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怪獣、宇宙船、巨大ヒーローが出てこない特撮映画。ただしただの特撮ではなく命のドラマ。


『世界大戦争』 (1961年・日)
世界大戦争
スタッフ
監督:松林宗恵
脚本:八住利雄、馬淵薫
製作:藤本真澄、田中友幸
音楽:團伊玖磨
撮影:西垣六郎
編集:岩下広一
製作会社:東宝
配給:東宝
キャスト
田村茂吉:フランキー堺
高野:宝田明
田村冴子:星由里子
田村お由:乙羽信子
江原早苗:白川由美
江原:笠智衆
田村一郎:阿部浩司
田村春子:富永裕子
有村:石田茂樹
おはる:中北千枝子
鈴江:坂部尚子
ワトキンス:ジェリー伊藤
芋屋の爺さん:織田政雄
東京防衛司令部司令官:高田稔
片瀬外務大臣:上原謙
防衛庁長官:河津清三郎
和田官房長官:中村伸郎
笠置丸船長:東野英治郎
桃井首相:山村聰


 松林宗恵監督作品「世界大戦争」。

 反戦映画であり、反核映画、そして特撮映画であり命の映画である。しかしこの映画は特撮云々のシーンではなく、日常に生きる人が無理矢理、戦争に関わらされどんな思いをするか、どんな事になるか、それを次回の大戦を起こさないように、という戒めの為につくられたのでしょう。

 現在、朝鮮半島の情勢が思わしくありません。平和に浸かり、危機に目を背ける、あるいは危機を認識しないことは私としては間違い、とまでは言いませんが明日にでも第三次世界大戦が起こるかもしれない、という可能性は絶対に無い、なんてことはありえません。まあ、そんな事を言ったら日常を送りにくくなってしまうのですが。

 当時は公開前年にベルリンの壁が構築され、キューバ危機があったそうです。冷戦真っ盛り。いつ世界の情勢がクルリと変化し、核戦争が勃発するか分からない、そんな危機的な事態だったのでしょう。

 松林宗恵監督は元海軍士官であり僧侶でもあります。彼は「東京のえくぼ」(1952)で監督デビューし、森繁久彌の社長シリーズでお馴染みの監督です。しかし彼は戦争映画が本当に得意だそうです。彼は自分の作品に仏心を取り入れようといつも、そういった映画を作りました。2009年にお亡くなりになってます。

 フランキー堺は俳優としても活動してた人物ですが、元は喜劇俳優です。喜劇が得意な人ですね。しかし社会的な映画でもうまく演技できるのだから当時の俳優たちは凄いですねえ。


【あらすじ】

 太平洋戦争終結から16年の日本。一方、世界情勢は同盟国と連邦国の二派に分かれ世界のどこかで戦争に発展しそうな出来事が勃発していた。いつ核戦争が始まるとも分からない。核ミサイルは両勢力とも発射待機の状態にあった。日本は被爆国として二勢力に平和的解決の仲介をしようとする・・・


♪世界大戦争主題歌














【以下全文ネタバレ注意】













↓四行後にネタバレ文あり




 太平洋戦争終結から16年後の日本。日本は驚異的なスピードで復興した。

 田村茂吉(フランキー堺)は妻・お由(乙羽信子)、娘の冴子(星由里子)、春江(富永裕子)、息子の一郎(阿部浩司)ら家族の幸せを願い家族で笑いを絶やさなかった。

 茂吉は外国人記者のプレスセンター〈団体や企業の情報交換の施設〉専属運転手をしていた。彼が専属している記者・ワトキンス(ジェリー伊藤)は現在の国際情勢が危ういことと、いつ戦争が起きようかという状況だが戦争だけは起こさない、という決意を茂吉に話す。

 現在、世界は連邦国側と同盟国側の二大勢力に分かれていた。同盟国陣営の訓練で連邦国の潜水艦が乱入し、潜水艦が捕らえられたことで更に二つの勢力に緊張が走る。

 両勢力とも現在、核弾頭を発射待機中、というボタンを押せば核弾頭が発射される状況にあった。

 そんな中で茂吉は娘・冴子と船員で家の下宿人・高野(宝田明)が結婚したい、という思いを持っていることを知り二人の結婚を承諾する。

 また、高野の恩師である船の料理人・江原(笠智衆)の娘・早苗(白川由美)の経営する保育園に寄り、江原から命あることが嬉しい限りだ、という会話を聞く。

 桃井首相(山村聰)は片瀬外務大臣(上原謙)、防衛庁長官(河津清三郎)、和田官房長官(中村伸郎)ら閣僚と協議を重ねる。なんとか戦争と、核の使用は止めるように、と両勢力にかけあっていた。

