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いい戦争映画でした。


『戦争のはらわた』 (1977年・西独、英)
戦争のはらわた
スタッフ
監督:サム・ペキンパー
脚本:ジュリアス・エプシュタイン、ジェームス・ハミルトン、ウォルター・ケリー
原作:ウィリー・ハインリッヒ
製作:ヴォルフ・C・ハルトヴィッヒ、アーリーン・セラーズ、アレックス・ウィニトスキー
音楽:アーネスト・ゴールド
撮影:ジョン・コキロン
編集:トニー・ローソン、マイケル・エリス
配給:コンスタンティン・フィルム、EMIフィルム
キャスト
シュタイナー曹長:ジェームズ・コバーン
エヴァ:センタ・バーガー
ロシア少年:スラッコ・スティマッチ
マイヤー少尉:イゴール・ガロ
クルーガー伍長:クラウス・ローヴィッシュ
アンゼルム:ディーター・シドール
ディーツ:マイケル・ノウカ(?)
ツォル:アルチュール・ブラウス
シュヌンバルト:フレッド・スティルクラウス
カーン:ヴァジーム・グルーナ
マーク:ブルクハルト・ドライスト
キーゼル大尉:デビッド・ワーナー
ブラント大佐:ジェームズ・メイソン
トリービヒ少尉:ロジャー・フリッツ
シュトランスキー大尉:マクシミリアン・シェル


 サム・ペキンパー監督作品「戦争のはらわた」。原題は「Cross of Iron」で直訳の場合はドイツ軍でいう「鉄十字勲章」をあらわしている。

 「地獄の黙示録」、「史上最大の作戦」、「戦場にかける橋」ぐらいしか戦争映画は観ていない私にとってこの映画はものすごく衝撃的でした。バイオレンスな描写が多いんですよ。どうしても戦争映画って実際の戦争のような「臭さと汚さ」からあまりにもかけ離れた映画が多いんですよね。しかしこの映画は肉片まではいきませんが、血肉らしきものは見えるし腕の切断面っぽいのや両腕がないひとが出てきたり、と本物の戦争にかなり近づけた作品となっている、と言えるでしょう。

 ただし、私が観たTSUTAYAで借りた廉価版DVDの日本語字幕があまりにも酷い。調べたらその翻訳者はやはりネットでも話題になっており、「機械かエキサイト翻訳でもしたのでは?」とか「実は外人が翻訳してるんじゃ?」とか散々に言われているようでした。私は観ていたとき、これって私の理解力不足なのかなあ、なんて不安になりましたがやっぱり翻訳者が酷かったようである意味、安心しました。だってこの日本語字幕、何というか本当にエキサイト翻訳したような感じなんです。誤訳も多い、と聞きました。最高の戦争映画なのに観た人にとってはこの日本語字幕で気分を害するかもしれませんね。私はあまり批判することは無いし、批判する人が嫌いなのですがこの日本語字幕だけはあまりに酷い、と言えるでしょう。まあ、あえて翻訳者の名前は出しませんが。

 監督はサム・ペキンパー。彼はやはりバイオレンス映画の監督として名をはせていました。彼の初劇場映画の制作作品は「荒野のガンマン」(1961)、後に「ワイルドバンチ」(1969)でバイオレンスチックな描写を出して話題となりました。まあ当然、お堅い当時の評論家たちは監督を叩きましたが。

 主演はジェームズ・コバーン。私、実はコバーンってまだ「荒野の七人」(1960)と「大脱走」(1963)ぐらいでしか拝見していないんですよね。しかしやはり格好いい。そして時々、リー・マーヴィンと何故か被る。と思ったらやっぱり吹き替えをする場合はコバーンもマーヴィンも小林清志さんが多いんですね。まあこの映画では吹き替えはありませんでしたが。

 キャッチコピーは「戦争は最高のバイオレンスだ」。このキャッチコピー好きですよ。この映画の大部分を表していると思います。この映画でのジェームズ・コバーン演じるシュタイナーって他の戦争映画の主役のような英雄とはどこか違うんですよね。まあ、それは皆さんが観てみて感じてほしいところでもあります。

 ところでよくこの邦題を「もうちょっと鉄十字勲章に近づけた邦題がよかったのでは」とおっしゃる方を見かけますが私としてはペキンパーなりのバイオレンスチックな描写を表してるいい邦題だと思いますよ。

