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この映画を観るだけで確信しました。小津安二郎は人間を描くのがうまい。


『東京物語』 (1953年・日)
東京物語
スタッフ
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
製作:山本武
音楽:斎藤高順
撮影:厚田雄春
編集:浜村義康
配給:松竹
キャスト
平山周吉:笠智衆
平山とみ:東山千栄子
平山紀子:原節子
平山幸一:山村聰
金子志げ:杉村春子
平山京子:香川京子
平山文子:三宅邦子
志げの夫:中村伸郎
平山敬三:大坂志郎
敬三の同僚の鉄道職員:安部徹
服部:十朱久雄
服部の妻:長岡輝子
沼田三平:東野英治郎


 小津安二郎監督作品「東京物語」

 これは人の人生の現実と生き死にを描いた素晴らしい作品ですね。私、小津作品は今回が初めてなのですがどうやら世界で日本の名監督4人の中の一人に入ってるそうです。あとの三人は黒澤明、成瀬巳喜男、溝口健二らですね。しかし小津作品は黒澤と違って展開にこれといった刺激的な場面が少なく淡々とした映画が多いので、小津作品は飽きやすい、という印象を持つ方もいるそうです。しかし私的にはたまに、こういう淡々とした映画を観るのもいいかな、とは思いますが。

 主演は一応、笠智衆。もう一人の主演としてはやはり原節子。この二人は小津監督の作品の常連の俳優さんですね。一応、原節子は早くに女優業を引退し今も生きているようです。笠智衆はお亡くなりになってますね。当時、笠智衆は47歳くらいでしたが、この映画で60後半くらいのお爺ちゃんの役をやっています。奥さんの東山千栄子は相応の歳ですが、息子役の山村聰や娘役の杉村春子とは4歳くらいしか違わないのに親子の設定なんですね。それでも違和感を見せない笠智衆の演技力は素晴らしいですね。

 そして安定の東野英治郎の老人役。笠智衆と歳がそんなに離れてないのに笠智衆と同い年くらいの役をやってのける。昔の俳優はそんな人が何人かいたんでしょうねえ。それにしても笠智衆の演じる役って常にボーっとしてる感じなんですが、それが本当に老人っぽい。

 この前、ドラマ「相棒」で近藤正臣の演じた役が「今、終活してるんです」と言っていました。終活というのはもちろん、自分が寿命で死ぬ前にいつでも死ねるような準備をしておく、といったような意味です。私はこの映画を観て、その終活という言葉を思い出しました。


【あらすじ】

 尾道で暮らす年老いた老夫婦のとみと周吉。二人は長男と長女がそれぞれ暮らす東京へ出掛けにきたのだった。一応は温かく迎えられる二人だったが子供たちはそれぞれ既に別の家庭を持っていて忙しくて両親の相手もできず、結局熱海へ旅行に行かせてやってしまう。













【以下全文ネタバレ注意】












↓四行後にネタバレ文あり




 1953年。平山周吉(笠智衆)とその妻とみ(東山千栄子)は尾道の家を次女・京子(香川京子)に任せて東京の長男と長女を訪問することを決めていた。

 東京駅から車で揺られて数時間。長男・幸一(山村聰)の経営する内科の町病院に辿りつく。幸一の妻・文子(三宅邦子)や次男の未亡人・紀子(原節子)、そして長女の金子志げ(杉村春子)が食事の準備などをしており、二人は子供たちと懐かしい思い出話にふけり、一晩が過ぎる。

 翌日、幸一によって東京の観光案内をしてくれることになっていたが幸一に急患が入ってしまい、周吉ととみの観光案内はおじゃんになってしまった。

 とみは不機嫌になった幸一の次男と表で遊ぶ。無愛想な孫たちにも優しく接するとみだったが、幸一の次男が果たして医者を引き継いでしまうのか、と不安になっていた。

 かといって、長女の志げも美容院の仕事から離れられず夫(中村伸郎)と相談。会社員の紀子に仕事を休んでもらって東京を案内してくれないか、と頼む。紀子は承諾した。

 翌日、紀子によって東京案内をされる周吉ととみ。二人はその後、紀子の家を訪れる。

 紀子は団地の部屋で暮らしている。8年も前に周吉の次男で紀子の夫・昌二を第二次世界大戦で亡くしてしまったのだ。とみも幸一もいつまでも昌二に操を立てず、良い人がいたらさっさと結婚してくれて構わない、と言うが紀子は首を縦には振らなかった。

