンナ・Q・ニルソン:アメリカの女優。画家のモデルをやっていたが映画界に入りトーキーになるまで成功する。代表作は「ポンジョラ」、「本塁打王」、「女名捕手」など。
※12H・B・ワーナー:アメリカの俳優。代表作は「キング・オブ・キングス」、「失はれた地平線」など。

 灰皿のタバコを捨てに出たギリスは、マックスから自分の車を借金取りに持って行かれそうになっていることを聞かされる。すぐにノーマに借金取りを追い払ってくれるよう頼むが、カードゲームから手を離そうとしない。

 結局、借金取りにギリスは車を持って行かれてしまった。落胆するギリスに、ノーマは自分の車に乗っかればいい、と言った。

 ギリスはタキシードなどの高級な服を買ってもらう。また、唯一ひとりでくつろげる空間であった離れの小屋の雨漏りが酷くなり、本邸に移ることになった。

 本邸の元旦那の部屋で寝ることになったギリス。だが洗面所も部屋も鍵がないことに気づきマックスに説明を求めた。マックスによれば全ての部屋の鍵を壊したようで、その理由はノーマが幾度も自殺未遂を図るため、彼女の安全を考えて医者がマックスに進言したようだ。

 ギリスはその会話の中でマックスがひとりで週に1万7千通もファンレターを送っている張本人だと気付き、問い詰める。しかしマックスは無視し、大晦日のパーティが近いので洋服を整えるように言って退室した。

 大晦日のパーティの夜。パーティにはギリス、ノーマ、マックス、そして招待された楽団以外に誰もいなかった。ノーマがギリスと二人きりで踊りたかったようだ。だがギリスにはノーマの束縛が耐えられなかった。

 何でも与える、というノーマに対してただ自由を求めるギリス。ついに我慢の限界が来たギリスはノーマに、自分には恋人がいるんだ、とウソをつきノーマに頬を叩かれてしまう。

 ノーマは自分の部屋に閉じこもってしまった。とにかく邸宅から逃げ出したいギリスは夢見る映画人の卵である若者たちの集まるタバコ屋へ向かう。ここで新年を祝うパーティが開かれているのだ。

 そのタバコ屋でギリスは友人のアーティ・グリーン、そして偶然にもベティ・シェイファーと再会する。ギリスはアーティに2週間ほど置いてほしい、と頼む。その後でベティから脚本を読んだ、と聞かされ彼女と自分の脚本についてのトークが始まる。

 半ば口論しながらも、もう半ばで茶番劇をして盛り上がった二人。ギリスは自分の荷物をまとめておくように電話でマックスに頼むが、マックスからノーマが自殺を図った、と聞かされ驚愕。すぐに邸宅に戻る。

 幸い未遂で済んだノーマ。ノーマは泣きながらギリスに出て行くように言う。哀れに思ったギリスはもう自殺を図らないことを約束させ、家に留まることを決意。「蛍の光」が流れ、新年が明ける。


 シェイファーはギリスの居場所を人づてに聞き出しノーマ邸に電話をかけるがマックスが応対し、ここには居ない、と答える。シェイファーはこの家がノーマ・デズモンドの暮らす邸だとは知らないようだ。

 ノーマはついにセシル・B・デミルに脚本を送った。あとは相手の返事待ち。ノーマは屋敷のプールに水を入れて、愛するギリスと暮らしていて幸せな日々を送っていた。

 俳優仲間を訪ねる道すがら、ノーマのタバコが切れたのでタバコ屋の前で車を止めさせ買いに行ったギリス。そこでシェイファー、アーティと大晦日ぶりに再会。シェイファーはギリスの脚本の一つに売れる要素があるので、ぜひ一緒に脚本を作ってほしい、と頼む。しかしギリスはもう脚本はやらない、と断ってしまう。

 ギリスが退屈しているとノーマは小さなショーを見せてくれた。例えば水着美人の衣装を着てパラソル捌きを見せてくれてメイベル・ノーマンドとの思い出に浸ったり【※13】、今度はチャップリンの物真似までしてくれた【※14】。
※13】グロリア・スワンソンはマック・セネットという喜劇映画のプロデューサーによる映画作品の何本かで海水着美人の役でデビューした。その時の衣装。ちなみにメイベル・ノーマンドも同じ水着美人からのデビューだった。
※14】グロリア・スワンソンは「嬲られ者」という映画でチャップリンの物真似をしたことがある。

 チャップリンの真似の最中、パラマウント映画から電話がかかってくる。ノーマはデミルから電話が来たのだ、と喜ぶがゴードン・コール(バート・ムーアハウス)という男からだった。ノーマはデミル自身がかけてこなければ応対しない、と突っぱねる。

 3日後、コールから緊急の用事がある、として撮影スタジオに向かうノーマ、マックス、ギリスの三人。若い門番のマック(ジョン・コーティ)に追い払われそうになったが、ノーマをよく知る老人の門番ジョンジー(ロバート・エメット・オコナー)がノーマを通してくれた。

 ノーマが来ることを知った撮影中のセシル・B・デミル(セシル・B・デミル)。用件が、あの酷い脚本のことだと分かっていたが追い返すわけにもいかず、撮影を一時休憩にしてノーマを迎える。