 ワトキンスは緊迫する経緯38度線の調査に向かう。数日後、ついに実戦で小型の核弾頭が使用され両勢力は核戦争の開戦寸前状態に陥る。

 しかし本当は誰もが戦争など望んでいない。連邦軍発射指令(ハロルド・コンウェイ)も大統領命令が下り発射ボタンを押してしまう。しかしその命令は機械の故障によるもので、本当はその命令はなかった。指令はすぐに発射装置の電源を落とし、発射寸前で何とか発射がキャンセルされる。指令は発射前に間に合って安堵していた。

 一方の同盟軍側も核施設で雪崩が発生し発射されそうな事態になったが、兵士たちの奮闘により何とか阻止される。

 やがて日本の奮闘もあり南北朝鮮が停戦状態となった。戦争は一時回避され人々は喜ぶ。病を推して奮闘した桃井も喜ぶ。

 しかし北極海上で再び戦闘機と戦闘機の戦闘が行われてしまう。こうして再び連邦国と同盟国の戦争が再開されてしまう。

 日本政府の努力も空しくロケットの照準を日本に当てられる、という最悪の事態に陥ってしまった。

 高野は横浜で冴子と一晩過ごし再び船で日本を出発してしまう。その後、日本政府によりロケットのことが発表され国民は大混乱に陥る。

 田村家の近所たちも一斉に東京から避難を開始するが交通は崩壊寸前。早苗の保育園に娘・鈴江(坂部尚子)を引き取りに来ようとした母・おはる(中北千枝子)も電話で娘と会話する。
「かあちゃん!」
「あ!鈴江!元気な声だね!病気治ったんだね!うんうん、うん良かったね!」
「かあちゃん!動物園行こうよ!」
「ああ、そうだったね!クリームパン買っていくよ!ゆで卵もたくさんね!」
「早く来て、かあちゃん!」
「鈴江!すぐ行くから待っててね!母ちゃんが鈴江と会うまで何も起こりゃしないよ!起こるもんかね!」
しかしおはるが鈴江の下に辿りつくことはできなかった・・

 茂吉たちは最後の晩餐を開いていた。田村家の面々は東京の自分たちの家を離れずにここで最期を迎えよう、という決意を胸に秘めていた。茂吉も「俺たちが何したってんだ。悪いことしたわけじゃないんだから逃げる必要はねえ」と言う。

 冴子は遠い海に居る高野と最後にアマチュア無線で会話する。
「サエコ・サエコ・コウフクダッタネ」
「タカノサン・アリガトウ」

 そして茂吉は最後の晩餐を終えてから、二階に昇り夕陽を見つめて叫ぶ。
「俺たちは絶対死なねえ!原爆でも水爆でも来てみやがれ!俺たちの幸せに指一本ささせねえから!俺たちは生きてんだチキショウッ!!」
「母ちゃんには別荘を建ててやるんだ! 冴子には凄い婚礼をさせてやるんだ! 春江はスチュワーデスになるんだ! 一郎には大学に行かせてやるんだ! 俺の行けなかった大学に……!!」

 その日の夜、核ミサイルが発射され東京に墜落。閃光がピカリと光り炎が東京を包みキノコ雲があがった。その日、第三次世界大戦が開戦した。

 笠置丸船長(東野英治郎)は船員たちの意見を聞き東京へ引き返すことを号令する。船に乗っていた料理人の江原は
「人間には誰にも生きていく権利があるというのになあ。それを同じ人間が奪い取るなんて、どっか間違ったんだ。みんなが今、東京に帰りたいと言うように『生きていたい』と言えば良かったんだ。もっと早く人間みんなが声を揃えて『戦争は嫌だ。戦争は止めよう』と言えば良かったんだ・・・。人間は素晴らしいもんだがなあ・・・。一人もいなくなるんですか・・・、地球上に・・・」
 そう残念そうにつぶやく。高野は壊滅した東京へ向かう船で涙を浮かべ、江原もどこか遠くを見つめるのだった。







悲しいけどバカバカしい物語でしたね。いや映画のストーリーにチャチをつけているんじゃなくて、誰もが戦争を望んでいないのに疑心暗鬼になって核ミサイルを撃ち込んで自分たちの種族を自分たちの手で皆殺しにしてしまう。その結果、一体だれが得するのか・・遠い未来で人間という生物がいたけど、実は同じ種族同士で核戦争で撃ちあって絶滅したんだ。なんて恥ずかしい歴史を残すんでしょうか?

 ちょっと説教くさいのはここまで。ではこの映画について語りましょう。私の説明文では田村家の日常部分は大幅にカットしてあるため、私の感じた「日常に絡む戦争」という部分が分かりにくくなってしまいましたね。映画では分かると思います。戦場のない日常に暮らす人々が戦争に苦しめられる姿を。そんな姿を松林監督は訴えたかったんだと思います。

「母ちゃんには別荘を建ててやるんだ! 冴子には凄い婚礼をさせてやるんだ! 春江はスチュワーデスになるんだ! 一郎には大学に行かせてやるんだ! 俺の行けなかった大学に……!!」は音声でのみ下の動画で聞けます。
02:11~3:28ごろ


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