 一方、幸一と志げは誰も両親をかまうことが出来ないとして熱海に宿を用意して観光に行ってもらおう、と決めたのだった。

 周吉ととみは子供たちの用意した熱海の宿へ泊まっていた。しかし夜、若者たちが眠る時間でも騒がしくやっており、周吉ととみはなかなか寝付けなかった。

 翌朝、熱海はいいところだが若者が来るところだ、と話す周吉ととみ。二人は子供たちに厄介をかけてしまっていることに感づいており、そのことは言わないでもそろそろ帰ることを決める。

 翌日、志げの家に帰って来た周吉ととみ。志げはもっと泊まっていてくれればよかったのに、と話すが周吉ととみはそろそろ帰ることを伝え、志げの迷惑そうな顔を見て、別の今晩一晩の宿を探すことにする。

 長男・幸一もいきなり訪問されていい顔はしないだろう。とみは紀子の家で、周吉も泊まるスペースは無さそうなので、周吉は昔の同僚であった服部(十朱久雄)のもとを訪ねる。

 しかし服部とその妻(長岡輝子)の家にはすでに下宿人がいた。周吉は服部とかつての警察署長だった沼田三平(東野英治郎)と共に飲み明かそう、という流れになる。

 居酒屋で服部は戦争で息子二人を両方とも亡くしたこと、沼田が息子に無視されていることを明かし、やがて服部と周吉の愚痴大会になってしまう。

 一方のとみは紀子に、昌二のことは忘れて他の人と幸せになってほしい、と頼むが紀子は頑なにそれを拒絶していた。とみは寝る前にあまりにも紀子が昌二のことを想っていることと、昌二の死などたまった思いにより一人、静かに啜り泣きをする。

 やがて志げの家に酔っ払って寝てしまった周吉と沼田が運ばれてきた。志げは酔っ払って起きもしない父を嫌悪しつつも夫と共に2階で寝て一階に寝かせることに決める。

 翌朝、東京駅で志げ、幸一、紀子に見送られる周吉ととみ。とみは「もう心残りはない」と冗談っぽく話す。

 一度、大阪駅に勤める三男で鉄道職員の敬三(大坂志郎)の家でとみが体調を崩して一晩、泊まる。翌朝、尾道に帰った周吉ととみだった。

 しかしすぐに幸一と志げに「ハハ、キトク」との電報が京子によって打たれた。幸一と志げ、そして紀子はすぐに尾道へ向かう。

 尾道に幸一たちが到着した時には既にとみの容態は悪かった。志げは泣き出し周吉は覚悟を決めていた。

 翌朝、出張に行っていた敬三は遅れてとみの下へ帰って来たがすでにとみは息を引き取っていた。安らかな顔に敬三は涙を浮かべる。

 やがてとみの葬式が開かれ、志げ、とみ、敬三はその日の夜行列車で帰ることを周吉に伝える。周吉が席を話してから志げは父・周吉が先に亡くなった方がお母さんは自由が利くからよかったのに、と言ってから京子に母の形見を持っていきたい、と話すのだった。

 数日後、紀子は京子と共に何日間か尾道の家で手伝いをしていた。京子はさっさと帰ってしまった兄と姉の態度が許せない、と紀子に愚痴を漏らすが、紀子は幸一も志げも自分の家庭を持ったのだから仕方のないことなの、と若い京子を諭す。

 京子が教師の仕事に出かけたあと、紀子は周吉と話をする。紀子はとみに言えなかったことを打ち明かす。実は紀子は何日か昌二のことを忘れてしまうことがある、とのことだったのだ。そして自分はとてもズルい人間だ、と涙を浮かべながら打ち明ける。周吉はそれに対し「それでいいんだ」と話し優しく諭す。そして妻とみが紀子の年の頃にかけていた腕時計を紀子にあげる。そして実の子供より血のつながらない紀子と過ごした時の方が楽しかった、と妻とみは言っていた、と話し昌二のことは忘れて幸せになってほしい、と言うのだった。

 やがて紀子は汽車に乗って帰って行く。周吉は近所の主婦と会話をし「こんなに早く逝くなら、もうちょっと優しくしておくんでしたな」と話しやがて遠くを見つめながら涙を溜める・・・









 やっぱり小津安二郎の映画観を文章で表現するのってすごい難しいですね。もしかしたら国語の教科書に載れるような作家さんじゃないとこの映画を文章でうまく表すのは難しいでしょう。

 邦画を語る上で根本として観るべきなのはこの映画でしょう。
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Category: 邦画タ行

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