 ノーマを監督のイスに座らせ、デミルはノーマを呼んだゴードン・コールに確認を取ろうとする。デミルが居なくなったあと、電飾技師のホグ・アイ(ジョン・スキン・ミラー)がノーマに気付きスポットライトを当てる。スタジオ内の年配者たちがノーマに気づいて次々と近付いて挨拶をした。

 一方、確認をとっていたデミル。どうやらコールはクロスビー※15】の主演する映画に、ノーマの愛車がピッタリ似合っているので車を貸してほしい、という連絡をしようとしていたのだ。
※15ビング・クロスビー:アメリカの俳優。歌でも成功している。代表作に「ホワイト・クリスマス」、「我が道を往く」、「上流社会」などがある。

 デミルは真実を伝えようとしたが、ノーマが久しぶりにスタジオに入り、感動して思わず泣いてしまう姿を見て真実を伝えようにも伝えられなかった。

 マックスはこのスタジオのオフィスの一部が全てノーマの衣装部屋だった時代のことを話す。ウォーレス・リード※16】の寝る場所などスタジオになくて、キャンピングカーで寝かされていたほどだった。
※16ウォーレス・リード:アメリカの俳優。代表作に「カルメン」、「山火事」など。

 ギリスは閲読課でシェイファーを見つけ、声をかけにゆく。ギリスは自分の脚本をすべてシェイファーに任せたい、と伝えるがシェイファーは一緒に協力してその脚本を書いてほしい、と求めた。

 マックスのギリスを呼ぶクラクションが聞こえて戻ろうとするギリス。シェイファーは自分がアーティと婚約したことを伝え、アーティが遠方のロケに出かける来月の間、夜一緒に脚本を練ってほしい、と頼み込む。ギリスはそれを断り、良いアイデアだけ小出しして、マックスの下に戻る。

 マックスは、パラマウントのゴードン・コールが呼び出した件というのは車を貸してほしい、という事だった、と伝える。ノーマは脚本が通ったのだ、と勘違いしたまま車に戻ってきた。結局、デミルもマックスもギリスも残酷な真実を伝えることはできなかった。

 その日以来、ノーマはいつでも撮影に入れるように美容師の一団を家に招き美顔術やらトレーニングやらを欠かさずに行い毎日夜9時には寝るという生活を送る。まるでオリンピックを目指す運動選手の生活のごとく。その結果が報われないことを知らないまま。

 ノーマは夜遅く、ギリスが出かけることに気付いていた。問い詰めるノーマに対し嫌気が差すギリス。ギリスは夜遅く、シェイファーの下に行き彼女の脚本制作の手伝いをしていたのだ。

 2人で脚本を練りながら時にはスタジオを散歩する、という日々を繰り返す内にギリスとシェイファーの仲は縮まっていく。

 車庫に戻ると車庫の中でマックスが待ち伏せしていた。戻るときはあまり音を立てるな、と進言するマックス。マックスはノーマのデビュー作品の監督をしていて、彼女をスターにしたのもマックスだったのだ。

 デミル、グリフィス※17】と並ぶほどの有望株の監督だったが、ノーマに惚れ込んでしまい彼女と結婚。彼女の一人目の夫となった。離婚後、マックスはノーマなしでは耐え切れず監督業を捨てて彼女に執事にしてくれるように頼んだのだ。
※17D・W・グリフィス:アメリカの映画監督。ユナイテッド・アーティスツの創設者。代表作に「國民の創生」、「イントレランス」、「散り行く花」などがある。

 ギリスが帰ったのを見つけたノーマ。ノーマは、ギリスが夜中に抜け出してシェイファーと共同脚本を作っていることを知ってしまう。タイトルは「名もなき愛の物語」。

 一方、シェイファーはアーティからアリゾナに来るよう電報が来たことをギリスに知らせる。なぜか悲しみに暮れるシェイファー。彼女は今、恋する相手はアーティではなくギリスだということを打ち明けギリスとキスをする。

 ギリスは自分が彼女の将来を握っているが、その自分自身はどうしようもなく醜い人間であることに気付く。自分から汚点をぬぐい去るにはノーマの下から逃げ出すしかない、と考えていた。

 隣のノーマの部屋ではノーマがシェイファーに電話をかけていた。ノーマはギリスという男がどこで誰と暮らしているか暴露してしまおうとしていたのだ。

 ギリスは受話器を奪ってシェイファーに屋敷に来るように伝え電話を切る。ノーマは自分を嫌わないでほしい、憎まないでほしいと懇願し自分が自殺用に拳銃を買ったことも明かす。

 ノーマの屋敷にやって来たシェイファー。ギリスは屋敷をルドルフ・ヴァレンチノ※18】が踊った床だと説明。それから屋敷の話をして、自分がノーマの寵愛を受けて暮らしていることを明かす。
※18ルドルフ・ヴァレンチノ:アメリカの俳優。多くの女性を虜にした。代表作品に「熱砂の舞」、「黙示録の四騎士」、「椿姫」などがある。