【あらすじ】

 第二次世界大戦の真っただ中。タマン半島で激突するソビエト軍とドイツ軍。そんななか、ドイツ軍の戦線の中で一種の英雄とされていたシュタイナー軍曹に西部戦線から派遣されたシュトランスキー大尉が新たな上司となる。シュトランスキーはシュタイナーとの対立を深めるが、シュトランスキーは自分が鉄十字勲章を得るためにシュタイナーを味方にすればいいと確信し昇格させる。



シュタイナー(ジェームズ・コバーン)
シュタイナー
シュトランスキー(マクシミリアン・シェル)
シュトランスキー
ブラント大佐(ジェームズ・メイソン)
ブラント










※今回はあまりにも字幕に頼れ無かったため何個か調べた点もあります。間違っていたらご了承ください。

【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 第二次世界大戦。クリミア半島東隣のタマン半島。東部戦線のドイツ軍とソビエト軍が激突していた。

 ドイツ陣営に西部戦線のフランスからシュトランスキー大尉(マクシミリアン・シェル)が派遣された。彼は欲深い男で鉄十字勲章を得るために志願してこの戦線にやってきたのだ。その本質を見抜いたキーゼル大尉(デビット・ワーナー)やブラント大佐(ジェームズ・メイソン)は彼を嫌悪する。

 一方、キーゼルやブラントが個人的に英雄と評しているシュタイナー軍曹(ジェームズ・コバーン)は部下と共にロシア少年(スラッコ・マティッチ)を捕虜として陣営に戻ってくる。その陣営でシュトランスキーと出くわし捕虜は必要ない、という命令があるからすぐに処刑せよ、と命じる。シュタイナーはそれを何とかはぐらかす。

 シュトランスキーに呼び出されたシュタイナーはそこで行方不明になった部下の扱いについての質問を受ける。シュタイナーは他の部下の犠牲を増やさないために捜索はしなかった、と話し潔癖的な一面があるシュトランスキーに批判される。かくして二人の対立は増す。

 シュトランスキーはトリービヒ少尉(ロジャー・フリッツ)を脅迫して味方につけ、鉄十字勲章を得るためにはシュタイナーも懐柔させておくべきだと判断し曹長に昇格させるのだった。

 そんな中でシュタイナーはロシアの少年を家に帰そうとする。しかしその直後にロシア軍が陣営を襲撃。ロシアの少年はロシア軍に射殺され、いきなりの奇襲攻撃に怯えて地下壕を出ないシュトランスキーの代わりに防戦で指揮を執ったシュタイナーの旧友マイヤー少尉(イゴール・ガロ)が戦死。シュタイナーも負傷し病院へ運ばれる。

 病院で銃弾の聞かない日を過ごしたシュタイナーはそこで従軍看護婦のエヴァ(センタ・バーガー)といい関係になる。しかし同じく負傷し入院していた部下のシュヌンバルト(フレッド・スティルクラウス)が一足早く戦線に復帰する、と知り自分も戦線に復帰する決意を固める。エヴァに悲しまれ少しためらいながらもシュタイナーはシュヌンバルトと同じトラックに乗り込む。

 戦線に復帰したシュタイナーは小隊の部下のアンゼルム(ディーター・シドール)、ツォル(アルチュール・ブラウス)、ディーツ(マイケル・ノウカ)、カーン(ヴァジーム・グルーナ)、マーク(ブルクハルト・ドライスト)、そしてクルーガー伍長(クラウス・ローヴィッシュ)らに歓迎される。

 ブラント大佐の下に立ち寄ったシュタイナーはそこで奇襲戦の際に防戦を指揮していたのは誰だ、と問い詰められる。トリービヒ少尉はシュトランスキー大尉だと証言。シュトランスキーはマイヤーの手柄を横取りしようとしていたのだ。シュタイナーは何も答えないままブラント大佐の下を去る。

 やがて再びソ連軍の攻撃が活発化しシュタイナー小隊は善戦するが結局、ドイツ軍は撤退を開始する。

 殿軍(しんがり)を任されたシュタイナー小隊は敵の猛攻を防ぐうちに本隊とはぐれてしまう。一方のシュトランスキーは策を練ってついにパリへの異動を決定させる。

 また、ブラント大佐は行方不明のシュタイナーを案じつつ、命令により戦線を去ることになったキーゼル大尉に二度と戦争を起こさないように良い人材を見つけてほしい、と後を託し見送るのだった。

