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松本清張の小説の映画化作品です。私は推理の本は西村京太郎か東野圭吾くらいしか読まないので清張さんは読んだこと無いですねー。


『張込み』 (1958年・日)
張込み
スタッフ
監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍
製作:小倉武志(企画)
音楽:黛敏郎
撮影:井上晴二
編集:浜村義康
配給:松竹
キャスト
柚木刑事:大木実
下岡刑事:宮口精二
下岡満子:菅井きん
下岡辰男:竹本善彦
横川仙太郎:清水将夫
主犯・山田:内田良平
高倉弓子:高千穂ひづる
高倉弓子の父:藤原釜足
高倉弓子の母:文野朋子
旅館の女主人:浦辺粂子
石井キュウイチ:田村高広(田村高廣)
横川さだ子:高峰秀子

 野村芳太郎監督作品「張込み」。原作は松本清張の同名小説です。

 張り込む刑事は大木実と宮口精二。私は七人の侍で宮口精二が一気に好きになってしまいました。だからこの映画は私にとってお得でしたね。まあ終盤は宮口さんの活躍シーンはほとんどなくなるんですが・・

 張り込まれる側は高峰秀子。彼女は日本の映画界において欠かせない女優の一人でしたね。残念ながら2010年にお亡くなりになってます。彼女は当時33歳で美しい妻が合っていましたが、なぜそんな美しい妻がケチくさい男の嫁になったか。そこの部分に関してはリアリティに欠けていましたが映画ですからご愛嬌。

 そして彼女の元恋人で彼女の下に現れるかもしれない犯人を田村高廣が演じてます。田村高廣は映画スター・阪東妻三郎の長男で田村正和、田村亮の兄です。残念ながら彼もお亡くなりになってますね。

 さて監督の野村芳太郎は黒澤明に助監督として務め「日本一の助監督」と称されました。その後、『鳩』(1952年)で監督デビューしこの映画で一気に監督としての名前を広めました。後に彼は松本清張の作品をよく映画化しています。例えるなら山本薩夫と山崎豊子、市川崑と横溝正史のような関係でしょうね。

 まあ実際にこの映画が評価されたのは脚本の橋本忍さんの手腕でもあるでしょうね。彼は脚本の神様だと私は個人的に思っています。

 舞台は佐賀市でもちろん実際に佐賀市で撮影しています。私の知り合いが鹿児島県に住んでいらっしゃるのですが、今度ぜひ佐賀県に行かせましょうか。そしてこの映画で、佐賀県を旅している感じでしたねえ。ラストシーンでの佐賀の川上温泉(原作では川北温泉と表記)とか行ってみたいですねえ。しかし川本三郎著「日本映画を歩く」によると実際にラストで撮影に使用されたのは大分の宝泉寺温泉だそうです。川上温泉では撮影当時に、ひなびた感じが出てなかったようです。

【あらすじ】

 警視庁の柚木刑事と下岡刑事は横浜からSL機関車の夜行列車で佐賀へと向かう。佐賀に着き佐賀署に顔を出してから二人は刑事であることを伏せある女性の向かいの宿に泊まり張込みを開始する。その女性が張り込まれる理由は、東京で発生した殺人事件の犯人の一人が女の下へやってくるかもしれない、とのことだった・・・

柚木刑事(大木実)
柚木刑事
下岡刑事(宮口精二)
下岡刑事
横川さだ子(高峰秀子)
横川さだ子








【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり






 警視庁の柚木刑事(大木実)と下岡刑事(宮口精二)は横浜からSL機関車(急行「筑紫」と思われる)に乗り換えて佐賀を目指す。私事ではなくもちろん、事件を追うためだった。

 佐賀署の署長(大友富右衛門)に挨拶してから二人はある女性の家の向かいにある宿に泊まることに決める。女主人(浦辺粂子)らには情報流出を恐れ、あえて刑事を名乗らずセールスマンを名乗って宿泊する。

 二人の刑事の目的は東京で起きた殺人事件で犯人・山田(内田良平)を逮捕したあと山田が共犯者の石井キュウイチ(田村高広)の存在と彼に凶器の拳銃を預けたこと、彼が故郷の元恋人の話をしきりにしていた、ということを自供する。その元恋人こそ二人の刑事が張り込んで見張っている横川さだ子(高峰秀子)だった。

 捜査一課長(芦田伸介)の会議の結果、自殺を図ろうとしてその前に石井が元恋人の横川の下に来る可能性は十分にありえる、として柚木と下岡が佐賀に派遣されたのだった。

 横川さだ子は今、横川仙太郎(清水将夫)という一日に100円(当時の値段。物価比較などは個人でお調べください)しか小遣いを渡さないケチな亭主に嫁いでいた。三人の子供がいるが、その三人とも仙太郎の前妻の子供だったのだ。