 シェイファーはノーマのことは忘れるから荷物をまとめて一緒にいこう、と誘うがギリスはそれをしてしまうと自分の金が無くなってしまう、と拒否。アーティと幸せな結婚生活を送るように言い、シェイファーが帰るのを見送りする。

 シェイファーの帰り際にプールのライトをつけて、アーティと一緒に泳ぎに来るといい、と発しシェイファーは何も言わずに屋敷を出て行った。

 追い返したのを喜び感謝するノーマだったが、ギリスは何も言わない。自分の部屋に戻ったギリスは荷物をまとめて出て行く準備をしていた。ギリスはノーマに貰った貴金属や服を返し故郷に戻るつもりでいたのだ。

 必死に引き止めるノーマ。金で引き止めようとしてもギリスの決意は固かった。ノーマは自殺してやる、と脅すがギリスはそれも関係ない、と意に介さなかった。

 今でも自分がスターだと信じるノーマに、ついにギリスはスタジオが電話をしたのは車を貸してほしい、という要求のためだけだ、と披瀝してしまう。

 ギリスはやって来たマックスにファンレターもマックスが書いているんだ、と真実を言うべきだと主張するがマックスはそれでも隠し通そうと嘘をついた。

 自分はまだスターなのだ、と喜んだノーマ。ギリスの正論にもノーマは耳を傾けず、スターである自分に酔いしれていた。

 別れを告げ庭に出ていくギリス。ノーマは拳銃を持って彼を追いかけ、プールの近くで彼を撃つ。3発のうち2発の弾丸がギリスに当たり、ギリスの体はプールに飛び込んでいった。

 ギリスの遺体がプールに浮かぶ。マックスがノーマの下に駆けつけた。ノーマは「スターは輝きを失わない年を取らない」と焦点の定まらないまま呟いた。


 以上が一人の脚本家が往年の大女優の邸宅のプールで浮かぶに至った事件の真相である。

 ノーマの邸宅は空虚な賑わいを見せていた。野次馬、警官、芸能スキャンダル記者のヘッダ・ホッパーヘッダ・ホッパー)【※19】を始めとする記者たちで屋敷は一杯になっていた。ニュース映画の撮影隊も駆けつけた。今、前代未聞の殺人事件に世間はノーマにスポットライトを照らしていた。
※19ヘッダ・ホッパー:アメリカの女優、また芸能コラムニスト。芸能界に精通するとともに自身も女優である。

 もし仮にノーマは軽罪で済んだとしても、映画や社会へのカムバックは不可能に等しい。

 ノーマは未だに心神喪失状態にあった。警官の質問にも答えず、化粧をするノーマ。警官の一人が下にニュース映画のカメラが来ていることを上司の刑事に報告する。

 その報告を聞いたノーマはマックスを呼び「デミルにすぐ行くと伝えて」と命じる。

 階段を降りたマックスは待機するニュース映画のカメラマンたちに準備がいいかを確認する。そして部屋からノーマ・デスモンドが出てきた。マックスはまるで自分が監督であるかのようにニュース映画のカメラマン達や照明に指示を出す。

 ライトが当たったノーマ。ノーマは自分の“役”を思い出す。ここは宮殿。皆が王女が階段を降りてくるのを待っていた。

 奇妙なことに遂にノーマ・デズモンドにカメラが回される。彼女の念願が叶ったのだ。彼女に夢を見させ続けることを許したのだ。

 一段一段、優美に降りていくノーマ。

 階段を降りた先でノーマは感極まり自分の“役”を中断し、女優に戻るノーマ。ノーマは自身の心情を語り始めた。
「わたくし、再び映画が撮れて本当に幸せです。どれだけ寂しい思いをしてきたか。
二度と映画を捨てません。『サロメ』の後も私は映画に出演し続けます。
映画こそ私の人生。それだけが私の生きる道。
私たちとカメラと、スタッフと、暗闇の中で画面を見続けてくれる素晴らしいお客さん」

 最後にノーマは言った。
「デミル監督、クローズアップをどうぞ!」

 カメラはノーマ・デズモンドの、一人の女優の顔を大きく写していた・・・








 現実を受け入れられず過去にのみ浸り続けたノーマ・デズモンドという女優の物語でした。あまりにも哀れでした。

 ハリウッドの闇です。おそらくノーマ・デズモンドに限らずハリウッドというよりは映画界は俳優、女優を使い込んだあげくに時代に合わなければ捨て去る、という冷酷さも持ち合わせていますね。実際に“消費”させられたスター、役者、スタッフがどれだけ多いだろうか・・自分は消耗品の一つだという覚悟があれば、受け入れることも出来るでしょうが純粋に自分の栄光は輝き続ける、と思い込んでしまっては受け入れられないかもしれませんね。

 グロリア・スワンソン。この映画ではずっと無声映画の演技でしたね。身振り手振りがいちいち大きい、トーキー以後の演技をするウィリアム・ホールデンと比べるとよくわかります。しかしこれは流石グロリア・スワンソンと褒めるべき所です。ノーマ・デズモンドという女優が無声映画時代でしか生きていられなかった、という役柄を理解してこそグロリア・スワンソンによる無声映画らしい演技、ということです。

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