 シュタイナー小隊は橋を突破し女性兵士部隊の兵舎を襲う。そしてソビエト軍の軍服を奪う。しかしそこで女性兵士に油断してしまった童貞ディーツ二等兵が女性兵士に寝首をかかれ死亡。また、欲情し油断したツォンは女性兵士にフェラをさせている最中に性器をかみきられ立てなくなる。兵士をきちんと見張っていろ、という命令に背いたツォンをシュタイナーは見捨てる。ツォンは他の女性兵士たちにツォンを好きに(この場合はリンチ)させて小隊を率いて去って行く。

 その後、小隊はドイツ軍を装って哨戒線を突破。ついに本隊の近くまで合流することに成功する。ドイツ兵と間違って撃たれないようにシュタイナーと署名を打ち〝境界線〟というワードを叫びながら合流する、ということを暗号で本隊に送信する。

 それを受け取ったシュトランスキーはシュタイナー帰還を疎ましく思いトリービヒにドイツ兵と間違って殺してしまえ、と命令する。

 シュタイナー小隊は手を頭の上にあげて本隊に合流しようとするがシュトランスキーの命令を受けたトリービヒは射撃を命令。一斉射撃を受けたシュタイナー小隊は〝境界線〟と叫びながら自分たちのことを知らせようとしたシュヌンバルト、カーン、マークらが次々と撃たれ死んでいった。

一斉射撃

 シュタイナーが近づいたことでやっと仲間だと気付いた機関銃の掃射兵が銃撃を止めるがトリービヒはそれでも撃とうとする。シュタイナーは逃げようとしたトリービヒに近づく。トリービヒはシュトランスキーの命令であって自分の意志ではない、と言い訳を重ねる。シュタイナーは今までの戦争で死んだロシアの少年や糞ナチ野郎と叫びながら死んだマークらのことを思い、ついにトリービヒを射殺する。

 その後、クルーガー伍長に小隊の新隊長になるよう託してから自身はシュトランスキーに〝借り〟を返しに向かう。

 その頃、ついにソビエト軍の追撃隊が接近してくる。シュトランスキーの部下らは撤退を開始する。ブラント大佐は自ら銃を持って戦いに出向く。

 シュタイナーはシュトランスキーにトリービヒが死んだことを伝える。しかしシュトランスキーは動じることなくむしろクルーガーら自分の部下を置き去りにしたことを罵る。シュタイナーはシュトランスキーの覚悟を見て「あんたが自分の小隊だ」と言い武器を与え共にロシア兵が迫るなか二人だけで撤退を開始する。

 シュトランスキーはまともに銃弾の装填もできずあわてふためく。そんな姿を見ながらシュタイナーは大笑いをするのだった。

大笑いするシュタイナー



諸君、あの男の敗北を喜ぶな。世界は立ち上がり奴を阻止した。だが奴を生んだメス犬がまた発情している」ベルトルト・ブレヒト






 最後、シュタイナーがなぜシュトランスキーを許したというか、一緒に戦いをはじめたのか。それはやっぱりシュタイナーの他の戦争映画の主人公とは違うところですよね。これはやっぱり戦争の美学だと思います。日本だって独特の散りざまを見せた戦争での美学がありましたよね。まあ当時の基準では、の話ですが。

 最後に銃を持って飛び出したブラント大佐も散りざまの美学、命の覚悟を決めたシュトランスキーの散りざまの美学。そしてシュタイナー自身の散りざまに見せたシュトランスキーを許し共に戦わせることの美学。汚い戦争のなかに美しい花を咲かせた、そう私は思ってラストシーンを観ました。

 エンディング曲が童謡「Hänschen Klein」。日本では「蝶々」のタイトルでお馴染みの曲です。これを子供が歌っているんですよね。戦争の悲惨さを伝えるうえで子供、つまり少年兵の犠牲というのはあまりにも重要ですよね。戦争の空しさを少年たちが歌う主題歌でうまく伝えていた、と表現していると思います。そしてラストのジェームズ・コバーンの勇ましく大笑いする笑い声。あれは空しい笑いにも聞こえた気がします。


戦争のはらわた~Cross of Iron~ [DVD]戦争のはらわた~Cross of Iron~ [DVD]
(2000/08/25)
ジェイムズ・コバーン、マクシミリアン・シェル 他

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Category: 洋画サ行

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