 二人は一日、二日と張込みを続ける。しかし彼女は決まった時間に洗濯、炊事、買い物などまるで機械のように決められた生活を送るばかりで石井と接触する様子もない。また彼女自身も生気が見えず、実際の年齢より老けてみえてしまっていた。

 ある日、横川さだ子がいつもと違う出来事を起こした。バスでどこかへ向かったのだ。二人も同じバスに乗りその後を追うが結果は夫の知人の葬儀に夫の代わりに参加する、という全く面白味のないことだった。

 滞在予定は一週間。刻一刻と時が過ぎるが横川さだ子は全く石井と接触する気配が見られなかった。二人の刑事も日に日に疲労と失望感が感じられてきていた。

 ある日、ずっと宿の部屋にこもりっぱなしの二人を不審がった宿の女中たちが警察に通報していた。しかし佐賀の警察には事情を話してあるので、一応は形式的な警察官の訪問を受け、つじつまを合わせるように言う。

 柚木刑事は夜、東京の恋人のことを思い出していた。高倉弓子(高千穂ひづる)とは柚木自身が結婚する勇気がなかったために未だに結婚をしていない。そんな東京の恋人のことを思い出していたのだった。

 張込みの最終日。佐賀警察署に向った下岡刑事に代わり柚木一人で見張っていたところ、突然横川さだ子が家を出て行った。いつもの予定通りではない行動に慌てて柚木も後を追うが見失ってしまう。

 柚木は佐賀駅に行き、石井キュウイチらしき男が佐賀にやってきたことを聞き、二人が乗ったバスのあとを追う。バスの終点地でバスの乗務員から石井キュウイチらしき男と横川さだ子らしき女が川北温泉で降りたことを聞き柚木も川北温泉へ向かう。

 高原にさしかかった時、銃声が聞こえる。柚木は石井が無理心中を図ったのでは、と銃声の聞こえる方向へ向かうがただの狩猟だった。

 その後、近隣の住民から石井と横川の向かった場所を聞き、河原へやってきた。そこに石井と横川の二人が。

 柚木は拳銃を構えるが石井もさだ子を殺しそうな素振りは見せず、さだ子はあの機械人間のような女性からはとても見ることができない幼げな素振りと美しさを見せていた。柚木はそのあまりの変貌ぶりに驚くとともにひとまず危険はないだろう、と判断し見守ることにする。

 その後、丘に移った二人。さだ子と石井は恋人だったころの思い出話に花を咲かせていた。やがてさだ子は今自分が手にしているのは表面的な幸せであり、石井のあとを追って東京に行けばよかった、と話す。そして二人は深い口づけをかわし、さだ子は人生をやり直し横川家を捨てて石井にどこまでもついていく、と言ってみせる。石井は彼女を断るべく事情を話すためにひとまず近くの川北温泉の旅館へ向かう。

 やがて柚木が呼んだ佐賀警察の応援隊と下岡刑事が川北温泉に到着する。柚木と下岡は拳銃を構え石井のもとに現れ石井を逮捕する。石井は拳銃を大阪で売ったことを明かす。

 その後、石井の部屋に訪れていた時に横川さだ子と遭遇。柚木は石井を逮捕したことと、早く旦那の下に帰るよう言う。柚木は去り際にもう一度、横川さだ子を見つめる。さだ子は自分が人生をやり直すことに失敗してしまったことと石井が逮捕されたことに嗚咽する。

 柚木はさだ子が命を燃やしたのはほんの数時間のことであり、あと数時間、そして翌日にはまた機械のような横川さだ子に戻るのだ、と思いつつ去っていた。

 佐賀駅で高倉弓子にプロポーズの電報を送った柚木。柚木は下岡と共に連行する石井に人生をまたやり直せばいい、と励ましつつ東京行きの電車に乗り込んだのだった・・・







 人間っていうのは仮面を持ってるんです。どんなに従順な妻や女性でも実は仮面を持っており、もしかしたらお淑やかな仮面を被っている女性でも仮面の下はすごく遊び好きだった、なーんてこともあるかもしれませんよ。また逆もしかり。生真面目な旦那の仮面の下は実は女好き、ってのもありえます。世の奥様旦那様、相方の仮面の下は本当にご存知ですか?

 この作品ではミステリーの分類でもたとえば土曜ワイド劇場のような現実でそんなのあるか!なんて殺人事件を描いたドラマとは違ったよさがあります。夫に従順に従う妻の小市民と病弱で憧れた東京で失敗し殺人を犯して故郷へ帰郷した小市民の絡みに客観的な立場で一人の刑事を置くことで我々にその人間ドラマを見せたのだ、と私は思いました。うまいですねえ。

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(2005/11/26)
大木実、田村高広 他

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